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日銀は「従来の大規模緩和を維持する」と表明し日本ではまだ政策金利の引き上げはおこなわれていないのだが、金利の上昇は言うまでもなく住宅ローン金利の上昇につながり、海外の金利上昇の動きを受け年初ほぼ0%だった長期金利が4月現在0.25%前後まで上昇しているといわれている。そして長期金利と連動性の高い固定金利の住宅ローンも年初の1.30%から4月は1.44%に3ヶ月連続で上昇しており、住宅ローン金利が上昇すれば住宅購入者の月々の返済額が増え不動産価格には下落圧力がかるという。なぜなら「月10万円の返済」でも借入可能額が減ってしまうからなのだが、逆に現在の不動産価格が高止まりとなっているのは低金利が長く続いているのが大きな要因だからだという。 日本でもすでに大幅なインフレになっているものの企業から消費者への価格転嫁が十分に進んでいないとされ、今後価格転嫁が進めば国内でもインフレが一気に進む可能性が高いといわれている。しかもこのまま円安が続けばエネルギーや原材料などを輸入に頼っている日本では輸入価格が上昇し、さらにインフレが進むという悪循環に陥ることになって輸入品を中心にさらに価格が上昇していく可能性があるという。インフレと不動産価格の関係ではインフレは物価の上昇とされているとおり物価が上がるということは、お金の価値が下がることを意味するので同じモノを買うためにより多くのお金が必要になり、したがって一般的にインフレ下では不動産価格に上昇圧力がかかってくるといわれている。 さらにエネルギーや原材料価格の上昇は建築費の上昇につながることもあって、言うまでもなく不動産は「土地+建物」なのだから建築費の上昇は不動産価格の上昇にダイレクトに影響してくるという。つまり貨幣価値と建築費という2つの意味でインフレは不動産価格の上昇要因となるわけなのだが、しかし最終的に不動産価格は需給関係で決まるため言い換えればみんなが欲しいと思う物件は上がり買いたい人が少なければ下がるということになっていく。したがってインフレであってもすべての不動産が均等に上がるわけではなく、駅近や環境のよい人気の高いエリアめったに売りの出ない希少物件などは今まで以上のペースで上昇し、逆に人気のないエリアは横ばいもしくは下落傾向が続くと考えられるという。 日本では前述の日銀の黒田総裁の下で9年以上も低金利政策が実行されてきた結果、都心エリアではバブル的な不動産価格の高騰現象が生じたとされているが、経済のセオリーでは金利が上がれば不動産価格は下落するという。これは多くの不動産取引は銀行からの融資を受けて行われるからだが、日本でもマンションを購入する人の多くは住宅ローンを利用されていて、住宅ローン金利が上昇すれば返済額が増え購入者にとってはマンションの価格が高くなるのと同じとなってくる。だから当然売れ行きは悪くなるし、売れなくなると価格には下落圧力がかかり自然に価格は下がっていくという。だから金利が上昇する局面ではマンションをはじめとした不動産価格が下がるというのが自然法則だという。 そういった動きを受けて早くも米欧では一部で価格の下落現象が見られ始めたそうで、不動産市場が過熱しすぎてバブル崩壊が始まったのではないかと目される中国の不動産市場では統計的にも下落を示す兆候が現れているという。世界的な金融引き締めの影響を受けて不動産バブル的な現象も崩壊への道を歩むかもしれないという。欧米の金融引き締めが始まれば世界はしばらく不況を耐え忍ぶ季節を迎えることになるし、ながらく世界経済の牽引車であった中国は下手をすれば毛沢東時代へ逆転の歯車を回し始める可能性さえあるという。日本の都心不動産市場も本来の利用価値に基づいた価格へと下落を始める可能性があるし、住宅ローンの金利タイプについて慎重に検討は必要だという。
2022年06月30日
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高松地方気象台は「四国地方が梅雨明けしたとみられる」と発表したそうで、気になるのは今後の雨のことで水不足への不安がよぎるのだが、TVのニュースでも松山市内では「え~っ、はやっ」とか「梅雨が来たかなっていうのが分からないくらいでした」と市民が語っていた。私もお昼時の堀之内公園を歩いてみたのだが風はあるもののとても暑くて6月とは思えない暑さだったのだが、TVのニュースでは子供たちが水を浴びていたという。愛媛県内は高気圧に覆われ日中の気温はグングン上昇し松山で35.2℃と猛暑日になったそうで、県内のほとんどの地点で真夏日になったそうなのだ。それにしても気になるのは雨の少なさで、6月13日に梅雨入りして以降松山市で降った雨は4.5ミリと平年の同じ期間の半分ほどだという。 梅雨の明けた雨が少ない状態が続いている私が住む松山市の石手川ダムは貯水率が7割を切っており、この低下ペースは1994年のいわゆる「平成の大渇水」に近いとして取水制限に踏み切っている。石手川ダムの貯水率は平年6月平均に比べて20ポイント以上低くなっているそうで、このため関係機関で対策を話し合う石手川渇水調整協議会が開かれ、協議会ではこのままでは今月末にも貯水率が50%を切り1994年のいわゆる「平成の大渇水」に近い低下ペースであることが報告されたという。このため上水道で3%だけでなく果樹園へのかんがい用水で10%に水田などへの農業用水は22.2%の取水制限に踏み切ることを決めたのだが、石手川ダムの取水制限は2年連続で6月に実施されるのは4年ぶりだという。 少雨傾向の中松山市の水がめである石手川ダムの貯水率は平年を大きく下回っており、松山市は市民に節水を呼びかけているそうで、ダムを管理する国土交通省松山河川国道事務所によると少雨傾向がこのまま続けば、7月中旬には貯水率が50%を下回る恐れがあるという。松山市では水道から出る水の量を25%減らす「減圧給水」を行い、市民に節水を呼び掛けているのだが、天気予報では7月上旬の後半からは高気圧が弱まり湿った空気などの影響で雨が降るとみられているが、この先1週間程度は晴れて厳しい暑さが続くとみられ気象庁1か月予報でも西日本の降水量は平年並みか少ない予想となっており、しばらく晴れの日が多い予想で松山市では市民にこまめな節水を呼びかけているという。 松山市の石手川ダムでは現在貯水率が70%を切っているということで満水時には見えない土の部分がかなり見え始めていて平成6年の大渇水が起きた傾向と酷似しているという。さらにもうひとつの水源である地下水の水位も平成6年の同じ時期より低下していて、あの大渇水ではダムの貯水率がゼロになり松山で1日19時間断水が61日間も続くなど、私も経験したのだが市民の生活や企業活動が大打撃を受けたのだ。戻り梅雨は来週あたりにありそうではあるが今週中に暑さのピークがもう1度来るという。松山市内のかんきつ農家にとって実が育つこれからの夏場は適度な水が欠かせないというが、かん水するためのため池は現時点で十分な量が蓄えられているものの例年以上に暑さと雨の量に気を遣う日々が続きそうだという。 そのような中で心配なのが熱中症で、先週の全国の熱中症による搬送者数は4551人となり6月としては過去最多だったという。総務省消防庁がまとめた速報値によると今月20日から26日に全国で熱中症により搬送された人は前の週よりおよそ3200人増え4551人で、このうち89人は重症で4人が死亡しているそうなのだ。また年齢別では65歳以上の高齢者が2458人とおよそ半数を占めているというが、環境省と気象庁は愛媛県に「熱中症警戒アラート」を出したという。愛媛県に「熱中症警戒アラート」が出されるのは今年初めてで、愛媛県内では熱中症の危険性が極めて高い状況が予測されるとして、外出はなるべく避けエアコン等で涼しい環境にした室内で過ごすよう呼びかけているそうなのだ。
2022年06月29日
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消費税減税は経済対策の一環として世界中で行われているそうなのだが、コロナ禍以降消費税にあたる付加価値税の減税を実施・予定している国と地域は世界91に上っている。物価高対策として野党が掲げる消費税減税を巡り自民党幹部からまた問題発言が飛び出したというのだが、どうしても自民党は消費税減税だけは参院選の争点にしたくないようだという。自民党の茂木幹事長はTVの討論番組で物価高対策として消費税の減税を掲げる野党案に対し、「野党の皆さんがおっしゃるように消費税を下げるとなると、年金財源を3割カットしなければなりません」などと指摘したのだが、すでに6月支給分から0.4%減額された年金について「消費税減税なら年金は3割カットだ」と更なる削減をほのめかしたというのだ。 大企業・金持ち優遇の税制政策を野党議員から突っ込まれた高市政調会長が「デタラメ言うな」と色をなして反論して炎上したばかりの自民党は、参院選の争点に浮上した減税論を何としても封じたいようだという。消費税減税に踏み切って法人税の累進化を進められないのは、自民党が輸出製造業などから莫大な企業献金をもらっているということもあるそうで、物価高に苦しむ多くの有権者は消費税減税を望んでいるといわれており。消費税減税は自民党政権にとって弱点となっているのだが、そもそも年金などの社会保障を支えているのは消費税ではなくて国民が働いて納めている社会保険料で賄われており、本茂木幹事長当にそう考えているなら「国民の生活が第一」とは真逆の冷酷な与党幹事長だということになるという。 茂木幹事長は街頭演説でも「選挙になると年中行事のように野党は消費税の引き下げに言及する」などと訴え「非現実的だ」とまで言い放っているが、税理士で立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏は「恐らく茂木さんの言った『年金3割カット』は国が負担する社会保障費の3割、約10兆円規模を指しているのだと思いますが、消費税を減税しても、他に財源を見つければ解決する話だと思います。例えば試算によると、金持ちや大企業優遇の現行の税制を見直して応能負担に基づく累進化を進めれば、約40兆円の税収が見込まれます。消費税が法人税減税などの穴埋めに使われているといった問題もあるのに、いきなり年金3割カットを言い出すのはいくら何でも乱暴です」という。 この消費税は年金・医療・介護・子育て支援・福祉等の社会保障政策の財源費用として使われているとされているが、これまで消費税は社会保障費にほとんど使われておらず、消費税法には「消費税は医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」と書いてあるが、この条文を見ると消費税は全て社会保障費に充てられていると錯覚させられますという。ところが消費税は社会保障のためにだけ使われる目的税ではなく所得税や法人税と同じ一般財源として全ての歳出予算に充てられる税金となっていて、それなのに消費税法に「社会保障に充てるものとする」と書いたのは国民をだますためで、一般財源であることは政府の歳入・歳出の説明からも明らかだという。 消費税を引き下げるといっても実際の準備期間を考えると多分1年近く導入にはかかってしまうので、当面の物価高対策には全く意味を持たないし、社会保障目的税とされている消費税は社会保障を支える財源としては全く足りていないのが現状だというが、コロナ禍の中で消費税の負担が重くのしかかっている我々は、「防衛費の増額」も必要ないし「コロナ過の企業対策」も不要だし「ガソリン等の補助金」もやめてもらいたいと思っているのだ。消費者物価指数は前年同月比2.1%上昇しており、これから夏本番を迎えただでさえ電気代がかさむというのに電気代は18.6%にガス代が17%上がっている。岸田自民が家計直撃の物価高に手をこまねいていればいるほ、減税の大合唱は大きくなるに違いないというのだ。
2022年06月28日
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気温が35℃以上の猛暑日が多数観測されるなど暑くなっているが梅雨明けのあとも暑さに警戒が必要だという。日本気象協会の「2022年梅雨明け予想」によると今年の梅雨明けは異例の早さで、九州南部~東北南部にかけて「6月下旬」の予想となっている。最も早い梅雨明けになる所も多くなりそうで、東北北部でも7月中旬の予想だという。この先は太平洋高気圧の北への張り出しが強まり平年より早く九州~本州を高気圧が覆うと予想されており、そのため九州南部~東北南部は、6月下旬に「梅雨明け」の予想となっている。6月下旬に梅雨明けとなると異例の早さで最も早い梅雨明けとなる所もあると予想されていて、梅雨入り後は平年より降水量が少なくなっているところも多く水不足にも注意が必要だという。 梅雨が明ける7月には日本列島に「殺人熱波」が訪れるそうで、原因となるのはラニーニャ現象と負のダイポールモード現象が同時に起こるとされていて、ラニーニャ現象によって西太平洋の海水温が上昇し太平洋高気圧の北への張り出しが平年より強くなっていき、さらに今年は東インド洋でも海水温が上がりチベット高気圧が東へ張り出しているという。これが負のダイポールモード現象で日本上空が2つの高気圧に挟み込まれる形になるという。たとえるなら真夏に分厚い布団を2枚重ねているような状態になり、気象予報士も「今年の夏はかつてないほどの超酷暑になります。例年1500人以上が熱中症で亡くなりますが、今年はそんな数では収まらないでしょう。梅雨明けから10日間がとくに暑くなるので注意が必要です」という。 厳しい暑さの影響で政府は新たに設けた「電力需要ひっ迫注意報」を初めて発令したが、熱中症の危険性が高まっているため冷房などを適切に使用しながら、使わない部屋の電気を切るなどの節電を呼びかけている。「電力需給ひっ迫注意報」は今年の5月に新たに設けられた制度で、前日の午後4時段階で、エリアの需給状況がひっ迫し、予備率が5%を下回る場合に発令されるのだが、現状の見通しよりもさらに気温が上昇したり突然の電源トラブルがあったりした場合に予備率が最低限必要な3%を下回り需給ひっ迫警報発令の可能性もあるという。それでも政府は昼過ぎまでは電力需給にある程度の余裕があるため暑い時間帯には熱中症にならないように適切に冷房等を活用しできる限りの節電をするように呼びかけているという。 当然熱中症のリスクは平年よりも上がるわけなのだが、昼に出かけようものなら生命が脅かされるほどの猛暑に見舞われる。朝起きてから夜眠るまで1日の内には熱中症に気をつけたい様々な場面があるそうで、その日の温度・湿度など身の回りの環境を知ることと併せて自分の行動パターンに合わせた対策を行うことが大切だという。起床時には疲労・睡眠不足・風邪・二日酔いなどで体調がすぐれないときは1日無理をしないようにするだけでなく、また朝ごはんをしっかりと食べ丈夫な体をつくることも大切な予防のポイントだという。特にこまめに水分補給を行い普段の食事から適度に塩分を摂るようにするとよいそうなのだ。外出中には帽子や日傘で直射日光を防ぎなるべく日かげを選んで歩くことを考えるべきだという。 それだけではなく体調不良を感じる前からこまめに休憩を取ることも大切だという。また車移動の場合には冷房を入れて車内環境を涼しく工夫することも必要だという。帰宅後に室内の温度・湿度が高くなっている場合には冷房機器を適切に使用し室内を涼しくするのは当然として、汗をかいた服は着替え冷房機器や冷却グッズなどで体を冷やして休息を取るとよいそうなのだ。最後に睡眠時は閉め切った室内では夜間でも室温が上がってしまう場合があることから、適切に冷房機器を使用し快適な睡眠環境を作り、寝る前には水分補給を行い枕元に飲料を置いておくと良いという。このようにして熱中症はできるだけ予防したいものなのだが、万が一、症状が疑われる場合は応急処置が必要となってくるという。 まずは涼しい場所へ移動するのだが、冷房の効いた部屋や屋外では風通しのよい日陰でできるだけ早く体を冷やして、衣服を緩めて体から熱を逃がすことが大切だという。体温を下げるためには冷やした水のペットボトルや氷枕などを使って両側の首筋やわきの下に足の付け根を冷やすと効果的に体温を下げることができるという。水分と塩分を補給することも重要なのだが、冷たい水を自分で持って飲んでもらうと体にこもった熱を奪うだけでなく水分補給もできるという。また経口補給液やスポーツドリンクを飲めば汗で失われた塩分も適切に補えるが、吐き気を訴えたり意識がなかったりするなど自分で水分を摂ることができない場合は、口から水分を補給するのは禁物なのですぐに病院へ運ぶ必要があるという。
