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異能者特務機関:TMI 第一話「終夜アリナ」 終夜(よもすがら)アリナの目の前には4メートル四方の立方体のコンクリートブロックが連なって並べられている。 彼女は輝く金髪で顔は整っており、炯々とした鋭い眼光は猛禽類あるいは肉食獣を思わせた。『いつでもいいよアリナ君』「では……」 ゆっくりとコンクリートブロックの前に進む終夜アリナ。左足を前に少し腰を落とした体勢から右の正拳突きを繰り出す。1つ目のコンクリートブロックは砕け四方に散り、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ目まで割れていき、10個目のコンクリートブロックは大きく後方にずれた。『どうかね今度のグローブは?』「良いです。付け心地は悪くないです。フルパワーで打ってみてもよろしいですか?」『待て、それはこの施設が耐えられない。チタン合金製のブロックを用意してからにしようか。一応君のフルパワーを想定して作られたグローブだ、ブーツも同じ素材で用意した。要望通りワイヤーとアンカーボルト、ベヤリング弾のギミックを仕込ませたよ』「ありがとうございます博士」『では戻りたまえ、長官がお呼びだよ』 終夜アリナはサイコキネシストであり能力は身体強化である。 *** 上空1万メートルに浮いている白い塔。 そこが異能者特務機関(Talent's secret military institutions通称TMI)の本部である。 白い円卓の置かれた本部の大会議室から出てきて、浮かない表情をして廊下を進み日本支部の部屋に入ったのは……眉間に深いしわを刻み、切りそろえられた口ひげを蓄えた人物、ジェームズ・スチュワートであった。ジェームズは磨き上げられたオーク机、最高品質の牛革の長官の席に腰を下ろした。「哿(かなり)くん!お茶を!!」「は、はい」 ジェームズの呼びかけに答えたのは白いスーツの哿 希世美(かなりきよみ)。整った顔立ち、白い肌、スラリとした細身の体。一見すると女性だが哿は男性である。しばらくすると哿は人間国宝が作ったとされる湯飲みを持ってジェームズの前に置いた。「…………ふ~~~~やっぱり哿くんの淹れた茶は最高だな!茶葉それぞれの淹れ方を心得てるねえ!いやぁ明日から哿くんには振袖でも着てもらおうかな」「あの……長官、僕は……」「哿くん!楽しみにしてるよ!!」 哿が言いかけたその時ジェームズは大きな声でそれを遮り押し切った。「は、はあ……」 机に置かれた書類を眺めながらジェームズはわざと足を高く上げて足を組む。そしてますます眉間にしわを寄せ葉巻に火をつけた。「各国の支部長の連中はなっとらん!長官の私をなんだと思ってるのか!いい加減日本支部も誰かに任せたいんだがね。哿くんがもうちょっと育ってくれれば……いや身体的な意味では無いよ?」「そ、そんな……僕には……」「それはさておき、さっそく任務の話をしようか。あの二人はもうそろそろ着いているはずだ呼んできてくれたまえ」「承知いたしました」 哿が長官室のドアを開けると一瞬白い光に包まれ次の瞬間、そこは既に上空に浮かぶ白い塔の廊下ではなく、青いカーペットの敷かれたビルのフロアーに変わっていた。窓の外の景色は上空1万メートルのものではなく、四方をビルに囲まれたオフィス街である。フロアーには6つの席が並んでおり今は二人の女性が座っている。 一人は白い軍服風の制服を身に着けた終夜アリナ。机の上には宅配ピザの箱が山積みになっている。新たなピザの箱に手を伸ばし食べている。 もう一人はナース服の上に白軍服を羽織った黒髪の少女。どこか冷めた眼差しはミステリアスな雰囲気を醸し出している。机の上には様々な薬品が並んでいるのが見える。ノートパソコンのキーを叩き書類を作成している彼女の名前はフローレンス・フランシス。「あ、あの……アリナさん、フローレンスさん、長官がお呼びですよ」 哿がそう言うとピザの箱を持ったまま終夜アリナは立ち上がった。続いてフローレンス・フランシスが医療用マスクをつけて立ち上がった。二人は哿の後をついていく。「お呼びですか長官」 長官室に入る二人。終夜アリナはピザの箱を開け一つを口に運んだ。「アリナくん!それはないだろう?長官の前でそれは……」 ジェームズは眉間のしわをますます深くしながら言った。「食べられる時に食べておかないといざという時に困りますので」 終夜アリナは、鋭いまなざしをジェームズに向けながら淡々とピザを食べる手を止めずに言った。「……フランスでもそうだったのかねアリナくん」「そうですが何か?……長官、わたしが転属になったのはこれが原因だとお考えで?」「フランス支部長シャルルくんからキミが手に負えないと言われててね。経歴や任務の報告書を見たが問題は無かった。いやむしろ超優秀だったよ、どうしてかと思ってたら……性格だったとはね」「わたしとフランス支部長シャルルさんとの関係は悪くなかったですよ」 終夜アリナはピザを食いちぎりながら今にも飛び掛かろうとする目つきで言った。「彼は言ったんだ『彼女をinarrêtable(止めることはできない)』とね。気持ちはわかるね……腹すかせた猛獣とずっと一緒にいれば精神が参ってしまうよ」「長官、わたしはお腹いっぱいおいしいものが食べれるのと、とある目的がある為TMIに所属しています。わたしの事が気にくわなくてクビにしたいならどうぞ。わたしはわたしのやりたいように生きますので」「そうは言ってないよアリナくん……ただねもうちょっとお行儀よくしてくれないかな、他の異能者の目もあるからね」「度し難いですね。そんな事を言うために呼んだのですか?任務の話では?」 終夜アリナはピザを完食して言った。横にいた黒髪の少女がアリナにウェットティッシュを渡す。「フローレンスくんからも何か言ってやってくれないかね……」「アリナはこれでいいのです。彼女の能力は膨大なエネルギーを必要としますので。長官、任務の詳細をお願いします」 黒髪の少女、フローレンス・フランシスは無表情でそう答えた。「う、うむ……そうか、ではさっそく任務の話といこう。今回の任務は高校生の異能者二人の確保だ。この学校に交換留学生、および研修生として入りターゲットを確保して欲しい。ターゲットの資料、潜入用の制服などは用意してあるので早速明日からお願いしたい。何か質問は?」 気を取り直したジェームスは余計な事は言わずに任務の説明をする。「ターゲットは生死問わずですか?」 アリナはフローレンスが手渡したペットボトルの水を一気に飲み干して言った。「必ず生きて確保するように。それが日本支部のやり方だから慣れてくれ。昨日の敵は今日の友という言葉あるだろう?アリナくんは日本に住んでたこともあるから知ってるだろ」「昨日の友は今日の仇ともいいますね」 その言葉を聞いてジェームズは小さくため息をつく。