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大野隆之

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さらに小屋敷氏は若い二人の結婚について、次のように述べる。


 「残された島では、意味もなく訪れたナイチャーの青年と本土から訳もなく帰省した島の娘がめでたく結婚する。これは巧妙に仕掛けられた日本と沖縄の結婚ファンタジーである。そこで肯定されるには、一方的なナイチャーの作り話にすぎない。ここに小渕恵三前首相が、この映画を気に入った理由がある(船橋洋一「日本@世界」朝日新聞四月六日付)。」

 奈々子の帰省の事情や、福之助がこの島を訪れた理由が何であるか、ほとんど説明されないのは事実である。しかし意味がないのか、あえて語られないのか、微妙なところである。次の「巧妙」はどういった点が巧妙なのかよくわからない。また結婚ファンタジーというのが、趣旨もよくわからないし、「そこで~」の部分は、皮肉ではなく意味不明である。「それが(島民達に)肯定されるというのは、一方的なナイチャーの作り話にすぎない」という意味なのだろうか。

 まずヤマトから来た男性と、沖縄の女性との結婚というモチーフだけなら、そう珍しいものではない。「ナビィの恋」と同時期2000年に、大城立裕『水の盛装』(朝日新聞社)又吉栄喜『海の微睡(まどろ)み』(光文社)が相次いで発表されている。さらに崎山多美の「風水譚」(1997)は婚姻という形態をとらないが、本土出身の男が沖縄女性を通じて沖縄文化に魅入られていく先駆的な作品である。これはこの時期いわゆる「ウチナームク」がさほど珍しくなくなってきたこと期を一にしている。いずれも作者は「ナイチャー」ではない。

 福之助の内面や感情はほとんど描かれないが、彼は奈々子より恵達にひかれているようにも見える。恵達から仕事を学び、三線を学び、やがて東金城の婿になるのである。去って行ったナビィにかわり、恵達の孤独を埋めるかのように。この入り婿という点は重要であり、福之助は何の自己主張もすることなく、むしろ島に吸収されていくというのが普通のとらえ方ではないか。

 その一方仮に小屋敷氏が主張したいのが「福之助が簡単に共同体に認められるのはおかしい」ということだったら、それは一理ある批判である。結婚式には奈々子の父親なども参列しており、サンラーに対する極端な排除と比べるとあまりにもダブルスタンダードな気がする。ただしこの島はアイルランド人もOKという開けた一面ももっており、これらの因子を慎重に検討しながらの批評が必要だろう。

 最後に、小渕首相がこの作品をどう思ったかは、この作品の質と何ら関係ない。そして小渕首相の申し出で中江氏が何をしたかなど、つまらない話である。





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Last updated  May 2, 2014 10:56:47 PM
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