2022年06月27日
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ロシアのウクライナ侵攻をめぐって米国防総省高官はウクライナ軍が東部ルハンスク州の要衝セベロドネツクから撤退を始めたことを認め、「ウクライナ軍は、より自分たちを防衛できる場所へと移動している」との見方を示したそうで、ロシア軍が戦闘で大きな犠牲を払ったとも強調したという。米国防総省高官はセベロドネツクでの激しい攻防でロシア軍の兵士の犠牲や装備の損失が大きかったとして、「ロシア軍がとても小さな成果に払った代償をみることが重要だ」と述べたという。東部でのロシア軍の侵攻を、米国防総省高官は「1インチずつ進展している」と表現しており、ウクライナ軍の撤退については「プロフェッショナルで戦術的な撤退をしている」と評価し、「ロシア軍をとても長い間、非常に限られた地域にとどめている」とも述べたという。 東部でウクライナ軍が苦戦するなか南部では市民によるロシア軍への抵抗とみられる動きが出てきており、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって4カ月だが激戦が続く東部の前線では州知事が要衝のセベロドネツクからウクライナ軍が撤退すると表明している。その一方で南部の地域ではウクライナ軍がロシアから奪還しようとする動きを見せていて、タス通信によるとロシア軍が占領しているウクライナ南部のヘルソンで親ロシア派の幹部が車に乗り込んでいたところ爆発が発生したという。この爆発で車の他にも4階建ての家の窓ガラスが粉々に割れたと伝えられているそうなのだが、この日はプーチン大統領直轄の治安組織「国家親衛隊」のビクトル・ゾロトフ総司令官がヘルソンを視察していたそうなのだ。 パルチザンとは軍人ではなく占領下で抵抗を続ける一般市民のことで、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」はパルチザンの活動はロシア軍の占領政策の実施を困難にしていくと予測している。ロシア軍に占領されている南部・ザポリージャ州のメリトポリ周辺でもパルチザンによる抵抗が活発化していて、ウクライナメディアによると先月にメリトポリの中央広場付近で爆発が起き負傷者が救急搬送されたそうで、この爆発を巡りロシア側が一方的に任命していた親ロシア派の市長は「自分が狙われた」と話しているという。また親ロシア派勢力は「多くの新ロシア派市民がテロによって殺された」と非難しており、今後のウクライナの戦況を左右する重要な役割になると言われていてロシア軍が軍事力で占領したとしても抵抗は続くとされている。 そのような中でロシアがウクライナに侵攻して約4ヵ月だが、これまで「ロシアが戦時国際法に違反している」という報道は何度も耳にしている。そもそも戦時国際法とはどんなものなのかということなのだが、国際政治学者で東京外国語大学大学院総合国際学研究院の篠田英朗教授は「戦時国際法とはその名のとおり、戦争中に適用される国際法のことです。世界的にはラテン語でユス・イン・ベロと呼ばれます。19世紀末から20世紀にかけて形成され始め、2回の世界戦争などを経てさまざまな条約に補強されていきました。 日本では『戦争になったら世界が混沌と化して法律も効力を失う』と考えられがちですが、戦争という非常事態においても最低限のルールが設けられているんです」と語っている。 その戦争中のルールとはいったいどんなものなのかというと国際政治学者の篠田英朗教授によると「基本的な原則はふたつ、『軍事目標主義』と『不必要な苦痛の禁止』です。戦争をしている以上戦闘員同士の戦いは避けられませんが、病院で療養している人や避難シェルターに逃げている子供などの一般市民への攻撃は正当化できません。またそんな非戦闘員が集まるデパートなどのような場所への攻撃も禁止。攻撃の対象はあくまで軍事施設に限られます。相手が戦闘員だったとしても、化学兵器やクラスター爆弾など、必要以上に相手を苦しめる武器の使用も禁止です。これらのルールに反する行為は、どれだけ自衛のためだといっても違反になります」としているが、当然ながら戦争行為自体が違法行為だという。
2022年06月26日
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定年後の生活の中で夫婦はどんなことを楽しみにしているのかということなのだが、仕事をしていた時とは夫も妻も時間の使い方が大きく異なるため何をしていいのか分からないと迷う人が多いそうなのだ。それでもシニア層はいま何を楽しみつつ今後どんなことをしたいと考えているのかということでは、ソニー生命が行った調査によると現段階で「楽しみにしていること」は男女ともに「旅行」が首位だったそうなのだ。またシニア層にはどんな習い事が人気なのかということでは英語が男女問わず人気だったという。その理由として「海外旅行を楽しみたい」を挙げる人は男女共通して多く、また「旅行や観光で訪れる外国人の応対やボランティアのため」と答える人もこの年代は多いそうなのだ。 リタイア後の夫婦関係を考えるときに「妻と一緒に何かをしたい」と望む人は多いというが、作家で「定年後の作法」の著書がある林望氏は「それを意識しすぎてもうまくいかない」と注意を促している。定年後は一日中、家で顔を合わせることになるわけで、それだけで濃密すぎる接触となることから様々なバッティングが生じるという。そもそも夫婦は別々の個人で「一心同体」ではなく「二心別体」なのだから、同じことを考えなくていいし同じ趣味を持つ必要などないという。つまり同じことを喜んだり悲しんだりすることなどあり得ないと考えるのが賢明だとアドバイスしている。こうした見方は専門家に共通するそうで、多くの専門家が「定年後に同じ趣味を見つけようと言い出す夫は多いが、これはよくない」と断じているという。 そもそも趣味というのはそれほど単純なものではなく、音楽が趣味といってもジャンルが違うこともあって、妻はクラシックが好きなのに夫はロックが好きだとしたらこれはまったく合わないし、アウトドア派であったとしても夫は山歩きが好きで妻はオートキャンプが好きというのでは、これもバラバラだという。そんな中でぴったり同じジャンルに好みが一致するというのであれば2人で一緒にやっても楽しいだろうが、そうでなければあまり面白くはないという。多少好みが違っても一緒にいること自体が楽しい恋愛時代や新婚の頃ならともかく、長年生活を共にしてきた夫婦が定年になったからといってべったり同じ趣味を目指すというのは、何か不自然な気がするし、誰でも自分の興味のないことに付き合うのは疲れてしまうという。 家にいる時間が増える以上は「家事」についても相応の負担が必要になるそうで、私の場合買い物と料理を作ることが多いのだが、専門家は「自立することが大切です。夫婦間においては、互いにやってもらおうではなく、やってあげようと思うことが重要。とにかく、料理や洗濯といった家事を妻に任せっきりにしない。それが一丁目一番地だと思います。我々の世代は夫婦の役割分担がしみついている人が多いので、どうせ料理はできないと大威張りの男性が多い。定年後は威張らないという意識を徹底したほうがよい」という。「定年後の作法」の著書がある林氏によれば、こうした“適応”定年後に始めるよりは年齢を重ねるとともに少しずつ心掛けていくのがよいそうで、これはリタイア時に張り切りすぎてはいけないからだという。 理想をいえば何か1つだけでも共通の趣味があればいいそうで、それもごくシンプルに楽しめるもの例えば旅行に行くとかおいしい物を食べに行くといったことであれば、それほどもめることもないという。これとて食べ物の好みの違いや行きたい場所の違いもあるが、何か技術が必要だったり練習したりする必要のあるものに比べれば話が合う余地はあるし、妥協することも可能だからそれほどストレスを感じることはないという。私も妻も旅行に行くのは好きで今月には4泊5日の旅行に言ってきたのだがやはり好みは微妙に違い、妻がコンサートを見ている時間に私はプロ野球を観戦していたのだ。そうしてそれぞれ関心の異なる分野であれば別々に旅行することも必要だと思っているのだ。
2022年06月25日
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欧米では新型異なウイルス感染症に関して「マスク禍」を議論の俎上にのせたうえで「マスク着用義務解除」の方向に政策の舵を切っているそうなのだが、なぜ日本は「コロナ禍」を終えられずにいるのかというと、精神科医の和田秀樹医師は「日本の高齢化率は断トツで世界一。そして人は高齢になると前頭葉が委縮し変化を好まなくなる。つまり日本人の多数が前例踏襲思考に陥っているのだろう」と語っている。日本の報道を見ていると欧米では「マスクをかけない自由」を求める頑迷な権利意識からマスクをしない人が多いようにも思える報道をしているそうなのだが、現実には医学的な判断を含めマスクの得失を十分に考慮した判断から、脱マスクの方向に方針変更したという側面が注目に値するという。 新型コロナウイルス感染症の感染防止のために外出時にはマスク着用が定着しているが、そもそもマスクを着用する意味は何かということなのだが、特に今咳がある人のマスク着用は感染拡大防止のために当然としても、無症状の人がマスクを付ける意味は何かということが議論され始めているという。自身に感染しないためなのかそれとも他人に感染させないためなのか、国とWHOの見解は感染防止の3つの基本として公表しているのは「身体的距離の確保」・「マスクの着用」・「手洗い」で、外出時だけでなく屋内にいるときや会話をするときは症状がなくてもマスクを着用が推奨されている。しかもマスク着用は手洗いよりも優先順位が高くマスク着用を重視していることがわかるという。 政府も新型コロナウイルス感染拡大阻止のためのマスク利用の指針を改定し、流行地では公共交通機関利用時など人同士の距離を取ることが難しい場合、他人に感染させないためにマスク着用を推奨すると表明している。夏期の気温・湿度が高い中でマスクを着用すると熱中症のリスクが高くなるおそれがあることから、このため屋外で人と少なくとも2m以上という十分な距離が確保できる場合には、熱中症のリスクを考慮しマスクをはずすようにするように指導しているそうなのだ。またマスクを着用している場合には強い負荷の作業や運動は避け、のどが渇いていなくてもこまめに水分補給を心掛けるようにし、周囲の人との距離を十分にとれる場所で適宜マスクをはずして休憩することも必要だとしている。 ワクチン接種率ではすでに欧米を上回っているのだが「そろそろ、マスクを外そう」という議論はあまり耳にしないという。TVを観ていて、マスクのデメリットが語られるシーンをほとんど目にすることはないというのだ。このように事態が変化していても日本は変わることができないのはなぜかということになるのだが、それは残念ながらこの国が老いたからだというのだ。わが国は一国だけ異次元の高齢化状態に達しているといってもよく、高齢化が国民全体の脳を萎縮させ政府も国民も「変化を好まなくなった」からだという。「老大国」という言葉があるのだがわが国が本当に「大国」かどうか、いや「大国だった」かどうかは議論が分かれるところにしても、日本という国が今や「老国」化していることは間違いないというのだ。 精神科医の和田秀樹医師によると人の脳とりわけ「前頭葉」は40歳を超えると目に見える形で縮みはじめるそうで、加齢によって前頭葉は目に見えて縮んでいくというのだ。医学の教科書の解説図のように頭蓋骨内に脳がぎっしり詰まった状態を保てるのはよくて30代までで、40代からは脳が萎縮しはじめ頭蓋骨と脳の間に黒く写る隙間ができはじめるという。なかでも前頭葉の萎縮が進行し萎縮始め劣化すると、創造性や意欲が低下し変化を好まなくなるが、前頭葉の萎縮によって変化を好まなくなるという。コロナ禍を起因とする「自粛禍」の悪影響によって日本人の脳はさまざまな方向に劣化したというのだが、超高齢化による国民全体の前頭葉の萎縮傾向が著しくあったと語っている。
2022年06月24日
