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マジック・ザ・メイカー3話「魔女と少女3」 炎に包まれるサウス、冥珂はソバットを叩き込み19の太陽で作った光の帯に押し込む。「うぎゃあああああああああああ……」サウスの体から黒いもやが散っていく。徐々に人間の姿へと戻っていく。「力が……抜けていく……!私の力が!!」 光の帯に捕らえられたサウスは大の字になりながら叫ぶ。「何言うてんねん借り物やろ!しかもとびっきり悪い力や!!」「この……このぉ……!!抜け出せん!!」「無駄や、借り物の力でそこからは抜け出せへん。本来の姿に戻り自分の力で脱出するんやな」「ぬううううううおおおおおおおおおお」「質問や、その力どうやって手に入れた?」 冥珂はファイティングポーズのままサウスに問う。「……それを聞いてどうする?」「力の供給源を経つ」「フホホホホホホ!できるものか!あの方をどなたと心得る!!人間ごときが!!」「何か勘違いしてへんか?供給源を滅することなんかできるわけないやろ。干渉できひんもんにどうこう出来るわけない。アタシがやるんはこの世界との繋がりを経つんや」「なんだと!?」「分かりやすくいうとな、ネットの通信をプツーンと切るんや。プロバイダを相手にするんちゃうで」「ぬううううううあああああ!!言うものか!!あの方に不敬は働かんぞー!!」 完全に人間の姿に戻ったサウスは光の帯から解放されうつ伏せに倒れ込んだ。「しばらく立ち上がることも出来んやろ。さて……この力はどこから……」 冥珂は喫茶店の中に目をやる。店内では客たちが天を仰ぎ恍惚の表情を浮かべ歌を歌っている。「冥珂さん!」 スフィンクスに変身を解かれる晴凛。冥珂は光の帯を解除する。「無事みたいやな。で、あんたのおかんはどこに?」「あの真ん中で歌ってるのがそうです」「急にあんなんなったん?」「そこの老人が変なライトを浴びせたせいで……私もちょっとだけ浴びせかけられました……」「へぇ……あそこに落ちてるやつやな?」「そうですあれです!」 冥珂は銀色のライトを拾い上げるとポケットから小さな片眼鏡をとりだし覗き込む。「構造は単純やけど……これを作った奴はそうとう『詳しい』な。バスの時も思ったけど『あえて痕跡をばらまく』事で大元を割り出せんようにしとる」 冥珂はライトを解体すると中から魔法陣の書かれたフィルムと宝石を取り出し回収した。「冥珂さんそれは一体?」「悪い奴の力のこもった宝石を使って相手に繋げようとする装置やね。WiFi接続させるそんな感じや」「はぁ……ネット接続に例えるんですね」「機械とか苦手やけどネットの使い方は知ってんねん。それは置いといて晴凛ちゃんのおかんをなんとかせんとな」 冥珂は喫茶店に入って歌っている集団に近づいていく。「16の塔(The Tower)」 タロットカードを取り出す冥珂、上に投げると天井に巨大な目が浮かび上がり赤い光を放つ。光を浴びた集団は我に返りよろよろとその場に座り込んだ。「お母さん!」「あら晴凛……あなたどうしてここに?」 晴凛は母親に駆け寄る。ゆっくりと立たせて椅子に座らせた。「お母さんの様子がおかしかったから付いて来たんだよ。どうしてこんな集まりに?」「え?そうね……確か藤邑(ふじむら)さんの奥さんに誘われて……だったかしら」「藤邑さんはどこに?」「さぁ……そもそも藤邑さんてどこの人だったかしら?」「ええ~……」 晴凛は横でキャンディーを舐める冥珂の顔を見る。「藤邑ってのが怪しいのはわかったけど……そいつを追えば大元にたどり着くとは思えへんな。偽名やろうしそいつもまた誰かに誘われた可能性がある」「じゃあどうするんですか?」「アタシはやっぱりバスが鍵やと思ってるんよ。せやから今からバスターミナルに行ってみる」「じゃあもしかしてバスに乗った人みんなが変な状態になってるとか!?」「いや、そうはならんよ。