牛久の宿場にいる道満のところでは、速水周平が道満の門を離れたいと言うと、道満は餞別に戸田流音無しの太刀を授けるといい立ち合い討たれてしまいます。
場面はかわり・・・・江戸。
雨の中を旅姿で次郎吉が我が家へ帰ってきます。ずぶ濡れになった次郎吉は 玄関を入るなり、お悦を呼びます
。
次郎吉の声を聞き、玄関先へ飛んで行ったお悦の声には嬉しさが溢れています。そして 世話を焼くお悦でしたが
、次の瞬間冷静になったのか、「 お前さん
」と言い次郎吉を睨めつけます。
次郎吉「ええ ?
・・・あっ、そうだ、・・・おめえどうしたんだよお、・・迷子に
なったんじゃねえかと心配したぜえ。 ・・まあ、なんにしても、無事に
江戸へけえれて、よかったよ、よかった、よっ。・・・おれは本当に心配
したぜえ」
お悦 「ほんと ?
」
次郎吉「本当だともよ」
その言葉を聞いてお悦は「まあー」と言い次郎吉によろうとしましたが、
お悦 「だめだめ、そんな甘いこと言って、もう二度とお前さんと 口を利かないつ
もりで帰って来たんだから
」
そう言ってそっぽを向き、次郎吉が謝り慰めてくるだろうと ほくそ笑むお悦でしたが
、お悦のその様子を見逃さない次郎吉の方が上手でした。
次郎吉「そうかい、そいつはありがてえや、お蔭で当分静かになれりゃ・・」
と言いい、次郎吉は火鉢のところに座り 煙草に火をつけます
。
「まあ、憎らしい」と言い、お悦は次郎吉のそばに行き、濡れている着物を見て
お悦 「 お前さん、 何か着なくちゃ風邪ひくじゃないかあ
」
それに対して次郎吉は、指を口に持っていき 口を利かない仕草をして見せます
。
お悦は、次郎吉に半纏をかけ、 もう口を利いてやらない
と言いながらかいがいしくするのです。
次郎吉が二階でする音に気づきます。
次郎吉「 二階に誰かいるのか
?
」
「覗いちゃだめ」といわれ、「何だってんだい」と不機嫌になる次郎吉。
車坂の井上先生のお客様で、江戸にいる間部屋を貸してやってくれと、大家さんからの口利きだ、というのです。何やかやと話してくるお悦に、
次郎吉「お前、口きかねえにしちゃ、 よくしゃべるなあ
」
お悦は次郎吉にメロメロ
なのです。 その二階に部屋を借りていたのは、島田虎之助と佳永です。
道満が江戸に向かって動き出し、左近は妹斐姫と一緒に井上傳兵衛道場にやって来ます。斐姫は井上道場の門下生には歯が立たないほどの腕前です。そこに左近が来ていることを知らず、虎之助がやって来ます。
井上道場からの知らせは、虎之助が出かけた後に届きました。佳永は井上道場に出かけて行きます。井上道場からの使いが来て涙ぐんで出かけて行った佳永の様子がおかしいと、お悦はちょうど 帰って来た次郎吉に話します
。次郎吉は井上道場に様子を見に走って行きます。
その井上道場ではその頃、斐姫と勝負をと木の葉一刀流の田島虎之助がやって来ました。井上傳衛門と左近は、虎之助の構えが尋常でないことを見抜きます。斐姫が踏み込むと竹刀が左近めがけて飛んでいきます。それを手ではじいた左近、じっと左近を見据える虎之助。左近は、虎之助に「余に挑戦いたすきか」と。左近は「余の目は節穴ではない」、虎之助「お立会いくださるか」できれば真剣でという虎之助。 次郎吉がその様子を見ています
。
二人が真剣を抜いたとき、「お待ちくださいまし」必死に駆け込んできた佳永は二人の前に身を投げ出して嘆願します。
道場を後にしだ虎之助と佳永の姿がありました。仇を前にして止めた佳永の思いをくみ取ってはくれない虎之助に必死に縋りつく佳永・・・そのとき、次郎吉が見かねて声をかけます。
次郎吉「 旦那
、・・・もう、お嬢様を 許しておあげなさいましな
」
虎之助「何 ?
」
次郎吉「息のつまるような、旦那と本田の殿様の間へ、止めてくれ、と飛び込ん
だ・・お嬢様の気持ちも察しておあげなさいましなあ・・・そういっ
ちゃ何だが、 剣術なんかに打ち込んでなさるお武家は
、娘心なんてえ
ものを、 さっぱりご存知ねえ
」
次郎吉にそう言われ、二人は顔を見合わせます、佳永が恥じらいをみせます。
(
その二人の様子がどのようであるかは、 次郎吉の顔を見れば・・・ね
。 )
次郎吉「それに、旦那が左近を斬らなくたって、ものすげえのがあの白装束をね
らってまさあ」
虎之助「 お前はいったい何者だ
」
次郎吉「 ええっ
?
まだ あっしをご存知ねえんですかい・
・旦那の宿のさ、 お悦の
亭主ですよお
」
虎之助も佳永もびっくりします。
そう言って二人のびっくりした様子を見て 笑い溜息を大きくつくと
、
次郎吉「 じゃあ
、ごめんなすって」
と去って行くのです。
続きます。
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