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給食牛乳112パック持ち帰った教諭 停職1カ月は重いか 兵庫県たつの市の知的障がいを持つ生徒が通う県立西はりま特別支援学校の女性教諭(42)が給食で、余分に発注した牛乳とパンを生徒に与えずに自宅に持ち帰っていたとして、停職1カ月の懲戒処分を受けた。 教諭は理由を「病弱な自分の子どもに飲ませていた」などと説明しているとされたため、ネット上の一部で同情の声も上がったが、生徒用として余分に発注したものを持ち帰っていたという。 ネット上では「セコ過ぎる」「横領じゃないか」などといった批判が起きている。 代金約6200円は弁償 兵庫県教育委員会にJ-CASTニュースが2016年10月26日に取材したところによれば、この教諭は16年4月から7月にかけて給食で出された200ミリリットル入りの牛乳パック計112パックとパン4個を生徒に与えず自宅に持って帰った。 その「手口」は、教諭が担当しているクラスには牛乳が飲めない生徒が2人いて、うち一人は全く飲めなかったため、牛乳が出された日に1パックを、計56パック持ち帰った。 もう一人は牛乳をゼリー状にしたものは受け付けるためそれを与えていたが、教諭はこの生徒に「飲む練習をさせるため」とし、ゼリー状のものに加え1パックを余計に給食室に発注し、その牛乳を生徒に飲ませることなく自宅に持って帰った。 それが56パックで計112パックになった。 また、月に1回パンが出る日があり、教諭は給食室に行き「生徒がお代わりを欲しがっている」とし、余分のパンをもらい、それを自宅に持ち帰った。 この教諭が7月にエプロンのポケットに牛乳を入れるのを同僚が見つけ不正が発覚した。 教諭は牛乳とパンの代金約6200円を弁償した。 なぜこんなことをしたのかについて、「給食は安全な食べ物を出しているため」「病弱な自分の子どもに飲ませていた」などと語っているというが、教育委員会の担当者は教諭が語った不正の理由について、「あくまで本人の供述ですから・・・」と困惑気味だった。 教諭は自分が食べ残した給食は持って帰る習慣があり、今年4月からこのクラスの担当になったのをきっかけに、「自分が食べ残しを持って帰る延長線上、『軽い気持ち』でやっていたのだろうと考えます。しかし、こうした行為は悪質であり、重い停職処分にしました」 と説明した。 給食では、過去にもたびたび事件が... ネットではこのニュースが流れた当初は、貧しい教諭が給食の余り物を病弱な子供に持って帰った、という同情も起きたが、実際の手口などが分かると、 「業務上横領じゃないのか? 犯罪者は子供に学問を教える資格なし」 「学校の子供も自分の子供もどっちもダシに使うのが最悪」 「ケチって恥ずかしいな」 などといった激しい批判に変わった。 給食に関する「事件」は、過去にもたびたび報じられている。 東京学芸大(東京都小金井市)の付属学校2校では、女性栄養教諭が11年度から4年間にわたり、牛乳や卵、野菜など給食食材をわざと多めに発注し約170万円分の食材を持ち帰り「自分で食べた」というもの。 学芸大は15年9月3日、教諭を懲戒解雇し、校長2人を訓告と厳重注意にしたと発表している。 また、12年12月には兵庫県西宮市立の8か所の保育所で、「捨てるのはもったいない」という理由から、調理員が休んだ子どもの給食を食べていたことが発覚した。 J-CASTニュースが16年10月26日に西宮市に取材したところ、「現在は調理員の食べる分は保育所で出すものと別に作っていて、食べた人がその代金を払うという形になっています」と説明している。 【J CastNews http://www.j-cast.com/2016/10/26281834.html?p=all】 学校給食の牛乳を持ち帰り停職処分に(写真はイメージ) 余計に貰って持ち帰るのはどうかとも思えても食べ残して余った食材を処分している現状もあり、勿体ないと感じるこうした余った食材の有効利用法を、逆に考えてゆくことも大事ですね。🌠
2016.10.31
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特別支援学級で道徳公開授業 物を借りるときの約束事東京都教委の平成28年度情報モラル推進校に指定されている文京区立湯島小学校(原香織校長、児童301人)で9月29日、特別支援学級での道徳の公開授業が行われた。ICT機器を活用しつつ、情報モラル教育の要素も取り入れて、児童らは「人から物を借りるときの約束」や著作権を学んだ。授業者は、同校の松林慶樹教諭。研究主題に「主体的に判断し、よりよく情報を活用する児童の育成」を掲げ、特別支援学級の3、4年生が学習に取り組んだ。同教諭はまず、アニメ教材を電子黒板に再生。主人公が隣席の級友のクレヨンを断りなく使い、級友を怒らせてしまうストーリー。視聴後、なぜ級友が怒ったのかを児童らに考えさせ、「借りてよいか聞いてから借りるべき」と気付かせた。続いて児童らに、視聴したのと同じ場面を再現。絵に色塗りをしながら、色鉛筆を隣の友達から借りる状況を、同教諭がうまく促し、自然に作り出した。すると児童らは、早速、ペアになった友達に「貸して」と言葉に発して頼み、物を借りるときの約束事を実践していた。授業の後半では、その絵を使って著作権を説明。有名漫画のキャラクターを児童らに見せ、「みんなの絵にこのキャラクターが使われたら、このキャラクターを作った人はどんな気持ちになるかな?」と尋ねた。児童に考えさせた後、他人の作品には著作権があると教えた。授業後に開かれた研究協議会で松林教諭は「特別支援学級の児童に情報モラルをどう教えるか、非常に悩んだ。特に著作権は複雑なので、作った人の気持ちを考えようという設定にした。踏み込んだ内容だが、児童からは自分で考えた自由な意見が出てきたので、楽しみながら学べたのだと思う」と振り返った。その上で、「特別支援学級なので、日々の授業でも楽しませながら、子供たちの力を増していければ」と話した。【教育新聞 https://www.kyobun.co.jp/news/20160930_05/】楽しんで子供たちが力を増していける授業が理想的ですね。🌠
2016.10.30
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「おかしくなんかない」自閉症の兄をからかわれた6歳の少女が書いた手紙が心に響く 6歳の女の子が兄を思う気持ち、そしてその訴えが多くの人々の心を動かしている。 それは、英国に住むソフィー・カミッレーリさんの6歳になる娘、レックスちゃんが書いた手紙だ。 自閉症の兄を「おかしい」と… 先日学校で、レックスちゃんを動揺させる出来事があった。 あるクラスメイトの女の子に、「あなたのお兄さんはおかしい」と言われたのだ。レックスちゃんの兄は自閉症ではある。 しかし彼女は兄のことを「おかしい」などと思ったことはなく、「お兄ちゃんはおかしくなんかない。自閉症なの」と反論したそう。 しかし相手の子は「自閉症」の意味がわからない様子だったという。 障害について知ってもらいたい これを受けレックスちゃんは、「友達にも自閉症について知ってもらいたい」と思い、自身が通う学校に宛て手紙をしたためた。 その手紙がこちら▼ これは母ソフィーさんがフェイスブックで公開したものだ。 投稿によると、レックスちゃんは今回の出来事にかなり動揺していたが、次回の学校評議会の席で、「学校での障害についての認知」について話し合いたいと思いつき、この様な手紙を書き提出したという。 障害者にも対等に接して 手紙の内容は以下のとおり。 わたしはクラスメイトにお兄ちゃんのことを「おかしい」と言われ、とてもかなしかったです。 お兄ちゃんは自閉症なだけで、おかしくはありません。 障害のことがわかれば、みんなも自分たちとはちがう人がいることに気づくはずです。 ちがっていても、同じように仲よくしなければいけないということも。 Sophie Camilleri/Facebookより引用 母ソフィーさんは、「レックスがこの様な考えを持っていること、そして障害者に対し、他の子どもが抱いている認識を変えたいと思っていることを誇りに思う」と述べている。 また、「彼女はわずか6歳にして、既に評議員の一員として、この思いを実現させたいと言っています」とも。 くだんの投稿には2万5千の人が「いいね!」などし、シェア数も3万件に迫る勢いだ。 しっかり者で頼もしいレックスちゃんに対し、「お兄さんへの愛があふれた言葉が胸に刺さる」「素晴らしい」「彼女にはこれからも思ったとおりの道を進んでもらいたい」「わずか6歳で…立派です」といった称賛の声が続出している。 【irorio http://irorio.jp/sousuke/20161025/359368/】 わずか6歳でこの文章力、大人でもなかなか書けるものではありません。 兄弟がどうしても背負ってしまう部分を、逆に親としては考えさせられる記事でしたね。🌠220万アクセス達成しております。いつもご訪問にコメント感謝です。
2016.10.29
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自閉症児支援品で受賞 あざみ野の(株)古林(こばやし)療育技術研究所(古林紀哉代表)が開発した自閉症児の生活支援グッズが、2016年度のグッドデザイン賞を受賞した。作品は明日10月28日(金)から11月3日(祝)まで、東京ミッドタウン=東京都港区=で展示される。◇ ◇ グッドデザイン賞は、(公財)日本デザイン振興会が主催する総合的なデザインの推奨制度。よいデザインの指標となる「Gマーク」をつけることが認められる。 同社が開発したのは「コバリテ視覚支援スタートキット」。優先順位をつけて行動することが苦手な自閉症の子どものために、予定を視覚化する「見て動かすスケジュール表」だ。スケジュールボードと「起きる」「学校」など文字と絵が描かれた絵カード、磁石でボードに貼りつけるカードフォルダー等をセットにしたもの。日や週単位の予定をボードに並べ、終わったものを自分で外していくことで行動の見通しが立ち、子ども自身が不安なく過ごせるようにすることが目的だ。経験から商品化 古林代表は、重度の自閉症で話すことができない三男(15)とコミュニケーションをとるために、息子が8歳の頃から妻とともに絵カードを手作りしてきた。古林代表の息子も優先順位をつけるのが難しく、やりたいこと以外のことが起きると癇癪やパニックを起こしていたといい、そこでスケジュール表の重要性に気付いたという。「順番を見せてあげると、その通りに行動できるようになった」。これらの経験をもとに試作を重ね、工業デザイナーとともに昨年開発、商品化した。自閉症児を持つ多くの家庭でこれらのグッズは手作りされているが、使い勝手が難しく、うまく活用できていないケースも多いという。古林代表は「予定終了後にカードを外すことが確認の意味で重要なので、外しやすさも工夫した。8年間手作りしてきたノウハウを詰め込んだ。今後はサイズを大きくして、学校の黒板でも使えるようなものを作りたい」と話す。製品の詳細は【URL】http://www.kobarite.co.jp/。【タウンニュース青葉区版 http://www.townnews.co.jp/0101/2016/10/27/354662.html】製品を手に笑顔の古林さんアップが遅れて既にイベントは終わっていますが、我が子を想う親の愛情からの取り組み、何よりわかりやすく、実用的なのでしょうね。🌠
2016.10.28
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自閉症の少年が国際数学オリンピックを目指す「僕と世界の方程式」が公開「ヒューゴの不思議な発明」のエイサ・バターフィールドが主演を務める「僕と世界の方程式」の公開が決定し、ポスタービジュアルが解禁された。本作の主人公は、他人とのコミュニケーションが苦手な自閉症スペクトラムの少年ネイサン。数学の理解力に関しては飛び抜けた才能を持つ彼が、国際数学オリンピック英国代表チームの一員に選ばれ、成長していくさまを描く。ティム・バートン最新作「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」にも出演しているバターフィールドがネイサンに扮し、ネイサンと惹かれ合う中国代表チームの少女をジョー・ヤンが演じる。そのほかの出演者には、「パディントン」のサリー・ホーキンス、「マネー・ショート 華麗なる大逆転」のレイフ・スポール、「おみおくりの作法」のエディ・マーサンが並ぶ。監督を務めたモーガン・マシューズは、本作で長編劇映画デビュー。マシューズが製作したテレビドキュメンタリー「Beautiful Young Minds(原題)」で扱った神経発達障害を持つ児童の記録をもとに本作が作られている。「僕と世界の方程式」は2017年1月28日より、東京・YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて公開。【映画ナタリー http://natalie.mu/eiga/news/206800】自閉症題材での、久しぶりの洋画作品、上映が楽しみですね。🌠3000件目の日記です。いつもご訪問にコメント感謝です。
2016.10.27
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11月5日、発達障害支援の研究者が集結!最新の研究成果と療育・支援の未来を語るシンポジウム発達障害支援の研究は日進月歩。最新の研究はどうなっているの?発達障害の原因や治療法、支援技術に関する研究は、世界各地、様々な分野の専門家が取り組んでいる領域です。 私たちが日常生活するなかでも、メディアに掲載されるニュースなどを通して、その研究成果の一部にふれることがあります。 実際に発達障害のある子どもを育てている保護者や、その周辺の支援者にとって、最新の研究成果は今と未来の生活にどのような影響をおよぼすのでしょうか?そんな疑問に応えるシンポジウムのお知らせです。11月5日、「うちの子、少し違うかも・・・~発達障害に対する適切な療育・支援のための研究開発~」と題されたシンポジウムが、東京都江東区青梅にある、日本科学未来館にて開催されます。 主催団体である「社会技術研究開発センター(RISTEX)」からいただいたシンポジウムの概要をご紹介します。ご興味のある方はぜひ参加してみてください。【Woman. excite. http://woman.excite.co.jp/article/child/rid_Hnavi_35025879/】RISTEXhttp://ristex.jst.go.jp/info/event/pasother/scienceagora2016.htmlhttp://ristex.jst.go.jp/info/event/pdf/info/event/leaf.pdfとても有意義なシンポジウム、時間があれば概要だけでも伺いたいものですね。🌠
2016.10.26
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テイクオフ:オーストラリアは自閉症…オーストラリアは自閉症など障害を持つ子どもを囲む環境が、例えば日本などに比べたら整っていると思う。日本にダウン症の子どもを持つ友人がいるが、最近日本に帰国した際、障害児を抱える親たちは、子どもに罪はないのに「隠さないと」という大人社会のストレスに苦しむ実情を聞いた。自分の子どもの通う地元小学校には、障害を持つ児童用の特別支援クラスがある。普段は常にクラスメートが彼らのトイレなどに付き添い、手伝いが必要な仲間には手を貸すものという意識が育っている気がする。ここにも差別は存在するが、日本は依然として異質なものに対する排除感覚が大きいのだろう。友人はその風潮を変えたいと、障害児を抱えるファミリーが太陽の下で集まれるイベントを自ら来月開催するが、こうした小さな試みが日本社会を動かしていってほしいと願う。【NNN ASIA http://www.nna.jp/articles/show/1524031】他国から見た日本の異質なものに対する排除感覚、一旦、日本から出てみて初めて感じるものかもしれないです。🌠
2016.10.25
