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木城二郎:携帯電話は奇跡的に壊れずに済んだVAMPIREEYE 52 「絆」「ったくよぉー…無茶し過ぎにも程があんぜ。飛行機に飛びつくなんてな」速水は二郎のベッドの小さな椅子に座って言った。「そうよ木城くん。あそこで逃がしてもそれで終わりってわけじゃないのだから」吹雪は腕を組んだままそう言った。「自分でもなんであんなことしたのか分かんないよ。実際危なかったし…ところで教会の人達はなんて?」二郎はゆっくりと体を起こして聞く。「データは集まったと長門さんは言ってたわ」「俺はあのおっさんのやり方が大嫌いだなー…面倒なことは俺たちにさせて美味しいところだけを取ろうとしてるのがよー」「俺もあの人が何をしてるのかいまいち分からないのが嫌だなぁ…田口さんのように裏方ってわけじゃないし」「教会の幹部・長門顕彰さんは派手な動きはしないけれど実績は多く残してる人よ。それに現場の戦闘員としても優秀。現時点では間違いなくあの人のほうが上の存在」「あの人は…人間なの?義手の反応じゃわからなくて…」「大天狗よ。東邪馬高校を張っていたサングラスの男達は烏天狗。教会でも長門さんの長門組はかなりの発言権を持ってるわ。お母さんの事、碁盤の目町の事に関する会議も幹部じゃなければ参加できない。木城くんのお父さんの紫蓮さんやわたしのお父さんのように」吹雪は窓の外に視線を移す。「わたしのお父さんはヨーロッパへ。紫蓮さんはさんは関東へ…教会で何が起こってそんな風になったのかはわたしにはわからない」「確かに…親父が関東へ行くってのも突然の事だったみたいだしね」「よくわかんねえけど、木城の親父さんと白峰ちゃんの親父さんが京都に居られたら困る奴が教会にいるんじゃねーの?」「わたしのお父さんは吸血鬼ハンター。紫蓮さんは結界術の専門…」「んん~…何か引っかかるんだよね。ほら、源藤高雅って吸血鬼ハンターが人が白峰さんのお姉さんを襲って兄貴が巻き込まれて吸血鬼になった事件。もし白峰さんのお父さんがいればすぐに兄貴は捕まえれてたかもしれない。後は…倉庫街の事件も俺の親父がいれば結界術であそこまで大きな被害は出さなかったと思うんだ」「………それはわたしも考えたわ。だけど添えはただの憶測で本当に偶然が重なっただけかもしれない。教会の誰かがそう仕向けたとしても今のわたしには探るすべはないわ」「昇進しなければ探りを入れることもできないって事か」「姉さんが学校を卒業までにわたしは上に行かなくてはならないの。そうしなければ姉さんは白峰家の当主を継ぎ、碁盤の目町に軟禁される。お母さんが解放されてもそれじゃ意味がない。お父さんはわたし達とお母さんを守るために下手に行動はできない。だからわたしが…」「白峰さん、君は一人じゃないさ。俺もいる!」二郎は左手で握りこぶしを作って言った。「お、俺もいるぜ!乗りかかった船だしな。それにこんな退屈しねえ仕事他にはないだろうし行けるところまで付き合ってやんぜ」速水が言った。「ありがとう二人共…」吹雪は目が潤んだの隠すようにベッドに背を向けた。「白峰さんの家族を救う為、俺の兄貴を戻す為、教会の体制を変える為に頑張ろう!」「おう!」「本当に…ありがとう…」吹雪は両手で顔を覆った。しばらく泣くのをこらえていたが二郎の兄、木城蓮也が人間に戻れるタイムリミットが迫っていることを思い出した。「…二郎くん、蓮也さんが人間に戻れるリミットは迫っているわ。」吹雪の二郎の呼び方が変わった。「ああ…なんとしても兄貴を捕まえないとな…吹雪さん。な?恭一!」「おう、やろうぜ二郎!吹雪ちゃん!」二郎と恭一の呼び方も変わった。三人の絆が強くなった証拠とも言えた。―伏見桃山城近くにあるマンションの一室。「よい、許す」「ははっ…」豪華な彫刻が施された椅子に座り足を組む白峰華月。その前には谷川克政が膝をついて頭を下げていた。「鬼どもの戦力、教会の動き、吹雪の力。得るものは少なくなかった。次、勝てば良い。谷川、期待しておるぞ」「ははーっ!」「では次の一手だな…克政のおかげでこちらも動きやすくなった。鬼どもが人間社会での盤上の勝負を挑むのならこちらも考えがある。近藤、斎藤、お前たちは警察の力を持って鬼と教会を締め上げよ」「ははっ!」「御意!」スーツを着た体格の良い二人が言った。「河上は蓮也を連れて下僕集めをせよ。抵抗する者、邪魔をする者は排除。我の家族は半殺しにしてでも一人連れてこい」「承知いたしました」「ふん…」長髪の河上は45度の角度で頭を下げ、蓮也は壁に持たれたまま答えた。「木戸と佐久間は引き続き計画の下準備を頼む」「はいっ!」「へいっ!」小太りの木戸と猫背の佐久間は声を張り上げて言った。「勝田は谷川とこれまで通り機械、設備面を。勝田はそれに加えて教会の情報を頼む、谷川はこれからも下僕の調教を」「オッケーです!かづたあああああああああああああん!」「全力でお答えします」指示を受けた近藤、斎藤、河上、蓮也、木戸、佐久間、勝田、谷川は部屋を出ていく。残されたのは黒谷ジークベルトだけであった。「お見事です華月様。それでこそ我が主」「ふふ…」足を組み替える華月、黒谷は華月をじっと見つめ華月の小柄な体を抱き上げた。「やはりあなたは完璧な存在だ…」黒谷はそのまま華月を抱き上げたまま歩き、天幕のついたベッドに寝かせる。「また撮るのか?」「ええ、華月様。前回とは違うお召し物をされているので。このお姿も記録しなければ」「ふふ…本当に動画撮影好きよの。鏡に映らぬお前もそれなら映るのだろう?」「はい。それがきっかけで撮影が趣味になりましたから」黒谷はビデオカメラを三脚にセット。華月の撮影をはじめる。「またこうして適当に寝そべっておればいいのか?」「はい。そのまま自然体で結構です」5分きっかりビデオカメラを回す黒谷。撮影終了の声を聞き華月は体を起こした。「で、この後は湯浴みだろう?」「はい、お流しします」―センジョーグループ系列のホテル最上階の一室。「なるほどなぁ…面白いことになってんじゃねえか。金熊(金河)は悔しがってるだろうが再戦はしばらくお預けだな」酒呑童子・仙丈隼磨は葉巻を咥えながら横に控える茨木童子の真柴樹里に言った。「おい真柴、ドンドン妖(あやかし)をスカウトしろ。職を持ってる奴も構わず引き抜け。吸血鬼どもには取らせねえぞ」「では、そのように」真柴は淡々と答えた。「もう一方の教会の馬鹿どもは面倒な連中だが人材を集めるのは下手だからな。連中が手出しできねえ範囲でやれ。ただし、強引な手を使ってきやがったら思い知らせてやれ。熊と星熊と虎熊にも人員を増やせと伝えとけ」「はい」「ふはははは…戦はいつの時代も心が踊る」仙丈隼磨はゆっくりと葉巻の煙をくゆらせる。「妖狐、土蜘蛛、牛鬼、鉄鼠にはどのように伝えましょうか?最近大蝦蟇も取り込んだようですが」「いいじゃねえか!奴らはそのまま仕事を与えて泳がせておけ、それだけで十分役に立つ」「ではそのように」―京都市内にある高級マンションの一室。「ちょっと!萌絵!妃羅莉!」奥寺舞子はソファの上で下着姿で転がっている野村萌絵と山根妃羅莉に向かって叫んだ。テーブル、床には菓子、ジュース類のゴミが散乱している。「なあに~?舞子ちゃん?」「う~ん?朝ごはん?」「あのね!この部屋はみんなで泊まるように私が用意したんだけど、あなたたちだけの部屋じゃないのよ!