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英国の欧州連合からの離脱で私たちの生活にどんな影響を及ぼすということでは、酒好きの私が気になるのはウイスキーやクラフトビールなどの輸入販売に関してなのだが、酒類専門の輸入業者である「ウィスク・イー」の担当者は「国民投票の結果が判明したばかりで、どのような影響を及ぼすのか判断するのは難しい」と困惑しており、「英国や欧州の国々から良質な品を輸入し続けたいので、影響がないことを願うだけ」と為替の安定を望んでいるという。サントリーの広報部も為替の動向を注視しているそうで、円高が1円進むと利益は対ポンドやユーロで1億円程度対ドルでは3億円程度減少する恐れがあることから、担当者は「円高はトータルで見るとマイナスになるのでは」と懸念しているというのだ。 先月に行われた先進国首脳会議の共同記者会見の壇上で安倍首相が、イギリスの欧州連合残留を強く推奨したわけなのだが、イギリス政府は懸命に残留支持キャンペーンを展開してきていたのだ。この時の安倍首相の発言は相当に踏み込んだ内政干渉に聞こえたそうで、内政干渉ならイギリス人たちは権力嫌いの天邪鬼者たちを刺激したというのだ。イギリス人気質として偉そうにしている人たちが何か指図しようとするとたちどころにヘソを曲げるそうで、自分たちがやろうとしていたことでも「あいつがやれというなら、やめとくか」という具合になることから、結構江戸っ子精神に通じるというのだ。こうした精神風土があるところで外国の首脳が「EUを離脱すると我が国からの投資が減りますよ」などと言おうものなら大変だというのだ。 先月に行われた先進国首脳会議の共同記者会見の壇上での安倍首相発言が、イギリスの江戸っ子たちは怒り心頭に発して「死んでも離脱してやる」と大見えを切ることになってしまったというのだ。サミット時でも安倍首相の発言についてはあちこちで激怒の声が上がったといわれていたが、離脱支持派の政党たちはもとよりネット上でも憤まんの投稿が集中したという。ひょっとするとこの時の安倍首相の発言が離脱か残留か迷っていた浮動票が、これで離脱側になだれ込んだかもしれないというのだ。1993年の正式発足以来EUから加盟国が離脱するのは初めての事態で、残留を主張してきたキャメロン首相は引責辞任する意向を表明したが、キャメロン氏の呪いが安倍首相を覆うかもしれないという。 英国の欧州連合からの離脱で世界経済混乱の不安から市場は一時円相場が1ドルは100円を突破し急騰し、日経平均株価も1000円超下落するなど大荒れの展開となったという。日本への影響について経済ジャーナリストは投資家がポンドを避け比較的安全な通貨とされる円を買うようになるので円高となる。加えて米国が利上げできず円高が加速しデフレとなって日本経済全体が収縮するというのだ。給与が上がらず家庭の消費は冷え込み不況に陥る可能性があって経済政策でデフレ対策を進める政府には大きな痛手となるというのだ。デフレでモノの値段が下がるといっても大きく下がらないし、今年の春闘では少しベアが上がったのに来年は厳しくなるというのだ。 円安の時に利益をはき出しその分を取り戻そうと考える企業が多いからだというのだが、株式相場も乱高下するので大きな投資は控えた方が良さそうだともいわれている。日本企業の多くが英国拠点をEU向けの輸出拠点としているそうなのだが、関税の仕組みが変わる恐れがあって輸出が減れば業績に打撃を与えかねないという。実際に離脱するまで時間はあるものの工場や人員配置の一部をEU域内に移すなどの対応を迫られるという。年金支払いの原資である年金積立金は国内外の株式市場で運用されており、株安となれば年金積立金の損失を抱えることになって、年金受給開始年齢が現在の65歳から引き上げられる可能性もあり、市民や企業の間に不安や戸惑いが広がるというのだ。
2016年06月30日
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安倍晋三首相が来年4月予定の消費税率10%への引き上げを2019年10月まで延期する方針を示したのは、「景気回復」・「財政健全化」・「選挙」の三つの条件を勘案した結果と言えるわけなのだが、経済政策面からは延期幅を当初浮上した「2年」から「2年半」に拡大することで、デフレ脱却を着実に達成する時間を確保するとともに、2020年の東京五輪・パラリンピック特需を当て込んでいるというのだ。2020年度に基礎的財政収支を黒字化させるという財政健全化目標を堅持する必要性も考慮しており、首相側近の下村博文自民党総裁特別補佐は東京都内で記者団に「首相はデフレ脱却を最重点課題として考えた時に、増税延期はやむを得ないと判断した。最終的には与党もまとまると思う」と説明したそうなのだ。 安倍晋三首相が消費税率10%への引き上げを2年半再延期すると提案したのは、景気下振れにつながる増税を先送りしながら、財政健全化目標を堅持する姿勢も示す狙いがあるという虫のいい話なのだが、増税が2度にわたり延期されれば政府の財政規律に疑問符が付くのは必至で、日本経済の長期低迷の背景には政府の成長戦略の遅れもあり、アベノミクスへの批判も強まるかもしれないと言われている。政府は政策経費を借金に頼らずにどの程度賄えているかを示す基礎的財政収支を2020年度に黒字化する目標を掲げているが、増税の遅れは目標の後退につながるのだが「2019年度中に増税するなら、増税効果がフルに表れる20年度のPB黒字化目標は取り下げる必要はない」と財務省幹部は語っている。 安倍首相も財政健全化計画への懸念を払拭しようとギリギリの線を示したと見られるが、公増税延期に難色を示してきた麻生太郎副総理兼財務相は、延期をめぐり衆院解散で国民の信を問うよう主張したという。安倍首相は勝ち目のない衆院解散に否定的で、麻生氏の説得に努めたというのだ。公明党幹部の一人は「景気回復に延期が必要というのは『名目』」として、政局的な意味合いが大きい」との見方を示している。将棋税増税延期が2年半の延期幅なら今年夏の参院選だけでなく、3年後の統一地方選とその年に行われる次期参院選への影響も併せて回避できるためだ。それでも与党内からも「増税できる経済環境をつくれなかったと攻撃される」と懸念する声が出ているそうなのだ。 これに関し民進党の岡田克也代表は記者団に「安倍首相の間は上げないという宣言に等しい。無責任ではないか」と批判している。経済成長率は日本が0.5%と主要7カ国で最低なのに対し米国や英国は2%台を確保しており、日本経済の低迷が長期化しているのは前回の消費税増税後の消費低迷だけでなく日本の潜在的な経済成長力が停滞し、企業や家庭が一定の成長を前提とした消費や投資にお金をかけにくくなっていることも大きいという。増税による税収増をあてにしていた社会保障関連の政策に影響が出るのは必至で、「政権が力を入れると言っているのにもかかわらず、財源を確保しないのは無責任と言われてもしかたない」との懸念が既に渦巻いているというのだ。延期慎重派の谷垣禎一幹事長は自民党の会合で「非常に重い決断だ。進むも地獄、退くも地獄という世界だ」と述べ、苦渋の判断で延期を考えざるを得ないとの認識を示したが、これで安倍首相の任期が延長されない限り増税実施は次の政権に委ねられることになるのだ。「アベノミクスは決して失敗していない。デフレから脱却し、国民をさらに豊かにしていく」と安倍首相は街頭演説し、雇用改善などの「成果」の説明に多くの時間を割いていた。もっとも自民党の稲田朋美政調会長は記者会見で、民進党が「まず、2/3をとらせないこと」とのキャッチコピーで制作した参院選ポスターに対し、「政権を奪い返すという野党第1党としての気概もない。本当に戦う気があるのか」と批判している。
2016年06月29日
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四国電力はわたしの住む愛媛県西宇和郡伊方町にある伊方原発3号機の再稼働に向け、原子炉に核燃料を装着する作業を始めたそうなのだが、来週には作業を終えて7月26日に再稼働させすぐに発送電を開始する方針だという。再稼働は新規制基準施行後に鹿児島県の九州電力川内原発1・2号機と福井県の関西電力高浜原発3・4号機に続き5基目なのだが、高浜原発はその後大津地裁による仮処分決定で運転が差し止められている。伊方3号機に装着する核燃料は計157体でこのうち16体は非常に毒性が強く危険度の高いとされるウラン・プルトニウム混合酸化物燃料なのだ。再稼働すれば、ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料を使う唯一のプルサーマル発電となるのだ。 原子炉に核燃料を装着する作業は24時間態勢で1日約40体ずつ原子炉に収めるというが、四国電力は再稼働前の7月中旬に重大事故を想定した訓練を予定しているという。装填されるプルトニウムとウランを混ぜて作ったMOX燃料16体を含む157体の燃料集合体で、作業は4日間ほどかけて行われるよていだというが、関係者によると再稼働すればMOX燃料を使ったプルサーマル発電を行う国内唯一の原発となり、四国電力は8月下旬に通常の営業運転を始めたいとしているそうなのだ。伊方3号機は平成25年7月の新規制基準施行と同時に規制委に審査を申請しており、新基準に合格した後には伊方町の山下和彦町長と愛媛県の中村時広知事が再稼働に同意しているのだ。 防災工事を施工していた今年4月から使用前検査が始まっており、愛媛県の中村知事は燃料装荷が始まると「長期間停止していた原子炉であり、トラブルを決して起こさないという心構えで安全確保を最優先に取り組んでほしい」とのコメントを出していた。伊方3号機の再稼働を巡っては広島県や愛媛県の住民らが運転差し止めを求める仮処分を広島・松山両地裁に相次ぎ申請しており、大分県の住民も近く申請する方針だという。今回の燃料装着について伊方町大浜の農業者は「原発は将来的になくすべきだ」としつつ、「町は経済的に依存しており、やむをえない」と話しているが、再稼働に反対する市民らが毎週金曜に県庁前で開く集会では参加者から伊方原発の耐震安全性への懸念の声が相次いでいるという。 プルサーマル発電の問題について学ぶ講演会では、国際団体「憂慮する科学者同盟」の研究員で原子力事故などに詳しい米国人研究者が、プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料によるプルサーマル発電の危険性を指摘し「福島での原発事故の教訓を考えると日本政府はこのような燃料は認可すべきではない」と訴えている。この研究者はMOX燃料について「通常のウラン燃料に比べても、より毒性の高い放射性元素の量が多く、事故があった場合に被害が深刻になる危険度が高い」などと説明し、さらにMOX燃料の実験例が乏しく事故の影響など安全性への情報が不十分と指摘した。また「テロリストは最大効果を狙うため、MOX燃料を使う原発を標的にするだろう。テロのリスクは高まる」と強調していた。 伊方町に隣接する八幡浜市の脱原発団体「八幡浜・原発から子どもを守る女の会」の斉間淳子代表は「熊本地震で、伊方原発も重大事故が起きる可能性が高まる中、再稼働に突き進むのは許せない」と批判しているが、伊方原発は四国唯一の原発で3号機は出力89万キロワットの加圧水型軽水炉となっている。1994年12月に運転を開始し東京電力福島第1原発事故直後の2011年4月に停止している。新規制基準合格を受け伊方町長と愛媛県知事が再稼働に同意し、再稼働の前提となる安全対策工事がほぼ完了しているそうなのだ。帰国電力は今回の原子炉に核燃料を装着する作業を実施するにあたって、「安全を最優先に一つ一つの工程を進めていく」とコメントしている。
2016年06月28日
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大阪府が整備を進める阪神高速大和川線のうち常磐東ランプが本線と合流する開削区間でシールド機の発進基地となるたて坑2基をニューマチックケーソン工法で沈設した後、たて坑に挟まれた開削区間を掘削してトンネル躯体を構築して埋め戻す予定だった工事で、たて坑の沈設が終わり開削区間を半分ほど掘り下げた時点でたて坑の安定性が問題となり、大阪府によるとそのまま側面を掘削し続けた場合には支えを失ったたて坑が背面の土圧と水圧に押されて内側に滑動・転倒する恐れが出ていたことから、たて坑の詳細設計を担当した「日本シビックコンサルタント」のミスが原因で工事費が約41億円も増えたとして、約7億5千万円の賠償を求めて大阪地裁に訴えを起こしていたのだ。 大坂府はたて坑が背面の土圧と水圧に押されて内側に滑動・転倒するとして掘削工事を中止したうえで、周囲の地下水位を下げてたて坑背面に掛かる水圧を小さくし延長200mもの仮設スラブをたて坑間に構築して支える安定対策を、有識者などから成る「大和川線技術検討会」での議論を踏まえて決定して工事を再開したというのだ。これまでも受発注者の役割・責任分担の曖昧さが数えきれないほどのトラブルを招いてきたのだが、それでも発注者が受注者のミスが原因で工事費が増えたとして、受注者に設計契約金額の約27倍に相当する賠償を請求して大阪地裁に訴えを起こし、受注者が真っ向から抗戦するケースが公になるのは極めて珍しい事例となっていたのだ。 そのうえこのプロジェクトの迷走は続いており大阪府は賠償請求をしているさなかに、安定対策のうち地下水位の低下について当初の予測では周辺に大きな影響を及ぼさないと考えていたのが、本線シールド機を発進させるために地下水位を6mほど下げたところで遠方で予想外の水位変動がみられたというのだ。そこで現場周辺の住宅地に地盤沈下を引き起こす恐れがあるとして、大阪府が地下水位の低下を断念して安定対策を変更したのだ。大阪府は変更に伴う約56億円の増額分も含めて日本シビックに賠償を求めているのだ。その結果賠償請求額は当初の約7億5千万円から約86億円に膨れ上がっただけでなく、工法の再変更で昨年度に予定していた大和川線の全線開通は3年後まで遅れる異常事態となったというのだ。 現場は複雑な地質でさらに詳細な調査を重ねて影響を確認し他とする大阪府が、裁判における主張は大きく2点で「日本シビックには、開削区間を掘削しても自立するたて坑を設計する義務があった」ということと、「側面を掘削するとたて坑が滑動・転倒する恐れがあることを大阪府に指摘する義務もあったがこれを怠った」というのだ。それに対する日本シビックは「設計自体が自立するたて坑を設計する契約ではなかった」と主張し、「成果品の納入後に大阪府と施工者・設計者による三者会議で『大火打ち構造』によるたて坑の安定対策を検討・合意したにもかかわらず、大阪府が対策を実施せずに工事を進めた点に問題がある」などと真っ向から反論しているそうなのだ。 「コンサルタント会社はプロです。プロとして提出をされた成果物については、瑕疵があってはならないと僕はそう思いますし、瑕疵が出た場合は、責任をとっていただきます」と、松井一郎府知事は議会の答弁でこのような発言を繰り返し、日本シビックの「プロ」としての責任を一方的に追及してきたというのだ。しかし公共事業の発注者である大阪府にも「プロ」として設計の与条件を設定したり、受注者間の意見を調整したりする役割と責任があるはずで、大阪府は発注者としての責務を適切に果たしたかということだけでなく、設計者の責任を追及する前にまずは自らの責任を納税者に対して明らかにする義務があるということには、「行政の技術職にはそこまでの技術的な責任はない」という事にしているというのだ。