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誰も抱きしめられなかった自閉症の少年がサービスドッグと初めて交流 嗚咽をこらえる母親の姿が感動的 日本に住むアメリカ人一家が、2年間待ち続けて出会いました。5歳のカイノア・ニーハウス君は、自閉症による感覚過敏のため母親でさえ自由に抱きしめることができませんでした。しかしアメリカのオハイオ州にあるNPO法人「4 Paws for Ability」でサービスドッグ「トルネード」に出会い、はじめて家族以外と交流を持つことに成功。これを捉えた写真を「経験したことのない瞬間」と母親のシャナさんがシェアしました。 シェアされた画像(画像は4 Paws for AbilityのFacebookより) 4 Paws for Abilityは世界中の子どもたちにサービスドッグを提供している団体。日本に住むニーハウスさん一家は2年間サービスドッグを待ち続け、今回やっとトルネードに会うためアメリカへ渡りました。シェアされた画像には、横たわるトルネードのお腹に頭を乗せて寝転がり、リラックスした表情でくつろぐカイノア君と、その様子を見守りながら嗚咽をこらえるように口元を押さえたシャナさんの様子が収められています。 「これは息子を抱きしめることも、洗ってやることも、着替えさせることも、寄り添うことも、そして新しいサービスドッグに横たわる彼に自由に触れることもできず、見つめている母親の写真」とシャナさんは投稿に長いコメントを添えています。それによるとカイノア君は、どんなに努力してもセラピーを受けても他者と調和することが難しく、シャナさんは長い間、夜中に泣く彼の側に座って見守ってきたとのこと。 大人からも子どもからも多くの無礼や無知に直面してきたというカイノア君に、シャナさんは遊び場で友達を作ろうと努力してきましたがかなわず、彼には1人の友達もどんな外部との交流もなかったそう。その彼がトルネードに触れているのを見たシャナさんは、彼らの邪魔をしないように、また、どんな言葉を見つけることもできなかったため、傍らで静かに泣いたといいます。 サービスドッグの力はすごい(画像は4 Paws for AbilityのFacebookより) 「これは偽りのない魔法、言葉では説明できない」とシャナさんはこの瞬間を表現。「私はこの子のために数え切れないほど泣いてきたけれど、こんな理由で泣いたのははじめてのことでした。新しくて、困難で、素晴らしく、喜ばしいことです。私はこれからもずっと、この子を側で見守っていくでしょう(もしかしてまだ泣きながら)」とコメントは結ばれています。 4 Paws for Abilityも、「いまだにどうしてサービスドッグが子どもたちに必要なのか尋ねてくる人がいます。理解への手助けになれば」と期待を込めてシャナさんの体験を投稿。これに対して多くの人から感動の声が、同じように自閉症の子どもを持つ人からは共感と感謝の声が寄せられています。【ねとらぼ http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1610/23/news026.html】思うに動物には親でも果たせない役割を、いとも簡単にやってのけてしまう。心がピュアな部分では共感できるのでしょうね。🌠
2016.10.24
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「よく発達した発達障害」の話 ここ十年ぐらいで「発達障害」という言葉はすっかり普及し、そのせいもあってか、外来で「自分が発達障害かどうか調べて欲しい」という相談を受けることも増えた。 精神医療のフォーマルな窓口で発達障害と診断される人の大多数は、社会で生きていくことに困難を感じているか、周囲との摩擦を感じている。そりゃそうだろう、なんらかの事情がない限り、人はわざわざ病院を受診したりはしない。 社会に溶け込んでいる「発達障害と診断され得る」人々 発達障害という名称が世間に広まると同時に、精神科医が発達障害と診断する頻度もだいぶ増えた。現代の診断基準に当てはめて考えるなら、過去に他病名をつけられていた人に正しい病名をつけられるようになったわけだから、これは「進歩」と言って良いのだろう。 そうやって、ちょっと前なら異なる病名をつけられていたであろう人々を発達障害と診断する状況になって、気づいたことがある。それは、「病院で発達障害と診断する基準に当てはまるような人が世間にはたくさん埋もれていて、そのなかには、うまくやっている人もかなり多い」ということだ。 たとえば、診察室で自閉症スペクトラム障害(ASD、いわゆるアスペルガー障害や高機能自閉症を含む)として診断される人と全く共通の性質を持っていながら、なんら精神科とかかわりを持つことがないまま、うまく社会に適応している人は意外といる。 精神科を受診することなく社会適応しているASDな人の背景には、高学歴や職業適性の高さがあったり、理解ある環境があったり、趣味生活による人的ネットワークがあったりする。巷で耳にする「大学教授にはアスペルガーが多い」という噂がどこまで本当かはわからないが、高学歴な専門家集団のなかに、もしも不適応に至っていたら精神科でASDと診断されていたであろう、潜在的性質を垣間見せる人が混じっているのは確かだ。 同じく、現代の診断基準に従えば注意欠陥多動性障害(AD/HD)と診断されそうな人が、メディア関連の仕事で活躍していたり、多忙な職場を支えていたり、企業のかなり偉いポジションで働いていたりすることを、私は診察室の外で何度となく目にした。 わざわざ発達障害の相談のために病院を訪れない、社会に溶け込んでいるASDっぽい人やAD/HDっぽい人のなかには、それらの疾患の短所によって不適応を起こしているというより、それぞれの疾患の長所によって社会適応を成し遂げているとしか言いようのない人達が少なからず存在している。少なくとも私の目にはそううつる。彼/彼女らの社会適応のかたちは多種多様で、簡単に応用できるものでもないけれども、それだけに、個人それぞれの社会適応の個別性や可能性をあらわしているようにみえて、興味深い。 すべての人に応用できるわけではない、個人それぞれの社会適応にどれだけ注目したとしても、診察室という臨床世界にフィードバックできるエッセンスはけして多くないかもしれない。けれども私自身の関心は、ひとりひとりの社会適応のほうを向いているし、不適応の側面よりも適応の側面に興味を感じてしまうので、発達障害と診断されそうだけれど受診には至らない人々の生きざまを、もっと詳しく知りたいと願う。そして許されるなら、そういったひとりひとりの社会適応のかたちを書き残しておきたいなとも願う。 発達障害の診断基準や治療論は、大学や学界のしっかりした先生がたがキチンとやっているので、それを習いながら、私自身は「よく発達した発達障害」のひとりひとりを追いかけてもいいんじゃないか、とも思う。 人生の分岐点で「たまたま精神科を受診し、発達障害と診断」される人達 そういう、発達障害と診断され得るけれども社会に適応している人達が、ふいに精神科を受診することがある。 受診のきっかけとして多いのは、大きなライフイベントによって今までの社会適応が維持できなくなり、「適応障害」や「うつ病」として来院されるケースだ。そういった表向きの病状の背景を調べているうちに、発達障害的な性質が発見される。最近はテレビやインターネットで発達障害の情報を見て、当てはまると自覚して来院される方、家族に「あなたは発達障害だと思うから診て貰いなさい」と言われて来院される方も珍しくない。 そういう人達のなかには、四十代~六十代で「発達障害ではないか」と疑って来院される方もいらっしゃる。見ようによっては、「発達障害と診断されるのが遅れた」と言えるかもしれないが、見ようによっては「発達障害的な性質があっても、長らく社会適応できていた」ともいえる。 もちろん、彼/彼女は環境が恵まれていたのかもしれないし、発達障害的な性質がマイルドだったのかもしれない。人一倍のもあったかもしれない。けれども、とにかく不惑や還暦まで世渡りをやってのけていたのだ! 子どもや孫がいてもおかしくない年齢で「発達障害ではないか」と相談にいらっしゃる人のなかには、その疑いに怯え、自尊心を喪失している人も多い。けれども、発達障害的な性質をもっていながら、世知辛い世の中を世渡りをしてきた人達は、たいしたものだと私は思う。うつ病や適応障害の合併状況を踏まえつつだが、私は、そういう患者さんに対して「あなたは発達障害に該当するし、今は人生が難しい局面になっているかもしれないけれども、それでもあなたは今まで世渡りをやってのけていたんですよ!生きてきたんですよ!」というニュアンスを絶対に伝えたいと思う。だってそうじゃないか、現代の診断基準では発達障害なのかもしれないが、とにかくも、自分自身と世間とに折り合いをつけながら生きてきた人々なのだから。 発達障害という診断名によって、これまで生き続けてきたという事実が棄損されることがあってはいけないと私は思うし、それは、発達障害という診断名に該当しないけれども種々の個人差を抱えながら生きているすべての人達にも当てはまることだと思う。その延長線上として、現代精神医学の診断病名に該当しないからといって、その人が「ラクな人生を歩んでいる」などと謗る論調にも私は与したくない。医学的な判断の根拠となる診断基準のさらに根っこの部分には、「ともかくも娑婆世界で生き続けている人は、みんな、たいしたものだ」という理解と、生きている人達への敬意があってしかるべきだと思う。そこのところを、発達障害と診断される人もされない人も見失ってはいけないし、発達障害と診断する側も見失ってはいけない、と私は思う。 たまたまライフイベントによって精神科を受診することになったような、「よく発達した発達障害」の人達の多くは、治療や環境の再調整によって元の生活を取り戻すか、次のライフステージに移行していく。長年、自分自身の性質とも世間とも折り合いをつけながら生きてきた人達だけに、クライシスを乗り越えてしまえば、前述の「受診するまでもなく社会に溶け込んでいるASDっぽい人やAD/HDっぽい人」と区別がつかない。というかそれそのものである。 「よく発達した発達障害」はいろんなところにいる なお、こういう「よく発達した発達障害」と呼びたくなる人は、職業的/学業的なアドバンテージに恵まれた人だけには限らない。さまざまな職域に、わりと頻繁に見かけるものだ。 もちろん彼/彼女らは、空気が読めない性質や落ち着きのない性質を残しているか、その痕跡をときどき垣間見せる。だが、彼らは社会的な約束事や立ち位置をひととおり身に付けていて、そこが、まだ若い発達障害の人々より「立ち回りが巧い」と感じさせる。挨拶や礼儀作法をはじめとするソーシャルスキルによって、苦手な部分が補われるよう、きっちりトレーニングされている人も多い。 そうやって社会のなかでサバイブしている人達に、わざわざ診断病名をあてがう意味はない(それは精神医療のフォーマルな窓口を訪れた時にだけ考えるべき事柄だ)。もし、発達障害とカテゴライズする必要が生じたとしても、その際には「よく発達した発達障害かどうか」という意味合いを無視してはいけないと思う。どういう診断基準に当てはまるのかも大切だが、個人それぞれが自分自身の性質と社会との折り合いをどこまで・どんな風に社会的に成長させてきたのかも、同じぐらい大切だと思う。よくよく注目していきたい。 【livedoor news http://blogos.com/article/194452/#top】おのおのの性質に個性と向き合い、折り合いをつけてゆく。人間力があれば、社会的に成長を期待できそうですね。🌠
2016.10.23
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貧困と生活保護(42) 見過ごされている知的・発達・精神の障害生活困窮や貧困の問題を考えるとき、見落とされがちなのは障害のことです。知的障害にあたる状態でも、障害の認定を受けていない人が大勢います。障害が見過ごされていることが多いのです。知的能力が境界域(ボーダー層)で障害とされないレベルの人も相当います。発達障害、精神障害についても似た状況があります。生活保護や生活困窮者支援を現場で担当する職員に聞くと、そういう人たちに日常的に出会うと言います。 軽度の知的・発達・精神障害の人たちは、社会生活でうまくいかない場合があるほか、就職を望んでもなかなか採用されないこと、働いても長続きしないことがあります。これは能力の個人差に加え、産業構造の変化も関係しています。単純労働や職人的な仕事が減り、求人の多くがコミュニケーションや複雑な判断を要する仕事になってきたからです。自分の生活費を稼げないのは努力不足だ、働く能力があるのに生活保護を受けている、などと簡単に自己責任にできるような問題ではないのです。知的障害とは、どういうものか 知的障害の原因は様々です。染色体や遺伝子の異常、母胎環境の異常といった生まれつきの場合が約8割とされますが、出産時のトラブル、生後の感染による脳炎、外傷、窒息、虐待などでも生じます。 知的障害のある人は、障害者手帳(療育手帳)や障害福祉サービスの対象になり、障害の程度が一定以上なら障害年金を受けられます。このうち療育手帳は、知的障害者福祉法にも児童福祉法にも規定がなく、1973年の厚生事務次官通知に基づき、都道府県または政令市が規則や要綱によって、障害と判定した人に発行しています。東京都は「愛の手帳」という名称で4段階に分けていますが、自治体によって重いほうからA、B1、B2の3段階だったり、A、Bの2段階だったりします。おおむね18歳未満までに生じた障害が対象になるようです。 知的能力とは何かを定義するのは難しいことです。そこで開発されたのが知能指数(IQ)を算出する検査です。よく使われるウェクスラー型知能検査では、同じ年齢の母集団の平均得点を100とし、本人の得点がそこからどれぐらいずれているかを示します(田中ビネー知能検査でも成人では同様の算出方法を用いる)。ただし、知能指数の検査だけで知的能力の総体は測定できません。身体運動能力の総体を算出できるテストがあるかというのと似た話でしょう。 実際の障害の判定では、知能指数だけでなく、生活の状況や介護の必要度なども加味して総合的に判断します。その際、重度のIQの目安は国が35としていますが、軽度のIQの目安は、75程度以下としている自治体もあれば、70程度以下とする自治体もあります。障害とされる範囲が地域によって違うのは妙なことです。なぜ国レベルで法律に基づいて統一した基準を作らないのか、不思議です。東京都心身障害者福祉センター「愛の手帳」の判定の目安(18歳以上の場合)区分知能指数社会生活具体的には、たとえば4度 (軽度)おおむね50~75簡単な社会生活の決まりに従って行動することが可能日常生活に差し支えない程度に身辺の事柄を理解できる。新しい事態や時や場所に応じた対応は不十分。日常会話はできるが、抽象的な思考が不得手で、こみいった話は難しい3度 (中度)おおむね35~49何らかの援助のもとに社会生活が可能ごく簡単な読み書き・計算ができるが、それを生活場面で実際に使うのは困難。具体的な事柄の理解や簡単な日常会話はできるが、日常生活では声かけなどの配慮が必要2度 (重度)おおむね20~34社会生活には個別的な援助が必要読み書きや計算は不得手だが、単純な会話はできる。生活習慣になっていることであれば、言葉での指示を理解できる。ごく身近なことは身振りや2語文程度の短い言葉で自ら表現できる。日常生活に個別的援助を必要とすることが多い1度 (最重度)おおむね19以下生活全般にわたり常時、個別的な援助が必要言葉でのやり取りやごく身近なことの理解も難しい。意思表示はごく簡単なものに限られる知的障害者は、療育手帳を持つ人の数倍いるはず療育手帳交付台帳の登載人数は2015年3月末で、97万4898人。14年10月の推計人口1億2708万人を分母にすると、0.77%です。年齢層別で見ると、18歳未満の手帳交付者は24万6336人(人口比1.24%)、18歳以上は72万8562人(人口比0.68%)です。 一方、十分に大きな集団で知能検査をすると、その得点の分布は「正規分布」という釣り鐘に似た形のグラフになります。ウェクスラー型知能検査で、ばらつきの程度を示す標準偏差は15なので、統計学的な理論値は、IQ70以下なら人口の2.28%、75以下なら4.78%になります。単純計算すると290~607万人、現状の3~6倍が手帳を取得してもおかしくないわけです。 