「そうですね……アリナ、半殺しまでは良いでしょう。私が治しますので」「フローレンスくん……それはちょっと……」「長官、大丈夫です。私の能力があれば死にさえしなければ復活できます」「は~……哿くん……ちょっと胃薬を持ってきてくれんかね?」「は、はい……」 小走りで給湯室に向かう哿。ジェームズは頭を掻きむしって再び葉巻に火をつけた。「君たちあれかね?私がスキンヘッドで電動車椅子にでも乗ればカリスマが溢れて言うことを聞いてくれるのかね?」「は?おっしゃってる意味が分かりませんが?……長官、資料と潜入用の服はどこに?」 ジェームズのジョークを無視してアリナは言った。「ああ~それは哿くんから受け取ってくれたまえ。ではこれより17時間後任務開始となる、解散!」 *** ―17時間後 終夜アリナ、フローレンス・フランシス、哿 希世美の三名を乗せた黒いワゴン車は私立菊彩学園高等部の裏門に停車した。表向きには普通だが全寮制のこの学校には異能者ばかりが集められている。「僕は教員研修生、アリナさんとフローレンスさんは交換留学生ということになっています」「はい、資料で確認した通りですね」 アリナは6つ目のハンバーガーを食べながら言った。「それよりもこの衣装おかしくないですか?菊彩学園の物とは違います」 フローレンスはプリーツのロングスカートの裾を引っ張りながら言った。「哿さんの女装はいつもの事だけど、私とアリナのこれは……」「長官がそれがベストだと……『学校潜入のジャパニーズスタイルSUKEBANだ!』だそうです。その黒色のセーラー服……と赤い手袋、ハチマキ」 哿が気まずそうに言った。「下着まで用意してあるのが度し難い気持ち悪さですね」 アリナはカバンを覗き込みながら3つ目のドリンクを吸い上げて言った。「一応ここの学校は白の下着のみと決められてるので……」「武器はこれを使えって事ですか?」 フローレンスはアタッシュケースを開けて超硬合金製のヨーヨーと折鶴を手に取った。「アリナ使う?」「必要無い……ですが、そんなものが武器として使えるのか試してみたいのでヨーヨーをください。では着替えたらすぐに行きましょう、この程度の任務一日で終わらせましょう」「え?ええええ!?慎重に調査してデータを集めないのですか?」「しません。それは哿さんのやりかたです。わたしのやりかたはシンプルです。発見即制圧です」「くれぐれも荒っぽい真似は……」「生きてさえいればフローが治せるのでそのくらいの手加減はします」 三人は正門に回り寮から続く一本道に入った。周りの生徒からは「なにあれコスプレ?」「何かの撮影?」「まさか……謎の転校生とか?」といった声が聞こえる。『ターゲットの二人、狼谷 猟と虎屋 伝は校舎の中に既に入っています。アリナさん、フローレンスさん、どうか慎重に』 耳に取り付けた通信機から哿の声が聞こえる。哿は職員室に、アリナとフローレンスはそれぞれ1組と2組の教室へと向かった。「(ターゲットの狼谷 猟は……)」 アリナは教室のドアを開けて見渡す。教室の全員がアリナに視線を浴びせる。「なんだお前?」 机に乗せていた脚を下ろして立ち上がったのはターゲットの狼谷 猟。「(いましたね)」「ああ、もしかして昨日先公が言ってた例の交換留学生か?なんだその恰好、コスプレ学園から来たコスプレ女かよ!」「狼谷 猟ですね?ホームルームまであと15分ほど時間があります、話があるのでついてきてください」「おい、名前くらい名乗れよ。俺は狼谷 猟、この学校最強コンビの一人だ」「ここで話をするつもりはありませんよ。さぁこちらに」 踵を返し早歩きで廊下に出るアリナ。あわてて狼谷 猟は追いかける。二人が去ったあと教室はざわめいていた。「え?今の誰?」「あの制服何?」「さっきの人ハーフ??」「狼谷君に用事?」 早歩きで廊下を行くアリナ、まっすぐに屋上に向かう。前日配られた資料の地図は完全に頭に叩き込んであった。「ちょっと待てよ!」 渡り廊下から外階段を上り屋上庭園へと向かう。ホームルームの時間が迫っている為人影はない。アリナは屋上に続く金属製の防火扉に手を掛けそのまま開ける。その際、金属の鈍い音がした。屋上はコンクリートの壁に囲まれ下には芝生を敷き詰めた庭園で、他の人影は無かった。「あ?屋上の鍵は俺と虎屋、用務員しか持ってねぇはず、鍵はかかってたはずだが……かけ忘れたのか……まぁいい、こんなところまで来て何の話があるってんだ?」「狼谷 猟16歳。身長187cm体重93kg。この学園の理事長、狼谷創の息子。サイコキネシス」「それがどうした?」「お前を……制圧拘束します」 アリナは超硬合金製のヨーヨーを取り出した。「セイアツだと?はは~ん……テメェ誰かに頼まれた異能者だな?まぁ俺たち最強コンビは恨みも買ってるからなぁ!かといってこの学校の雑魚共にはどうにもできねぇしよぉ!!」「ハッ」 ヨーヨーを投げつけるアリナ。弾丸めいて放たれたヨーヨーは狼谷の耳をかすり後ろのコンクリートの壁を粉砕、鉄骨が顔をのぞかせている。使い方を知らないアリナはチェーンを指にかけずそのまま投げつけた為ヨーヨーは戻ってこない。「てめぇ!いきなり何だコラ!!」「なるほど、頑丈にできてますね。では……」 チェーンを指にかけ、先ほどより倍はある速度でもう一つのヨーヨーを放つアリナ。壁のコンクリートは粉砕され穴が開いた。チェーンで引き戻したヨーヨーは変形している。「これ以上はヨーヨーが壊れそうですね。では狼谷 猟、やりましょうか」 ヨーヨーをスカートのポケットにしまう。「ほ、ほほう、念力で飛ばしたのか?……だが当たらなければ意味がないぞ!(なんだ今の速度!?)」「どうしました?かかってくるのでしょう?来なければこちらから行きます」「いきなりケンカを売って来るとはいかれた女だな!後悔させてやるぜ!!」 走って勢いをつけ飛び上がる狼谷、巨体からは考えられない高さからドロップキックを放つ。「くらえ!サイコドロップキック!!」 狼谷はそう叫びアリナにドロップキックを浴びせる。アリナは腕をクロスして受け止める。後方に数センチ下がったところで停止した。「な、なに?(なぜふっ飛ばねえ!?)」 「……」 狼谷は全身に冷たいものが走るのを感じた。自分自身の体重と触ったものの重量を操作できるサイコキネシス。範囲は自分の体と同等の質量までの触れているものに限られる。サイコドロップキックは瞬時に体重を減らして飛び上がり衝突の寸前爆発的に増加させるもの。能力検査での衝撃力は5トンをマークしていた。この学校の誰も、狼谷のサイコドロップキックを受け止めれるものはいない。「(こいつの能力で当たる寸前で止められた?いや、そうじゃねぇ、確かにこいつの体に俺の足はヒットした、どうなってやがるんだ?)」 体重を減らし飛び上がる狼谷 猟、空中回転し後方に静かに着地する。「(じゃあ次はヒットの瞬間、テメェの体重を減らしてぶっ飛ばしてやる)」 狼谷はアリナをにらみつけ右腕を回しながら叫んだ。