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2014/06/24
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カテゴリ: 病気・医療関連
おはようございます。
ツイてるスマートエイジング実践家・染谷光亨です。
毎日毎日、多くのステキなことがあり、感謝しています。


米国の無駄な医療撲滅運動は知っていましたが、運動に参加するのは、2013年の段階で、全米の71学会に及び、無駄な医療のリストは250項目ほどだそうです。該当する医学会に所属する医師を合わせると50万人規模になり、60万人強の米国医師のうち8割にもなっているわけです。

米国の医学会は自浄作用があるわけですが、日本の医学会は既得権益を守ることには熱心で自浄作用はないと感じられますが、米国の動きは無視できないと思います。

無駄な医療を撲滅できなくても国民医療費を激減させるのは簡単ですが、健康管理を怠り、世界一医療に依存して国民皆保険に甘える国民側も大きな障害になっています。

**************************** 【以下転載】 ****************************

米国で無駄な医療撲滅運動が拡大しているのをご存じだろうか。「Choosing Wisely」と呼ぶもので、その波は日本にとっても無関係ではいられない。全米医師の総意で不要な医療を名指しし、国民に知らせる米国初の無駄な医療撲滅運動――。その効用とは。

縁があって、この6月に『 絶対に受けたくない無駄な医療 』という書籍を出した。全米で進む無駄な医療撲滅の動きをまとめたもので、100の無駄な医療を挙げ、その問題点を指摘した。まだ日本では広く知られていない「Choosing Wisely」の動きをまとめた、日本で初めての本である。

今回の連載では、この運動の持つ意味や日本の医療界にとっての意義などを、無駄な医療の内容にも触れつつ考えてみたい。

ちょっと書籍で書いたこととも共通するのだが、おつきあいいただくと、私は大学で獣医学士の学位を得た後に、大手出版社などで国内外の医療現場を取材するようになった。これまでにお会いした医療関係者は総勢1000人を超える。そういった経緯もあって、家族や友人、知人から病気の相談を受けることが多い。

例えば、「親族が食道ガンになったのだけれども、どういった治療を受ければいいだろうか」、あるいは「胃ガンだと分かった。治療としては開腹手術と腹腔鏡という方法の手術があるのだが、どちらがいいのだろうか」など、相談内容はもう枚挙にいとまがない。


患者が指針にできる医療情報が少なすぎる

相談を受けていていつも感じるのは、多くの人が治療を受ける時に、猛烈に情報を集めていることだ。

もちろん、できるだけ多くの情報を集めて治療に臨もうと考えるのは、当たり前のことだろう。ただ問題は、インターネットでいくら調べても、指針にしたいと思える情報になかなかたどり着かないということだ。「指針になる情報がもっとあれば…」とかねて思っていた。

そういう問題意識を持っていたところで、私は「衝撃のリスト」に出会った。恐らく、病気に直面する人々の思いのそばにいなければ、その意味合いに気がつかなかったかもしれない。それくらい、最初はごく小さな動きに過ぎなかった。

最初は全く気がつかなかった。2013年8月ごろに、世界有数の専門学会である米国不整脈学会が声を上げていることに気づいたのだが、その時はあまりインパクトのない淡々とした内容の発表だと感じていた。「無駄と考えられる治療を報告します。全部で5つあります。その内容はこれこれ、あれこれ…」。あくまで淡々と意味のない医療を伝えるものだった。

時期を同じくして、そういう発表がいくつか出てきたのだった。


大腸ガンの内視鏡検査は10年に1回で十分

最初は、「何だ、小さい一部の前向きな動きなのかな」。そう思っていた。「変わったこともあるものだ」とあまり気にとめなかった。

ところが、そのうち次から次へと発表が相次ぐようになった。

「大腸ガンの内視鏡検査は10年に1回でいいです」

「前立腺ガンの検診のためにPSAは安易に測ってなりません」

「爪水虫で飲み薬はほとんど無駄です」

よく読むと、日本の医療で当たり前のように行われていることに公然と「やめろ」と言っていた。しかも、国際的にも評価の高い米国の医学会からである。

例えば、ガンの分野はその1つだろう。今回のキャンペーンでは、米国のガン医療に強い影響力を持つ米国臨床腫瘍学会(ASCO)が参加した。

さらに、消化器分野においては、消化器系における世界最大規模の学会として、様々な情報をインターネットメディアを含めたメディアに発信している米国消化器学会も参加している。

精神領域を見ても、世界の精神疾患の診療に使われるDSM(精神疾患の診断と統計の手引き)を作成した米国精神医学会が加わっている。米国心臓病学会、米国産科婦人科学会、米国小児科学会、米国整形外科学会などの超一流学会が参加学会に名を連ねる。

いったいこれは何のかと、気になり始めた。


全米71の専門学会が参加

調べていくうちに、想像をはるかに超えて大きな動きであることに気がついた。

中心にいたのは、米国内科専門医認定機構財団(ABIM)という聞きなれない組織だった。非営利組織で、医療の効率化につながる活動を進めていた。

その組織が2011年ころから手掛け始めたのが、「Choosing Wisely」という活動だった。意味は「賢く選ぶ」。診断、治療、予防の多くある選択肢から、意味のあるものを選んでいこうというものだ。