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コロナ過ではさまざまな制約のもとに人々のライフスタイルだけでなく経済活動に大きな変化をもたらしたとされるが、庶民の娯楽であるギャンブルレジャーにも異変が起きていて警視庁の発表によれば昨年のパチンコ店の店舗数は8458店舗で、1995年の1万8000店舗超えをピークに26年連続で減少を続けている。3年前には20兆円あった売り上げは14.6兆円まで落ち込みかつて30兆円産業といわれた市場規模は半分以下になっている。パチンコライターは「パチンコ業界の不振は、打ち手が望むような射幸性の高い機種が次々と規制対象となり、競技人口が減ってしまったことが大きいですね。ギャンブル依存症が社会問題化して、やり玉に挙げられることが多かったため、仕方がない部分もある」という。 そのような苦境にあっても地域共生や社会貢献など業界健全化に取り組みホールとメーカーが一丸となって競技人口減少へ歯止めをかけようと努力していたが、コロナ禍でさらなる苦境へと立たされてしまった形となっている。前年比27%減と売り上げが大きく落ち込んだのはコロナの感染拡大に伴い全国のパチンコ店に休業要請が出され、各店舗が営業自粛を余儀なくされたからだといわれている。連日のように感染拡大の一因であるかのように報道で取り上げられ著しい風評被害を受けていたのだが、規制による人気機種の撤去もあってこれを機会にパチンコから離れてしまった人は多いというが、先月には老舗パチンコメーカーの「高尾」が民事再生法の適用申請を行って保全監督命令を受けたという。 それでも庶民の足がギャンブルから遠のいたわけではなくその証拠に競輪・競馬・競艇といった公営ギャンブルの売り上げは伸びている。いずれもコロナ過で来場者数は減少したものの売り上げを伸ばしネット購入できる点が奏功した形で、アプリの開発や活発な広報活動が認知度の向上とイメージアップにつながり新規顧客獲得の一助となっている。最も前年比の伸びが大きかった競輪は公益社団法人全国競輪施行者協議会が事業計画で新たな課題に向けて重点的に取り組む事項の一つとして若い世代をターゲットにインターネット上において興味を感じる広報施策を展開し、単にお金を賭けて車券を買うだけでなくゲーム感覚で遊べるようになっているのが特徴のアプリを開発し新規顧客の取り込みを図るとしているという。 新型コロナ感染拡大で多くのレジャーやイベントに携わる事業者が厳しい経営を強いられているが、在宅でもライブ感を楽しめる「公営競技」はインターネット投票券やレース中継の配信などの急速な普及を追い風に関連する法人の業績が拡大しているという。全国の公営競技関連27法人の売上高合計は、コロナ前の10月期から翌年の9月期が3兆5,739億円だったのだが、その後新型コロナ感染が拡大した2年前の10月期から次の年の9月期は3兆7,636億円に伸び、最新期のでは4兆311億円と伸び幅が拡大していて売上高が4兆円を突破したという。コロナ禍でインターネット投票が増加しているがインターネット投票の拡大に加え競技専門チャンネルの普及も売上増を後押ししているといわれている。 パチンコからの客が多く流れたのではないかと予想されるのが競艇で、新規顧客獲得に向けて努力を重ねてきた業界の戦略もあり、外出もままならずホールに打ちにも行けないという外出や飲み会が減ったことで支出が抑えられ潤沢になった種銭が、家にいながらインターネットで舟券を購入し競艇を楽しんでいる様子が流れたという。近年流れていたCMのおかげでイメージも悪くなりそれまで何度かオンラインのビデオチャットで友人らが楽しむ様子を見学して参戦してみようと思った人が多家という。なんといっても6艇での競技のため「当たりやすそう」と思ったのが大きいとされ、しかもインターネット投票だと財布の中からお金が減ってしまうという感覚が薄いためつい掛け金が多くなってしまう傾向になったといわれている。
2022年06月23日
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食料品など幅広い商品で値上げが相次ぐ中で家計の値上げ許容度が低下し節約志向が高まっているとの分析結果が発表されたそうで、民間のシンクタンク・みずほリサーチ&テクノロジーズが日銀の「生活意識に関するアンケート調査」を元に分析したところ、「家計の値上げの許容度が低下している」との結果になったという。日銀の黒田総裁が「家計が値上げを受け入れている」と発言しその後撤回したが発言とは逆の結果となっており、さらに調査結果の分析では飲食料品を中心に割安な商品を購入しようという意識が高まっていると指摘している。確かに現在の情勢では「値上げしても仕方ない」とは思っていても、値上げは当面続く見通しで「節約志向の高まりが個人消費の回復ペースを鈍らせることが避けられない」としている。 春先から始まった怒涛の値上げラッシュは単なる序章にすぎないとされ、その理由について経済評論家の加谷珪一氏は「4月に行われた値上げは、昨年に値上がりした原油価格や資材価格を反映したものに過ぎません。ロシアのウクライナ侵攻によって生じた燃料や原材料の高騰分が価格に転嫁されるのは、今年の夏以降になります」とし、これまでの値上げは食品や電気など原材料費の高い商品が中心だったが、夏以降は自動車・家電・住宅など原価率の低いものにも波及していくという。さらにウクライナ問題が解決しても円安による物価高はしばらく続く可能性が高いと分析し、今後も円安物価高が続けば低所得者層の上の世帯つまり年収400万円以上の世帯の生活もひっ迫する恐れがあるという。 今回の参院選を前に最大の争点となりそうな物価高対策で、テレビやネット番組では各党代表による討論会が連日行われているが、物価高騰についての議論では消費税減税を訴える野党に自民党が攻め込まれる場面が目立っており、自民党の高市政調会長の発言が炎上しているのだが、れいわの大石政審会長に「数十年にわたり法人税は減税、お金持ちは散々優遇してきたのに消費税減税だけはしないのはおかしい」と追及されると、高市政調会長は「れいわ新選組から消費税が法人税の引き下げに流用されているかのような発言が何度かありました。これは事実無根だ」と反論したが、消費税は法律で社会保障に使途が限定されているとして「デタラメを公共の電波で言うのはやめていただきたい」とまで言い放ったという。 消費税減税について高市政調会長は「安定的な財源が確保できなくなる」と強弁し、公明の竹内政調会長も「安易に減税すべきでない」と否定しているが、消費税が法人税の穴埋めに使われているのは数字上明らかで、財務省の「一般会計税収の推移」によると消費税が導入された時点の消費税収は3.3兆円だったが昨年度は21.1兆円と6倍に膨れ上がっており、一方で法人税は19兆円から12.9兆円へと6.1兆円も減税されている。来月の参院選が終わると大きな次の選挙までに3年の期間があるかとから、この期間に消費税の増税をする予定があると言われている。高市政調会長の発言に対してネット上では「デタラメ、ウソつきはどっちだ」とか「組織票や献金の恩返しに大企業や金持ちを優遇」と猛批判が起きているそうなのだ。 自民党の高市政調会長は消費税減税について「増税前の駆け込み需要や減税前の買い控えも起こる」とか「事業者も大変ですよ」などと必死にデメリットを並べ立てていたが、事業者から「変更が大変だから、消費税減税はやらないで欲しい」との声は聞いたことはないという。多少手間がかかっても減税により消費が上向くことを望んでおり、物価高騰には消費税減税が有効なのは海外が示しているという。消費税にあたる付加価値税の減税を実施・予定している国は昨年3月の56カ国から89カ国に激増しているのだが、野党7党は何らかの形で消費税減税を公約に挙げていて、政府自民党寄りの国民民主党や維新の会も消費税減税を求めていて消費税減税を求める世論が広がれば、選挙での自公は苦戦必至だという。
2022年06月22日
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日本国憲法前文に「日本国民は、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とある。これは憲法第9条の戦争放棄の基本的立場を内外に向かって高らかに宣言する内容となっている。ところがウクライナ危機による世界情勢の変化を受け日本政府は防衛費を大幅に増額しようとしているのだが、ロシアだけでなく中国や北朝鮮等の対外的な脅威を煽って不用意に軍拡を進めれば日本が紛争に巻き込まれるリスクは逆に高まると、英イーストアングリア大学で日本の外交政策・国際関係を研究するラー・メイソン氏は、日本の平和主義は名ばかりだと切り捨てたうえで、専門家が寄稿するウェブメディア「カンバセーション」で日本は平和主義の回復を真剣に考えよと訴えている。 政府は防衛費を現行予算のほぼ倍額にすることを検討しているといわれているが、額にしておよそ11兆円で国内総生産の2%に相当するという。ロシアのウクライナ侵攻を受け軍事費の大幅増額を発表したドイツと同様に、第二次世界大戦の敗戦国として軍事的に骨抜きにされた日本が歴史を巻き戻そうとしているというのだ。自民党は4月末にこの要請を出した理由をウクライナ情勢および中国・北朝鮮・ロシアなど近隣諸国の緊張の高まりを考慮してのことだと説明しているが、岸信夫防衛相は「防衛費増額の提案は、近隣地域からの攻撃に対抗する“反撃能力”を保有するため」だと述べている。アメリカは長年アジア太平洋地域の安全保障費用をわけあうため日本に防衛費を増額するよう圧力をかけてきたとされている。 日本が防衛費を倍増すれば北大西洋条約機構加盟国の軍事費と肩を並べることになるわけなのだが、アジア太平洋地域でも「アメリカの真の同盟国」という日本の立ち位置がいっそう強化されるという。従来の日本は対等な同盟国というよりアメリカに依存する国で、これはアメリカ主体の連合国軍が帝国主義の復活を阻止するために「平和憲法」の原案を起草して以来日本が維持してきた姿勢だった。現行の日本国憲法は武力の行使と戦力の保持を禁じていて自衛隊が創設されたあとも憲法の規定は変更されず、その後さらに国民総生産比1%とする防衛費の上限目安と、核兵器を「持たず・作らず・持ち込ませず」と定めた「非核三原則」が加わり、日本の憲法と反軍国主義的な第9条はそのまま残り現在に至っているとされている。 安倍晋三元首相は防衛費に関して来年度予算で「6兆円後半から7兆円が見えるぐらいが相当な額ではないか」と主張しているが、これまで防衛費は自衛隊が発足して以来「防衛費が無制限に膨らむ」との懸念を国内外で持たれないように、田中角栄内閣で防衛費膨張の歯止めとなる基準づくりの議論を開始し、三木武夫内閣のもと国民総生産比1%を「超えない」と閣議決定がなされている。その後中曾根康弘内閣が撤廃をしたのだが予算では1%を超えたものの特段の基準となる制約がない中でもほぼ国民総生産比1%枠が守られてきた。こうした「防衛費増額ありき」の風潮に抗うためか財務省は「防衛費は国の経済力を表す国民総生産ではなく、政府の安定的な収入である税収との対比で考えるべき」との見解を示してきた。 「憲法9条」・「GDP1%の防衛予算上限」・「非核三原則」の3点セットは日本がかつての植民地支配時代に戻るのではないかという周辺国の不安を緩和してきたといわれるが、日本政府が防衛費に多くの国費を注いでいるのは他国の海軍と引けをとらない実力を擁する海上自衛隊の戦力を見ればわかるという。少なくとも物資的には日本が防衛力を堅実に増強している事実に疑いの余地はなく、たとえば中国と台湾間の有事で日本のこうした外交政策の転換がかえって将来の紛争を誘発しかねないと懸念されてもおかしくないという。ロシアのウクライナ侵攻を機に中国が台湾を追い詰めようとするなか日本は古びた憲法の色褪せたページが完全に引き裂かれる前に平和主義の回復を真剣に考えるべきであるというのだ。
2022年06月21日
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世界的な資源・エネルギーの価格上昇に急激な円安も加わり日本でもインフレ圧力が高まっているのだが、日本銀行が発表した先月の企業物価指数は前年同月比で9.1%上昇し15カ月連続のプラスとなったそうなのだ。原料高はいつまで続くのかだが基本的な素材の1つ鋼材について見てみると、新型コロナウイルスの影響で様々な経済打撃を受ける中、住宅・建築需要が伸びウッドショックだけでなく、アイアンショックも起きている。アイアンショックは中国とアメリカの需要拡大に伴い鋼材価格が急騰している現象で、H型鋼などを使用する大規模ビル・施設といった建築物のみでなく住宅にも鋼材は広く使用されており、金属部材の商品価格が上昇しているため住宅価格にさらに影響を与えているという。 アイアンショックによって住宅の外壁に用いられる金属サイディングが17%の引き上げを行なった会社もあるそうで、約20%の価格上昇を突然行うということは異例中の異例だという。「国内は今年度上期について主原料分で2万円、副原料分で1万円の値上げを打ち出した」と語るのは国内鉄鋼2位の「JFEスチール」を傘下に持つジェイ エフ イー ホールディングスの寺畑雅史副社長なのだが、「JFEスチール」の今年1~3月期の鋼材平均価格の単独ベースは11万6700円で1年前から約5割引き上げている。この価格は国内外の平均値だが今年度上期に打ち出した主原料分と副原料分の合計で3万円は2割前後の値上げになっており、「。JFEスチール」は6月以降さらに1万円、計4万円の値上げに取り組んでいるという。 鉄鋼の場合主原料の一角である原料炭は値上がりが甚だしく、ロシア・ウクライナ戦争の勃発で3月には一時650ドルを超えその後も500ドルを超える水準が続いている。各資材メーカーは鋼材価格の上昇に伴い販売価格を上げているのだが、住宅価格がその分上がることはもちろんのkととなるが、住宅価格を上げすぎると住宅の買い控えが生じてしまうという。そこで建築業界は下請け構造になっているため末端の下請け業者ほど安く買い叩かれてしまうというのだ。自社で建材の発注から施工まで行っている地元の一人親方や小規模の職人集団は発注元の金額に合わせるために人件費を削るしかなく、しかしそれも持たず疲弊し潰れていってしまう会社も出てくるという悪循環が始まっているという。 鉄鉱石は昨年後半に100ドルを割ったがその後上昇して130~140ドルの高値圏になり、さらにニッケルやモリブデンといった副原料も値上がりし、エネルギー代も加えれば鋼材価格の大幅値上げは必須というわけなのだ。中堅自動車メーカー役員は「鉄鋼メーカーは自分たちの利益だけを押し通しているように感じる。サプライチェーン全体のことを考えてほしい」と苦言を呈する一方で、鉄鋼側の言い分は「本来得るべき利益を得ていなかったこれまでが異常だっただけ」としているが、顧客側に不満が高まっていることも事実だという。海外の鋼材市況は乱高下していて、ロシア・ウクライナ戦争を受けて欧米ではパニック買いで市況が一時急騰していてその後も高値圏で推移している。もっとも足元の鉄鋼需要はそれほど強くないという。 この先も鋼材価格は右肩上がりとなるのかというとカギを握る2つの要因があるが、1つめは中国要因で再度のロックダウンなどで経済の減速が止まらず、中国の鋼材市況が一段と低下すれば日本の鋼材価格の下落圧力が強まるのだがこの可能性はそれほど高くないという。秋に開かれる共産党大会に向けて経済を立て直す動きが強まるとみられるからで、そうなれば鉄鋼需要・鋼材市況ともにプラスとなるが、現在の原料価格では中国メーカーも利益を出せないことも鋼材価格の下支え要因となっている。1つのポイントは原料価格の行方で「鋼材価格が1トン当たり10万円を割るような時代には戻らないのではないか」といった見立てが鉄鋼業界には多く、設備実装など膨大なコスト負担で鋼材価格が安くなる未来図は描きづらいという。
2022年06月20日