2016年06月27日
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自民党は参院選公約を詰める検討会議を開き、安倍晋三首相が来年4月の消費増税の再延期を表明したことで、出席議員らは消費増税を前提に盛り込んでいた政策の変更が必要になるとの認識で一致したというのだ。当初は5月中に予定していた自民党の参院選公約発表が6月初旬までずれ込んだというのだ。公約責任者の松本純政調会長代理らが出席し増税による財源を当て込んでいた子育て支援策も修正が避けられないとなったそうなのだ。アベノミクスの「成果」を活用して社会保障政策も手厚くすると強調し経済最優先を前面に打ち出してはいるが、公約策定はこれまでも遅れがちで参院選の候補予定者から「事実上の選挙戦が始まっているのに、説明資料がない」との不満が出ていたというのだ。 自民党が発表した参院選公約なのだが、デフレ脱却に向け安倍晋三首相の掲げる経済政策「アベノミクス」をフル稼働させる考えを示し、消費税率10%への引き上げ再延期と今秋の経済対策実施を明記しているのだ。自民党の公約は「アベノミクスのエンジンを最大限にふかすことでデフレからの脱出速度を更に上げる」と強調し、名目国内総生産を戦後最大の600兆円に押し上げると明記し、具体策として低金利を生かした財政投融資でリニア中央新幹線の大阪開業前倒しや整備新幹線の建設推進など、今後5年で官民あわせ30兆円規模の事業を確保するとして我々建設業界を喜ばしているが、各分野の政策を総花的に並べ野党による争点設定を封じる意図が随所にうかがえるという。 そのうえ自民党が発表した参院選公約では安倍政権の経済政策「アベノミクス」の成果を数値で示すとともに、子育てや介護など社会保障に重点を置いているそうなのだ。安倍政権の経済政策「アベノミクス」による経済成長に加え、子育てや介護など社会保障政策を手厚くする方針をアピールしている。それは「保育園落ちた」の匿名ブログが注目されたのをきっかけに民進党は待機児童問題で政権を追及する構えをみせたせいなのだが、すると自民党も「1億総活躍社会」の看板が揺らぐのを恐れた政府・与党は保育士や介護士の処遇改善などの検討を加速させ、自民党の公約で「『経済のパイ』拡大の成果を子育て・介護に」と掲げ、経済成長に伴う税収増を活用し女性や高齢者・若者が活躍できるとした。「 自民党が発表した参院選公約では1億総活躍社会」を実現すると明示し、保育と介護の受け皿をともに50万人分増やすだけでなく、保育士の給与を新たに2%改善や介護士の給与1万円改善に給付型奨学金の創設検討などを盛り込んでいるという。いったん骨抜きにした「同一労働同一賃金の実現による正規・非正規の格差是正」も民進党を意識した政策だという。野党4党が今回の参院選では安保関連法廃止ということで足並みをそろえたため、施行された安全保障関連法への言及は抑制されており、昨年の通常国会で成立を急いだ安保関連法を巡っては「あらゆる事態に切れ目のない対応が可能な態勢を構築」・「後方支援等を通じて国際社会の平和と安全の確保に積極的に貢献」といった抽象的な表現が目立つという。 社会保障政策について稲田朋美政調会長は「社会保障充実を赤字国債で賄う民進党のような無責任な政策はとらない」と述べたが、自民党の公約には「アベノミクスのエンジンのフル稼働」という名目で財政出動を伴う経済対策を実施することを盛り込まれている。選挙にらみで「大盤振る舞い」した感は否めないのだが、「赤字国債に頼ることなく安定財源を確保し、可能な限り社会保障の充実を行う」と明記しているが、消費増税を再延期したために財源はあいまいなままで公約の実現性には疑問符がつくというのだ。保育士や介護士の処遇改善には2000億円程度の安定財源が必要とされるが具体的な方策は示されておらず、消費税率を10%に引き上げて実施する予定だった社会保障充実策の取り扱いもあいまいのままなのだ。
2016年06月26日
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東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た汚染土の再利用について、環境省は有識者検討会で一定の条件と対策の下であれば放射性物質の濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下の土を公共工事に使えるとの方針を示し了承されたというのだ。近く正式決定し福島県の内外で再利用を進めたい考えだというのだが、環境省は汚染土の用途ごとに建設作業員や一般住民の被ばく線量を推計して対策を行うというのだ。例えば1キロ当たり8000ベクレルの汚染土を盛り土に使う場合は厚さ50センチ以上のコンクリートなどで覆えば、1メートル離れた場所で常時過ごす人の年間被ばく線量を0.01ミリシーベルト以下に抑えられると試算して、健康に影響はないとしている。 除染廃棄物は最大2200万立方メートルになると見込まれ福島県大熊町と双葉町に建設する中間貯蔵施設に保管するというのだ。試験輸送が始まり30年以内に県外に運び出す方針だが最終処分先は決まっておらず、減量や再生利用促進が課題とされている。原子炉等規制法では放射性廃棄物が制限なく再利用できるのは100ベクレル以下なのだが、今回環境省は再利用する場所が長期間掘り返されない道路や防潮堤などで、管理者も明確な公共工事に限定するため問題ないと説明している。放射性物質汚染対処特別措置法にならい一般廃棄物として処分が可能な8000ベクレル以下を基準とし、福島県南相馬市で再利用の実証実験をするというのだ。 東京電力福島第1原発事故の除染で出た放射性廃棄物を保管する中間貯蔵施設予定地内の町有地の提供について大熊町は、福島県内の学校敷地に保管されている廃棄物に限り一時的な仮置き場として町有地を活用することを決めたという。大熊町議会全員協議会は町の方針を認めたわけなのだが、渡辺利綱町長は「教育上の配慮からも廃棄物を受け入れることが望ましい」と説明している。鈴木光一議長は「地権者が交渉中の中、今回は町としての特別な措置だ。国は地権者交渉では、売買や賃貸に影響がないように進めるべきだ」と強調した。廃棄物搬入の日程や賃貸や売買など町有地の活用形態は環境省と調整するとし、2045年3月までに福島県外に運び出す計画となっているが最終処分先は決まっていないのだ。 自民党の額賀福志郎・東日本大震災復興加速化本部長は教育現場約1000カ所に保管している汚染土など約33万立方メートルの保管場所として、町有地の提供を大熊町と双葉町に求めていた。計画では双葉町は町有地の提供を当面保留し学校敷地に保管されている汚染土について、すでに搬入を進めている大熊町内の保管場で優先して受け入れることを決めた。土を含む除染廃棄物は最大2200万立方メートル発生すると見込まれ、環境省は再利用してできるだけ減らしたい考えなのだが、そこで公共工事に使えるとの方針を示したというのだ。残りは福島県内に建設する中間貯蔵施設に保管するわけなのだが、環境省の担当者は「社会的な理解をどう得ていくかの取り組みも重要になる」と話している。 また東京電力福島第1原発事故の放射性汚染水問題についてでは、汚染水を処理する多核種除去設備「ALPS」で62種類の放射性物質が除去されるが、トリチウムだけは取り除けないことから、トリチウムを含む汚染水は敷地内のタンクに貯蔵されて日々増え続けており、処分方法を検討してきていたのだ。浄化処理で取り除けない放射性トリチウムの処分方法を検討している経済産業省が、海へ流すことが最も短期間で低コスト処分ができるとの試算結果をまとめたことが分かったのだ。試算結果はトリチウム濃度によって変動するが海洋放出は最長7〜8年で処理することができることから、最大でも35億〜45億円程度のコストで最も低く処分できるというのだ。
2016年06月25日
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四国電力はわたしの住む愛媛県西宇和郡伊方町にある伊方原発3号機の再稼働に向け、原子炉に核燃料を装着する作業を始めたそうなのだが、来週には作業を終えて7月26日に再稼働させすぐに発送電を開始する方針だという。再稼働は新規制基準施行後に鹿児島県の九州電力川内原発1・2号機と福井県の関西電力高浜原発3・4号機に続き5基目なのだが、高浜原発はその後大津地裁による仮処分決定で運転が差し止められている。伊方3号機に装着する核燃料は計157体でこのうち16体は非常に毒性が強く危険度の高いとされるウラン・プルトニウム混合酸化物燃料なのだ。再稼働すれば、ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料を使う唯一のプルサーマル発電となるのだ。 原子炉に核燃料を装着する作業は24時間態勢で1日約40体ずつ原子炉に収めるというが、四国電力は再稼働前の7月中旬に重大事故を想定した訓練を予定しているという。装填されるプルトニウムとウランを混ぜて作ったMOX燃料16体を含む157体の燃料集合体で、作業は4日間ほどかけて行われるよていだというが、関係者によると再稼働すればMOX燃料を使ったプルサーマル発電を行う国内唯一の原発となり、四国電力は8月下旬に通常の営業運転を始めたいとしているそうなのだ。伊方3号機は平成25年7月の新規制基準施行と同時に規制委に審査を申請しており、新基準に合格した後には伊方町の山下和彦町長と愛媛県の中村時広知事が再稼働に同意しているのだ。 防災工事を施工していた今年4月から使用前検査が始まっており、愛媛県の中村知事は燃料装荷が始まると「長期間停止していた原子炉であり、トラブルを決して起こさないという心構えで安全確保を最優先に取り組んでほしい」とのコメントを出していた。伊方3号機の再稼働を巡っては広島県や愛媛県の住民らが運転差し止めを求める仮処分を広島・松山両地裁に相次ぎ申請しており、大分県の住民も近く申請する方針だという。今回の燃料装着について伊方町大浜の農業者は「原発は将来的になくすべきだ」としつつ、「町は経済的に依存しており、やむをえない」と話しているが、再稼働に反対する市民らが毎週金曜に県庁前で開く集会では参加者から伊方原発の耐震安全性への懸念の声が相次いでいるという。 プルサーマル発電の問題について学ぶ講演会では、国際団体「憂慮する科学者同盟」の研究員で原子力事故などに詳しい米国人研究者が、プルトニウム・ウラン混合酸化物燃料によるプルサーマル発電の危険性を指摘し「福島での原発事故の教訓を考えると日本政府はこのような燃料は認可すべきではない」と訴えている。この研究者はMOX燃料について「通常のウラン燃料に比べても、より毒性の高い放射性元素の量が多く、事故があった場合に被害が深刻になる危険度が高い」などと説明し、さらにMOX燃料の実験例が乏しく事故の影響など安全性への情報が不十分と指摘した。また「テロリストは最大効果を狙うため、MOX燃料を使う原発を標的にするだろう。テロのリスクは高まる」と強調していた。 伊方町に隣接する八幡浜市の脱原発団体「八幡浜・原発から子どもを守る女の会」の斉間淳子代表は「熊本地震で、伊方原発も重大事故が起きる可能性が高まる中、再稼働に突き進むのは許せない」と批判しているが、伊方原発は四国唯一の原発で3号機は出力89万キロワットの加圧水型軽水炉となっている。1994年12月に運転を開始し東京電力福島第1原発事故直後の2011年4月に停止している。新規制基準合格を受け伊方町長と愛媛県知事が再稼働に同意し、再稼働の前提となる安全対策工事がほぼ完了しているそうなのだ。帰国電力は今回の原子炉に核燃料を装着する作業を実施するにあたって、「安全を最優先に一つ一つの工程を進めていく」とコメントしている。
2016年06月24日
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全国の都道府県のうち、5月末時点で43自治体が公共工事に関する設計変更ガイドラインを既に策定していることが国土交通省の調査で分かったというのだが、残る4県も今年度には策定に向けた準備を進めているそうなのだ。設計変更が可能なケースと不可能なケースをそれぞれ具体的に示した設計変更ガイドラインは、一昨年に改正された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が求めている「適切な設計変更」の実現に不可欠なもので、私の住む愛媛県でも昨年に改定されたている。より適切に設計変更が行われるように、指示書に概算金額と延長必要日数を明記するように規定しているが、今回は「公共工事の品質確保の促進に関する法律」に対する自治体の取り組み状況を把握するために国土交通省が調査したという。 公共工事の発注機関は土木事業について効率的かつ組織的な事業執行を図るため、「設計図書作成上のルール」や「設計変更のルール」を定めているのだが、「設計図書等作成要領」はより効率的かつ円滑な事業執行を図るため、発注者・受注者が共通認識のもとに工事を行うことを目的として、設計図書作成上のルールや設計変更のルールを掲載している。公共土木工事は多様な制約条件のもとで個別に設計が行なわれ、多岐にわたる自然・環境条件の影響だけでなく、工事中の安全確保や近隣への迷惑防止措置など、社会条件への配慮も必要となるなかで目的物を完成させることになっており、そのうえ契約当初の施工条件に不確定要素を多く含んでいるとされているのだ。 このことから施工条件等が変わり不確定要素が確定した時点で、その内容に応じた設計変更の必要が生じる場合が多くあって、そのため当初積算時に予見できない事態が起こることが工事中によくあるのだ。例えば土質・地下水位等の変化に備えその前提条件を明示し、施工条件が変わった場合の措置を明確にすることにより設計変更の円滑化を図る必要があるとされているのだ。今回の国土交通省の調査でも38自治体では、地域内の市町村に向けてガイドラインの策定を支援していることも分かったそうで、各自治体とも市町村職員向けの説明会や研修会の開催などを行っているそうなのだ。また受注者向けには設計変更に関する相談や苦情の受け付け窓口を開設した自治体もあるというのだ。 一方で設計変更ガイドラインをうまく活用できていない自治体もあって、国土交通省の調査では技術職員の不足で設計変更に充てる時間の確保が難しいとする声や、ガイドラインに対する担当職員の理解が不十分でうまく活用できていないといった声が挙がっている。国土交通省では「適切な設計変更」のほか「予定価格の適正な設定」と「発注や施工時期の平準化」を、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」の運用における重点項目に設定し、それらの推進に向け全ての自治体が自身の現状を客観的に把握できる指標を、この夏までに決める予定だとされている。そして参考資料として国土交通省技術調査課のウェブサイトで、指針本文や解説に参考資料などを公開しているという。 国土交通省は「公共工事の品質確保の促進に関する法律」の運用指針が正式決定されたことを受け、品質確保の担い手である施工者や設計者が人材を確保や育成しやすくすることを目指して、施工者が適正な利潤を得られるよう発注者に配慮を求める条文などを盛り込んでいるというのだ。私も数多く工事を担当してきたが、契約図書に明示すべき事項が不明確な表示であるためにその変更対応が問題となる場合や、口頭のみで協議したために設計変更の段階で意見が食い違い変更に反映されなかったといった事例があるほか、発注者と受注者との間でトラブルとなる事例が数多く見受けられていることから、設計変更ガイドラインの策定も指標の案として挙がっていたのだ。