服着て片付けてよね!!」「いやぁん舞子ちゃん怒らないで~」「も~何怒ってるの?」「いい?片付けないとベランダで寝てもらうわよ!」奥寺舞子は指先から糸を出し、二人にゴミ袋を投げつける。「はぁ~い」「お外は暑いしやだよー…片付けるよー」「まったく…燿子を見習いなさいよ」玄関の鍵が開く音がした。向かいの大型スーパーに行っていた緋川燿子が帰ってきた。「お漬物買うて来ましたよ。おかゆ作りますさかい皆さん顔を洗って来てね」「おかえり燿子、私も手伝うわ」朝食の支度を始める緋川燿子と奥寺舞子。しばらくして携帯電話が鳴った。「周防からだ」『おはようございます舞子さま!昨日はありがとうごさいました!早速選んでいただいた洋服でそちらにお伺いさせてもよろしいですか…』「いいわよ、今日は夕方まで用事無いし」『ありがとうございます!』「じゃ、待ってるから着いたらまた電話して」通話を終了する奥寺舞子、すぐに着信音が鳴る。「今度は誰?………あ、木城君から」奥寺舞子は以前、宇治で女郎蜘蛛の知り合いを助けた時に二郎に電話をかけたことがあった。二郎はその時の着信履歴を登録していた。『もしもし、奥寺か?』「そうよ、どうしたの?」『その…ありがとな。助かったよ』「は?何の事?小蜘蛛なんて私は知らないわよ」『はは…やっぱり奥寺だ。今度ドーナツでもおごるよ』「ちょ、ちょっと!」『じゃあな、吸血鬼に気をつけろよ』「…うん」奥寺舞子は携帯電話を机の上に戻した。続く
Jan 31, 2015
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木城二郎:マウンテンバイクは欲しいと思っている白峰吹雪:ロード派だが様々な場所を走行できるマウンテンにも興味がある速水恭一:自転車に興味はないVAMPIREEYE 51「東邪馬高校戦6」「動け俺の体ああああああああっ!」気力で立ち上がる二郎、目の前の谷川はブロックロボットで隠れつつある。「フフフハハハ…もう同じ手は通じませんよ。距離を取って飛び道具で君を仕留めます」谷川は腕の装甲をボウガンの形に変えていく。「終わりです」ボウガンが引き絞られる。「くそう…」二郎はバックル刀を正眼に構える。「そこまでよ」二郎と谷川と間に降り立ったのは吹雪。「谷川克政、あなたはわたしが倒す」吹雪の髪は先ほどよりも輝き、目はより鮮やかな赤色を放っている。「白峰さん!」「何!?………そうかあのワーチーターの血を!」舞台の上で親指を立てる速水。「丁度いい具合に出血してたんでね!白峰ちゃんに分けたあげたのさ!」「それなら俺も!」二郎は左腕を吹雪の前に出す。「木城くん…」「使ってくれ白峰さん、あいつを倒して!」「そうはさせませんよ!」ボウガンを放つ谷川、吹雪はそれを撫でるように手を添えて受け流す。そして手のひらを向け冷気の波動を谷川に放つ。「ぬううううう…」「今だ!」二郎は手首を吹雪の顔の前に持っていく。吹雪は口を開けて二郎の手首に吸血鬼特有の犬歯を突き立てる。「………」吹雪の青みを帯びた銀髪は徐々に白銀に変わっていく。目は血で濡れたように妖しく輝く。「ありがとう木城くん、速水くん」冷気の波動を受けた谷川は徐々に凍結していく。「なんということだ電気熱が追いつかぬ…これほどとは。ならば…」谷川の装甲から電気がほとばしる。「…!?木城くん、伏せて」谷川はブロックロボットの装甲を球体に変え独楽の如く回転を始め吹雪の放つ冷気の波動を散らしていく。吹雪は太刀に魔力を込め振り抜く。青白い閃光がほとばしり球体を吹き飛ばす。青白い閃光が触れた体育館の壁、扉は瞬時に凍結、つららが立つ。「…」球体は壁に張り付き円錐型に姿を変える。「それで突進をしようというの?無駄よ」体育館の壁を砕きながらロケット弾の如く飛び出す谷川、吹雪は太刀を八相の構えから振り下ろす。円錐の切っ先を太刀の刃が捕らえる。「やあっ!」吹雪は太刀を振り抜く。円錐型の谷川は二つに切り裂かれ反対側の壁に激突、白煙を上げた後爆発した。「………!?手応えがない!」爆発したブロックロボットの残骸に駆け寄る吹雪。「…谷川克政の肉体が無い」「白峰さん!」二郎が叫ぶ。義手が谷川の魔力を感知した方向を指差す。「さっき空いたあの穴から出て行ったんだよ!」「学校の周囲には長門さんの部隊が配置されてる、逃げられないわ」吹雪、二郎、速水は体育館から飛び出て魔力の残滓を追う。東邪馬高校の裏門の前に白い車、その前を塞ぐように黒いワゴン車が立ちふさがっている。「どきたまえ!君たちは何だ!」スーツ姿の谷川は白い車から大きな声を上げる。「吸血鬼・谷川克政。貴様を連行する」黒いワゴン車からスーツのサングラスの男たちが警棒を持って谷川の車を囲む。「なるほど教会の…だが私を甘くないほうがいい」白い車のホイールからサイバネアームが飛び出し、リアボンネットからは龍を思わせるロボットが姿を現した。「捕えろー!」サングラスの男たちが警棒を構える。その動きに反応しサイバネアームが動き先端からドリル状の刃物を出現させて男達に襲いかかる。龍型のロボットは口から火の玉を吐き出す。「フフフフハハハ…機械を自在に操る私の力を思い知るがいい」サイバネアームに二人の男は貫かれ、残りの二人は龍型ロボットの火の玉に焼かれ地面を転がっている。「さらばだ」白い車は変形し小型ジェット機に姿を変えていく。「逃がさない!」吹雪と二郎、速水がジェット機に駆け寄る。「次に会うときはこうはいきませんよ」谷川の小型ジェットのブースターに火がつく。三人の前に龍型のロボットが立ち塞がる。「うおおおおおおっ!」二郎は龍型ロボットの火の玉を義手で防御しながらバックルを鞭に変形させてジェット機の尾翼に絡ませる。「木城くん!」「木城!」小型ジェット機が発進する。二郎は必死にバックル鞭でしがみつく。「しぶとい少年だ!だが空中で放り出してやれば助かりはしまい」徐々に高度を上げていく小型ジェット機、東邪馬高校の吹雪たちの姿がゴマ粒程になる。「そうら!落ちるがよい!」錐揉み回転する小型ジェット機、二郎は必死に両手で鞭を掴んで耐える。「むうん!」宙返りをする小型ジェット機。遠心力で二郎の左手が鞭から離れる。残る右手に渾身の力を込め鞭を握り締める「(駄目だ…そんなに長い時間は耐えれない…燃料タンクを破壊して燃料切れにするしかない)」二郎は車から小型ジェット機に変形する際に燃料タンクのある箇所は見ていた。「落ちるのも時間の問題だな。自らの愚かな行動を悔いるがよい」「(体を固定さえできれば…一撃を放つ体勢を取れれば…)」二郎は歯を食いしばりなんとか左腕を鞭にかけることができた。そこで再び小型ジェットは錐揉み回転をする。「ぐうううううう…」「フフフハハハ!苦悶の表情を見ると溜飲が降ります」「(しがみついているのが精一杯だ…どうすれば…)」二郎の髪の中から小さな蜘蛛が這い出してきた。蜘蛛はゆっくりと二郎の肩、腕、手を通り巻きつけてあるバックル鞭の一周する。「ん?何だ?蜘蛛?この激しい風の中飛ばされないで動くなんて………おや?」二郎は腕が楽になっているのを感じた。光る糸状何かが腕と鞭を繋げている。小さな蜘蛛は尾翼にしがみついたまま、今度はそば程の太さの糸を二郎のベルトに付ける。「お?おおっ!体が安定する!」更に2本の糸を飛ばし二郎の体を小型ジェットに固定する。「良し、これなら!」二郎は蜘蛛糸を左手で掴み右手でバックル鞭をつるはしに変形させる。