知的障害レベルでも療育手帳を持っていない人が非常にたくさんいることは、確実です。年配の人の場合、かつては特別支援教育も不十分で、周囲も本人も知的障害と思わずに過ごしてきたケースが多いのでしょう。若い世代でも、普通に高校を卒業して、30代になって知的障害ではないかと言われ、療育手帳を取った人もいます。なかには大学卒でも知的障害と思われる人がいます。 さらに、知的障害の判定は人工的な線引きにすぎません。人の能力の分布は連続的なので、それより少し上の層の人たちも、社会的にある程度、不利になりやすいわけです。そういう層を、明確な定義はないものの、IQ80または85までを目安に「知的ボーダー」と呼ぶことがあります。理論的にはIQ80以下は人口の9.12%、IQ85以下だと15.9%にのぼります。同じ学年の1割前後が知的能力の面で不利というのは、実感とかけ離れたものではないでしょう。知的障害の人の特性と生活困窮 知的なハンディキャップのある人も、感情は一般の人と変わらず、プライドもあります。軽度の知的障害の人の場合、日常会話は普通にでき、筆者の経験上も、少し話したぐらいでは障害とわかりません。運転免許を取る人も少なくありません。根気のいる単調な作業は得意な人が多いようです。 一方、たくさんのことを長く覚えていることや、抽象的な概念、複雑な思考は苦手で、言葉の表現力が乏しいのが一般的です。計画立てた生活や計画的な金銭管理も苦手です。悪徳商法など他人にだまされやすい傾向もあります。そうしたことが、就労時の不利やトラブルに加え、生活面での困窮にもつながりやすいわけです。計画性の不足や劣等感を背景に、パチンコやギャンブル、酒などにはまってしまうこともあります。 一部には万引きをはじめとする刑事事件を繰り返す人もいて、刑務所の受刑者には、知的障害の人がかなり多いことが指摘されています。しかし、ほとんどは療育手帳を持っていません。本来は刑罰以前に、障害への気づきと福祉的支援が必要な人が多いのです。ホームレス状態の人は高い割合で知的障害ホームレス状態の人の場合、1990年代後半から2000年代前半は、生活に困って仕方なく路上で暮らしている健常者が多いと、筆者はインタビュー取材を重ねていて感じました。その後、生活保護の適用などで人数が減るにつれ、路上に残っている人は知的障害や精神障害を持つ割合が高くなったようです。2010年4月20日の読売新聞(大阪、西部)朝刊に載せた筆者の記事の一部を紹介します(現時点に合わせて一部の表記を修正・補足)。 北九州市の委託で自立支援センターを運営するNPO法人北九州ホームレス支援機構(現・NPO法人抱樸)によると、センター開設から09年6月まで約5年の間に利用を終えた492人のうち、約3割にあたる140人が市の判定を受けて療育手帳を取得した。最近の入所者では4割を占める。 多くは軽度の障害。以前は住み込みや日雇いなどで働いていた人が多く、日常の会話は問題ないが、文章作成を頼むと、つたない文章しか書けない人が目立つという。「何回も就職先で失敗して怒られた。障害のせいだとわかって逆にホッとした」と語った人もいた。こうしたハンデを持つ人が、労働市場の競争を自力で勝ち抜いて職を得るのは難しい。生活保護を受けてアパートに移った場合もゴミの出し方、金銭管理などで戸惑うことが多い。 東京・池袋では09年末、精神科医や臨床心理士らのグループ「ぼとむあっぷ」が、路上生活をしている男性164人の同意を得て各種のテストをした。知能指数(IQ)で見た障害程度は中度(40~49)が6%、軽度(50~69)が28%で、障害認定に相当するレベルの人が計3割余りにのぼる。境界域(70~79)の19%を合わせると半数を超えた。中にはIQ130という人もいたが、半面、意思疎通ができずに調査対象外になった人もいた。うつ病、統合失調症など精神障害も少なくなかった。 メンバーの臨床心理士、奥田浩二さんは「調査時期や地域によって割合は違うだろう。事故による脳機能障害や認知症など後天的な原因もある」と説明する。精神障害の場合は、ホームレスになる過程で受けた心理的打撃や過酷な生活の影響も大きいとみられる。 大阪のNPO釜ヶ崎支援機構でも、若い相談者の約3割が知的障害や精神障害の疑いで受診している。一方、主に高齢のホームレスの人々を支える東京のNPO「ふるさとの会」では、施設利用者の4割に認知症があるという。 発達障害の人たちの特性 発達障害には、自閉症スペクトラム、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、LD(学習障害)などがあります(知的障害を含めて発達障害と呼ぶこともあるが、ここでは狭い意味で用いる)。いずれも生まれつきの脳の特性と考えられています。 自閉症スペクトラムは、重い知的障害を伴う人から、知的能力の高い人(アスペルガー障害)まで広い幅があります。人と親しくなろうとしない、何かに強いこだわりを持つ、他人の気持ちや場の空気を読むのが苦手、あいまいな言葉によるコミュニケーションが苦手、といったことが特徴です。 ADHDは、不注意や忘れ物が多い、落ち着きがない、あきっぽくて集中できない、物を片づけられない、衝動的になることがある、といった特性があります。知的能力の高い人も少なくありません。 LDは、知的能力は低くないけれど、読む、書く、計算するなど特定の領域の学習が困難です。 発達障害者支援法が05年度に施行されてから、発達障害と診断される子ども、特別支援教育を受ける子どもが増え続けています。増えた背景には、障害の社会的認知、制度の周知、親の意識の変化といった社会的要因がありますが、ひょっとすると生物学的にも増えているかもしれません。 発達障害は、程度によりますが、知的障害を伴うなら療育手帳、そうでなければ精神障害者保健福祉手帳の交付対象になります。大人になってわかる発達障害も少なくありません。ここまでは健常、ここからは障害とはっきり線引きできるものではなく、見過ごされているケースが多数あります。特性を発揮することで社会的に活躍する人たちがいる一方で、人間関係のトラブルが起きて職場に不適応になったり、うつなどの精神症状が出たりして、生活の困難につながることもあります。精神障害でも医療を受けていない人は多い 精神障害は、統合失調症、気分障害、各種の依存症、高次脳機能障害(器質性精神障害)、心因性の精神障害など多種多様です。14年10月の厚生労働省「患者調査」によると、医療を受けている精神障害者は392万人(入院31万人、外来361万人)に達しています。ここには短期の受診も含まれます。継続的な通院が対象となる自立支援医療(精神通院)の支給決定件数は、14年度で177万8407件です。一方、精神障害者保健福祉手帳の交付者数は80万3653人(15年3月末)にとどまります。 医療にかかっていなくても、精神症状のある人はいます。とくにギャンブルやアルコールの依存症は、潜在患者が数百万人規模で存在すると推計されています。統合失調症と見られる幻聴や妄想があっても、医療を受診したことがないまま、社会生活を送っている人もいます。産業構造の変化で、障害者の働く場が減った 知的障害の人の多くは、単調な作業でも、根気よく続けることができます。昔は、そういう人に向く仕事がありました。まず農業です。季節や天候を踏まえて計画的に作物を栽培するには複雑な思考が必要ですが、ほかの人から段取りを教えてもらい、農作業をするだけなら、十分にやれたでしょう。次に鉱山、工場、工事現場です。そうした場での比較的単純な労働は、知的障害の人に向いていたはずです。町工場で親方の指示に従って働く人たちもいました。 発達障害のうち自閉症スペクトラムの人はどうか。コミュニケーションは苦手でも、こだわりが強いのは長所にもなりえます。農業や漁業は、必ずしも人間関係が円滑でなくてもできたでしょう。もっと向くのは、職人的な仕事です。腕が立つ一方で、頑固で気難しい職人さん。その中には、アスペルガー障害の人がけっこういたのではないでしょうか(このあたりは、発達障害に詳しい精神科医、高岡健さんの話を参考にした)。 ところが農業の規模は小さくなり、商品として出荷するために栽培の手順が複雑になりました。鉱業はほとんど消滅し、製造業も機械化が進んだうえ、海外に生産拠点が移っていきました。建設業の現場も機械化が進行しました。手先の技能を求められる職人的な仕事も減りました。 このごろ求人が多いのは、飲食・販売・サービス業、医療・福祉、IT関係などです。お客さまとの対話や職場内でのコミュニケーション、あるいは複雑な思考を求められる職種です。 時代の変化、日本の産業構造の変化に伴って、障害を持つ人の一般就労の場が減ってきたと考えられるわけです。せめて障害者枠の雇用をもっと増やさないと、カバーできないでしょう。 生活保護の「その他世帯」には、障害や傷病がある世帯も含まれる 最後に、生活保護の統計に関して、注意が必要な点を挙げます。生活保護の世帯類型は、高齢者世帯、母子世帯、障害者世帯、傷病者世帯、その他世帯の5タイプに分けられています。近年は「その他世帯」が増加したため、働く能力のある世帯の受給が増えたように言われています。 しかし、障害者世帯にカウントされるのは、世帯主が<1>生活扶助で障害者加算を受けている<2>入院または老健施設に入所中<3>障害のために働けない――のいずれかにあたる場合です。障害者加算がつくのは、障害年金の1級または2級に相当する状態(または、ほぼ同等の身体障害者手帳1~3級)です。加算があれば、若干の勤労収入があっても障害者世帯に計上します。 その一方で、障害者加算がない場合は、たとえ世帯主が障害者手帳を持っていても、働いて1円でも収入を得ていれば、「働けない」の条件を満たさないとして、その他世帯にカウントします(勤労控除は考慮しない)。たとえば、雇用契約にならない就労継続B型(いわゆる作業所)に通い、月数千円程度の工賃しかなくても、その扱いになると厚労省保護課は説明しています。 傷病者世帯も同様です。世帯主が<1>在宅患者加算を受けている<2>入院または老健施設に入所中<3>傷病のため働けない――のいずれかが条件です。在宅患者加算がつく病状は限定されており、それ以外の病気の場合は、少しでも働いて収入を得ていれば、その他世帯にカウントします。 その他世帯には、世帯主が障害や病気の世帯が、それなりに含まれているわけです。その他世帯の実情について厚労省は、もっと正確な分析をして公表するべきです。でないと誤解を広げてしまいます。 【yomiDr. https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161020-OYTET50030/】徐々に詳細が明らかになり、見過ごされる方が一人でも少なくなるといいですね。🌠219万アクセス達成しております。いつもご訪問にコメント感謝です。
2016.10.22
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東京薬科大学が自閉症の根本治療にマウスで成功東京薬科大学生命科学部の福田敏史講師、柳茂教授らのグループは10月7日、マウスを使った自閉症の根本治療に初成功したと発表した。 自閉症をはじめとする精神疾患は、これまで遺伝子・分子レベルで発症要因や治療法が研究されてきているが、発症原因に根ざした根本的な治療法はまだ確立されていないのが現状だ。 同グループは発達障害・精神疾患の発症との関与が示唆される遺伝子CAMDIの欠損マウスを作製して解析を行った。その結果、発達障害の原因の一つと考えられている大脳皮質の神経細胞移動の遅延が観察され、このマウスは多動、繰り返し行動、新規環境への適応不全などの典型的な自閉症様行動を示した。 また、欠損マウスを調べることで、CAMDI の結合蛋白質として脱アセチル化酵素の一つであるHDAC6を発見。CAMDIはHDAC6の酵素活性を抑制して、神経細胞の移動を調節する中心体の微小管骨格を安定化させることが分かった。 CAMDIが欠損するとHDAC6が過剰に活性化し、中心体が未成熟となって神経細胞移動の遅延を引き起こす。しかし胎生期にHDAC6特異的阻害剤であるTubastatinAを投与すると、神経細胞の移動は正常に戻り、自閉症様行動も劇的に回復したという。これはマウスを用いた世界初の自閉症様行動の根本治療の成功例であり、次世代の治療戦略の方向性を示す画期的な研究成果だとしている。 HDAC6 の酵素活性も阻害する広範な HDAC 阻害剤の一つSAHA(ボリノスタット)が既に「皮膚T細胞性リンパ腫」の治療薬として認可されていることから、ドラッグ・リポジショニングにより精神疾患の治療薬として使用できる可能性がある。今後はSAHAの応用を視野に入れて研究を進め、新たな治療法の確立が期待される。 【univ-journal http://univ-journal.jp/10136/】 胎生期での治療、人間では果てしなく夢のようなことでも、一つのハードルをクリアしたとも感じられる研究ですね。🌠
2016.10.21
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「いらない命などない、毎日成長する」 自閉症の子持つ親が語る自閉症の子を持つ一般社団法人「そよ風の手紙」代表理事の新保浩さん(51)=川崎市幸区=が16日、「息子が教えてくれた大切なこと」と題し、同市高津区で講演した。自らの体験をもとに、どんな障害があっても、一人一人の命を尊び、その可能性を理解することが大切と呼び掛けた。【kanaloco. http://www.kanaloco.jp/article/206141】自閉症児の親としての実体験からの呼びかけは、何より理解されやすいですね。🌠
2016.10.20
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自閉症画家の半生描く 「プレイボーイ 伝説の西岡」譜をモチーフにした絵画作品がフランス・パリのギャラリーに所蔵され、国内外で高い評価を得ている西岡弘治さん(45)の半生をつづった絵本「プレイボーイ~伝説の西岡~」が完成した。教会の屋根に上り、線路に飛び降りる-。西岡さんの破天荒なエピソードとともに、周囲の愛を受けて才能を開花させた姿をイラストレーターの村井英晃さん(44)=奈良県在住=が温かみのあるイラストと文章で描いた。大阪市で生まれた西岡さんは、幼いころに重い自閉症と診断された。他者とのコミュニケーションは苦手だが、音楽や文字にこだわりをみせた。知的障害者の介護施設「アトリエコーナス」(大阪市阿倍野区)で、2005年から絵画制作を始めると、楽譜と文字を組み合わせた「楽譜シリーズ」が障害者アートの枠を超えて大ヒットした。■制作に没頭 タイトルの「プレイボーイ」は、西岡さんの作品「プレイガール」から。村井さんは「気分が乗らないといつも寝ているし、食べたい時に食べる。でも、かっこよく見える瞬間がある。自分のペースを守る姿がかっこいい」と、タイトルを西岡さんの姿に照らし合わせる。 出会いは6年前。雑誌の取材でコーナスを訪れた。町家を改装した開放的なスペース、利用者が自由に過ごす空間に西岡さんはいた。 西岡さんの制作活動が10年を越えた今年2月、コーナスの白岩高子代表から絵本の制作を依頼され、西岡さんの母信子さん、保育園の保育士らに取材。制作に全精力を注ぎ、「僕の2016年夏が詰まっている」と笑う。■次の“伝説”へ 本書には、周囲をヒヤヒヤさせたり、笑わせるエピソードが満載。しかし、「めったにいない個性的な人間をおもしろおかしく描くのが目的ではない」と白岩さん。西岡さんの隣には、信子さんや地域住民、施設スタッフが描かれている。村井さんは「周りの存在があったからこそ、今の西岡さんの魅力がある」と話す。 副題にある『伝説』は、西岡さん自身とともに「けったいやけど、面白いこうちゃん」を見守り、受け入れてきた環境でもある。だからこそ、白岩さんは願う。 「西岡さんの後に続く人たちがそれぞれの“伝説”を残してほしい。ささやかだが、大切な願いです」 大阪ブリキ玩具資料室発行。A5判20ページ。税抜き800円。問い合わせは電話06(6659)9312、コーナス。 村井さんの原画展は22日まで「カロギャラリー」(大阪市西区江戸堀1の8の24若狭ビル5階)で開催中。【大阪日日新聞 http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/161015/20161015052.html】 作者の村井さん(右)と、西岡さんの成長を見守ってきた白岩さん 展示会のイベントでライブペインティングをする西岡さん=2014年11月一つの作品という形になるのも、多くの関わりに理解あってこそですね。🌠
