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VAMPIREEYE92「橡襲撃2」 「キキキキー!」 怒る化け猿はこれまで以上に連続で投石を始める。 「ちなみに山根さん、8万匹爆弾ボールはどのくらいの威力に?」 「やったこと無いから分かんないけど……1万匹で大体体育館くらいの広さの爆風です」 「……では変更しましょ。2万匹でお願いします」 「それならもうすぐ完成するよー」 「ムキャー!!」 思いつく限りのフェイント入れて接近を試みる化け猿。燿子は冷静に見極めて動きの先に狐ビームを置いて狙っていく。 「できたよ燿子さん!」 「ほな、いきますよ」 飛び上がる燿子、トンボ返りして7本の尻尾で巨大なトラック大のネズミボールを撃ちだす。ゆっくりと飛んで行くネズミボール。その動きを見てあざ笑うかのように側転を繰り返して回避を始める化け猿。 「ああ~駄目かなぁ~でっかいと遅いんですよねー」 「これでいいんです、ふふふ」 林の中に落ちていくネズミ爆弾ボール。燿子は狐火ビームをネズミ爆弾ボールに撃ち込んだ。 「あっ!!」 大爆発を起こすネズミボール。爆炎が周囲に広がり油断していた化け猿たちを焼く。 「ムギャアアアアアアアアッ!!」 「2万に減らして良かったですねぇ」 「やばっ!燿子さんのビームで大爆発だし!!ネズミボールだけであんなにならないよ多分……」 「魔力は消えましたね、元気が良すぎるお猿さんは亡くなりはったようで」 「お寺に戻る?燿子さん」 「戻りましょ」 *** 魔猿・橡のブーメランからの追いラッシュ、屍人化巳島はプラズマ六角棍で迫る。萌絵は舞子が作った石を糸で固めた斧を持ち、舞子は痺れ毒をしみこませた粘着弾を撃つ。後ろに控えるは金熊童子。 「もっぺん死んで来い!!」 斧を横薙ぎに振る萌絵、石斧が巳島の六角棍に激突。 「シュラァァ……」「てめぇの動きは見切ってんだよクソ蛇が!!」 大きく口を開けて強酸性毒を吐きにかかる巳島、萌絵は大きく開いた口の中に角を伸ばして刺しこんだ。 「オラァ!!」 巳島の口に角を突き刺したまま大きく体を振りスイングする萌絵。巳島は空中に放り出される。 「オオラアアッ!」 落ちてきた巳島に石斧を叩き込む萌絵。巳島の体は真っ二つに裂け赤黒い血と煙のような蟲をまき散らした。 「いやぁん、クソ蛇さん臭すぎぃ!これはポイっと……」 萌絵は舞子を追いかけまわす魔猿・橡に向かって血の付いた石斧を投げつけた。 「ぬ!」 手に持ったブーメランでガードする魔猿・橡。舞子は一瞬の隙をついて粘着糸で両足を固める。 「鬱陶しい!!」 爪で糸を引きはがす魔猿・橡、石斧を手に取った舞子が振り下ろす。難なく石斧を受け止めた魔猿・橡であったが違和感を感じ腕を振るも石斧は離れない。粘着糸を纏わせた石斧は瞬間的に手に接着している。 「こんなもの着けたところで!」 「……」 舞子が指を動かすと石斧は爆発し糸をまき散らす。石の破片が魔猿・橡に襲い掛かり同時に糸が体にまとわりついていく。 「よし、萌絵これを!やっちゃって!!」「はーい!!」 舞子は寺の砂利と糸を固めて作った巨大棍棒を萌絵に渡す。 「ぶっ飛んでくださーい!クソ猿が!!」 糸で固まった橡に対し萌絵は渾身の力を込めたスイングで打つ。鈍い音を響かせて放物線を描いて飛んで行く。 「やったぁ!ホームラン!!燿子さんと妃羅莉ちゃん気付くかな?」 「多分ね」 「あのお猿さんちょっと変な感じだよねただの妖怪じゃないっぽい」 「今の攻撃で退散してくれるとありがたいかな……」 舞子は口から赤黒い血の塊を吐いた。 「舞子ちゃん!?」 「排毒よ……あの猿の爪は厄介、直接触れられた訳じゃないのに体に病気うつされたわ。萌絵は平気?」 「実は物凄く体ダルイ……この原因はあの猿の爪だったのぉ~……クソが!!」 「ひょっとしたらこの寺にいる皆うつされた可能性がある。萌絵がふっ飛ばしてくれて助かった、あれ以上長引いていたら危なかったわ……」 「この病気ヤバイ!?死んじゃうの!?」 「分からないけど……病気の原因を体から出す必要がある。皆が私みたいに自分で排毒出来るわけじゃないから何か考えないとね」 舞子の後ろに控えている茨木童子と金熊童子は肩で息をして座り込んでいた。 「やっぱりあの二人も病気に……猿が何回も投げてたブーメランは攻撃だけじゃなくて病気をばら撒いていたって事ね」 「病気で弱らせたところに屍人に変える蟲を仕込んでたんだね……」 萌絵に吹き飛ばされた魔猿・橡は山肌に激突し転げてゴルフ場の脇にある林に落ちた。 