「うおおおおおおお!!サイコラリアットオオオオオオオオオオオ!!」 体重を減らし加速する、十分加速したところで体重を戻し右腕でアリナを狙う。アリナは腕をクロスしてガード。「(かかったな!このままぶっ飛びな!!)」 体重を減らされたアリナの足が床から離れる。狼谷は右腕を振り、アリナを壁に投げつける。「(俺から離れた瞬間能力は解除されて体重は戻る。その速度で元に戻った体重で壁に叩きつけられれば全身の骨はバラバラだぞ?さぁどうする?テメェ能力でどうにかするか?)」 アリナは空中で姿勢を制御し回転、足の裏から壁に衝突。その衝撃で横の窓ガラスは割れ落ちた。アリナはそのまま何事も無かったかのように着地しセーラー服の裾を払ってゆっくりと狼谷に向かって歩いていく。「なに!?今の衝撃で何ともないだと!?(近づいてくるって事は遠距離攻撃は持ってねぇか……さっきのヨーヨーには注意が必要だが使う様子はねえ)」「ホームルームが始まる前に終わらせたいのですが」「ああそうかい!舐めやがって!じゃあこれで終わりだ!!」 再び体重を減らし壁を蹴って飛び上がる狼谷、両腕をX字にアリナめがけて落下する。「サイコクロスチョップアタック!からの!サイコ大外刈りバスター!!(2段構えの回避不可能コンボだ!!)」 落下しはじめたところで体重を増やして手を伸ばす狼谷。それに対しアリナは回避行動を取らず、腰を落として拳を握りしめた。狼谷の真下に潜り込み突き上げる。「ごぶああああっ!!」 アリナの拳が狼谷の腹部に食い込んだ。体を曲げ巨体が浮き上がる。そのままうつ伏せに地面に叩きつけられ血と胃の内容物を吐いた。「体重操作が仇となりましたね。とりあえず即死しないように手加減しました」「が……あが……(バカなこの俺が……こんな……)」 意識が遠のきながら狼谷 喧は考える。これまで自分の能力が通じなかった相手はいない。最強コンビの相方、虎屋 伝でさえ実力を認めている。体重操作の能力は柔道とレスリングを学んだ自分には最適の能力で敵などいない、校内の連中は全てねじ伏せてきた。学校の外の連中だろうが負ける気はしなかった。「(テレパスであろうがサイコキネシスだろうがパイロキネシスだろうがテレポーターであろうが校内の雑魚など俺の敵ではなかった!その俺がこんな女に!!)」「狼谷 猟、お前はこの学校で好き放題やっていたと聞いています。お前にこんな風にやられた生徒も少なくないのでは?」「あが…ごぼっごぼぼ……(クソが!説教……か!!)」 激痛のあまり気を失う狼谷。「まずは一人……哿さん聞こえてますか?狼谷 猟を制圧しました。フローを連れて屋上に場に来てください」 アリナは狼谷 喧の動脈を触り生きていることを確認した後、ゆっくりとヨーヨーを拾いながら耳の通信機を押して言った。続く
Jan 19, 2019
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Jan 19, 2019
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マジック・ザ・メイカー24話「魔女と少女達」 冥珂が目を覚ますとそこは京都に借りている家のベッドであった。テントの様に大きな透明の幕にベッドごとつつまれ左腕には点滴がつけられている。 「あ、気が付きましたね師匠。あれから丸2日間寝てたのですよ」 「ん……リティーシャ……あれからどうなったん?」 「気を失った師匠を回収するために私はすぐにナイトケースハートを送って師匠に装着させてここまで運んだのです」 「あんたの持ってる特殊魔術鎧ね」冥珂はゆっくりと体を起こして小さくあくびをした。 「すぐに私は回収した師匠の治療を開始、フィッシュメンの始末はトーヤを叩き起こして向かわせましたね。オンラインゲームで夜更かしして眠そうでしたが」 「ああ、あんたの相棒の男の子……悪い事させてもうたね。でもトーヤくんだけで大丈夫やったん?晴凛ちゃんは?」 「セリンは魔法少女になって奮闘してたようですね。他には教会と思われる連中とか闇の住人が動いてたみたいですよ。トーヤの報告が雑なのとセリンの話を聞いただけなのでなんとも……あ、それから白い軍服みたいなのを着た三人組が巨大魚人を倒してくれたみたいです」 「げ……白い軍服……かぁ……」 「異能者特務機関、Talent's secret military institutions通称TMIのメンバーですね恐らく」 「何で大阪に……北海道におるのと違うのん?」 「任務か何かで来たのでは?というか師匠はTMIをあからさまに避けてますよね?」 「いや……ほら……TMIって組織できたのって元をただせばアタシが関係してるしそれはほら……前の弟子の起こした事件のね……」 「ペルデュラボ……またの名をアレイスター・クロウリーの起こした事件の話ですよね」 「……ある時期までは良い弟子やったんよあの子も。悪い部分だけ分離したような状態になってからおかしくなってん」冥珂は煙草を探すもリティーシャがそれを阻止する。 「過去は変えれませんし師匠のせいでもありませんし事件は解決してますしペルデュラボのことはもういいでしょう。TMIを避けるのはそれだけが原因です?」 「えっと……うーん、あんたにはいずれ話さないとなーって思ってたんよ」 「今がその時期では?私は魔女の弟子であり科学者の天才なので力になれますよ」 「白魔女ってあんたも知ってるやん?それとTMIの長官は繋がってるのよ」 「…………ややこしい事になってるんですね」 「せやねん、な?関わりたくないって思うやろ?」 「そう……ですね。話が通じない白魔女の者とは関わりたくないですね。魔女を捕まえようとしますしね」 「保護だ~とかいって捕まえて白魔女に洗脳して引き込む気なんやであいつら。魔女が何人かあっちに行ってしもうてるもん。マジックアカデミーがペルデュラモに潰された影響もあるけど。TMIはTMIで頑張ってるみたいやし白魔女と一緒になんかやってる風ではないけど……知られるのはあんまりなぁ」 「私は表向きは太陽光アレルギーの天才美少女科学者ですので接触しても問題は無さそうですけどね」堂々と言い放つリティーシャ。 「TMIの話はこの辺にして……晴凛ちゃんと話がしたいわ水晶玉とって」 「携帯電話でいいじゃないですか……」 「毎回番号ポチポチ入れるの大変やん」 「履歴とか電話帳の機能使いましょうよ……それに携帯電話に話しかけても相手に繋がる機能付いてますって前にも説明したのですが」 「……忘れてたわ」 「覚える気全くないですね」リティーシャは透明の幕に入り冥珂に携帯電話を渡す。 「晴凛ちゃんに電話」冥珂は受け取った携帯電話に話しかける。 『本郷晴凛さん に 繋げます』携帯電話が感情の無い声で答えた。 「もしもし晴凛ちゃん」 『冥珂さん!