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「それでは皇子、早速していただきたいことが・・・」「なんだ?」「これを機に“王位継承”していただきたく存じます」この言葉に周囲もざわめく。「今やっても形だけにならないか?」「いえ、王位継承により、各ギルドも動き出すでしょう」「わかった。 大陸の平和のため、命を賭して戦う!」「うおおおぉおお、陛下ぁぁぁ!!」「一生、ついていきます」熱気と歓喜が入り乱れる。「で、これからどうする?」「では、援軍を連れてこようと思います」「なに?援軍だと?」「えぇ、来ないなら連れてくればいいんです」「なるほど、向こうの騒乱を鎮めて恩を売るんだな」「そういうことです。 オレはあそこにいる舎弟と“下限の月”に行ってきます」ガドロアはリューゴを指差して言う。「誰が舎弟じゃ、コラぁ!」叫ぶリューゴをスルーしながら、「後のことはお任せします」というと、リューゴを連れて出て行こうとする。その間際、ガドロアはバズルタに「悪いけど、こいつ借りるわ」「どうぞ、どーぞ」「なんだよ、その軽ぃあいさつは!」がやがやとようやく出て行く。「あいつは誰なんだ?」「私の班で預かっている者です。 あいつは信用できるやつだと思っています」「そうか、あいつは楔なんだな」そうつぶやくと、改めて口を開く。「援軍が来るまで、俺が留守を預かる。 誰か行ってくれねぇか?」「では、私のほうで手配いたします」イオが名乗り出ると、すぐさま指示を出す。「よし、頼むぞ」援軍要請部隊が各方面に向かった後、「敵はまた来ると思うか?」防衛軍副長・ジェイスに話しかける。「おそらくは・・・、陛下を誘き出そうとしてくるでしょう」「皆。外に出ず、内を堅く守るぞ!」ルタリアードの号令が、大きく城内に響いていく。
2010/12/26
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「では、皇子。攻め込む理由を聞かせていただきたいのですが・・・」「いつまた攻められるかわからねぇなら行くしかねぇだろ。 これ以上、戦禍を広げるもんじゃない」「・・・ですか、しかし今は大陸全土が戦禍に見舞われています。 こうなった以上、全体を見て行動しないと」ガドロアは続ける。「他に理由があったんじゃないですか?より強い理由が」口をつぐむルタリアードに別の質問をぶつける。「大戦が終わった後をどう考えていますか?」ルタリアードは少し目を開かせると、「今後か、あぁ今までずっと考えてきた・・・」そう言うと、少しずつ話していく。「どうすればいいのか、何ができるのか、 わからないなりに考え続けてた」「でも、今の俺に親父は越えられねぇ。 それだけはわかってる、だからこそ 自らの力だけで終わらせる必要があると思った」ルタリアードは前国王のような指揮力は未だなく、年上の統首達が指示に従ってくれるのか、という不安がある。ならば、自分たちですべてを終結させ、有無を言わせぬ状況を作る必要があると・・・。以前、親父は言った。「この大陸を統べるのは容易なことじゃない。 民のためになるのなら、仕組みを改めることも必要だ」「それはわかるが、少しは休めよ」「そうも言ってはおれんことぐらいわかるだろ?」「なら、“ロン族の村”の調査をさせてくれ。 はやいとこ整備して休んでもらうからな」「まったく、好きにしろ・・・」ルタリアードは国王の酷務をよく熟知している。だからと言って、後ろを向いて入られない。「自分の身を賭して国民を守らなきゃいけねぇ。 平和を取り戻すために!」一瞬しんとした後、「話し長くなって悪ぃな、お前はどう考える?」「オレは大陸が広すぎるなら、分散するしかないと思っていた」「ってことは・・・」しゃべりだしたルタリアードを止めると、「皇子は意志を止めて話を聞いてくれました。 だからオレも意思を変えてみようと思います」「・・・皇子の意志に助力させてください」その言葉に周りから歓声が湧き上がる。
2010/12/19
