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私のサイトの中の「企画実施会社一覧」のページをあらためて眺めると、「MK」と「オリオンツアー」の間に「小田急箱根高速バス」がいる。頭では分かっていても変な感じ。なんとか近いうちに「企画実施会社一覧」と別に「高速路線バス・取扱会社一覧」みたいなものを作れるように路線バス事業者への営業をがんばらないと、と、あらためて気分が引き締まる。同時に、なんとなく、大阪駅前のバス停のことを思い出した。今は工事のためレイアウトが変更になったようだが、私が大阪で働いていた頃、大阪駅御堂筋口のバスターミナル(基本的に大阪市交通局の路線バスのみ発着)からバスに乗って会社まで通っていた。そのうち一つのプラットフォームには、他と同じように大市交の停留所が並んでいるのだが、前から3つのポールだけは深夜急行バスの停留所も兼ねている。大阪駅(梅田)周辺に自社の停留所を持たない事業者に、深夜だけ貸し出されているのだ。その深夜急行の顔ぶれが印象的だ。1番ポールは「南海バス」。2番は「国際興業大阪」。そして3番は「はくろタクシー」。老舗事業者であるが、大阪南部を事業エリアとして梅田に停留所を持たない南海に、深夜急行だけ大市交が停留所を貸すというパターンは、他の地域でもよく見受けられる。既存路線バス事業者という同じ「村」の住人どうしが融通しあうイメージだ。では国際興業大阪は、というと、たしかに国際興業は東京・埼玉で手広く路線バス事業を行なっているので「同じ村」と言えば言えなくはないが、大阪では貸切事業のみ展開しており分社化も済んでいて、「村」と言いきるにはやっぱりちょっと無理がある気もする。そして、はくろタクシー(姫路市)についてはその名のとおりタクシー中心の事業者であり、この深夜急行で初めて乗合バスに進出した(現在は路線休止)。はくろの社長はよく存じ上げているが、パワーあふれる交渉力で大市交に立ち向かい、この停留所の権利を得たのだろう。この、1番ポールから順に「南海バス→国際興業大阪→はくろタクシー」という「序列」はなかなか見事だ。同時に、「村の境界線」がどれほどあいまいか、象徴している。さて、この境界線がこれからどう変化していくのか楽しみだ。
2009.03.31
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本日の神戸新聞に、神姫バス社長のインタビューが掲載されている。「バスは儲からない」と割り切った上で、それでも「バス会社には地域の足を守る責任がある」とし、記者さんは「本業以外で稼ぐしかない、と迷いがない」とまとめている。神姫バスは、私の出身地の事業者だから興味深く拝読した。写真でお顔を拝見すると温厚そうな方に見えるが、大変厳しい状況の中、様々な「副業」で利益を確保し経営を維持しながら、「本業」では姫路市交からの路線譲渡や全但バスの(救済)出資など積極的な様子が伝わってきた。私自身、路線バス事業者で正社員として勤務した経験はないわけだが、学生バイト(それも5年間も。計算が合わないのは、バイトが楽しくて大学をさぼっていたから)や一愛好家(?)として路線バス事業者をずっと横から眺めてきて、「バス会社には地域の足を守る責任がある」という社長のご意見に賛同するというか、そんな路線バス事業者の思いに、(勝手に?)誇りを感じていたこともある。ただ、実際にホテル、そしてインターネットの企業で事業にたずさわる中で、その考えに疑問を感じ始めたというのが正直なところだ。つまり、神姫の社長さんは「バス事業以外で利益を増やすしかない」と語り、具体的にはビルやマンション賃貸、介護、保育園などの事業を挙げておられる。ただ、それらはいずれも競合企業がいる世界である。今の時代、例えば普通のデベロッパー(仮に、例えば住友不動産)の賃貸ビルとバス事業者の賃貸ビルが並んでいたとして、高くても地元のバス事業者のビルにわざわざ入居する企業があるとは思えないし、介護など、介護保険制度が始まってなお事業者の利益率も従業員の待遇も低いことで話題になっている。どの業界も厳しい競争環境におかれていて、「副業の赤字」程度ならともかく「本業の赤字」を埋め合わせるために高い利益率を確保するなど、中長期的に見て現実的とは思えないのだ。自分自身がある程度その感覚がわかるだけに冷たい言い方を許してもらえれば、「事業をやれば客は来るだろう。客が来れば儲かるだろう」という、路線バス業界の古きよき時代の「甘さ」が、そこに見え隠れする。もちろん、たしかに、社長が挙げておられるように行政施設の管理受委託等の分野では路線バス事業者の持つ信頼感は重要な意味を持つだろうし、創業当初から駅前など一等地に広い土地を所有している事業者は多いから、各事業での競合に対して全くアドバンテージがないわけではないとは思うが、それだけで今後も増え続ける平バスの赤字を埋めきれるとは思えない。一方、場当たり的な税金投入は、札幌市のような泥沼を生む。解決策は、税金をもっとバス事業に入れることしかなく、だが、なし崩し的な税金投入は現状でも非効率な事業をさらに非効率にし、市民のコンセンサスが得られない。乗合バス事業そのものや、その路線を維持し公益性は確保しつつも、行政や事業者の努力によって効率化(経費を下げるか売上を上げるか)が進めば進んだ分、その分はちゃんと市民や事業者に還元されるようなインセンティブつきの新制度を、バス産業全体で早く研究し始めないといけない。合わせて、本当にバス路線が無くなるかも知れないという危機感を、市民に訴えないといけない。客観的に考えて、残された時間はそれほど多くはないはずだ。
2009.03.30