「思ったよりやるじゃないか……ぶっ殺すのは今度にしてやるか。まぁいい、仕込みは済んだ。じわじわと苦しむがいい、弱り切った所に再度襲撃で屍人化してやる」 体に巻き付いた糸をゆっくりと爪で裂いて自由になる橡。そして魔猿姿を解除する。数歩歩いたところで膝をついた。 「カカ……ちょっとあいつらを嘗めすぎたな……思ったよりもダメージが大きかったか。痛み分けという事になったな」 *** ―翌日明命館学園 「(ん?奥寺の奴休みか……?)」 二郎はいつも先に来ている舞子の席が空いてる事に気が付いた。 程なくしてホームルームが始まる。そこで担任の教師から奥寺舞子は病気でしばらく休みになると聞かされた。 ―昼休み。二郎は屋上へと続く階段の踊り場で吹雪、恭一と会っていた。 「土蜘蛛が病気というのは信じられないわ。病気や毒に耐性があるからまずそんな事にはならないもの。別の理由で休んだと考えた方がいい」 吹雪は冷たい目をして言い放った。 「相変わらず白峰ちゃんは奥寺にキビシイねぇ。あいつアイドルやってるし仕事関係じゃないの?」 恭一は壁にもたれながら言った。 「事件に巻き込まれた可能性はないかな?ほら例の正体不明の連中関係とか?」 二郎は舞子の言っていた大北山松鴎山町の事が気になっていた。 「……あり得なくもないわね。大北山松鴎山町で何かあったのかも」 「二郎の知り合いの坊さんがいるって所か?んじゃあ今日はそこに行くのか?」 「いや、やめておこう。それよりもセンジョーに行かないか?あのプログラム攻略の練習にうってつけのものがあるんだ」 二郎は華月の忠告を思い出し二人を妖怪連合に関わらせないように話題を変える。 「二郎、練習ってセンジョーの施設にそんなのあったか?」 「これだよ。ハイパーキングファイター(HKF)さ。調べてみたら昨日やったあのVRプログラム戦と似てるんだ」 二郎は携帯端末の画面を見せる。 「ほほ~……面白そうだな」 「この前知り合った平安新聞社の人もHKFやってて興味があったんだ」 「……ゲームで遊んでいる場合では無いと思うのだけど」 吹雪は不安そうに言う。 「これは特訓だよ白峰さん。試しに一度やってみようよ。あのセキュリティプログラムを攻略できなきゃ碁盤の目町に入れないんだしやる価値はあるよ」 「そうだぜ白峰ちゃん、やってみないと分からないって!」 「今日も教会と連絡取れない状態だし……いいわ、やってみましょう」 吹雪は自分で検索したHKFの情報を見ながら言った。 「じゃあセンジョーの前に4時半待ち合わせでいいかな?ちょっと寄るところがあってさ」 「いいぜ、4時半な。今日は授業5時限だし余裕あるな、いったん着替えに家に帰るか」 「わたしも一度家に帰るわ。須原の車でしかしばらく移動できないから時間に余裕がある方がありがたいもの」 ―放課後校長室 二郎は吹雪と恭一と別れた後校長室に向かう。 「失礼します」 二郎が入ると目の前には更に成長した華月とその横に沖田。校長は半裸で仰向けに転がり恍惚の表情で痙攣している。 「あ……あのこれは?」 「気にするな、校長が自ら行ったのだ。我に踏んで歩いて欲しいらしい」 「そ、そうなんですか……」 「この者は我がこの校長室で快適に過ごせるように尽力しているのでな、時々褒美を与えてやってるだけだ。二郎それよりも……解っているな?」 「はい」 二郎はいつものように華月に精製した生気塊を渡す。 「よし……」 華月は高級椅子に戻る前に一度校長を踏んだ。 「あひぃ達する!達します!華月ちゃん……もっと!!」 「図に乗るな、いつ踏むか我が決める事だ」 「あひひぃ!」 「そうですよ校長、私の術で声が外に漏れないようにしているのもお忘れなく!」 沖田は校長を睨みつけた。 「華月ちゃん、僕ちゃんも従者に加えてください……なんでもしますやって見せますぅ」 「校長、わきまえなさい。本来なら貴方のような者は華月様に口を利く事すら許されないのですよ」 沖田の目が光り校長の体が海老反りになる。 「金縛りの術をかけました。しばらく静かになるでしょう」 「……」 「ここ数日ただ回復を待つだけでは退屈なのでな、仮死していた間に世界はどう動いていたのか調べていた。それと読書だ」 華月は携帯端末を操って電子書籍を宙に表示させる。 「これには驚かされた。電気通信網に関する法が整備された事により我のような死亡扱いの者はアクセスできないようになった。だが黒谷月として使えるように従者の皆が手配してくれた」 「はぁ……」 二郎は相槌を打つ。 「我が仮死になる前は電気通信網は匿名で誰でも使えていた。