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千葉県知事選で森田健作氏が勝ったのは、東国原宮崎、橋下大阪知事らの非政党派を国民が選んだ流れであろう。森田氏は自民党の議員をやっていたが、選挙運動で自民の応援を断っていたから、政党ばなれ現象がさらに一段とすすむことであろう。 今日の朝日新聞の社説は、「民社党 このまま沈むつもりか」と掲げていたが、いい加減なものである。小沢秘書逮捕事件でさんざん民社党を叩いて、こんどは風向きがかわってくると、あわてて叱咤激励調になっている。同じ朝刊に載っている週刊朝日の広告をみると、反対に激烈な検察たたき。「検察の劣化」総力特集として郷原信郎「民主主義を否定する特捜検察の暴走」、朝日の記者ではないNYタイムスの記者の上杉隆氏をつかって「報道されなかった小沢会見の重要部分」。同じ会社がどうしてこんなに違う言論を行うのか。こういうのは言論機関として不信を与える。世の中には法律をきちんと守らないといけないと考える真面目な人がたくさんいるから、法律の番人を自負する検察が、法律に違反する相手に対しては時と所をえらばず国家の権力を用いることは多くの人が正しいことだと思うのは自然であろう。そして七百万部ともいわれる大部数の読者をもつ新聞社は、そういう大多数の人たちの思考を金科玉条とするであろう。こうしてすかさず自社で世論調査すると直後の素朴な数字が出る。こうして世論が誘導される。しかし、数カ月以内に予定される選挙を前にして、多くの国民は政権交代を望んでいることはこれまでくりかえし行われた世論調査であきらかである。新聞社はそういう国民の要望をどう考えるのか。政権交代が行われる可能性が極めて大であるという時期に、国家権力が一方にダメージを与えるようなことをするのは、適当ではない。検察は恣意的に情報をリークするから、新聞はいつまでも情報をながしつづける。テレビは6つのチャンネルがかわるがわる反復映像を流し続ける。こうして国民の思考を混乱させ続ける。これで守旧状況がいつまでもつづく状況に新聞社が加担している構造がよめるというものである。
2009/03/31
3月5日に寺島実郎氏の講演を当会は行ったが、寺島氏が指導している日本創生ファンド計画は、食料自給率を10年以内に50%にし、長期的に70%に引き揚げる。海洋資源の開発で資源小国から資源富国へ。自動車の電化、中型ジェット飛行機の開発。宇宙科学の推進、月にロボットを送る。ソフト、文化産業、触媒産業の振興。国土形成戦略の形成などである。これらの新産業のプラットフォーム建設にはざっと10兆円を見込んでいる。この10兆円をいかにして工面するか。血みどろの予算獲得闘争は考えただけでも嫌気がさすという。それで、相続税減免の国債を10兆円発行して集めるというのが一案である。日本の資産1500兆の約半分は高齢者がもっている。この高齢者のお金を頂くには、高齢者はいずれ子や孫に遺産を相続しなければならないが、大きな額だと、半分近くは相続税でとられる。したがって相続税なしだったら、1億円以上持っている人は多いから、10万世帯が1億円出せば10兆円である。実際にはもっとばらついて集めればよいから10兆円は不可能ではないと思う。適当な例ではないが、戦前戦時は国家予算の2割か3割が軍事予算にとられ、なけなしの金で戦艦大和やゼロ戦をつくって世界に冠たる軍事国家を築き、国民はそれでもお国のためなら仕方がないといってお金を出した。私が子供のころ、小金持ちは俺は飛行機1台分献金したぞ、なんだ、それぽっちか、俺は5台だぞ、なんて威張りあっていた。これとおなじように金をもっている高齢者をこの手でさそったら、いかがであろうか。相続税減免の上に名誉まで受けて満足させれば、大いに眠っているお金の有効活用になる。
2009/03/28