起きたんですね~良かった……気になってアマちゃんに冥珂さんの様子何回も聞いてたんですよ~』 「心配かけてごめんね……アタシが寝てる間大丈夫やった?」いつの間にか口にした煙草、ふーっと大きく煙を吐き出しながら冥珂は申し訳なさそうに言った。横にいるリティーシャは慌てて幕を上げて煙を外に逃がす。 『なんとか大丈夫です!それで気になったことがあったんですけど……フィッシュメンの目撃者の記憶が変わってたんです!友達の和美も見たって言ってたんですけど、フィッシュメンじゃなくて何故か不法入国したテロリストだって。冥珂さんは倒れてたし……リティーシャさんが?』 「う~ん……」冥珂がリティーシャを見ると首を振って否定した。「魔女以外にも動いたところがあったみたいやねん。そいつらが上手い事やってくれたんやろね。ホンマやったらアタシかリティーシャがしないとあかんかったんやけど」 『そうなんですか!やっぱり他の不思議組織が……実は新しい友達ができまして。フィッシュメンの騒ぎを鎮めるためにやっつけてた時に知り合った子なんですけど』 「そうなん?その話聞きたいわぁ」 冥珂が気絶した後、晴凛はフィッシュメンを無力化して回った。冥珂のような魔法が使えるわけではないので力ずくで気絶させていった。そして倒れたフィッシュメンを消して回っていた者たちがいた。 黒いワゴン車から飛び出した白い軍服を思わせる制服の人物。背は高くがっしりとした体格の短髪の白人男性。年齢は40代後半~50代。その人物が倒れたフィッシュメンに手を触れると一瞬にして消滅した。 「……それで、この人も魔法使いなのかなーって深くは考えてなかったんですよね。その後、和美の住んでるマンションの駐車場にフィッシュメンらと大きなフィッシュメンみたいなのが居るのを見つけて、うわ~どうしようって考えてたらワゴン車から同じような白い軍服っぽい女の子が三人……あ~一人は男の子だったかも?が、飛び出してきてあっという間にやっつけたんです」 「ほう~……」 『で、次の日のその子たちの一人と創作イタリアン料理の店の前でばったりと会って。「特盛20倍ミートパスタを注文したいのですけど一人では断られてどうしようかと思ってたのです」とか声かけてきて、一緒に店に入って座ってるだけで良いしお金も出すというのでつきあったんです』 「へぇ~」 『15分ぐらいで超巨大パスタを一人で食べ切ったその子は待ち合わせまで時間があるっていうので、私も和美との約束の時間までまだあったから近くの公園でお話することにしたんです』 「どんな子なん?」 『日本人とフランス人の両親を持つ子で、名前は終夜(よもすがら)アリナ。綺麗な金髪でスタイルもいいし姿勢もいいし可愛かったですね。日本の文化?相撲とか剣道とか茶道とかそういうのが好きだっていってました。で、話が盛りあがっちゃってまたお話しようねってケータイメッセージの交換をしたんですよ』 「何者かって話はせえへんかったん?晴凛ちゃんも聞かれたりせんかったん?」 『そういう話はないですね~お互い何が好きだの友達のやらかした話とか食べ物とかファッションとか……他愛のない話題ですよ~』 「……はぁ~若いってええなぁ……」冥珂は大きく煙を吐き出す。リティーシャは顔をしかめて手で煙を散らせた。 『どうしたんですか冥珂さん?』 「いや、なんでもないよ。アリナちゃんと仲良くね、若い時にできた友達は一生の付き合いになるかもしれんし」 『そうなればいいですね~!あ……冥珂さんそろそろ電話切りますね、これから和美の家に行くことになってるので』 「ほなまたね、そのうち顔見せに行くしねぇ」 『はーい!それじゃまた~』 冥珂は携帯電話を切ると煙草の火を消して再び横になる。 「リティーシャ、この点滴どれくらいで終わる?」 「後10分くらいですね。それにしても師匠の体、神経も血管も筋肉もズタズタでしたよ。人間なら即死レベルです。ナイトケースハートの自己修復機能を応用して応急処置&投薬で一命を取り留めたんです。今ついてる点滴はただの栄養ですので後は自分の魔法でなんとかしてください、師匠の場合薬使うよりその方がきっと早く治りますよ」 「2日間も寝てたんやね……その間こっちは何もなかった?」 「師匠の危惧するようなものは何も。トーヤが若干街の闇の住人ともめたくらいですかね。後は……そう、魔女の私書箱に手紙が届いてましたよ?スキャンしましたが何も怪しい術や毒などは見つかりませんでした」 「誰から?」 「さぁ?封筒には何も書いて無いですね。封蝋もついてないただの糊です」 「見せて」 リティーシャから手紙を受け取る冥珂。1枚の便箋にそれほど長くない文に目を通す。 「……はぁ~」 「誰からです?」 「知り合いの面倒な奴からの手紙よ。…………感謝と謝罪、それと提案やね」 「そうですか」リティーシャはそれ以上聞かずに終わりそうな点滴を眺める。 「予知能力を持った奴でね、今回の事件の事と藤邑の事。それからこれから起こる最悪の事態について話したいんやって。向こうは向こうで色々調べたり厄介ごとを片付けてたみたいやねん。リティーシャあんたの事も書いてあったで」 「え?どのような事です?」 「オーグルのサンプルについてと特殊魔術鎧に興味があるんやって。今回の事件で現れた化物のサンプルを分ける見返りとか」 「天才美少女の私を頼りたいのは分かりますが、信用できるんですかその人物……」 「ジェームズ・スチュワートって男なんやけど……信用はできるよ好きじゃないけど」 「無理ですね。男って時点でアウトです……でもまぁ師匠とトーヤと一緒なら会う事を考えてもいいですよ、それで何者なんですか?」 「TMIの長官……」冥珂はリティーシャから視線を外して小さくつぶやいた。 「は!?」 「一緒にヘルメス・トリスメギストスのエメラルドタブレットの捜索をしたこともあるんよ……」 「はあああああああああ!?」リティーシャは思わず声を張り上げた。 「興味出た?会う……やろ?」 「…………いくら私が天才でも言わなければ分からないことがありますよ。なんで今まで黙ってたんです?いつもそうなんですよ師匠は!ついさっきTMIの話してたじゃないですか!……ええ、いいですよジェームズ・スチュアートに会いますよ、トーヤと一緒に。師匠も会うのでしょ?」 「アタシは水晶玉越しでええよ。ハイテク機械とかコンピューターに囲まれた場所なんて行きとうないし珍しい生き物見るような目で見られるのも嫌やし」 「そうですか、それで約束の日は?」 「三日後……」 「えぇえ~……」 さんざん文句を言った後リティーシャは冥珂の点滴を抜き、煙草を取り上げると透明の幕を下ろして隣の部屋のパソコンを並べた机に座った。机の上のミルクボトルにストローを指し一気に飲み干すとジェームズ・スチュワートに見せる用の資料の作成に取り掛かった。 冥珂はリティーシャの京都監視システムと連動しているルーンを発動、その情報を水晶玉を使って見る。 