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内閣府男女共同参画局は全国の16歳から24歳を対象とした性暴力被害に関する初の実態調査の結果を公表したのだが、「最も深刻な被害に遭った場所」として「学校」が最多だったことが明らかになったそうなのだ。次いで多かったのは「公共交通機関」で、被害者が望む必要な対策として「刑法改正による法令適用範囲の拡大」が最も多く、法制度の見直しを巡る議論に影響を及ぼす可能性があるという。性暴力被害に関する調査はオンラインによるアンケート形式で実施されたそうで望まない性的な言動を「性暴力」と定義し、全国にある性犯罪・性暴力に関する相談窓口「ワンストップ支援センター」で面談利用者の過半数が若年層であることなどから調査対象を16歳から24歳までの若者に絞ったという。 性別や年齢別の人口分布を考慮して約22万1000人を抽出し6224人から回答を得たそうなのだが、さらに回答数を増やすため約10万7400人を抽出し2717人が回答したという。その結果回答者計8941人のうち計2040人が被害に遭っていたことが判明したのだが、内閣府は回答率が低いことから「母集団の特性を反映する疫学的データとは言えない」としつつ、1回目の回答者6224人のうち被害経験者が1644人いたことから、「約4人に1人が何らかの性暴力被害に遭ったと回答した」として事件性を強調しているという。被害の分類は「言葉によるもの」が一番多く「身体接触を伴うもの」や動画を見せられるなどの「情報ツールを用いたもの」が続き、「視覚によるもの」と「性交を伴うもの」の順に多かったそうなのだ。 被害経験者2040人に「最も深刻な被害」を一つ選択させた上でその加害者を複数回答で尋ねたところ、「身体接触を伴うもの」を選んだ人の加害者は「知らない人」が最多で、教職員や先輩だけでなく同級生などの「学校関係者」などと続いたという。「性交を伴うもの」については「学校関係者」が最も多く「元」を含む「交際相手」が多いという結果だが、「最も深刻な被害に遭った場所」では「学校」が最多で、「公共交通機関」は痴漢被害場所の8割を占め生活に身近な場面で被害に遭っている実態が浮き彫りになっている。その中でも中学教師によるわいせつ行為等の性犯罪の発生率は全体の15倍ということで中学教師が突出していることが指摘されているが、女教師の場合は男子生徒からの性的暴力被害が多くなっているという。 女教師研究所の調べによると小学女教師・中学女教師・高校女教師が児童・生徒・未成年に対して行った「わいせつ行為等」は、結論として中学女教師の件数は一概には多いとは言えないそうなのだが、高校女教師の件数が多いが男女の恋愛関係によるものが多く、厳密には「わいせつ行為等」とはいえないと考えられており、つまり男性教師のように嫌がる相手を無理やりにというのとは違うという結果になっているそうなのだ。ただし女教師研究所の調べによると中学女教師に対する中学男子生徒からの性的暴力行為は小学教師や高校教師に比べて圧倒的に多く、つまり生徒からの性的暴力の被害にあうことが小学女教師や高校女教師に比べて異常なまでに多いそうで、男子生徒の多くは教室で事件を起こしているという。 一例では生徒は女性教師が待つ教室にひとりで向かい目的は成績について話し合うことだったというが、思うように進まなかったため生徒は逆上しいきなり教師に飛びかかり細い首に手をかけ本気で絞め上げるなどして苦しめたという。生徒は拳を振り上げ教師を何度も殴ったりしたほか完全に意識を失うまで首を強く絞めて半殺しにした。教師が気を失って倒れ込んでも容赦なくいたぶり性的暴行を加えるなどした上でその場から立ち去ったという。しばらくたった後学校の管理人が教室内に置き去りにされていた女教師を発見し慌てて声をかけ介抱したそうなのだが、命に別状はないらしく「状態は安定している」と報じられている。この事件に関して内閣府は調査結果を詳しく分析したうえで今後の被害者支援などに役立てる考えだという。
2022年06月19日
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ロシアのメドベージェフ前首相はロシアが侵攻を続けているウクライナに対して「2年後の世界地図に存在すると、誰が言ったのだろう」と述べたという。メドベージェフ氏はロシア大統領を務めた後2020年まで首相に就任しており、現在は安全保障会議副議長の立場にあるが、最近は通信アプリで過激な投稿を繰り返し今月には反ロシア勢力を「消滅させる」と記して物議を醸しているという。ウクライナ側は強く反発していてポドリャク大統領府顧問もツイッターへの投稿で「国の破壊がロシアの目的で北大西洋条約機構の脅威が戦争の理由でないことをメドベージェフ氏が認めた」とし、「ウクライナは過去から現在、未来にかけて存在し続ける。メドベージェフ氏が2年後にどうなっているかの方が問題だ」と皮肉っているそうなのだ。 日本でもロシア通で知られる日本維新の会の鈴木宗男参院議員が自身の公式ブログを更新しロシアによるウクライナへの軍事侵攻について、「ウクライナのゼレンスキー大統領は『武器を供与してくれ、少ない』と訴えている。欧米諸国は協力する姿勢を示しているが、それでは戦争が長引き、犠牲者が増えるだけではないか」としたうえで、「自前で戦えないのなら潔く関係諸国に停戦の仲立ちをお願いするのが賢明な判断と思うのだが」と私見を述べ、ゼレンスキー大統領の姿勢に苦言を呈したという。そのうえで「名誉ある撤退は『人の命を守る』上で、極めて大事なことである。また、物価高で世界中が悲鳴を上げていることを考えるべきだ」などとウクライナに対して呼びかけたそうなのだ。 日本維新の会の鈴木宗男参院議員はロシアの侵略に対してウクライナが戦闘を続けることで世界的な物価の上昇が起きているというのだが、しかし報じられている戦況から見えてくるのはロシアの身勝手な侵攻ぶりばかりで、新聞記事の多くは「2月末に侵攻が始まった当初から、ロシアの一方的な軍事行動は国際法違反であると指摘されていました。またロシアはウクライナの病院や学校も攻撃しており、民間人の犠牲者も多数報告されています。鈴木議員はウクライナの責任を指摘していますが、一方的な侵略で物価の上昇を引き起こしているのはウクライナではなくロシアなのだ」としている。そのうえで「各国はこの事態を重く受け止めロシアに経済制裁を加えるなど厳しい措置をとっている」としている。 ウクライナに「名誉ある撤退」を呼びかけた鈴木議員だがこの発言に対し「主権を侵害されたので、国民が命がけでそれを防ごうとしているのにそれを他国の政治家が物価高だから諦めて降伏せよとは何事ぞ」や「物価高の原因はロシアが侵略を始めたからでしょう。日本維新の会はこういう国会議員を野放しにする政党なのでしょうか」等の批判の声がインターネット上では殺到しているそうなのだ。さらにセルギ・コルスンスキー駐日ウクライナ特命全権大使も「鈴木さん、私の唇を読んでください、私たちは降伏しません。プーチンは悪そのものであり、ロシアは戦犯である。我々は、武器があろうがなかろうが、戦います。素手で戦います。なぜなら、我々は何のために戦っているのか知っているからです」と抗議している。 それでも鈴木議員は「ドイツ・フランス・イタリアの首脳がウクライナを訪問しゼレンスキー大統領と会談している。相も変わらずゼレンスキー大統領は『武器供与』を訴えている。どの歴史を見ても自前で戦えないならやめるのが当然ではないか。ドイツ・フランス・イタリアもゼレンスキー大統領に『私たちが中に入るから、ここは停戦だ』と何故呼びかけないのか」とし、その上で「戦争にはそれぞれの言い分、理屈がある。かつての日本もそうだった。これ以上、戦争を継続し犠牲者を出すことは許されない」とし、「食料供給・エネルギー・肥料等さまざま物価高騰で世界中が困っている。世界の平和、安定を考えるなら停戦しかない。ドイツでG7が開催される。岸田総理が停戦に向けてリーダシップを発揮してほしいものである」と続けている。
2022年06月18日
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外国為替市場で円安の勢いが止まらないバブル崩壊後の金融危機が深刻化し市場が「日本売り」の様相を呈していた水準にまで急落しているが、「政府と緊密に連携しつつ為替市場動向を注視したい」と日銀の黒田東彦総裁は参院決算委員会で急速な円安を強くけん制したそうなのだ。鈴木俊一財務相も「今は賃金上昇の力が弱い。円安のマイナス面が出ている」と呼応したという。政府・日銀は円安に対するけん制のトーンを一気に上げ始めており、財務省と金融庁・日銀が会合を開き異例とも言える「急速な円安の進行が見られ、憂慮している」との声明文を発表し「必要な場合には適切な対応を取る」との方針も示し、円安阻止へ円買い・ドル売り介入も辞さない構えを見せたが、市場は政府・日銀の限界を見透かしているという。 3カ月で20円近くも進んだ急速な円安は輸入物価の上昇を通じていることから政府・日銀は口先介入を強めるが、効果は限定的で円安阻止へ有効策を見いだせずにいるそうで、米連邦準備制度理事会は歴史的なインフレ抑制のため利上げペースを加速させるとの見方が浮上しており、日銀が大規模緩和を続ける日本との金利差は一段と拡大する見通しだという。金利の低い円が売られやすい状況は今後も続く公算が大きいとされており、円安阻止の為替介入をめぐっても米財務省は公表した半期為替報告書で「極めて例外的な場合に限られるべきだ」とくぎを刺されている。政府・日銀は介入を事実上封じられた格好で参院決算委で介入の可能性をただされた鈴木財務相も「コメントを控えたい」と述べるにとどめたという。 急激な円安進行を受け政府・日銀は「必要な場合には適切な対応を取る」と為替介入も辞さない構えを見せているが、生活必需品の値上がりに拍車を掛け消費を冷え込ませる恐れがあるためだという。ただ実際に円買い・ドル売り介入に踏み切るには米通貨当局の理解を得ることが不可欠で、インフレ退治に奔走する米国は輸入物価を押し下げるドル高を事実上容認していて介入のハードルは高いという。「急速な円安の進行が見られて憂慮している」と鈴木財務相は閣議後記者会見で改めて懸念を表明し、その上で「各国の通貨当局と緊密な意思疎通を図る」と述べ「伝家の宝刀」と呼ばれる介入をちらつかせ外国為替市場をけん制したが、市場の反応は薄く実力行使を伴わない「口先介入」は限界を露呈しつつあるという。 大規模な為替介入を指揮した経験を持つ元財務官の1人は「実際に介入した後でなければ口先介入は効かない」と解説しており、為替介入は東日本大震災後に円高が進んだ11年前の11月を最後に行われていないというのだ。円安阻止のための円買い介入は日本経済がバブル崩壊後の金融危機に直面していた1998年6月までさかのぼるのだが、円買い介入の原資には外国為替資金特別会計が保有する外貨や外貨建て債券の売却資金を充てるとされており、財務省によると日本の外貨準備は5月末時点で1.3兆ドルを超えそのうち8割は米国債などの証券で元手は潤沢だが、大量の米国債を売却すれば米国の金利が一段と上昇し世界の金融市場が混乱に陥る恐れがあることから米国の承認が必要だという。 米財務省は発表した半期為替報告書で日本に対し「介入は極めて例外的な状況に限り、適切な事前協議を踏まえて実施されるべきだ」と注文を付けているという。今年1月の円相場は1ドル115円台で推移していたからこの半年間で20円も下落したことになるわけだが、市場では「150円台も視野に」といった見方も広がっているという。それでも日銀の黒田総裁は大規模金融緩和を見直すなど円安是正に動く気配を見せていないことから、市場では円安を食い止める最大の特効薬は黒田総裁辞任との見方が浮上していおり、仮に新総裁が就任すれば利上げに踏み切るかもしれないとの心理が働き円売り・ドル買いは慎重になるはずで、黒田辞任で10円程度の円高効果はあるとみているそうなのだ。
2022年06月17日
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新型コロナウイルスの水際対策で停止していた訪日観光客の受け入れが再開し旅行業界は需要獲得へ攻勢を強めているが、手続きが始まり観光客が実際に到着するまでには2週間前後かかりそうだという。対象は感染リスクが低い国からの添乗員付き団体旅行で観光庁はマスク着用などの注意事項を列挙したガイドラインを定めているが、全国の旅行会社でつくる日本旅行業協会の高橋広行会長は「外国人観光客と受け入れ側双方の安全を守る」と会員企業に順守を求める。訪日旅行を手掛ける旅行会社には欧米の旅行会社などから毎日数十件の問い合わせが殺到しており、海外向けのプロモーション動画を作製するなど顧客獲得を急いているが、「2年半なかった訪日旅行を迎えられ、心からうれしい」と喜んでいるという。 ただ受け入れの対象となるのは感染リスクの低いアメリカや中国・韓国など98の国と地域で、個人旅行は見送られ添乗員が同行しマスク着用などガイドラインを守るパッケージツアに限るという条件付きだす、1日当たり約2万人の入国上限が残る現状では訪日客数の急回復は望めず他の先進国並みの制限緩和を求める声が根強いという。コロナ前には1日当たり平均約14万人の訪日客があったとされ約2万人の上限は足かせとなりそうで、独立した立場で交通・観光分野の政策提言を行う運輸総合研究所の山田輝希国際部長は人数制限について「検疫態勢に余力が出てきたために必要性が乏しい上他の主要国での導入例もない」と説明し、今回の措置は「日本を除く先進7カ国並みの水準に届いていない」と撤廃を訴えているという。 それでも一部のメーカーも輸出拡大へ弾みになると期待を寄せており、「TOTO」は自動除菌機能を備えた温水洗浄便座の「ウォシュレット」などの新商品を開発し、今夏から世界に向けて順次発売するという。「TOTO」社製品は国内のホテルや観光地にも多く配備されており、清田徳明社長は「日本に来た外国人に清潔で安全なトイレを使っていただく。日本全体がショールームだ」と意気込んだいるという。外国人観光客に膨らむ期待として日本は急速な円安に陥っていて東京外国為替市場では一時1ドル134円50銭まで値下がりし、およそ20年ぶりの円安水準となっているという。これに関して岸田首相も「インバウンド、外国から観光客が来れば円安は追い風になる」と述べているそうなのだ。 緩和されたとはいえ入国者数の上限は2万人でその数は世界的に見て多くはないが、はたして日本が提示する条件は世界基準に見合っているのかということでは、ネット掲示板の「2ちゃんねる」創設者であるひろゆき氏は「日本に入国するとき日本独自仕様のフォーマットでPCR検査の報告書を作らなくてはいけない。それがどこで作れるのか日本大使館のサイトで紹介されている場合もあるが普通の外国人は分からない。日本の偉い人や官僚の人がそれを分かっていないからなかなか厳しいだろうなと思う」とコメントし、「日本人は4000万人ぐらいが年金をもらっている。そうすると、失業してどうこうというのは所詮100万~200万人のぐらいの話で年金をもらっている人は別に観光ビジネスとかはどうでもいい」としている。 また慶応義塾大学経済学部教授で新型コロナ対策分科会のメンバーを務める経済学者の小林慶一郎氏は「過去2年間のコロナ禍で観光業の会社はみんな借金漬けになっている。観光業の会社の借金をどのように減免もしくは軽減するかということも、本当は政府が考えないといけないのに、まだあまりその話には踏み込んでいない」と指摘したうえで、新型コロナウイルスの感染状況を「予想外に早く収まってきていると思う。ゴールデンウィークがあけてから急激に増えるのではないかと心配していたがならなかった。不思議だ。第5波でも急激に下がったがそれと同じように理由はよく分からないが何らかのメカニズムでタイミングが合うと下がっていくことがこういう感染症にはあるのかなと思う」と述べている。