2016年06月23日
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全国的に大雨となっているが昨日は二十四節気の一つ夏至ということで、一年を通じ最も昼が長くなり夜が短くなる日なのだ。夜と言えば夏至のころに見られる満月は高度が低いため赤みがかった色合いになることから「ストロベリームーン」と呼ばれているが、月と言えばやはり見ごろは満月ということでわりと1年に「スーパームーン」やら「月食」など何回か満月イベントがあるし、日本では月見というと9月・10月・11月で秋というイメージが強いのだ。しかし今回話題となっているのは今年の6月20日にあらわれるである満月の「ストロベリームーン」なのだ。若干そのイベントがあまり取りざたされていないことから印象としてそこまで有名にではないが、通常よりも赤みがかかり綺麗な月が拝めるといわれている。 なんと今回は満月が夏至と重なるということでこれは1967年以来49年ぶりだそうで、通常より赤いということで見栄えはきれいな月が見えるといわれており、天候さえよければ見ておいて損はないはずだとされている。1年のうちに12回あらわれる満月を大自然のいとなみの節目と考えていたネイティブ・アメリカンは、ほぼ一定のサイクルでめぐってくる満月に身近な動物や季節の収穫物などの名前をつけていたそうで、12の満月のうち6月の満月もしくは初夏の赤みがかった満月をさすのが「ストロベリームーン」だというのだ。日本では春のイメージが強いイチゴなのだが、そもそもの旬は初夏ということで初夏に山へトレッキングに行くと、赤く色づきはじめた野イチゴをよく見かけるのだ。 ネイティブ・アメリカンが初夏の恵みであるイチゴと6月の満月を結びつけたのは自然の成り行きといえるのだが、イチゴの色と満月の色にも関係があってこの時季の満月は赤みがかってみえるからだともいわれている。もっとも「イチゴのような赤い色」だからこの名前なのかと思いきやどうやら様々な説があるみたいで、アメリカ先住民のアルゴンキン族が6月の満月を「イチゴ収穫時期のはじまり」と信じていたからだという説が有力だとされている。日本を含む北半球では太陽の高さは夏に高く冬に低くなり、それとは反対に満月の高さは夏に低く冬に高くなるというのだ。つまり1年のうちで太陽の高さがもっとも高くなる夏至のころの満月は、真南に昇っても低空にいるというのだ。 つまり朝日や夕日が赤くみえるように月も地平線の近くでは赤っぽくみえることから、夏至のころの満月は一晩中赤みがかってみえるというのだ。もちろん当日の天候や大気の状態にもよりますが通常なら赤く熟した満月をみられる可能性は高いので、天気さえよければぜひとも夜空を見上げたいところなのだ。ところがせっかくの「ストロベリームーン」も全国的に天気が崩れそうな余波王だったのだが、私の住む松山市では午後から天気が良くなったので、雲の切れ目から覗く「ストロベリームーン」を目の当たりにできたのだ。さてこの「ストロベリームーン」とよばれる赤みを帯びた満月見ると「幸せになれる」とか、「好きな人と結ばれる」という説もあるそうで夜空を見上げながら帰宅したのだ。 この満月が夏至と重なるということでは新聞情報によると沖縄県那覇市では赤みを帯びた満月が見られたそうで、沖縄気象台によると沖縄地方は太平洋高気圧に覆われておおむね晴れで所によりにわか雨がある見込みだったことから「ストロベリームーン」がきれいに見えたそうなのだ。国立天文台の記録では那覇市の日没は午後7時25分としている。全国的にも日の入りが19時ごろのため学校や仕事終わりに向かっても、天気さえよければ夕暮れ時に「ストロベリームーン」を見る事が出来そうなのだ。そして「ストロベリームーン」を見るオススメの場所としては開けた場所がある公園や浜辺が良いといわれている。少し早めに出発すれば山沿いでもよく見えて満喫出来そうだとも言われている。
2016年06月22日
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今年に入り地域によって価格を変える地域別価格を導入する企業が増えており、「日本マクドナルドホールディングス」へセット商品では5段階の価格設定が行われており、人件費や賃料の高い大都市では価格を引き上げ人件費等の低い地方では値下げするという。カレーチェーンの壱番屋が地域別価格の導入を発表し、ポークカレーで東京23区内や大阪都心部では400円から450円に値上げし、その他の地域では12月から30円の値上げを検討している。また「吉野家ホールディングス」も具体的な導入計画はないとしながらも、地域別価格を検討していることを明らかにしたと報じられている。外食企業が地域別価格の導入の理由として挙げているのは都心部を中心とする人件費の高騰や食材価格の上昇だという。 もっとも「日本マクドナルド」の地域別価格では値下げや据え置きの店も一部存在するが約9割の店舗が値上げしており、「壱番屋」も全店舗で値上げを行い地域によって値上げの幅に差をつける内容となっている。このように地域別価格の導入が値上げの一手段であることは間違いないようなのだが、需要と供給の条件で価格が決定され地域によって需給状況が異なるのであれば、地域別に価格を設定するのは企業として当然の行動であるのだが、経済学の教科書では顧客が価格の低い店で購入し販売価格が高い地域で転売することができないなら、需給条件に応じて価格を差別化することが最適な行動であることを教えており、外食業はこの条件を満たしているといえるとされているのだ。 一見すると経済学の基本原則から外れたように見える全国均一の価格設定が行われてきた理由は2つあると考えられ、一つはチェーン名からイメージされる代表的なメニューと価格の対応関係であって、例えばドトールであればコーヒーは180円というイメージが顧客の記憶に刷り込まれているのだが、東京では200円だが千葉県に行くと180円、神奈川県では190円となるとチェーン名から連想される価格イメージが消滅するというのだ。このイメージの消滅は顧客の来店動機を弱めチェーンにとってマイナスとなるというのだ。もう一つは価格の固定性で需要と供給の条件で価格が決まるのであれば日々価格を変更する必要があるというのだ。たしかに生鮮食品やガソリンなど頻繁に価格が変更される商品は少なくないのだ。 チェーン名から連想される代表的商品と価格の対応関係が強い商品については全国均一価格が維持されるというのだが、外食産業ではメニュー価格をたびたび変更することは望ましくなく、これは第1点とも関連するが顧客は来店の選択に当たって店舗と販売価格の関連を意識するというのだ。頻繁に価格改定が行われると店舗と価格の関連付けが不確定となり、顧客の来店行動にマイナスの影響を与えるというのだ。外食企業は一旦価格設定を行うと当分の間はその価格を維持することを迫られてしまい、価格の据え置きを余儀なくされている間も需給条件は変動し、その変動に即座に対応できないのならば、地域別価格という複雑な価格体系よりも全国均一のシンプルな価格設定で十分という経営判断となっていたというのだ。 実際には「日本マクドナルド」でもチーズバーガーなどの価格は全国均一の100円となっているわけなのだが、短期間の需給変動では販売価格の逆転を招かないほどに、地域間の需給条件の格差が広がったことを外食企業が強く意識し始めたことも影響しているというのだ。主として人件費や賃料などの供給条件が大都市圏と地方圏では無視できない大きさになっているのが原因だとされている。今後も地域別価格の導入は広がるのかということでは、導入企業は増えると予想されている、これは人件費および賃料などの供給条件の格差は長期間持続すると予想されることや、メニューの多様化や新メニューの投入による入れ替えサイクルの短縮は今後も続くと考えられるからとされている。
2016年06月21日
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今日では自分の血液型を知っているのは普通だとされているが、実は二十世紀の初頭までは血液型の概念そのものがなかったというのだ。当時の輸血という医術では奏効して回復する人もいれば血液が合わずに命を落とす人もおり、まさに運を天に任せる治という恐ろしい療法だったというのだ。輸血の歴史をひもとくと17世紀にフランス国王の侍医・ドニが、子羊の血液をヒトに輸血したという記録があるが、この輸血によって死亡者が出たためドニ医師は殺人者として裁判にかけられ輸血禁止令が出されてしまうのだ。その結果18世紀はヒトへの輸血の記録がない「空白の1世紀」となったそうなのだ。それが1825年にイギリスの産科医であるジェームズ・ブランデルがヒトからヒトへの輸血を実施したというのだ。 このジェームズ・ブランデル医師が実施した輸血は分娩後に出血を起こした産婦への輸血だったとされているが、供血者をベッドのそばに立たせ肘動脈を切開して、出てくる血液を漏斗のような容器で受けそのまま産婦に輸血したそうで、まだ血液型の存在が知られていない時代の原始的な方法であり輸血の成功は10人中5人というような結果だったという。1900年にオーストリアの化学者であるカール・ラントシュタイナーは他人同士の血液を混ぜると血球が寄り集まって塊になる「凝集反応」に注目したそうで、その原因を確かめるために自分と弟子たちの血液を赤い血球と薄黄色の血漿に分離させて各個人の血球に別な人の血漿を加えところ、赤血球が凝集するものとしないものとがありその組み合わせに規則性があることを見出したのが今の血液型だとされているのだ。 それまでの運を天にまかせるような輸血を科学に基づく安全な輸血に変えたのが、ラントシュタイナーが発見したABO式血液型だったのだが、発表当初は基礎医学分野の地味な論文として受け止められ大きな反響はなかったというのだ。ところが10年後にアメリカのモス教授らが輸血の死亡事故の主な原因は、ラントシュタイナーが指摘している血液型不適合によるものであろうと主張したのがきっかけとなり、血液型を輸血の医学に応用する動きが急速に高まったというのだ。それからはラントシュタイナーの血液型理論を応用することにより、血液型不適合による輸血の死亡事故は激減したという。もっともラントシュタイナー博士は血液型を発見しようとして研究を始めたのではなかったそうなのだ。 ラントシュタイナー博士は他人同士の血液を混ぜたときしばしば起こる血液凝集の原因を解明しようとしただけで、その原因として推定できるのは血液凝集のしやすさにおける個人差かもしれないがもしかすると細菌汚染によるものかもしれないと考えたというのだ。この当時は細菌学が全盛で新しい細菌がしばしば発見されていた時代とされ、血液の凝集が細菌などの微生物によるものである可能性も含め原因を突き止めようとしたというのだ。ところが調べてみると血漿との組み合わせによって起こる血球の凝集は奇妙な規則性を持っており、細菌汚染などによるものとは明らかに異なることから抗原抗体反応の可能性に思い至ったのだという。凝集の原因を自分と異なる種類を排除する抗原抗体反応だと考えてというのだ。 このころには日本の北里柴三郎が発見した「抗体」の概念はすでに世界に浸透しており、ラントシュタイナー博士は血球が凝集を起こす組み合わせに応じて血液をグループ分けしたというわけなのだ。同じ血球でも組み合わせる血漿によって凝集したりしなかったりすることがわかったことから、凝集が起こる組み合わせを「+」起こらない組み合わせを「-」と印をつけて分類していったところ、血液標本は3つのグループに分かれるように見えてきた。彼はおたがいの血球と血漿が相容れず凝集を起こす血液型を「A」と「B」、そしてAとBどちらの血漿にも血球が凝集を起こさない血液型を「C」と分類したというのだ。 この血液型は後に「O」と改名されたそうで、「A」と「B」どちらの血漿にも血球が凝集を起こす血液型である「AB」はこの床に事件者の中にいなかったが、2年後になって彼の同僚の研究者により追加されたそうなのだ。このことが今日の「ABO式」となる血液型の発見で、それは「輸血革命」でもあったというのだ。この研究発表以降は血液型不適合による死亡事故が劇的に減少し輸血の安全性向上に大いに貢献することになったのだ。ラントシュタイナー博士は血清学および免疫化学への貢献によってノーベル生理学・医学賞を受賞しているし、その後には弟子のアレクサンダー・ウィーナー博士とともに輸血に関わるもうひとつの重要な分類法となる「Rh血液型」も発見しているのだ。
2016年06月20日