2016.10.19
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知的・発達障害児 住まいの工夫知的障害や発達障害のある子どもは、自宅の窓から急に外に飛び出したり、台所の火に強い関心を示したりする場合があります。危険を防ぎ、落ち着いて暮らせる住まいにするにはどうすればいいか、様々なアイデアを盛り込んだ本が出版されました。著者の1人で1級建築士の西村顕さんは「あまり情報がない分野。困っている人たちの役に立てば」と話しています。 この本は「知的障害・発達障害のある子どもの住まいの工夫ガイドブック」(中央法規出版、税別2400円)。西村さんは横浜市総合リハビリテーションセンター職員で、医療や福祉の専門職と共に高齢者や障害者の住宅改修相談にのったり、住宅関係の調査研究をしたりしている。 身体障害だけでなく、知的障害や発達障害の子どもがいる親も、住まいに関わる悩みがあった。「高齢者や身体障害者向けの住宅改修に関する本はあるが、こうした子どもたちが対象のものはない」と思い、これまでの蓄積をB5判144ページにまとめた。 自閉症と知的障害のある男の子(8)と家族が暮らす一戸建ては、療育センターから紹介された西村さんの助言を受けて改修した1軒だ。 1回目は、3~4歳の頃の掃き出し窓。男の子は外に興味を引かれるものがあると、車の往来などに構わず窓から飛び出しがちだった。母親(41)は「事故に遭ったり、誘拐されたりしないか心配でした」と振り返る。そこで、内側から鍵をさして施錠する窓に改修。「外に出たいときは親に伝えて、玄関から手をつないで一緒に出かける」というルールにし、飛び出しを防ぐようにした。さらに5~6歳の頃、おむつを外してトイレに1人で行けるようになることを目指して改修した。トイレに関心がなかったため、母親がトイレに誘っても途中で2階に駆け上がったり、好きな食べものがある台所に行ってしまったりして、たどり着けていなかった。そこで、リビングからトイレに着くまでに台所や階段が目に入らないよう、扉を新設。おしっこがかかると、お気に入りの乗り物のキャラクターが浮かび上がるシートを便器に置く工夫もした。 徐々にトイレを使うようになり、7歳でおむつがいらなくなった。母親は「トイレの自立はもう少し先かと思っていた」と喜ぶ。ゴミの日までたまるおむつの量や臭いのストレスからも解放された。 最も多い相談は、この事例でもあった無断で外に出る悩みといい、玄関や窓の鍵などの改修案も示した。共著者の本田秀夫・信州大学医学部付属病院子どものこころ診療部長は「本人が開けられない鍵をかけることは、一歩間違えると不当な行動制限になりかねない。子どもを管理する方法として使ってはいけない」と話す。鍵の設置には子どもが「出たい」という意思を伝える手段の確保と、介助者と一緒に外出することの保障が不可欠とし、改修前にまず医療や福祉の専門家への相談を勧める。 ガイドブックでは、実例をもとにした家全体の改修方法のほかに、台所やトイレ、テレビなどの場所やテーマごとに「すぐできる工夫」「しっかりと改修」といった複数の方法を紹介。費用の目安や、医師からのアドバイスも載せている。 台所に関しては2014年度、西村さんが大学の研究者と横浜市内の療育センターや特別支援学校(小学部)に在籍する子どもの保護者にアンケートを実施。回答した794人のうち、子どもが「やけどした」が93人「やけどしそうになった」が149人と、約3割がやけどの危険に遭っていた。こうした場合、入り口やカウンターに鍵付きの扉設置を提案。熱気がこもらない格子戸を勧めている。 スイッチなど特定のものに強いこだわりを示すときは、カバーなどで見えないようにするのも効果的としている。 ◇ 西村さんは、12~14日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれる「国際福祉機器展2016」に参加。「障害児のための『子ども広場』」で各日14~16時半、住宅相談に無料で応じる。福祉機器展は入場無料。ネットか会場受付で登録すれば入れる。【朝日新聞 http://digital.asahi.com/articles/ASJBC7DL7JBCUBQU00G.html?_requesturl=articles%2FASJBC7DL7JBCUBQU00G.html&rm=657】アップが遅れてしまい、展示会は既に終わってしまいましたが、福祉機器展、何かしら暮らしのヒントが得られそうですね。🌠218万アクセス達成しております。いつもご訪問にコメント感謝です。
2016.10.18
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支援学級の男児殴った疑い、担任教諭を逮捕 男児は顎を骨折/白岡 白岡市立菁莪(せいが)小学校(阿部泰次郎校長、児童数265人)で、担任教諭が授業中に4年生の特別支援学級の男子児童(10)の顔などを殴り重傷を負わせたとして、久喜署は16日、傷害の疑いで、同校教諭(54)=杉戸町倉松4丁目=を逮捕した。同署によると、教諭は「殴ったことは間違いない」と容疑を認めている。 逮捕容疑は12日午後2時10分ごろ、同小学校で、授業中に男児の頭と顔を拳で殴る暴行を加えた疑い。男児は顎を骨折するなどし、搬送先の病院で手術を受け入院しているという。 同署と市教委によると、教諭は事件当日、5時限目の道徳の時間にDVDを視聴していた際、男児の様子に腹を立て殴ったという。 別の教員が午後3時ごろ、男児が口から血を流しているのを見つけ119番した。教諭は暴行したことを報告していなかった。市教委によると、すぐに報告しなかった理由について「自分の心が弱かった。反省している」と話しているという。 12日夜の市教委の聞き取りに対し、教諭は「指導がうまくいかず、カッとなって殴ってしまった」と答えたという。学校側は13日朝、同校で保護者に経緯を説明。教諭は13、14の2日間、学校に出勤したが児童の指導をせずに別室で待機した。 市教委によると、これまで教諭の行動に問題はなく、「学校側もベテラン教員と見ていた」としている。補助教員1人が特別支援学級を補助することはあったが、事件当時、教諭は教諭だけだった。 15日夕、保護者と校長、市教委担当者が久喜署を訪れ、保護者が被害届を提出。同署は事実関係を調べ、16日午前に署で教諭から任意で事情を聴き、同日午後に傷害容疑で逮捕した。 市教委はけがをした男児と他の児童への心のケアをするとし、長島秀夫教育長が「このような重大な事件が起きてしまい、大変申し訳なく思っている。けがをされたお子さまと保護者に心からおわび申し上げる」とコメントを出した。 【埼玉新聞 http://www.saitama-np.co.jp/news/2016/10/17/01.html】思い余っての言動でも、やはり手加減しないと、大怪我に繋がってしまいますね。幸い、命に別状がなくて良かったです。🌠
2016.10.17
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発達障害の子どもたち/2 読み書きの階段 一歩一歩「川、は、いつも、は、水が、少ないのに、さんにちの、三日もの雨が水の、水がどっと、どっとましてまし、ましていました」 9月15日午後、東京都世田谷区の国立成育医療研究センター。東京都内の小学4年生の男児(10)がリハビリの一環で、国語の教科書では定番の童話「ごんぎつね」を読んでいた。 手元のコピーには、読みやすくするため、意味のある言葉ごとに細かく斜線が引いてある。「川は、いつもは水が少ないのですが、三日もの雨で、水が、どっとましていました」と、目の前の言語聴覚士が音読した後に続くだけ。それでも、たどたどしい。 男児が抱えているのは、学習障害のひとつであるディスレクシア(読み書き障害)だ。日本ディスレクシア協会は「通常の会話、話し言葉の理解や表現は普通にでき、知能も標準域にありながら、文字情報の処理がうまくいかない状態」と説明する。 ●だ行とら行で混乱 母親(41)が男児の担任に呼び出されたのは2年前だった。「だ行と、ら行が区別できていません」。トイレを「トイデ」と表す。両方が混在するらくだについては「『ら』って、どっちの『ら』なの」と不思議顔。「ただ言葉を覚えるのがゆっくりなだけではないかもしれない」と、通常学級に在籍しながら個別に特別支援教育を受ける通級指導教室に通うよう促された。 そこで出会ったのが、ディスレクシアの子どもがいる母親だった。文字を読むのが苦手、かけ算がなかなか習得できない……。男児と共通していることばかりだった。 男児は2歳を過ぎたころ、ようやく発語した。小学校に入る前には、例えば「み、か、ん」と読んでも、何が書いてあったか聞かれると覚えていなかった。2年生になり、ひらがなの固まりを何となく読めるようになったところだった。母親は「文字を追うのに精いっぱい。教科書も、みんな音読しているのを聞いて覚え、やっと内容が理解できている。普通の人は平地を歩いているのに、階段を1段ずつ上っている感じなのだろう」とおもんぱかる。 ●味覚と嗅覚は鋭く ディスレクシアに悩み、男児は自信をなくしていった。学校に行くストレスが重く、普段は午前6時に起きるのに布団でうずくまったまま。腹痛を訴え、食べた朝ごはんを吐いてしまう。授業では定期的に作文のスピーチが回ってきた。文章を作り、それを暗唱して読むのは男児にとって過酷だ。担任は「書いたものを持って読んでいい」と言ってくれたが、みんなと違うことに耐えられなかった。 しかし4年生でリハビリに取り組むようになり、少しずつ様子が変わってきた。味覚と嗅覚の鋭さを生かして「料理人になりたい」という将来の夢もできた。7人家族で、一人だけ「ご飯がくさい」と食べなかったら、ほどなくして販売業者が「防虫剤のにおいがついていた」と米を回収した。酒が加えられていなかったり、冷凍イカが使われていたりすることに気づいたこともある。今夏の自由研究は、メレンゲの作り方と、オムレツのふわふわ具合の関係を調べた。「自信が芽生えてきて本当に良かった。読み書きも徐々に進歩していけばいい」。母親は胸をなで下ろした。 ディスレクシア研究の第一人者である、成育医療研究センターの小枝達也・こころの診療部長は「日本では子ども全体の2%程度、アルファベット圏の国では5〜10%の子どもがディスレクシアと推定される」と話す。知能は問題がないため学校で気づかれにくい。「子どもにとって読めないことがどれだけ深刻か、現場の教師が認識しておらず『そのうち読めるようになる』と考えている。クラスの和を大切にした学級運営に力を入れるあまり、読み書きを含む教科学習の指導が、反復音読など旧来のやり方を漫然と繰り返すだけになっている」 ●電子機器の活用も 鳥取県伯耆(ほうき)町の大工、井上智さん(54)は43歳の時、妻がたまたま持っていたディスレクシア関連の本を見たのをきっかけに、自分がそうであると気づいた。勉強が好きで、テストで答えが分かっても書けずに0点を繰り返す。「怠け者」と罵倒する教師、「大人をなめている」と突き放す母親。社会人になっても、職場でいじめられた。失われた過去を取り戻したくて、今年度から大阪芸術大短期大学部でデザイン美術を学んでいる。 井上さんはディスレクシアの子どもたちに対する、タブレットを使った支援に期待する。「視力が弱ければ眼鏡をかけさせるのと同じこと。私のように気づいてもらえない子どもは今もいるはず。つらい経験を、もう押し付けてはいけない」ディスレクシアの主な初期症状 <読字障害> ・幼児期に文字に興味がなく、覚えようとしない ・文字を一つ一つ拾って読む ・語あるいは文節の途中で区切ってしまう ・読んでいるところを確認するように指で押さえながら読む ・文字間や行間を狭くすると、さらに読みにくくなる ・音読よりも黙読が苦手 ・1回音読して内容理解ができると2回目の読みは比較的スムーズになる ・文末などを適当に自分で変えて読んでしまう ・本を読んでいるとすぐに疲れる <書字障害> ・促音(「がっこう」の「っ」)、撥音(はつおん)(「とんでもない」の「ん」)、二重母音(「おかあさん」の「かあ」)など、特殊音節の誤りが多い ・「わ」と「は」、「お」と「を」のように耳で聞くと同じ音の表記に誤りが多い ・「め」と「ぬ」、「わ」と「ね」、「雷」と「雪」のように形態的に似ている文字の誤りが多い ・画数の多い漢字に誤りが多い ※国立成育医療研究センターのホームページより。さらにディスレクシアかどうかのチェック表や、読字支援システム「T式ひらがな音読支援」、指導の具体的な方法、学校における早期からの指導体制などを紹介している。指導に使うアプリの入手の仕方や,活用の仕方などの情報もある。アドレスは https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/heart/dyslexia/ 【毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20161015/ddm/013/100/012000c】おのおのの個性を的確に捉え、最適な支援が必要となってきていますね。🌠
2016.10.16
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発達障害の子どもたち/1 就学猶予 徹底準備と覚悟を発達障害者支援法が施行されてから11年が経過した。社会における発達障害の認知度は飛躍的に高まる一方で、マイナスイメージが独り歩きする傾向は根強く、正しい理解と対応が広がっているとは言いがたい。子どもの発達障害、療育の現場の実態を探る。 ありふれた会話を交わすことができる。そんなささやかな喜びを、皆がかみしめていた。 「 「もう(国語の)音読した!」 「頑張ってるねえ」 「上手になってきたもんね。今日も格好良かったよ」 8月16日午後、神奈川県のファミリーレストラン。スパゲティをたいらげた男児(7)が、両親に褒められて笑った。よくしゃべる姿から、言語の発達の遅れに苦しんでいた過去は想像できない。普通なら公立校で小学2年生の男児は、実はまだ1年生だ。2015年4月から1年間、居住地である県内の自治体から就学を猶予してもらった。 ●息子に自閉症の診断 両親は生後10カ月ごろから男児の発育が気がかりだった。発語がまったくない。小さな人形をくるくると回しては、それを眺める。典型的な自閉症の特徴だった。1歳半の健康診断で医師に相談し、障害者を支援する地域の療育センターへの予約を依頼したが「まだ診断できる年齢ではないので、半年ごとに経過を観察する」と言われただけ。「らちが明かない」。発達専門の医院に駆け込み、自閉症と診断されたのはそのわずか3カ月後だった。 母親(45)は「もちろん診断はショックだったが、予想できていたし、嘆き悲しむより前に進もうと思った」と振り返る。父親(51)も同じように冷静に覚悟を積み重ねてきたが、一度だけ取り乱したことがある。男児が1歳8カ月のころ、手を口の中に入れているのを大声で強く注意したことがあった。「駄目って言ってるでしょっ!」 男児は泣きながらも続けてしまう。分かっていても、止めたくても、止められない。自身の感覚を刺激するために、ある行動を繰り返すのは自閉症を代表する症状だ。まだ4歳くらいだった娘から、見かねて「そんなに怒らないで」とたしなめられたことが今も忘れられない。 ●医師らと協力し合い 男児は12年4月、民間の療育機関による学校生活の細かな規律や意思の伝え方といった個別教育を週2回計4時間受け始めるとともに、幼稚園で年齢相応の年少ではなく一つ下の未就園児クラスに入った。「10カ月程度の発達遅滞」という検査結果を参考に、将来の就学猶予を見据えた主治医が強く勧めたプランだった。 両親は「将来、生きていく上で有効なのであれば、できることはやろう。受験で浪人する子どもだっている」と納得した。当初は「2年ほどの遅れがある」と見立てられた言語の発達が、みるみるペースを上げた。対人コミュニケーションの緊張緩和など、生活で生じた課題に主治医と園、療育機関が協力して取り組んだ結果だった。一連の療育費が約400万円までかさんでも気にならなかった。 しかし、そこまで苦労して、いざ就学猶予を申請する際に思わぬ展開になった。