晴凛ちゃん毎日乗ってるけどなってへんやろ?悪いものに好かれる人間てあるんよ。接続しやすい言うかなぁ」「そうなんですか」「せやねん……アタシがあれやこれややってるの見て大騒ぎせえへんやん?トリックだーどんな仕掛けだーとか。晴凛ちゃん素直でひねくれてへんのやろうな。ひねくれてたり何か心にドス黒いものを抱えてる者は接続されやすいんよ」「えっと……まだ私は高校も卒業してないし世の中のこと全然知らないし冥珂さんのやってることも世界にはあるんだろうなーと思ったくらいでそんな大層なものじゃないです」「それが中々ねーそう思える人はおらんのよ。晴凛ちゃんひょっとしたら魔女になれるかもしれんよ?早ければ未成年のうちにね、それやったら魔法少女やわ!」 冥珂と晴凛の会話を聞き不思議そうな顔をする晴凛の母親。「晴凛?あなた誰とお話してるの?」「え?」 晴凛は一瞬母親が言ってることを理解できなかった。「ああ、この人はこの前知り合いになった立花冥珂さん。ほら、バスの事故で遅刻しそうになった時助けてもらったって話したじゃない」「何を言ってるの晴凛、そこに誰もいないわよ?」「お母さんこそ何言ってるの?」 晴凛は冥珂の方に手を向けて言った。しかし母親は首をかしげている。「晴凛ちゃん、今のアタシの状態は普通の人間には見えへんよ。もちろんあれやこれややってる事もね」 いつの間にかライダースーツに着替えた冥珂はキャンディーを舌で転がしながら言った。「え、マジですか……じゃあお母さんになんて言えば……?」「適当に言っといてよ」「ええ~……」「晴凛?どうしたの??」 母親が訝しげに尋ねる。「あ、冥珂さんは……さっきまでそこにいたのにな~アレ~?アレレ~??」「変な晴凛……」 顔を赤くする晴凛、抗議の表情を浮かべて冥珂を睨みつける。「まぁまぁ晴凛ちゃん、落ち着いてーな。はい飴ちゃん、アタシはもう行くけどあんたはおかんの事と警察への通報お願いな」「え?ちょっ……待ってくださいよー」「スフィンクスまだ貸しといてあげるし」「そういう問題では……」 冥珂は喫茶店を出るとほうきの上に両足で乗り飛び去る。その際に喫茶店を覆っていた薄暗い結界を砕いた。夕日の光が窓から差し込んだ。 空を疾走する冥珂、足でほうきを操り左手の5つの指輪の一つから地図を浮かび上がらせて周囲を見渡す。「バスターミナルの方角は……どれどれ……?」 指で輪を作り覗きこむ冥珂。バスターミナル全体が黒いもやで覆われている。「クアックアックアッー!」「早速お出ましやね」 フクロウ頭が冥珂の前に出現した。「クアックアックアッー!」「クアックアックアッー!」「クアックアックアッー!」 更に三体のフクロウ頭。「南田外志明を退けたのはお前ダナ?」「ミナミダトシアキ?ああ、さっきの悪魔喫茶博士??」「ジャマだ、消えてもらうゾ」「バスに続いてさっきの事……流石に動き始めたんやな」「邪魔はサセナイ!」 フクロウ頭は饒舌に話し出す。「お前のようなエクソシストや魔術師は既に何人も始末している」「アタシはエクソシストでも魔術師でもないんやけど?」「ではナンダ?」「魔・女・や!」 冥珂は指揮棒のようなものを取り出してフクロウ頭に向ける。「魔女……?」「せや、正真正銘のな!ほんのわずかやけど生き残っとるんよ」「そうか、だからどうだと言うのダ?お前はここで始末される事に変わりない」「できるかな?おしゃべりはここまでにして行くで!14のArt(技)、4のThe Emperor(皇帝)!」 冥珂の背中から赤い鷲の翼が生え両足は黄金の鎧に包まれる。Artのカードに触れたほうきは軽機関銃へと変化、指示棒は雄羊のガントレットに。「!?」「バレットアーツは現代魔女の必修技能や!」 軽機関銃をフィギュアスケーターの如く回転しながら撃つ冥珂。4体のフクロウ頭に命中させながら1体に接近、黄金鎧の足でフクロウ頭を蹴りぬく。「クアアアアアアアアアッ!」 