2022年06月16日
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食品代など物価の高騰が続く中で私も受け取っている公的年金は今月支給される分から0・4%減額される。電気料金や食料品などの値上げが相次ぎ黒田日銀総裁の「家計の値上げ許容度も高まってきている」という発言が批判されるなか、支給額を知らせる通知に「なんで減額なのか」とか、「物価が上がり始めているのに」といった疑問の声が広がっている。年金は2月・4月・6月・8月・10月・12月と年6回に分けて支払われるので、減額となる今年度の年金の4月・5月分は今月の15日に初めて受け取る形となるわけなのだが、年金の保険料を納める現役世代の賃金が新型コロナの影響などで減ったためで引き下げは2年連続となる。しかも今年度から老齢年金の受け取る年齢にも大きな変化があった。 老齢年金とは老後の生活を支えるために給付される年金のことで私たちがイメージする年金のことだとされている。日本に住む20歳以上60歳未満全ての人が加入する「国民年金」の支給額は月額6万5千75円から6万4千816円に259円減少になり、会社員らが入る厚生年金は22万496円から21万9千593円に903円減少するという。平均的な収入のある夫婦2人の世帯の年額にすると1万3千944円減額する計算だという。また物価の変動に応じて変動する老齢年金生活者支援給付金となる65歳以上で同一世帯全員が住民税非課税の人が対象も5千30円から5千20円に引き下がるという。今回は年金支給の仕組み過去の賃金下落に連動させることになったため直近の物価高騰には連動しないという。 この年金算出の仕組みで重要なのは「年金の増減は物価の上下で決まるのか、あるいは賃金で決まるのか」と、「どの時点の上下で決まるのか」の2点で、年金は毎年1回4月に物価や賃金に応じて増減する仕組みになっている。基本ルールでは年金をもらいはじめの人は賃金で決まるのだが、「少し前まで現役だった人」として現役世代の賃金に合わせるという考え方となっている。すでに年金をもらっている人は物価で決まり、年金生活者の暮らしを維持するには物価に合わせるという原則的な考え方に基づくという。「物価」の変動率がマイナス0.2%、で3年間における現役世代の「賃金」の変動率がマイナス0.4%となったことから、より低い「賃金」の指標に合わせて支給額を0.4%引き下げるマイナス改定となったという。 公的年金の支給額は本来であれば年金財政の収支バランスを保つために年金支給額の伸びを抑える「マクロ経済スライド」という仕組みも加味されて決まることになるが、しかし「マクロ経済スライド」はあくまで物価や賃金の変動に応じてプラス改定となった場合にしか適用されないため、今年度も適用されず来年度以降に持ち越されている。年金制度に詳しい慶應義塾大学の駒村康平教授は「今の年金制度が、現役世代が納めた保険料を、仕送りのように高齢者の年金給付に充てる賦課方式となっている以上、少子高齢化が進む中では、支給水準を下げていかざるを得ない」と指摘するのだが、しかし年金の支給水準が大幅に下がってしまうと老後の生活が維持できなくなるおそれがあると指摘している。 5年に1度「財政検証」によると2040年には「年金」をもらっている人に比べて15%前後目減りし、2060年には30%ほど目減りしているのではないかと予想されている。日本人の平均寿命は男性が約82歳で女性が約88歳といわれているが、経済は常に動いているので物価も賃金も長期的に予想することは不可能だという。ただ一つ言えることは確かに現在年金をもらっている方たちよりもらう額は下がり年金の支給額は物価や賃金の変動に応じて毎年改訂されるほか、制度改正もされるので年金の目減りが避けられないことだという、自分の働き方や暮らし方と密接に関わるものであることを認識し、成り行きに任せていてはいけないと考え、長生きをしながらどのような老後の生活を描くか柔軟に考えていく必要があるという。
2022年06月15日
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外国為替市場で円相場は一時1ドル135円台前半とおよそ24年ぶりの円安水準になったそうなのだが、日経平均株価も800円を超える下落となってという。円相場は一時1ドル135円台前半というのは1998年10月以来およそ24年ぶりの円安水準なのだが、日経平均株価は先週末より836円安い2万6987円44銭で取引を終えている。アメリカで株価が大幅に下落した流れを引き継いた流れだというが、アメリカが金融引き締めを加速させる一方で日銀は金融緩和を継続しているため日米の金利差が意識され、わずか半年で20円以上の円安が進でいるというのだ。市場関係者は「今週半ばに開かれるアメリカの金融政策について話し合う会議の終了まで不安定な値動きが続く」と話しているそうなのだ。 この1998年の10月といえばといえば日本経済が激震に見舞われた年で、その前の年には山一証券が経営破綻し株安と円安が同時に進む「日本売り」という言葉が飛び交っていたのだが、その当時円安と戦ったのが「ミスター円」と呼ばれた財務省の榊原元財務官で、榊原氏はいまさらなる円安が進むと警告している。榊原氏は「140円台までいくんじゃないかと思います。150円に非常に近いところまで円安が進む可能性はありますね」という。その理由の1つが為替介入の難しさで、アメリカはいまの「ドル高」が好都合なため、為替介入は難しくあまり手の打ちようがないと指摘し「アメリカはいまのドル高をむしろ望んでいるようなところがあります。いま介入することにアメリカが同意する可能性はないわけです」という。 米財務省は主要貿易相手国・地域の通貨政策を分析した半期為替報告書で、大幅な対米貿易黒字を抱える日本を引き続き監視対象に指定しており、急速な円安・ドル高に見舞われる日本に対し為替市場介入は極めて例外的な場合に限られるべきだと改めてくぎを刺したという。米国はインフレ抑制に働く自国通貨高を事実上容認しており、日本の通貨当局が円安阻止の介入を行う難しさが浮き彫りとなったわけだが、為替報告書はドルが主要通貨に対して上昇している現状を踏まえ、日本について「日米の金利差拡大を主因に円安が進んだ」「実質実効ベースの円相場は50年ぶりの安値に近い」などと指摘した上で「介入は極めて例外的な状況に限り、適切な事前協議を踏まえて実施されるべきだ」と従来の主張を繰り返したという。 これについて松野官房長官は記者会見で「最近の為替市場では、急速な円安の進行がみられ憂慮している」と述べたという。円安が急速に進んだ背景は日米金利差と需給要因の二つが大きく影響しており、まず金利差なのだが米国「連邦準備理事会」がインフレ抑制のために利上げ路線を積極化させる一方で日銀が超緩和政策の堅持を続け、結果的に日米金利差が拡大する一方となったためだという。国会で黒田総裁は「最近の急速な円安の進行は先行きの不確実性を高め、企業による事業計画の策定を困難にするなど経済にマイナスで望ましくない 」と語っている。円安進行の主たる背景要因として日米の景況感の差が鮮明に開いていることは大きいのだが、ポイントは個人消費に代表される内需の強さの違いだという。 各種経済指標を確認すると米国経済は堅調に推移しており、賃金の上昇ペースは高水準となっているが、米国とは対照的にわが国では需要が弱いという。企業は急増するコストの価格転嫁を進め生産者物価の上昇に歩調を合わせて消費者物価が上昇していて、世界全体でエネルギー資源や穀物に石油化学製品や物流費用などモノとサービスの価格が急騰しているが、企業の価格転嫁は容易ではなく企業物価と消費者物価の乖離が大きいが、足許ではコスト増に耐えられない企業が急増しているという。内需は追加的に圧迫され国内企業の業績悪化懸念は高まりそれが円の先安感を強める展開が懸念されている。急速な円安は望ましくないとしながらも金融緩和を修正しない黒田総裁の責任が問われているという。
2022年06月14日
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交通事故の被害者支援を充実させるため、自動車損害賠償責任保険の仕組みを変更する改正法が衆院本会議で賛成多数により可決・成立した。これを受け政府は来年度に保険料を車1台当たり最大150円値上げする方針で、金額は有識者検討会で議論し政令で定めるとしている。自動車損害賠償責任保険は強制保険であり自動車は必ず入らなければならない保険だが、物件は対象ではなく怪我を負わせた相手を補償するものとなっている。保険料の一部として賦課金年間16円が徴収され国はひき逃げや無保険車による事故被害者の保障に充てており、今回の改正により賦課金の使い道を拡大しこれまで特別会計の積立金と運用益で賄っていた被害者支援や事故防止にも充てられるようにして安定的な財源を確保するという。 今まではひき逃げ等で相手がわからない場合や無保険車の場合には、被害者は「政府保障事業」によって救済を受けてきたのだが、しかし自賠責保険と同等の補償が受けられない場合が多く指摘されていたそうなのだ。自賠責保険では死亡事故では最高3000万円だけでなく後遺障害に至らない怪我の場合は最高120万円となっており、ひき逃げや無保険車による被害を受けた場合でも自賠責保険でしっかり補償されることになれば被害者にとっては安心できる制度になると政府は言うが、ここで注目されるのが自賠責の運用益およそ6000億円の未返済問題だという。自動車ユーザーが支払ってきた自賠責保険の積立金7500億円のうち6000億円を財務省が借りたままになっているというのだ。 国土交通省は残り約1500億円を運用して被害者救済に充てているが運用益は年間30億円ほどにしかならず、対して被害者救済の支出は年間150億円で積立金が少ないため運用益も少額にとどまり仕方なく積立金を取り崩している状態だという。そして元本を取り崩しているうちに財源が枯渇に近づき今回の法改正となったわけだというのだ。この6000億円は財務省が一般会計への補填として1994年と1995年に借り入れた1兆1000億円の残債で、今までに7000億円が戻されたが15年間1円も返していないという。結果的に利息とあわせて6000億円まで膨れ上がっているのだが、財務省は5年前から返済を再開したものの年間40~50億円程度で、このペースで行けば返金まで150年以上かかる計算だという。 自賠責保険の値上げ方針が報道されると怒りの声が巻き起こっており、「国土交通省が財務省に貸した自賠責の運用益を財務省が踏み倒したのが原因です。それをよくも『被害者支援のために』など言えますね。税金の支払いを踏み倒したら厳罰があるにもかかわらず、財務省には何の罰則もなし。貸した当時の担当大臣に責任を取ってもらいましょう。そうしないと、これに味をしめた財務省がまた同じことをします。返せなかったらまた自賠責保険料を値上げしたらいいだけという考えなんだろう」とか、「被害者への給付に充てるその金額が正しいかを検証すべき。併せて無保険車の撲滅の為に、車検時の加入状況チェック、無保険者車運転の罰則強化、事故車が無保険者車の場合は免許取消し位の罰を設けるべき」だという。 車検が切れてしまっているクルマを国土交通省が調査したところ全国で20万台が走っているという結果が出ており、全保有台数は7700万台なので385台に1台という計算になるというのだが、車検の切れた車は自動車損害賠償責任保険も失効してるといわれており、、無車検で走るようなドライバーの場合、任意保険にも入っていないだろうから、賠償金が発生した場合の対応能力にも欠けているそうで、車は使い様により凶器と同じだと言う認識を所有者や運転者にもっと持たせるべきだという。ガソリン価格が高騰しているうえ自動車関連の出費ではガソリン税に消費税が課される二重課税問題や、ガソリン税の特例税率にていねいに長く乗り続けるほど高くなる自動車税など自動車ユーザーが疑問に思う出費は少なくないという。
2022年06月13日
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日銀が発表した4月の国内企業物価指数は113.5となり前年同期比10.0%上昇したそうなのだが、上昇率は比較可能な1981年以降で初めての2ケタで、統計が開始されて以来の過去最高を更新したという。原油相場の高止まりだけでなく原材料高に円安と物価上昇の材料ばかりとなっている。東京商工リサーチの4月上旬の調査では7割の企業が「価格転嫁できていない」と答えており、企業間取引のコストがここまで大幅上昇ではどこも転嫁せざるを得なくなるのではないかという。総務省が発表した4月の焼死者物価指数は2.1%上昇で、メディアも「消費増税の影響を除くと13年半ぶりの高水準」と大きく報じたが、こうした「値上げニュース」が毎日のように報道され、値上げラッシュが加速するのは必至だという。 この数値は「物価上昇率2%」の目標を掲げた黒田日銀が重視する生鮮食品を除いたコア指数のものだが、今回の消費者物価指数で最も重視すべき数値は別にあって「持家の帰属家賃を除く総合」のインフレ率で、実に前年同月比3%も上昇し3月の前年同月比1.5%から大きく跳ね上がりコア指数の上昇率よりもはるかに高いという。「持家の帰属家賃」とは自己が所有する住宅を借家だと仮定しその分の家賃の額を市場価格で評価したもので、消費者物価指数のほか国民総生産の算出にも用いられているが、実際には市場での取引がない「架空の家賃」であるため、家計調査の「消費支出」や毎月勤労統計調査の「賃金」は実際の取引を反映した「持家の帰属家賃を除く総合」を使って実質の前年同月比を算出している。 問題は消費者物価指数に占める「架空の家賃」のウエートがかなり高いことで実に全体の約16%も占めており、実際の家賃相場の値下がり傾向に比例し4月の「帰属家賃」の消費者物価指数は前年同月比0%と横ばいだという。これが全体のインフレ率を相当低めに抑え込んでしまっているのだが、「架空の家賃を除いた数値こそ、消費者が直面する物価上昇の実態を反映しています。しかも今年になって物価上昇は加速し帰属家賃で薄められた全体でさえ上昇率を見ると季節調整後で年率換算4.2%だし物価目標の2倍の水準です。インフレ率の実態は少なくとも5%近くに達していると考えられます」という。それでも日銀の黒田総裁は現在の物価上昇について「一時的」という評価を崩そうとしないのだ。 コロナ禍の景気低迷が海外より長引き労働者の賃金が上がらないことが背景にあるが、成長に失敗したアベノミクスのツケとして無駄に膨らんだ日銀保有国債の価格下落を回避する為に国内の民間事業の収益性を犠牲にし、賃金や家計の消費余力にもダメージを与えているといわれており、日銀が公表した4月の輸入物価指数は前年比44.6%増で、企業間で取引するモノの価格動向を示す国内企業物価指数も4月は前年比10%増と44年ぶりの2桁台となっている。これらの物価上昇が消費者物価指数をさらに押し上げ、4月以降も上昇は続き決して一時的なものではないというのだ。物価高が暮らしを圧迫する中値上げによって消費マインドを冷やせば客離れを引き起こし、業績にも影を落とすリスクがあることを懸念されている。 経済評論家の多くも「4月の輸入物価指数が44%増ですからね。上流が嵐となって水位が大幅に押し上げられれば、中流の国内企業物価だけでなく下流の消費者物価が影響を受けるのは当然です。政府が川下に堤防を築こうと補助金などの対策を打ち出していますが、ばんそうこう程度にしかなりません。企業の価格マインドも変わってきており、『他社が上げるのだからウチも』と値上げに抵抗感がなくなってきている。企業物価の10%上昇分は数カ月遅れて消費者物価を3%程度押し上げる。企業物価はこの先も毎月上がっていきますから、消費者物価は日銀が目標とする2%どころか、年内に4~5%まで上昇してもおかしくありません」という。給与も上がらず年金も減額では庶民の暮らしは圧迫の一途だという。