地元の教育委員会が渋ったのだ。母親に対して「前例がない」「法律上、猶予はあり得ない」などと、事実と異なる説明をしてきたという。急きょ改めて、主治医の診断書と療育機関の意見書を提出し、何とか認めてもらった。 ●軽々しく求める親も なぜ危うく蹴られそうになったのか。ある療育関係者は「教育行政は、発達障害による就学猶予を『不都合な真実』と捉えている。小学校入学を遅らせてまで普通級を選択されることは、自分たちが充実させてきた特別支援学級・学校の否定と映っているからだ」と解説する。学校教育法は「病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため就学困難と認められる」場合、就学猶予を認めている。しかし発達障害の子どもたちへの適用には、ほとんどの自治体が消極的だ。 「子どもの発達に不安があるからといって、就学猶予を軽々しく口にする親が増えている」と指摘するのは、東京都23区のある幹部だ。「1年間をどう過ごすのか不明確だったり、支援体制が十分整っていなかったりする猶予後の計画が多い。準備も覚悟も足りないのに『特別支援』というレッテルを貼られたくないだけ」と断じる。 もっとも、就学猶予が小学校6年間の普通級を保証するわけではない。「多少背伸びをしても普通級で生活するメリットが大きいのは確か。しかし公立校の教員の質は一定ではないのが現実で、猶予が必ず奏功するとは限らない。どうしても無理な子どもには特別支援学級行きを宣告せざるを得ないが、親から『せっかくの猶予を無駄にさせるのか』と激しい反発を受けるのが関の山」と嘆息する。 子どもの成長をゆっくり見守るための制度が生かされていないのが現状だ。 発達障害を疑ったら、まず親子の「つながり」を深めよう <タッチ> 手を伸ばし、子どもと手のひらを合わせる。できなければ、もう一方の手を添えて子どもの手を支えて。子どもの名前を呼んだり、笑顔で言葉をかけたりしながら <本の読み聞かせ> 本を見せながらでも構わないが、なるべく本ではなく子どもの様子も見ながら、感情をこめて。目が合わなくてもめげずに繰り返す <手遊び歌> 子どもと向き合って、歌いながら動作も加えてみる。動作を子どもが目で追うか、歌に反応したら、声と身ぶりで喜ぼう <言葉のシャワー> 時間がある時は、なるべく子どもと向き合っていろいろなことを話す。周囲のもの、今日の出来事、楽しかった思い出など何でもよい。ただしテレビやビデオは厳禁 <まねっこ> 子どもがしている動作のまねをする。子どもが手を止めて、少しでも興味を持ってこちらを見たら、表情豊かに声をかける <ボディータッチ> おなかをくすぐったり、ほっぺを優しくこすったり、手のひらをなでたり。感覚過敏がある場合は嫌がりがちだが、一瞬なら大丈夫なことが多い <目合わせ> 乳児なら、まず呼びかけから。子どもの両手を大人の両ほおに当ててみるのもいい 《ポイント》 ▼限度は10秒。長く、しつこくすると失敗する ▼空腹時など子どもが何かを要求するタイミングを狙う ▼まずは「つながった」と感じられる瞬間を作ることから ※平岩幹男著「自閉症・発達障害を疑われたとき・疑ったとき」(合同出版)より ここに、いるよ 【毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20161014/ddm/013/100/015000c】障害を告げられた時から始まる親子の葛藤。普通に生きるだけでも大変な時代だけに、ある程度まで頑張らせる努力は並大抵ではないですね。それだけに培ってゆく頑張る力は、底知れず大きな原動力に繋がってゆきますね。🌠
2016.10.15
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発達障害の職員に不適切対応 兵庫労働局5人処分 兵庫労働局に昨年度採用された発達障害のある女性非常勤職員の勤務に対して、不適切な対応があったとして、厚生労働省が労働局の前局長ら5人を処分していたことが13日、同労働局への取材で分かった。 同労働局によると、女性は、障害者を対象にした国の制度で昨年6月、非常勤職員として労働局に採用されたが、契約満了を迎える前に約半年で退職。厚労省は「女性の障害を詳しく把握せず、障害の特性に応じた対応をとらなかった」として前局長らを処分した。 厚労省や同労働局は不適切とした対応の詳細を明らかにしていない。[神戸新聞 https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201610/0009579331.shtml]折角採用されたのに半年で退職。明らかにされていない詳細、何があったのか、釈然としないものがありますね。🌠
2016.10.14
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支援学校:給食詰まらせ17歳死亡…教諭離れた間に 別府大分県教育委員会は12日、別府市の県立南石垣支援学校(中園大統校長)で先月15日、高等部3年の林郁香(ふみか)さん(17)が給食を喉に詰まらせ、搬送先の病院で今月2日に死亡したと発表した。 県教委によると、林さんは食堂で、担任の教諭が付き添う形でもう一人の生徒と一緒に給食を食べていた。担任が先に食事を終えたもう一人の生徒を連れて食堂を離れた間に床に倒れ、意識不明に陥った。林さんの気管支からは、給食のメニューの卵焼きが見つかった。 当時、食堂には他に養護教諭2人がいたが、別の生徒たちの対応をしていて倒れるまで気付かなかった。林さんは知的障害などがあった。 中園校長は「ご家族の悲しみを思うとおわびのしようもない。このようなことが二度と起こらないように万全の態勢を整えたい」と謝罪した。県教委は調査委員会を設け、再発防止策などを講じる。【@nifty news https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-1013m040092/】既に一カ月前のできごとだったんですね。こういう時の為に対処しているつもりでも、傍に居ても防げないのも事故、哀しくやるせなくもなります。217万アクセス達成しております。いつもご訪問にコメント感謝です。
2016.10.13
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「私の子は発達障害かも」と思った時に相談できる場所がほしい。保育園に求められる”保護者支援”とは?【後編】 ――「気になる子」や発達障害のあるお子さんの保育に携わっていると、親御さんとの話し合いが必要になることも多そうですね。田中さん 保護者の方との連携はとても重要です。発達支援チームができることは保育士を通じての“間接支援”なんですね。私たち株式会社JPホールディングスの発達支援チームは、子どもを理解し保育の中で支援方法を実施できるように保育士と話し合います。療育の場ではありませんが、子どもにとってより良い支援や保育をするには、保護者の方とやりとりの必要性が生じてきます。 お子さんに発達障害があると診断を受けられた保護者の方は、そのことを受けとめていかなければならないです。でもその前の段階の「気になるお子さん」の場合、今は保育園でなんとか過ごせていても、将来的に学校へ通うことを考えると保護者の方にお子さんの発達の特性を理解してもらえるように伝えたほうがいい場合が、どの園でも出てくるんですね。 「保護者の方に発達面が気になることをどう話せばよいでしょうか?」という相談が多いので、最近、保育士に向けた保護者支援の研修をしたばかりです。保護者の方にもいろんな考え方、生活がありますので、これは本当に難しいんですね。たとえば療育センターにつなげたほうが、そのお子さんにとっていいケースもたくさんあります。でも保護者の状態によって、伝え方や伝えるタイミングを慎重に考えなければなりません。 ――発達障害の理解が進んできた今の世の中では、早期発見、早期療育とよく言われているようですが……田中さん 確かにそれも大事だと思うのですが、毎日お子さんを育てていくのは保護者の方なので、そのお子さんの障害を知ったことでショックを受けて子育てする気力をなくしてしまったり、最悪の場合、虐待してしまったりすることもあるのです。我が子に発達障害があるということを受け入れていくことは、本当に人それぞれなんですよね。 保育士がお子さんへの支援を示すことで、保護者の方の理解が進むこともあります。たとえば保育参観の予定が気になってパニックを起こしたお子さんに、お母さんが来る日をカレンダーに書いて見せたら落ち着いたことがありました。そのことを知った保護者の方が、この子は他の子と違う支援を受けながら保育園で過ごしているんだと理解して、先々のことを考えて専門機関に相談したこともありました。 ――早い段階で、発達障害に関する理解を深める機会を得られれば、自分の子どもの育てにくさが気になったとき「もしかしたら……」とその可能性を考えるきっかけになりますよね。他の発達障害の子どもへの理解も進むと思うのですが、欧米に比べると日本はその対策が遅れているようです。田中さん 最近ようやく日本でも発達障害に関する情報や専門機関が増えてきましたが、確かにまだまだ遅れている面はあると思います。ただ私は、子どもを授かったお母さんがあまり早い段階から常に発達障害のことを気にしすぎるのもどうかと思うのです。最初の子育てのスタートは、子どもは無条件でかわいいと思って育てることが大切です。最初から、「私の子は発達障害があるのかしら?」と心配しすぎていたらお母さんもストレスがたまりますし、子どもとの関係もギクシャクしてくる可能性もあると思うんです。 知識や情報は大切ではありますが、やみくもにふりまわされたり不安をつのらせるものではあってはいけないと思います。子育てに不安や心配はつきものですので、身近な自治体などの相談機関は必要だと思います。本当に困ったときに必ず相談できる場所があると思ってもらうことが一番大事です。 そういう意味では、保育園も同じです。お子さんや保護者と毎日顔を合わせている保育士は今、ソーシャルワーカー的な役割が高まってきています。ですからお子さんの発達に気になることがあっても、様子をみながら必要に応じて声をかけていきます。保育園もやはりお子さんや保護者の方を見守りながら、何かあればここに相談できると思ってもらうことが大事だと思っています。 ――その受け皿となる保育士さんたちの精神的な拠り所が、発達障害支援チームなんですね。10年間ほど経験を積んできて、チームの活動が実を結ぶことも増えてきたのではないでしょうか。田中さん もちろん至らないところはたくさんあると思います。それでも数カ月後に様子を見に行って、お子さんが落ち着いた生活をしていたり、表情が穏やかになっていたりすることはよくありますね。相乗効果で保育士もいい顔になっているのを見るとやはり嬉しいです。今までの活動を通して思うのは、発達障害と一口に言ってもその子どもによって特性はさまざまなので、その本質をしっかりみて理解することが大事だということです。危険な行為はもちろん子供に伝えます。保育士が本人の本質を理解できればさまざまな場面で支援が考えられます。苦手なことの支援だけでなく、その子の得意なことを伸ばしていくことが何より大切だと実感しています。わかりやすい保育は他のお子さんたちにもいいことなんですね。そういった積み重ねを園内をはじめ社内全体で共有して現場にまた還元していくことは、非常にいい環境だと実感しています。 ――発達支援チームの活動を10年続けて見えてきた課題はありますか?田中さん 発達支援が必要なお子さんを一緒に保育する統合保育の現場では、より一層の保育力が問われます。私たち発達支援チームは、子どもの発達や障害についての専門的なことだけを伝えるのではなくて、共に保育の中で集団活動と個別支援をどう共存させていくかを常に考えていけるよう、保育についてより学ばなければならないことも課題だと感じています。また、増加する保育園に対し、巡回相談が十分に満足してもらえるほどではないという現状もあります。そのために、私たちは発達支援に関する研修で、より多くの保育士に学んでもらう体制づくりもしています。必修と自由選択の研修がありますが、自由選択の受講生も多く、熱心に質問する真摯な姿に、現場保育士のサポートをして、より良い保育、その延長線上に発達支援が実現すると考えています。 ――この9月には、集団生活が苦手なお子さんと保護者をサポートしながら子どもの発達を促す「子育て支援室 すくすくぷらす」もオープンされました。田中さん 「子育て支援室すくすくぷらす」は、集団のなかで過ごすことが苦手なお子さんとその保護者への支援を行い、子どもの発達を促す教室です。これまで「すくすくアスク相談室」で個別プログラムを提供してきました。「子育て支援室すくすくぷらす」では、個別指導クラスに加えて、「わくわくクラス」「ソーシャルクラス」といったグループクラスも開催、開室日も大幅に“ぷらす”することで、より充実した支援体制を目指します。お子さんへの直接指導に加えて、保護者の子育て相談や、各種アセスメントも受け付けます。利用するお子さんが通う保育園・幼稚園・小学校といった日常生活の場との連携を大切にし、様々な角度から子どもたちがより良い日常生活を送れるようにサポートします。」 青柳さん 当社は子育て支援事業最大手の会社ではありますが、最大ではなく最高の保育事業者であることを目標にしてきました。今後もより質の高い保育サービスを提供するため、できることはどんどんチャレンジしていきたいと考えていま【前編はこちら】「発達障害の子どもたち」のケア疲れで辞める保育士が増加…保育現場で必要とされる「発達障害支援」の役割とは? 【ダ ヴィンチニュース http://ddnavi.com/news/326458/a/】子育ては一人で抱え込まず、現場と上手に情報交換ゆくことですね。🌠
2016.10.12
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「発達障害の子どもたち」のケア疲れで辞める保育士が増加…保育現場で必要とされる「発達障害支援」の役割とは?【前編】文科省の調査によると、小・中学校の通常学級に在籍している発達障害者の割合は約6.5%。保育園にも発達障害の子どもがいるのは当たり前の時代となっている。しかし保育士は発達支援の専門家ではないため、悩みを抱え自信をなくし現場を去っていく人も多いという。その問題にいち早く危機感を抱き、10年ほど前に「発達支援チーム」を発足したのは、全国168カ所で保育園を運営する子育て支援事業最大手の株式会社JPホールディングスだ。 その活動内容と、今までの取り組みによる保育現場の変化について、取締役の青柳淳子さんと発達支援チーム主任の田中雅子さんに話を伺った。――発達支援チームを発足したのは、何かきっかけがあったのでしょうか。青柳さん 保育園は園児を選んでいるわけではありませんので、発達障害のある子は普通に入ってきますし、0歳から預かっていると成長の過程で気づくこともあります。それはどこも同じだと思うのですが、10年ほど前、当社が運営する保育園に入ってきたお子さんが、年下の子どもたちに手を出してしまっていたんですね。集団生活のなかでその子をどのように保育するべきか、自治体の窓口や専門機関に相談しました。 ところが相談件数が多いという理由で時間がかかるので、会社に相談したところ、「それは子どものためにいち早く対応する必要があるね」という話になりました。発達支援の専門家に相談したり、研修に招いたりするうちに発達支援チームが生まれたのです。 発達障害があるお子さんは、同じ発達障害の診断名でも、子どもによって様子や対応が異なるんですね。同じ自閉症の子どもでもタイプやレベルが違うために前例が通用しない、というようなことがたくさんあります。そのむずかしさのなかで「どう対応してあげたらよいのかわからない」と、自信を無くす保育士がいたことも、発達支援チームが必要になった理由のひとつです。 ――子どもの発達障害は、集団生活のなかで見ている保育士さんのほうが親御さんより先に気づくことが多そうですが。田中さん そうですね。たいていの保護者の方は子どもの特徴を個性と思いたいものです。例えば手が出てしまう行為ひとつとっても、発達障害が原因のこともあれば環境要因での情緒不安定、成長のひとつの段階の場合もあります。落ち着きのないお子さんは叱られることが増えるので、情緒も不安定になってますますエスカレートすることもあります。