「おおおおおおおっ!」狙いすましたバックルつるはしの一撃は燃料タンクに穴を開ける。「何!?この風圧の中であんな動きができるはずがない!!」谷川の目の前にある計器から警告音が鳴る。燃料漏れも表示。「燃料が漏れているだと…!」小型ジェット機は徐々に高度を下げ清水寺を超えた林に落ちていく。「ぬうう…たかが人間もここまで…次はないと思え!」谷川は操縦席から飛び降りる。「小型ジェット機を落としたのはいいけどこのままだと地面に激突する…」二郎は腕に乗った蜘蛛を見る。「…そうか、蜘蛛糸のように柔軟性のあるバックル鞭にして伸ばして木にひっかければ!」二郎はバックル刀で体を固定している蜘蛛糸を切り小型ジェット機から離れる。「うおおおおおおおおおおおおおっ」バックル鞭を細く長く伸ばし太く、大きな枝に巻きつける。「あああああああああああああっ」遠心力で二郎の体は大車輪一回転、枝は折れ、林道の土道に落下する。「がはあっ…」衝撃で二郎の意識は途切れる。二郎が目を覚ますと目の前には吹雪、速水、そして従姉妹の神月沙夜が居た。「ここは…?」「前に二郎君が入院してた病院だよ!なにやってんのよもー!吹雪さんと恭一さんから聞いたよ?防具もつけないでマウンテンバイクで山道爆走して転んだんだって?」神月沙夜は呆れたような少し怒ったような口調で言った。「え…?あ、ああ…そうなんだ。ちょっと練習に身が入りすぎてしまって…ごめん」「元気になったのはいいけど無茶しないでね!私はこれで帰るけどまた明日の朝来るよ。明日の検査で先生がOK出したら退院だし着替えだけ持ってくるね」「う、うん。じゃあまた明日」神月沙夜が部屋を出ていくの見送る三人。窓の外はすっかり夜の闇に包まれていた。続く
Jan 27, 2015
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木城二郎:棒高跳びは少しできる白峰吹雪:棒高跳びはそこそこできる速水恭一:棒高跳びは得意VAMPIREEYE 50「東邪馬高校戦5」「ウララララララララララーッ!」ワーチーターと化した速水の猛撃が日除を襲う。だが…「効かねえよー!そんな軽い攻撃、俺の鎧には効かねえ!牛姉ちゃん位の攻撃じゃなくなちゃなー!」更に速度を上げ速水は逆関節の足で蹴りを連打する。「ウオラララララララララララララーッ!」「効かねえつってんだろうが!」日除はサイバネアームを背中から展開し計4本の腕で草を構える。「ブワットハリケーン!吹き飛びながら切り刻まれて死ね!!」「グウウッ」速水は爪を床に突き刺し真空刃の竜巻を耐える。「ほれほれほれー!ハリケーンはやまねえぞ?」4つの竜巻を発生させる日除、四方から速水を切り刻む。速水の後ろでは二郎が苦戦を強いられていた。「くそ…速い!」「ひひひひひー!当たんねえな!」吹田は二郎のバックル刀の攻撃を見切り、二本の筒槍で突いてくる。二郎の体が血で染まっていく。「うめーうめー!お前の血は格別だな!肉も残らず全て味わい尽くしてやるよ!」筒槍が二郎の体を突き刺し、付いた血を舐める吹田。「(このままじゃ駄目だ…白峰さんも速水も苦戦している…)」二郎は急所を外しながら吹田の猛撃を耐える。「(この敵の速さに俺はついていけない、だけど速水なら…)」「そろそろホールドして肉を吸い尽くしてやるよ!」二郎はバックル刀の柄を伸ばし薙刀状に変形させる。二郎の思い通りに変形するバックルは刀にも薙刀にも斧にも鞭にもなり得る。「セイヤー!」大きく横凪ぎに薙刀を振るい吹田を下がらせる。次に二郎は薙刀を地面に突き立て棒高跳びの要領で飛び上がる。速水を飛び越え、日除の頭上から薙刀を振り下ろした。「おおっと!?」咄嗟にガードする日除、二郎の薙刀が日除のサイバネアームの一本を折った。「交代だ速水!コイツは俺が引き受ける、代わりにあっちを頼む!」「へっ…いいぜ!」4足ダッシュで吹田に突進する速水、吹田は筒槍で応戦する。「ヒイヤアアッ!」「そんなもん当たるかよ!」地面を這うようにして筒槍を回避する速水、その態勢からアッパーカットを繰り出し吹田の顎を打ち抜く。「ぐぇっ」「女を殴る趣味はねえがそんなことを言ってる場合じゃないんでな!」筒槍を掴み両足で吹田の腹を蹴る速水、蹴り飛ばされた吹田は体育館の壁に叩きつけられる。「よくもよくもよくもー!!」指に10本の筒槍を装着する吹田、憎悪に満ちた目で速水を睨みつけ立ち上がる。「しぶてえなぁ…」筒槍を構えるよりも早く速水は間合いを詰め逆関節の足を向ける。「ウララララララララララララララララララーッ!!」「あばばばばばばばば…」速水の蹴りが吹田の全身を捉える。「ウラアッ!!」止めのサイドキックが吹田の腹に食い込む。大きな血の塊を吐いた吹田はそのまま崩れ落ち沈黙する。「はぁはぁ…やったぜ…白峰ちゃんと木城はどうなった?」速水の後ろでは二郎と日除けが足を止めて攻撃をぶつけ合っていた。「ブワットオオオ!!」「セイヤー!」真空波を放つ日除、対して二郎はバックルを斧に変形させて振りかぶる。二郎の肩を深々と真空波が切り裂く。日除のサイバネアームを二郎の斧が破壊する。「チックショー!サイバネアームをオシャカにしやがって!!」「タフさには自信があるんでね」「だったら首を刎ねてやるよ!」二本の草を水平に構える日除、二郎はバックルを刀に変形させる。「(見えない攻撃でも狙ってくる場所がわかれば!)」「ズバットオオオ!」「セイヤアアア!」真空波に合わせて二郎は脇構えからの逆袈裟斬りを放つ、真空波を捉えた手応えを感じ、そのまま踏み込んで袈裟斬りを放つ。「(火の神流・疾風連撃!)」「ギャアアアアアアア!馬鹿なああああああああ!!」日除の鎧は切断され切れ込みから鮮血がほとばしる。二郎は油断せず刀を向け残心。日除けは仰向けに倒れた。「よし…速水もやったか」「おう、あとは白峰ちゃんだな」二人が舞台を見ると吹雪は両手足の甲を金属の杭で貫かれ舞台の壁に磔にされていた。「白峰さん!」「白峰ちゃん!」「フフフハハハハ!!どうやら普段から血を飲まれてない様子、魔力の持続力がありませんな。後は邪魔な者たちを始末して貴女を連れ帰ればよい」「くっ…」谷川はブロックロボットの集合体で体全体を包み込み巨大化する。「ちっ硬そうな相手だぜ!木城、あのオッサンを足止めしろ。その隙に俺が白峰ちゃんを解放する」「分かった!」左右に分かれる二郎と速水。速水は谷川の左から攻撃を仕掛ける。「ウラアッ!!」「ふっ…」速水が殴りつけた場所に金属のトゲが生え拳を貫いた。「ぐあっ…コイツ!」速水は足元に転がっている吹田の筒槍を手にする。「そんなものでどうしようと?」谷川の腕の装甲が鮫の歯を思わせる形状に変形し回転を始める。「削ってあげますよワーチーター君」「これはヤベエ!」巨体を思わせないスピードで腕を振り床を削り取る谷川。両腕を広げて速水に迫る。速水は連続バックステップからのバック転で回避、壁を蹴って飛び上がり谷川の頭部に筒槍の一撃を入れる。「クッソ!なんて硬さだ!」「フフフ…吹田のそれは厚さ5mmの鉄板を貫く鋭さを持っていますが私には通じません」谷川は振り向きざまに腕を振り速水に打ち付ける。速水は筒槍で既のところで防御に成功する。体勢を崩したところに谷川に追撃、鮫歯状の回転刃が速水の腕の肉を削り取った。「ぐあああっ!」舞台に上がった二郎は吹雪の杭を抜き壁から下ろす。吹雪の体に無数の細かい杭が刺さっているのが見えた。