小沢秘書の政治規正法資金違反の起訴がきまった。これは政権利交代が有力になり、そのときの新しい首相が小沢氏となることが明らかになるにつれて、官僚の代表である検察が法の公正執行と言う錦の御旗をかざして流れを妨害した権力闘争という性格がはっきりした。小沢が次期総理になっては困るといいう態度がすけて見える。過去にも何か官僚組織にとって不都合なことを発言している人物のスキャンダルを暴き出して追い落とすというケースが数多くみられたからである。そして、俗流の正義をかかげる大新聞社がさらにそれに乗って記事を書いて追い落としをかけるという図である。この官僚にとって不都合と言う場合は、アメリカ「にとって不都合という場合と重なっていることが多い、官僚は日米路線の間で決まった事項に安住しておれば、我が身は安泰であるからである。こういうことは一種の暗殺あるいは島流しに近い。刃物で刺さなくても、法律をかざし、スキャンダルを暴けばいいわけである。「暗殺」された人物はあっというまに発言の場から姿を消してしまう。朝日はにわかに小沢追い落としの社説を大きく掲げた。一方、自民党サイドでも二階堂氏の献金事件、平田副大臣の辞任事件が起きた。平田の事件は相当悪質だろうと思う。検察は最初自民党には、波及しないであろうと漏らしていたのが、内部でも異論があるためか、急にバランスをとって自民党の件もリークしてきたのは、検察に国民の批判がむき出したら、国家の信用が問われることになるからであろう。小沢秘書事件によって民主党のいきおいがそう変わるとはおもえないが、国民はここ一番、高度な政治学習をする必要がある。
2009/03/27
今日でイラク戦争6周年目になった。すでにイラク戦争は誤った戦争であったことが当のアメリカでも認識され、アメリカの中東政策がことごとく誤りだったことが反省されている。イラク戦争で、アメリカ兵もアフガニスタンを含めて死者5千人、負傷者5万人に達し、とくにファルージャでの戦闘ではむちゃくちゃな海兵隊の住民差別なしの戦闘がイラク帰還兵によって告発されている。私はその生々しいビデオを見たが、彼らは住民虐殺の命令をうけ、自分がそれに従ったことをこもごもに深く反省し夜も眠れないと語っている。アメリカ兵の戦死者もさることながらイラク人の死者は十七万人とも言われている。湾岸戦争時とあわせて三十万人もの人が亡くなったわけだ。近隣諸国に逃れた難民は400万に達するという。こういう惨禍をもたらしたアメリカ側が中東の民主化だと言いだしても、イラク人は信用しないだろう。イラクでとにかく選挙をした結果、人口数の多いシーア派の住民がシーアの政府を選んだ。それがもとでまた動乱が起き、アメリカが傀儡にしたかったシーア派政府自体がアメリカの早期撤退を要求し、ますます何のための戦争だったかを思わせる。22日の朝日朝刊は「テロとの戦い 中東民主化へ支援強めよ」という社説を掲げたが、内容を読むと、日本の大新聞の編集者がいまだにこの程度の理解なのかとあきれた。中東人の心情に対しておどろくほど無智である。まるでブッシュ時代のアメリカ人と同じだ。私は東京外語大で中東専門家による講座を1年間聞いたが、かなり右寄り的な人でも「テロリスト」という言葉をまったく使わなかった。「テロリスト」というのをアメリカがいうならわかるが「テロリスト」という人がどういう人たちなのかを深く検証もせず、安直につかう大新聞の論説委員は浅薄さをまぬかれない。ベトナム戦争のときも、新聞は北ベトナムゲリラ兵をベトコンと呼び、サイゴンが危なくなると、「情勢は悪化した」と表現した。私が電話をかけて、そういう表現は適当ではない、と言ったら、編集委員は、さも見下したように「当たり前の表現だ」と電話をすぐ切った。まるで役人のようなおうへいな態度だった。巨視的にいうなら、中東諸国は歴史的に反欧米である。穏健な国といわれるサウジアラビアでさえ、欧米がごり押しでイスラエルを支援したときには、石油を武器にして対抗した。欧米が暴力的にやってきたときに、アラブあるいはペルシャの血気盛んな人達が過激な行動にでることは押しとどめようがない。そしてそういう人たちを支援しているごく普通の人たちがかなり広範囲にいるということである。だから武装集団というのは、日本の幕末の時のような脱藩者の単独行動ではない。民主化が大事なら、サウジアラビアこそアメリカが影響を行使して民主化すべきであるのに、いまだにそれができない理由を考えてみたらどうか。中東は過激集団、穏健集団が同時併行的に外国の帝国主義的な軍隊はもう出て行ってくれといっているのであって、そういう中東全体にみなぎる空気を感じないといけない。