だが今は違う、光伝送通信に変更され個人識別番号と生体認証集積回路を国が発行し数年ごとに更新させるようになり、個人の端末は登録制となった」 「インターネットと呼ばれていた昔は匿名だったらしいですね……今は光伝送通信になって車とかと同じ扱いで登録制ですね認証チップが車のキーみたいな」 「噂ではまだ電気通信網は健在で一部の物が独占しているとのことだ」 「なんでもかんでもネットでやりたい放題だった頃のが残っているというのですか?」 「あくまで噂だ。さて、前置きが長くなったな。霄と蓮也が探している源藤高雅の物と思われる光伝送通信の反応を警察の近藤、斎藤が探知した」 「!!」 「罠である可能性もあるのでな、霄、蓮也に現在付いている吉良に加え、我の配下の佐久間を加勢させる事にした。源藤高雅の反応は宇治市小倉町の住宅からだ。4人に行かせる」 「それなら俺も!」 「二郎お前にはお前のやるべきことがある。勝田と協力して結界と隔壁の突破だ。そのために電脳空間での戦闘技術向上、そして対結界の術師の探索が優先すべき事のはずだ」 「っ……そうでした」 「蓮也と霄達の心配は無用だ。何かあればすぐに知らせてやるそれに……」 「それに?」 華月は椅子から降りてカーテンを開け窓の外に視線を向ける。二郎はつられて窓の外を見る。 「ここでこうしていられるのも今日が最後だと思っておる」 「どうしたんです?」 「1町ほどの距離に教会と灰色と思わしき監視が居る。この距離だと我に気付かれないと考えての事だろうがな。もしくは警戒させるのが目的か」 「ここは危ないと?」 「危険なのはこの学校の者達だ。我はどうとでもする二郎、明日からは我の指定する場所に来い、良いな?」 「はぁ……」 カーテンを閉じる華月。沖田が寄って来る。 「華月様、偵察の輩はいかがいたしましょうか?」 「こちらからも使い魔を出して牽制してやれ」 「は!」 沖田は懐からカードサイズのドローンにトカゲを思わせる生物を乗せ窓から放った。 「二郎、今日はもういいぞ」 「あ、はいそれでは失礼します」 続く
Jan 31, 2021
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VAMPIREEYE91「橡襲撃」 六角棍で連続攻撃を仕掛ける巳島。同時に毒液を吐き掛け萌絵を一気に斃しにかかる。 「シャアララアアアッ!!」 六角棍の先のプラズマが大型盾を貫く。しかし次の瞬間萌絵の角が伸び巳島の腕に突き刺さった。 「がっ……馬鹿な毒液が効いて無いのか!?」 「効く前にブチのめすんだよクソがぁっ!!」 角を引き抜いて渾身の右フックを放つ萌絵。巳島の六角棍のガードを弾き顎に拳が命中した。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!!」 拳の連打を叩き込む萌絵。 「オラァッ!!」 最後に前蹴りで吹き飛ばす。巳島は全身の骨を砕かれながら放物線を描いて空き家の倉庫に落下した。 「ゲボッ……」 動かない巳島を確認した萌絵は変身を解除する。 「オエエエエッ……気持ち悪い、吐いちゃった!毒とか鬱陶しい!!」 「やった!敵ボスっぽいの萌絵ちゃんがたおしたよー?」 魔力鼠を通して見ていた妃羅莉がつぶやいた。 「はやっ……」「流石野村さん」 残る灰色屍人を排除しながら舞子と燿子が言った。 「これで終わり?妃羅莉?」 「えっと……まだ来るみたい。今度はさっきよりも殺気だってるって!チューイして!!」 「そう」「……(さっきとさっき、ふふふ)」 『ホギャアアアアアアアアッ!!』 並の生物なら体が硬直するような獣の咆哮が響いた。 咆哮の主は橡(つるばみ)全吉。既にヒースグレイパワーを使い灰色魔猿の姿に変わっている。その周囲には灰色の仮面をつけた手下の猿たちが5体。 「やっぱり巳島じゃあ無理だったか。念のために見に来て正解だった」 『やるのか橡?』スカイグレイパワー青鈍砂羽の通信の声がした。 「ああ、全滅は無理でもクソ坊主一点狙いならいけるだろう」 『相手は茨木童子に熊童子、金熊童子、妖狐、土蜘蛛、牛鬼、鉄鼠の錚々たるメンバーだ無茶はするなよ』 「どれか一つでも討ち取れば大金星だ。俺は巳島とは違う突撃はしない、無理なら撤退する。ここが命を賭ける決戦じゃないからな」 『そうだ、大将が到着してからが本番だ』 寺で迎撃体制のヴァルキリー達。 「来ないね?殺気バリバリのバリバリコーンなんだけど」 「……(大ヒット菓子バリバリコーン!ふふふ)」 「オェ……まだ吐き気する……」 「萌絵大丈夫?下がって休んでたら?」 