「白峰さんしっかり!」「…大丈夫よ、それより速水くんに加勢しないと…」振り向く二郎の目に腕から血を流した速水の姿が映る。「うおおおおおおっ!!」義手のパワーを全開にするする二郎。使った後の反動を気にする余裕は無かった。バックルを鞭に変形させて谷川の腕に巻きつける。回転刃が止まる。「ほう…一番脆弱と思っていた君がこのような力を持っているとは驚きです」谷川は回転刃を納め二郎のバックル鞭を掴む。二郎は鞭形態を解除し刀状に変える。変形の勢いで接近した二郎はエネルギーを込めた義手で谷川を殴りつける。「でやあっ!」「!?」谷川のブロックロボットが飛び散り巨体がのけぞる。バックル刀を取り戻し着地と同時に足を斬りつける。「ありえない!たかが人間にここまでの力が!」足のブロックロボットが飛び散る。谷川は体を傾ける。二郎は更に攻撃を続ける。「セイハー!」左足から踏み込み、次に右足を出すと同時に下から勢いよく全身を使って刀を跳ね上げる。『火の神流・天昇炎撃』である。「(親父の見よう見まねだけど)」「ぬううううっ…」飛び散るブロックロボットの中に谷川の本体が見える。「止めだ喰らえええええっ!」「甘い!」飛び散ったブロックロボットが杭になり飛びかかる。二郎の全身を貫いた。「がはっ…」「勝負ありですね」「まだ…まだだ!」二郎は義手のパワーを自己修復に回して杭を抜き傷口を塞ぐ。強烈な疲労感、空腹感が二郎に襲いかかる。「(くそ…あと一歩、一撃なのに…!!)」膝をつく二郎、谷川の飛び散ったブロックロボットは集結を始めている。続く
Jan 25, 2015
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木城二郎:東邪馬高校に中学時代の友人はいない白峰吹雪:明命館で出来た友人とは割と頻繁にメッセージのやり取りをしている速水恭一:最近は女性と遊ぶよりもトレーニングに精を出しているVAMPIREEYE49 「東邪馬高校戦4」二郎は東邪馬高校の生徒と一緒にいる奥寺舞子に近づく。「あ、木城君。何か用?」奥寺舞子は髪を触りながら言った。「これから東邪馬高校に行くんだ。奥寺たちはここで何を?」「この子、周防と待ち合わせをしてたのよ」「周防美古都と言います」三つ編みおさげの東邪馬高校の生徒は頭を下げた。二郎の義手がかすかに反応する。「俺は奥寺の同級生の木城二郎。後ろにいるのは白峰吹雪さんと速水恭一です」「どうぞよろしくお願いします。木城さん達は、東邪馬高校には何をしに?」「えっと…文化祭の事で東邪馬高校の校長に話を…」「えっ!?校長に?」周防美古都は驚いて奥寺舞子の顔を見る。「いいのよ周防、木城君たちは私の正体知ってるから。校長の話をしてあげて」周防美古都は簡単に谷川克政が吸血鬼の可能性が高い事と闇の住人の何人かが操られている事を二郎らに話した。「ぬりかべ、肉吸い、風狸、化け火…」吹雪は確かめるようにつぶやいた。「はい…そして私は大蝦蟇です」「教会が動くなら私たちは高みの見物と行こうかしら。行こう美古都、これから買い物にいくんでしょ?」「あ、待って下さい舞子さま~」「じゃあね~木城君、生きてたらまたどこかで~」去っていく奥寺舞子と周防美古都。「おい、奥寺達にも手伝ってもらえば良かったんじゃね?」速水は言った。「それを判断するのは白峰さんだ」「…土蜘蛛の助けはいらないわ」東邪馬高校の正門前まで行くと、サングラスの男たちがワゴン車から出てきた。「長門様の指示で我々が貴女達をサポートします。この学校から闇の住人を一体たりとも逃がしはしません」「…わかったわ」「20名体制でこの学校の敷地を見張ってますので奴らに逃げ場はありません」吹雪に告げると男たちはワゴン車に戻って行った。正門の横にある守衛室で訪問の旨を伝える三人。「明命館の生徒さんね…ちょっと待ってねー」守衛の初老の男が受話器を取る。二郎の義手は反応しない、人間であることが解る。「入っていいよー校長先生は体育館で待ってると言ってるよ」三人は正門を通り教えてもらった体育館に向かう。―東邪馬高校から15分程の所にあるファッションセンター・シマクロ。主にヤングレディスの服、雑貨を取り扱う店。値段の割に生地、シルエット、デザインが評価されており若い層だけでなく中年にも人気がある。「舞子さま良かったのですか?お友達を手伝わなくても…校長の谷川克政は危険ですよ」周防美古都は遠慮気味に聞いた。「友達じゃないわよあんな連中…まぁ木城君はマシだけど」「まさか舞子さまあの男の人のことが…」「無い無い!話しやすいってだけよ!変なこと言わないでよ!」「す、すみません!」「助けなかったのは別の理由があるの。周防、あんたに会う前に学校の周りをちょっと見てきたの妙な気配の連中が学校の周りに結構いたのよ」「そうなんですか!」「恐らく教会の関係者ね。下手に関わるのは面倒なことになるからやめておいたって訳。一応木城君の服に極少の蜘蛛をつけておいたから何かあったら解るわよ」「流石舞子さま!」「燿子たちにも言っておいたほうがいいわね。それは置いといて…絶望的にセンスがないあんたのためにここに服を買いに来てるんだから服選びに集中よ集中」「そうですね!」奥寺舞子は自分のマンションに泊まりに来ている緋川陽子たちにメッセージを送った。体育館に入る吹雪、二郎、速水の三人。カーテンは全て閉ざされ照明は舞台の上だけ照らされている。「複数の魔力を感じる…」二郎の義手が反応する。「フワッとおおおおおおおおおおっ!!」二郎たちの上から声がした。西洋鎧を身につけた男が降ってくる。「!!」「何っ!」「くっ!」速水の目の前に降り立った男は風狸の日除静哉である。長い草を取り出し速水に向ける。「何かやべえっ!」速水は咄嗟にしゃがむ。後ろのカーテンが切り裂かれる音を聞いた。「てめぇいきなり何だ!」速水は瞬時にワーチーターの姿になり日除静哉に右ストレートを繰り出す。「フハハハハッ!初見で避けたのは褒めてやるヨっと!」日除けはブリッジで右ストレートを躱しながら足を跳ね上げて速水の顎を蹴り上げる。「ぐうっ」戦闘態勢を取る吹雪と二郎。両側のドアにかけられたカーテンが揺れた。「にくにくにくー!」「うおおおっ!!」筒槍を両手に持った肉吸いの吹田麻莉と左腕に刀身を思わせる義手を取り付けた田村蒼炎がカーテンの奥から飛び出し、吹雪と二郎に襲いかかる。「ヒヒヒヒヒッ!健康そうな男の肉ー!!」筒槍が二郎を襲う。咄嗟に右手の義手で防御する。「貴様を排除する」左手の刀身で吹雪を突いてくる田村、吹雪は持っていた太刀で受け流す。『ようこそ我が城へ!私が校長の谷川克政です』舞台の上に現れたのはオールバックの男。銀髪に目は赤く輝いている。「白峰吹雪様、貴女にだけ用があります。後の者は始末します。私の優秀な部下がお相手致しましょう」「そう上手くいくかしら」吹雪は鞘から太刀を抜きながら飛び上がり鞘で田村を打ち、体を旋回させ刀身で空を斬る。魔力を帯びた太刀の刀身から冷気の刃が飛び出し谷川に向かって飛んで行く。「むん!」谷川は前に手をかざし円盤状の金属を出現させ冷気の刃を防御した。冷気の刃は飛び散り周囲を凍りつかせる。「貴様の相手は僕だ!」青白い炎を纏わせて吹雪に斬りかかる田村。吹雪は羽毛を思わせる軽い動きで躱し田村の脇腹に太刀を入れる。「がはっ…速い…!」「貴方に構ってる場合じゃないの。戦闘不能になってもらうわ」白木の針を取り出す吹雪。