「そういえば……」冥珂は少し前にここを訪れた少年の事を思い出した。「リティーシャ、あの少年の件はどうなったん?」 「ジローの事ですか?割とすんなりいきましたよ、頼まれていたこの国最高位の吸血鬼と会ってきました。偶然にも東京で教会の幹部とコネを作ってましたからね。その幹部がジローの父親だとはその時気が付きましたが……結局幹部とジロー親子、吸血鬼とその娘、全員を引きわせて終わりです。私のしたことは教会のセキュリティに侵入してロック解除と情報閲覧の制限がかかってるファイルを開いただけです」 あっさりとリティーシャは答える。さまざまなトラブルが発生したことは言わなかった。 「そう、それは良かった。アンタが来てくれてホンマ助かってるわ」 「それなんですよねー不思議なことに今回珍しく師匠が私を頼ってくれたおかげで何故か色々うまくいったんですよね」 「……う~ん、あの少年がアタシと会わなければどうなってたんやろね。そもそもなんでかあの少年と会ってしまったのよね、そうしないとアカン気がしたというか」 冥珂は女教皇のカードを取り出してベールをかぶった女性イッシーを召喚する。 「イッシー、アタシの体全快までどのくらいで治せる?」 「ん~……そうですねぇほぼ修復されてますしー30分くらいです。急いでます?」 「いや別に……買い物に行こうかなって。たまには自分で買いに行くのも悪くないかなーってね。リティーシャおるし留守番は大丈夫やし」 冥珂はシャワー室に向かう。後をついていくイッシー。部屋の隅で寝転んでいた大きな銀色の山猫姿のスフィンクスが一瞬だけ目を開け小さくため息をついた。 *** 晴凛は和美のマンションに自転車で向かっていた。ほうきで飛べば一瞬なのになと考えながら走らせる。愛用のリュックの中には魔法少女ステッキが入っている。 『晴凛、晴凛ってば!』 晴凛の懐から声がする。カーディガンの下の首から下げるパスケースの中に戦車のカードが入っている。 「何アマちゃん?」 『いつごろ冥珂の所に行くっすか?アマチャンがんばったご褒美早く欲しいっす!』 「冥珂さん忙しそうだしこっちの事も片付いてからにしようよ。ホストクラブは逃げないでしょ?」 『くぁ~~~~っ!本当は今すぐ飛んで行きたいんすけど確かにこの街のダークスポットが無くなるの確認するまでは晴凛のそばにいないとダメっスからなぁ……さっそく何かいるのを感じるっす晴凛、その角曲がったところに4つ感じるっす!』 「ええ~……夜じゃないのに……」 晴凛が角を曲がるとカフェが見えた。そこにはオープンテラスに4人の女性と男性店員、配達業の中年男性の姿が見える。他の客は店内にいる。 「え、アマちゃん……どこ?」 『あのカフェの人間の誰かっす!人の姿に化けてるっすよ!!』 「悪い事しなさそうならほっといてもいいんじゃないの?アマちゃんと同じようなもんでしょ?」晴凛は再び自転車を漕ぎ出す。 『何でっすか晴凛!かなり強力なパワーを感じたっすよ!』 「でも誰か分かんないんでしょ?」 『それはもっと近づかないと分かんないんすよ、何十人もいるのに!』 「もぉ~……気になるならアマちゃん店の前で見てたら?何かあったらステッキ通して知らせてよ」 『今日のおやつ、アマチャンに譲るっすよ……』 「わかった、じゃあアマちゃんよろしくね~」 戦車のカードから飛び出すオウム姿のアマト。カフェの前のガードレールに止まって店内を観察する。晴凛はそのまま和美のマンションに向かって走り出した。 「あ、あんなところにオウムだ!」背の高いツインテールの少女が言った。 「あらあら、珍しいですねぇ。どこかから逃げてきたんやろか?」切れ長の目のポニーテールの女性が言った。 「いやん、羽が超きれい!」水色のワンピースの三白眼で胸の大きな女性がいった。 「ねぇ舞子~オウムがいるよ珍しい~ほらほら」ツインテールの少女が手招きする。 「ほんとだ……なんでこんな所に?」濃い茶色の髪をしたスラリとした足の少女がカフェオレを乗せたトレーをもってテラスの椅子に座る。「オウムは気になるけど噂の占い館見つからないのどうするの?わざわざ大阪に来たのに……」 アマトはしばらくこの4人を観察することにした。 終わり
Jan 6, 2019
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マジック・ザ・メイカー23話「魔女と覆う影5」 カトラは羽を鎌状に変形させウォーターソードと合わせ3方向から同時に切りかかる。晴凛は振りかぶるカトラに対しチャリオットから飛び出して肉薄、間合いを外しクルージーンで腹を突く。 「あがっ……速い!」 晴凛はカトラを蹴りすぐさまクルージーンで2回切りつけた。カトラの両腕から鮮血が飛び散る。 「ガアアアアッ!強い……この前とはまるで別者……」 晴凛はクー・ホリンに任せるだけではなく、流れた来た思考に反応し自分で動くことを意識し始めていた。そのことによりクー・ホリンは動きやすくなり晴凛もまたクー・ホリンの戦い方を体で覚えていく。 「それなら……これよ!」 距離をとり大きく息を吸い込むカトラ。それを見た晴凛はクルージーンを空幻魔杖デル・フリスへと変える。 『そうだ晴凛良いぞ、術師相手には……』 「デル・フリス!」 バトンのように先の曲がった杖デル・フリスを回転させる晴凛。杖から飛び出した矢がカトラを襲う。 「ええい!」 忌々し気に羽根を広げて体を包み込んで矢を防ぐカトラ。その隙に晴凛は加速し背後に回り込む。 「たぁー!」 バットのスイングを思わせる動きで杖を振る。放射状に矢が飛び出しカトラの背後に数本突き刺さる。 「がああっ!」 『いいぞ!』 「おのれぇ!」 羽を伸ばして攻撃するカトラ。命中した晴凛は幻影、本体は上にいる。溜めを作りデル・フリスを縦に大きく振る。晴凛に迷いは無い。カトラを人外の脅威と考え、立ち向かう決心をしてここに来た。 「やぁー!!」 30本の光の矢が飛び出し全方位からカトラに襲い掛かる。 「あがああああああああっ!!ま、ずいわ……再生が追い付かない……時間を稼がないと……」 カトラは口から黒い霧を吐いて晴凛の視界を遮り地面に向かって加速、黒い鱗の犬と合流しスレスレを飛んで離脱する。 『逃がすな晴凛!ガエ・ボルガを撃ちこんでやれ!!』 「うん!」 ―交方川上空 「最後の一つ!」 剣の6の光弾最後の一つが杖に吸い込まれる。青白い光が周囲を昼間の様に照らす。下で奮闘していたアセルはそれを見て冥珂の13番死神のカードに戻る。 「仕上げは21番宇宙!」 21番のカードを発動させると杖から稲妻が伸び雷雲と繋がる。冥珂は全身に走る鋭い痛みに耐えながら巨大な雷を安定させていく。 『馬鹿かこんな雷、周囲一帯消し飛ぶぞ!確かにこれ程ならゼウスのケラウノスや宝貝雷公鞭に匹敵するだろうよ。まさに神話の雷霆だ』 「……やりすぎかな?」 『一瞬でもコントロールを誤れば俺たちは一瞬で消し炭だぞ?