最初は小さな運動だったが、参加学会を少しずつ増やしていった。そうこうするうちに、いつの間にか全米の医師の多くを包含するまでに拡大していった。

運動に参加するのは、2013年の段階で、全米の71の学会に及ぶ。無駄な医療のリストのボリュームも、250項目ほどに達した。分野も幅広い。50もの有力学会が無駄な医療を選び、掲げているのだ。該当する医学会に所属する医師を足し合わせると50万人もの規模になり、60万人強の米国医師のうち8割をカバーする。

ちょうどそのリストがいわばあふれ出したときの波頭に私は出会っていたのかなと、今振り返ると思う。

「精神病でない子供にいきなり抗精神病薬は禁物」
「風邪に抗菌薬は使わない」
「ピルをもらうのに膣内診は不要」
「PETガン検診は控えよ」
「胃ろうは認知症では意味なし」

日本にも影響を及ぼすような、米国臨床腫瘍学会、米国消化器病学会、米国小児科学会、米国精神医学会など、名だたる学会が全米に向けて無駄な医療を公表していた。まさに「衝撃のリスト」に見えた。日本ではほとんど知られていなかった。これはもっと広く伝えなければならないと、思わずにはいられなかった。


医療費抑制の切り札になり得る

医療に関する指針を一般の人に与えたい――。私のもともとの問題意識に照らしても、Choosing Wiselyの指針は普通の人々が必要な医療を考える一つのきっかけになると思えた。日本でも同じように、何が無駄な医療か、逆に言えば、必要な医療とは何かが分かりやすく提示されればいいなと思った。

そうこう考えていると、このリストは、国や地方自治体、保険者、企業、いろいろな観点から読み込めると思えるようになった。

例えば、国や保険者がそうだ。

少し時計の針を進めてしまうが、今、国は都道府県や健康保険組合に対して、医療費の削減目標を設けさせようとしている。5月26日の日本経済新聞の朝刊一面によると、75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度の部分の医療費総額約13兆円を圧縮しようと考えているようだ。

この件に関して、ある医療系コンサルタントに話を聞くと、「医療費抑制戦略を行政だけで考えるのは限界がある。結局、コンサルティング会社が考えることになるのではないか」と見通しを話していた。

コンサルタントが実際に手掛けるかどうかは置いておくとして、強調したいのは、医療費を抑制するためには、「誰かが必要な医療に絞り込む必要がある」という点だ。

絞り込むためには、何らかの指針があると有効だ。このとき、全米から出てきたこの衝撃のリストは真っ先に参考になるだろうと思えた。そのまま採用するかは別として、全米の国際的な学会が無駄と認定した医療が並んでいるのだ。日本での適用を考えない手はないだろう。 

Choosing Wiselyがおもしろいのは、米国の医療界自身が動き始めたところだ。

患者にとっては、自らの診断、治療、予防の選択肢を考えるうえで役に立つ。国にとっても、保険者にとっても前述のように削減すべき医療を考えるための判断材料になる。企業にとっても、ヘルスケア事業を考案するうえで参考となるところが多々あるだろう。

医療界に関して言えば、自分で自分の首を絞めているようにも映る。治療法を選ぶという医師の裁量を狭めることにもつながりかねないからだ。それでも米国の学会が無駄撲滅に動き始めたのは、巡り巡って自分たちのためになると考えているからだろう。無駄なところにカネがつぎ込まれると自分たちが望むような必要な医療にカネが回らなくなる。医療界だって無駄な医療にカネがつぎ込まれていいわけはないのだ。

今、日本では、医療界が大きく揺れている。この4月、日本人間ドック学会が、血圧やコレステロールの新健康基準を発表して、話題をさらったのを記憶している方もいるだろう。

高血圧は従来、いわゆる上の血圧は140mmHg以上、下の血圧90mmHg以下という基準で判断されていた。ところが、日本人間ドック学会は、健康な人のデータを1万5000人分に基づいて、上の血圧は147mmHgまで、下の血圧は94mmHgまでは健康である可能性があると報告した。

この是非については触れないが、今、医療界から、必要な医療とは何かの議論が巻き起こっている。6月19日にも、日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会を含めた10学会が、治療指針を合同で作ると日本経済新聞で報道された。

米国の学会が無駄な医療を数え上げた動きを、日本も追いかけざるを得ない。Choosing Wiselyの全項目に目を通し、本の中で100項目に整理する中で私はそう確信している。


室井一辰(むろい・いっしん)
石川県金沢市生まれ。東京大学農学部獣医学課程修了。大手出版社を皮切りに、医学専門メディアや経営メディアなどで全国の病院や診療所、営利組織、公的組織などに関する記事を執筆している。海外取材も豊富で米国、欧州などの医療、バイオ技術の現場に関する取材経験がある。この6月に『絶対に受けたくない無駄な医療』という書籍を出した。

(出典:日経ビジネスオンライン)





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最終更新日  2014/06/24 04:56:38 AM
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