魔力を込め4本投げ放つ。田村は青白い炎で弾き返すが、針の触れた箇所から凍結が始まる。「何っ!?これは…」「おわりよ」連続で白木の針を投げ放つ吹雪。田村の体に12本突き刺さり凍結していく。「こ、こんな馬鹿な!僕の力はこんなものじゃ…」田村は完全に凍りつく。能力を発揮するまもなく吹雪の放った魔力に反応し凍結させる白木の針を受けて戦闘不能となった。明命館で吸血鬼・沖田に放った技である。「吹雪様お見事!あの田村を瞬時に討ち負かすとは流石は白峰家の吸血鬼ですね。完全に自身の能力をコントロールされておられる」「まだまだよ。わたしはもっと強くならなくてはならない!」谷川に向かって駆ける吹雪、飛び上がり空中で回転しながら魔力を込めた白木の針を連続で投げ込む。谷川はそれを先ほど出現させた盾を変形させ槍状にし、プロペラのごとく振り回して弾く。「驚きましたか?貴女の針で凍りつかないこの槍を」槍は谷川のスーツの裾から伸びた金属のアームで支えられている。「この槍は私の能力ではありません。機械で動いてるのです。この槍とアームは小指の先ほどの小さなブロック状のロボットの集合体です。私の能力は機械を操ることです!」「何故自らの能力を明かすの?」「貴女の能力は知っています。ですから私も明かした。それに私は運が良い、相手をするのが貴女の妹であらせられる霞様でなくて良かった。あの方の電撃は私と相性が悪い」「その余裕、いつまで続けられるかしら」吹雪は小瓶の血を飲み干す。髪は銀色に輝き目は深紅に変わる。「なんという魔力!」「はっ!」舞台にあがり斬り込む吹雪。亜音速の太刀が谷川に襲いかかる。「むううっ!」吹雪の連撃を受け削られていく谷川の槍、しかし引くことなく太刀と合わせる。「なるほど、近接戦闘では貴女に分があるようだ。それなら…」槍は巨大な手のひらに形を変え吹雪の太刀を掴み取る。「そしてこうです」吹雪に削られた散らばったブロックが刺状になり全方位から吹雪の体を貫く。「うぐ…」「むん!」ブロックでできた巨大な拳で吹雪を横凪ぎに殴りつけ舞台の奥の壁に叩きつける。「私は沖田とは違う。勝ちを急がない、じっくりと詰めていきますよ」続く
Jan 19, 2015
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金河潤美:酒呑童子四天王の一人「金熊童子」VAMPIREEYE 48「東邪馬校戦3」金河は2階で瀕死の部下の銀と鈴を発見した。「お前たちがここまでやられるとは…相手は吸血鬼?」数え切れないほどの切り傷を負った銀と鈴の体を起こす。「わかりません…西洋甲冑を着込んでサイバネ改造をした男でした」「甲冑は硬く見えない飛び道具で攻撃してきます」「目標は思ったよりやるみたいやわ…吸血鬼は城を構えて配下を揃える癖があるというのに甘く見とった…銀、鈴、学校から出ていつでも撤退できるようにしとき。あては鉄と鋼を探しにいく。今回は悔しいけど引いたほうが良さそうや」「分かりました…お気を付けて」三階を進む金河。廊下に倒れている部下の鉄と鋼を発見する。二人の胸には吹田麻莉によって空けられた大きな穴が見える。傷の割に出血は少ない。「遅かったか…二人とも無駄死にやないで」金河が手をかざすと鉄と鋼の体が光りだす。やがて輝く粘液になり金河の体を這っていく。「あてに力を貸してや鉄、鋼」金河は自分の体を魔力で金属に変えることができる。金河の体の一部から生まれた存在である鉄と鋼は魔力に反応して金属に姿を変えていく。そして自らの体に纏わせた。鉄と鋼は甲冑をイメージさせるスリムなコンバットスーツに変化した。金河は三階の窓から飛び降り校門に向かう。そして銀と鈴と合流、撤退する。その様子を青白い光をまとった男が眺めていた。「校長先生、奴らが逃げていきますがどうしますか?」『後をつけて隠れ家を突き止めなさい。可能なら一人でも始末しなさい』「承知いたしました」男は谷川克政の言葉に静かにそう答えた。車に乗り込む金河、銀、鈴。その後を屋根伝いに飛び追う男。車は大通りの避け入り組んだ一方通行の多い道を南に進んで行く。車は30分ほど走り、そして街灯の少ない駐車場で止まった。「追って来てたのは知っとるで…」金河は車から出て刀を抜いた。「それで人気の少ない場所に僕をおびき出した訳ですか。こちらとしても都合はいいです」男の全身から青白いプラズマを思わせる炎が上がる。「僕は田村蒼炎(そうえん)。校長先生の命によりあなたたちを始末します」飛び上がる田村、20mほどの高さから流星の如く落下、ビリヤードの球のように車は弾かれ、フェンスに激突した。「銀!鈴!よくも…許さんで!」「フフフ…」金河は一足飛びで接近、上段から刀を振り下ろす。だが刃は田村の体を避け空を切る。「なんや今の手応えは?」「もっと試して見てはどうです?」不敵な笑みを浮かべる田村。金河は連続で斬りつける。「…!?」刃は全て何かに弾かれるように逸れる。金河は下がって刀を八相に構える。「今度はこっちから行きますよ」田村は弾丸のように飛び出し金河に接近、迎え撃った金河の刀を謎の力で上に弾き横殴りの一撃を叩き込む。「む?」田村の渾身の右フックで金河は倒れなかった。瞬時に顔面を鋼鉄化し耐えたのだ。「そんなパンチきかんなぁ」「フフ…そうでなくては!」青白いプラズマを拳に纏わせて田村は金河にラッシュを仕掛ける。金河は刀で受けずに拳をすべて回避する。「そのプラズマに触れたら弾かれるっちゅう訳やな」「フフフ…分かってもどうすることもできませんよね?」「鬼を舐めんなや」金河の刀から赤黒い光が放たれる。「む?」刀から発せられる気配を警戒し離れる田村。「コイツはあんたらのボスまでとって置きたかってんけどな」正眼に構える金河。対する田村の表情からは笑みが消えている。「せいやーっ!!」袈裟斬りを放つ金河、赤黒い弧の軌跡を描き刃が田村に襲いかかる。田村は左腕で弾こうとした瞬間、自らの判断の誤りに後悔した。「ぐああああああっ」田村の左腕は切り落とされ地面に転がる。断面から赤黒い炎が上がっている。「うああああああああああっ」「斬れば斬る程、相手が苦しめば苦しむほどこの刀は鋭さを増すんや」「こんな馬鹿な…校長先生に強化された僕の力が…化け火である僕の力が!!」田村は膝をついて落ちた腕を拾う。「ほう…化け火、なるほどなぁ。次の一撃であんたの首を落としてもいいんやけどどうする?引くんやったらあてもこれ以上はせんつもりやけど…ただし条件がある。仲間の事とあんたを強化した奴の事を教えてくれへんか?」「この僕が校長先生と仲間を売るとでも?」田村は大きく飛び上がり街灯の上に立つ。「まだそんな力が残っとるとは。いや、気力やな。この刀に斬られた痛みは尋常やないはずやし」「この借りはいずれ返す!」田村は全身に青白いプラズマを纏わせて屋根伝いに飛び去って行った。―翌朝木城二郎はゆっくりと布団から身を起こし顔を洗い、昨晩買っておいたパンとインスタントコーヒーを口に運ぶ。「昨日のあの人、気になるな…白峰華月さんと言ったな…」二郎はスーパー・ユーユーで白峰華月と黒谷ジークベルトと会ったことを思い出していた。携帯電話からメッセージ受け取りの着信音が鳴った。確認すると白峰吹雪から田口堂に来るようにと書かれていた。田口堂に行くとノースリーブシャツに7分丈の白峰吹雪とジャージ姿の速水恭一が居た。「進展があったの。