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「その出陣、待った!」声のほうを見ると、「ガドッッ」「誰だ、貴様は?」ルタリアードの問いに、「オレはガドロア、あんたが皇子だろ?」ルタリアードはガドロアの乱雑な言葉に眉をひそめるも、「ガドロア?」「前B・B軍大師ラーキバイドの息子、だそうです」「そんなヤツが何しにきやがった? 邪魔するってんなら、容赦はしねぇ」「敵とか味方とかいちいち説き伏せるつもりはねぇ。 オレはオレの最善策を執るだけだ」「気合十分なのはわかったが、 いったい何が言いたい?」ガドロアはしばらく沈黙した後、「無駄死にになるのは目に見えてる。 それでも行くなら、全力で止める!」周りがざわめきだす中、「全力・・・か、ならば見せてもらおうか」ルタリアードは言い終わるなり、先制攻撃を繰り出す。放たれた斬撃にガドロアは、氷の壁を作るが、次々と突き破られていく。ついにガドロアのところに迫ったかと思うと、わずかに頭上をかすめていった。「氷で軌道を変えたか、それなら」今度は一気に詰め寄り、直接攻撃を仕掛ける。ガドロアも落雷を起こして対抗する。「あくまで足止めに専念するか、いいだろう」ルタリアードは改めて構えなおすと、「死をも厭わぬ覚悟を思い知れ!」ものすごい威圧を纏ってガドロアに襲い掛かる。ガドロアはせわしなく詠唱を続けていると、「どうだ、もう観念しろっ」ルタリアードの言葉にガドロアは笑う。「これが、奥の手だ・・・。天変地異!!!」火・氷・風・雷の四種の魔法が辺りを覆い、それぞれの魔法がそれぞれの魔法を干渉していく。まもなく、四つの魔法が幾重と重なり、全ての攻撃を打ち消した。激しい砂埃が舞い、轟音が鳴り響く。次第に薄れていく中に二つの影が現れ始めた頃には、膠着状態が漂いはじめる。「全く、なんて術出しやがる。 あんな器用に魔力を調節できるモンなのか・・・? 完全に足止められちまったな」「ほんとに攻撃してくるとは・・・。 それに、まだまだ本気じゃないような・・・」ルタリアードは含み笑いをしながら、「そう思うか?まぁいい。話聞かせてくれ」
2010/12/11
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周りとは違う歓喜を上げるバズルタ。謎の軍団の先頭には一人の男が立っている。「なぁ、誰なんだよ?」「あれが、ルタリアード皇子だ」リューゴ達も驚きの声を上げる。「全然見つけられなかった割に、 いきなり堂々と出てきたな」「只今戻りました」「して戦況は?」「はっ、皇子・ルタリアードが現れました。 その他の援軍は、予想通り元国防軍のみです」「ついに現れたか、予定通り守りを固めよ」再び、マ=ドゥラヴァス。「皇子!今までどこに?」「ロン族の村にいたんだ」「ロン族?本当にあるんですか、そんな村が!?」皇子は経緯を語りだした。ロン族の村を発見したとき、この村でも争乱が起こっており、制圧に協力することで村に駐屯することが許された。このことは極秘に行われ、知る者は限られていた。そして王都襲撃の際、王都への道が塞がれ、復旧に今までかかってしまった、という。「さて、これからだが・・・」「おそらくこれ以上の援軍は望めないかと」「いや、俺の軍だけで進ませてもらう」周囲がドヨメキ立つ。「皇子!それは無謀です」皇子も引かない。「ここで足止めするわけにもいかねーだろ。 いい加減終わらせてやる」会話が続く中、リューゴはこそこそと話しかける。「ほんとに行く気か?」「こればっかりは止められねぇ・・・」「行ったって無駄死にじゃん」「でも皇子はめちゃくちゃ強いってうわさですよ」「俺には死に急いでるようにしか見えねぇが・・・」煮え切らない思いを胸に再び状況を見守ると、「しかし・・・皇子まで死んでしまっては」「心配するな、前線に出るのも悪くねぇ」いよいよ誰一人、ルタリアードを止められず戦陣への一歩を進めた瞬間、新たな緊張を乗せた声が響き渡る。「ちょっと待った!!!」
2010/12/05
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