ケラウノスや雷公鞭を簡単に使いこなせるとでも?』 「そりゃあそやね……」 『師匠これは駄目ですよ!消霧うんぬんのレベルをはるかに超えてますよ!もう少し出力を抑えられません?まさか発動最中に消霧の目的を忘れてケラウノスの再現に夢中だったのでは?』 「えっと……そうかもしれんわ……あはは」 『神話の再現なんて魔法に関わるものならやりたくなるものですが想像の域を超えないですしなまじ力を持った者が加減をしなかったらどうなるか分かるでしょうに何年魔女やってるんですか全く……』 リティーシャは早口でまくし立てる。 『どうするんだ冥珂この雷』 「マジックコンパクトを……使おかな」 『……お前自分の契約主すら使うのかよ』スフィンクスは呆れた声でつぶやく。 「大丈夫大丈夫、おとんみたいなものやから。たまに夢で怒られてお仕置きされるけど……」 『………そうか』 「お願い!マジックコンパクト!!」 マジックコンパクトを開く冥珂、中から蔦の集合体の腕が飛び出し雷の杖に手をかざす。見る見るうちに雷は収束し直径2メートルほどに収まる。 「怒ったらへんでスフィンクス。むしろ笑てはるわ」 ひょんな事で手に入れたマジックコンパクトの鏡は異次元に通じており普段は夢でしか会う事のない冥珂と契約主はわずかな時間とはいえ繋がりを持てる。 『主はこの世界に長く関われないんだから早く魔法を使え冥珂』 「よっしゃ!いくでー!!」 眼下の霧はさらに膨張、フィッシュメンは湧き出る水の如く出てくる。 「雷霆ケラウノス!!」 スフィンクスの鎧で覆われた腕を振り下ろす冥珂、雷雲と連動し稲妻が走る。霧に命中した瞬間、ドーム状の雷光となり霧を散らしていく。数えきれない触手が伸びるもすべて雷に焼かれバラバラになっていく。 『想像よりもコンパクトになったな。主のおかげだぞ冥珂、あのままぶっ放してたらどうなってたことやら』 「ごめんて……」 霧が晴れ姿を現したのは、蝙蝠のような羽を持ち、かぎ爪のある手足、頭部は触手に覆われた化物であった。 「あれが深海の魔女……?」 『どうだろうな……奴から感じるダークパワーは何か異質なものだぜ』 『何なんですアレ……見てるだけで吐き気がしますよ。見た目の気持ち悪さじゃなくてアレルギー反応に似たものです。存在を拒絶したくなる、そんな感じです』 「KOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」 大気を震わす咆哮。冥珂とスフィンクス、リティーシャは気を失いかける。 「本気の装備で固めた魔女のアタシでこのダメージ……普通の人間がこんな声聞いたら……」 『こんな不快な声初めて聴いたぜ……』 『ディスクバットか壊れそうなので帰っていいですかね?』 雷霆の残滓はなおも化物を焼いている。次々と再生する触手や表皮を焼いていく。 『あの効果は……狙ってやってるのか冥珂』 「せやで、21番宇宙使う時に炸裂後リピートをかけるようにしてん。その仕掛けを作るのにちょっと時間かかったんよね」 『え?じゃあ杖にエネルギー充填しながらもう一つのカードの準備をしていたと?』 「せやで?料理だって同時に進めたりするもんやん?」 そう言って冥珂は子供のような笑顔を浮かべる。体は震え、目からは血が滲み、全身からは冷たい汗が噴き出していた。 『冥珂……お前満身創痍じゃないか』 『師匠!』 「あはは……まぁでもなんとかもったわ。リティーシャがいてくれたおかげであの魔法を使う事が出来た。居てへんかったらもっと力ずくでやって失敗してたかも……」 電撃に焼かれ続ける化物、炭化した部分が崩れ落ち体が小さくなっていく。そして現れたのは肉片と目玉と触手が蠢く直径2メートルほどの存在。 「あ、あれが化物の核……」 『……宇宙人らが持って帰ったブツに似てるな』 『は!?なんですかあれ……あんなもの……分析不能です……』 化物は触手を動かし自らを包み込んでいる電撃を叩いた。触手は千切れ飛ぶ。次に化物は触手の先をガエ・ボルガに似た形状に変え電撃に伸ばす。 『あの化物……クー・ホリンにやられたガエ・ボルガをマネしてやがるのか』 「本物はここにあるで。来る前にクー・ホリンから一つ預かって来てるんや」 ゆっくりと電撃を貫いて破る化物。冥珂に狙いをつける。 『師匠!来ますよ!!』 「ごめん……スフィンクス、リティーシャ。アタシ今浮いてるだけで精いっぱいやねん……だから力を貸してくれへん?」 震える手で冥珂はリボルバーをコートの下から取り出しガエ・ボルガを銃口に取り付ける。スフィンクスは銀の鎧で冥珂の体を支え、リティーシャはディスクバットから鎮痛剤を冥珂に打ち、冥珂の肩に止まってレーザーを放ちポインターで触手の化物に照準をつける。 「もう少し右そう、そこ。あの化物の偽ガエ・ボルガごと貫く!」 冥珂は剣のA、ソードエースのカードを取り出してリボルバーに吸い込ませる。リボルバーは柄の曲がった棒状の投槍器に代わり、先だけのガエ・ボルガは槍に変形する。 『原型に近づけるのか』 「うん、クー・ホリンの期待に応えるにはコレやなって」 『分かった、投擲は俺に任せろ。冥珂はダークパワーのコントロールに集中、細かい軌道修正はリティーシャに任せる』 『了解!』 「いくで……!ガエ・ボルガ!!」 ―交方市街 逃げるカトラをほうきで追いかける晴凛、赤黒いリボルバーを取り出して狙いをつける。 「いくよ、アマちゃん、クーちゃん!」 『おけっす!』 『おう!』 「ガエ・ボルガ!!」 赤く輝く螺旋の光帯を伸ばして飛ぶ弾丸。急上昇で回避を試みるカトラを追跡する。 「いやああああ!あの弾はもうくらいたくないいいいいいいいいい!!」 カトラの背中に弾丸が突き刺さる。心臓に達すると30の棘に分かれ全身を貫く。 「ぎゃああああああああああああああああああああああ…………」 カトラは墜落しアスファルトの地面を転げまわる。 「こ、これで終わりじゃないわ……カトラは必ず復活する……深海の魔女があるかぎ……GIYAAAAAAAAAAAAAAAA!!」 突如カトラの全身が煙を上げて溶け始める。 「そんな……深海の魔女……」 カトラの肉体は跡形もなく消滅する。残ったのは奇妙な文様の入った石だけであった。 ―交方川 冥珂の放った槍は赤黒い波動を纏い加速する。化物は槍状の触手を伸ばす。切っ先同士がぶつかり衝撃波で地面がめくれ上がった。 「うあああああああああああああああああっ!!」 鼻血を垂らし口に血をにじませる冥珂。全身が千切れ飛びそうになりながらダークパワーを送り続ける。 「KOOOOOOOOOOOOOOOO!?」 徐々に冥珂のガエ・ボルガが触手の槍を押していく。 『冥珂……限界だ』 『師匠これ以上は!』 「もうちょっとやねん……あとちょっと……」 冥珂の指輪とペンダントの宝石が砕ける。 『お前……その宝石は……』 「ここが使いどころや……」 『その宝石……宝石の魔女に貰った身代わりの魔法がかかった……』リティーシャが叫ぶ。 