教会の幹部・長門さんからのメッセージを伝えるわ」二郎は頷く。「『東邪馬高校に向かい校長の谷川克政に会う事』以上よ」「どういう事だい白峰さん?」「わたしたちが探索をしている間も向こうは向こうで動いてたみたいね。学生であるわたしたちなら潜入しやすいと考えたのね」「なるほど…」「吸血鬼の尻尾を掴んだって訳かねぇ?校長の谷川克政ってのが吸血鬼ならその場で倒すのかい?白峰ちゃん?」速水は両手を頭の後ろに組みながら言った。「そのつもりだけど長門さんは生きて捕らえたいと考えてる。この前の明命館の吸血鬼・沖田の時のようにただ倒して手がかりを得られないのは避けたいと」「けっ!自分らは引っ込んでて吸血鬼との戦闘は白峰ちゃんと俺らにやれってか?あの長門っておっさんイケ好かねえぜ」「違うの速水くん。わたしがやると言ったの。長門さんは後方からバックアップしてくれる。木城くんと速水くんは直接吸血鬼と戦う必要はないわ」吹雪は刀袋を握り締める。「わたしは力を示さなければならない。わたしは今まで木城くんのお父さんの紫蓮さんに頼ってた。あの人は京都にはいない、だから一人前の教会の執行人として、白峰家の者として力を示す」「白峰ちゃん…」「白峰さん…」「姉さんと妹を守り、お母さんを自由にしたい。京都を平和な街にしたい。そうすればお父さんもきっと帰ってこられる。その為にはわたしは力をつけて上に上がらなくてはならない」「いいね~白峰ちゃん。クールに見えて実は熱い子なんだねぇ、俺はそういう子大好きだぜ!どこまでも付き合ってやるぜ。白峰ちゃんが出世すれば俺もそこそこのポジションにおさまれそうだしな!」「白峰さんを守ってみせる。この義手から伝わってるくるからじゃない、俺の意思でそうしたいんだ。親父の代わりにはなれないかもしれないけど」「ありがとう二人共…でも無茶はしないでね」三人は田口堂を出て駅に向かう。そこから電車の乗り継ぎ東邪馬高校の最寄駅で降りる。夏休みに入っている為学生服姿の生徒をほとんど見かけない。「わたしたちは明命館の文化祭執行委員会として東邪馬高校に行くという話になってるわ。明命館と東邪馬高校で合同の発表会の話をしに。二人は余計なことを言わずに適当に相槌を打っていて」「しっかし制服ってのは窮屈だなぁ。俺は普段からジャージしか着ねえからな」カッターシャツのボタンを緩めネクタイを下げる速水。「東邪馬高校はここから10分ほどか…ん?あそこにいる東邪馬高校の生徒の横にいるのは…奥寺!」続く
Jan 18, 2015
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運び屋ヴァン:演説の場所に不安を感じている。オーディン:Vault101のアイツのデータをベースにして生み出されたアンドロイド。通称01FalloutNewvegas第96話「ユールノウイットウェンイットハーペンツ3」ベルチバードが降りてきた。そして中から高そうなスーツの男とレンジャーが出てくる。あのスーツの男が大統領か。拍手が鳴る。大統領と思わしき男は手を上げてNCR兵たちに応える。「見てる場合じゃないな…」訪問者センタービルの外階段を降り、広場からダムの道路に出る。迫撃砲の裏には誰も潜んでいないようだ。俺はレンジャー・グラントと目を合わせ軽く頷く。次に訪問者センタービルの反対側のタワービルに向かう。広場とセンタービルは少し離れているため警備のレンジャーの姿もまばらだ。タワービルの上にはレンジャーのスナイパーがいる。上に登ってみれば広場を一望できる。「よっと…」長い金属の梯子を登ると屋上に出た。そこには…倒れているレンジャーとスナイパーライフルを持ったレンジャーがいた。スナイパーのレンジャーは倒れている同僚に見向きもしない。「おい、何があったんだ?」「………何も。今は話しかけるな」「何もって…ここにレンジャーが倒れているじゃないか。すぐにレンジャー・グラントに無線を」「ああするさ。だが今はその時じゃないお前も俺の邪魔をするな」「何を言ってるんだ!俺がその無線機を使う」スナイパーの足元に置かれた無線機に手を伸ばそうとすると…スナイパーは俺に銃口を向けた。「ちっ…死んどけ」「そうは行くか!」俺は仰向けに倒れこむようにして銃口を躱し、PIP-BOYのVATSを発動させる。時間がゆっくりと流れる感覚、ホルダーから消音器を取り付けた10mmピストルをを抜き、スナイパーの足を狙う。「がっ…」ひるんだスナイパーの腕を撃ち、スナイパーライフルを落とさせる。そしてスナイパーライフルを蹴り飛ばす。「動くな!お前が暗殺者か何者だ…」「くっ…ここまでか…だが、ただでは死なんぞ…」男はコートの中に腕を突っ込んでピンのようなものを引き抜いた。「お前も道連れだ…俺が失敗しても暗殺は行われる!うおおおおおおおおおおおおっ!!」「!!」再度VATSを発動、男の額と喉を打ち抜き俺は梯子に飛びつく。仰向けに倒れる男、コートの中から大量の手榴弾が見えた。爆発音が響く、既のところで身を隠した俺は梯子から落ちそうになる。振り返り広場を見ると全員が爆発音に反応しこっちを見ている。…いや、一人だけ見ていない!エンジニアの男が大統領に近づいている。「レンジャー・グラント!!そのエンジニアの男を捕まえてくれ!!」ありったけの大声で叫ぶ。この距離では何を言ったか伝わらないかもしれない、それでも俺は叫ばずにはいられない。錆のついた梯子を滑って降りる。革の手袋が熱を持つのが解る。エンジニアの男がナイフを取り出しているのが見えた。近くにいたレンジャーが男に気づく、だが気づくのがほんの一瞬遅かった。「くそっ…!」俺はVATSを発動させる。この距離からだとハンドガンでは当たらないかもしれない有に100mはある。それでもやるしかない。トリガーを5回引いて5発の弾丸を発射する。1発目の弾丸、外れる。2発目、外れる。3発目、外れる。4発目男の肩に命中。5発目、男の胸に命中。男はゆっくりと前のめりに倒れていった。俺はVATSの疲労で一歩も動けない。動悸が激しく汗が吹き出している。これは使うたびに寿命を縮めているのではないのか。レンジャーが動く、俺はライフルを突きつけられたので両手を頭の後ろにして膝をつく。俺が撃った男は暴れたが数人のレンジャーに取り押さえられる。大統領はムーア大佐らしき人物にベルチバードに乗り込まされている。「良かった…大統領は守った…」俺は大きくため息をついた。二人の暗殺者から大統領の身を守った。Mr.ハウスもこれでNCRとの交渉がやりやすくなるだろう。ベルチバードのプロペラが回りだす。レンジャー達が離れていく。エンジニアの男は後ろ手に縛られ連れて行かれるのが見える。俺も立たされて後ろ手に縛られる。仕方ない、爆発音がした時一番近くにいて更に発砲までしたのだからな。レンジャーに紹介してなければその場で射殺されていたかもしれない。「なんだあの光は!?」俺を拘束しているレンジャーの男が叫んだ。上昇中のベルチバードに光の柱が何本も集まっている。嫌な予感がする。あの光は良くないものだと解る。そして次の瞬間…「!!?」巨大な光の柱がベルチバードを貫き周囲に爆炎を撒き散らした。俺は爆発の衝撃で地面を転がった。「うああああああああああっ」「何が起こったー!?」「ベルチバードが爆発した!!大統領がっ!!」「今の光は…なんだ!?」何が起こった!?あの光はなんだったんだ?リージョンの攻撃なのか?