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「環境アセスメントとは何か―対応から戦略へ―」(原科幸彦、岩波新書)を読む。そもそもこの本をセレクトしたのは、大学院時代の唯一の必修講義(大学院に必修の講義とは珍しいと思うのだが)が「環境アセスメント」で、その講義の担当が原科氏だったからだ。本題に入る前にちょっと当時の話をすると…講義のタイトルからして他専攻の学生も多く(互いに他専攻の講義も幾つかとらないと修了できないのも珍しいか?)来ているのに、原科氏が放送大学で行った授業のビデオを見せられてそれがそのままその日の講義だったり、持ち込み可の試験で、教科書(この本ではなく、放送大学のもの)の○○ページの内容に誤りがあるので指摘せよ、という問題の答えが氏の名前のtypo(原科が原料になっていた)だったり、まぁ散々な講義だったのである。でも、学生時代に(一応)お世話になった先生の本だし、トピック的にもいいかなと思って読んでみたわけである。で、感想なのだが、良くも悪くも学生時代の講義を思い出した。内容的にも「ああ、これ習ったな」というのが多かったが、知らなかった(忘れた)ことも多かった。まぁ疑問に思ったことも多いが。例えばP.105にある、方法書・準備書・評価書のネット公開だが、公開すること自体は非常に大事だが、何百ページもあるPDFファイルだったりすると結局誰も読まなかったりするんじゃないかと思ってしまう。まぁ変に知識があるので何となくボーッと字面読みみたいな読み方をしてしまったこともあり、「手許に残しておくか? それとも買い取りに出すか?」で迷っているが、先に述べたとおり一応お世話になった氏の本なので、とりあえずおいておこうと思う。あと、本筋とは関係ないのだが、P.124で「左記のように」とあるが、この本は縦書きなので「右記」じゃないとおかしい。「先のように」と書けば問題ないのだが。そんなわけで、これで一応今年11冊目。環境アセスメントとは何か―対応から戦略へ―/原科幸彦
2014.02.27
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「首都感染」(高嶋哲夫、講談社文庫)を読む。ワールドカップ開催に沸き立つ中国・北京。しかし、そこから遠く離れた雲南省で、極めて致死率の高い強毒性新型インフルエンザが発生。その事態を隠し通そうとする中国。しかしその一方で、中国から自国に帰るサポーターたちによってウィルスは世界全体に広まっていく。そんな中、日本でも感染者が発見される。これ以上の感染拡大を防ぐために日本の首相は首都・東京の都心の封鎖を決意する。この新型インフルエンザによる死者数は、過去世界で発生したあらゆる大戦や自然災害を上回る勢い。しかし日本だけは首都封鎖のおかげで死者数を極めて低く抑えられている。そこにはもちろん、この災厄と闘う人々がいるのだ。総理大臣、その息子である主人公(元WHO職員)、その元妻、その父、主人公の働く病院の医師・看護師、実際に首都封鎖を行う自衛隊などなど、本書で活躍する人々は枚挙に暇がない。しかも彼らの献身的なという言葉を超えた働きぶりは凄まじいものがある。巻末解説にあるように、この作品は今後起こるかもしれないパンデミックを先取りして書いた「将来ノンフィクション」としても読める。もちろんそんな視点を持たなくても先が気になってどんどんページを繰ってしまう勢いのある作品だ。強いて難を上げるとすれば、話の立ち上げが長いのに対して、終末・エピローグが短すぎる感じがするところか。最後は正直書き切れてなくてバランスの悪い感じがする。パンデミックの恐ろしさを前面に出しながら、最後がヒューマンドラマで終わってしまうのは(ハッピーエンドなのはいいことだが)、やはりちょっと腑に落ちないというかなんというか…残念な点である。そんな点を抜きにしても、「if(もしも)」のリアルな話として楽しめるし勉強にもなる1作だと思う。これでやっと今年10冊目。2桁台に漸く到達。首都感染/高嶋哲夫
2014.02.23