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大手旅行代理店で働いていたことがある知人と話していたら、彼の支店勤務時代の話題になった。「中学校のスキー教室の仕業で、4クラスだから4台口で頼んでいたら、○○観光バスの『△△』が4台来たんですよね」と言って、老舗貸切専業者の社名と、バス業界の関係者なら誰でも知っているであろうその事業者の看板車両の愛称を挙げた。座席数では一般的な11列タイプとほぼ同じだが座席配置が異なる。「中学校のスキー旅行って、あらかじめ生徒さん一人ひとりの座席を決めて、座席表を『旅のしおり』に入れて配ってあるんですよね。冬の寒い朝イチから、中学生が『私の席がない』って泣き始めちゃって・・・」そんな話を聞くと、たしかに座席配置の標準化は効率的な車両運用に必要だなと思う。ただ、それは旅行会社やバス事業者の立場での話だ。前後11列や12列、正シート45~50人乗りは、学校の遠足において1クラスぴったりで都合がよく、国内の貸切バスのほとんど全てがこのタイプだと言ってよい。では大の大人が乗ってどうかというと、やはり圧迫感がある。多くの人は「バスはキツい」という印象を持っていると思われるが、その際の「バス」とは、おおよそ、このタイプを指すだろう。学校の1クラスの人数が減っていることや日本人の体格が大きくなったこともあり、前後10列を標準にしようという事業者もいくつかあったが、個別の動きにとどまり、結局、冒頭に挙げたような理由で元のタイプに戻っていく。正直、一乗客としては、あの狭い座席では「旅の楽しみ」は味わえない。にも関わらず、広めの座席が定着しない。問題は、売る側にある。言いか悪いかは別として、現状、貸切バスの販売(予約受注)は、ほとんどを旅行会社が担っている。その旅行会社に「バスの違い」を依頼主に説明するノウハウがない。彼らとしては少しでも単価を上げたいこともあり、ホテルや飛行機については「こんな高級ホテルの広い部屋を、ウチの会社だからこんなに安く確保できました」とセールストークするのと対照的である。希望の座席タイプを、エンドユーザー(乗客)自身が選んで予約できる仕組みでは高速ツアーバスが先行しているが、3列シートなど「特車」から席が埋まる傾向ははっきりしている(東京-大阪では予約の4割が3列シートであるが、3列車が完売していてやむを得ず4列というケースも多い)。しかし貸切バスでは間に入る旅行会社の営業マンがそこを説明しきれないため特車が売れない。そしてもうひとつ、事業者(バス会社)のブランド価値についてもその差が説明されていない。飛行機なら「多少高くてもやっぱり日系航空会社がいいですよね」というトークが、旅行会社の営業マンから自然に出てくるのに、バスについては「2万円高いけど、やっぱり安心だから私鉄系の老舗にしておくべきですよ」などと彼らが言っているとは思えない。国交省を中心に「貸切バス事業者評価制度」の検討が進んでいるが、関係の皆様には「旅行会社に対し、同制度に基づく評価を、団体旅行の提案書や募集旅行のパンフレットに掲載する行程表に表示する(つまり、二つ星とか「ダブルA」とか、どんな評価になるかは未定だが、パンフ上で「ダブルAバス会社限定利用!」のように書く)よう義務付けない限り、この制度は機能しない」と申し上げているのは上記の理由だ。規制緩和前であれば、バス事業者の(特に安全面での)差は大きくなかったから価格だけで選べばよかったが、規制緩和後、「品質」と「価格」のバランスで選ぶ時代になったのに、それに旅行会社がついていけていないのが問題なのだ。そしてもちろん、最も問題なのは、座席タイプにしても、(安全面を中心とした)事業者ごとの品質の差にしても、その差をきっちりと旅行会社やエンドユーザー(乗客)に説明することを怠ってきたバス業界の努力不足である。品質では一番と言っていいはずの大手私鉄系事業者の管理職が「バスは選んで乗る時代って成定さんは言うけど、バスなんて全部一緒だと思われてるから無理だよ」とおっしゃっているようでは前途多難である。
2009.03.29
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札幌市交通局から路線譲渡を受けた北海道中央バスが、赤字を理由にその路線を廃止しようとして…という問題については、basukeieiさんのブログ「バス経営情報」など様々なところで話題になったが、昨日、何とかいちおうの最終決着となったようだ。北海道新聞の記事によると、有識者や事業者から成る委員会で議論した結果、一部の路線について年間7億円もの赤字分を札幌市が補助するとのことだ。この件、「乗合バス赤字路線の補助金の問題」というだけの切り口なら、正直、全国のどこでも発生していると言っても言いすぎではないわけだが、私が注目していたのは、それが札幌市という比較的大都市で起こった問題だからだ。「限界集落の老人の足をどう確保するか」という極端な例に走るまでもなく、平バスの収益性が上がらない点がほぼ全ての日本国民にとって「今そこにある危機」であることの象徴的な例だろう。私は昨年、札幌出張の折に時間を作ってこの地域の路線バスに乗車してみたが、郊外の住みやすそうな住宅地であり決して人口が少ない地域ではなかった。またその際に札幌在住の知人からお聞きしたが、札幌(結果として北海道全域)の新聞、テレビは連日この問題ばかり取り上げていたようで、市民の関心も高かったらしい。この問題は泥沼化し、結局、誰にとってもいい結果を生まなかった。行政(札幌市。特に市長)は地域公共交通に対する責任感欠如や調整能力不足を非難され、北海道中央バスは無責任なバス会社というレッテルを貼られ(あえて挙げないが、ウェブ上の掲示板やブログには一般市民から中央バスに対する失望が掲載されている)、JR北海道バスは無駄となった投資に対して補填はあったものの税金から多額の補助金を受け取ろうとした会社として企業イメージを落とした。個別の立場ではそれぞれ言い分があろう。特にバス事業者の立場は2社とも同情に余りある。ただ、だからといって「責任感・危機意識不足」と行政のみを非難していたのでは何も変わらない。今後「事業者の努力だけでは赤字路線を維持できない→なし崩し的に補助金をもらったりコミュニティバス化するなどして税金で維持→納税者意識の高まりから補助金の無駄遣いとして非難→行政も事業者も評価を落とす」という現象は全国で起きていくだろう。大切なことは、それを「個別の問題」として終わらせないことだ。これまで路線バス事業者は、地域公共交通の安定した運営という点で擬似的に公的セクターの役割・責任まで担ってきた。日本においては、株式会社とは言え事業者が足元の利益を株主等から求められない(悪く言えば「甘い」)のをいいことに、行政がその役割の一部を路線バス事業者に押し付けてきた。その代わり、排他的な免許制度により過当競争を生まないことを担保してきた。