混乱するエンジニア達に比べレンジャー、NCR兵はすぐさま物陰に入った。またあの光が来るのを全員警戒している。広場の中央には無残に破壊されたベルチバードと迫撃砲。黒焦げになった多数の死体。レンジャー・グラントは?ムーア大佐はどうなった?俺はなんとか体を起こし身をかがめながら一番近いタワービルに入る。そこから下に降りて発電施設に通じるフロアーを通り、反対側の訪問者ビルの地下に行く。ケイシー少佐は無事なのかどうか。「運び屋、何があった?ボロボロじゃないか。もの凄い音と衝撃はなんだ?上に無線も通じねえ」「攻撃されたんです…暗殺者を二人見つけなんとか大統領をベルチバードに乗せたまでは良かったんですが…突然光の柱が現れてベルチバードと周囲を焼き払ったんです!」「何?光?レーザー兵器か何かか?クソッタレ…それじゃあ大統領は…」俺は首を振った。「ダメかと…」「こんなところでじっとしてられるか!運び屋、お前はキャンプ・マッカランのシュー大佐に報告しに行け。無線で俺が伝えておく、上で起きたことを詳しく話してこい!」「はい!」ケイシー少佐はNCR兵に指示を出し数人連れて上の広場に向かう。俺は外に出て岩場の影に居るサイバーホースのチョコを迎えに行く。「ん?」チョコの横にスリムなパワーアーマーの人物が居る。あれは確か…カリーナの所の01か。「01じゃないか。こんなところで何を?」「やっぱりお前がここに来てたのか。これからは01じゃなくてオーディンで頼むぜ。俺はカリーナに言われた山のようにある仕事を片付けて回っているのさ。たまたまチョコを見つけて久しぶりに顔を見せてたって訳だ」オーディンの両手にはプラズマガンのような物と………ヘリオス1でカリーナが持っていたユークリッド射線測距計が。じゃあな行くぜ、おしゃべりしてる暇はねえ、俺は忙しいんでな」オーディンはサイバーホースのチョコ並みの速さで走り去って行った。「俺も急いでキャンプ・マッカランに行かないとな」チョコに乗り痛みに耐えながら走らせる。ボルダーシティを超え南西に進む。NCRの兵士が血相を変えて動いているのが見えた。「あの光はなんだったんだ?リージョンの仕業なのか?それとも別の派閥が?」あの光が戦前のハイテク兵器だとすると…BOSを疑ってしまう。しかし彼らにそんな事をする余裕があるだろうか?ベロニカさんに聞いた話ではかなり困窮していて調査隊も満足に活動できない程らしい。BOSに縁のある者の仕業か?ベロニカさんの話してた前のエルダーとか?「やはりリージョンの暗殺者がまだ残っていたと考えるのが自然か」ゴモラで対峙したボタンマンのようなとんでもないのがリージョンには大勢いるとのことだからな。ハイテクに詳しい奴が至って不思議じゃない。キャンプ・マッカランに到着、NCRの兵士に事情を話しシュー大佐のところまで案内してもらう。「無線で大体の事は聞いているよ。こっちもテロの後始末に追われていてね。リージョンのスパイを追っていたところモノレールを爆破されたんだ」シュー大佐は険しい表情をしていたが落ち着いている。キンバル大統領の親友オリバー将軍がいなければ間違いなく将軍になっていたとNCRの中で噂されている人物だ。「モノレールが!?いつです?」「大統領の訃報を聞く1時間前かな。その処理をしていたところにフーバーダムからの通報を受けた。リージョンの仕業だと私は見ている。決戦が近いのかもしれないね。あるいは…決戦を早めなければならない事情がリージョン側にあるのかもしれない」「リージョンの事情ですか…」急ぐ理由はなんだろうか?ベニーとプラチナチップを追ってカリーナとオルガさんでフォートに行った時シーザーに会った。その時カリーナはシーザーにオートDr.のことを聞かれたと言ってたな。…シーザーは病気か何かで早くNCRと決着をつけたがっている?この事をシュー大佐に話すべきだろうか?いや、話したところでもう大統領は殺されモノレールは爆破されてしまった。リージョンは止まらない止められない。「処理すべき事が山のようにできたから君の見たことを端的に簡潔に話してくれないか?」「わかりました」シュー大佐にフーバーダムで起きたことを話した。シュー大佐は時々質問をしてメモを取っていた。30分ほどで報告は終わった。早く戻ってモノレールの事もMr.ハウスに報告しなければ。再びチョコを走らせてストリップ地区に戻る。ラッキー38に入ると…何か違和感を感じた。「何だ?何かが違う…」静まり返っているのはいつもと同じだ。セキュリトロンの機械音しか聞こえてこない。「そういえば…」エレベーターの前のセキュリトロンの顔が軍人のままだ。いつもならヴィクターに変わるのだが…「最上階まで頼む」「了解」ヴィクターは出てこない…Mr.ハウスに何か命じられて外に出てるのか?最上階でエレベーターを降り、Mr.ハウスの巨大モニターの前に立つ。「Mr.ハウス!聞いてくれ大統領が」モニターのスイッチが入る。「随分と早いお帰りで!!」「何っ!!イエスマン!!なぜお前がここに!?」続く
Jan 10, 2015
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運び屋ヴァン:フーバーダムを見るのは始めてFalloutNewvegas第95話「ユールノウイットウェンイットハーペンツ2」―翌日俺はサイバーホースのチョコに乗ってフーバーダムを目指す。ED-Eを連れて行きたかったが大統領のセキュリティチームに破壊される恐れがあるためにやめておく。ED-Eはエンクレイヴアイボットらしいからだ。NCRは過去の事からエンクレイヴの徹底排除を行っている。所属していた者は処刑、関わっていた者も投獄、それは老若男女にかかわらず全ての者に対してだという。恐らくロボットも含まれるだろう。関わったもの全てを排除か…それは危険な考えではないだろうか?俺もリージョンは嫌いでモハビから追い出さなければならないと考えているが、リージョン全ての人間を殺したいとは思わないし全ての人間を憎んではいない。カーンズもそうだ。Mr.ハウスはBOSをモハビから完全に排除しようとしている。俺は反対だ。ただの運び屋の俺に何ができるかわからないが、一番いい方法でモハビを平和にしたい。「はぁっ」俺は手綱を打ってチョコを走らせる。3時間ほどでフーバーダムに到着した。時刻はAM10:45大統領の演説までは一時間以上ある。俺は見張りのNCR兵にレンジャー・グラントに会いに来たと伝える。NCR兵は特に表情を変えず無線を使った。一言二言話すと彼にビルの中に案内された。「来たか…ほう、お前が噂の運び屋か。思ったより若い優男だな、ラジオ放送を聞いた限りではもっとワイルドなイメージだったがな」右目に眼帯をした中年の男がタバコをくわえながら言った。「どうも、運び屋のヴァンです」「俺が大統領セキュリティチームの指揮をしているレンジャーのグラントだ、よろしくな。早速だがお前にやってもらいたい仕事がある」レンジャー・グラントはクリップで止めた書類を手に立ち上がった。「お前には大統領が来るまでの時間…正午までに、フーバーダムに異常がないか最終チェックをして欲しい。部下たちは既に配置についている、他のNCR兵もムーア大佐の命令で持ち場を離れるなと言われている。自由に動けるのはお前と衛生兵くらいだ。こいつはフーバーダムの図面だ、これを見ながら回ってくれ」「分かりました」「こいつも持っていけ、何かあったらすぐに知らせろいいな?