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賛成反対以前の話なんだが責任者不在で物事が進む状態がなぜ許されているのか謎で、何か起こった時に責任を取る人がいないなら普通そのようなことはやらないはずなのに、四国電力は私の住む愛媛県西宇和郡伊方町にある伊方原発3号機を、7月26日に再稼働させる方向で最終調整していることが分かったというのだ。再稼働に反対する市民らは「事故が起きれば誰も責任を取れない」と憤慨しているが、四国電力や再稼働を容認した愛媛県は「スケジュールありきではなく、安全最優先で進める」と強調している。私も参加したことがあるのだが再稼働に反対する市民らが毎週金曜の夕方に愛媛県庁前で開く「金曜行動」の集会では、参加者から伊方原発の耐震安全性への懸念の声が相次いだという。 四国電力伊方原発3号機の再稼働について四国電力が、再稼働させる計画を原子力規制庁に説明していることそうで、作業や点検が順調に進めば7月26日に再稼働して、7月末には送電が計画されているというのだ。計画によると伊方3号機へ6月24日から核燃料の搬入を始め7月26日に制御棒を引き抜いて原子炉を起動し、7月29日には発送電を開始するという。伊方3号機は原子力規制委員会が昨年7月に新規制基準を満たすとして四国電力の安全対策の基本方針を許可し、昨年の10月には愛媛県の中村時広知事と地元の伊方町の山下和彦町長が再稼働への同意を表明している。新基準に適合するための安全対策工事は5月に終了し現在は規制委による使用前検査を受けている。 東京電力福島第一原発の事故後にできた新規制基準下での再稼働は、鹿児島県にある九州電力川内原発1・2号機と、福井県にある関西電力高浜原発3・4号機に続いて5基目となるわけなのだが、福井県の関西電力高浜原発3・4号機の稼働を認めない滋賀県大津地裁の判断を受けて関西電力は高浜原発3・4号機に装着しているウラン・プルトニウム混合酸化物燃料を含めた全ての核燃料棒を、近く原子炉格納容器から取り出すことを決め隣接する核燃料プールに移すというのだ。これは関西電力高浜原発の運転を差し止めた仮処分決定について大津地裁が、関西電力が申し立てた仮処分の執行停止を認めなかったことから、停止期間が長期化すると判断したためだとされている。 中村愛媛県知事は再稼働に同意する意思を四国電力の佐伯勇人社長に伝えたときに、「日本は資源のある国ではないのでエネルギーという観点では弱点を持っている」と指摘し、「原子力発電所は絶対安全なものではないと考える。だが原子力発電所に代わりうるコストや出力に安定供給という3条件が満たされた代替エネルギーが見つかるまでは最新の知見に基づく安全対策を施して向き合って行かざるをえない」との見解を示し、安倍首相から「事故の全責任は政府が保証する」約束を取ったとして再稼働に同意したとしている。私は五年経っても汚染水が原子炉から漏れている場所も特定できないし、凍土壁を造ったが汚染水ははダダ漏れなのに無理やりの住民帰還をさせている政府が信用できないと思っているのだ。 この毎週金曜の夕方に愛媛県庁前で開く「金曜行動」の集会で司会役の平野明人さんは、熊本地震による新たな知見や避難計画の不備に触れ「再稼働に同意した中村時広知事や県議会は判断に関しゼロに立ち戻らなければならない」と主張しているし、住民らは東日本大震災があった年に伊方1・3号機の運転差し止めを求め提訴している。仮処分はすぐに法的な拘束力を持つが審理が遅れることを懸念し申請を見送っているというのだ。伊方3号機は再稼働の前提となる安全対策工事がほぼ完了し重大事故に備えた訓練を計画している四国電力は「安全を最優先に一つ一つの工程を進めていく」とコメントしたうえで、起訴の口頭弁論では「安全性を確保している」として請求棄却を求めているという。
2016年06月19日
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国と地方を合わせた債務残高は過去10年では年30兆円前後のペースで増え続け、一昨年に1000兆円を突破し、国内総生産に対する比率は2倍を超え財政赤字で危機に陥ったギリシャの1.9倍より悪く、先進国で最悪の水準となっている。これは少子高齢化で社会保障関係費が膨らんでいるのが主因なのだが、政府は毎年の予算編成で過去の債務を借り換えるのに手いっぱいで根本的な債務削減はほぼ手つかずだが、日銀や国内金融機関が国債を購入し続けているため財政破綻が避けられている状態となっている。それでも政策経費を借金に頼らずに税収などでどれだけまかなえているかを示す基礎的財政収支を20年度に黒字化するという目標を政府は維持しつづけている。 消費税率10%への引き上げが2年半延期されることで、国と地方で計1000兆円を超える巨額の債務を抱える財政の一段の悪化は避けられないのだが、この基礎的財政収支は単年度の収支を示す指標で前年度がいくら大赤字でも2020年度に黒字になれば目標は達成されたことになる。つまり2019年度の補正予算を50兆くらい組んでおけば、単純に2020年度の基礎的財政収支を黒字にすることは可能なのだ。しかしいくら単年度で黒字化しても積み上がった債務が簡単に解消に向かうわけではない。それに安倍政権は「ニッポン1億総活躍プラン」など歳出増につながる政策も掲げているが、その一方で歳出削減に向けた具体的な取り組みは乏しいのが実情だ。 予算を組む官僚達には予算を使いきらなければ次の予算を減らされると言う事が有るため、なかなか削減が進まないのは自分達の取り分が少なくなるのが嫌だからだ。結局官僚達を何とかしなければ予算は削減出来ないということなのだ。確かに安倍首相は前回消費増税を先送りした際に「景気判断による再延期は行わない」と明言しており矛盾は否めないが、安倍首相はこうした批判は覚悟の上でかなり早い段階から増税見送りの意向を固めていたという。衆院予算委員会では消費税率を上げて景気が悪化しては「本末転倒」と明言しているし、伊勢志摩サミット後の記者会見では「世界経済は大きなリスクに直面している」と強調しており、過去の発言にとらわれて再増税すればデフレ脱却は困難になるのは明らかだとされていた。 安倍首相は第2次政権発足当初から経済再生と財政再建の「二兎を追って二兎を得る」ということを目標にしてきた。消費増税は社会保障財源の確保のため一定の税収増を見込めるが景気回復の足かせとなることから、それよりも消費増税の再延期を断行しあらゆる政策を総動員して経済成長による税収増と財政再建を目指すことを選んだということなのだ。所得税・消費税・法人税の税収3本柱のうち、消費増税は先延ばしされ増収は期待しにくくなったし、所得税も労働人口の減少で増加は見込みにくい。あとは法人税だが安倍首相は法人税の減税を公約としていることから企業からの増収は期待できないし、頼みの輸出産業の増益傾向も円高傾向であることから曲がり角を迎えようとしているのだ。 安倍首相はもともと消費増税の税収増への効果に懐疑的だそうで、これは財務省の姿勢に不信感がぬぐえないからだという。菅義偉官房長官が「財務省はずっと間違えてきた。彼らのストーリーに従う必要はない」というとおり、財務省は念願の消費税率10%を実現するためあらゆる手段で首相を説得しようと試みてきた。その結果財務省が官邸に示したのは消費増税に有利なデータばかりで、消費税率8%への引き上げ後国内総生産の大幅なプラス成長を見込む予測を報告したが、実施してみるとマイナス成長だったことから赤字国債増発など財政拡張路線を一段と強めざるを得なかったのだ。つまり財源が見込めない中で社会保障も充実させるといおことは無理だということだろう。
2016年06月18日
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日本は「70歳まで現役」の時代に突入したとされ先進国の統計でも、日本人男性の実効退職年齢は69・1歳に達しているとされている。それでも働く人の約4割を占める非正規労働者の76%が老後に不安を感じていることが、連合のシンクタンク「連合総研」の調査で明らかになったそうなのだが、背景には低収入で老後に備えた十分な貯蓄ができないことなどがあるとみられている。連合総研は「非正規対策を放置すると、社会問題化している高齢者の貧困が一層進む可能性がある」と指摘しており、この調査は首都圏と関西圏の民間企業に勤める正社員と非正規の比率は6対4となる成人男女2000人に聞いとぇおり、「老後への不安の有無」の問いには正社員の69.2%と非正規の76.4%が「不安を感じる」と答えたという。 長い年月働き続けようやく真のリタイアを迎えた70歳以降の人々から、いま「カネがどんどん減っていき、不安で仕方がない」とか、「予期せぬ出費で苦しく、悠々自適の老後にはほど遠い」といった声があがっている。とりたてて派手な生活をしているわけでもないのに気づけば貯金が底をつくのではと心配するハメになっているというのだ。老後に向けた「十分な蓄えができるか」の問いには正社員の60.1%非正規の71.8%が「十分な蓄えができない」とか、「どちらかと言えば十分な蓄えができない」と答えている。「貯蓄が十分でない理由」では回答者全体で「収入が低い」が最も多く、「賃金改善が望めない」などが続いた。非正規では「収入が低い」が85.7%でトップだったという。 非正規雇用者の17.7%が「解雇の可能性」を挙げ雇用継続への不安がつきまとっている状況が浮かんでいるともに、「老後の収入にあてにしているもの」という質問には回答者全体で「厚生年金」が最も多かったというのだが、正社員の59.3%が挙げたのに対し非正規は49.1%と10ポイント以上の差があったそうなのだ。「退職金」も正社員の33.4%に対し非正規は11.1%にとどまっている。また「あてはない」と答えた人も正社員で10.1%となっており、非正社員にいたっては16.5%いたそうなのだ。回答者の中には「まとまった出費はしないように気を付けていますが、ダラダラとカネが出ていくのです」と医療費等の自己負担の限度額である月1万2000円も大変だという人もいるというのだ。 老後の生活に関して初めはおカネのかからない公共の図書館や公民館に通う人も多いそうなのだが、それに飽きてしまうとパチンコに行く人が増えるというのだ。親類が気づいたときには知人から借金までしてパチンコ漬けになっていたと相談を受けたこともあるというのだ。また意外な出費につながるのが生涯学習の勉強会や地域のカラオケの会などで、それ自体にかかる費用は少なくても同好の士と意気投合して『今度旅行に行きましょうか』といった話になりやすい。だからといって出費を警戒しすぎ自宅に引きこもるのもつまらない生活となることから、現役時代以上に財布との相談が重要になってくるのだ。連合総研は「不安定な雇用が将来の不安に直結していることが調査で裏付けられた」としているそうなのだ。 他には実家の墓で思わぬ出費に襲われた例もあって、代々の遺骨を引き取り東京の霊園に改葬しようと考え墓のある寺に相談をすると、「それなら離檀料100万円、墓の撤去や整地でさらに100万円」と言われたというのだ。離檀料とは檀家をやめる挨拶金といった意味合いだというが、近年の地方寺院の経営難もあって高額の離檀料を請求する寺院もあり、全国的にトラブルが増加しているそうなのだ。この人は懐事情を話して離断量を180万円にまけてもらい墓を移したそうなのだ。医療費に人付き合いでの出費だけでなく固定資産税に相続対策そして墓等の意外な出費には大小あるが小さいもの、積もれば山となりせっかく用意した老後の貯蓄を目減りさせていくというのだ。
2016年06月17日
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今回の東京都の舛添要一知事の辞職を伴い都知事選が行われるわけなのだが、後任候補選びは混沌とした状態だという。参議院選挙も絡み各党がけん制し合いながら候補者選びを進めそうだとされている。東京都選挙管理委員会によると実施費用は前回の選挙に基づけば約50億円とされ、都民にとっては余計な出費となるわけなのだが、東京都選挙管理委員会によると約50億円の知事選に対し都議選の実施費用は約45億円だという。選挙期間は知事選が最大17日間なのに対し都議選は同9日間となっており、選挙費用は6〜7割が人件費で多くは期日前投票の立ち会いなどに関わる区市町村職員らの残業代などのため、期日前投票の期間が長い知事選の方が高くつくというのだ。 都知事選の出費について会社を経営する東京都港区の女性は「数十億円とか言われているが、それだけの価値のある選挙なのか」とうんざりした表情だったし、狛江市の主婦も「そもそも必要がなかった選挙に多額のお金がかかるのは、本当にバカくさい」と、多くの都民から余計な出費に怒りの声が上がっているそうなのだ。一方で世田谷区に住む著述業の長谷川順一さんは「選んだ都民にも責任がある。舛添さんは舛添氏も、元厚生労働相という経歴と政治学者としての知名度があった。2年4カ月前、211万票を獲得して当選した。次の知事選の費用は都民が等しく負担するしかない」とかたり、三鷹市の大学生も「東京のリーダーを選ぶのだから仕方がない」とあきらめの口調だったというのだ。 東京都知事という全国最多1100万人という有権者に候補者の政策や人物像を届けるには知名度が不可欠なのだが、名前が取りざたされた複数の著名人は早々に出馬を否定いるそうなのだ。過去の都知事選の候補選びでは石原慎太郎氏ら告示直前に出馬表明した候補が、当選するケースが印象に残り「後出しジャンケン」にも例えられている。自民党と公明党は前回の選挙で舛添氏を支援しただけに候補擁立で前面に出るのには及び腰だという。早くから名前が挙がったのが人気アイドルグループ「嵐」の桜井翔さんの父親としても知られる桜井俊総務事務次官なのだが、自民党の谷垣禎一幹事長は党本部で茂木敏充選対委員長らと対応を協議していると言われている。 退任予定の桜井俊総務事務次官は総務省で記者団に「出馬するつもりはありません」と否定していたそうなのだが、石原慎太郎氏の長男の石原伸晃経済再生担当相や小池百合子元防衛相に萩生田光一官房副長官らの名前も出ているという。自民党の都連幹部は「人気投票で選ばれた個性が強い知事は自我も強く、継続性が求められる行政には好ましいことではない」とこぼしていたそうなのだ。公明党の山口那津男代表は党本部で記者団に「国政の党派対立の要素を持ち込むべきでない」と語ったそうなのだが、きでない」と述べ与野党相乗り候補に期待感をにじませたそうなのだ。もっとも参議院選挙を意識して民進党の長島昭久元副防衛相を擁立し、野党の分断を図ろうとする声も一部にあるというのだ。 都知事選はタレントや作家などの著名人が当選し「人気投票化」しているといわれ、放送作家やタレントとして活躍する青島幸男氏が「反既成政党」を掲げ自民が支持した石原信雄・元官房副長官らを破り当選すると、芥川賞作家の石原慎太郎氏が当選し国政復帰のため辞職するまで13年半にわたり知事を務めているのだ。その後は3代続けて作家の肩書を持つ猪瀬直樹氏が当選したわけなのだが、舛添前都知事も元厚生労働相という経歴と政治学者としての知名度があって都知事になれたというのだ。ところが猪瀬氏は医療法人グループから5000万円を受け取った問題で辞職し、2代続けて「政治とカネ」の問題で1期目途中に知事が辞職する異常事態になってしまったというのだ。
2016年06月16日