そしてもう一つ、公的セクターの役割と責任の一部を事業者が負うことで得てきた代償というか特典がある。地元では抜きん出た資本力と、「地元の名士」としてのブランド価値、地域からの信頼感である。それらがあるからこそ、流通(百貨店やスーパー)、ホテル、不動産、旅行業、そして貸切バスや高速バスといった「副業」での利益が事実上保証されてきた。不動産価値の右肩上がり神話も、多くの土地を駅前一等地などに創業以来持つ事業者の経営を支えてきた。だが、バス事業における規制緩和があろうがなかろうが、地域からの信頼感だけでは上記「副業」が利益を上げられない時代になった。例えば、かつてその地域でスーパーマーケットといえばバス事業者系しかなかった頃はよかったが、中央資本のイオンやヨーカドーが進出してきたとき、バス事業の赤字補填に使うために牛乳を1パックあたり3円高くは売れないのである。平バスが廃止になって困るのは行政や地域住民であるが、それ以上に困るのは、他でもないバス事業者とその従業員である。上記事態を早く理解し、「我々は補助金をぼったくるつもりはない。我々の事業経営に非効率な点があったのは事実であるが、強い危機感を持って効率化に努力するので、地域住民のためにも今後とも補助金を使わせて欲しい」というメッセージを事業サイドから発しないいけない。そして、公益性を確保しつつも路線バス事業者の経営・運営効率化を推進させるようなスキームを、襟を正して事業側から研究し、広く社会に対して提案していくべきである。そうしないと、全国あちこちで札幌と同じ泥沼が発生することになる。
2009.03.27
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先週末は三連休で高速バスの送客人数も大きく膨れ上がる日だったので、昨日と本日、スタッフ達と一緒に三連休とその前後のデータを分析し、反省会を行なった。私の会社では、スタッフが常時、路線ごと、出発日ごとの受注データを細かく分析し需要予測(フォーキャスト)を行なっている。そして、前年同曜日のブッキングカーブ(予約の伸び具合を示すグラフ)や、各企画実施会社にヒアリングした増発の台数なども勘案して販売予測(シミュレーション)を実施、それを各社にフィードバックする。それに基づいてさらなる増発(1便あたりの台数を増やす「続行便」や、その日だけ臨時に運行する「スポット増発」)を各社に提案しつつ、それでも完売が確実であれば販売価格を上げるように、逆に売り余らせそうなら下げるように提案する。虫眼鏡でしか読めないような細かいデータを分析するスタッフ達の姿はまるで研究者のようだし、それを元に増発や価格について各社に電話をかけまくる姿はまるで為替ディーラーのようだ。今回の三連休は、春休みの特徴としてリードタイムが極めて短く(つまり直近の予約が多く)、各社とも弱気になって売り捌こうとしたので1週間ほど前にいったん単価が下がり、やはり売り切れそうになったので最後には単価が上がるという動きが、データから明確に見て取れた。未来のことなどわかるはずもないのに、手元のデータと想像上の消費者心理を中心に、高速路線バスの空席状況や週間天気予報などの外的要素を少し加え「この日の東京-大阪のスタンダード(一般的な貸切バス)タイプは7000円なら確実に完売する。8000円でも大丈夫なはず」などと各社に提案するのは勇気がいるが、それを後から「結果論だけど、もっと高い値段を付けるように言うべきだったんじゃないの?」と私にツメられるスタッフは少しかわいそうだ……。それでも、この「レベニューマネジメント」概念を導入したことで、高速ツアーバス業界が大きく成長したことは間違いない。※ちなみに、その様子は「日経MJ」(08年6月23日)、「日経産業新聞」(11月9日)に詳しく紹介いただいている。著作権に配慮し記事そのものは紹介できないが、その記事を取り上げたメルマガがあったので、そちらをご覧いただきたい。そんな話をすると既存の路線バス事業者の方々は、皆さんそろって、高速ツアーバスは価格や運行が柔軟である点を「不公平だ」よくて「うらやましい」とおっしゃる。たしかに制度に差があるのは事実である。価格についても運行についても高速ツアーバスの規制は緩い。ただ、規制が緩いからと言って高速ツアーバスでも最初から上記のような販売方法をとっていたわけではない。高速ツアーバスを成長させるには何がキーか、分析したデータを元に企画実施会社と意見交換を何度も重ね、試行錯誤した末に出来上がった方法である。たまたま私は、ホテル勤務時代に「レベニューマネジメント」を担当していたので、アイデアやノウハウを簡単に提供できた側面はあるが、初めに「レベニューマネジメントありき」だったわけではない。仮に私たちのサイトが高速路線バスの販売を手がけていたなら、厳しい規制なりの課題解決方法をご提案できていただろう。価格以外にも課題はたくさんあるはずだし、長期的には規制は変えることができる。「できない理由」を探すより「できる方法」を見つけ出すことが重要なのだ。ANAのような航空会社など「レベニューマネジメント部」という組織まである時代だから、高速バス業界でも「レベニューマネジメント」はますます重要度を増すだろう。ただ、この「高速バスにおけるレベニューマネジメント」も、高速ツアーバスに限っては確実に定着しつつあるのも事実で、私たちは、さらに何か、別の新しいアイデアを見つけ出さないといけないと感じている。業界に新しい風を吹き込み続けることこそ、私たちの存在意義だからだ。
2009.03.26