必ずしもそれが発達障害だとは限りません。 発達障害かどうかは医師が診断します。私たちが発達支援をする際に大切なことは、そのお子さんの発達を理解することです。そのために、そのお子さんが生まれてから現在までの生育歴をきちんと把握し、担当の保育士からも細かい情報を集めて、現状の行動や言葉の発達なども総合したうえで、どのように発達支援していくか考えます。 ――発達支援チームはどのような活動からスタートしたのでしょうか。青柳さん 発足当時はまず研修からスタートしました。当社が運営している保育園に出向いて、近くの保育園の保育士にも集まってもらって研修をしたのです。そうすると、質問が非常に多くて驚いたんですね。「今うちの保育園にこういう子どもがいるんですが、どうすればいいですか?」といった質問はどれも切実で、研修が終わったあともみなさん残って話を聞いていました。 発達障害のあるお子さんの中には、行動のコントロールができなかったり、パニックを起こして止まらなくなったり、皆と同じ行動・活動をするのが苦手なお子さんがいます。そうすると、日々の集団保育がままならなくなるんですね。外へ散歩に行くような活動などはさらに配慮が必要になります。 そういった現場の状況を見て「これはもう発達支援の専門家に実際の現場に来てもらって、相談をする必要があるね」と、発達支援チームによる巡回相談をはじめるようになりました。 田中さん 保育園の現場を巡回して発達支援チームがまずおこなうことは、そのお子さんが何に困っているのか「困り感」を理解することです。発達障害のあるお子さんがいろいろな場面で不適応を起こすと、周りの人間が困っているように見られがちですが、一番困っているのはそのお子さん自身なんですね。これはとても大事なことだと思っています。もちろん保育士もどのように対応したらよいか悩んでいますが、保育士と一緒に考えるのが発達支援チームの大きな役割です。 ――発達支援チームの巡回指導では、具体的にどんなことをしているのでしょうか。田中さん 発達支援チームの巡回相談では、保育現場で一緒に参加し、子どもたちの様子ををさりげなく観察します。そのなかで子どもたちの様子や、苦手なこと得意なことなど、気がついたことを保育士や園長などと話し合いをします。もちろん、園のほうから子どもたちの様子や、これまでの経過などの情報をもらいます。そういったものを総合して話し合いをしながら子どもたちの発達に見合った対応の仕方を考えていきます。 ただ、発達が気になるお子さんにとって良いと思える支援がわかっても、保育園は集団保育が基本なんですね。その状況のなかで何ができるかをはっきりさせることが大事です。それを、保育士と一緒に考えます。 保育士も新人からベテランまでいますし、それぞれ現場の状況も違います。だからこそ、子どもの発達に見合い、かつ、保育士が実現可能な提案を考えることが必要であり、難しいのです。そのため、園全体・社内のチームワークで、できるだけ細かなフォローやサポートができるようにしています。 ――そういう意味では、会社のなかに発達支援チームがあることは大きなメリットですね。田中さん まさにそのチームワークが一番の強みでもあります。自治体などでも心理士が定期的に保育園を訪問して相談に乗る活動は、最近とても増えています。でも会社のなかにその専門のチームがあると、巡回相談だけでなく、いつでも情報共有・連携が取りやすく、継続的にみていくことができるんですね。 社内には、リトミックや体操の先生もいますので、そういった違う部署の先生方とも情報を共有しています。発達障害のお子さんはある特定のものしか食べられないお子さんもいますので、栄養士と相談しながら給食に工夫をしたり、場合によっては保護者の方に食べ物をお持ちいただくなど、お子さんにとって一番大切で必要な対応を考えます。 また、保育士や看護士と一緒に、療育施設や病院など専門機関に行くこともあります。そこでどういう療育をしているのか見学をしたり、支援の仕方を教えてもらったりしています。さらに専門機関などと連携をとって協力し合うなど、できることがあれば積極的に進めています。このようなフットワークの良さや決断の早さ、そして会社のなかに垣根がないこともすごくありがたい環境だと思っています。 【後編につづく】【ダ ヴィンチニュース http://ddnavi.com/news/326189/a/】現場での支援体制も専門的な手解きが必要となってきているんですね。🌠
2016.10.11
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遅咲きのピアニスト 発達障害などの苦難乗り越え19日デビュー 東京□「みんなを笑顔に…」 広汎性発達障害、解離性障害、左耳感音難聴など、さまざまな障害を抱える女性ピアニストが19日、銀座の王子ホールで都内初のリサイタルを開き、“プロデビュー”を果たす。成人するまで障害のあることを理解してもらえず、いじめ被害や不登校などの苦難を乗り越えてきた、遅咲きのピアニストだ。リサイタルでは自作曲も披露する予定で、「みんなが笑顔になれるよう、心をこめて弾きたい」と話している。 ■自傷、いじめ、中退 リサイタルを開くのは、宮崎県在住の野田あすかさん(34)。生まれつき他人の顔を識別することが困難で、表情やしぐさから感情を読み取ることができないなどの症状があった。このため人間関係に極度のストレスを感じていたが、発達障害であるとは家族も思わず、中学生になると自分が分からなくなる解離性障害を発症、自傷行為を繰り返すようにもなった。高校ではいじめに遭い、不登校になって転校を余儀なくされている。 そんな野田さんにとって自分を発揮できる唯一のものが、4歳の頃に始めたピアノだった。抜群の集中力と努力によりコンクールで入賞するほど上達し、音楽の先生になろうと宮崎大学教育学部に入学する。 ところが、ここでも周囲とコミュニケーションがとれず、重度の解離性障害で長期入院することに。ピアノが原因ではないかと疑われ、半年間にわたり演奏を禁じられたこともあった。入院中の野田さんは、リストカットするなどし、大学も中退してしまう。 ■「あなたのままで」 転機は22歳の時、自ら望んで実現したウィーン国立大学への短期留学中のことだった。過呼吸発作で病院に運ばれ、そこで初めて、広汎性発達障害と診断されたのだ。帰国後の検査でも同様の診断が下され、それまで野田さんを苦しめてきたコミュニケーション能力の欠如が、生まれつきの障害だったことが判明。ようやく適切な対策が考えられるようになった。 当時、ピアノ指導を受けていた宮崎国際大の田中幸子教授の一言も、野田さんの生き方を変えたという。 「あなたは、あなたのままでいいのよ」- その後も自宅2階から発作的に飛び降りて右足が不自由になったり、左耳で低音が聞き取れない突発性難聴になったりと、新たな障害に見舞われるが、野田さんのピアノへの情熱は変わらない。平成18年に宮崎日日新聞社主催の宮日音楽コンクールでグランプリを受賞、21年のローゼンストック国際ピアノコンクールで奨励賞を受賞するなど活躍の場を広げた。 ■「娘を誇りに思う」 野田さんのピアノは、語りかけるような音色が持ち味。それが東京の音楽関係者の耳にとまり、実現したのが今回のリサイタルだ。 数々の苦難を乗り越え、ようやく新たな一歩を踏み出す背景には、野田さんと一緒に悩み、支えてきた家族の存在がある。父親の福徳さん(67)はリサイタルを前に、「回り道をしながらもここまできた娘を誇りに思う。王子ホールの聴衆のレベルは高いので、それに見合った演奏をしてほしい」と話す。 野田さんは今、リサイタルに向けて「寝るときと食事のとき以外は練習している」というほど、ピアノ漬けの毎日だ。 「私のピアノで、誰かが笑顔になってくれるのが一番うれしい。みんなにニコニコしてもらえるようなリサイタルにしたい」と話している。 チケットは全席指定の2800円で、チケットぴあなどで発売。 問い合わせはサンライズプロモーション東京(電)0570・00・3337。【産経ニュース http://www.sankei.com/region/news/161009/rgn1610090041-n1.html】例え遅咲きでも、一つの目標をもって挑み迎える今回のデビュー、何よりの親孝行でしょうね。🌠
2016.10.10
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知的障害者就労訓練の場に ボランティアのポイント、工賃に 取手市社協 /茨城 取手市社会福祉協議会(内藤義彦会長)は3日、知的障害者の就労支援のため、同市藤代に軽食喫茶「カフェウェルカム」を開店した。 市立障害者福祉センター「ふじしろ」の利用者(障害者)らが交代で接客などに当たり、職員と市民ボランティアが支える。 社協はボランティア活動に応じてポイントがたまる「ボラビカード」を導入。 ポイントがたまると社協に寄付し、工賃に上乗せさせるユニークな試みも始めた。 カフェは藤代庁舎敷地内の「ふじしろ」旧作業訓練棟を改修した客席22。 コーヒー(200円)やピザ(500〜600円)などを提供する。 マルゲリータピザのトマトは「ふじしろ」農園で利用者が栽培する。 カフェ担当の市社協職員、平嶋浩司さん(46)は「レジや皿洗いなどを利用者が分担し、就労訓練の場として市民とふれ合う機会を格段に増やしたい」と話す。 市社協は「ふじしろ」と「つつじ園」の二つの障害者福祉センターを運営。 利用者が通い、手織りの布製品や自動車部品の仕上げなどの軽作業に励む。 作業を市民ボランティアが交代で支える。 ボラビは、両施設でのボランティア(半日10ポイント)やカフェでの代金100円ごとに1ポイントを加算。 500ポイントたまると社協に寄付され、作業工賃に500円が上乗せされる。 カフェの営業は月〜金曜(祝日休)午前10時半〜午後3時(店内での物販は午後4時まで)。【毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20161004/ddl/k08/040/137000c】 ポイント制にして作業工賃に上乗せ、頑張る励みになりますね。🌠216万アクセス達成しております。いつもご訪問にコメント感謝です。
2016.10.09
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自閉症、ADHD、ディスレクシア…「発達障害児」の特性と、親の心構えを心理学者に聞いた最近では、出産前に出生前診断を受ける親も珍しくなくなりました。命の選別についてはさまざまな意見があることでしょう。我が子が“発達障害”…「就学時健康診断」で親に突きつけられる現実 出生前診断では、特定の遺伝性疾患は診断できても、発達障害までは分からないといいます。我が子の特性は、親が受け止めてあげるしかありません。しかし、実際に発達障害児をもつと、悩むことも多い様子。インターネットの掲示板にも、育児に行き詰まった方の切実な声が届けられています。もしも、生まれてきた子どもが発達障害と診断されたら、親はどのような心構えで育てていけばいいのでしょうか。そこで今回は、『発達障害の素顔』(講談社)著者で、乳幼児の心と脳の研究をする心理学者の山口真美さんに、発達障害とされる「自閉症」「ADHD」「ディスレクシア」について、お話を伺いました。 自閉症(自閉症スペクトラム障害)の特性と親の心構え――自閉症の子は「人づきあいが苦手」と耳にしますが、実際はどんな特性があるのでしょうか。 山口真美さん(以下、山口):自閉症は先天性の脳障害です。他人とのコミュニケーションが困難だったり、社会性の障害があったり、行動や興味に強い固執やこだわりを見せたり、という特徴があります。 自閉症の子は赤ちゃんの頃から、人とのアイコンタクトや接触が少なく、親に対する愛着的な行動も少ない傾向があります。3~4歳で言葉の遅れや友達付き合いが苦手、同じことを繰り返すなどの特性が出てきますね。だから診断も大体3歳くらいからです。――自閉症の子は「見える世界が特殊」と著書でも書かれていましたが? 山口:よく親御さんは「目を見てくれない」と言うのですが、実は自閉症児は視力がすごく発達していて、コントラストが強く出てしまう傾向にあります。そのため、顔の中でも白と黒で構成された「目」は特に強い刺激に感じ、なかなか注目できないのです。モノの見方も個性的で、一点集中して見る特性があります。相手の顔を見るときも、全体を見るのではなく、口などの部分に注目する傾向があります。 私たちとは『見える世界』が少し異なっているようです。また、聴覚も特異的で、日常の環境音やあらゆる雑音がかなり大きな音として耳に入ってきてしまいます。 一方、人の声は聞き取りにくい傾向にあり、それが言葉の遅れに繋がっているのではと考えられています。――自閉症の子を育てる親御さんはどのような心構えで育てていくといいのでしょうか? 山口:なるべく早く病気を見つけて、日常生活のルールを身につける訓練が必要です。しかし、その訓練の仕方が難しいため、臨床心理士などのプロの助けを借りたり、色々な施設に相談して、親自身が育児のノウハウを身につけることが重要なポイントです。 自閉症の子は、特にお母さんとの関係が大切になってきます。また、何に興味があるか、どんな能力があるかは個人で異なります。 成長してからも障害者枠である方が、その子にとって生きやすい場合もあります。何でも平均を求めることが良いとは限らないと思います。ADHDの特性と親の心構え――それでは、ADHDの子どもにはどんな特性があるのでしょうか。 山口:ADHDとは別名、注意欠陥多動性障害といいます。社交的なのですが、忘れっぽいといった不注意や動き回ることをコントロールできない多動、自分の感情や行動、発言を抑えられない衝動性もあります。 一番の問題は、就学したときにじっと座っていられないこと。幸い、ADHDは薬が効くので、学校での問題行動は少し抑えることができます。――親としてはどんな心構えでいるといいでしょうか? 山口:学校の授業では集中力に欠ける一面がありますが、コンピュータやゲームには没頭しやすく、その集中力はすさまじいです。画面上の制限された環境ならば、他に気をとられないため、夢中になることができます。そのため、その子の特性に合わせて勉強できる環境を整えてあげることも大事かもしれません。また、安全面において、知らない人についていかないように注意してあげてほしいですね。ディスレクシアの特性と親の心構え――ディスレクシアとはどのような症状があるのでしょうか。 山口:ディスレクシアは知的機能に問題はないのですが、読み書きだけができない学習障害のひとつです。 俳優のトム・クルーズなどもこの障害をもっていることで有名ですね。視覚的なものが苦手か、聴覚的なことが苦手か、大体はどちらかに分かれるようで、小学校に入ってから気づくことが多いです。――親は、どのように接してあげたらいいのでしょうか? 山口:まずは、できないことにはこだわらないことが大切です。読み書きが苦手なら文章を録音して聞くなど、色々なやり方があります。その子の苦手な部分を補える方法を教えてあげることが重要だと思います。まとめ山口さんのお話を聞いていて印象的だったのは、「発達障害は一つの個性の広がりで、私たちの中に存在する側面でもある」ということ。 診断はされなくても、人づきあいが苦手だったり、集中力に欠けていたり。特別ではなく、誰でも持ちうる部分でもあるということです。 「ただ、発達障害児を育てる立場になったなら、子どもの訓練も必要ですが、対応の仕方、意識的な教え方など親の訓練も必要になってきます」と山口さん。ちょっと個性的な子たちなので、「心に余裕をもって、専門家に何でも頼ること」、「自分も子どもも追い詰めないこと」が重要だそうです。その子にとって、どのような生き方が一番幸せなのか。個性をきちんと見極めながら、家族みんなで話し合っていけたらいいですね。●山口真美さん:中央大学教授であり、乳幼児の心と脳の発達を研究する心理学者。 著書は『発達障害の素顔 脳の発達と視覚形成からのアプローチ』(講談社)のほか、『美人は得をするか 「顔」学入門』(集英社)、『赤ちゃんに学ぶ 「個性」はどこから来たのか (あなたの「個性」はどこからきたのか 赤ちゃんに学ぶ)』(講談社)、『自分の顔が好きですか?――「顔」の心理学』(岩波書店)、『赤ちゃんは世界をどう見ているのか』(平凡社)など多数。【日刊アメーバニュース http://news.ameba.jp/20161006-491/】【楽天ブックスならいつでも送料無料】赤ちゃんに学ぶ「個性」はどこから来たのか [ 山口真美 ]我が子と向き合うことで親も成長できる、子育て、親育てですね。🌠