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コンビニエンスストア大手が弁当や総菜などの生産と販売にチルドと呼ばれる温度帯の活用を増やしているそうで、「サークルKサンクス」は人気商品の焼きとりの生産で、一部冷凍工程をやめてチルド工程にシフトしたそうなのだ。「セブン―イレブン・ジャパン」や「ファミリーマート」はチルド弁当を増やしており、鮮度保持や従来の温度帯では使えない食材も活用できるなど質的な向上が図れるという。チルド温度帯のメリットを最大限引き出すコンビニ大手の取り組みが活発化しており、2015年度のチルド弁当の弁当販売全体に占める比率は35%になっているそうなのだ。「セブン―イレブン・ジャパン」のチルド弁当の比率は3年前には12%だったといわれていることから3倍近い急ピッチな伸び率となっている。 店頭では区別しにくいが通常の弁当が16度―20度Cの「定温」で販売されるのに対し、チルド弁当は冷蔵ケースで販売されているそうなのだが、低温で配送・販売されるため劣化が遅く定温では使え切れなかった半熟タマゴや海鮮系の食材などが使えるメリットもあるというのだ。日持ちの良さから廃棄ロスになる比率が低くなり加盟店の支持も高く、チルド弁当の生産はどのコンビニでも力を入れており、定温やチルドの温度帯別に工場の再編を実施している。従来の汎用的な生産体制から定温弁当とチルド弁当などと温度帯別に再編することで専門性を高めたり配送効率を高めたりするというのだ。チルド温度帯の生産や販売面での活用は、コンビニ商品の質的向上に不可避といえそうなのだ。 「サークルKサンクス」も人気商品の生産にチルドの活用をはじめたそうで、4年前から発売以来昨年までに累計4億2000万本の販売を達成した「ジャンボ焼きとり」で、今年の5月から原料の鶏肉の管理温度帯を一部チルド温度帯に変更したそうなのだ。原料鶏は食肉に解体してから即座に冷凍保存すし、さらにその冷凍肉を解凍して串を刺し焼くといった加工後にふたたび冷凍し、解凍して販売という工程だったが新工程は解体処理後に冷凍をせずチルド帯で串を刺し焼くなど加工をして冷凍するというのだ。輸送と冷凍工程を一つ削減しチルド温度帯の配送を挟み込んだわけなのだが、冷凍解凍工程を一つ省くことで品質が改善し「食味が良くなった」と好評だというのだ。 コンビニは外食産業との競争とコンビニ大手幹部がいうとおり、1万店以上ある店舗網に質の高い商品を供給するには仕組みの高度化が欠かせない状態だという。そこで「ローソン」は飲料や洗剤など約90品目について地域別価格を導入するそうで、店舗周辺にあるスーパーやドラッグストアの価格と対抗できる価格を地域ごとに設定し、価格に敏感な主婦層の購買に結びつけるそうなのだ。今月末までに全店舗数の75%に当たる9000店で地域別価格を導入する予定なのだが、これまでコンビニエンスストアは大半が定価販売だったのを改め、新価格体系でスーパーやドラッグストアに対抗するというのだ。飲料や調味料に洗剤など約90品目を「キーバリューアイテム」に定め地域ごとに異なる価格を設定するという。 現在ある約1万2000店のうちオフィスビル内などを除く9000店で導入する計画で、従来はコンビニで買う人が少なかったシャンプーの詰め替えパックなども販売を始めるというのだ。店舗で扱う全品目数は従来比1割増の3500に増える見通しで、品目増に対応するため今月末までに各店の商品棚を約15センチメートル高くする計画だという。これまで外食業を中心に全国均一の価格設定が行われてきたが、今年に入り地域によって価格を変える地域別価格を導入する企業が増えており、「日本マクドナルドホールディングス」が一部の都道府県に地域別価格を導入し全国に拡大するそうなのだ。その内容は人件費や賃料の高い大都市では価格を引き上げ人件費等の低い地方では値下げするというものだという。
2016年06月15日
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国土交通省は今月に2日間行政事業レビューを実施したそうなのだが、一般傍聴席に人はまばらでテレビや一般紙の記者もあまりいなかったそうなのだ。事業仕分けの手法を使って事業に無駄がないかを検証する「行政事業レビュー」なのだが、対象は直轄国道の維持管理や港湾環境整備など10事業で、判定結果を来年度からの予算の概算要求に反映することになっているそうなのだ。見直しした維持管理基準に基づき効率的な維持管理に努め巡回・清掃・除雪等の作業についてデータを収集・分析し、必要に応じ来年度の見直しを行うという。そのなかでも一者応札については改善策の効果を確認するとともに、複数年契約を拡大する等により入札に係る改善を実施する予定だというのだ。 直轄国道の維持管理事業は建設弘済会などの公益法人と契約を結んだ業務のうち、半数以上の入札で参加者がその1者だけだったことから、有識者からは入札参加要件を緩和するなど競争性を高めるよう求める意見がており、維持管理事業については発注・入札方法の見直し公益法人の問題だけでなく、管理水準・基準の見直しをしっかり行うべきというのが、当ワーキンググループの答申で、これによって少なくとも10~20%程度の予算要求の縮減を行うことを結論とされているのだ。国土交通省も公益法人については抜本的な見直しを行い、一者応札についても目標年次やベンチマークも含めて競争性の改善にしっかりと取り組みたという趣旨の改善案を造っているそうなのだ。 全国の直轄国道は管理延長が約22,362kmとなっており、道路法第42条に基づき「常時良好な状態に保ち、一般交通に支障を及ぼさないよう」にすることを目的に維持管理を実施しているそうなのだが、私も監督して経験しているが設定されている維持管理基準について、維持管理状況及び地域からの意見等を踏まえ除草・除雪・剪定の基準を見直しされている。維持管理全体で約77千件の減少が可能となっており、そのうち剪定については約3千件と減少しているそうなのだ。引き続き基準を運用しつつデータの蓄積・分析を行い、必要に応じて基準を見直すこととしているそうなのだ。維持管理基準については類型化しながら一方で地域の事情にも相応するような形での設定を行うこととしたいというのだ。 入札契約にあたっては価格競争方式や総合評価方式を採用することを基本としつつ、公物管理補助業務において市場化テストに取り組んでいるそうで、民間の受注機会を増やし一者応札について更なる改善を行うため必要に応じて入札に係る改善に取り組むこととしているというのだ。さらに将来にわたって維持・修繕や更新を計画的に実施するために、自治体が管理する道路も含めたデータベースを整備し、将来の修繕費や更新費を精緻に推計するようにしているそうなのだ。一者応札について改善を図るため国庫債務負担行為の更なる活用等により競争性の向上に取り組み、総合評価方式のさらなる見直しとコスト縮減を行うとともに、これらを踏まえて抜本的改善するというのだ。 行政事業レビューでは老朽化した水門や樋門などの河川管理施設の改良事業についても、施設の状況を把握するためにデータベースの整備を急ぐよう求めたそうなのだが、判定は「廃止」の次に厳しい「抜本的改善」とされたそうなのだ。行政事業レビューが実施された 2日間にわたって過去の事業仕分けと同様に公開の場で議論されていたのだが、民主党時代に事業仕分け」といっていた時と比べて一般傍聴席に人はまばらだったという。民主党政権に対して期待感も警戒感も大きく後退したことがうかがえるわけなのだが、仕分けの結果に効力を与えるのは公開の議論を見守る国民の目であることには間違いがなく、税金の使い方に関心が離れれば無駄使いを諌める効力は弱まってしまうのだ。
2016年06月14日
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石油輸出国機構はウィーンの本部で定時総会を開き、一部加盟国が需給引き締めに向けて原油生産量の上限の設定を模索したが、増産を続けたいイランとの溝が埋まらず合意に至らなかったという。4月のドーハ会合に続いて協調態勢の構築が不調に終わり、石油輸出国機構の機能不全が一段と鮮明になっているとの報道がされている。石油輸出国機構は生産量が上限を超え形骸化していたため昨年12月に、日量3000万バレルの生産上限を取りやめ事実上各国の裁量に委ねる体制に移行していた。ところが足並みの乱れを突かれて原油価格は2月に一時1バレル=20ドル台まで急落したことから、てこ入れを求める一部加盟国が上限復活を求めサウジアラビアも支持していたのだ。 それを今年の1月に経済制裁が解除されて以降増産を続けるイランが反対したというのだ。石油輸出国機構は中東やアフリカに南米などの13カ国が加盟しており、米欧の国際石油資本から産油国の利益を守ろうと設立されたという。原油価格を安定させるため生産目標を決め供給量を調整してきたのだが、世界の原油生産量の約4割と埋蔵量の約7割を占め、「世界最大のカルテル」とも言われているのだ。イランのザンギャネ石油相は石油輸出国機構の会合前上限設定は、イランの大幅増産を認めることが前提との考えを示していたし、サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は会合後「以前のような市場管理には戻らないだろう」と価格影響力の低下を認めていた。 サウジやカタールは4月にドーハで開いた会合でもロシアなど十数カ国と、生産量を1月の水準のまま凍結する生産調整を模索したがイランが拒否し合意に至らなかったのだ。国際原油価格は最近1バレル=50ドル近くまで回復したが、ベネズエラなど財政悪化にあえぐ加盟国からは価格下支えのため協調を求める声が強かったという。この原油価格が我々の生活にどのような影響を及ぼすかというと、安倍政権が消費税増税を再び延期したのは消費の低迷など景気の足踏み状態が続いていることが背景にあって、安倍首相は「アベノミクスの加速」を宣言したもののその効果には限界が見え始めており、に再増税できるような「強い経済」の実現は見通すことができない状態になってしまっているのだ。 安倍政権は発足当時にはデフレ脱却に向け大胆な金融緩和や機動的な財政政策等の「三本の矢」を掲げ、当初は円安・株高の進行や企業業績の改善など大きな成果を上げたと自身で語っているが、「デフレ脱却からのチャンスを手放すわけにはいかない」として更なるアベノミクス推進を訴えている。しかし経済成長はプラスとマイナスを繰り返し低空飛行が続いたいるいぇに、物価上昇率は原油価格の下落もあって今年4月はマイナスに落ちこむなど、デフレ脱却も見通せない状況にいたっているのだ。安倍首相は記者会見で新興国経済に問題があると繰り返し、「アベノミクスは順調に結果を出している」と強調した。しかし増税できるような経済環境を2度にわたり整えられなかったのだ。 そこで「アベノミクスの限界」を指摘する声は強まりつつあって、企業業績は依然好調だが賃金や設備投資の伸びは限定的で、安倍政権が目指す消費拡大への好循環は機能しないままとなっている。しかも構造改革など成長戦略の推進は不十分で成長力を大きく底上げするには至っておらず、頼みの日銀の金融政策についても今年2月のマイナス金利導入後に円高・株安が進むなどその効果は不透明感を増している。原油の単価が上がらなければ新興国経済の減速は長期化する恐れもあり、アベノミクスがこのまま目立った成果を上げられなければ3年後の再増税も困難になるだろう。原油を増産しなければ新興国経済の減速は長期化するだろうし日本経済は大きな混乱に陥る恐れもあるというのだ。
2016年06月13日
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建設関係の言葉に「出面三分」というのがあって、出面とは作業に出た作業員の数で、面(つら)を出すという意味だといわれている。「出面をつける」というのは働いたものとして賃金を払うことで、そのための帳面は出面帳ということや1日の賃金単価を言うこともあるのだ。この「出面三分」というのは雨の日でも顔をだせば日当の三割がもらえるということで、昔は「土方殺すに刃物はいらぬ、雨の三日も降ればよい」という言葉がありましたが、それではあまりに可哀想ということで仕事がなくても現場にさえ出れば三割の賃金はもらえたそうなのだ。薄情なことを言っていると必要なときにも来てくれなくなることからの制度だというが、似た意味に「勤怠」というのがあって勤怠管理とか勤怠簿とかのソフトもあるという。 出勤したか怠けたかということなのだが出勤しなければ怠けたというのはどうしても抵抗感があるが、作業員対し雨天でも出勤したら日当の三割を支払う慣習は鉱山、とくに坑内での作業は危険な仕事が多かったことから始まった風習だとされている。鉱山での作業の「出面三分」というのは坑内の事務所まで顔を出すだけで、その日の賃金の三割がもらえると言うものであったといわれている。前の日に宴会などで大酒を飲んだときなど二日酔いを通り越してまた酔っ払ったような気分になっていたり、気乗りしないのに現場に入って怪我をしたり最悪亡くなってしまっては、関係者の後の夢見が悪いので引き返すと言うのを止めることはしなかったことから「出面三分」を使っていたそうなのだ。 鉱山等での作業の「出面(でづら)」とはその作業現場にいる作業員の総数で、この出面をよく把握しておかないと予想出来ないような突然の工事現場での大きな事故や、地震等の天災が偶々あった時に全作業員の無事が確認出来ない。棒頭は仕事前の朝の点呼・朝礼等で前日打合せをした各職種別人数と当日の作業員の人数が同じか確認把握し、1日の作業が完了し現場を全作業員が出るまで安全を確認するのは棒頭の大切な仕事でもあったという。この鉱山作業の「棒頭」というのは建設現場でいうと、「世話役」とか「現場代理人」や「主任技術者」のような立場で、長年現場経験を積み丹念に作業を見ていると作業員の増減の判断も出来るようになり、またその出面で会社独自の歩掛もできる立場の人のようなのだ。 「出面三分」で思い出すのは作業員の割増賃金に「濡れ八分」というのもあって、現在は使用者が労働時間を延長した場合などにその時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内で、割増賃金を支払わなければならない「超勤の割増」のような制度だったそうなのだ。現在政令では使用者が「午後10時から午前5時までの間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」と定められているが、それとは違って地下によどんだ空気がそうさせたのだろうか「危険手当」のようなものだったと言われている。 昔の河川工事などのように危険な作業に従事する作業員には、水嵩などに応じて日給の八割増しの単価が適用されていたというのだ。今でも国家公務員の場合は一般職の職員の給与に関する法律で地方公務員の場合は各自治体で定められた条例に基づき支給されているそうなのだが、高所や坑内における作業や爆破物や有害物を取り扱う作業だけでなく、死体処理作業など危険や精神的・肉体的労苦に困難を伴う勤務、あるいは著しく特殊な勤務に従事した場合がこれに該当するそうなのだ。特殊な手当としては東京電力福島第一原子力発電所に従事する作業員には、企業が支払う賃金に加え国から放射線量に応じて1日3300~1万円の手当が支給されている。そうなのだ。
2016年06月12日