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「100回泣くこと」(中村航、小学館文庫)を読む。実家の愛犬「ブック」が死にそうだという話を聞き、彼女とバイクを修理。そしてその時プロポーズ。その返事は「1年間結婚の練習(要は同棲)をしよう」ということだった。ブックは無事回復。そんな幸せの連鎖はどこまでも続いていくように思えた…が、彼女の体調不良をきっかけに状況は急展開。Amazonで「陽だまりの彼女」(越谷オサム、新潮文庫)を読んだ人へのオススメということで買ったのだが、確かに似ている作品である。だからといってこの作品の方がダメということはない。それぞれに良さがある。ただ、私の場合、個人的に今まで経験してきたことからして、この作品はちょっと泣けなかった。それでも面白いなと思った箇所を引用。まずは2人の仲睦まじさを描写した一節。ここはホントに素敵だ。付き合いだして三年が過ぎていた。求婚済み。歳の差なし。キャブレータをまたいでキスをしたのは、歴史の中を探してもそんなにいないんじゃなんかな、と思った。あとは意味不明だか面白かったところ。彼女の発言より。「なまねこ。一なまねこは四うみうしに匹敵するね」こういう意味不明感、好きだな。これで今年9冊目。100回泣くこと/中村航
2014.02.16
次の太字の部分を漢字にせよ。答えは括弧内をドラッグ。”ケイガイ”に接するという表現があるように、偉い研究者の声や顔そしてオーラに接するだけで、研究者は大きな刺激を受けるのである。(馨咳)今回はかなり難しいのではないだろうか?私も日本語として初耳である。
2014.02.15
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「ヒラノ教授の論文必勝法-教科書が教えてくれない裏事情-」(今野浩、中公新書ラクレ)を読む。「論文の書き方」以外の部分の論文必勝法について面白く書いてある。例えば研究業績の評価方法として、論文のインパクトファクター(IF)やサイエンス・サイテーション・インデックス(SCI)があること(IFは知っていたが、SCIはは初耳)とその詳細、科研費などの研究資金の取得方法やマメ知識、論文審査(査読)をくぐりぬけるテクニック、論文と特許、webと論文…などである。この本のイイところは、ポイントとなる箇所が太字になっており、さらに章末に「ポイント」としてまとめられている点である。さすがに長い間大学で研究と教育に勤しんだ人の書いたモノである。読みやすい。私も一応査読(レフェリー)付き論文を2本書いているが、その時のレフェリーの審査はこの本に登場するような悪質なものでなくよかったと思った。でもレフェリーのひとりは明らかに自分の論文を引用せよ、ということを言ってきたので、匿名査読でも何でもなくなってしまったのだが(少なくとも私には査読者のひとりが誰なのか判った)。それからインターネットと論文については、私も自分の論文を調べてみたのだが、Google Scholarで自分の名前とキーワードを入れると、ちゃんと自分の論文が引っかかることが判った。しかも丁寧にPDFまで。私自身はPDFは公開した覚えはないのだが…でも逆にこれが役に立つことも多いんだよね。最近大概の論文はwebでPDFが入手できるようになって、国会図書館に行かなくて済むから。ちなみに私の論文は、オーストラリアの物理探査学会の会誌にも(日本と韓国だけでなく)掲載されているので、それが検索で引っかかった。やっぱり英語で書いておくと、あとあとイイことがあるね。更に付け加えれば、1本目の論文は初めGJIに投稿したのだが、1年以上査読に要してしかも結果がリジェクトだった。それを突貫工事でY先生に手直ししてもらって物理探査学会の会誌に載ったのである。話を内容に戻すと、文理融合研究について面白い記載が…。…文理融合研究は、文系研究者(経済学者や社会学者)のリーダーシップのもとで行われることが多いのだが、エンジニアが文系研究者のカルチャーに合わせるのは容易でない…むしろ理工系の研究者がリーダーシップを取り、文系の研究者にエンジニア・カルチャーに合わせてもらう方が、はるかに実り多い研究成果を生む…これは仰るとおり。しかし、理工系研究者(特に理学系)の多くは自分の研究にしか興味はないので、この手のリーダーシップを取ろうとする人間はあまりいないし、そもそも取ろうとしない。そこへいくと(また話は脱線)、理学系と工学系の差はあれど、我らが東工大の(私の出身学科である)理学部地球惑星科学科のM先生は大変優れている。地惑のスポークスマンとして対外交渉にも長けており、科研費などの研究費の獲得も得意であったはずである(でないとアイスランドでヘリを使う研究なんて出来ない)。そして人生観として引用したいことがひとつ。筆者の友人の弁であるらしいが…。不遇な時は劣等感を養って、次の飛躍に備えるまさに今の自分にぴったりだと思った。今年8冊目。ヒラノ教授の論文必勝法-教科書が教えてくれない裏事情-/今野浩