「うん、ちょっとお水飲んでくるね舞子ちゃん」 「あっ!」 妃羅莉の叫び声と同時に雨あられのように降り注いでくる岩石。その大きさは人の頭部からスイカくらいまで。舞子の張ったネットに次々と溜まっていく。 「敵の攻撃ね!全部返してやるわ!!」 糸を引いて跳ね返す舞子。今度は寺の壁を目掛けて投石が降り注ぐ。 「しまった、壁を狙ってくるなんて!」 「投石を止めさせないと!」 「私と山根さんで行きましょう、ここは奥寺さんと野村さんが守りを」 頷く舞子。妃羅莉はネズミスケートボードを二枚用意する。 「カカカカカッ!やはりそうきたか、よしお前たちは投石しながら付かず離れず林の中で妖狐と鉄鼠の相手をしろ、俺は寺に向かう」 「キキッ!」 5体の化け猿に命令して橡は林を西へ駆ける。 「ふーついでにおトイレすませちゃった……ん?」 トイレから出てきた萌絵の目の前に灰色魔猿の橡が現れた。 「牛鬼見つけたぞ!」 「誰ですかぁ?」 「この姿を見てそんな寝ぼけたセリフを吐けるとは大したものだな流石牛鬼だな!」 「この姿ってただの灰色のお猿さんでしょ。さぁどこの誰か答えてくださぁ~い!」 一瞬で角を伸ばし全身黒い体毛の牛鬼モードに変身する萌絵。 「ヒースグレイパワー狒々の橡全吉だ」 「狒々は知ってるけどぉ、何とかグレイパワーって何です?」 「俺に勝ったら教えてやるよ!」 「へぇ~?……テメェが話せる状態ならいいがな!!」 「キャウァッ!」 刀のように鋭い爪を振るう橡、萌絵は紙一重で避けて拳を放つ。ガードする橡、腕は萌絵の拳の衝撃を耐え体勢を少し崩しただけであった。 「……これは想像以上!」 「デカイ口叩くだけはあるようだなサル!!」 「萌絵!」 気が付いた舞子が駆け寄る。 「あんたはさっきあんだけ頑張ったんだから少し休んでなさいよ」 萌絵の前に出て連続で糸を放ち橡を固めていく舞子。 「でもぉ、そのサル生意気なのぉ!」 「じゃあ一緒にやろ!」 爪で糸を破って脱出する橡。 「カカ!この爪にかかればお前の糸もこの通りだぞ土蜘蛛」 「だから何?」 手で糸を引く舞子。弾丸めいて拳大の岩が飛んでくる。投石で落ちた岩と橡の後頭部を糸で接着して仕掛けていた。 「グッ……」 「オラァッ!」 後頭部に岩が直撃し、よろめいたところに萌絵のハイキックが顔面に命中。橡は後方に転げていく。 「直撃!」「いやぁん変な手ごたえ!!」 「カカカカカ……並の妖なら今ので2回死んでるだろうな」 橡は後頭部と鼻をさすって言った。 「は?効いてない?」「結構マジで蹴ったんだけどなぁ」 橡は背中に背負った大きな3枚刃のブーメランを取り出す。 「カカッ!」 ブーメランを投げつける橡、それを追いかけるように爪で攻撃を仕掛ける。 「!?」 ブーメランは突如軌道を変え萌絵に襲い掛かる。舞子は糸で萌絵を引っ張り回避させる。 「自在ブーメランだ!俺の意思に反応して軌道を変える!!」 高速回転するブーメランは縦になり今度は舞子に狙いを定める。橡の爪は萌絵に狙いを定める。 「クッ……」 橡の爪攻撃を躱し切れずに腕をキズを負う萌絵。これまでどんな刃物でも通さなかった体毛を切り裂いてきた事に驚いた。 自在ブーメランを糸弾で弾いてから回避する舞子。息つく間もなく戻って来る自在ブーメラン。 「この爪は全てを切り裂き!ブーメランはどこまでも追う!!」 「うぜぇ!!」 角を伸ばしてブーメランを突く萌絵、動きの止まったブーメランを舞子の糸が捕らえる。その隙を狙って飛び掛かる橡、後方に飛ぶ舞子。萌絵は腰を落として迎え撃つ。 空中でブーメランを固めボール状に変える舞子。萌絵は飛び掛かってきた橡を伸ばした髪で捕らえる。 「オラァ!」 そのまま橡を後方の石畳に脳天から叩きつける萌絵。 「チッ!これでも脳みそぶちまけねぇか!」 ブーメランを固めた舞子は石畳の地面に縫い付けスイングで橡の後ろに回る。舞子は糸を放って巻き付け一気に引っ張って独楽のように橡を回転させる。 「飛べオラァッ!」 逆さのまま回転する橡を蹴り飛ばす萌絵、寺を囲っている壁に叩きつける。大の字の格好になった橡、反撃の暇を与えず舞子は糸を飛ばし爪に粘着性の高い糸が絡みついていく。 「クソ糸が!」 体を壁から剥した橡に超粘着糸を連射する舞子、橡の足が止まる。 「萌絵!スリングショットやるよ!!」「うん!!」 萌絵は舞子の伸ばした糸ロープを掴んで振り回す。遠心力で勢いの付いた舞子を橡に向かって投擲、投げられた舞子の足には糸で作ったスパイク上のブーツ。弾丸めいて橡に飛んで行く。 「グウッ!」 舞子は容赦なく喉に蹴りを叩き込む。