ゲミュートリッヒな暮らし~Seit 2005

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2018.05.12
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カテゴリ: 文化・芸術

今年は オーストリア=ハンガリー帝国 崩壊から百年になる。その性か、かつての ハプスブルク帝国 の遺物をじっくり味わうようにしている。デメルのチョコ、ニューイヤーコンサートのCD(≒シュトラウス一族のワルツとか)、高校時代によく聴いたマーラーやブルックナーのCDなどなど。本もいろいろ読ませていただいた。ハプスブルク文化史や、皇妃エリザベートの伝記とか。

 19世紀末、オーストリア臣民がワルツに熱中してたころ、帝国は明らかに斜陽を迎えていた。時代背景を見ればみるほど、当時の皇帝フランツ・ヨーゼフの気の毒な生涯が浮かび上がってくる。
 対イタリア戦争の敗北、普墺戦争の完敗、第一次大戦初戦の敗北・・・帝国に降りかかる不幸ばかりではない。皇帝一家も不幸に見舞われた。

1.弟→メキシコにて銃殺

3.皇后→無政府主義者によって暗殺
4.甥(後継者)→サラエボにて暗殺


 並みの人間なら精神的に参ってしまう。ところが、フランツ・ヨーゼフは驚異的に我慢強い人物だったようだ。若い頃、自らもテロリストに襲われ重傷を負ったことがあったが、かといって誰かを憎むこともなく、「余もこれで我が軍の兵士の一人になれたような気がする。余は幸福である。」と語ったという。
 ここまでくると、半分マゾが入ってるんじゃないかと思ってしまうが、とにかく打たれ強い性格だったのだろう。この我慢強さは結婚生活でも遺憾なく発揮された。様々な伝説を遺しただが、姑との不毛な争い、エリザベート自身の奔放な性格~並みの男なら逃げ出したくなるような事態でも、彼は耐え抜いた。エリザベートを頑なに愛しつつも、彼女の人間とやらを理解し、大幅な行動の自由を許したのは、不器用な彼なりの愛情表現だったのかも知れない。皮肉なことに、彼が許した行動の自由が仇となり、皇妃はあっさり殺されてしまった。



エリザベートの生涯は宝塚の定番に・・・


 しまいに後継者までが殺され、世論の激高を抑えきれず、運命の世界大戦に突入することになるのだが、この時は各民族ともに銃を取って皇帝の馬前に馳せ参じた。それなりに統一国家の体は成していたのである。彼は、帝国の行く末を案じながら1916年に崩御した。歴史に「もし」は無いが、もし1918年時点で彼が健在であれば、あれほど惨めな帝国崩壊は無かったかも知れない。ある程度の分離独立は避けられないとしても、ドイツ系臣民が自らのアイデンティティーを喪失するようなぶざまな末期は起きなかったであろう。

フランツ・ヨーゼフの在位中、帝都は ウィーン世紀末 といわれる文化的絶頂を迎えた。城壁を取払い、中世の城郭都市から国際的な文化都市に変貌させたのである。彼は芸術の鑑識眼が特別ある訳でなく、音痴でもあったそうだが、芸術の類に属するものは庇護を惜しまず、それらの行事のたぐいにはマメに顔を出すのであった。また、ユダヤ人に対しても寛大な姿勢を貫き、このことがさらなる文化的興隆を後押しする。一例を挙げれば マーラー の活躍でクラシック音楽は絶頂を迎えたと言っていい。



もう20年以上聴いてるマーラーのCD

皇帝の隠れた善意や日々の行動の積み重ねが、後世にとってかけがえのない文化的遺産を残すことになった。おかげで拙者も当時の文化をこうして愉しめる訳である。
 逆境に抗いながら、常に寛容と忍耐で貫かれた彼の輝ける生涯に敬意を表し、乾杯でもするとしよう!





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最終更新日  2018.05.12 17:45:57


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