2009/03/22
昨日のテレビで世田谷区民が出した古新聞紙の持ち去りについてテレビ局の人が追跡報道していた。テレビ局の人が持ち去りの業者を難詰すると、「仕事がない」「生きていけないから」「罰金覚悟」という開き直りともいえる言葉が飛び出した。こういう零細な仕事をしてその日の糧をなんとかかせいでいる人たちを追い詰めると、収入の道がなくなった人たちを暴動や犯罪におしやる結果になる。日本中の家庭が防犯カメラを備え付けなければならない羽目に陥ったり、防犯団体に駆り出されたりしたら、この世は闇で、誰もそんな社会を望まない。国全体として、生存権が脅かされる段階にまで失業者を出さないことが大切だ。どうして仕事を生み出すか。これからいろいろ考えていかねばならないだろう。1500兆の国民預貯金の半分は65歳以上の高齢者が持っているが、高齢者はこのお金を使うところがない。それで国債を無利子で買ってくれた人には生前贈与として相続税を減免すれば、お金が若い人にわたり、消費に回るのではないかという試みがあるようである。こういうお金を生かして新しい事業を興し、仕事を作り出すということを真剣に考えていかねばならないだろう。そういう新事業にお金を出す高齢者には名誉を与えたり、その名を歴史に刻んであげるのも一法である。もうひとつは人の仕事を奪い取るようなことは止めねばならない。大スーパーなどはこれ以上必要ない。大スーパーができると、なんでも囲い込んでしまって、数百の小売店がつぶれる結果になるからだ。昔から偉大なセフティネットは農村の実家だったり、実家の商店だったりした。そこで親兄弟や土地の人がやさしく失意の人を迎い入れてくれ、心のセフティネットの役割もした。しかし、核家族になり、地域が消滅すると、そういうところがなくなり、帰る実家もない人がネットカフエなどに泊まるようになる。
2009/03/18
小沢民主党代表の秘書逮捕事件は、小沢氏自身の進退にかかわることもあり得るので、政権交代にも影響してくる。私はいまだに検察のやり方に怒っている。こんなことを検察がときところをわきまえずにやるのなら、国家権力がこの国の最高権力者ではないか。ところが相手が検察だと評論家もマスコミも腰が引けて、発言はグズグズだ。しかし週刊朝日の今週号ではジャーナリストの上杉隆、田原総一朗、青木理、堀江貴文、桐陰横浜大教授の郷原信郎の各氏が不適切な行為であると言い、鳥越俊太郎氏も私と同じ見解であった。さらに今朝の朝日朝刊では、米コロンビア大学教授のジェラルド・カーチス氏までが、数カ月以内に総選挙があり、政権交代が取りざたされ、次の首相になる可能性のある小沢氏を政治資金規正法違反という形式犯で秘書を逮捕するというのは極めて異常である、検察は逮捕に至った理由について説明責任がある、そうでないと国家に対する信頼も地に堕ちると言っている。小杉氏は旧田中派と検察特捜部の歴史的な暗闘で、小沢氏と検察との最終戦争であると言っている。もし小沢が政権をとれば検察や法務省の最高幹部を一掃するだろうから、小沢政権は許すわけにはいかないとのことだ。与野党が騒ぎ出してから、バランスをとるつもりか自民党の二階氏も捜査すると検察は言を変え出している。法律論はどうあれ、国民の多くが政権交代を期待している矢先に、こういう逮捕劇を行って選挙の行方に影響を与えるというのは、不適切である。国家の越権行為だ。
2009/03/13