2014.02.15
「タリスマン(上・下)」(スティーヴン・キング&ピーター・ストラウブ、新潮文庫)を再読。実は今年1・2冊目を飾るはずだった作品。年末年始に読み切る予定が読み切れず、その後「読書できない症候群」に見舞われてほったらかしとなり、「症候群」回復後は他の本を読んでいた。そして最近になってやっと読みかけのところから再出発して冒険を終えたのである。そう、冒険。この話は冒険の話である。かつて一世を風靡した女優リリーは癌に冒されていて、アメリカ東海岸のホテルに身を寄せている。その息子ジャックは、西海岸まで大陸横断の旅に出て、母の病気を治せる「タリスマン」を探し求める、というストーリー。しかもそれは単なる旅ではない。現実世界とファンタジー世界を行ったり来たりする「フリップ」をしながら進む旅である。ファンタジー世界には、現実世界の人間に対応する「ツイナー」がいたりいなかったり。現実世界・ファンタジー世界それぞれに登場するキャラクタ設定も面白いし、何よりも「冒険物語」として楽しめる。最後は感動させられた!因みに本作の続編に「ブラック・ハウス」という作品があるのだが、本作では「ブラック・ホテル」としてそれが登場している。作品の「むすび」には「トム・ソーヤーの冒険」を引用して、物語に続きがあることがほのめかされている。それから作品終盤にカール・セーガンの「ブローカの脳(邦題:サイエンス・アドベンチャー)」の名前が顔を出すのも、私にとってはほくそ笑みポイントだった。とにかく掛け値なしの感動冒険物語である。古い本ではあるが、是非一読して頂きたい。これで今年6・7冊目読了。
2014.02.11
「フレンズ-シックスティーン-」(高嶋哲夫、ハルキ文庫)を読む。神戸のポートアイランドで、暴力団によって母親を銃殺され父親と妹を轢き殺されてしまったユキは、意識不明の生死の境をさまよう。そしてユキの4人の仲間である高校生たちは、暴力団を向こうに回して復讐することを誓う。タイトルの軽さからは想像できないストーリー。暴力団モノというか刑事モノの高嶋作品は何作も読んできたが、これはかなり特異で特別な設定だと思う。4人以外の登場人物や、殺された父親の生前の人間関係などが明らかになるにつれて、4人の気持ちも揺れ動いていく。暴力団のボスを殺(や)ればユキを救ったことになるのか…この辺りは中々難しいテーマを描いているが、読みにくさはあまりない。ただ、私の読み違えでなければ、4人のうちの1人の母親が未成年である娘にビールを勧めるシーンが2箇所(少なくとも)あって、これはちょっとマズいというか不要なのではないかという気がした。それからもう1点。致命的なのがあった。P.133に「スポーツマンの鏡」と書いてあるが、これは「鑑」の明らかな誤りである。これではストーリーが面白くても、大幅な減点である。とはいいつつも、今年5冊目読了。
2014.02.06
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「追跡-警視庁鉄道警察隊-」(高嶋哲夫、ハルキ文庫)を読む。都内の電車の中で横行する「切り裂き魔」事件。車内で女子高生やOLのバッグが切り裂かれる事件が続発し、鉄道警察隊が捜査に乗り出す。やがて犯人が自首してくるが、それ以降も事件は続く。しかもその悪質度は徐々に高まっていき、バッグだけでなく被害者の身体も切りつけられるようになる。犯人は一体…?正直、犯人は簡単に判ってしまった。しかし、そこに至る様々な人間ドラマもちゃんと描かれていて、その部分はまぁまぁ読みごたえもある。まぁエンタメ小説として一気読みしてしまうにはもってこいの1冊かと思う。これでやっと今年4冊目。追跡-警視庁鉄道警察隊-/高嶋哲夫
2014.02.03
全8件 (8件中 1-8件目)
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