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容疑者Xの献身東野圭吾文春文庫☆☆☆☆☆ 映画化され、しかもキャストを見て思わず手に取った。いや、あのキャラをあの二人が演じるのは、かなり楽しみだ。ま、年齢的に?ではあるけれど…。 ガリレオ先生こと湯川学と、警視庁の草薙、そして高校の数学教師石神は大学の同期。が、草薙と石神に在学中の面識はなかった。作中、湯川と石神がわけの分からない数学や物理の話題で盛り上がるのが楽しかった。また草薙にはぞんざいな態度をとる湯川が、石神にはいかにも誠実な友人といった態度で接しているのも湯川の石神への尊敬が現れているのだろうか。でもそれと同じくらいの敬意を石神から湯川への態度にも感じる。また、篠崎や瑞江といった、都営新宿線で所属アマオケの練習に通っている私には地名にも親しみを覚えた。そして、石神の友人靖子はなんだかなぁ…。所帯窶れした男を見る目のない元美人って感じで今ひとつ読んでいて楽しくないかも。 ストーリーというか事件自体は、結構メロドラマで「ホワイダニット」の点ではあんまり面白さを感じないが、その他の点ではかなり楽しめる。ただ、ここに書くとネタバレにしかならないので一切書けないのだが…。せいぜい、よく読むと細かな描写が読者のために色々手がかりを提示してくれているのだが、アホな私はトリックが全て明かされてから気付くことになる。そして本当に単純な一言でくくってしまえるのだが、なかなかそれに気付けない、という盲点をついてくる内容だ。 ちなみにテレビコマーシャルで言われているようなセンチメンタルな台詞は作中にはなかったぞ…。そういえば、北村一輝さんがあの役かな…?それに、正直、石神があんな人だったら、あんな不器用なことをせずとも、カノジョくらい見つけられたような気がするなぁ…。作中の石神だと結構納得なんだけど。
September 26, 2008
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禍家三津田信三光文社文庫☆☆☆☆☆ 祖母と新しい町に引っ越してきた棟像貢太郎は、この町に既視感を覚える。そして、新居やその他の場所で怖い目にあっているうちに、とんでもない事実を突き止める…。 その「怖い目」というのが、本当に読者にも臨場感を味あわせてくれる。この「怖さ」こそ私がこの著者にハマったきっかけだった。作中で前作の「ホラー作家の棲む家」のことがちょっと言及されているのも心憎い。さらに読者にはその怖さの正体について疑問を持つような描写も添えられているのも上手い。貢太郎が次々と怪異に襲われるところは本当に怖いのだが、その正体がはっきりしてくると、作者のその描写が生きてくるのだ。一人で読むにしても、蛇棺葬などのシリーズよりはマシかもしれないが、どのみち、怖がりの人は止めておいたほうがいいと思う。 結末まで、ホラーとミステリがイイ感じで融合した作品だと思う。
September 23, 2008
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高千穂伝説殺人事件内田康夫角川文庫☆☆☆☆☆*ネタバレになりそうな箇所は文字色が背景色になっています。 旅行に行きたくなって借りてきた本。初版は昭和61年なので今とは隔世の感もあったりする。西九州の大分・宮崎両県は開発から遅れた…なんて記述があったが、ふと某県知事を思い浮かべてしまった。 ある日、お見合いを兼ねて(?)新進の女性バイオリニストのコンサートに、彼女の父親から招かれた浅見。その父親に娘をよろしく頼むといわれる。そして、その父親が失踪してしまい、その捜査を依頼されるが、それを警察になかなかいえないまま、殺人事件に巻き込まれる。とはいえいつもの「あなたのお兄様は…!!」というのがあるので、警察の協力は最終的に得られる。 いつものパターンなのだが、今回は最後にどんでん返しがあったし、ミッシングリンクも見つかり面白かった。今回のヒロインが最後になって、浅見の足を引っ張るような感じがして鬱陶しくなってしまったものの、高千穂という地名があるように、古墳の記述や様子など割と私の好みの内容だった。
September 21, 2008
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QED神器封殺高田崇史講談社ノベルス☆☆☆☆☆◎ 前作「熊野残照」の終了部分から話が始まる。和歌山市の大病院のオーナーが猟奇的な手段で殺されて、それをタタルが解決する…という話だが、著者の別シリーズの主人公がここで初登場する。この別シリーズ読んでみたかったのだが、まずはQEDで出てきてから手を出そうと思っていたのだ。 こちらは前作よりももっと視点が広くなる。また縄文人と弥生人のメンタリティの違いに関する考察も面白い。これを踏まえて彼らの犬の扱い方を思い出すと、なるほど…と思わないでもない。私、特に犬好きだし。この作品に出てきた神社も行ってみたくなった。特に淡路島の神社だな。淡路島、行ったことないし。また、初登場の毒草師と病院の内科医(と書くと我ながらちょっと別の気分になるな…)のやりとりが結構好き。この内科医、別シリーズに顔出してるといいけど、多分出してないか。また、この小説の根幹になるあることは著者が事実をぼかしている。興味はあるが、調べ方が分からない。まあ知らなくても別にいいか。 にしても、タタルに奈々にその妹にタタルのダチ…こいつら飲みすぎ。かなり飲酒量の描写が凄いのだが、よく頭がボケないで議論できるものだと思う。ちょっとウラヤマシイけれど。