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私達が思い描く「事業のゴール」とは何だろう。どんなことを実現したくて毎日業務に励んでいるのか。そんなことを書くと「お前の会社のゴールは金儲けだろう」と言われそうだが、必ずしも高速バス予約事業、トラベル事業に限らず、私の会社は実はけっこう青臭い会社である。社内ではよく「日本をエンパワーメント!」というフレーズを使う。ショッピングモール事業であれば、地方の小さな特産品メーカーでもインターネットと宅配便を使えば全国相手に商売ができるし、ホテルや旅館であれば、大手旅行代理店の支配から逃れ、インターネット上で自律的にマーケティングをすることで収益性が向上する。インターネットを通してメーカー(サプライヤー)と消費者の距離を縮めることで、硬直化した日本の流通に変化を起こし日本経済を活性化することを指すフレーズである。では具体的にバスの場合は、と言うと、「長距離移動=鉄道か航空」という思い込みが強い中、そもそも高速バスという輸送モードを知らしめることそのものが、「硬直化」した現状に対する「変化」という意味を持つ。だから私達、高速バス予約事業のスタッフにとって「エンパワーメント」の対象とは、地方も大都市も、老舗も新興も関係なく、高速バスというビジネスにたずさわる企業全てである。何度も繰り返しているように、その中の一つの大きな固まりが、既存の路線バス事業者である。彼らの意識がより「マーケティング」に向かえば、彼らの高速バス事業は大きく成長するであろう。また、今現在までの私たちの実績としては、中堅や新興の貸切バス専業者や旅行会社をエンパワーメントすることに成功した。元はタクシー会社の副業や特定事業者に過ぎなかった中小事業者が、気がつけば3列シートの高速ツアーバス専用車を何台も抱えていたり、新興旅行会社が急成長し、自ら傘下にバス事業者を設立し専用塗色の高級車両を大量に投入したりしている。また、そこまでは行かなくとも、貸切バス閑散日に当たる年末やお盆に余剰車両を高速ツアーバスとしてスポット運行すること等、新しいビジネスチャンスをご提供できた。逆に言えば、これまで繁忙日には満席で高速バスに乗れていなかった利用者に席をご提供できた。もう一つ、今後の課題として忘れてはいけない固まりは、老舗の貸切専業者だ。現在のところ、私鉄系事業者に何かと気を使うのか高速ツアーバスに積極的でない彼らだが、「老舗だとコストが合わない」という意見は誤解である。高速ツアーバスの料金は繁忙日には高速路線バスを軽く上回るし、私達が導入した徹底的なデータ管理手法により乗車率も極めて高いのだから。ただし、年間契約で旅行会社から運行のみを委託される形だと厳しいだろう。自社ブランドで企画実施することが大前提だ。逆に、東名阪に拠点があったり、ブランド認知が高いなど老舗貸切専業者の強みは大きい。仮に、かつて「プレミアムサロンカー」で名を馳せた老舗専業者があるとする。残念ながらバブル崩壊と規制緩和後の競争激化が重なり投資ファンドによる企業再生の対象となり、最近では「特車」は1台もなく一般的な貸切車ばかりだとする。それでも現場は老舗のプライドを忘れず、高度な運転技術が社内で継承され、クルマは車内外の隅々までピカピカに保たれている。そんな会社が高速ツアーバスに参入したらどうだろう。東京のほか関西にも拠点を持ち効率的な運行には有利であるし、私のサイト上で他社のバスと比較される際、老舗ならではの安全対策の具体的事例や乗務員教育の風景など、写真入りで強調すれば集客にも強みを持つ。3列シート、2列シートといった「貴賓車」も、純粋に貸切事業だけでは車両稼働率の足を引っ張るだろうが、高速ツアーバスという安定した働きどころがあれば、それを稼動のベースにしながら貸切バスのパンフレットの目玉としての役割も務めることができるであろう(貸切の引き合いがあった日だけ、事前に在庫をゼロにすれば高速ツアーバスを運行する必要がなく貸切に使えるのが高速ツアーバスの利点である)。私たちの事業の「ゴールの一つ」が、老舗の貸切専業者の「○○観光バス・プレミアムサロンカー」の復活である。もっとも、「高速ツアーバスをやってまで…」と彼らが言うのなら、それはそれで仕方がないわけだが。そうやって、様々なタイプの事業者(企画実施する旅行会社を含む)が、それぞれの強みを活かし、アイデアを出し、切磋琢磨しながらも相互に刺激しあい、まずは高速バス事業、やがては貸切バスも含めたバス産業全体が活性化していくことが、私たちの夢のエンディングである。※上記では「老舗の貸切専業者」について実在の事業者を想起させる表現が含まれるが、あくまで読者がイメージしやすいようそのような記述をしただけであり、実際にそのような案件があるわけではない点、ご理解いただきたい。
2009.03.25
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小田急箱根高速バスの件が実現したことで、同社と、羽田・横浜-御殿場・箱根線を共同運行する京浜急行様はどういう反応をなさるかな?とちょっと興味が。その京急様と横浜・東京-弘前線を共同運行する弘南バスは、既にその路線と並行する形で高速ツアーバスを運行しており、私のサイトでもお取扱いしている。京急様から見れば、大事なパートナー2社が既に私のサイト上で商品を販売することになる。会社が沿線に立地している割にはご縁がなく京急様から直接ご感想を聞く術はないが、私が先方の担当者なら複雑な気分になるだろうと想像している。私としては、別に、業界の秩序を崩すことを望んでいるのではない。特に、外堀を埋めるようなことはしたくない。具体的には、弘南バスのように既存事業者をどんどん高速ツアーバスに引きずり込もうと考えているわけではない。また、乗合許可の高速路線バスの中でも「新規参入事業者」に当たる会社であれば私のサイトへの抵抗感も小さいと思うが、そういった会社から契約をしていって「既成事実」を作ろうとも考えていない。私がやりたいことは「高速路線バス」や「路線バス事業者の商品」を売ることではなく、あらゆる高速バスを一元的にマーケティングしその存在を多くの人に知らしめ、かつ簡単に予約できる環境を提供することで高速バス業界全体の成長に寄与したい、ということだから、業界で既に大きな存在感がある既存の老舗事業者を敵に回してしまうことは、結局は損だからだ。既存事業者からは、「高速バスの競争激化は、既存事業者にとって唯一の収益源の高速バスの黒字を圧迫し、地方部で必死に路線維持に努めている事業者を苦しめる」というご意見が無くならないが、それが誤解であることも懸命に伝えていきたい。もちろん、我々がマーケティングという側面でお手伝いすることで高速バスの利用者が増えることが確実であるという理由が一つ。そして、大切なのがもう一つの理由だ。これから、日本のバス産業を取り巻く環境はもっともっと厳しくなる。たかが高速バス事業程度の黒字では、平場の路線バスの赤字を穴埋めしきれなくなるのは確実である。現実に、地方では路線バス事業者の経営破たんが相次いでいる。その状況で「路線バス事業者は高速バスの黒字で過疎地の路線バスを維持している」などと自慢げに言っていたのでは、近い将来自分達の首を絞めることになるのが、なぜご理解いただけないのか。だからこそ、2002年の制度改正で内部補助の必要性が否定され、事業者単位ではなく路線単位での考え方が導入されたのではないか(代わりに、赤字路線を維持するために地域公共交通会議という制度ができた)。これは、既存事業者を排除することが目的ではなく、乗合バス事業を永続させるための、国や専門家の親心だと思う。現状の高速バス事業が生み出す程度の黒字を担保に、今後ますます膨らんでいく過疎バスの赤字の面倒を最後まで負わされるのは余りにも割に合わない。「地域の公共交通を背負って立つ」という誇りだけでは従業員の雇用は維持できないのである。
