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May 3, 2014

　小屋敷氏の「ナビィの恋」批判を検討するうち、映画「風音」の別な一面が見えてきた。

　小屋敷氏はナビィの恋を「かびの生えた数十年前の恋」と述べるのだが、それなら「風音」の藤野志保も同じことである。はたして小屋敷氏は藤野志保の特攻隊員への思いも「かびの生えた数十年前の恋」と指摘するのだろうか？小屋敷氏が、「時間がたった恋は、ことごとく無価値な恋である」という強い信念を持っているなら別であるが、なんとなく志保の戦死者への思いは尊重しそうな気がする。これは私の憶測なので、「志保の思いもかびがはえている」とおっしゃるならお詫びします。

　実は「ナビィの恋」と「風音」はたいへん似ているのである。「風音」にはいくつかのエピソードがあるのであるが、最も重要なエピソードは志保の真一への思いである。それゆえにこそエンディングでは志保の破り捨てた手紙の一部が御頭の隣に落ちる。そこで風音は一段と強くなり、子供たちをはじめみんなが風音に耳を澄ますのである。

　ナビィの恋人は生きている。志保の恋人は死んでいる。ただそれだけの違いである。おそらく目取真氏は絶対に認めないだろうが、無意識下で「ナビィの恋」に感動したのではないだろうか。そうして原作にはなかった「恋」というモチーフが加わったのではないだろうか。

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