弾丸で撃たれた箇所から黒いもやを散らせるフクロウ頭、蹴りを受けた1体は完全に霧散、2体も弾丸を受け霧散していく。残り1体となった饒舌のフクロウ頭。「何!?こんなにアッサリと……!?」「アタシはあんたらの力を消すことができんねん。あんたのバックについとる奴がどれほどのもんで力を持ってても関係ない、パッと遮断や!力の供給を無しにする!!」「2のThe High Priestess(女教皇)!!」「クアアアアアアアアアアアッ……」 光のベールの包まれた女性が現れフクロウ頭を包んでいく。「力が抜ける……こんなハズでは……コンナ」「それであんたが藤邑か?あ、ちゃうか、確か女やっけ?ともかく知らんか?」「……」「ま、ええわ。自分で調べるさかい。あんたはそのへんで寝とき」「クソッ……出られナイ……力が」 ゆっくりと降下していく女教皇、ビルの屋上に拘束したまま男を置く。「イッシー(女教皇)、後はよろしくね!」「おっけー!」 冥珂は赤鷲の羽を大きく広げるとバスターミナルに向かって加速。バスターミナルは黒いもやで覆われている。中の様子はもやが濃いため見ることができない。「ここが力の発生源に間違い無いなさそうやね……」 黒いもやに突入する冥珂、ライダースーツ姿に戻り着地する。「おやおや……いっぱいお出ましやね」 バスターミナルに停車してる数十台のバスからフクロウ頭が次々と降りてくる。「剣の10!」 10の火の玉が上がる。そしてそこからスコールめいた火の雨を降らせる。「クアアアアアアアアアアアアア……!」 炎を上げ霧散していくフクロウ頭たち。1体は霧散せずに残っていた。狼に跨り目は金色に輝き冥珂を睨みつけている。「ココまでたどり着いたか魔女よ」「……あんたこそ藤邑?」「ふふふ……正解。では次の謎解きに挑戦してみるか?私を倒したら全て解決すると思ってるか?」「いいや、それだけではこの街のこの異変は収まらんやろな。せやからその力の源を断ってやろ思てんねん」「そうきたか。流石は魔女といったところか、これまで私に挑んできたエクソシストや魔術師は私を退治しようとしてきた。確かに中には私を凌駕する者いた、私を倒し街に平和が戻った、だが結局は死んだ。なぜだか分かるか?」「もちろん、せやけどあんたに挑んだ連中もよほどマヌケじゃない限り蘇る可能性は考えてたはずや」 冥珂はほうきを構えて言った。「ええ、ええ、優秀な者もいた。だが認識が甘かった、まさかこの街全体が私のものになっているとは気がつかなかった。事故や通り魔に見せかけて皆殺してやった。一流のエクソシスト、魔術師といえども隙は必ず生まれる。私を倒し一息つくために訪れた喫茶店で首を刺されての死、空港に向かうためのバスに乗り事故死。超常現象では無く全て日常でありえる死。私は私の痕跡を残さずに奴らを始末した」「へぇ……タネあかしをするってことはアンタも本気やってことかな?」「そういう事。隙が無く厄介な力を持つお前はここで私が全力を持って殺す。この街に入った時からお前は周囲の人間から存在を消していた。つまりこういう事に慣れている。この街は私の意思に支配されている。力では無く意思だ。操っているのではない街は自分の意思で私と同調している」 黒いもやが藤邑に集まっていく。冥珂は1のThe Magus(魔術師)のカードを取り出した。続く
Aug 18, 2017
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マジック・ザ・メイカー2話「魔女と少女2」「マアアアアアアアオ……ゴロロロロロ……」「……」 晴凛の膝の上で猫と呼ぶにはあまりに野獣めいた鳴き声を漏らす銀色の猫スフィンクス。冥珂のスフィンクスは下校時に現れ晴凛の家にまでついてきた。「あの時のように鎧はついてないし、ふわふわの銀毛だし、顔も整ってるし良いんだけど……なんかすごく重いし足太いし猫というより小さなライオン……」「ゴルルルルルルル……」「なついてるのだろうけどちょっとコワイ」 冥珂の事、スフィンクスの事で頭がいっぱいになっていた晴凛は一日中授業は上の空で過ごしてしまった。