2009.03.24
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本日とうとう、私のサイトで、小田急箱根高速バス(株)の御殿場プレミアムアウトレット・ショッピングバスの取扱いが始まった。これは、歴史の小さな転換点の一つかも知れない。その意味を整理すると以下のとおりだ。【前向きな意義】これまで私のサイトでは、既存事業者としてはサンデン交通、弘南バス、観光販売システムズ(三重交通の子会社)の商品(高速ツアーバス)を受託販売してきたが、やはり「小田急」の名前が持つ存在感は大きい。私のサイトは既存路線バス事業者の敵ではなく味方なのだ、というメッセージを伝えるには、その価値は大きいと思う。【それでも、ちょっと残念な点】・大手私鉄系路線バス事業者の商品ではあるが、残念ながら「高速路線バス」ではなく、募集型企画旅行商品限定の取扱いである。必ずしも「高速路線バスを扱えればさえ、それがゴール」ではないが、「日本のあらゆる高速バスを取扱う」ためには、現状では高速路線バスと高速ツアーバスを併売するほかなく、1商品でいいので高速路線バス業態を取扱いできれば、業界を揺るがすだろう。・今回は、私のサイトから新規利用者を送客するという目的ではなく、小田急箱根高速バスのサイトではこれまでウェブ予約ができなかったので、それを可能にするという使われ方である。本来の私のサイトの使命(ウェブマーケティングにより高速バスの魅力を広く伝え、多くの新規利用者を高速バス各社に送客する)を果たしていない点は残念だ。・それと、小田急箱根高速バスという会社そのもの。小田急電鉄直系の会社であり「血筋」は完璧。ただ、小田急グループ内には「小田急バス」という別系統の事業者がある。業界内で、「いわゆる私鉄系事業者」と一括りにした場合、イメージするのは「小田急バス」の方で「小田急箱根高速バス」ではない気がする。私自身、感覚的にはそんな気がするのだが(決して私だけではないと思う。大手私鉄系ではこの会社が最初にお付き合いしてくださるという事実こそ、それを証明していると思う)、あえて理屈を探してみると「高速バスが中心で、平バスを運行していないから」。だが、それなら東武系の東北急行バスは高速バスしか運行していないが「いわゆる私鉄系」の括りに入る気がする。別に小田急箱根高速バスという会社を悪く言いたいのではなくて、「いわゆる私鉄系」「いわゆる既存路線バス事業者」という「村」の境界線がいかに曖昧か、象徴的な例と言えるだろう。いずれにせよ、今回、小田急箱根高速バスとお付き合いが始まったことは、流れを変えるとまではいかないながら、これまでの流れを止める、という意義は十分にあるだろう。私としては、引き続き、同社の乗合商品(高速路線バス商品)、そして他の老舗事業者の商品の取扱いを、誠意を籠めてご提案していきたい。※今回の件は、私がホテル勤務時代から存じ上げていた小田急電鉄本社のある部長さんのご紹介がきっかけで実現した。また、小田急箱根高速バスの役員やご担当者様のご決断、そしてそれを受け入れてくださった現場の皆様に心から感謝申し上げる。振り返ってみると、この件で初めて小田急本社にご相談に伺ってからわずか1年で実現している。腰が重いという印象がある私鉄系事業者だが、動き始めるとけっこう早いのかもしれない。いずれにせよ、皆様、ありがとうございました。
2009.03.23
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この「運輸政策コロキウム」については当日の日記でも紹介しているが、あまりにも思慮の足りない某私鉄系路線バス事業者の発言に憤ってしまいそのことばかり書いてしまったので、あらためて感想など。大井先生の講演では、規制緩和がメリットをもたらす先を、事業者・利用者・行政と3つの立場から捉え、それを高速バスや空港連絡バス、都市の平バスや地方の平バス等のセグメントを分けて実例を挙げながらメリット、デメリットを研究なさっていた。先にも述べたが、私は一概に「乗合バス」(大井先生同様、この場合、法的にはその埒外にある高速ツアーバスも実態として含んで考える)の規制緩和といっても、二つに分けて考えるべきという意見だ。高速バスや定期観光等は「公益性」が高いとは言えず(鉄道等の代替交通機関があるため)、かつ競争原理導入によりサービス水準が向上(価格下落を含む)することでマーケットが大きく拡大することが濃厚である。今回の大井先生の講演でも、高速路線バス同士の競合となった高松~京阪神や各地の高速ツアーバスに事例を元に、競争原理導入により事業者側の各種工夫が促されバス利用者が大きく増加したと説明されていた。逆に平場の路線バスは、競争原理が導入されたからといって利用者そのものが一気に増えるわけではない。大井先生は、鹿児島市交通局の一見「ドル箱」と見られる団地路線に民間のいわさきグループが参入したが、利便性は向上したものの利用者数は増えていない現状を説明されていた。むしろ、岡山であったような民間事業者同士の泥仕合の末、利用者にとってよりわかりづらい結果となった例もあげておられた。私は、平バスについては、「消費税値上げ論争」とよく似ていると考えている。現状、既存の路線バス事業者が(個別の努力はあるとしても)非効率的な事業経営をしているであろうことは、客観的に見て事実である。規制緩和による競争原理導入は、多少は効率化を促す(あるいは既に促している)であろう。