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大分県国東市が指名基準を違法に変更した結果入札に参加できず不利益を被ったとして、国東市外に本社を置く建設会社が損害賠償を求めた訴訟の控訴審で和解が成立したという。国東市は福岡高裁の和解勧告を受け入れ建設会社に解決金30万円を支払うというのだが、大分地裁の一審判決では地元企業に限定した指名基準を違法とし、国東市に対して原告に約10万円を支払うよう命じていたという。和解によって指名基準が違法かどうか福岡高裁の判断が下るのを避けた形だが、一審の判決文によると原告の建設業者が国東市を提訴した経緯というのは、10年前に国東市内に支店などを持つ「準地場業者」に認定され、10年間で29件の指名を受け5件の工事を落札し施行しているそうなのだ。 国東市は準地場業者を市内に本店を持つ「地場業者」と同等に扱っていたが、5年前から同じ等級に地場業者が5者以上いる場合は地場業者だけを指名するよう基準を変更していたというのだ。ところが変更した基準を公表せずこの建設業者にも通知しなかったというのだ。この業者が入札参加資格を持つ工種全てに地場業者が5者以上いたことから、基準の変更後は一切指名されなくなったという。そこで違法な基準に基づいて公共工事の指名を回避されたと主張して、指名を受けていれば得られたはずの利益など約1100万円を支払うよう求めて提訴したというのだ。大分地裁は指名基準について「社会通念上著しく妥当性を欠く。指名に関する裁量権を逸脱・乱用するもので違法だ」と判断したというわけなのだ。 国東市が指名基準を非公表とした点については公共工事入札契約適正化法違反に当たると認定し、その上で国東市が指名基準を公表していれば原告は今後指名を受けられないと判断し市内から撤退できたとして、この建設業者が国東市に納めた法人住民税など約10万円の損害を認定して国東市に支払いを命じていたのだ。国東市は判決を不服として福岡高裁に控訴していたわけなのだが、和解の内容は「裁量権の逸脱乱用の有無について認識が異なる点を相互に確認し、紛争の早期解決を図る」というものだったという。勧告を受け入れた理由について国東市は「市の違法性を認める内容ではないと評価している。紛争が既に4年以上経過していることを踏まえ、早期に解決することが最も合理的と判断した」などと表明している。 解決金については「高裁から提示された金額が妥当かは分からないが、損害賠償とは異なるものだ」と国東市契約検査課はコメントしているが、市契約検査課は「指名基準を見直す予定はないが、基準の内容は6月中をめどに市のホームページで公表する予定だ。公表の義務があるとは考えていないが、同様のトラブルが起こらないようにしたい」と今後の方針を示しているというのだ。私の所属している地場の建設業は地域とともに生きる産業であり、顧客の大半は地域に密着しており、建設業が地域に貢献していることを広く認知してもらうためにも積極的なボランティア活動等を行ってきているのだ。建設企業は従来から自然災害への迅速な対応など地域に密着していると思っている。 それにインフラ整備力があるからこそ可能な活動を行い、県民の命や暮らしを守ってきていまることから金銭を伴うかどうかは別にして、これらも広い意味でのボランティア活動として評価してもらいたいくらいなのだ。大切なのはこれらの地道な活動を広く県民にアピールしていくことが求められており、建設業が担っている役割の重要さを理解してもらうことが極めて重要になっているというのだ。市町村レベルだとどこの業者かわからない大手の建設会社よりも、地元でよく知っている我々のような業者で指名競争入札をしたほうが地元の活性化になるというのがあるというのだ。それでも基本的には地元を優遇するために合法の範囲であらゆる手立てを取っているというのが実情のようなのだ。
2016年06月11日
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先日メンタルヘルスの研修を受講したのだが、「うちの人事関係者はメンタル不調など個人の問題だと、本心から思っています。二言目には、『残業しても元気なヤツは山ほどいるじゃないか』とストレスに強い人を持ち出します。メンタル不調はすべて、個人の資質が原因だと信じて疑わないのです」という意見が数多く聞かされたのだ。それに続くのはどこでも同じで「なので長時間労働が改善するわけもなく、メンタルを低下させる社員が後を絶たない。あきらかに人員不足ですが首長が認めるわけもなく、どんなに効率化を図ろうとしても限界があります」と職員数が約230名の公務員職場の男性が話してくれたことだが、これがどうやら私の住む自治体の実態のようなのだ。 講師も「ウツは広がっていくことが数多くあります。ひとりが休むと周りがカバーするのですが、もともと抱えている仕事が多いのにさらに仕事が増えて疲弊していきます。でも自分が処理しきれないとさらに周りの負担が重くなることがわかっているから無理して来てしまうのです。その上司も本人から『大丈夫です』と言われればつい任せてしまう。情けないはなしなのだが、本当はもっと休ませるべきなのに……」と語っていた。さらに「するとやはり本人の生産性が下がっているからポカしちゃうわけです。そこで余計に手間がかかって本人はまた落ち込むし、周りもイライラして人間関係も悪くなる。悪循環です」というように、いずれにしても講習会では円渠胃の内容は講師も頭を抱えるようにメンタル不調は拡散するようなのだ。 特に日本ではこのような傾向が強いとされており、「おそらくうちのトップは、メンタルが何なのかも、残業の何が問題かもわかっていない。『残業しろとは、自分は一言もいったことない』って平気で言います」というのだ。そして「経営者を対象にした講演会や懇談会にいくと、必ずといっていいほどいてその度に唖然とします。いまだに『最近の人は本当ヤワになったな』という人はいるし、『メンタルだのなんだのいうけど、新型ウツとかいって、会社を離れると元気になるのだろ、ただ仕事イヤイヤ病でしょ』と本気で聞いてくる人もいるというのだ。多くの会社で「このご時世に仕事があるなんて嬉しいことだ」とのん気なことが言われ、うつ病だと判断される人のうち7割もの人が適切な対処することなく無理して会社に通い続けているというのだ。 言う人もいる。 ある調査によると日本は欧米にくらべ「メンタル低下=使えない人」とされ、「メンタル低下=弱い人」となってしまい、「メンタル低下=性格的に問題のある人」といった偏見のまなざしでみられがちだというのだ。「メンタル不全ではないか?」と周りから疑われたくない。「あいつ、うつじゃないか」と偏見のメガネ越しに見られたくない気持ちから不調を隠し、医療機関に相談することさえも躊躇、一人きりで抱え込んでいる人が多いとされている。健康状態が悪いにも関わらず出社するとやる気もでないしミスが増え、「ボ~ッとする」・「頭の回転が鈍る」などで生産性が落ちる。いわゆる「プレゼンティズム」状態で出勤しているが、心身の不調などによりパフォーマンスが低下する状態となってしまっているのだ。 この「プレゼンティズム」は欠席や休職を指す「アブセンティズム」より深刻な状況で、企業側の損失も大きいということがいわれている。大企業が負担する従業員の健康関連コストのうち7割超が「プレゼンティズム」で15%が医療費とされ、残りが「アブセンティズム」と労災と分析するデータもあるというのだ。同僚などへのマイナスの影響も「アブセンティズム」より高いと考えられているそうなのだが、残念ながらまだ定量的に捉えた調査はないという。休んでいる同僚の仕事をカバーしている場合と、出社している同僚のミスで突発的に仕事が増える場合とでは、心の準備ができていない分後者のほうが手間だしイラつくというのだ。 単に労働時間が増えるだけでなく心理的にも負の影響が及び、メンタル不全が拡散していってしまうのだ。メンタルが低下する社員を「個人の問題」と片付けるトップには、「ウツとか言ってもどうせ100人いて1人なるか、ならないかくらいの確率だろ」という感覚を持っている人が多いというのだ。長時間労働の話題になると「国の責任」を追及ということになってしまうのだが、長時間労働を本気で改善するには国が徹底的に違法な残業を取り締まるべきだし、インターバル規制を義務づけるべきだといわれている。日本には「36協定」という抜け道があるし欧州の残業が人権問題や健康問題とセットで考えられているのに対し、日本は賃金とセットになってしまっている点で明らかにおかしいのだ。
2016年06月10日
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理化学研究所のチームが発見し日本初の命名権を獲得した原子番号113番の新元素の名称案が国際純正・応用化学連合から公表されたのだが、これまで日本の国名にちなむ「ジャポニウム」が有力とされてきていたというのだ。ところが発見者の九州大学教授の考えを組んで日本語に基づく「ニホニウム」で申請されたという。新元素の名称は国や地域・科学者などの名前にちなみ語尾に「イウム」を付けるのが国際規則だそうで、チームを統括し名称案を決めたグループディレクターは「日本で発見されたことが分かるようにしたい」としており、国名にちなむ名称になったというのだ。「万物はその根源をなす不可欠な究極的要素からなる」という考えは古代からの自然観であり、その究極的要素の探究は科学の起源の一つとされている。 そしてこの「究極的要素」を元素と呼びその元素が「それ以上分けることができない物質」として定義されたのは18世紀になってからだというのだ。実はその時点までに炭素・金・硫黄・鉄など10種類以上の元素は既に知られていたそうなのだが、19世紀になると「物質を構成する最小の粒子」を原子とする概念が広く支持されるようになり、元素の物質的正体は原子とされ元素は「原子の化学的性質を表す概念」または「同じ陽子数を持つ原子の総称」となったというのだ。1869年にロシアのメンデレーエフが提唱した「元素周期表」は鉛までで、そして1871年に発表した第二周期表には既に天然で最も重いウランで原子番号92だったが、まだまだ空欄が残っていたというのだ。 その空欄は徐々に減りましたがその全てを埋めるには1930年代の加速器の登場を待つ必要があったそうで、そして加速器の登場はウランより重い元素である「超ウラン元素」を人工的に作り出すことも可能にしたというのだ。1940年に米国のエドウィン・マクミランらによってネプツニウムが作られると、米国で次々と超ウラン元素が作り出されそれらの功績によりマクミランとシーボーグは1951年にノーベル化学賞を受賞したそうなのだ。1958年にアメリカでノーベリウムが作られるとその後はソ連・ドイツ・そして日本がこの競争に参入、最近ではロシアと米国の共同研究グループが発見した114番と116番元素に、それぞれフレロビウムとリバモリウという名前がついているそうなのだ。 なお現在では原子よりさらに小さい素粒子が「物質を構成する最小の粒子」であることが明らかになっているのだが、今回命名される元素は当初検討された「ジャポニウム」はラテン語やフランス語に由来しているそうなのだが、関係者は「森田氏は自国語にこだわったようだ」と指摘しており、「ニホニウム」となったそうなのだ。今は使用されなくても過去に使用した元素名は使えない規則があり、元東北大総長の小川正孝博士が明治41年に新元素として命名し、後に別の元素と判明し周期表から削除された「ニッポニウム」は使えなかったというのだ。名称案は一般からの意見を5カ月間募集し目立った反対意見がなければ年内にも決定し、全世界の周期表に記載されることになるというのだ。 理化学研究所RIビームファクトリーで生成された113番元素が国際的に新元素として認定され、元素周期表に日本人の手で新たな元素が加わったことになってわけなのだが、かつて新しい元素の発見は新しい物質科学の始まりを意味し、新物質はさまざまに利用され人々の生活を豊かにしてきたというのだ。今回発見された113番元素は10年近い年月をかけ困難な中3原子を合成して発見したそうで、また寿命も約1000分の2秒とみじかく瞬く間にほかの元素へと壊変してゆくというのだ。新元素は現在のところ人々の生活に直接かかわることはないと考えられているが、しかし元素は世界の構成要素でありこれを探求することは、人類に化学の基礎を与え、原子核の安定性についてより深い理解を与えるとされているのだ。
2016年06月09日
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建設業界でも工事の運営で頭の痛い問題の一つに人件費があって、優秀な社員ほど評価していかなければ辞めてしまうが、現実にはそう簡単に給与を上げることはできないのだ。どのようにして人件費による経営利益の圧迫問題に対応するのかという事では、給与をたくさん出せない現実のなかでは、社員の他の欲求に応えることが不可欠で、人事考課や報酬が伴わなくても上司が心から評価していると分かれば、社員もモチベーションを落とすことなく仕事に取り組めるというのだ。重要なのは社長が強い権限を持つ地方の建設業のような中小・零細企業なら社長自らが直接感謝の想いを伝えることで、社員に「この人と一緒に働いていたい」と思わせる気持ちを持たせることが重要だというのだ。 建設業の中には社長ではなく管理者である現場責任者に「この人と一緒に働いていたい」と思わせる気持ちを、持たせることを求める向きもあるがそれでは効果が弱いという。これは最終権限のない管理職では褒めることはできても昇給や特別手当などの最終判断をできないケースが多いからだというのだ。営業の基本に「決済権者と会うこと」が重要であるというのと同様に、トップまで話が伝わっていなければ意味がない話だというのだ。十分な報酬をあげられない状態でモチベーションを高く保ってもらうためには、最終判断する人間が評価している旨を伝えることが決め手のようなのだ。同時に経営トップが会社のビジョンを示し成長・拡大したときにはどういった仕事ができ、報酬を得られるのかを知らせることも忘れてはならないという。 経営者が掲げた目標や想いに共鳴することで人はやる気を高めるからなのだが、これが朝礼や社内メールなどの一方通行では真の想いが伝わらないという。機会を見つけては直接語りかけるような時間も必要だそうで、また想いについては自分の分身的存在を少しずつ社内に作っていって様々なシーンで語られるように努力していくことが大切だというのだ。ほとんどの経営者が成績の良い人や目立つ人ばかりを盛り立て、それを陰で支えた人をまったく評価していないそうなのだが、陰日向なく努力している人を励ましてそうした社員にも「ありがとう、君のおかげで会社は成長できている」と評価してあげることで、多くの社員が経営者の心配りを実感できるというのだ。 それに社員は実は最も冷静に経営者を見ているものだといわれており、そのうえ経営者が陰で頑張る社員を見つけることは意外に難しいとされている。陰で頑張る社員を見つけるためには社員とのコミュニケーションが不可欠になるし、それに社員のことをよく知ると適材適所で力を発揮させることもできるようになるそうなのだ。ところで会社が社員に支給するものには給与だけでなく、社会保険料の算定基礎となる報酬に含まれるものがあるのだ。春闘という事で4月に給与改定を行った場合は社会保険料負担もアップするというのだ。住民税算出の基礎所得は1月1日だし、社会保険料の算定基礎となる報酬は4月・5月・6月の給料の平均額となっていることから、それを利用して社会保険料を削減するのも一つの手だといわれている。 仮に同様の数の社員がいたとしたら給料アップを考えるだけで、年間で多くの社会保険料のアップとなる。社会保険料は従業員と会社で折半しているので同様の金額だけ従業員個人としても負担料が増えるというわけなのだ。会社の損得の問題だけでなく従業員にとっても得する話だけに、昇給月をずらすことへの十分な理由になるはずだ。昇給の時期だけでなく昇給額もポイントで、昇給の際に昇給前と昇給後の標準報酬に2等級の差があれば随時改定の対象となり保険料が高くなってしまうのだ。1等級の差で収まるように標準報酬月額を配慮し昇給額などを決定することで、社会保険料増加を抑えることができるというのだ。これを利用して私に事務所では昇給月を1月にして節税しているのだ。