「戦車のカード……『勝利、全身、コントロール。イケイケドンドンで前向きに問題に立ち向かうのが良い。晴凛ちゃん何か悩んでることがあってどうして良いか迷ってるんちゃう?』って冥珂さん言ってたけど」「ただいま」「あ!お母さんだ!!スフィンクス隠れて!!」「グルアッ」 スフィンクスは一瞬でタロットカードに入っていった。慌ててソファに座りなおす晴凛、すぐにリビングにはいってくる母親。「なあに晴凛今の鳴き声みたいなの、へんな生き物家に入れてないでしょうね?」「まさか?携帯ゲームの音だよ」「それならいいけど。水槽とかカゴで飼えるのなら考えもするけど」「あはは……(カードの中にいるとか言っても信じてもらえないだろうなぁ)」「夕飯の支度したらすぐに出かけるからね。お風呂入っておきなさいよ」「またでかけるの?」「お母さんにも色々あるのよ」 晴凛の母親は最近夕方になると出かけることが多い。働くためではないらしい事は晴凛は知っていた。一度母親が携帯電話で話しているのが聞こえてきたところによると何かの会の集まりらしかった。「晴凛、嫌なこと言うかもしれないけど。……あの事考えておきなさいよ」「……うん」 あの事とは両親が離婚した場合どちらと住むかの選択である。冥珂の事があってそのことからは意識が離れていたが急に引き戻され底なし沼に足をつけたような気分になった。考えれば考えるほど深みにはまり苦しくなる。 母親は白米を炊き買ってきた惣菜を温め直した後すぐに出かけていった。「……戦車のカードは……前向きに行動」 晴凛は炊飯器に手をかけようとして思いとどまり戦車のカードと小さなバッグを持って母親の後を追った。豆粒のように距離が離れていたが晴凛は焦らず静かに距離を詰める。「あ、バスに乗るんだ……どうしよう一緒に乗ったら尾行ばれるし」「グルルロロロ……」 晴凛のポケットから飛び出すスフィンクス。その姿を電動クロスバイクに変形させた。「電動自転車になった!え?なになに?スフィクスって人間の言葉分かるだけじゃなくてそんな機転をきかせる行動とるんだ」「ウガオ……」 さっさと乗れと言わんばかりに唸るスフィンクス。晴凛はスフィンクスに乗り、塀の物陰からバスが来るのを待った。「お母さんバスに乗った……行くよスフィンクス」「ガアオ」 バスを追う晴凛。住宅街を抜け大通りに出る。更に進み隣町に入っていく。電車駅近くのバス停で晴凛の母親は降りた。「あれ?この辺初めて来たけど何か暗くない?晴れてるけど曇ってるような?」「ゴロロロロ……」 スフィンクスは猫の姿になり晴凛の足元に音もなく着地した。住宅街の細い道を進んでいく母親、迷宮のように入り組んだ道を進み三階建てのビルのテナント喫茶に入っていった。晴凛はそっと植え込みに潜り込み窓から店の様子を伺う。黒いカーテンが閉められていたが隙間からなんとか母親の姿を確認できた。他にも数人大人の男女が居た。「うわぁ……いかにも怪しい内装だ」 得体の知れない動物頭の化物の彫像、絵、魔法陣などが見える。晴凛はその中に冥珂のコンパクト越しに見たフクロウ頭の化物の像を見つけた。「お母さんのそばにいる爺さん……なにアノ服装」 母親に話しかけているのは上下の白スーツに杖、緑のフードマントの老人。「映画とかに出てくる博士っぽいね。悪魔喫茶博士だ」「グルグルグル……」 晴凛が悪魔喫茶博士と呼ぶ老人はキラキラ輝くおもちゃの光線銃のような、ライトのようなものを取り出し光を母親と周囲の人間に浴びせかけた。「怪しい!怪しすぎる!!」 光を浴びた母親らは晴れ晴れとした表情で天を仰ぎ両手を広げ何やら歌い始めた。「あああああ……ヤバイよあれ!どうしようどうしようスフィンクス!警察に言ったほうがいいかな?」「ゴロロロロ……」 スフィンクスは晴凛のカバンに首を突っ込み冥珂の黒い名刺を咥えて見せた。「冥珂さんに知らせろって?