一方、ではその効率化だけで平バスの事業が安泰かというと、少子化やモータリゼーションが進展するなか、最終的にはかなりの税金を投入しないと成り立たないことも、また明白である。ハコモノ公共事業のような税金の無駄遣いを見直すことは必要だが、それだけで国の借金が無くならないのと同じである。だからこそ、平バスについては、完全な市場原理を導入するのも、一方で今のように事業者任せのまま個別に申請があれば補助金を出すという形でも、結局乗合バスという産業そのものがダメになると思っている。コミュニティバス等の形で個別に自治体からお金をもらって運行すれば足元の路線や雇用の維持にはなるが、それはモルヒネに過ぎず、なし崩し的に進めたのでは、自分達が納めた税金がその金の出所であることを市民が意識し始めたとき、事業者は、行政の補助を食い物にしていると社会から非難を浴びるだろう。だからこそ、既存事業者が襟を正して、一見自分達の身を削っていると見えても、結果として乗合バス産業を永続化させるような運営スキームを皆で考えないといけない。あるいは、寺田先生が例に挙げるように、かなりの部分を市場原理に任せれば英国のファースト社のように全国を事業エリアとする効率的な超大規模事業者へ再編されることが現実的なら、それもまた選択肢だが。いずれにせよ、このままだと平場の路線バスが産業として立ち行かなくなるという危機感を、既存事業者が持つことが最低限の第一歩だろう。最悪の場合、現在の「既存事業者」が全滅したとしても、産業としてのバスが元気であれば彼らの雇用は維持できるのだから。あのIBM(PC部門)が中国資本の傘下にある時代である。「老舗のプライド」にこだわっていては、自分の仕事そのものが無くなってしまう危機感を持ってもらいたい。※明日は、とうとう、私のサイトで「小田急箱根高速バス」様の取扱が始まる。ほんの一部の商品だけではあるが、私のサイトに対する私鉄系事業者の感情的な部分が取り除かれるきっかけになると信じている。
2009.03.22
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私が働いていたホテルは「関西の迎賓館」と呼ばれ、皇族や国賓が大阪にお越しになるとお泊りいただくようなタイプのホテルだったが(一番高いスイートは1泊100万円した!)、伝統がある分、古くからの狭い客室タイプもあり、一番狭いシングルルームなどビジネスホテル・プラスαくらいの価格で販売していた。そのため、私が新入社員だった頃、シングルを中心に狭い客室について、アメニティのシャンプー、リンスを、それまでのミニボトル(持ち帰り可能)から、バスルームの壁に据え付けられた「ディスペンサー」タイプに変えることになった。レバーを押すとシャンプーが出てくる、無愛想なタイプだ。当然、コスト削減が目的である。そのことに、ハウスキーピング課のルームメイク担当スタッフ(親しみを籠めて言えば「掃除のおばちゃん」)は愚痴だらけだった。彼女達の作業自体は楽になるはずである。しかし、愚痴だらけだった。「私ら、○○ホテルや、言うから働かせてもろてんねん。こんなん、その辺のビジネスホテルと一緒やんか」「シャンプーの詰め替えなんか、私らウチでやってる。それで十分やわ」ソムリエ資格を表わすバッチをさりげなく付けタキシードをスマートに着こなしたイケメンのウェイターが言うのではない。数ヶ国語を話せる才媛のコンシェルジュが言うのではない。ホテルから言うと業務委託先のアルバイトでしかない掃除のおばちゃん達が、「そんな安っぽいサービスは私達のこだわりに合わない」と口々に言うのである。ホテルに限らず、日本の「現場」は、数々のこだわりを持って仕事をしてきた。現場スタッフの「職人気質」が、日本のあらゆる商品の品質を高めてきた。その意味で日本企業は、現場スタッフに支払う給料以上のものを従業員から得てきたと思う。自動車や電気製品など日本製品が世界を席巻したのも、現場のこだわりが要因のひとつだろう。また、逆に現場の労働者は、自分達のこだわりを業務の中で実現していくことで、給料以外の何か(誇り。もっと言えば生きがいや自分自身の存在証明のようなもの)を手にしてきた。もっとも、掃除のおばちゃんたちが反対したところで会社の方針は変わらず、シングルルームには無愛想なディスペンサーが付いた。しかし今、新規にオープンするビジネスホテルを見ると、壁掛け式の業務用ディスペンサーではなく、お洒落なインテリア雑貨店で売っているような、非常にデザイン性の優れた家庭用のポンプ式容器が置かれている。ゴミ問題や資源の無駄遣いに社会の目が厳しくなったこともあり、古いデザインのホテルのロゴ入りミニボトルなどより、見た目にもよほど小洒落て見えて好印象だ。コストなど、ミニボトルはもちろん業務用に特別に作った壁掛けディスペンサーより安いのではないか。現場が自らのこだわりをどんどん「深堀り」していくなら、視野を広げてアイデアを出し、その「深堀り」が単なる自己満足にならないようコントロールするのが経営の役割である。現場が目の前の課題に正面からぶつかる一方で、永続的に事業を成長させられるよう、長いスパンで物事を考えるのが経営である。今、老舗の路線バス事業者から「新免」の家族経営のような小規模事業者まで、大小さまざまなバス事業者とお付き合いしているが、「プロの現場」と出会うことは多いが「プロの経営者」(大企業の場合は、社長本人という意味ではなく「経営部門」)と出会うことは少ない気がする。
2009.03.21