「もう一押し……これでいけるはずや!」 砕かれた宝石からダークパワーがあふれ出し冥珂に吸い込まれていく。 「これでどうやあああああああああっ!!」 輝きを増したガエ・ボルガは触手を砕き化物に深々と突き刺さる。 「KYUUUUAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」 ガエ・ボルガは30の棘に分かれて伸び、更に30の針となり化物を貫き伸び続け、砕け散る肉片をも破壊していく。 「あれが本来のあの槍の力……」 『ケラウノスにガエ・ボルガ……流石に耐えられないだろうよ』 ガエ・ボルガの柄に電撃が引き寄せられ刃先から放出される。砕け散った肉片は全て炭となり崩れ去っていく。 『そうかガエ・ボルガは海獣由来の槍、電撃を纏いやすいという事か』 『化物の反応消えました……やりました!師匠!!』 「や……やった……」 冥珂は脱力し意識を失った。 続く
Jan 5, 2019
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マジック・ザ・メイカー22話「魔女と覆う影4」 「スフィンクス!」 『コイツはヤバいぜ……霧に触られるだけで力が散っていく。俺とお前のダークパワーはある意味無限だが供給よりも散る方が多い』 迫りくる乱杭歯触手を蹴散らすスフィンクス。冥珂はほうきで回避を続けながらローブの中からサブマシンガンを取り出して触手を攻撃する。 『霧の中から出た方がいい』 「せやけど出たら出たで本体の位置は分からへん」 『ち……そうだな……霧をなんとかしねえとどうしようもねぇ。天候を操る魔法はお前の分野じゃないしな……全力でぶっ放して霧を吹き飛ばすか?……』 「いや、そんな一撃放って消耗したあげく仕留めきれへんかったらどうにもならん。「やったか!?」なんて言ったらもうね……」 『このままじゃあ消耗するだけだ建て直す為にも一旦霧から出るぞ!』 四方八方から襲い掛かる触手を回避する冥珂。ほうきをジェット噴射させ一気に上昇、霧から抜け出す。 「……」 上空から冥珂の目に映ったのは野球場の3倍以上に拡散しつつある霧であった。フィッシュメンの集団はもはやアセル一人では抑えきれなくなってきている。 『こいつは……このまま広がり続けたらじゃあ街だけでは済まないぞ』 「アタシにあの霧全体を薙ぎ払える魔法が使えれば……」 冥珂は少し考える。 「……うーん、別の方法考えてみるかな」 『できるのか?』 「核ミサイルでどっかーんみたいな超火力やったらゴリ押しでいけそうやけどアタシにはそんなことできひん。だから別の方法であの霧をなんとかする」 冥珂は後ろを向く。そこには金属製の蝙蝠ディスクバットが浮いていた。 「リティーシャ、見とるんやろ?」冥珂は弟子のリティーシャのディスクバットが着いてきていたことは知っていた。 「聞きたいんやけど霧を消す装置あるやん、高速道路とか空港の滑走路に。あれの仕組みアタシにはさっぱりやしどういうことか教えて」 『え?いきなり何ですか?』 「ええから教えてよ」 『消霧装置の事ですよね?それ今言ってどうにかなります?』 「どういう仕組みで霧を消してるか、それが知りたいねん。難しい科学の講義はいらんよ」 『え、いやあの霧って普通のものじゃないですし分析してみない事には……』 「ええの、魔法は結果を導きだすもの。アタシの感覚では料理みたいなもの。化学薬品の調合とは違うねんて」 『ええぇ~……突き詰めれば科学と魔術は似たようなところがあるので魔法に通ずると私は考えてるのですけど』 「だからあんたは魔女の練り菓子下手なんやね……凄い科学者が分析してめちゃくちゃ美味しい料理つくれるとは限らんように」 『む、ですが私は師匠にはできないことができますよ?』ディスクバットの向こう側でリティーシャは胸を反らしていた。 「うん、だからあんたに頼むんよ」 『……はぁ~師匠にはかないませんね。えっとですね霧を消す方法、消霧装置はコロナ放電を生じさせて、コロナ放電によって荷電粒子を発生させ霧を消散させるものなんです』 「…………いや、さっぱり分からんわ」 『ええぇ~………面倒ですね。う~ん……コロナ放電は夜中に雷雲の下を航海する船の帆柱の先端に生じる火みたいなものですよ。荷電粒子は……師匠の使う剣の6あれが近いんじゃないですかね』 リティーシャは言葉を選びながら答える。 「ほうほう、ほなら剣の6をブワーって拡散させてあの霧に撃ち込めば消えるってことでええのかな?」 『どうですかね。私なら霧を消せることを確認した後、荷電粒子を発生させたシールドを全身にまといながら敵本体を探しますけど』 「……ケラウノスや」 『は?』『何ですって!?』 スフィンクスとリティーシャは同時に声を上げた。 「イメージはゼウスの雷霆ケラウノス!使うカードは剣の6と杖の9と21番宇宙(The Universe)の3枚!!」 『21番を使うのか、しかも3枚目で』 『剣の6の力を杖の9で強化して21番宇宙で完成……ですか。ぶっつけ本番ですよね?』 「アタシはいつもぶっつけ本番で何とかしてきた。マジック・ザ・メイカーの渾名は伊達やないで」 冥珂は自身の体から飛び出した3枚のカードを手に持つ。その表情は自信に満ちている。 『そうだったな冥珂。やれちまうんだからな、七大魔女と呼ばれるわけだ』 剣の6のカードは6つの青白い光の弾になり、杖の9はねじれた半透明の杖に。6つの光の弾を半透明の杖に吸収させていく。杖は青白く輝き始める。 『……おい、それは行けるのか?』 『ダークパワーの急上昇を確認。光弾吸収の度に倍々になってますけど師匠、それ抑え込めるんですか?』 「ゼウスの雷霆やで?アタシの扱えるギリギリの所までもっていかんと」 4つ目の光弾が吸収される。冥珂の掲げる杖の光は周囲を照らす。 『ち、俺が杖を支えてやる。お前は魔法完成に集中しろ』 スフィンクスが冥珂の左腕に巻き付くと一回り程大きな銀色のプレートアーマーに変形した。 5つ目の光弾が吸収される。光は益々強くなり上空に雷雲が発生する。 『まさか師匠……あの雲から落ちる雷も使う気ですか?』 「そうや。リティーシャあんたの船のマストの話を聞いてイメージしてな」 ―本郷晴凛の家 「急に曇ってきて風が出てきたね……うわぁアレ何の光!もしかして冥珂さんの魔法!?あそこだけめちゃくちゃ明るくなってる」 目を覚ました晴凛は窓の外を見て言った。 『ん~人型もいいもんっすね~。いやぁイッシーの力のおかげっすなぁ』 「え!誰!?」 晴凛の横にはダチョウの羽を持った黒髪で切れ長の目をした少し浅黒い肌の若い女性が立っていた。白い布を巻き付けた服を着ている。 『アマチャンっすよ!』 「え!アマちゃん!?」 『回復してきたから晴凛を見守るために人型になったんす。