2016年06月08日
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原子力規制委員会の検討会は東京電力福島第1原発の汚染水対策で、建屋周辺の土壌を凍らせる「凍土遮水壁」が完全に凍結しないため、周辺にセメント系の材料を注入する東京電力の計画を了承したという。運用開始から2カ月が経過しても汚染水抑制の効果が見えず追加工事が必要と判断した格好なのだが、東京電力は近日中に原子力規制委員会の計画了承を受けて工事に着手するそうなのだ。東京電力によると全長約1.5キロの凍土壁のうち、今年3月から海側など一部を凍らせる作業を始めていたが、凍土壁周辺の地中温度は測定箇所の97%で0度を下回ったものの、1号機北側と東側だけでなく4号機南側では7・5度を超え凍らない箇所が複数残っているとしている。 安倍政権が福島第一原発の汚染水対策の柱としている凍土遮水壁のうち、先行して凍結を始めた海側などの約3%がまだ凍っていないことが分かり、原子力規制委員会の検討会合のなかで東京電力は凍結開始から2カ月を経てもこのうちの3%がまだ凍っていないことを明らかにし、「凍結していない場所が目の粗い石の間で地下水の流れが速く、凍らせることが難しい」と説明している。この凍結しなかった部分にはセメントなどを投入して穴埋めする追加工事を提案しており、石の多い地層で水が流れやすくなっていることが原因とみられ工事で隙間を埋め凍結を促進し、海側から段階的に進める凍結範囲の拡大についても、地下水位の急激な変化などのリスクが小さいことから次の段階への移行も了承したそうなのだ。 凍土壁の工法が持ち上がったのは3年前の5月で、ゼネコンからアイデアを募ったところ鹿島建設が提案した案が適切と政府が判断している。国と東京電力が福島第1原発の汚染水対策の抜本策に位置付け、巨額の国費を投入した凍土遮水壁が動き出したわけだが、コンクリートの壁による遮水方式とは違い凍土方式のメリットは施工が容易で、冷却に必要な電源を失っても数カ月は溶けずに残ることだったという。凍土壁は建屋周囲に掘った井戸から地下水を抜き取る「サブドレン計画」などとともに汚染水対策の中心とされ、1568本の凍結管を建屋周囲に打ち込み氷点下30度の冷却液を注入して、地表から地下30メートルまで「氷の壁」を造る工法で、完成すれば地下水の流入を減らせると見込まれていた。 案が持ち上がってから原子力規制委員会は議論を重ねてきたが、凍土壁の範囲を拡大しても当面は建屋地下の汚染水が外に漏れる危険性が大きいとは言えないと判断していた。段階的な凍結で汚染水漏洩のリスクは回避できると判断したわけなのだが、前例のない日本最大の土壌凍結は技術的な課題も多く汚染水低減の効果には疑問符がついたままだという。東京電力福島第1原発の放射能汚染水抑制策として始まった「凍土遮水壁」について、原子力規制委員会の検討会は1~4号機建屋の山側での冷却範囲拡大と、海側で冷却を促進する補助工法を認め工事を行ってきたが、凍土壁が効果を発揮すれば汚染された地下水の汲み上げ量が減るはずだったのに減少は確認されていないというのだ。 原子力規制委員会の検討会は運用後も技術的な課題が残っており、過去に海側のトレンチにたまった汚染水をせき止めるため凍土壁と同じ凍結管を使った「氷の壁」を採用したが、うまく凍らずに断念した経験があるからなのだ。凍土壁でも地下水の流れが変わり土壌が凍りにくくなることが指摘されていたし、日本陸水学会も「凍土を安定した状態で維持することは困難。凍土溶解で多量の溶液が海などに流入する」と設置反対の文書を内閣府に提出している。「凍土壁ができれば、汚染水問題がなくなるという変な錯覚をまき散らしているところに過ちがある」としてきた原子力規制委員会の田中俊一委員長も、「流入水を減らすのは、本質的な解決ではない」と改めてくぎを刺しているのだ。
2016年06月07日
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先月の給与明細書を受け取ったときに「差引支給額がいつもより少ない」と感じる人が多かったかもしれないそうで、人によっては逆に手取りが多くなる場合もあれば、ほぼ変わらないということもあるというのだ。それはなぜかというと給与から天引きされている「住民税」の金額に影響を受けているからなのだが、この住民税は前年1月から12月までの所得に応じて決まる所得割と、所得の有無にかかわらず一律に負担する均等割などによって計算され、当年6月から翌年5月までの間に納付することになっているのだ。本来であれば自分が住んでいる市町村が徴収するところを会社等が代わって従業員から住民税を徴収し毎月納付しており、この方法を「特別徴収」といわれているそうなのだ。 地方税法によって所得税の源泉徴収義務者である給与支払者である会社等は、原則として従業員の住民税を徴収して納付することとなっており、このため従業員が「私の給与から住民税を引かないで」と言ったり、徴収の有無を選択制にしたりすることはできないというのだ。一方で給与の支払いを受けていない農業等のフリーランスの人などは、市町村からの通知書に基づき自身で納付することになりこの方法を「普通徴収」というそうなのだ。6月給与から住民税がアップしてしまうのはどのような人たちかというと、そのポイントは昨年1月から12月までの所得が基本となっており、でたとえば「昨年の給与改定で、大幅な昇給があった」とか、「昇格したり、資格を取ったりして手当が増えた」ひとだというのだ。 このような理由で所得が前々年度よりもアップした場合は、住民税もそれに応じて高くなり、そうなると給与の控除額が多くなるので必然的に手取りが減ってしまうこともあるというのだ。給与が上がって嬉しい反面支給される金額が減るとちょっと複雑な気持ちになってしまうという。住民税が少なくなるのは逆の人たちを想い浮かべていただくとわかりやすく、あまりうれしくないがそれ以外のケースもあって、「昨年のボーナスが大幅にカットされた」とか、「残業が少なく、時間外手当が減った」・「転職して給与が大幅に下がってしまった」・「病気などで休職したために年収が減った」・「産前産後休業や育児休業などを取って、年収が大幅に減った」等が考えられるとされている。 このような理由から結果として昨年1月から12月までの所得が前々年度よりも下がってしまった場合には住民税が低くなることが考えられ、場合によっては非課税となって住民税を納めなくてもよくなる場合もあるというのだ。住民税は現在の給与と連動していない点に注意する必要がって、稼いだお金から納付すべき住民税が決まるまでに一定のタイムラグがあるということを覚えておくべきだといわれている。そこで注意したいのは転職をした人たちで、住民税は基本的に前年度の所得に基づいて決められることから、前年度の所得について会社が「給与支払報告書」を作成し、今年1月1日に従業員の住所がある市町村へそれぞれ報告しているため市町村が情報を把握することができるというのだ。 今年になって会社を退職した人は5月分までの前年度分の住民税を前職の会社で一括して支払っていることが多く、この場合市町村は退職したという情報はあっても、今どの会社で働いているかまたは無職であるかといった情報までは持ち合わせておらず、そのため今年度の住民税は「普通徴収」の取り扱いとなって自宅に納付書が届いてしまうことになるのだ。会社で天引きされる場合は1年間の税額を12分割で徴収されるのでそれほど負担に感じないが、「普通徴収」の場合は4回の分割払いか一括払いとなるため負担が大きくなってしまうというのだ。そのためついつい納付が遅れてしまったり納付漏れが起きてしまったりという事態になりかねないことか退職者は注意が必要だというのだ。 このような場合は「特別徴収」への切り替え手続きを行うとよいそうで、市町村から送られてきた「普通徴収」の通知書一式を会社に提出し、会社経由で「特別徴収切替届出(依頼)書」を市町村に提出すれば特別徴収用の新しい住民税額通知書を交付してもらえるそうなのだ。 こうした税金に関することは普段私たちが慣れていないだけに、ちょっと面倒だと思われるかもしれないのだがそのまま放置しておくのは問題があるそうで、退職や転職をされる人は住民税についても会社に確認しておく必要があるというのだ。私も定年退職が迫ってきていることからこのような税金の勉強をやっと始めたわけで、もう少し若いころから節税等のことを調べておけばよかったと思うこのごろなのだ。
2016年06月06日
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子供が犠牲になる交通死亡事故が後を絶たないといわれている、特に横断歩道を青信号で歩行中に大型車に巻き込まれるケースが目立つという。事故の度に違反取り締まりの強化や道路環境の改良など対策が講じられるがそれでも事故は続いており、事故にあった子供の親が事故後に参加する「交通犯罪遺族の会」で会員が増えるのは、どこかで死亡事故があった証拠となっている。「当たり前のように事故で人が殺されている。家族を奪われた人間として許せない。社会から一件でも事故がなくなってほしい」と親たちは強く願っているという。交通事故では裁判を終えても時間がたっても遺族の苦悩は終わらないそうで、私の住んでいる松山市でも交差点を横断していた子供が左折してきたトラックの下敷きになって死亡している。 その事故ではすぐに病院に搬送されたが約3時間後に死亡が確認され、顔にかかった布を口元だけめくった父親は、思わず目を背けて処置室で絶叫したという。子どもは体が小さいのでドライバーの死角に入ってしまうことがあり、右折時や左折時には特にそのようなことが多いといわれている。目の前の歩行者信号がたとえ青でも後ろから曲がってくる車や、前から右折してくる車がいるかもしれないことを意識する必要があるという。青信号でしかも横断歩道では歩行者が優先なのになぜ事故が頻発しているのかという理由は、視認性の問題や死角の問題などドライバーから「見えていない」状況が引き起こすものが多いだけでなく、急いでいるのか強引に通りすぎようとする車も事故原因になっていることがわかるという。 事故の刑事裁判では男性運転手の安全確認が不十分だったことが明らかにされたが、助手席側のアンダーウインドーと呼ばれる足もとの小窓が、置かれたマットで4年前からふさがれていたとされ、「アンダーウインドーをのぞくと視線を下にずらすことになるので、ミラーで確認するくせがあった」と男性運転手はそう主張したが、検察は「遮蔽していなければ被害者を発見することが可能だった」と糾弾した。被害者参加制度を利用し父親や家族も法廷に立ったが運転手は被害調書も読まずに出廷し、安全不注意について言い訳を繰り返しているように聞こえたとかたっている。「二度と使われないランドセルを見る気持ちは分かりますか」と父親が悔し涙を流しながら法廷で問うと、運転手はあっさり「分かります」とだけつぶやいたそうだ。 裁判官は運転手にせめて被害調書は読んでくるよう説諭したが、判決は「対人賠償無制限の保険に加入している」などとして執行猶予付きの実刑判決だったが、運転手が所属する会社も「再発防止に取り組む」と訴えたが、当時の担当者は事故後に交代して証言台に立つことはなかったそうなのだ。現場の国道交差点には今も花束が供えられている。家族のショックもそのままになっている。「子供は飛び出したわけでもない。信号無視をしたわけでもない。横断歩道上で命が奪われるなんてあってはならない」と被害者の父親は判決後も残るやりきれなさを改めて訴えているが、その事故が起こった交差点は松山市中心部に最初に導入された歩車分離式の信号機として改良もなされ現在に至っている。 青信号になった途端に飛び出していく子どもには必ずひと呼吸置いて左右をよく確認するよう言い聞かせ、また交差点では左右だけではなく前後の車の動きをよく見ることや、進行方向の信号だけ見るのではなく視界を広く持って交差点全体を見渡すことが大事だということを安全教室棟で教えている。自分のほうに曲がってくる車をいち早く見極められれば、万が一ドライバーから認識されなかった場合でも自らの判断で事故を回避できるというのだ。この国道交差点では34秒間歩行者のみが横断できる青信号表示が追加されたが、これがドライバーから予想以上の反発を呼んだという。歩行者が安全に通行できる34秒間は自動車通行側にとっては完全停止を強いられる34秒間となって渋滞の車列が伸びたとされている。
2016年06月05日