9日夜は元東京工科専門学校長芦田宏直さんを励ます会を開き、20数名の人があつまり盛会だった。小渕少子化担当大臣も子供を連れて登場、大変な母親ぶり。大臣という感じがしないただの参加者の一員という感じ。芦田さんが専門学校の経営のプロで多彩な人、なんとか新しい働き場所が見つかればいいと皆で熱いエールを送った。先週から実にあわただしい日々だった。5日の寺島講演の翌日、息子がロスから出張してきて2泊、アメリカは不況で大変らしい。飛行機もガラガラ、街も閑散としているとのこと。アメリカの消費事情を聴いたが、なるほどアメリカというところは人に否応なく消費をしいる構造になっている。これでは人々は消費に追いかけられ、借金に追いかけられ、深みにはまってしまう世界だな、と思った。聞きしにまさる恐ろしい消費地獄社会だ。土曜日に墓掃除にいく。妻が携帯と財布を失くし、大慌て。春先はなんとなくあわただしく、人間の注意力は散漫になる。お互いにご用心ご用心。3月は税金の申告、決算、卒業、4月は入園、入学、入社、とこれまた悲喜こもごもの月である。ほんとうに桜の咲く時期というものは、ふわふわと落ち着かないものだ。小沢秘書逮捕事件のニュースが毎日報道される。しかもテレビ6チャンネルは日に何度も流すからこの影響は大きい。この国の権力はやはり官僚がにぎっていることを今回の事件はまざまざと見せつけた。法治国家であるから法律を実施するのは官僚だからだ。官僚を守るのは民主党より自民党であるから、自らの防衛手段に権力の刀を抜いたのだ。それをマスコミがじゃんじゃん流す構造になっている。官僚に弱みを握られないために、政治献金制度というのを完全に撤廃しなければならない。民主党が政権を握ったら、そういう社会に大転換をしなければならない。
2009/03/11
地裁特捜部による小沢民主党代表の秘書逮捕事件はなんともいまいましい事件である。国民が期待をもって臨もうとしている総選挙前という時期にあって、こういう国家権力の行使ははっきり言って適当ではない。こういうときに国民の考える措置は、ものさしを変えてみるしかない。小沢代表の秘書がたとえ法律に違反していようと、人々の多くが、昔から英雄人材がたとえ汚れていようと、大事をやらせてきた事例にならうべきであろう。清潔や道徳を優先するあまり時代の流れや物事の趨勢にさおさすことのないよう考えるしかない。 政権交代という大事を何としてでも今回は実現しなければならない。5日の寺島実郎氏(当会顧問)の講演会は120人も人が集まった。会場に入りきれなくてやむを得ずお断りした人も数十人に達した。寺島さんが現状分析をしたあとで、内需拡大をはかるには、農業を企業が行えるようにすること、宇宙事業への発展、中型旅客機の開発、新エネルギー事業開発などで雇用を拡大するビジョンを示した。6日の朝日朝刊では、早くも寺島さんが提言されたロボットと有人宇宙開発計画がスタートしたことを報道していた。日本に対する期待はますます高まっている。日本は技術、人材、金があり、実力は十分である。しかし、残念なことに、これを束ねて構想する力やまとめる力が弱い、とは寺島さんが長いこと主張してきたことである。ドルは中国についで大量の蓄積をもっていながら、それが日本における新事業に投入されないで、アメリカの国債に大量に投資されており、貴重な国民の貯金が、金利がバカ安いために円キャリーで外国に流れている。日本はサウジアラビアとちがうのである。金を国内で有効投資する道はいくらでもあるのに、それをわざわざ外国に利用させている。なんともいまいましい限りである。うれしいことに、5月12日(火)は「グローバル経済の本質」というテーマで三菱UFJ証券参与の水野和夫氏に講演が決まった。たのしみである。
2009/03/08