後ろの壁に縫い付ける形となった。 「はっ!」 喉元にスパイクブーツを残して離脱。ダメ押しで顔全体を糸で包み込む。 「舞子ちゃんえげつな~い」 「萌絵、コイツ油断できないわよ……」 「フシュウウウウウウウ……」 橡の全身から噴き出した灰色の煙が姿を覆い尽くしていく。 『ヒースグレイパワー』 灰色の煙が晴れるとそこには、より爪が鋭く、筋肉の盛り上がった魔猿・橡の姿があった。 「カカカカカ……やってくれるじゃないか土蜘蛛、牛鬼。見事なコンビネーションだ。流石に今のは危なかったぞ」 「何それ……」「なんか元気になってるぅ~!」 「カカカカカ!テメェら自分がなまじ強え事を恨みな!受けたダメージをパワーに変換できるんだよ俺は!!」 「へぇ……でもダメージそのものは無効にできてない感じだけど?」 「カカッ!その通り、だが殺しきれない限り俺はパワーを上げて復活する!!」 「種明かしとか舐めすぎじゃない?」 「これはテメェらを絶望に落とすための煽り文句だ」 「だってさ萌絵」 「絶望なんてしませぇ~ん!」 「カカカカ……いいのか?妖狐と鉄鼠を放っておいて。俺の子分たちは俺がパワーアップすると連動するんだぜ?後は……」 「シャシャシャー!!」 全身を灰色化した巳島が現れた。 「コイツはもう使い物にならなくなったからな、屍人化して再利用だ」 「……」「チッ面倒な!」 「カカカカ!顔色が変わったな!!それを見たかったんだ!!」 「セイッ!」 巳島の横から刀で斬りこんできたのは金熊童子。 「あても参戦するで!林からの投石は茨木の姐さんと熊和尚が何とかしてくれる!!」 ―林の中 化け猿たちは魔力を込めた投石を繰り返し時折、燿子と妃羅莉に投げつけ牽制して逃げるを繰り返す。 「あの投石意外と厄介ですなぁ」 「石はネズミちゃんガードで防げるけどあの猿たち速くて追いつけないですね……」 突然目の前の化け猿たちが一回り大きくなり投石の速度が増す。野球のスライダーを思わせる軌道で曲がり妃羅莉のネズミガードを避けて脇腹に命中した。 「ギャンッ!」 転げる妃羅莉。 「キキーッ!キキキキーッ!!」 手を叩いて挑発する化け猿たち。 「山根さん……!!狐火でこの辺り全部焼き払えば手っ取り早いんですけど」 「イタタタタ……痣できちゃったよ燿子さん……」 「まぁ!その程度で済むとは頑丈ですなぁ」 投石を尻尾で防ぐ燿子。 「……多少はいいでしょう、ね?焼き払います」 7本の尻尾を展開する燿子。尻尾の先から青白い閃光を放ちながら薙ぎ払う。爆炎が上がり林の木々は切断されながら燃える。 「うわわわわっ!!燿子さんそれ良いの?」 「駄目でしょうねぇ、でもあのお猿さん元気が良すぎるさかいちょっと私もね」 「キキキ!?」「キキー!!」「キキキキ……」 「あらあら、仕留められたのは2匹だけでしたか……」 「あたしも!狙い撃ちロックオンネズミミサイル、ネズミサイル!!」 「……(ふふ、言い直した)」 妃羅莉が鼠ボールを蹴りだすと数十個に分かれ放射状に広がり誘導ミサイルめいて化け猿に向かって飛んで行く。 「キキキーッ!!」 「やった命中!!燿子さんが木を払ってくれたから狙い撃てたよ!!」 ネズミミサイルを喰らった化け猿は煙を上げながら錐もみ回転。 「山根さん、威力重視の特大ネズミ爆弾ボール用意できはります?」 「出来ますけどちょっと時間かかりますよ、1分くらい」 「私が牽制して猿の動きを抑えますさかいよろしゅう頼んます」 「ラジャー!」 足を大きく開いて両腕を上に掲げる妃羅莉。 「8万匹ネズミちゃんビッグバンボール!!」 「チュー!」「チューチュチュー!!」「チュチュチュー!!!」 周囲から魔力鼠の大軍が現れ妃羅莉の頭上に集まっていく。 「キキー!」 残った2匹の化け猿が妃羅莉目掛け突進。燿子はそれを狐火ビームで狙い撃つ。 「キキッ!?」 戻っていく化け猿。石を掴んで妃羅莉を狙うもすべて燿子の尻尾で防ぎきる。 続く
Jan 10, 2021