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私の事務所の若い衆も熊本大地震で地元建設業のボランティア活動支援を行っていたのだが、内閣府の防災基本計画でも「ボランティアの適切な受け入れ」が書かれ、災害対策での民の力の活用を前提にしている中、ある雑誌で西宮市の今村岳司市長のことが載っていた。この言動が災害支援に係わる人たちの間ではちょっとした衝撃を与えているそうで、災害対策での「民」の力の活用を前提にしているというのに、ここまで地域外からのボランティアを嫌う自治体首長がいるのかということに驚かされた。西宮市の今村岳司市長は自分のブログに「特に発災直後には、個人がボランティアにかけつけても、かえって被災自治体の仕事を増やすだけで迷惑だ」ということ載せているそうなのだ。 その今村市長の熊本地震の本震翌日になされている「あらゆる支援は、被災地行政機関やその他それに類する信頼できる団体ないしは、国・県他の行政機関等の照会と要請を受けて為されるべきものです」という文章は、あらゆる支援は自治体や国を通してしか行われるべきであるということで現実にそぐわないと言われてたという。地元新聞社が「行政万能主義、ここに極まれりの感がある」と批判すると、今村市長は「被災者の状況を最大もらさず把握し、常に適切に対応を要求されるのが行政です。そして、その要求に応えるために、地域のボランティアと日頃から連携しています。そして、阪神・淡路大震災の時も行政の手が足りない隙間をいち早く埋めてくれたのは被災した地域住民自身であった」と反論したそうなのだ。 そのうえのボランティアではなかった」と強調し、「観光気分で来た自分探しボランティアの連中は人から感謝されることを楽しみにやってきただけ」と非難したそうなのだ。私も若かったので阪神・淡路の時には復興ボランティアに参加したのだが、活動した人たちはたくさんいてだからこそこの年は「ボランティア元年」とも呼ばれているのだ。確かに個人のボランティアが用意も不十分なまま被災地を訪れたり、被災自治体に問い合わせをしたり個人が細々とした荷物を送るのはたしかに迷惑に違いないだろう。これについては今村市長の言うとおりだし、被災地支援をしている民間団体も善意が迷惑を及ぼす事態にならないよう、ボランティア志望の人たちに呼びかけているのだ。 我々「民」のボランティア活動は本来ならそれぞれの自由意思に基づいて行われるもので、しかも「官」と「民」はその役割や得意とする分野が異なっていることも多く、すべてが自治体や国を通してしか行われるべきであるということで現実にそぐわないのだ。危険を伴う人命救助や捜索などは自衛隊や消防・警察など訓練を積んだ組織が大きな力を発揮するが、おにぎりなどの限られた食糧や水を大量に一斉に被災地に届けるなどといった支援は、「官」では難しかったからこそ「民」が得意とするところで宅配業者が行ったてるのだ。発災直後に避難所を設営したり仮設住宅を造ったりするなど大がかりな支援も「官」によってなされる。そうした時に「官」が意識するのは「公平性」と「一律」の支援策が提供されることになる。 「民」は一人ひとりの被災者の状況に応じて様々な支援をするなど、「個別」の「多様」な活動でとりわけ力を発揮するのだ。行政が把握していない避難所に物資を届けたり、避難所生活が困難な人たちを助けたり、あるいは行政が見落としている課題をみつけて、それを問題提起したり、しかも民間の災害支援とは時間をみつけて個人で参加し、地元の災害ボランティアセンターの指示で様々な手伝いをするボランティアだけではないのだ。私のボランティアのことを教えてくれた先生は、専門性を持った災害支援の組織で君ランされて人で、そこに所属するスタッフの中には世界中のいくつもの被災地で活動して、「こんな大きな災害を経験するのは初めて」という被災自治体職員より、遙かに災害の実地経験を積んでいるのだ。 被災者支援のプロフェッショナルも育ってきているそうで、そうした組織は時期に応じて適切な支援をしながら息の長い活動をしているそうなのだ。今回の熊本地震ではそうした組織やネットワークがフルに活動し、思いもよらなかった大地震に混乱した現地自治体の役割を一部補完して、専門的な見地から助言しているというのだ。被災地支援で大切なのは異なる得意分野を持つ「官」と「民」の両者がそれぞれのやるべき仕事をしつつ、うまく連携してできるだけ効果的な支援をすることだ。外からはだめで内のボランティアはOKというのは、いわば自治体のメンツのようなもので、ボランティアなど「民」の力は行政の下請けではなく、経費を削減するために本来「官」がやるべき仕事を「民」に丸投げするのも間違っているのだ。
2016年06月04日
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大手外食チェーンで低価格メニュー拡大の動きが目立つようになってきたそうで、一時は牛損戦争とまで言われていた牛丼業界では、吉野家が先月に豚丼を再投入したほか、バーガーキングも今月から490円の低価格セットメニューの販売を開始したそうなのだ。他業態でも同様の動きがみられており、背景には景気の先行き不透明感に伴う消費者の節約志向があるとされてはいるが、見方を変えれば大手外食チェーンの手詰まり感も色濃くにじんでくるというのだ。もはや低価格化や値下げ以外に有効な打開策がなく、外食産業全体が先の見えない状況であるかのように感じられ、しかも外食産業においてかつて威勢を誇っていたチェーン店がことごとく劣勢に転じているといわれている。日本フードサービス協会によれば外食業界の客数は昨年度年で前年比3.1%減となり、過去20年で初めて3年連続の減少となったそうなのだ。業界紙の読者を対象に実施した消費者調査でも、チェーン店を「よく使う」と回答した人はわずか7%で、「使わない」と回答した消費者のチェーン離れの要因は何なのだろうか。消費者の「大手外食チェーン離れ」はなぜ起こっているのだろうかということなのだが、「不満買取りセンター」に寄せられる声に耳を傾けると消費者が何に失望しているのかが見えてくるという。消費者の生の声を紹介することで不満の背景に迫ったところ、外食専業のチェーン店の多い「居酒屋」・「ファミリーレストラン」・「ファーストフード」の3業態に関して次のことがわかったという。消費者が感じている不満をその種類ごとに分類居酒屋は「店内環境に関する不満」が多く、ファーストフードやファミリーレストランは「商品に関する不満」が1位となっている。業態によって大きな差があるわけなのだが、居酒屋は「、衛生面に関する不満」に「席に関する不満」だけでなく「子供連れの客」に関する不満が総じて多かったという。払ったお金に見合った居心地の良さを提供できていないことに対してのマイナス評価が目立ち、「価格の割に料理の内容が悪い」とか「飲み放題にするとドリンク提供時間がかかる」といったメニューに関するクレームも少なくなかった。そのなかでも「どんどん値段が上がって、量は少なくなっていっている」といった安さをアピールする割に安価でないという不満が多いという。商品に関する不満の一例では「飲み放題の居酒屋でカクテルを注文したら、出てくるまでに20分もかかったから不満で、2時間の飲み放題なのにドリンクを20分待たされて、たいして飲めなかった」というのだ。私も体験したことがあるが単品だとドリンクが早く来るのに、飲み放題にしたら遅くなる大手チェーンの対応には不満が多いという事のようだ。消費者に訴求できるポイントが価格しかなくなりつつある一方で原材料費や人件費などのコストは上昇基調で、収益体質は悪化の一途をたどっているといわれている。3年前のアベノミクスによる「脱デフレ」の流れに乗って居酒屋でも「ちょい高メニュー」がブームになってのそうなのだが、その反動で客離れが加速しメニューやサービスなどで新たな価値観を提供できなくなっているというのだ。安い価格で手早く食事ができるファーストフードでは、コンビニエンスストアの弁当やスーパーの惣菜などとの競争が激しくなったせいか、メニュー内容や味だけでなく品揃えに関する不満が多かったそうなのだ。マニュアルに沿った紋切り型の接客を嫌がる人が多いそうだし、ファミリーレストランは「ファミリー」と名のつくとおり幅広い年齢層の顧客を対象にしているはずだが、意外にも「子供の対応に関する不満」が1位となったそうなのだ。ドリンクバーやメニューの割高感など商品内容に関する不満も目立っており、不満の一例では「セントラルキッチンで作った料理を温めて出しているなら家で冷凍食品を食べているのと何ら変わりない」という意見が多かったそうなのだ。日本フードサービス協会によると外食業界の客数は昨年度は前年比で3.1%減で、過去20年で初めて3年連続の減少となっているそうなのだ。店舗数の拡大で成長してきた大手チェーンがかつてのような勢いを失っているという。人手を簡単に確保できる時代ではなく消費者のチェーン離れも顕在化しており、想定した売り上げが見込めず出店費用を回収するまでの期間が以前よりも長くなったことも背景にあるというのだ。価格に見合う価値を提供できておらず若干見劣りしているのではないかという危機感があって低価格戦略への回帰がなされているそうなのだ。外食産業の低価格戦略は吉と出るかもしれないが、弱った体をさらに傷つけてしまう可能性もあるというのだ。
2016年06月03日
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羽田空港の地盤改良工事で東亜建設工業が施工データを改ざんし、発注者の国土交通省関東地方整備局に虚偽の報告をしていた問題では、その後に福岡空港やわたしの住んでいる松山空港だけでなく、八代港でも不正を行っていたことが分かったというのだ。建設業界の不正は「全棟建て替え」に揺れるマンションの杭工事データ偽装問題が冷めやらぬ中、またもや起こったということなのだが、問題の経緯を伝える国土交通省の資料には「契約図書に基づく施工の達成率0%」とか、「改良体の造成の達成率0%」に「薬液注入量の達成率5.4%」が淡々と記載されているのだ。私も長年建設業界に従事しているがあまりのずさんさにあぜんとしたが悲しい気持ちにもなったのだ。 問題の東亜建設工業には一度港湾工事で世話になったことがあるのだが、なぜここまでひどい不正に手を染めたのかよくわからないのだ。不正が発覚した工事はいずれも東亜建設工業が開発した「バルーングラウト工法」を採用しており、この「バルーングラウト工法」は地中を削孔した後に注入管を挿入し薬液を地中に浸透させる工法で、空港のほか港湾工事で施工実績があるという。東亜建設工業によると羽田空港の滑走路の地盤改良工事では、コンクリート片や廃タイヤなど着工前に想定していた以上の障害物が地中にあり、思うように削孔できなかったという。不正行為には羽田空港誘導路は東京支店の土木部長が、滑走路は東京支店長が関与しており、松山空港は現場所長がそれぞれ関与していたそうなのだ。 東亜建設工業は独自技術である「バルーングラウト工法」を前提とした提案が評価されて受注に至っており、仮に東亜建設工業の「バルーングラウト工法」がこの現場に適していないということであれば、発注者の審査・評価とは一体何だったのかということになる。東亜建設工業としても施工中に想定外の事態が起こったからといって、受注を根底から覆すことになる代替工法の提案は選択肢としてなかったのかもしれないというのだ。発注者は不正を生んだ背景をどう考えているのかということなのだが、報告書では契約図書における発注者の監督と検査はきちんと行っていたようだ。受注者がモニター表示を改ざんし採取資料をすり替え虚偽の報告をするという想定外の不誠実な行為がなされたため発注者はだまされてしまったというのだ。 私も経験があるのだが地盤面下の施工の出来形や品質は目視で確認しにくくどうしてもデータに頼らざるを得ないため、チェックの盲点を突かれた面もあるかもしれないが、民間工事と違って公共工事の発注者は監督や検査のプロのはずなのだ。しかも建設現場は発注者と受注者が協働してものづくりに取り組む場で、「受注者を信用したことにぬかりがあった」などの無邪気な言い訳は到底通用しないのだ。土木と建築あるいは公共工事と民間工事では設計や施工の進め方が異なるため発注者責任の捉え方もやや異なるのだが、私の経験では公共工事がメーンの土木工事では、設計や施工に発注者自らが深く関与することが多く、設計は建設コンサルタントなどに委託し積算は発注者自らが行っている。 施工の監督や検査も発注者が行うことが大半で、施工者の選定は競争性を確保するため設計者とは別に発注する設計・施工分離発注方式を基本としている。公共工事の場合は施工段階で発生するリスクは設計者でもある発注者が担っているとされており、今回問題となった羽田空港滑走路の地盤改良工事は技術提案評価型総合評価落札方式を採用していたのだ。総合評価落札方式では発注者が入札者の技術提案を審査・評価するもので、発注者の力量が問われる部分なのだが、近年の公共工事において発注者のマンパワーやノウハウの不足に入札の不調・不落だけでなくダンピングなどさまざまな課題が顕在化してきている。そんな現場では受注者が偽装に手を染めても発注者は気付かない恐れが出てきているというのだ。
2016年06月02日
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主要7カ国首脳会議で安倍晋三首相が「世界経済はリーマン・ショック前に似ている」との景気認識をもとに財政政策などの強化を呼びかけたことに対し、批判的な論調で報じる海外メディアが相次いだという。景気認識の判断材料となった統計の扱いに疑問を投げかけ、安倍首相の悲観論を「消費増税延期の口実」と見透かす識者の見方を交えて伝えられたそうで、安倍晋三首相が消費税率10%への引き上げを2年半再延期すると提案したのは、景気下振れにつながる増税を先送りしながら、財政健全化目標を堅持する姿勢も示す狙いなのだが、増税が2度にわたり延期されれば政府の財政規律に疑問符が付くのは必至で、増税による税収増をあてにしていた社会保障関連の政策に影響が出るのは必至なのだ。 日本経済の長期低迷の背景には政府の成長戦略の遅れもあり、アベノミクスへの批判も強まっているがデフレ対策等は「道半ば」で乗り切るというのだ。政府は政策経費を借金に頼らずにどの程度賄えているかを示す基礎的財政収支を、2020年度に黒字化する目標を掲げているのだが、増税の遅れは目標の後退につながる恐れに関して「19年度中に増税するなら、増税効果がフルに表れる20年度のPB黒字化目標は取り下げる必要はない」ということで、安倍首相も財政健全化計画への懸念を払拭しようと、ギリギリの線を示したと見られる。ただ安倍首相は前回の増税延期を決めた際、「リーマン・ショックや大震災のような重大な事象が起きない限り、実施する」と断言していたのだ。 安倍首相が主要国首脳会議で新興国経済の低調を示す統計をもとに、「現状はリーマン・ショックの直前に近い」と認識を示したものの、多くのエコノミストやメディアから異論が出ている。英紙フィナンシャル・タイムズは「世界経済が着実に成長する中、安倍氏が説得力のないリーマン・ショックが起きた2008年との比較を持ち出したのは、安倍首相の増税延期計画を意味している」とズバリ指摘されたという。商品価格の下落や新興国経済の低調ぶりを示す統計などを示し自らの景気認識に根拠を持たせようとしたが、年明けに急落した原油価格がやや持ち直すなど金融市場の動揺は一服しているし、米国は追加利上げを探る段階で英国のキャメロン首相は討議で「危機とは言えない」と反論までしているのだ。 英政府幹部の話として「キャメロン氏は安倍氏と同じ意見ではない」と指摘しており、当面は日銀の金融緩和策で低金利が続きそうだが、財政規律への信認がいったん揺らげば反動も大きいといわれている。財政規律への信認を失えば国債の格付け引き下げや金利上昇を招き経済に悪影響を及ぼしかねないという指摘もなされている。安倍首相は伊勢志摩サミットで、新興国の景気低迷を世界経済のリスクだと指摘したが、経済成長率は日本が0.5%と主要7カ国で最低なのに対し米国や英国は2%台を確保しており、日本経済の低迷が長期化しているのは前回の消費税増税後の消費低迷だけでなく、日本の潜在的な経済成長力が停滞し企業や家庭が一定の成長を前提とした消費や投資に向いていないことが原因だという。 政府は企業の国際競争力を高めるための労働規制緩和などに取り組んでいるが、国会審議の遅れなどでなかなか効果が出ない伊野が実情で、前回の増税延期を決めた際に「増税を実現できる経済環境を作る」と説明した安倍首相だったのだ。社会保障に関しては「政権が力を入れると言っているのにもかかわらず、財源を確保しないのは無責任と言われてもしかたない」の懸念が既に渦巻いている。増税分はすべて社会保障の充実や安定化に使うとしており、税率を10%に引き上げた段階では子育て支援や介護の充実・年金制度の改善に2.8兆円を投じる予定なのだが、再延期になれば今年度と同規模の状態が続き、社会保障の充実は遠のくことから安倍政権は難しい対応を迫られるというのだ。
2016年06月01日
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