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財団法人 運輸政策研究機構主催による「第95回運輸政策コロキウム」に参加させていただいた。今回のテーマは「乗合バス事業の規制緩和政策がもたらした効果」で、講演者の大井尚司先生からは、規制緩和の負の側面を指摘しながらも価格低下やサービス向上などの事例が紹介され、おおむね規制緩和に対して前向きな研究結果が披露された。それに対し、対論者の東京海洋大・寺田一薫先生からは、諸外国との比較において、日本のバス業界の規制緩和はまだ不十分であるというようなコメントがあった。大井先生の講演の中では「ツアーバスに学ぶべき点は多い」ともご紹介いただいた。この「乗合バスの規制緩和」問題に対して私の考えははっきりしている。公益性が高い(あるいは、競争原理の導入が大幅な需要増に直接は結びつかない)平場の路線バスについては、規制緩和は効率化やサービスレベル向上程度の目的にとどめ、むしろモータリゼーションの進展等で路線バス事業そのものの不振が明白な以上、どのように税金を投入すべきか、国民が納得するスキーム開発に注力すべきである。一方、収益事業である(あるいは、競争原理の導入によって大幅な市場拡大が望める)高速バス等は、安全面での規制は厳格に適用した上で営業面での規制は撤廃すべきである。平バスと高速バス等を分けて考えることが「キモ」である。その意味で、おおわく、大井先生に同感であった。本日、問題は講演の後の質疑応答で起こった。研究者や国交省の担当官らからの質疑や意見が続いた後、ある私鉄系路線バス事業者から次のような意見があった。「(1)空港や駅前の便利な停留所は我々の商品の一部であり、後発事業者に開放する必要はないと考える。(2)現行法では路線の廃止は6ヶ月前に自治体に予告する必要があるが、バス事業者が路線を廃止するのは極論すれば八百屋が店をたたむのと同じであるから、やめたい路線はすぐ廃止したいので6ヶ月は長すぎる。」あきれて物が言えない。(1)か(2)、どちらかならまだ理解できる。特に(1)については既存路線バス事業者の本音だろう。現行法では否定されたとはいえ、既存事業者に路線や停留所の既得権を認める代わりに事業エリア内については赤字路線も含めその事業者が責任を持って地域交通の維持にあたるという、旧来の「古きよき免許秩序」をよしとする気持ちはわかる。それが「地域のために役立っている」という路線バス事業者の誇りにつながっていた点は承知している。現行の法令に照らし合わせてどうかとか、その考え方で本当に既存事業者が永続的に事業を継続できるかどうか、という「理屈」は別として、感覚論としては理解している。しかし、上記発言「停留所の既得権は渡したくない。でもバス事業は普通のビジネスだから赤字ならすぐやめたい」では、「おもちゃも欲しい、お菓子も欲しい」と駄々をこねる子供ではないか。私は、短期的成果を求める自分の会社に業界事情、特に既存の路線バス事業者の意識を変えるには時間がかかることを繰り返し繰り返し説明して、ようやく時間をかけてでも路線バス事業者に提携を提案営業することを認めてもらった(もちろん、高速ツアーバス事業を成長させ足元の数字でも会社に貢献し続けることが前提である)。そして、色々な方に助けていただき、最初は門前払いだった路線バス事業者にお邪魔するようになり、(ビジネスとしては上手ではなかったが)地域交通を守ってきたという彼らの誇りに最大限配慮しながら、規制緩和が進む中、彼らがこれまで以上に求められている「ビジネス」の要素をお手伝いしたいと頭を下げ続けている。しかし、その相手が、公の場で上記のような発言を平気でするのは、本当にショックだった。会の直前に、別の老舗路線バス事業者の本社にお邪魔し、前向きな担当者から「業界特有のしがらみもあり今すぐ契約は無理だが、どうすれば一緒に仕事できるか協力して考えましょう」というような前向きの言葉をいただいていただけに、別の事業者とはいえ同じ既存路線バス事業者の上記発言は余計にショックだった。他の多くの既存路線バス事業者が、本日の発言者と同じような甘えた考え方の持ち主でないことを祈っているが・・・・・・
2009.03.19
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『運輸と経済』3月号に掲載された私の論稿「高速ツアーバス事業の現状と課題」に対して、老舗路線バス事業者の社長さんから直々にご感想、ご意見を頂戴した。その内容については、なにぶん立場の違いからすれ違いもあり私なりの反論も可能ではあるが、なにせ社長ご自身のお言葉である。有名な社長さんだけに感激すると同時に、大変な重みを感じた。わかっていたつもりの路線バス事業者の気持ちを、あらためて認識させられた。それだけに昨日は一日中、自分のやっていることが本当にバス業界のためなのか考え込み仕事が手につかなかったが、いや、何度考え直しても、私のサイトに対する路線バス事業者の感情的な反発を取り除いて、マーケティングの観点から高速路線バスのお手伝いをすることこそ、私の役割だろうと思う。頭で考えるとそうなのだが、路線バス事業者のお気持ちがわかるだけに……。いやいや、弱気にならずに背筋を伸ばしてがんばらないと。気を取り直して、週末に泊まった宿のお話しを。私はホテルを退職してからもホテルや旅館に泊まるのが大好きで、特に小さなリゾートホテルによく泊まる。今回は少し方向性は違うが、中禅寺湖温泉(栃木)のホテル四季彩さんにお邪魔した。湖畔の静かな立地。何より源泉から12kmの木管を流れてくると言う白濁したお湯は最高だった。客室も「お洒落なリゾート」風に改装され満足だった。畳の和室だが、リゾートで最近流行の「和風ベッド」、小上がりになっていて布団が常時しかれているので、いつでも横になってくつろぐことができる。食事も内容はお仕着せながら、レストランで摂るので熱いものは熱いまま、冷たいものは冷たいままおいしくいただくことができた。何より布団の上げ下げや配膳のために仲居さんが部屋に何度も出入りすることはなく、こちらのペースで楽しめる。その意味では明らかにホテルに近いスタイルだ。が、ちょっとだけ惜しかったのは、食事やチェックアウトの時間設定。夕食スタートは遅くて19時、朝食も9時まで、チェックアウトが10時ではいずれもちょっと早すぎる印象だ。部屋に入ってくつろいだらもう夕食。朝は目覚ましで起きて、朝食後みだしなみを整えたら出発では、平日とさほど変わらない感じ。私もホテルで働いていた身。宿側の事情はよくよくわかるのだが、ホテルのサービスをベースにしたリゾートには、チェックインが15:00と遅めで、その分アウトも13:00という宿も最近は多いだけに、この設定では何となく宿側のペースに合わせて「滞在させられている」感じがする。ここは、実は産業再生機構の支援を受けて生まれ変わった宿である。栃木の宿は、観光地としての日光の地盤低下、バブル崩壊後の社員旅行やゴルフ旅行の減少、それに地元地銀の破綻により多くの宿が産業再生機構のお世話になった。「背水の陣」だからこそ、思い切ったサービスの見直しや改装が行なわれており、高度経済成長時代を髣髴とさせる「昔ながらの旅館」から、利用者の満足度にこだわった「新しい時代の旅館」に生まれ変わっている。