でも電話番号も何も知らないよ、この名刺にそんなもの書かれてないし」「ウガア」 名刺が浮き上がり黒い球体となると教科書でしか見たことのないような電話の受話器に変形した。晴凛は恐る恐る受話器を耳に近づける。「……もしもし?」『晴凛ちゃんどうしたん?ま、大体何があったか察しつくけどな』「悪魔喫茶博士がお母さんを……!どうしたらいいですか冥珂さん」『ほーん……悪魔喫茶博士ねぇ、ふむふむ……って、ぜんっぜん分からんわ!せやけどヤバイってことは分かる。フクロウ頭と関係するなんかを見たんちゃう?』 「あ、そうなんです!フクロウ頭とか色んな像置いてありました!!」『スフィンクスおるしよほど無茶な事をせん限り晴凛ちゃんは大丈夫やけど……あんたのおかんはそうもいかんみたいやしな、すぐ行くわ。ちょっとそのまま待っててな!』 晴凛は名刺に戻った黒電話をしまうと再び店の中に目をやる。悪魔喫茶博士と呼ぶ老人がマントを翻し窓に近づいてきた。「やば……見つかった?」「フホホ……こんなところに迷い子が。さぁさ怖がることはない入ってきなさい」 上下式の窓を開け作り笑いを浮かべる。「あっ」 悪魔喫茶博士は金属ライトを晴凛に浴びせかけた。「ギャギャギャーオ……!」 スフィンクスが悪魔喫茶博士に飛びかかる。爪の一撃で金属ライトを跳ね飛ばし晴凛の前に着地、全身の毛を逆立てる。めまいを起こした晴凛はその場に尻餅を付いた。「なんっだ……このネコは!……ネコなのか?」「クルルルルルルル……」 野獣めいた唸り声を上げるスフィンクス。「主人を守る気かネコよ健気な事だ。しかしお前は間違っているぞ、危害を食え会える気はない、むしろ救済しようというのだ」「クルルルルルルル……」「獣には理解できぬか。いいだろう私が手に入れた奇跡の力見るが良い」 両腕を広げる悪魔喫茶博士。照明を落としたかのように周囲の光が落ちていく。「なになに……!?」「フホホホホホホ……」 ぬるりと音もなく窓から出る悪魔喫茶博士。「私は……マスター・サウス!刮目せよ奇跡の力!!」 マスター・サウスと名乗った南田外志明(みなみだとしあき)はスフィンクスに手をかざす、手の動きに合わせゆっくりと宙に浮いていくスフィンクス。「ギャギャギャーオ!!」「あ、あああ……スフィンクス!」「フホホホホホ……獣よどうすることもできまい!」 マスター・サウスは手を下に振り下げる、スフィンクスは地面に叩きつけられた。「こんなものではないぞ?私の得た力は!」「あ……あ……」 今度は晴凛に手をかざす。腰が抜け動けない晴凛、カチカチと奥歯が小刻みにかち合う。「グルルルアアアア!!」 スフィンクスは跳ね起きて晴凛に飛び込む。次の瞬間、銀の光に包まれ晴凛は銀の鎧姿に変身した。「なんだと……!?」『聞こえるか小娘』「はっ」 晴凛の頭の中に響く若い男の声。『俺様だ、スフィンクスだ!いいかよく聞け、目の前のジジイは相当厄介な奴だ、俺様だけならまだしもお前のような小娘を守りながらは戦えねえ。だからお前は何も考えず俺様に体を任せろ、いいな?そしたらこの場から生きて帰してやる』「え?ええええ~……!?」『おっと、ガタガタ震えて恐怖のあまり失禁なんてするなよ?俺様はきれい好きなんだ』「いや、突っ込みどころはいっぱいあるけれど何で急にしゃべりだしたの?」『急にじゃねえ、ずっと俺様は喋ってたんだよ。お前が聞き取れなかっただけでな!こうしてとり憑いてお前の脳に直接語りかけてようやく通じるようになったんだ』「とり憑くってさらっと言ってるけど……えええ~!?」『俺様はチャリオット(戦車)だ!本来はお前が俺を使いこなさなきゃいけないんだ、今回はまぁチュートリアルってことでサポートしてやるよ!!』「昨日から超常現象のメガ盛りで頭がついていけないんですけどー」『理解できなくてもついて来い!今起きてることから目を背けるな!!いくぞ!!』「ぬうん!」 手をかざすマスター・サウス。