2022年06月12日
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岸田首相は英国金融街シティの講演で突然「資産所得倍増計画」を打ち上げたのだが、政権発足時に岸田首相は「令和版所得倍増計画」を掲げていたが、この近い将来では実現性に乏しい計画だった「令和版所得倍増計画」に替わって個人の資産を倍増させる目標にしたといわれている。つまり「資産・所得倍増計画」かとも思われたが実際には個人の「資産所得」だけを倍増させることを目指す計画なのだという。資産所得とは個人が持っている資産から得られる所得のことであり、利子や配当だけでなく賃貸料収入などが含まれるのだが、資産所得を増やすには個人の金融資産不動産などを増加させることに加えて保有金融資産の構成をより高いリターンを生むものへと変えていくことが必要と考えられている。 安倍政権は株価が上昇している局面では安倍政権の経済政策であったいわゆるアベノミクスの正しさを証明するものだと説明し株式市場を政権浮揚の材料に使おうとしたのだが、他方で株価が下落すると一転して株式市場には言及しなくなるというまさにご都合主義だった。こうした点を踏まえても安倍政権に倣って岸田政権が株式市場を味方につける戦略に転じたことが必ずしも良いことだとは言えないというのだ。特に経済政策が短期的な株式市場の変動の影響を受けることは問題だという。岸田政権が掲げ始めた「資産所得倍増計画」は実現性が乏しい方針だといわれており、最近の過去10年間での変化に注目すると雇用者報酬は1.13倍だし家計財産所得は1.14倍とほぼ並んだいるというのだ。 このペースが続いた場合には現在から2倍となるのは50年以上かかる計算になってしまい実に半世紀以上先となるというのだ。つまり岸田政権の下で「資産所得倍増計画」を実現するのは事実上不可能だという。そればかりか政府は経済政策として投資環境を改革し、個人の金融資産を「貯蓄から投資」にシフトさせる実行計画案をまとめているが、「投資に回す貯蓄がない」という人が34%であることが世論調査で分かったというのだ。世論調査では「貯蓄から投資」へ資産を回そうと考えている人が23%と、およそ4人に1人という結果となっており、政府には「投資を促す環境整備」や「金融リテラシー教育」の推進や投資するための原資となる給与水準の向上への取り組みなど課題が突きつけられた形だという。 金融広報中央委員会の調査によれば預貯金・有価証券・保険などの金融商品を持つ世帯は単身世帯66.8%で二人以上世帯でも78.0%にとどまっている。預貯金口座や証券口座などの口座を持たない人も単身世帯4.0%の二人以上世帯で4.4%となっている。ハイリスク・ハイリターンの金融商品の保有を望む人は単身世帯で44.4%だし、二人以上世帯で49.6%だという。投資は基本的に余剰資金で行うもので生活に不可欠なお金を使うものではないとされているが、投資を推し進めたいのなら余剰資金が生じるような景気対策を行うとともに、金融所得課税の引き下げなど投資しやすい環境の整備を手掛けるべきだという。そのうえで投資しても投資額以上のリターンが生じるとは限らない事実を十分周知させるべきなのだという。 国会では参議院・予算委員会の集中審議が行われていて野党側は政府の物価高騰対策などを追及しており、岸田首相が掲げる個人の金融資産を貯蓄から投資にシフトさせる「資産所得倍増計画」について、「国民の多くは投資したくてもできない」などと追及している。岸田首相は「一部の国民の利益にだけに繋がるようなことがあってはならない」と強調した上で、今回のプランの趣旨について「中間層のみなさんが、しっかりお金を動かし、経済を回していくことに繋げることだ」との考えを示している。もっとも貯蓄を証券の売買等に回しても経済学でいう投資ではなく、岸田首相は国民経済の改善を真剣に考えているのではなく、単に国民の金融所得を増やして課税することで税収を増やしたいだけという思惑が透けて見えるという。
2022年06月11日
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加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことを指すサルコペニアが起きていないかどうかの一般的な診断は年齢や握力・歩行速度・筋肉量をもとに行われ、頻繁につまずいたり立ち上がるときに手をついたりするようになると症状がかなり進んでいるという。急激に筋肉が衰えてくるのは60歳を過ぎたあたりからだが、サルコペニアは25~30歳から始まって生涯を通して進行するので若年期からの運動が必要だという。骨や筋肉の元気な若い世代では体を動かす骨格筋はケガをしてもちゃんと治るのだが、骨を折ったときにギプスをすると筋肉はかなり萎縮するが治療を終えてギプスを外すと元の筋肉サイズに戻っていくが、年齢とともに骨格筋のケガは治りにくくなり一度筋肉が萎縮すると若い頃と比べて戻りづらくなっているという。 高齢者が骨折や病気で手術をして1~2週間もずっとベッドで休んでいたら、そのまま寝たきりになってしまうケースが多いというが、筋肉がケガをして治っていく過程で筋肉内が脂肪化したり線維化したりする現象によると考えられ、元の生活レベルに戻れる筋肉の回復方法を考えなくてはいけないということが、様々な医療機関や介護施設でいわれるようになっている。つまり術後すぐから体を動かしリハビリを行うことで、自宅で療養している人もできる限り日常生活をこなし少し大変でも運動することが非常に重要になっている。運動器の障害というのは筋力やバランス能力が低下したり足腰に病気が起こったり、膝が悪くなったり骨が弱くなったりすることなのだが、運動機能を長持ちさせて健康寿命を延ばしていくことが大切だという。 筋肉は体を動かす「骨格筋」と臓器を構成する「平滑筋」に大別され、骨格筋は髪の毛ほどの太さの線維の束になっており、線維束が伸びたり縮んだりすることで動けるという。その線維束の中にはマグロのような赤身の「遅筋線維」とヒラメやカレイのような白身の「速筋線維」があるとされているが、遅筋線維は長距離ランナーのごとく持続力があって疲れにくく力の入り具合が相対的に弱い特徴があり、ウォーキングで使うのは主にこの遅筋線維だという。一方の速筋線維は短距離ランナーのごとく瞬発的な力を発揮し、一般的な人の太ももなら遅筋線維と速筋線維は半分半分というイメージで構わないそうなのだ。そしてこの筋線維を調べてわかったのは年齢の影響を受けるのは速筋線維の方が大きいということだという。 それならばサルコペニアの予防や改善には速筋線維をターゲットにするのが望ましく、つまり速筋線維をあまり使わないウォーキングはサルコペニア対策として十分ではない可能性があるというのだ。サルコペニアの予防や改善には「レジスタンス・トレーニング」と呼ばれる筋力トレーニングが向いおり、レジスタンスとは抵抗という意味で片脚立ちやスクワット・腕立て伏せ・ダンベル体操など筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行う運動のことだという。高齢期に入ってからでもその人の筋力に合わせて行えばトレーニングの効果は出てサルコペニアの予防や改善につながるという。そのうえでトレーニングは楽しく行うとともに筋肉の疲れをとるために十分な休息・入浴・マッサージ・睡眠が大切であることはいうまでもないという。 現代人の生活はとても豊かで便利になり体を動かすことが昔に比べてとても少なくなっているのだが、シドニー大学などが行った調査によれば世界20か国の座位時間の平均が1日約5時間であったのに対し、日本人の場合は約7時間と世界で最も長いことがわかっている。運動講座などで測定を行うとすでに40代や50代で運動器症候群が始まっているという結果の出る人が多いというが、話を聞くとデスクワークなどで座る時間が長い場合が多いという。そうした生活習慣を続けていくとほぼ間違いなく筋力が低下していくので、生活の中でよく動くことを意識するだけで筋肉の動かし方が変わってくるという。1駅分歩くとかエレベーターではなく階段を使うなどそうした生活習慣を中年から心がけることが大事だという。
2022年06月10日
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コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻だけでなく天候不順などで学校や保育所などの給食に使う食材の価格が高騰しているそうなのだが、値上がりした分を補塡したり食材の選択を工夫したりする自治体も出てきたという。例えば主食の揚げ物に使う食用油は前年比で30%以上の値上がりをしていて今後もさらに幅広い商品で値上げが想定されることから、小学校なら1食あたり253円程度の食材費を270円程度とすることで子どもたちに引き続き安全・安心な給食を提供したいとしている。担当者も「栄養士のやりくりの中で何とか値上げしないように頑張っている」と話している。学校給食の現場では、限られた予算で必要な栄養価を確保するため徹底した食材の見直しや献立の工夫が続いているそうなのだ。 ロシアによるウクライナ侵攻の長期化などにより日本の食卓にも影響が出始めており、今年に入って8300品目を超えるというという食料品の値上げがされていて、加工食品や調味料など様々なものがあり輸入品・穀物関連の食品の値上げが続くという。やはり牛肉は高いそうで、アメリカンビーフなど輸入の肉は輸送コストが上がっただけでなく円安の影響があって非常に高いという一方で国産の牛肉はまだ安い状態だという。ブラジル産の鶏肉はコロナ禍以前には2キロ780円で売られていたのだが、今は1580円と2倍以上という状況だという。これは輸送コストや円安の影響とかあと働き手の問題もあって、それに加えて国産の鶏肉も大体5か月ぐらい前から100gあたり20円ぐらい上がっている状況だという。 小麦価格の高騰で家計が少しずつ打撃を受け始めていて、小麦の生産量は紛争が長期化しているウクライナとロシアで世界全体の15%ほどを占め価格が高止まりする中、生産量世界第2位のインドは食糧安全保障の観点から小麦の輸出禁止を発表している。小麦の国内消費量の約90%を輸入している日本では輸入量の約50%を占める北米での不作もあり、4月からの輸入小麦の政府売り渡し価格が約17.3%引き上げられている。小麦の値上げに関してはウクライナ関連の問題でこれから本格的になってくると思われていて、値上げには他の要因もあるのだがこれから輪をかけてどんどん上がっていくという。ご飯用のおかずを作るのもめんどいと思う高齢者の多くがパンを食べていて値上げの影響が始まっているという。 日本の主食割合は米41%のパン食19%に麺類14%と依然米が主体だが、日本人1人あたりの米の年間消費量は53.5キロとピークだった1962年の118キロの半分まで減っている。小麦価格高騰の折から「米食シフト」が進んでもよさそうだが今のところその気配はないという。小麦だけでなく食用油や牛肉・サケ・タマネギなど多くの食品価格が上昇する中、牛丼屋やカレー屋に定食屋でも値上げせざるを得ない状況となっているそうなのだ。節約志向が高まることでこれまで朝はパンを食べていた家庭でおにぎりなどの米食が進むことが期待されているが、手軽でバラエティー豊かなパン食需要は高齢者をはじめ根強く多少の値上げではこうしたライフスタイルは簡単には変わらないと思われているそうなのだ。 お米は安いそうで、外食向けの引き合いが弱くなった関係からコロナ禍になって在庫がどんどん増えている状態だという。ある業者も「お米はとても安定しています。日本国内の需要が若干減っているというのもあります。今パンがすごく大変な状況ですよね。世界的な不足で小麦が高騰しているので、パンの値上がりに直接繋がっていますよね。一方でお米というのは、糖質オフなどで食べていない方も多かった。日本にはお米はしっかりあります。ですから米農家を助ける意味でも、朝ごはんはお米に替えましょう。そうすればバッチリですよ。近海で取れる魚、例えばサバとか、カツオ、アジなどが非常に安いです。お魚も安いし完璧ですよね。もう昔の日本の朝ごはんこれで行きましょう」と宣伝しているそうなのだ。
2022年06月09日