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VAMPIREEYE90「隔壁と結界」 「やぁ来たね、それじゃあいこうか。このゲスト用IDカードを首から下げてね。そっちの大きいお兄さん(須原)はロビーにあるラウンジで待っててもらおうかな?」 勝田は全員にIDカードを渡して言った。 「分かりました、吹雪お嬢様お気をつけて」 「仕方ないわね、須原は教会の者ではないもの……技術部には入れられない」 「じゃ三人は付いてきて」 勝田に付いていく一行。ラウンジに須原を残し社員用エレベーターで28階に向かう。 「僕の部署の他は入らないでね?一応守秘義務があるんだ都メタルの社員としてね」 廊下を進んでいく一行。途中何度もセキュリティゲートを超えていく。 「さぁこっちだ、入って」 通されたのは飾り気のないコンクリート撃ちっぱなしの工房。いくつものパーテーションやクリーンルーム、大型加工機が見えた。 「安心していいよ、ここのスタッフは皆僕と水元君の事情を知ってる」 「すげぇ機械ばっかりだ……」「驚いたなぁ」「……」 「ここの端末と碁盤の目町の物は専用サーバーで繋がっていてね、ここで作業している僕のスタッフが封鎖解除を何とかしようと頑張ってるんだけどセキュリティプログラムとの小競り合いが続いてる。せめて封鎖された時に僕か、水元君があっちに居ればよかったんだけど……その事で喧嘩してね」 「それで勝田さん、わたし達に出来る事とは?」 「おお、白峰吹雪ちゃんは話が早くて助かるね~。攻勢プログラムを撃退して欲しいんだ。碁盤の目町の囲っているのは交互に設置された24の結界と隔壁だ。隔壁を開けた状態でないと結界に干渉できない。隔壁はセキュリティプログラムで守られててハッキングしようとする相手を攻撃してくるのさ。文字通りこっちの端末を破壊してくる」 「プログラムのできない俺たちが何とか出来るんですか?」 二郎が言った。 「えっとねぇ……今ウチのスタッフ達とやってるのはジグソーパズルを解きながら玉乗りしているような感じでね。それをひっくり返そうとする敵にも対処しないといけない状態なんだ。だから君たちにそのひっくり返そうとしてくる攻勢プログラムを抑えてもらいたい、電脳世界に入ってドカーンという感じでね」 「そんな事可能なんですか?」 「これがあるからね」 VRヘッドギアを取り出す勝田。 「これは巷で流行っているHKF(ハイパーキングファイター)ってゲームでつかうヘッドギア、を僕が改造したものだ。これを装着してサーバーに侵入、アバターを動かして攻勢プログラムに対処して欲しい。君たちのバックアップは僕がするよ」 「俺やったことないんですけど」「わたしも」「俺は何度か……」 「心配しなくていいよまずはテストサーバーで練習しよう。上手くできなくても気にしなくていい、慣れてもらう事が大事なんだ。本番は隔壁を開けたその後の結界解除なんだけどね~苦労しそうだよ。一流の魔法使い、魔女、魔術師、陰陽師、何てのがいればなぁ」 勝田はVRヘッドギアの設定を超高速タイピングでやりながら言った。 「手順は……スタッフが隔壁にハッキング→攻勢プログラムから守る→隔壁を解除→結界を解除→次の隔壁にハッキングを繰り返す。碁盤の目町に僕か水元君が居れば良かったてのは外と内から同時攻撃できるからなんだよね。不幸中の幸いとしては向こうには僕たちのハッキングに対処できるほどの者が居ないことだね」 調整されたVRヘッドギアを持って車の座席のようなシートに座る二郎、吹雪、恭一。 「スキャニングOK。アバターは間に合わせで僕が作っておいたものだけど顔はキャプチャーできるからそれで行くよ?まずは習うよりも慣れろだ、GO!!」 VR画面が白い光で包まれる。 徐々に光が収まり目の前に現れた光景は……ジャングルジム大の城と壁と門だった。 『その城に見えるのが壊されたら終わりだよ、門が開いたら敵性プログラムが入って来るから撃退してよ』 二郎は自身と吹雪と恭一の格好を見て驚いた。吹雪はスクール水着、二郎と恭一はレスラーパンツであった。 「勝田さんこの格好……」 『それしかアバターの衣装用意できなかったんだよごめんね。武器は手に持っている如何にもゲーム出て来そうな剣だけど頼むよ』 いつの間にか持っていた西洋剣を眺める三人。 『敵性プログラム来るよ!』 門が開くと箱を組み合わせてつくった日本鎧のような兵士たちが向かって来た。 「あれか」「やるしかねぇ!」「……いくわ」 「UOOOOOOO!」 二郎たち三人に対し敵性プログラムは30体ほどであった。 「一人10体か!」「きっつ!」「わたしが前に出る!」 突進してくる敵性プログラムに吹雪はカウンターで首筋を斬っていく。5体連続で斬り捨てた所で敵性プログラムに横を抜けられた。 「ウラアアアアッ!」 連続突きで倒していく恭一。4体倒したところで抜けられる。 「烈風連撃!」 脇構えから連続で5連撃を繰り出す二郎。5体を倒した。 「まだまだ来る!」 吹雪が戦闘で散らし、恭一と二郎が残りを倒す。順調に26体までは倒せたが4体がジャングルジム大の城に取りついた。 「まだ間に合う!?」 