手から黒いもやが伸びて掴みにかかる。スフィンクスは伏せて回避、その体勢からロケット弾めいた体当たりを放つ。「ぐふっ」 後方回転し植え込みに突っ込むマスター・サウス。『ちっ妙な手応えだな』「何今のもや!もしかしてあれがスフィンクスを地面に叩きつけたの?」『ああ、さっきは見えなかっただろうがあれが正体だ』「あれはなんなの?」『科学じゃ証明できねえものさ。科学だって万能じゃねえそれが全てじゃないって事だ。詳しいことは冥珂のババアに聞きな!!また来るぞあのジジイ!!』「やるではないかネコよ。私の力、もっともっと見せてやろうぞ!」 両手を上げるマスター・サウス。黒いもやが周囲から集まりその姿をフクロウ頭の狼に乗った異形の者へと変えていく。「あれは昨日バスのところで見た!」『あの時のとコイツは別物だが同じ力を使っているな。お前晴凛と言ったか?気絶しないでおくれよ?全開でいくからなァ!』 尻尾を槍に変形させるスフィンクス、両手をついた低い構えでマスター・サウスを睨みつける。フクロウ頭に変身したサウスは木の枝を拾い黒い剣に変えスフィンクスに向かって突進する。跳躍で回避したスフィンクスは尻尾の槍でサウスを攻撃、防御するサウス、黒い剣から火花が散る。着地と同時に尻尾槍で連続攻撃を仕掛けるスフィンクス、マシンガンめいた刺突を剣で防御するサウス。「ぬうん!」 またがっている狼が火炎弾を発射、サイドステップで回避するスフィンクス。「ひええ……」『ちっ……冥珂早く来いよ……晴凛の体じゃあこのジジイを倒すのは無理だ。ただのカルト宗教の教祖だと思ってたが……』 火炎弾を連続発射するサウス、徐々に追い詰められていくスフィンクス。『もうそろそろ限界か晴凛?』「ううう……吐きそう……気が遠くなってきた」『ちっ……こうなったら奥の手を使うしかないか……』「フホホホホ……観念したかネコよ?大人しくその娘をよこすがいい」「そこまでや!」 上から声がした。スフィンクスとサウスが見上げると夜空となった空間をぶち破って冥珂がほうきにのって現れた。「なんだ!?結界が破られただと!?」『なんとか間に合ったか……』「冥珂さん!」 4回転半ひねりでほうきから飛び降り着地する冥珂、ほうきをサウスに向ける。「あんた、その力どこで手に入れた?何かきっかけがあったはずや」「いきなり現れて何を言い出すかこの女!」「アタシは立花冥珂、こっち方面の厄介事の処理はそれなりにこなしてきたもんでな。で、あんたは何者なん?」「私はマスター・サウス!救済する者!!お前も私が救ってやろうぞ!!」「あーはいはい、そういう系ね。その力どこて手に入れたか吐いてもらうで!」 タロットカードを放り投げる冥珂、蝶の羽をはやした子供が現れ冥珂とサウスの後ろに光の帯を作る。「19のSun(太陽)!」「ぬ!?」「晴凛ちゃんには手を出させへんで、杖の9、Strength(強さ)!!」 8本の光の矢が出現し冥珂に吸収されていく。そして19の太陽で作った光の帯から細い帯が伸び、冥珂に繋がり山吹色に輝くローブ姿に変わった。「ハァイ!冥珂ちゃん太陽と強さのフォーム!!」「フホホホホ!いい年をした大人が何を!!」 火炎弾を吐き出すサウス、冥珂が手をかざすと火炎弾は跳ね返りサウスの顔面に命中する。冥珂は接近しほうきの連打を叩き込む。殴られた箇所から火を噴く。「グファ……!?」「さぁさぁさぁ!ドンドンドンドン剥がれていくでー!!」「力が抜けていく……こんな……馬鹿な!!」 剣で斬りつけるサウス、冥珂はほうきで受け止め口から炎を吐いた。サウスの全身を炎が包み込む。「ぬああああああ……」続く
Aug 11, 2017
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主人公の立花冥珂のイメージ画です
Aug 1, 2017
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