小沢民主党党首の側近秘書が西松建設の政治献金問題で西松側の元トップと共に逮捕された。政権交代の可能性のある選挙の前に何とも苦々しい事件である。小沢氏は田中角栄元首相の1の子分で最も忠実な後継者である。田中角栄は1972年7月に首相になり、1974年末にロッキード事件の疑惑を受けて内閣総辞職し、退陣した。彼はわずか在任2年であったが、この間に日中国交回復、第一次オイルショックの収拾、日本列島改造論など非常に大きい仕事をし、アメリカべったりにならずに、ソ連から石油をもってくるなどの画策をし、いわば民族派の首相として大胆なことをやってのける力があった。だから今にして思えば、もうすこし政権を長らえさせて、大きなことをやらせたほうがよかったと思う。ところがカネにまつわるダーティな部分は覆うべくもなく、巨悪などとマスコミで言われた。したがって検察のターゲットになり、立花隆氏の追及にあったりして潰えた。当時はロッキードで巨悪が刺された。万歳だ、というのが普通のとらえ方であった。しかし、田中以後の首相は凡庸な人ばかりで、いったい何をやったかわからない。その田中角栄の忠実な後えいが小沢一郎で、彼は自民党を飛び出して新進党など次々に新しい勢力を作り出し、細川内閣をつくって政権を交代させた。その細川内閣は消費税を7%にしてそれを福祉税にあてるなどいい政策をしようとしていたのに、自民党は佐川急便のヤミ献金問題をついて執拗にゆさぶりをかけ、細川氏はいやけがさしたのか、11か月でさっさと降りてしまった。しかし、この細川内閣のときは世の中の空気が変わり、国民は期待がもてた時代だった。小沢一郎は、ずっとぶれない政治家で器量が大きく、物事を変える力がある。だから今の日本にとって必要な人である。退陣させてはならない。アメリカと対等な関係を志し、官僚制度をぶったぎる力を持っている。だから私の本音は検察は余計なことをしてくれた、国家の暴力、官僚の恣意的行動ではないかと疑っている。不快な気持である。検察官僚は、うさんくさいターゲットはいくらでもあるから、どれからやるかは、もちろん彼らの人気を高めるところをやる。そういう点で恣意的である。法律は最高に強く、誰も違法を排撃することに反対はできない。小沢一郎は献金の違法性はないと言っている。それを信じたい。さて、何をいいたいかであるが、物差しには2つあって、国益に有利なことをしようとする政治家がスキャンダラスなところがあって、政敵からそれを衝かれ、検察が動き、失脚させられるようなことをどう考えるかである。法律の小さな正義の剣を振り回すか、いちじそれはやめておいて、よい政治家に大きなことをやらせるかである。この点については私はよくわからない。だが、小沢一郎に次期政権をとってもらいいろいろ懸案の大仕事をやってもらいたいから、検察のやったことに不快感をもっている。
2009/03/05
まず、人類の歴史をみると、機械・技術の進歩にしたがって人力が機械に置き換えられてきたことがわかる。いちばんよく歴史に描かれるのは、農村の女性たちの手内職であった糸織作業が機械紡績業でなくなったこと、馬車などの動物に頼っていた運送が鉄道に変わったこと、そのために仕事を奪われた人たちが暴動を起こしたり、機械を壊したりするラッダイト運動がおこったことがあった。生産力が飛躍的に向上するときには、人手は要らなくなるのが流れであった。ここ数十年で人手を大幅に減らしたのがIT革命である。ソロバンからコンピュータに移るにつれて銀行でたくさん雇っていたソロバン屋さんたちがいなくなった。スイカとかパスモの普及で駅員は大幅に減った。製造業では、コンベアシステムで労働を単純化し、人を減らしたが、それがさらに無人化になって人を減らした。流通業では、スーパー、コンビニなど店舗の無人化によって店員がいなくなった。すべて資本主義がすすみだすと、人件費を削減するために、あらゆる可能な人減らしを考え、ついに中間管理職まで不要になりつつある。経営学の主なテーマの一つはコスト削減であり、人減らしがあたかも正義のように言われるようになった。しかし、こういうことは行き過ぎると、反人道主義になってくる。