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経済という現象は消費したり投資したりすべて先行きを見越してやっているわけで、そういう意味で後講釈が多いのは経済学そのものに無理があるからだといわれるのだが、経済学が分析するのは過去どうだったのかということ、そこから類推してこうなるだろうということで、つまり経済分析には限界があるということだという。株価や不動産価格が適度に上がっているのにバブルだからといって押さえつけるのは経済をおかしくする可能性があって、バブルはやはり経済にとっては良くないのは当然で「バブルは崩壊するからバブル」という定義のバブルは、崩壊でもたらされるマイナスは大きいので確かになってはいけないという。それでも平成バブルの対処で問題だったのはある種の見込み違いを政府や日銀がやってしまったからだという。 不動産価格が上がるということは持つ者と持たない者の格差問題は出るが、それだけ不動産所有者の信用力が上がって購買力が上がるという側面もあり、既存のマイホームの保有者にとっても家の値段が上がるのはいいことだという。個人や階層によってばらつきはあるにしても一般論として考えた場合不動産価格が適度に上がるということは目くじら立てる話ではなく、むしろ下がるほうの「資産デフレ」のほうが怖いという。平成バブルの対処で問題だったのはある種の見込み違いを政府や日銀がやってしまったことで、平成バブル結構な社会問題にもなっていたのだが、日銀と政治家は株価と同時に不動産価格が高騰して一般の人たちがマイホームを手に入れられなくなるのではないかと危惧したというのだ。 日銀が金融の引き締めを始めたのは1989年だったが、株価はそれでも響かずにどんどん上がり続けてしまい、日銀の利上げにも反応してやっと株価が下がりはじめたのが1990年だったという。そうしたら今度は不動産価格高止まりが問題だということで当時の大蔵省が土地融資の総量規制をやりだしたのだ。銀行は不動産関係の融資を絞りなさいと窓口指導したのだが不動産価格は下がらなかったという。下がるどころかまだまだ上がるのでもっと強力な手を打たないといけないと土地保有コストを上げて土地の投機を抑え有効利用を図るための国税として「地価税」を導入したと。しかしながらその頃には株価はどんどん下がっていて日銀の金融引き締めも効いており、その影響で不動産価格も下がりはじめていたというのだ。 大蔵省に影響力を持つ当時の指導者だった宮澤喜一氏にしても橋本龍太郎氏にしても地価税については「やる、やる」と言っていたので与党も地価税導入に賛成したそうなのだ。当時の大蔵省としたら増税になること税の財源ができることは大いに賛成だったので、政府っ関係者には止める者は事実上いなかったそうなのだ。もともと日本は不動産価格が高い国と言われているのだが、適正な地価がいくらなのかと言われても非常に主観的な判断しかできないから難しいとされており、土地の上に工場やオフィスビルを建てて賃貸した場合どれだけの収入があるかということから逆算して適正な不動産価格が算出できるという話はあるが、それで不動産価格が抑制されるようになるのかと言われても非常に難しかったという。 資本主義でいちばん大事なのはその名のとおり「キャピタル」資本なのだが、資本とは価値を生むお金の塊といっていいそうなのだが利子や配当・利益や需要を生むというのだ。その肝心の資本が世の中で全然動かないとなるとその国は衰退するしかなく、資本が動かないとなるとどこかに滞留されていることになるという。一体どこにあるのかというと簡単に言うと溜まっているだけなのだが、現金のままで溜まっているのはほんの一部であとは預金として銀行に積み上がっているお金かあるいは企業が内部留保で、いつでも資金に換えられるカタチで運用しているとかいろいろな形で滞留してしまっているという。お金が動いてこそ資本になるということなので資本にならない意味がないお金が多すぎるのだとという。
2022年06月08日
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世界的に想定を上回るペースでインフレが急進しているが、その背景としてウクライナ危機が長引いていることは大きく、ドイツ・オランダやデンマークではロシアからの天然ガス供給が絞られ始めている。ロシア以外の産油国などが原油や天然ガスの供給を短期間で引き上げることは難しいとされ、わが国にも物価急騰の影響がより大きく出始めている。企業の自助努力によるコスト吸収は限界を迎え電力料金や穀物など様々なものやサービスの値上げが相次いでおり、内需が縮小均衡に向かい賃金が増えていない中での物価上昇は家計にとってかなり厳しいという。個人消費支出価格指数の前年同月比変化率が前月から低下したため米国では物価上昇がピークアウトしたとの見方が出ているが状況は依然として深刻だという。 世界の企業はより低コストで生産可能な地域に進出しより高い価格で販売できるビジネスモデルを構築しており、グローバル化は加速し世界経済全体で物価が上昇しづらくなると同時に経済が緩やかに成長する環境が実現してきた。生産を中国等で行って低コストで高価格帯の商品を販売する体制を整備し、リーマンショック後の世界経済の回復に果たした役割は大きいといわれてきたが、西側諸国による制裁によってロシアは世界経済から分断され地政学リスクの高まりによって陸海空の輸送コストも上昇している。生産拠点の移転によって追加的に企業の事業運営コストが増えているだけでなく、世界全体で半導体や建設資材などの不足も深刻となり、その裏返しとしてドイツをはじめ世界各国で物価の上昇が止まらないという。 帝国データーバンクがまとめた食品主要105社を対象にした調査によると今年の値上げ品目は予定を含めて8385品目とされ6~7月の値上げ予定は3104品目となっているという。値上げはやむを得ないと思うところもあるのだが、商品価格はずっと上がっていなかったこともあってこの20年くらい商品価格を上げたいと思っていながら我慢していた企業が堰を切ったように上げ始めているというのだ。企業が一斉に上げ始めている状況の中ではおそらく便乗値上げみたいなものも相当出ているとされているが、日銀は「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定めている。総務省が先月に発表した4月の全国消費者物価指数は前年同月比2.1%上昇で日銀の目標通りとなっているそうなのだ。 私たちのように年金で普通に生活している人間からすれば物価が上がってたまったもんじゃないけれども、過去の日銀の政策的なスローガンからすると「このぐらい上がったほうがデフレスパイラルから日本が脱却できていいんだ」という話になるわけで、日銀の黒田総裁は東京都内で講演し商品やサービスの値上げが相次いでいることに関連し「日本の家計の値上げ許容度も高まってきている」との見解を示した。さらに黒田総裁は「物価上昇は悪」という認識を持っていないみたいで、「安定的な円安方向の動きであれば、わが国経済全体にはプラスに作用する可能性が高い」との見解を改めて示し、持続的な物価上昇の実現を目指す上で「重要な変化と捉えることができる」と指摘したそうなのだ。 家計が食料品をはじめとする値上げを受け入れ始めた背景として日銀の黒田総裁は「ひとつの仮説」と断った上で、新型コロナウイルス禍による行動制限で蓄積した「強制貯蓄」が影響していると指摘し、「家計が値上げを受け入れている間に、良好なマクロ経済環境をできるだけ維持し、賃金の本格上昇につなげていけるかが当面のポイントだ」と述べ、強力な金融緩和を継ける考えを強調したそうなのだ。最近の物価の状況にはもう少し危機感を持たないといけないのではないかといわれているが、黒田総裁が日銀総裁として受け取った報酬は年間3501万円といわれるが多少の物価の値上がりなど許容して当然のようで、そういう危機感が政治にはないのだから物価はどんどん上がり続けるのだという。
2022年06月07日
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NHKの受信料収入は前年度比3.1%減の6895億円となり2年連続で減少しているが、受信料収入が大半を占める事業収入も3.6%減の7121億円となっている。一方で新型コロナによって番組制作などの支出も減少し新型コロナウイルス感染拡大で訪問営業を自粛したことが影響しているという。国会ではNHK受信料の値下げ原資を確保するための積立金制度の創設などを盛り込んだ放送法と電波法の改正法が参院本会議で可決・成立したが、正当な理由なく受信料を支払わない世帯への割増金の徴収も可能となるという。NHKは年間受信料収入の1割に当たる700億円程度の原資を確保し受信料を下げる計画で今年秋に具体的内容を示すというが、値下げでは衛星契約を優先する方針も示している。 放送法の改正案は去年の通常国会で総務省幹部の接待問題や放送事業者の外資規制違反が判明し十分な審議時間がとれず廃案となっていたのだが、NHKに対してはテレビを持っていない人を対象とした番組のインターネット配信を実証実験するよう求める考えが示されたりしているという。NHKはすでにネット配信しているものの受信料契約を結んだ人向けに放送を補完するものと位置付けてサービスを提供しており、ネットの普及で生活スタイルが変わる中「公共放送のネット配信の意義やサービスニーズを検証する」とされていて、詳しいやり方やスケジュールなどは「NHKにおいて検討される」という。ただし契約者以外からの受信料徴収などに関しては「将来的な方針は現時点で考えていない」とされている。 今回可決・成立した放送法の改正案は放送事業者の外資比率に変更があった場合総務省に届け出ることを義務付けたほか、外資比率が20パーセント以上の違反状態になっても直ちに認定取り消しとせず期間を定めて放送事業者に違反状態を是正させる猶予措置も整備するという。また一般企業の純利益に相当する事業収支差金は30億円増加して251億円となったいるNHKの収支なのだが、受信料に関しては正当な理由なく受信料を支払わない世帯から割増金を徴収できる制度などを設けているし、積立金制度はNHKの収入が支出を上回った場合一定額をプールする仕組みとなっている。積み立てた金額は次の中期経営計画期間の受信料引き下げの原資に充てるという。 インターネットでの動画視聴が拡大するなどテレビ局の事業環境が厳しさを増す中で経営を効率化し番組制作に注力できる体制を整えるとされ、放送設備を保有・管理する事業者を設立した上で各局が設備を利用できるようにするという。事業者についてはNHKと民放各社の共同出資による設立が考えられるとしているが、番組を制作する放送局と放送を送信するインフラを分離する体制はBSやCSで実現しているけれど地上波ではなかなか難しいという。NHK受信料の不払い世帯は2割弱に上り徴収率向上が課題となっており、ドイツではテレビ設置の有無に関係なくすべての世帯や事業所から受信料が徴収されている。この点について総務省幹部は「全世帯徴収といった大幅な制度改正を伴う議論は時間がかかる」と話している。 国営放送における海外の例では、英国のドリース・デジタル・文化・メディア・スポーツ相も公共放送BBCの受信料にあたるライセンス料制度を見直すと表明しているが、動画配信サービスのように視聴に対して課金する仕組みを軸に検討する見通しだという。日本のNHKなど世界の公共放送のモデルとなったBBCの動きは今後の日本の議論にも一石を投じそうで、ドリース・デジタル・文化・メディア・スポーツ相は下院での演説で「技術の変化とともに、特に若い世代の視聴者の間で習慣も変化している」と指摘し、BBCの長期的な資金調達の在り方だけでなく罰則規定を伴う受信料支払い義務について「適切かどうかを今こそ真剣に問うべき時だ」と述べ、近く制度見直しに向けた議論を始める考えを示しているという。
2022年06月06日
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いよいよ暑くなってきて人間の大敵「蚊」のシーズンがやってきたのだが、私もすでに実家の水やりで刺されてしまったのだが、夏になると人を刺しに来る蚊はいやなものだが、できれば刺されたくないものなのだ。刺されていやな原因はかゆくなることだといわれるが、現在の日本では蚊が病気をうつす可能性は高くはないそうで、蚊に刺されて高熱が出たり刺された場所が壊死したりするするなどひどい症状になる「重症蚊刺過敏症」の方は特に刺されないように注意がひつようだという。それでも海外では死者が多いマラリアだけでなく野口英世博士が亡くなった黄熱・日本脳炎・デング熱・ジカ熱・ウエストナイル熱・チクングニア熱などがあり、これらは原虫やウイルスや糸状虫を蚊が媒介して感染させるという。 ヤブ蚊とかシマ蚊と言われる蚊の代表種であるヒトスジシマカの幼虫は青森県以南で身の回りの小さな水たまりに生息するが、道路の雨水枡や住宅庭の雨水枡に発生するだけでなく植木鉢に受け皿をつけたものやプランター・洗車用品・おもちゃ・自転車・ホイールのないタイやなど日陰で雨水のかかる場所に置いていると、水がたまる場所ができて幼虫が発生して蚊が増えることになるという。またすぐ近くに川や水が流れている状態道路の側溝に田んぼ・貯水池・池・沼・プールなどがある場合そこが蚊の発生源と思っている人は多いというが、ヒトスジシマカはそれらの場所からは発生せずあくまでも自宅敷地内や隣の敷地内とかすぐ前の道路雨水枡に発生源があることがほとんどだという。 蚊がとまった場合は「最後まで血を吸わせた方がかゆくならない」というトリビアがあるが、その理由としては「蚊は血を吸うために蚊の唾液をヒトに注入するが、血とともに唾液を吸い上げるので、最後まで血を吸わせた方が唾液も残らない。唾液がかゆみを引き起こすため、原因となる唾液が残らないために、かゆくならない」というものだという。ところが蚊は血管を探すために皮膚内に唾液を注入しながら針を刺して血を吸うために、血管以外の場所に唾液を入れており血とともに唾液を全部吸い上げるわけでもなく皮膚内に唾液は確実に残ります。そして量の多少にかかわらず極めて微量の唾液にアレルギー反応を起こしてかゆくなり、その人の体質にもよりますから唾液の多少でかゆみの多少が決まるのではないという。 蚊に刺されやすい人とそうでない人にはどんな違いがあるのかとか、効果的な対策はどのようなものがあるのかというと、害虫駆除製品メーカーの昆虫博士の奥村敏夫氏によると「死の危険を省みずに吸血する以上、蚊だって少しでも良質な血が欲しいもの。あれだけ小さい体ながら触覚に近赤外線センサーがあって、血管を造影、透視して血液の状態を判断しており、アル中やヘビースモーカー、ドロドロの血の人からはあまり吸いません。体温の熱と呼気に含まれる炭酸ガス、体臭などの臭いを頼りに寄ってくるので、汗っかきで汗臭い人や、運動などで息が上がった直後は特に刺されやすい。逆に運動後に草むらで休憩していてもまったく刺されないという人は、一度血液検査をしてみたほうがいいかもしれません」という。 虫刺され対策といえば蚊取り線香や防虫スプレーが定番だが喉を痛めたり肌に合わなかったりということもあるので注意が必要で、できるだけ手軽に行える対策にはどのようなものがあるのかというと「熱と汗の臭いに寄ってくるので、一番は通気性のよく涼しい速乾性の肌着を選ぶことです。蚊のような小さい昆虫は体温が上がらなければ飛べません。そのため光を集めて蓄熱しやすい黒い色の物を好む習性もあるので、レジャーでは白い速乾性の長袖Tシャツなどがおすすめです」という。多くの伝染病を媒介し「世界中で人以上に人を殺した唯一の生き物」とも言われる蚊だが、生態系の中では食物連鎖の最下層を支える大黒柱で「蚊が絶滅したって誰も困らない」という考えはいけないことだという。
2022年06月05日