2016.10.08
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発達障害、環境汚染が原因か…早急な対策必要 発達障害が増加していることは、間違いのない事実です。 原因はまだ不明なところが多いのですが、前回 から取り上げている第10回の心療眼科研究会の招待講演は注目すべき内容でした。 講演は環境脳神経科学情報センター代表、黒田洋一郎氏による「発達障害のメカニズム」と題するもので、副題として「シナプス症の多様な症状とエピジェネティックな環境因子」という少し難しいタイトルがついていました。 内容をややかみ砕いて説明してみましょう。 発達障害に関する近年の膨大な研究は、従来遺伝的要因が大きく関わっていると考えられていたのですが、それは正しくなく、エピジェネティック(遺伝子の設計図に影響する遺伝子以外の)な環境因子がより重大な因子であることを明らかにしました。 確かにそれでないと、近年の発達障害の急増は説明ができません。 胎児のうちから約千億の神経細胞が他の神経細胞とシナプス結合という形でつながり、脳が形成されてゆきます。 その過程では、膨大な遺伝子が関与しています。 このシナプス結合は、生育環境や化学物質の環境によって調節されるので、一人ひとり異なった個性(人格)が生まれます。 この中で、特に発達をマイナス側に調節してしまうのが、我々を取り巻く有害な化学物質です。 日本では戦後近代工業、近代農業が発達し、膨大な化学物質を使用してきましたが、それらが人体、とくに脳のシナプス形成にどんな影響を与えるかは、ほとんど検証されずに、目的の戦後復興、経済発展をなし遂げてきました。 黒田氏は、奥様の木村・黒田純子氏とともに、神経科学者の立場から、「発達障害の原因と発症メカニズム」(河出書房新社)の著書で、複合汚染が人間の脳に対する影響について大きな警告を発しました。 最近の論文では、国内の3歳児の尿中に、有機リン系、ピレスロイド系農薬が100%、ネオニコチノイド系農薬が79.8%に残留しており、これらが影響を受けやすい子どもの脳発達に影響しうることが懸念されます。 特に、ネオニコチノイド系農薬は、植物の細胞内に入り込んで作用するため、洗っても除去しにくいので問題が大きいのです。 黒田氏は、実証を第一とする基礎科学の分野で活躍してきた方です。 環境化学物質の人体への影響についてはまだ必ずしも高いレベルの科学的根拠が出てきたわけではありません。 にもかかわらず、このことに大きな懸念を表明しているのは、卓越した科学的実績を持つ黒田氏の鋭い嗅覚からだと思われます。 もし、医学的、科学的結論が出るまで待ち続ければ、手遅れになることを感じ取っているのです。 今、国際的に見ても誇れるほどの高い知力を持っている日本人が、化学物質という人間自身が作り出した不良な環境のために、日本人全体の知力や意欲の重大な低下をもたらすことは絶対に避けたいものです。 これは、国が敏感に反応して対策すべき、重大事項だと思いました。 【YomiDr. https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161004-OYTET50039/ 】 【日時指定不可】【銀行振込不可】【2500円以上購入で送料無料】【新品】【本】発達障害の原因と発症メカニズム 脳神経科学からみた予防、治療・療育の可能性 黒田洋一郎/著 木村‐黒田純子/著 環境汚染は以前から唱われてきていますが、もっともっと入念に、取り組まないといけない課題なおのでしょうね。🌠
2016.10.07
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自閉症スペクトラムの子供たちのために動物園が開園時間を早める(豪) 子供たちにとって動物を間近で見ることができる動物園は、常に大人気のスポットだ。しかし全ての子供が同じ時間を共有し、楽しめるというわけではない。自閉症や高機能自閉症、そしてアスペルガー症候群など「自閉症スペクトラム」の子供の中には騒々しい音を苦手とする子もいるために、動物を見たいけれど周りの騒音が気になってしまい十分に楽しめないという場合もある。そんな子供たちのために、シドニーにある動物園が特別な計らいを見せたことが話題になっている。英紙『Metro』によると、シドニー市内にあるタロンガ動物園は自閉症スペクトラムの子供たちやその家族、友人などが静かな環境でリラックスしながら動物たちを楽しめるようにと、土曜日は要望が多ければ8時半に開園時間が早められるという。ちなみに次の早朝開園は来年初めに予定しているとのことだ。動物園のスポークスマン、スティーブン・ウィリアムズさんは「一般開園する前に、自閉症スペクトラムの子供たちに静かで平和な動物園を楽しんでもらうことは、とてもいい機会です」と『Sydney Morning Herald』に語っている。この取り組みは、「Autism Spectrum Australia(自閉症スペクトラムオーストラリア)」という非営利団体とのパートナーシップで行われたものであり、120名以上の動物園スタッフたちが、自閉症スペクトラムの子供たちが特別なアシスタントを必要とした場合に備えて事前に研修も受けているそうだ。土曜日の早朝開園に伴い、既に自閉症スペクトラムの子供を持つ家族43組が申し込みをしているほどの人気ぶりだ。自閉症スペクトラムの子供とその家族に配慮した社会的な取り組みは、今後もタロンガ動物園で行われる予定であり、動物たちとの触れ合いの場や展示コーナー、ケーブルカーでのスカイサファリなども楽しめるようになることが期待されている。タロンガ動物園は今月100周年記念を迎えるという。最近ではミーアキャットやコアラの赤ちゃんが生まれたことでも話題になっている。出典:http://metro.co.uk[excite. http://www.excite.co.jp/News/world_clm/20161003/Techinsight_20161003_304527.html]動物園の土曜日を早朝開園、有り難いですね。日本でもこんなささやかな取り組みが成されると、嬉しいですね。🌠
2016.10.06
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60年にわたり知的障害者を支え続ける 橋本美江子さん /奈良 入所者の思い受け止める 橋本美江子さん(82)=奈良市 柳生の古刹(こさつ)、芳徳寺に併設された障害者福祉施設「成美寮」(奈良市柳生下町)で23歳から40年あまり、職員として働いた。 80歳を過ぎた今も毎日施設に足を運んでおり、「死ぬ日まで会いたいわね」と入所者たちへの愛情を語る。 進駐軍の要請を受けて、知的障害児らを引き取っていた芳徳寺前住職の伯父、橋本定芳(じょうほう)さんから1957年、「手伝ってほしい」と請われたことが施設で働くきっかけとなった。 勤め始めたころは、昼も夜もなく子どもらと過ごし、休みは月に1日程度。 自由な時間が欲しいと思ったこともあるが、柳生の里をアコーディオンを弾きながら子どもたちと散歩した日々を「楽しかった」と振り返る。 入所者が日記や欲しい物などを書くため、「紙をちょうだい」と何度も言うことがある。 そんな時は「いっぱい紙をためてどうするの?」と大人の目線で対応せず、「いつか本になるかもしれないから集めときや」と、入所者がうれしくなるよう応じている。 「賢ぶらず、相手の思いをそのまま受け止められるところがあるかな」と自分を分析。 現在も20〜50代の知的障害者ら約30人が暮らす成美寮に毎日通い、入所者たちの刺激になるよう、一人一人に励ましや感謝の言葉をかけている。 「相手のうれしそうな様子を見ると、こちらもうれしくなる。いい循環が始まるのよ」と笑顔で語る。 ■人物略歴 はしもと・みえこ 1934年、岡山県生まれ。高校卒業後、助教諭試験に合格。小学校教員を2年半務めた後、芳徳寺で働く。 【毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20161004/ddl/k29/070/568000c】 相互作用で良い関係が持続できる、何より理想的ですね。🌠215万アクセス達成しております。いつもご訪問にコメント感謝です。
2016.10.05
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「あくまでしつけだった」 発達障害の2歳長男を収納ケースに閉じ込め死なせた父、悲劇は防げなかったのか「『ごめんなさい』のポーズをするので、しつけとして効果があると思っていた」-。奈良県生駒市で4月、長男=当時(2)=と長女(4)をプラスチックの収納ケースに閉じ込めて長男を死亡させたとして、会社員の父親(40)が監禁致死罪などに問われた事件。奈良地裁で9月にあった裁判員裁判で、父親は懲役3年の実刑判決を言い渡された。あくまでも「しつけ」だったという父親は公判で、「今となっては浅はかだった」と涙ながらに悔やんだ。子煩悩と評判だった父親はなぜ、残酷な犯行に及んだのか。背景には、子供の発育に悩み、相談しても解決の糸口すら見いだせなかった苦悩があった。発端は「リビングのテレビをたたいた」こと 公判で明らかになった事件の詳細はこうだ。 4月10日夕、2人の子供は自宅のリビングでテレビを見るなどして遊んでいた。両親ら家族4人で買い物に出かけ、帰宅した後だった。 2人がテレビを間近で見ていたため、台所で夕食の準備をしていた母親(36)が「テレビを近くで見すぎたらダメ」と注意した。しかし2人は言うことを聞かず、テレビにかじりついたまま。しばらくすると、別室で仕事をしていた父親の耳に、「パシャーン」という大きな音が聞こえた。父親がリビングに駆けつけると、2人の子供はおもちゃでテレビをたたいていた。「ガラスが割れたら危ないだろ!」。2人の頭に「ゲンコツ」をしたが、テレビをたたくしぐさをやめない。「こういうことをもう2度とさせないようにしないと」と考えた父親は2人を和室に連れて行き、プラスチックの収納ケースに長男、長女の順に入れてふたをし、ロックをかけた。 時刻は午後5時45分ごろ。台所で食事の支度中だった母親は状況を把握していたが、「前にもあったから大丈夫だと思っていた」という。 約20分後の6時6分ごろ。父親がロックを外すと、長女はふたを押し上げて自力でケースを出て、両手を合わせて「ごめんなさい」のポーズをしてみせた。ところが、長男はぐったりしたまま。あわてた父親が110番し、長男は病院に搬送されたが、約7時間後に窒息による低酸素脳症で死亡。翌日、父親は殺人容疑で奈良県警に逮捕された。しつけは「痛みや恐怖」で 2人が閉じ込められた収納ケースは昨年8月、子供たちの「おもちゃ箱」用に購入したものだった。 グレー色で、外から中は見えない。大きさは幅約53センチ、奥行き約35センチ、深さ約33・5センチ。長女は身長約96センチで体重16キロ。中にはCDやおもちゃも入っており、身長約90センチだった長男をうつぶせに入れた上に長女を重ねればほぼ隙間がなく、2人は身動きがとれない状態だった。閉じ込めてしばらくは、子供たちの泣き声が聞こえたという。だが、10分ほどたつと長男の声はしなくなった。それでもなお10分間、父親が2人を閉じ込めていたのは、この行為が昨年9月ごろから、20回以上繰り返されていた「いつも通り」の“しつけ”だったからだ。 実は、両親はずいぶん前から2人の子供の発育に悩み、痛みや恐怖を与えることで「言うことを聞かせていた」という。1歳6カ月検診で「発達の遅れ」指摘、「言葉が通じない…」 「言葉で注意してもきかない場合は軽くたたいたり、親と離れて寂しい思いをするよう寝室に閉じ込めたり、洗濯かごを組み合わせて閉じ込めたりした」 公判で、母親はこれまでの“しつけ”をこう語った。さまざまな手法で「懲らしめた」末、「1番強いしかり方」として昨年9月から始めたのが、収納ケースに閉じ込めることだった。 2人はいずれも「1歳6カ月検診」で発達の遅れを指摘されていた。特に言語面での遅れが顕著で、「おは」や「ばいばい」などの簡単な単語しか話せなかったという。 しかも、車の前に飛び出したり、閉じ込めた寝室で出窓に飛び乗って遊んだり、窓から半分身を乗り出したりと、危険な行動をとることがあった。そんな2人に対し、両親は「ダメ」「危ないでしょ」としかったが、言うことをきかない。「言葉では通じない」と思った母親は、「どうしてもやめてほしいことは、軽くたたいたりして伝えた」。すがる思いで市にも相談したが、窓口で担当者から聞いたアドバイスは「見守ってください」だった。 「それでは危険から救うことは難しかった。言葉が通じなかったから」。証言台でこう苦悩を語った母親。薄いグレーの長袖シャツと黒色ズボンという地味な服装で、髪を一つに束ね、疲れ切った様子だった。子煩悩で穏やかな人が… 日常的に幼子をプラスチックの収納ケースに閉じ込めるという“しつけ”を繰り返していた両親。だが、周囲の評判などからは、子供を大切にしていた「幸せそうな家族」像が浮かぶ。 父親は、建設業の父と専業主婦の母、姉の4人家族の長男として育ち、米ニューヨークの大学への留学などを経て、大阪の市場調査会社に就職。約4年半前に結婚し、すぐに長女が誕生、続いて長男が生まれた。 知人によると、パソコンの分野に強く、社内のセキュリティー関係を一任されていた。性格的には、「超が付くほどまじめで、穏やかな人」。福井県立恐竜博物館を訪問した昨夏の家族旅行について、「子供たちが大はしゃぎでした」と楽しそうに打ち明ける「子煩悩な人だった」という。 母親も「毎日の子供の歯磨きや、時間があれば入浴もやってくれた。休みの日は、食事以外(の家事)はほとんどやってくれていた」と、家庭的であったことを証言。仕事中も、母親が子供の様子をメールで送るなど、子育てには深くかかわっていたという。 「危険とは考えなかった」 「愛情を持って接するのが子育ての基本方針。注意しても、ちゃんと理解してくれていないことも多かった。何とかわからせないといけない思いが強かった」 父親は公判でこう語った。子供を殴ったりけったりするのは「虐待」と認識していたが、約20回もケースに閉じ込めた行為については「異常がなかったので、危険とは考えなかった」という。 だが、「長男が苦しいと感じることはないと、本当に思っていたのか」などと繰り返し尋ねられると、「『ごめんなさい』のポーズをするかばかり見ていたので。もうちょっと細かく子供の表情を見ていたら、ケースに閉じ込めることはなかったと思う」と涙ながらに答えた。専門的なアドバイスは 子供の発育に悩む親は多い。専門的な治療やアドバイスを欲している家庭も多いはずだ。 発達障害の子供の診察や支援を行う「東大寺福祉療育病院」(奈良市)では、両親への支援として「ペアレントトレーニング(PT)」を実施。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のプログラムを日本風にアレンジしたものといい、同院では3年前に導入。これまで約30家族が実践してきた。 PTは2週間に1回のペースで全10回。5家族ほどのグループ形式で「講義」を受けた後、悩みや意見を出し合い、共に適切な対応を考えるという。 最も多い悩みは、「接し方がわからない」。担当する小児科専門医(50)によると、発達障害の子供の場合、「危ない」と言われても危険性を認識できなかったり、「○○をやめなさい」と言われてもどうすればよいのかわからなかったりするため、それぞれに合わせた「環境調整」が必要で、「子供の特性を理解し、適切な療育を行うことで生活の質を向上させ、自信を得られるようになる」という。 PTで親に毎回出す“宿題”の一つは、「子供の良いところ探し」。最初は困惑する親も次第に「こんな優しいところがあった」と変化し、修了した際に表彰状を授与すると、「子供に自慢できる」と笑顔を見せる母親もいるという。 専門医は「正しい療育が行われれば、発達障害をもっていても社会的に自立できる」と話した。週5日センター通いも「悩み打ち明けられず」 今回の事件で奈良地裁は9月15日、「身体拘束の程度が非常に強く、常識的に考えて死亡の結果が生じるのは容易に分かる。ほかに危険性のない適切な手段を容易に取り得た」などとして、父親に懲役3年(求刑懲役5年)の実刑判決を言い渡した。 発育に問題を抱える子供のしつけに悩んだ末の悲劇。防ぐ手立てはなかったのだろうか。関係者によると、長男とともに閉じ込められた長女は週5日間、母親に連れられて県内の「児童発達支援センター」に通っていた。だが、母親が悩みを打ち明けられるような友人はいなかったという。【産経新聞 http://www.sankei.com/west/news/160929/wst1609290001-n1.html】親であることの悩みや責任、どこでうまくバランスを図り、我が子の成長を上手に見守るか、核家族社会の盲点がまた一つ、残念な結果をもたらしてしまいましたね。🌠