周波数は140.85だ」レンジャー・グラントは机の上に置いてあった無線機を俺に向かって放り投げた。俺は肩から無線機をかけ、図面を見ながら出る。まずは1階から調べることにする。「よぉ運び屋」緑のベレー帽をかぶった兵士に声をかけられた。この人は確か…フリーサイドに駐留していた…「どうもケイシー少佐。大統領の護衛ですか」「ムーア大佐の指示でここに送られてきたのさ。レンジャーをここに全て集めるわけにもいかんからな、使える人間をかき集めたんだろうよ。まぁフリーサイドにいるよりかこっちのほうがいい。お前はここに何しに?」「Mr.ハウスの命令でキンバル大統領の護衛に」「ご苦労なこった。NCRだけじゃ頼りにならないって思ってるのか…ああ、お前は自分のボスの指示できただけだ気にするな」肩をすくめるケイシー少佐。「大統領の演説する場所を見たか?殺してくださいと言わんばかりの狙撃ポイントが豊富で開けた場所だ。下にでかいフロアーがあるんだからそっちでしてもらいたかったぜ。まぁタービンの音が邪魔で聞こえねぇ可能性もあるが」「そうですか」ケイシー少佐と別れ俺はタービンのある発電施設フロアーに降りる。確かにここは広い、500人は集まれそうだ。出入り口は4つ、ここを抑えていれば他からの侵入も防げる。ここで演説すれば警備は楽なのではないか。そう考えながら今度は二階の訪問者センタービルに行く。そこにはエンジニアたちが集まっていた。「ん?誰あなた?」メガネの女性が話しかけてきた。「俺は運び屋のヴァンです。警備のサポートに来ました、異常がないか見回っているところです」「ああ、さっき無線で入ったわ。私はアリソン・バレンタイン、エンジニアをやってるわ」アリソンさんの後ろのエンジニア達が何か話している。「おい…ベンの奴昨日から見てないぜ?今日のことは奴も聞いてたはずだ」「誰もベンの姿を見てないの?」「ああ…探しに行きてえがここから動くなと命令されてるからな」「そうね…あ、じゃあここにいる運び屋さんに探してきてもらいましょうよ」俺はアリソンさんの頼みを聞くことにした。些細なことでも異常は調べておいたほうがいい。ビルの一階に降り、備品庫から見る。「この匂いは…」血の匂いがする。…注意深く進んでいくとロッカーの前に血だまりがあった。まだ乾いていない。ロッカーの中には血まみれのジャンプスーツがあった。「ここで誰かが襲われもしくは死んだ…ベンがやられた?」俺は血まみれのジャンプスーツを持ち二階に上がりアリソンさんに見せる。「大変!ベンはどこに行ってしまったの…」「ベンの代わりに暗殺者がエンジニアになりすましている可能性があります。ともかく俺はレンジャー・グラントに報告します」無線でレンジャー・グラントに報告する。流石に動揺は隠せないようだ。『なんだと!?…わかった、ケイシー少佐をそっちに向かわせる。お前は引き続き調査を頼む、他にも何か見つかるかもしれん』消えたエンジニアか…俺にはベンの顔はわからない。そしてベンの代わりにエンジニアになりすましている奴もわからない。アリソンさんなら分かるかもしれないと思ったが、自分の周りしかしか顔は覚えてないとの事だ。このフーバーダムには各所から集められたエンジニアが大勢いる。俺はハンドガン射撃と粘り強さしか売りがない。カリーナやメロディさんのような特殊な能力は無い。ブーンのように訓練を受けた兵士でもない。キャスさんのようにウェイストランドに詳しくもない。オルガさんのように超人的な身体能力もない。諦めずに地道にやるしかない。「暗殺者がエンジニアになりすましているとして…奴は何故エンジニアを選んだのか?」理由があるはずだ。誰でも良いからなりすますと言う理由でエンジニアを選んだとは考えにくい。ベンの代わりになる必要があったのかどうかを調べる必要がある。俺はアリソンさんにベンの任されている仕事を聞くことにした。「ベン?彼はエンジンなどの動力回りが得意分野ね。ベルチバードの整備をしたこともあったみたい」「じゃあ誰かがこのダムにベルチバードで来た時はベンが整備を?」「だけじゃないけどね」「分かりましたありがとうございます」ベンはベルチバードの整備の経験から任されることもあったと。それならキンバル大統領が演説に来た時に一緒に集められるかもしれない。暗殺者はそれを狙っているのか?「よぉ運び屋、また会ったな。厄介な事があったんだって?」ケイシー少佐が来た。俺は彼を備品庫に連れて行く。「まだ新しいな…この出血量からして生きてはないだろうな」「ケイシー少佐、演説の時に並ぶメンバーは決まっているのですか?」「ん?ああ、そりゃな。NCRの兵士、レンジャー、それにエンジニアまで名簿で確認する」「…その並ぶエンジニアの中にベンという男の名は?」「ちょっと待て、ターミナルで確認する」ケイシー少佐に付いていく。訪問者センタービルの鍵のかかった部屋の中に入る。中には武装したNCR兵が立っている。ケイシー少佐はパスワードを打ち込んでターミナルのネットワークに繋げる。「さてさて…ん?こりゃあなんだ?」「そうしたんですケイシー少佐?」「最近ターミナルのネットワークにアクセスしたIDなんだが…身元不明者の履歴がある。このネットワークには限られた人間の持つIDでしかアクセスできないんだ」「そのネットワークの中のフォルダを見た人物が居るんですね」「ああ、この中に演説に並ぶメンバーやら警備の配置なども記されている…どうやらこのネットワークの中を見た奴がベンってエンジニアを殺したと見て間違いなさそうだな」「警備の配置も暗殺者は知っていると…」「そうだな…これはかなりヤバい事態だ。残念な事に俺は演説中は警備に加われねえ。お前に動いてもらうしか無いな。一応レンジャー・グラントとムーア大佐には話してみるが…」「暗殺者は一人とは限らない…警備は見直したほうがいいですね」「大統領到着までもうすぐだ…今から配置の見直しはできないだろう。警戒しつつ自由に動けるお前に頼むしかないだろうな」訪問者センタービルを出て演説の行われるダムの広場に出る。巨大な迫撃砲の隣に演説を行うための舞台が設置されていた。周囲を見渡すとケイシー少佐の言うとおりどこからでも狙えそうな場所だ。『…運び屋、あと10分ほどで大統領の到着時間となる。一旦俺のところに戻ってこい』レンジャー・グラントからの呼び出しだ。急いで戻る。「ムーア大佐にも報告したが…そのまま続行するらしい。ただし、少しでも怪しいと判断した者は即射殺だそうだ。気をつけろよ運び屋、ムーア大佐はお前の事も警戒してたぞ。武器を手に持ったり、双眼鏡を覗いたりするなよ?演説が終わって大統領が帰るまでは広場から出るなと言われた。お前は演説の間広場周辺を自由に動くことはできるが姿を隠したり必要以上に離れるな。そういった行動を目撃されればお前は疑われるぞ」「気をつけます」周囲が慌ただしくなる。俺は自死された場所に移動する。訪問者センタービルの外階段の踊り場に待機する。レンジャー・グラントは異常が見つかった場合はすぐに無線で合図をするようにと他のレンジャーにも言った。解散しそれぞれも持ち場に着くレンジャー達。NCR兵とエンジニアが舞台の前に集まる。そして数分後、ベルチバードが現れた。続く
Jan 2, 2015
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