風のような突進で城に取りついた敵性プログラムを倒していく吹雪。全て倒し終えると視界は光に包まれる。 『ヘッドギアを取って次のフェイズまで休憩したまえ』 勝田の声を聞き三人はヘッドギアを取り外す。 「これは中々大変だね」「正直舐めてた……きっつ」「現実と違って能力が使えないのがもどかしいわ」 端末の画面を見ると勝田とスタッフは織物のように編まれた赤い光の結界をじっと眺め慎重にキーボードを叩いていく。 「結界の解除作業、これが実に厄介でね。もつれにもつれた電気配線を解きながら一つも間違えずに繋ぎ直す作業なんだ。どこでどう繋がってどう解くのか見極めないと。こういうのは僕の専門じゃないんだよな、レヴィが得意なんだが……」 「レヴィ?とは誰です?」 二郎が聞く。 「魔女レヴィの事さ……世界7大天才チーム、ジーニアスレイジの一人で、魔法の術式を解いたり自分で組んだり、その場で新しい魔法を作ったり、別のアプローチの魔術同士を使って違う系統の魔法を完成させたり。そういうことが出来る魔女なのさ」 「凄そうな人ですね」 「ま、彼女の作り出す魔法は彼女しか使えないってのが唯一の欠点かな。一応形にして他者にも発動できる魔法道具もあるみたいだが……ああ、レヴィに頼んで作ってもらうのもアリか……」 「連絡はとれそうなのですか?」 「今どこにいるか分からないねぇ……ジーニアスレイジはお互いの研究成果を電子世界で見せ合いはするけど現実の交流はほとんどないからね……う~ん」 勝田とスタッフの手が止まる。結界のほころびが徐々に変化していくのを目の当たりにしたからである。 「……厄介だなぁ時間でパターンを変えてくるタイプか……流石この国で一番の陰陽師・葛野忍が作った結界だけはあるよ。せっかく開けた隔壁も数分で閉じるからね……そうなったらまた最初から二郎君たち頼むよ」 「はい」 「なるほどなぁ……こんだけのセキュリティに守られてるからこっちに攻撃してくる様子はないのか……24枚の結界と24の隔壁……本番はこれを24回も繰り返すのか……」 肩を竦めて言う恭一。 「これって勝田さん、隔壁放っておいたら閉じるからVR要員も常にスタンバイしてなきゃ駄目なんじゃ?本番は24全部開ける間は前で待機になるんですかね?」 「そうだねぇ全部開けようってんだからそうなるかな。普段通る時は前の結界を通り抜けたら後ろは閉じてたけどね。侵入者をすぐに閉じ込められるようになってるんだ」 「嫌になるくらい厳重ですね」 「ま、だから碁盤の目町に妖を沢山閉じ込めて置けるんだよね。物理的にも核爆弾に耐えるし。ああそうそう、23番目の結界を開けられた時点で突入準備をしないといけないんだ。僕か水元君、もしくは強力な術者。もう一つ言うならとても強い護衛かな」 「無理やり中に入るんですから当然迎え撃つ者がいる」 吹雪が言った。 「うん。一方的に封鎖して何の説明も無いから向こうが強く出ることは無いと思いたい。でもそんな事をするぐらいだから平気で攻撃してくるともいえる……よし、完了。だけど時間オーバーだね。これじゃあ本番だと隔壁の方が閉じてしまう」 テストサーバーの結界の解除に成功した勝田とスタッフは一斉にため息をついた。 「今まで最初の隔壁と結界を破るところまで出来た者ははこれまではいた。でもそこで終わりだ。2番目の隔壁と結界に触った途端教会の執行人どこからともなくウジャウジャ出てきてあっちゅうまに制圧するからね」 「突入組はともかく、勝田さんらは大丈夫なんですか?」 「このビルは僕がセキュリティを担当してるんだよ?言っちゃあなんだけど兵器の開発の腕を買われてジーニアスレイジに勧誘されたんだ。この都メタルビルは世界最強の攻撃的なセキュリティを装備しているビルごと攻撃されても平気さ」 「そんな……完全に教会と敵対してしまったら……」 「襲撃は来るだろうけどまずは警告程度かな?ここに戦力を注ぐような真似はしないと思うね、あちらも色々忙しいはずだから」 「??」 吹雪は含みのある勝田の発言に首を傾げた。 「そろそろVRの準備してくれるかい?」 「はい!」「おう!」「はい」 「これを突破したら今日はこれまでにしようか」 勝田は再びテストサーバーの隔壁と結界をセットした。 *** ―大北山松鴎山町 大熊我們のいる寺の周囲に特殊部隊よろしく重武装をした人に化けた妖が配置されていた。寺の敷地内には茨木童子の真柴樹里。金阿童子の金河潤美。奥寺舞子、緋川燿子、野村萌絵、山根妃羅莉のヴァルキリーの四人も居た。 「ミュージックビデオの撮影と襲撃があった場合の戦力って訳ですか」 妖狐・緋川燿子は扇子を閉じて言った。 