ほら、クー・ホリンは犬の姿だしイッシーの人型は目立ちすぎるし』 「へ?イッシーって?」 『晴凛の上に浮いてる2番女教皇のカードの子っすよ。冥珂が置いて行ってくれたおかげで晴凛もクー・ホリンもアマチャンも全快っす。イッシーご苦労様』 『はぁ~い……疲れたのでしばらく寝ますので帰りますね~』 2番女教皇のカードから声がする。カードはそのまま窓ガラスをすり抜けて出て行った。 『さて、アマチャンたちはここで大人しく待ってたらいいだけなんすけど……実はそうも言ってられなかったり。変な気配が街のあちこちでするんすよね』 「変な気配?」 『例のフィッシュメンとか……魔法少女カトラとかその辺のね。晴凛、水晶玉少しは使えるんすから見てみればどうっすか?』 「うん、やってみる」 晴凛は机の引き出しから小さな水晶玉を取り出して手をかざす。 『アマチャンの羽をあちこちにつけてあるからそこに繋げるっす』 「う、うん……」 晴凛はアマトのダークパワーを感じ水晶玉を通じてアマトの羽を探す。 「あ、あった!アマちゃんの羽!」 『じゃあ映像を送るっすよ晴凛!』 水晶玉に映し出されたのは電柱の上からの映像。濃い霧の中、黒い人影が群れを成して徘徊している。 「凄い霧だよ!それにフィッシュメンがあんなに!」 『これはもう……街の人には隠し切れないっすね……後で大規模な記憶操作が必要っすよ』 「ああっ!フィッシュメンがコンビニに!!」 『ヤバいっす晴凛!!アマチャンが行ってくるっす!!』 「待ってアマちゃん!」 『え!?』 「私も行くよ!待ってるだけなんて嫌だよ!!」 『アマチャン的にはその方が消耗少ないしありがたいんすけど晴凛が……』 「それでも……もしフィッシュメンの他にカトラが別の場所で出てきたら私はアマちゃんに任せっきりで何もできないまま見てるしかない、アマちゃんがいないと魔法少女になれないし」 『分かったっす。それならアマチャン全力で魔法少女セリンをサポートするっす』 ―コンビニ前 大型トラックも止まれるほどの大きさの駐車場にフィッシュメン群れが集まっている。 「なんだ!なんだよあいつら!!」 「外にいたおじさん食べられてるよぉおおおお!!」 「警察だ!警察呼べ!!」 「ひいいいいいっ!こっちくるぞあの魚顔の連中!!」 フィッシュメンは太った中年の男の内臓を貪り食い終わるとコンビニの中にいる客の見据える。 「Iaaaa……Iaaaaa…… Cthu…… fht……Iaaaaa……Iaaaaaaa……lhu ……gn……」 フィッシュメンらは目を輝かせてじりじりとコンビニに迫る。 「ふふふふふふふ……いいわ、とてもいいわ!フィッシュメンたち思う存分やりなさい!人間は皆殺しよ!!」 声と共に上空から現れたのは魔法少女カトラ。全身いたるところに海藻を思わせる包帯を巻き付けている。 「痛い痛いわ……!あの赤黒い棘の傷が疼く……!!」 カトラはコンビニの中の飲料棚を見据えて杖を構える。 「液体がたっぷりあるわね。私の力が存分に揮えるというもの!雨の日なら言うことなのだけど……」 カトラの杖が輝く。するとコンビニの飲料棚のボトルは一斉に破裂、液体の触手となり近くに立っていた男女4人を串刺しにした。 「きゃあああああああっ」 「うああああああああっ」 ガラスが飛び散ちる。店内は一気にパニックになった。 「ウォーターランス!いいでしょ?美味しい飲み物で死ぬなんて中々無いわ」 「なんだ!何が起こった!?」 「あのコスプレ女は一体?何で飲み物が爆破したんだ?」 「くそっ!警察はまだかよ!!」 「なんでこんなことにまきこまれるのよぉおおおおおおおおおお!!」 その様子を見てカトラは口角を上げた。 「いいわ、いいわ!もっと混乱しなさい阿鼻叫喚の様子を見せなさい!次の標的は内側から食い破るように殺してやるわ」 「だめええええええええっ!」 ほうきに乗った魔法少女に変身した晴凛が急降下、ステッキから光弾を発射してカトラを牽制する。 『うわ~たくさんの人間に見られてるっすね~これは後が面倒だ……とりあえずここはアマチャンフラッシュ!!』 オウム姿のアマトはコンビニの前で全身から光を放つ。光を受けた人々は昏倒した。 「アマちゃんナイス!」 『晴凛!アマチャンのことよりも目の前の敵っすよ!!』 「現れたな魔法少女!!ウォーターソード!!」 ペットボトルの液体を集め剣に変え晴凛に切りかかるカトラ。晴凛はガラクタで作った盾で受け止めた。 「そんなくだらない盾、また壊してやるわ!!そして今度こそむごたらしく殺してあげるわ!!」 「そう簡単にいかない!」 盾が回転を始める。ウォーターソードを散らしカトラを押し返す。 「ちっ!」 「うまくいった……!」 出発前に晴凛は盾の強度を上げるだけでは不安を感じアマトに相談。強度を上げるには材料も時間も足りない中で考え出された案で盾の回転はアマトが操作をしていた。 『傘にヒントを得たと言ったときは「は?」と思ったっすが』 「小さい時に傘を回して遊んでたの思い出したんだよ。傘についた雨が飛んでいくの」 カトラはウォーターソードで数回斬りつけるも回転する盾で弾かれる。 「ちぃいいいいっ!グレゴル!!」 黒い鱗の犬が飛び出し晴凛の側面から襲い掛かる。 「うわぁっ!」 咄嗟にステッキで受けた晴凛は体勢を崩し、ほうきに必死にしがみついて耐える。 『うおおおおっ!今のアマチャンは超本気っすよ!!』 黒い鱗の犬に飛び掛かるアマト、2匹は飛び回り互いに衝突を繰り返す。 「大した魔法も使えないくせにカトラの邪魔をするとは身の程をわきまえない勘違い魔法少女なのね?使い魔に頼りっきりの半人前が!」 カトラはコンビニの酒瓶とペットボトルから液体を補充しウォーターソードを巨大化させる。 「今の私はそうかもしれない……でも、できることをしたい。その為にアマちゃんやクーちゃんを頼ってしまうけど」 晴凛は赤黒いリボルバーを取り出す。 「クーちゃんお願い!」 『さっき話してたアレだな?いいぜ』 赤黒いリボルバーからクー・ホリンのダークパワーが放出される。そして晴凛の戦車のカードに入っていく。 『上乗せとは欲張りな奴め』 魔法少女セリンの衣装の上からクー・ホリンの外套、鎧を纏う。ほうきは馬の引いていないチャリオットへ、ステッキはクルージーンに変形。晴凛の髪に金髪が混ざる。 「えへへ……全部乗せとか好きなんだよ」 『窮屈だが……まぁお前の負担は半分以下だ。それにアマトの力を使うことで俺本来の力も少しは発揮できる』 『アマチャンは超きついっす!二人三脚でサッカーするようなもんっすよこれ!』 晴凛は流れ込んでくるクー・ホリンの思考に従いクルージーンを振りカトラを離す。 「なによそれ!……ふ~ん、召喚魔法が得意って訳?ハ!でも地の力が違うわ!」 続く
Jan 2, 2019
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