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国連はロシアによるウクライナ侵攻のため何カ月かのうちに世界的な食料不足が発生する恐れがあると警告してるが、アントニオ・グテーレス事務総長は今回の紛争で「何千万人もが栄養失調、大規模な飢餓、飢饉に直面し、食料難に陥る恐れがある」と述べ、戦争で物価が上昇し貧しい国の食料難を悪化させたとしている。ウクライナの輸出が戦争前の水準に戻らなければ世界は何年にもわたって飢饉に直面する可能性があると付け加え、ウクライナでの紛争によって同国の港からは供給が途絶えているという。大量のひまわり油やトウモロコシや小麦などの穀物を輸出しており、ロシアのウクライナ侵攻で世界的な供給が減少し代替品の価格が高騰しており、国連によると世界の食料価格は昨年同期比で3割近く上がっているという。 世界銀行は「ロシアは穀物戦争を仕掛け、世界的な食料危機をあおっている」としたうえで食料難に対処するプロジェクト向けに120億ドル相当の追加資金を提供すると発表している。これにより今後15カ月間にこうしたプロジェクトが利用できる総額は300億ポンド以上になっているが、ロシアとウクライナは世界の小麦供給の3割を生産していて、ウクライナは世界の穀倉地帯と言われ毎月450万トンの農産物を港から輸出していた。しかし2月にロシアが侵攻を開始して以来輸出は激減し価格は高騰しており、インドが小麦の輸出を禁止すると価格はさらに上昇しているという。国連によるとウクライナには前回収穫した穀物約2000万トンが滞留しているが、これらが放出されれば国際市場にかかっている圧力は緩和され得るという。 今回の紛争でロシアはウクライナの港を封鎖したほか大量の機雷を敷設し黒海の海運は停滞したままになっているが、これまで収穫された穀物はその多くが国内のサイロに蓄積されたままになっており、今年の収穫が始まるとサイロがパンクする恐れが出てきているという。ウクライナの穀物は主に中東やアフリカ諸国へ輸出されており、このままではそれらの国々への供給が断たれて食糧が不足するだけでなく、世界的に穀物の価格が高騰して食糧危機が発生すると国連も警告している。ロシアのウクライナ侵攻で世界的食糧危機が心配されているが、ウクライナ産の穀物を輸出する貨物船を有志国が護送する計画が持ち上がっていて、ウクライナの穀物を輸入している北大西洋条約機構の加盟国などの参加も考えられているという ウクライナの穀物は主に中東やアフリカ諸国へ輸出されていてこのままではそれらの国々への供給が断たれて食糧が不足するため、ウクライナから陸路で鉄道やトラックによる輸送も考えられたが船で輸送できる量が桁違いである上に輸送コストも安いことから、やはり黒海を利用する以外にないということになった。そこでウクライナの港湾都市オデーサから黒海を縦断してトルコのボスポラス海峡まで「保護された海路」を設けることが英国を中心に検討され始めたというのだが、この問題で大きな被害を受けているエジプトの参加も期待されているそうなのだ。計画ではウクライナの港付近にロシア軍が敷設した機雷の除去をする一方で、ロシア軍の攻撃に対抗するためにウクライナ軍に対艦長距離ミサイルを供余するという。 事実オンラインで行われた米国主催のウクライナ支援のための国際会議でオースティン米国防長官は、デンマークがウクライナの沿岸警備のために地対艦ミサイル「ハープーン」を提供することを表明したと明かしている。その上で有志国の軍艦と航空機がウクライナから穀物が安全に黒海の外へ出るまで護送するという構想だが、ロシア政府は欧米側が制裁の一部を解除する見返りに食料を積んだ船がウクライナを出港するための人道回路を提供する用意があるというアンドレ・ルデンコ外務次官の発言を伝えている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「自ら選んで始めた戦争」によって、その余波で巻き起こった食料不足問題をめぐって欧米諸国とロシアの「場外乱闘」を引き起こしそうな状態になっているそうなのだ。
2022年06月04日
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ロシア連邦証券保管振替機関はユーロ債2本について7125万ドルと2650万ユーロ相当の利払いを行うと約束していたが、世界の大手金融機関でつくるクレジットデリバティブ決定委員会はロシア国債が「支払い不履行」に当たると認定したという。4月に償還期限を迎えたドル建て国債で支払猶予期間中に発生した利息を受け取れなかったとの投資家の主張の当否を判断したそうなのだ。欧米の経済制裁や巨額の戦費に圧迫されるロシア経済は今回の事態で一段と苦しさを増しそうで、契約通りの条件で償還や利払いができなかったと判定されれば市場から事実上の債務不履行と見なされる可能性が高く、ロシア政府が対外債務不履行となればロシア革命直後の1918年以来約1世紀ぶりとなるという。 ロシア通貨ルーブルは続落していて政策金利を引き下げた中央銀行が追加利下げを示唆する中で資本規制緩和と債務不履行も打撃となっているという。ルーブルは利下げを受けドルやユーロに対して約10%下落したそうで、対ユーロでは4.4%安の70.99ルーブルとなり7年ぶり高値57.10ルーブルからさらに値を下げたという。ルーブルは資本規制によって人為的に上昇させられ今年に入ってから世界で最も好調な通貨となったが、ロシアのレシェトニコフ経済相はルーブル高が輸出によるロシアの財政収入にマイナスの影響を与える懸念があり、ロシア製品の海外競争力を低下させていると述べたている。輸出企業がルーブルに交換しなければならない外貨収入の義務的な割合についてさらに引き下げられると見込むという。 ロシアから国債の元利払いを受け取ることを認める米財務省の特例措置が失効しただけに市場は注目しているが、今回のロシアの支払い不履行は西側諸国の経済制裁が要因で、制裁で米ドル決済ができなくなり契約通りの条件で投資家への利払いなどができなくなるが、支払い能力がなくなり債務の返済が不可能になる通常のデフォルトとは異なるという。デフォルトを起こせば国際金融市場での信用を失い政府やその国の企業の資金調達が困難になるが、ロシアは制裁の影響で既に市場での資金調達が難しくなっているため、プーチン政権の威信を損なう象徴的な意味がありそうだという。なおデフォルトは通常は大手格付け会社が認定するが欧州連合が経済制裁の一環でロシア国債やロシア企業の格付けを禁止している。 このため国債がデフォルトした際に支払われる保険などのデリバティブを扱う世界の大手金融機関で作るクレジット・デリバティブ決定委員会の判断が注目されており、ロシアのドル建て国債はドルで支払う必要があるのだが償還および利払い期限を迎えた際に欧米の銀行がその支払を拒否するという事態が起こっていたそうなのだ。これは経済制裁の一環としての対応だったのだがロシア財務省は自国通貨のルーブルで支払い債務は履行したと主張していたのだ。これは外貨建て国債をその外貨で支払うという返済条件の変更に当たり、この行為が格付け会社によってロシアによる条件の一方的な変更であるとみなされれば債務を履行していない状態となってしまい、デフォルトと認定される可能性が高くなるというわけだったのだ。 デフォルトとなってもロシア国債を購入している海外投資家は少なく直接の影響は限定的とみられるが、ロシアの国内経済への打撃は大きく最大の懸念が資金不足だという。デフォルトによって国債による海外からの資金調達は当面不可能になるだけでなく、稼ぎ頭の石油輸出も制裁の影響で急ブレーキがかかっているという。ルーブルの暴落を通貨当局が抑え込んだ結果原油などの輸出で得られる外貨も目減りしており、モノの調達も深刻でロシアは半導体などハイテク部品を輸入に頼っているが制裁の影響で滞っているという。英国防省はロシア軍が「精密誘導兵器の多くを使い果たしている可能性がある」と指摘しているが、ウクライナ側には西側が資金や兵器の支援を続けていてロシア側はジリ貧の様相だという。
2022年06月03日
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値上げラッシュが止まらないようで今月からもさらに多くの商品が値上がりしており、どれぐらい値上がりしているのかというと値上げの対象となるのはインスタントのカップ麺や調味料など約3000品目だという。調味料についてはミツカンの「穀物酢」は今月の出荷分から「9円」値上がりしているし「味の素50g」は今月の納品分から「14円前後」値上がりしているという。日清オイリオグループの「家庭用食用油」は来月の納品分から「10~20%」値上がりするし、さらに値上げが発表されたものもあるというのだ。日本水産では8月の納品分から「活ちくわ」や「海からサラダフレーク」などの家庭用すり身製品が「約5%~20%」値上がりし、「ちゃんぽん」などの家庭用冷凍食品は「約6%~20%」値上がりするそうなのだ。 これからの季節に食べたくなるのがアイスなのだがこちらも値上げの対象となっており、菓子やアイスの価格も高くなるという。ロッテは166品目を順次値上げするとしていて雪見だいふくは140円から150円になるという。外食も例外ではなく今月から「カレーハウスCoCo壱番屋」のポークカレーが33円値上がりするし、そばチェーンでは富士そばでかけそばが20円も値上がりするそうなのだ。ケンタッキーでは来月からオリジナルチキンが10円値上がりし、回転ずしチェーンのスシローでは10月からマグロやサーモンなどの寿司が1皿10円値上がりするという。帝国データーバンクによると来月以降も2000品目を超える値上げが予定されていて、値上げラッシュについて「今後しばらくは、高止まりが続く」とみているという。 様々なものが値上がりする中で食品の値上げは日々の食卓やお財布に直結するため多くの人が影響を受けることになるが、買い物客は「年金は下がるし、物価は上がるし大変困っています」とか、「買うものは買わなきゃいけないし、しょうがないと思っている。できるだけ無駄遣いをしないようにします」と語っている。家計を直撃する値上げは今後も続き、帝国データバンク仙台支店情報部の紺野啓二部長補佐は「コロナ禍による供給制約とか輸送費の高騰、加えてウクライナ紛争による原油や小麦の原材料の価格高騰が、ジワジワと消費者価格に転嫁してきた。値上げは今年いっぱい続く可能性がある」と語っており、来月以降も主要食品105社が酒類やパンなど約4500品目の値上げを予定しているという。 これだけ多岐にわたる値上げの原因について第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは3つが値上げの主な要因だというが、輸入物価の上昇では新型コロナウイルス感染拡大による物流の混乱やロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の上昇を受けて、国際市場でモノの値段が全般的に上がっているという。急激な円安も加わり海外から入ってくるものの値段がさらに上昇していることがあるだけでなく、国内の要因として人件費の上昇ということがあるという。もともと日本は「生産年齢人口」つまり働ける世代の人の数が高齢化により減少傾向にあるが、そこに新型コロナの感染拡大が起きて外国人労働者が減少し、このため低賃金で人手を確保することが難しくなり人件費を上げざるを得なくなったという。 衆院予算委員会では岸田首相が立憲民主党の泉代表との論戦で声を荒らげて反論する場面があったそうで、成立した補正予算を巡り「食材費値上げへの対策がない」との指摘がなされたのだが、「総理は『補正は万全だった』とおしゃるが、それなら今深刻な食材費の値上げにはどんなを対応したのか」そんな泉代表の質問に、岸田首相は「昨年11月には緊急経済対策を立てて」などと補正予算以外の施策を持ち出して「トータルでは万全だ」と反論した。そこで「補正で対応したのかを聞いているのですよ」との問い直しにも「再三申し上げている通りだ」などと正面から答えず、岸田首相は「ちょっと答弁させてください」と声を荒らげてヤジを制し予算委員長に「審議をちゃんと整理して」と大声で要望したそうなのだ。
2022年06月02日
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世界保健機関の年次執行理事会は新型コロナウイルス感染症のように事務局長が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した際に世界保健機関としてすばやく対応できるようにするための常設委員会設置について理事34人の全員一致で承認した。新型コロナで緊急宣言が出た際世界保健機関の加盟国や組織にただちに協議する場がなかったとの反省をもとにオーストリアが決議を提案し、米国と欧州連合と英国と日本が共同提案者になったという。世界保健機関はコロナ流行への対処を巡り特に初期対応が遅かったたことでウイルス検知が遅れ大流行を許したと批判されており、専門家からは各政府や世界保健機関がサル痘のような他の感染症で二の舞をしてはならないとの指摘が出ている。 新たな常設委員会は指摘されるこうした欠陥を克服する試みで、世界保健機関の公式会議は何カ月かごとに開催されるという。新委員会は緊急事態が宣言されればただちに開かれ感染拡大抑制のための追加資金や公衆衛生措置するだけでなく、必要な推奨事項を呼びかけるという。また世界保健機関は動物由来のウイルス感染症「サル痘」が従来継続的に発生してきたアフリカ以外で感染が広がっていることは異例として警戒を訴えたという。感染症予防対策を担うブリアン氏はウイルスがアフリカで確認されたのと同じ型の変異で、感染が拡大したわけではないと指摘し「急速に広がった新型コロナとは異なり、一般市民が心配しなくてもいい病気だ」と冷静な対応を求め渡航制限措置などは勧めないとしたそうなのだ。 政府は新型コロナウイルス感染状況改善を踏まえ水際対策を緩和しており、入国者数の上限を1日2万人に倍増させウイルスの流入リスクに応じて3分類し、リスクの最も低い98カ国・地域から来日する場合は入国時検査と待機を免除するという。政府は昨年の変異株オミクロン株の感染拡大を受け入国者数を1日3500人まで縮小していたが、今年3月以降感染状況に合わせて段階的に緩和してきたという。入国枠の拡大は4月に1万人に引き上げて以来となるが、政府はウイルス流入リスクが低い順に各国・地域を「青」・「黄」・「赤」に分類し、長く続けてきた全員検査を取りやめ青の国・地域からの場合は入国時検査と3日間の待機を免除し黄はワクチン3回目接種を条件に青と同じ扱いとし赤には検査と待機を求めるという。 いずれの区分も滞在国出発前の検査は引き続き必要だが、いずれも日本へ出国する前の72時間以内に受けた検査の陰性証明書の提出は引き続き必要としている。対象の国・地域は感染状況を踏まえて随時見直すとしており、政府は「青」の98か国・地域を対象に添乗員付きのパッケージツアーに限定した外国観光客の受け入れ手続きも再開するという。その紆余中で自民党の安倍晋三元首相は大分市で開かれた同党関係者の会合で、新型コロナウイルスの感染症法上の扱いに関し現在の「2類」相当から季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げる方向で検討するよう訴え、「オミクロン株において重症化率は下がっている。分類変更の議論を本格化すべきだ」と語ったそうなのだ。 日本を訪れる外国観光客の受け入れ再開で観光庁は外国人観光客に対し医療保険の加入を義務付ける方向だそうで、政府は外国人観光客の受け入れを添乗員が同行するパッケージツアーに限定して再開するとしていて、観光庁はそれまでに感染防止対策などに関する受け入れのためのガイドラインをまとめている。観光庁によるとこのガイドラインの中に旅行会社など「受け入れ責任者」が「外国人観光客から民間医療保険の加入について同意を取り加入の確認をすること」を盛り込み、医療保険の加入を参加要件として義務付けるという。外国人観光客が日本で生じた医療費を払わないまま出国するケースが問題になっており、受け入れ再開を前に医療保険の加入を義務付けるとしている。
2022年06月01日
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