「この衣装暑くない?」 鉄鼠・山根妃羅莉が言った。 「超々大型台風発生した影響かジメジメしてやあだ、早く終わらせて帰りたいっ」 牛鬼・野村萌絵が言った。 「この衣装のボディスーツ確かに暑いわね……燿子が平気な顔してるの信じられない」 奥寺舞子が言った。 「襲撃は来るのかな?妃羅莉、ネズミちゃんたちは何か言ってる?」 「北の林に動きがあるってさー舞子」 山根妃羅莉は1万匹の魔力鼠に半径1㎞を探らせていた。 それを聞いていた部隊を指揮する金熊童子・金河潤美が合図する。 「来るよ!」 妃羅莉が叫ぶ。林から灰色の集団が飛び出したのが見える。 「南からも!」 南の道路から走って来る4WD車両が見える。猛スピードで突っ込んでくる。それを見た金熊童子は車止めを発動、鋭いスパイクと鉄柱が道路上に現れた。 「あれは!」 4WD車両の荷台の人物がロケットランチャーを構えてるのが見えた。 「こんな場所であんなものを使う!?」 ロケットランチャーが放たれる。特殊部隊は大型盾を構える。しかし着弾はしなかった。空中で弾は止まっている。 「こんなもの返すわ!」 奥寺舞子が後ろから言った。あらかじめ透明の糸のネット張って飛翔物に備えていた。奥寺舞子が指で糸を引くと張力で弾は押し返され4WDに向かって飛んで行く。 「GAAAAAA!?」 弾が命中した4WDは転倒して岩肌に突っ込んで爆発炎上。 北から迫って来る灰色の軍勢はアサルトライフルを装備している。 「何でこんなに武器を揃えている!?」 金熊童子は驚きを隠せない。 「やるしかないんだったら、やっちゃうゾ!」 建築資材の丸太を抱えて持ってきた野村萌絵は棒きれでも投げるように灰色の軍勢に投げつける。高速回転して飛んで行く丸太は灰色の軍勢を十人ほど巻き込んで打ち抱いた。 そして特殊部隊の大型盾を二つ持って突進する。 「クソ……」 灰色の軍勢を率いてきた巳島は作戦開始から1分も経たないうちに戦力の3割を失ったことに愕然とした。 「しかも突撃してくるのは……レディース『魅留鬼伊』の伝説、鬼姫じゃねえかっ!」 アサルトライフルの掃射を弾きながら灰色の軍勢に突っ込む萌絵、盾で次々と殴り飛ばして進んでいく。 「鬼姫とかやめてくださ~い!二十歳になってレディースとか辞めたんですぅ~!!」 「テメェらは突撃しろ!鬼姫・舌(ぜつ)萌絵は俺が相手する!!」 両端がプラズマで輝く六角棍を構える巳島。 「だからぁ!鬼姫って呼ぶんじゃあねえぞこの三下がぁッ!」 瞬時に角を生やし全身を黒い体毛で包まれた牛鬼モードに変身する萌絵。巳島と萌絵を置いて灰色の軍勢は寺へと進撃する。 「撃て撃て撃てぇー!!」 金熊童子の合図で特殊部隊は銃を撃つ。中には銃にひるまず突撃してくる大型の灰色屍人がいる。 「通しまへんよ」 緋川燿子の腰から生えた魔力の尾から青白い閃光が放たれ大型屍人に穴を空けた。 「あらあら、なんておぞましい……アレは合成魔蟲の寄生体ですねぇ」 「燿子知ってるの?」 舞子は糸弾で特殊部隊の援護をしながら言った。 「陰陽師や道摩法師が行う術のひとつかと。見覚えがあります、人や妖を蟲に寄生させて意のままに操るもの。生気を食い尽くしたら次の宿主を探すのです。取り除く方法は自分の意志で拒絶するか手遅れになる前に取り除くかしか無い厄介な術です」 「それって簡単には……」 「宿主に一番心地よい夢と快楽を与えるので中々難しいかと。肉体が朽ちてからも魂が消える時まで貪り続けられるのです」 「あの襲ってきている連中は気持ちの良い夢を見ながら蟲に良いように操られてゴミのように使い捨てられてるって事なのね」 「ええ、そうです」 「殺す方法は?」 「屍人を殺せば大体一緒に死にます、すぐ近くに弱った知性生物が居なければ移れません」 「おっけー」 指から糸弾丸を連射する舞子。灰色屍人の頭部に全て命中させる。 「あたしもいくよ!CCSM!チュチューコメットシュートマグナム!!いや、マウス!!」 妃羅莉が魔力鼠ボールを蹴りだす。ボーリングピンめいて屍人をなぎ倒していく。それを見た燿子は扇子を広げて口元を隠す。 「……(山根さん最高に面白いです)」 普段からふざけたりギャグを飛ばす妃羅莉に冷めた対応の舞子と萌絵。燿子だけがウケてそれを隠している。 「ふふ……圧倒的ですね。ヴァルキリー投入は過剰戦力だったかもしれません」 寺の堂に待機しているマネージャー茨木童子・真柴樹里がつぶやいた。 続く
Jan 5, 2021
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