生きて帰るんだぞ
鯉のぼりが爽やかな風に気持ちよく泳ぐある日、お市がちびをあやしています。ちびも元気になりました。平原が村瀬に出かけてくると言います。新田、相良も一緒なのかと聞きますともう出かけた、秋月はおきたと思ったらもう留守だと言います。村瀬が、平原に今日は村山座の初日だったな、と言いますと、「さあ、そうだったかな」と言った平原の顔つきから、村瀬は何かを察したようです・・平原の考えていることを見抜いたのです。
村瀬は、平原に「勝川さんは、相手の罠にかかるなと申された」と、「だから俺は村山座からほど遠い品川まで出てくるんだ」と言って出かけて行きます。様子がおかしいと思った村瀬も染吉に会ってくると出かけます。
その染吉のところへ、加賀見勘太夫が村山座の芝居に松平帯刀のお伴をするよう来ましたが、染吉は勝川への義理立てで断ります。聞いていた女将のおとよが、染吉に意見をします。
義理立てを悪いとは言わないが、勝川を一生甲府で渦もらせ、仲間の人達や村山又三郎にも迷惑をかけている。辰巳の芸者として、勝川のために体をはったっていい、支度をして帯刀のお伴をしなさいと言われ、染吉は決心をするのです。
鬼神組の貝塚五郎次が又三郎の楽屋にやって来ます。鬼神組が送った引き幕を何故使わない、直ぐに変えろと言いますが開幕が差し迫っているのでと断ります。満員の客席の一階には鬼神組が、二階には帯刀、間部老人らが来ています。そこへ、加賀見が染吉は来ないと、貝塚が引き幕は買えないと、言うことを聞いた帯刀は憤慨し、手筈通りにやれと命じます。
一階の客席に頬かむりをした秋月、新田、相良の顔が見えます
。木の音が鳴り始まろうとした時、貝塚が花道から現れ、鬼神組に指示を与えます。一人で来ていた平原が動きます。
鬼神組の者が開幕を止めるように言っているところへ、百姓に扮装した平原が来て、花道の方へ投げ飛ばします。客席は何事かと、秋月達もどうしたのだ、という顔つきでいます。
次の瞬間、幕の内側から出て来た平原を見て、「 平原さんだ」と出て行こうとする新田と相良を秋月が「まて、まだ出る幕じゃない
」と制します。
が、鬼神組が一斉に刀を抜いたのを見て、秋月が傍にいた客多左衛門の 弁当の握り飯を鬼神組の一人に投げつけ何もしていないような素振りを見せています
。客席は大喜びです。
(橋蔵さまは、このようなとぼけた顔がまたいいのです)
そこへ頬かむりをし鳶の半纏を着た村瀬が花道に上がって啖呵をきります。秋月達もびっくり。平原、村瀬、秋月達はそれぞれに同じ目的で来ていたのです。
帯刀の斬ってしまえというと村瀬がこれだけの人の目がある中、御上に知れたらただじゃすまない、と脅します 。 (
立回りになります )
多左衛門は秋月に握り飯を投げろと渡そうとします
。
秋月「 かたじけないが、 (
二の腕を叩いて )
これがござる
」
と言い、 秋月が「おう」と声をかけますと
村瀬も平原も、来ていたのかという明るい顔をします。
間部老人は、又と言うときがあると帯刀をさとし、芝居小屋を出ます。染吉が小屋から出て来た帯刀を見て先ほどの無礼を詫びますと、参れと言い連れて行きます。
その夜、相模屋太兵衛が平原達のところへやって来ました。帯刀のところへ出かけたまま帰らないので心配していたところ、日暮れに帯刀の使いが来て、染吉は預かっている、勝川一味の者が挨拶に来なければ返さないし生かしておかないと言ってきたというのです。
そのことを聞いて、村瀬、新田、相良が行くというのを平原が止めます。
村瀬にはちびがいる、相良には老い先短い母親がいる、新田には両親が健在だという理由で行くのはダメだと言うのです。
そこで秋月が嬉しそうな顔で
秋月「 そうなると、俺だな。俺には両親もなければ、子供もない
」と言って立とうとしたとき、
平原「黙れ。その代わり、貴様には俺という兄貴分がある」
秋月「 しかし
・・」
平原「うるさい」
二人は睨みあっていますと、おいちが、私でよろしければと言いますが、平原は断り、どんな辱めを受けようと、何日かかろうと染吉は助け出してみせると言い、皆に帰ってくるまで自重して帰りを待っていてくれ、と言います。声をかけます。
平原は、台所に行きおせん茶屋の酒徳利を口に運び飲み、無邪気なちびに出かけると声をかけます。
玄関先で、皆が見送ります。村瀬が声をかけます。
村瀬「我々は、お主が無事に信ずればこそ、一人で行かせるのだ。・・このことだ
けはわすれるなよ」
平原は「わかったわかった、わかってるよ」
と行きかけた時、秋月も声をかけます。
秋月「 おい、平原
」
平原が振り向きます。
秋月「 生きて帰るんだぞ・
・どんなことがあろうとも、一命を全うして」
平原「やめろ。女々しいぞ」
強い言葉で言い、帯刀邸に出かけて行く平原に、村瀬、秋月達は不安を覚えるのです。
続きます。
水戸黄門・・・(6) 2023年11月28日
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