2016.10.04
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ADHDと診断されて「たすけて」が言えるように。"親子で発達障害"の現実、漫画家モンズースーさんが語る「うちの子、なんかよその子と違う?」手をつながない、人と目を合わさない、癇癪が激しい、言葉が遅い……。漫画家・モンズースーさんの子どもが発達の遅れを診断されたのは1歳8カ月の頃だった。それから「発達障害」について調べ、モンズースーさん自身にも障害があることに気づいてADHD(注意欠陥多動性障害)と診断される。親子で発達障害という現実にショックを受けつつも、悩みの原因が明確になって「今まで言えなかった“たすけて”が言えるようになった」とモンズースーさん。絶望と希望の間で前を向き生きていく日々を漫画で連載したブログ「生きづらいと思ったら親子で発達障害でした」はアメブロ総合1位を獲得、コミックエッセイとして書籍化されるなど大きな反響を呼んだ。現在、二人のお子さんに療育を受けさせながら、ブログで漫画の連載を続けるモンズースーさんに、漫画『生きづらいと思ったら親子で発達障害でした』(KADOKAWA/メディアファクトリー)を描いた当時のことを振り返ってもらい、自分とお子さんたちの発達障害とどのように向き合ってきたのか話を聞いた。(c)モンズースー/KADOKAWA ■子どもの特徴が個性なのか発達障害なのか、親が見分けるのは難しい。——小さい子どもは多かれ少なかれ手がかかるので、モンズースーさんのように、「この子の個性なの? それとも自分のせいなの?」と不安を募らせた経験があるママは多いと思います。それだけに、親が自分の子どもの発達障害を疑ったり見分けたりするのはなかなか難しいですね。そうですね。しかも長男は、0歳の頃はよく寝てくれて育てやすかったんです。でも1歳をすぎた頃から癇癪がひどくなり、おっぱいに執着するようになり、夜泣きもひどいときは6時間ぐらい続いたりで、どんどん大変になっていきました。でも「このぐらいの月齢の子どもってこういうものなのかな。今だけならしょうがないな」と思えば我慢できたんです。息が詰まりそうになることもありましたけど、介護の仕事に復帰して保育園に入れたので、なんとか耐えられたところもあります。子どもの癇癪がひどいと周りの人も声をかけてこないので、それもむしろ気が楽だった。ただ、保育園という集団生活の中で気になったことはありました。たとえば、みんな一緒に遊んでるのにうちの子はいつも一人で遊んでいるとか、夜泣きが激しいから昼寝が長くて他の子とリズムが違うとか。でも保育士さんから特に注意やアドバイスはなかったので、そういう子なのかなという感じで問題視することはありませんでした。 ——長男の発達の遅れが気になったのは1歳半健診のときですね。他の子が絵本を読んだり、二語文をしゃべってたりしている様子をみて「うちの子と違う?」と。長男はいろんなことにこだわりが強くて、私と手をつなぎたがらず、目を合わせるのも嫌がったので、ずっと気になってはいました。母子手帳の成長と発達段階をチェックするシートも、できることとできないことがそれぞれあってグラフが凸凹になったので「大丈夫かな?」と。でも身近な人でそういうことを気軽に相談できる人はいませんでした。——お子さんの健診のとき、理解を示すどころか虐待扱いするひどい医師もいれば、親身になって話を聞いてくれる保健師さんもいますね。発達の遅れを診断されたのを機に探しはじめた病院や施設もさまざまで、親の分析力、行動力、判断力も重要だと思いました。発達障害の情報はだいぶ増えましたけど、相談窓口や施設は情報公開していないところも多いんですね。結局、探すのは親なんです。でも私は、長男の発達の遅れを診断されて「療育」という言葉を知ったとき、「現状を変えられるなら試してみたい。息子に合った支援があるなら受けさせたい」と思ったので、いろんな相談会に話を聞きに言ったりネットで探したりして支援施設や病院に何カ所か足を運びました。そのなかでわかったことは、住んでいる地域の病院、自治体によって対応も内容もまったく異なることです。私の経験ではあまり行政は力になってくれませんでした。療育施設の人も理解がある人ばかりではないですし、療育のリハビリ内容が子どもに合うかどうかも体験させてみないとわからない。それでもあきらめずに探し続けて、何カ所目かで訪れた病院で「言語発達遅滞」と診断してくれた先生が、はじめてちゃんと話を聞いてくれる信頼できる先生だったんです。その先生が紹介してくれた女性の言語聴覚士さんも、息子の「言語リハビリ」を上手に進めてくれたおかげで、少しずつ希望を持つことができました。(c)モンズースー/KADOKAWA(c)モンズースー/KADOKAWA■ADHDと診断されてはじめて自分に合ったカテゴリーを見つけられた——ご自身も長男の発達障害について調べているうちにADHDを自覚されます。二人目を出産後、はっきりと診断を受けて薬で治せることは治したいと前向きに考えるようになったのは、お子さんのためでもあったのでしょうか。最初、自分がADHDだとわかったとき、子どもに障害が遺伝したんだと自分を責めたこともありました。でもはっきりとした診断名が子どもの頃から感じていた違和感や生きづらさの原因だとわかって、自分に合ったカテゴリーをはじめて見つけたような気持ちになって楽になれたんですね。はじめて「たすけて」が言えるようになりました。(c)モンズースー/KADOKAWAこれがもし思春期だったら、自分がADHDであることを受け入れられたかどうかわかりません。ちゃんと支援してくれる人がいればいいですけど、診断されただけだと「あなたは普通の人と違います」というレッテルを貼られて終わりだと思うので。社会人でADHDと診断された場合、支援を受ける場所が少ないので、仕事や社会生活に支障をきたすような場合は薬を服用して改善できることもあります。私の場合は、頭の中がテレビがいっぱいついているようにざわついて集中できないことがあって、薬を飲むと頭の中のザワザワが消えて静かになるという話も聞いたことがあります。ミスや物忘れもありましたが、薬がなくてもADHDだと自覚して意識することで、ある程度は自分で症状を防げるようになりました。——療育支援施設に通う子どもたちの親御さんたちと、情報交換したり悩みを共有することはありますか?情報交換をすることはよくありますが、悩みは中々共有できませんね、皆それぞれ特性が違うので悩みも違うと思うんです。それに発達障害児のママにも色々なママがいます。自分の子の発達障害を認めたがらないママもいますし、逆に療育にこだわりすぎて施設だけで子どもを囲ってしまうママもいます。以前、おじいちゃんおばあちゃんが怒鳴り込んできた話を聞いたこともあります。「うちの孫は発達障害なんかないから支援も必要ない。そういう人間をうちの家系から出したくない」と言っていたそうです。自分の子どもに療育支援を受けさせるかどうかは親の判断にかかっているので、将来的に定型(発達者)の方と接する機会が増えたとき、その経験がポジティブな方向に進むかネガティブな方向に進むかは、そのときになってみないとわかりません。それでも自分の子どもに支援を受けさせて「これでいいんだ」と親が納得するためには、自分のなかで折り合いをつけないといけません。もちろんその後も悩んだり迷ったり子どもの成長と共に状況も変化するので、私が知っているケースでも療育施設から普通の園や学校に進んだり、その逆のパターンもあります。■支援施設か普通の学校か、迷い悩み続けても決断するのは親——モンズースーさんは今のところどういう選択肢を考えているんですか?上の子は療育を受けられる幼稚園に通っていて、公立の小学校に入れるかどうか考えているところです。下の子は運動面と言葉の面で遅れがあって療育を受けさせていましたが、癇癪はひどくないので今は公立の保育園に通わせています。来年は普通の幼稚園も検討していますが、まだどうするかわからないですね。子どもの特性って、親と子が1対1でいるとなかなか見えてこなくて、第三者の何気ないひと言で気がつくことが多いんですね。親はどうしても自分の思い込みで考えてしまうところがあるので、それ以外のことに気づきにくいんです。それに自分だけで考えていると追い詰められてしまうので。ですから私はすべてを自分で抱え込まずに支援を受ける一方で、両親が住む家の近くに引っ越して、よく助けを求めて甘えるようになりました。祖父母の存在も子どもたちにはすごくいい影響になっているみたいで、思い切って引っ越してよかったなと思っています。(c)モンズースー/KADOKAWA——単行本のラストに出てくる「私たちは 生きづらいけど 生きられるから」という言葉は、発達障害に関わらずさまざまな問題で悩んでいる親子が救われる言葉だと思いました。人に迷惑をかける行動だけは、親の責任でやめさせないといけません。でもその他の子どものこだわりや個性は認めて、好きなようにさせてあげるようにしているんです。たとえ何かができなくて最低限だとしても、健康で幸せを感じられたらそれでいいと思って。ブログに自分たち親子のことを描いたことで、「よくぞ描いてくれました」、「今まで言えなかったことを代弁してくれた」、「私だけじゃなかった」という感想をたくさんいただきました。私も苦しい時、同じような経験をしている人が書いたものが力になったので、今もし自分や子どもの発達障害で苦しんでいる人がいたら「私も一緒だよ!」と言いたいです。『生きづらいと思ったら親子で発達障害でした』よ【Huffington post http://www.huffingtonpost.jp/2016/09/30/adha--developmental-disorder_n_12275474.html 】育児も参考になるものが多くなり、それだけでも励みになりますね・・。🌠
2016.10.03
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福祉と連携 知的・精神障害被告、裁判で更生支援考慮 /東京刑事事件の被告に知的障害や精神障害が疑われても、医療や福祉とつながることなく、矯正施設を出て再犯を繰り返すケースが少なくない。そこで刑事裁判の前から司法に福祉の観点を入れようと、公益社団法人東京社会福祉士会や弁護士会の会員らが作る「東京司法・福祉連絡協議会」が活動している。協議会がスタートして3年目を迎え、司法の場でも社会福祉士の関与が認知されつつある。今年1月、窃盗の罪に問われた20代の男性に対する東京地裁の判決で、次のような言及があった。「これまでの刑事裁判とは異なり、社会福祉士が中心となって再犯防止等を目標とした更生支援計画が策定されている。内容は合理的なもので、更生を期待できる事情がある」 男性には重複した知的・精神障害があり、無施錠の自動車を見つけては一時的に乗り回し、放置して別の車に乗り換えていた。 担当した稲川静弁護士は「犯行様態が不合理で計画性がない。その一方で記憶力は非常に良いなど、能力の偏りは最初の接見で感じていた」という。社会福祉士の日下広一郎さんに協力を仰ぎ、更生支援計画を作成。犯罪防止や一般就労を目指すために効果的な支援が提供できる障害者施設への入所、精神科医や臨床心理士による医療的ケアの実施など、再犯を防ぐための対応を具体的に示した。 判決は懲役3年。障害が犯行に関わっているとの言及があり、量刑の判断では更生支援計画の存在が考慮された。男性が同様の事件で裁判を受けたのは初めてではないが、これまでの判決では障害と犯行の関連性に触れられることはなく、福祉や医療的ケアを受けたことはなかった。 弁護士会でこの問題に取り組む白木麗弥弁護士は「福祉や医療とつながることなく、刑務所を出た後に再び罪を犯してしまう『負の回転ドア』から出られないケースがある。それを防ぐための更生支援計画がこの判決では正面から評価されたと言える」と話す。 計画の実行は判決後からだ。日下さんは、現在刑務所で服役中の男性と手紙をやりとりして関係を保ち続けている。出所時は福祉施設の職員と共に迎えに行く予定だ。 出所時の実践がカギ 東京司法・福祉連絡協議会が活動を始めたのは2014年。東京社会福祉士会は、一定の研修を受けた「刑事司法ソーシャルワーカー」を養成・登録し裁判に関与する制度を設け、弁護士会の要請に応じ、容疑者の障害の見立てや効果的な支援方法を提案している。 協議会の発足で、東京社会福祉会に対する弁護士会からの要請は増えている。福祉が関与するようになった結果、繰り返し逮捕・起訴されていた人に障害があることを本人や司法が初めて認識したり、更生支援計画が判決で考慮されたりするケースも出ている。 東京の取り組みは、社会福祉士の活動費用を弁護士会費で賄っている点が特徴的だ。しかし、判決後のやりとりに必要な通信費や交通費は持ち出しなのが現状。出所時など更生支援計画の実践において最も重要な時期を支える資金の裏付けがない。白木弁護士は「継続して続けるにはボランティアベースではいけない。いずれ国が制度化し、予算を付ける必要があるのではないか」と話す。 〔毎日新聞 都内版 http://mainichi.jp/articles/20161001/ddl/k13/040/110000c〕 本格的に立ち上げ、継続させる為には、やはりボランティアベースは対応し切れない、これはあらゆる場面において、取り沙汰されそうですね。🌠
2016.10.02
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理研、対人記憶の貯蔵の仕組み解明-自閉症治療に活用期待理化学研究所脳科学総合研究センターの奥山輝大研究員と利根川進センター長らは、記憶や空間学習能力に関わる脳の器官「海馬」が他の個体についての記憶「社会性記憶」を貯蔵する仕組みをマウスで解明した。よく知る相手を思い出している時に、海馬内の「腹側CA1領域」と呼ばれる部分の細胞集団の活性化を確認。この細胞集団を光で人工的に活性化させると、忘れた相手を思い出すことに成功した。自閉症患者は、この社会性記憶が低下していると分かっている。このため、研究が進めば治療法の開発に貢献できる可能性がある。マウスはよく知る相手より、知らない相手に近づく性質がある。この性質を応用し、マウスの行動テストを行った。テスト対象のマウスが、よく知る別のマウスに接触する際の脳の活動を観察した結果、腹側CA1領域の神経細胞が活性化していることが分かった。マウスはよく知る相手でも、24時間程度離れると、相手のことを忘れてしまったかのような行動をとる。こうしたマウスに青色光で人工的に神経細胞を活性化できるたんぱく質を発現させ、青色光を照射したところ、長時間離れても相手を思い出させることができた。さらに、光で腹側CA1領域の神経細胞を活性化しながら、電気で恐怖刺激を与えると、恐怖刺激と相手の記憶が合わさり、相手のマウスを避けるようになった。同様に同領域の神経細胞を活性化しながら薬物による報酬刺激を与えると、相手のマウスに接近行動をとるようになり、記憶を操作できた。成果は30日、米科学誌サイエンスに掲載される。【日刊工業新聞 https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00401578 】マウスの行動テストの概要図。真ん中のマウスがテスト対象のマウス。同マウスと飼育箱で一定期間ともに過ごした「よく知るマウス」と、未知のマウスをそれぞれおりの中に入れ、各マウスに接触する際の脳活動を観察した(理研提供)記憶がいいとされる自閉症者も、社会性記憶では低下していることで対人関係が下手なのだろうか?いろいろと考えさせられる研究です。🌠
2016.10.01
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