September 14, 2008
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QED~ventus~熊野の残照高田崇史講談社ノベルス☆☆☆☆◎ この本とシリーズその後の神器封殺はワンセット。そのせいで、この熊野では殺人事件は起こらない。それにこの時代にそんなんアリかよって裏設定も出てくる。ただ、幸いなことに主人公の棚旗奈々をあまり鬱陶しく感じなかった。 私も熊野には何年か前に行き、那智→新宮→本宮と回ったが、実は逆にまわるのが正しい順序でしかもその前に和歌山市内の日前神宮と国懸神宮(「国」の字は本当は旧字体)にお参りしてからまわるのが正しいそうだ。そんなこと知らなかったよ~。また、この作品自体私が熊野に行ってから何年かして刊行されているので、徐福公園なんかは記憶と違っていた。多分、私が道に迷って違う場所に踏み込んでいたわけではないと思う。そういえば、神社巡りが主だから、登場人物たちは新宮の浮島には行ってない。また私も補陀落渡海の船も補陀落山寺で見てきたが、船よりも近所のお家にいたレッドテールキャット(熱帯魚)の方が印象に残ってるし。(このお魚見てて、思いっきり、近所の人に怪しまれたのだ)ただ、(タタルの説明によると)これほど因縁の残っている神社だとは思っていなかった。そういえば、湯の峰温泉も行きたかったなあ…。水着姿で川の中の温泉に入っている人々が本宮へ向かうバスから見えたのだ。小栗判官の話も新宮の本屋で漫画を買って知った。作者の熊野参拝のためのルートの選択のしかたに対する解釈もなるほどという感じだ。 フィクションとはいえ旅行記を読みながら、熊野三宮の解釈を読んでいると、学術書だととっつき難い内容も割と気軽に読んでしまえるのがいい。また八咫烏や猿田彦に対する解釈も面白かった。 これを読んでいて、熊野まではタイヘンだが、和歌山の日前神宮と国懸神社(道成寺と紀三井寺も込みで)に行ってみたくなった。
September 13, 2008
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慟哭貫井徳郎創元推理文庫☆☆☆☆☆これも感想を書く途中でネタバレになりかねない箇所は全て背景と同色の文字色にしてありますが、それでも、勘のいい方は気付くかもしれませんので、あしからず。 幼女連続殺人事件に新興宗教。文庫判初版が1999年、単行本は1993年くらいだと思われる。幼女連続殺人事件がちょうど巷間を賑わせた少し後くらいだ。執筆していた時が丁度その直後くらいなのかもしれないし、違うかもしれない。そして、日本が大騒ぎになった新興宗教の事件はこれより少し後くらいだろうか。 著者の仕掛けた大きな著述トリックが全編を支配しており、私はそれに(いつものように)見事に引っ掛かったが、これはかなり本格ミステリにスレた読者じゃないと気付かないんじゃないかと思う。ただ、著者の仕掛けはきっちり事前に読者にオープンにされているが、私がその仕掛けを後で思い出せるくらいだった。もしかしたら、勘のいい読者はその時点で気付くかも。 孤高の捜査1課長と捜1の刑事丘本、ジャーナリストの須藤あたりがいい味出している。また、警察の捜査場面と新興宗教へのめりこんでいく男の様子が並行して描かれるが、どちらも現実味がある。もう初版が出版されてから15年くらい経ち、パソコンや携帯電話もこの作中の時代の後、爆発に普及しているが、そんな世情の変化も気にならなかった。 この著者の明治時代を描いたミステリに一番興味があったのだが、行き着けの図書館全てになく、目に付いた本を借りてきたのだが、これは検索して取り寄せて気になっていた本も読もう。
September 11, 2008
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貫井徳郎東京創元社 四六上製☆☆☆☆☆◎ ずっと気になっていた著者。本当は別の作品が読みたかったのだが、お試しに借りてみた。 突然妻に自殺された警官、迫水は警察を辞めて、その理由を追ううちにとんでもない事実に行き当たってしまう…。彼女の友人や職場を紹介した男に話を聞いていく過程は足を使った犯罪捜査とあまり変わりない。元警官だけあって、友人の紹介でマル暴の刑事紹介してもらったりもしている。 実は、なんとな~く最終結論は途中で分かってくる。しかし、ストーリーの結末がどう転ぶのかは分からなかったし、作者にもミスリードされてしまう。内容がしっかりしている割に一日で読めてしまった。 また「迷宮遡行」はこの作品のリメイクだそうだ。幸い、こちらを先に読み、図書館で「迷宮遡行」をちらっと拾い読みしたが、随分展開も変わっていそうだ。近いうちにこちらも読もう。 以前にもっと軽い短編集を読んだことがあるのだが、こちらの方がずっと楽しめた。他の作品も読んでみよう。
September 9, 2008
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