さらに労働を平準化し、単純化するということは労働の面白みをすくなくし、頭を働かせるとか、工夫するとかの人間の創造の喜びを奪っていく。面白くない仕事だから愛着がもてなくなり、やめてしまうから転職がかぎりなく発生するとことになる。こういうことになっていくのは、資本主義の独占、寡占化が進み、ある一部の力がある人たちが自分たちの利益や既得権を守るために、このように導いてきた、ということが言えるだろう。一方で資本主義が進めば雇用を創出するということもある。日本の高度成長時代は労働者は金太鼓でたたいて集めなければならなかった。大スーパーができると、周辺の商店街はつぶれてしまい、商店街の二代目三代目の子供たちが家業をつぐことがなくなり、どこかに働きに出る。農村も二代目はいなくなる。圧倒的に多くは賃金労働者か給与生活者である。この雇用を守り、それも働き甲斐がある職場を国民にあまねく供給し、失業者をなくすということが、これからの国家の、あるいは企業などの、あるいは経営学者、経済学者の最大のテーマになるだろう。
2009/03/03
ロバート・ビッカーズという人の書いた「上海租界興亡史」(昭和堂)を買ってきて読み始めたが、いい本を買ったと思う。この本はティンクラーというまったく無名の男が1919年に上海に行き、1939年に日本の海軍との偶然の衝突から死ぬのであるが、伝記といえば、有名人と決まっているが、この歴史家の著者は無名のとるにたりない下層民だった主人公を取り上げた。著者は、イギリス帝国主義の実態は何だったのかというその真実を明らかにするのが目的であると言っている。そしてロンドンにある軍事博物館に通ってティンクラー文書を調べ、遺族にも会い、救世軍にも問い合わせ、アメリカ、台湾まで飛んで調べ、上海の档案館で工部局の詳細な記録を得ている。イギリスのよいところはこういう無名の人間の記録まできちんと保存しているということである。上海の档案館はイギリスが中国から撤退するとき、公使館に保存していたすべての瑣末な資料まで焼かずに引き渡してきいた関係で工部局のティンクラーの勤務報告書まであったわけである。著者が丹念に調べて得た結論は、イギリス人がカナダ、南ア、アメリカ、オーストラリア、ニュージランドなど英連邦、植民地に移住したのは、なにもロマンティックな夢とか希望を追ったわけではではなく、単に仕事がほしかっただけだとしている。こうして「上海工部局の警官を募集」というような3行求人案内で見てやってきたのである。私が調べていたのは19世紀後半におけるイギリス下層民であるが、20世紀に入ってからは、第一次大戦後大量の復員兵の失業者が発生し、彼らがイギリス植民地に分散、吸収されていったことがわかった。だんだん世界史の秘密がわかってきた。アングロサクソンは革命を避けるために海外植民地やアメリカなどの新開地に下層民を出すことで下層民失業問題を解決し、豊かな社会を築いた方式がうかがわれる。スペイン、フランスが南米やアフリカに余剰人間を出したのと同じように。ということは、人類はたえず人間の数より仕事の数がすくなく、仕事は奪い合いだったといえよう。日本では戦後の高度成長で仕事に欠乏することはしばらくなかったが、バブルが崩壊してからは仕事がすくなくなった。アメリカの過剰消費で市場が広がり、中国への輸出も急上昇した間は好調だった。しかし、ここにきて、派遣社員が斬られ続けている。派遣社員をさきほどの下層民になぞらえるのは、ちょっと気が引けるが、この人たちの仕事をどのようにして創出するかが今後のテーマであろう。そしてどうして仕事が少なくなってきたのか、それは奪われつづけてきたからであるといえよう。オバマの仕事は、アメリカの下層労働者にどういう仕事を創出するかがメインになるだろう。アメリカの上層階級は、オバマにこのことをやらせるために彼を選んだのであろう。
2009/03/01
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