ただ、本当に残念なことに、そこに流れる時間だけが、ホテル時間ではなく旅館時間のままなのだ。十分に満足させていただいたが、もしこの「流れる時間」だけが違えば、あと数千円高くても私はリピートするだろう。ちょっと惜しかったから、その点を書かせていただいた。さらにあえて申し上げれば、流れる時間がお客様ベースに変わるためには、支配人クラスや一般スタッフが本当に旅館の滞在が好きで、他の旅館(場合によっては自分の宿)にたくさん泊まってみることが必要だろう。そのとき、本当の意味でこの宿の再生が完了するはずである。※お客様のペースで滞在を楽しむ、という点で「昔ながらの旅館」よりもホテルの方が上、という前提で書かせていただいた。あくまで、高度経済成長時代以来の、大手旅行代理店にだけ都合のいい画一的な旅館サービスを悪く言っているのであり、本来の日本旅館がもつ良い点は、それはそれで大切だと思う。また、上記感想はあくまで私の主観である。
2009.03.18
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あまり路線バス事業者に対し厳しいコメントばかり書いていると、お前は本当はどっちの味方なんだ?と叱られそうだ。確かに路線バス事業者に辛らつなことばかり言っているが、これも愛情の裏返し、甲子園の阪神ファンが飛ばす野次と同じだとご理解いただければ。『運輸と経済』3月号の特集で、老舗の路線バス事業者による論稿においては、「市内バス(いわゆる平バス)の赤字を内部補助して過疎地の公共交通を維持するためには高速バスによる利益が必要なため、単体で利益を出せばいい高速ツアーバスと競争するのは不平等」という論調であったが、名古屋大の加藤博和先生が書かれているように、少なくとも現行の法令では内部補助の必要性は否定されている。もっとも現実には、法改正前からの流れで、その内部補助によって守られている公共の足もかなりあるのは事実であり、その点を無視して今後のバス産業をあり方を云々するのは乱暴であることも承知している。ただし、法令が改正になった事実と、その趣旨だけは、各路線バス事業者には認識しておいて欲しいところである(いわゆる平バスを、公益性が高い公共交通としてどう守っていくべきか、という点については、またあらためてこのブログでも考えてみたい)。先に書いた「路線バス事業者が高速ツアーバスの集合場所を問題にすればするほど、自らが駅前一等地の停留所を私物化して新規事業者に開放しない『既得権益者』と非難を浴びるリスクが高まる」といった点も、別に私もその意見をマスコミに伝えて炊きつけようとは考えていないし、少し極論かも知れないと自分でも思う。ただ、時代や立場が変われば何が正しいかも変わっていくということは、路線バス事業者の皆様にはご認識いただきたいし、これがその代表例である(路線バス事業者が、これまで自社の停留所を守るために、あるいは新しい停留所を設置するためにどれだけ努力なさってきたかよくわかるからこそ、あえてこの問題を「代表例」として挙げるのだ)。今回の特集では、西日本鉄道の係長さんが自社の高速バスの事業展開についてかなり突っ込んで述べておられた。私自身、学生バイト時代から、友人(バス好きの仲間)たちと一体何度、九州の高速バスを乗り歩きに行ったことか。総じて高い車両グレードやサービスレベル。柔軟な営業施策。そして共同運行会社を一つにまとめるリーダーシップ。「高速バス王国」九州は私たちの憧れであったし、それは今でも変わらない。九州の高速バスのあの元気さを、九州以外の各地域の高速バスに持ち込むことができれば嬉しいし、それに自分が役に立てればもっと嬉しい。その意味で私は、学生バイト時代から何も変わらない、ただのバス好き、高速バスの応援団なのだ。
2009.03.16
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もうお一人、近畿大学の高橋愛典先生は、バスターミナルと街づくりの関係性を述べておられた。私はバスターミナルマニア(?)であるし、私の地元・神戸のケースが紹介されていて興味深く読ませていただいた。その中でも高速ツアーバスについて触れていただいている。近年は高速ツアーバスのサービス形態が容認され増加しつつあることを示した上で、高速ツアーバスの集合場所整備が不十分なため安全性や周辺住民との関係など問題が発生しており、また既存の路線バス事業者との不平等が発生している。だから高速ツアーバスもバスターミナルに呼び込み、相応の負担を求めるべきである。とのことだ。高速ツアーバスへの非難を続ける高速路線バス事業者は、この主張を聞いていったいどのように感じるのだろうか。一方、高速ツアーバス企画実施会社については、間違いなくもろ手をあげて喜びそうな主張である。自らが規制を守ることに汲々としている路線バス事業者は、規制の範囲の外にある高速ツアーバスの「自由」な要素に多少の羨望も籠めて「不平等」と非難する。しかし、高速ツアーバス各社にとって集合場所問題は、ここまで育て上げてきた自らの事業のアキレス腱である。インターネット予約なら必ず地図をメール送付できるとはいえ、停留所のポールさえないところで待つお客様の不安感はかなりなものだと想像できる。また、道路法規の運用に変化があれば、現在のビジネスモデルでの事業そのものが成り立たなくなるリスクもある。利用者の満足度を向上させたり、事業をより社会的存在感の大きいものに育てたりする上で、路上での扱いを避けられるのなら、1台数千円程度の費用はみな払う腹積もりである。現実に、東京や大阪の高速ツアーバス集合場所として使える有料駐車場は先発組みで飽和状態で、後発組みが路上扱いを余儀なくされている。高速ツアーバス連絡協議会等で顔を合わせると、必ず集合場所の議論になる。むしろ、安全性や周辺への迷惑を旗印に高速ツアーバスを非難する高速路線バス事業者は、返す刀で自らが社会から非難を受けるリスクは感じないのだろうか。駅前一等地の停留所の再配分機能はない。一度停留所の権利を得てしまえば、路線を廃止しない限りその事業者が事実上自由に使える。公益性が高い市内の公共交通のために与えられた停留所から、収益事業である高速バスを発着させているばかりか、新規参入事業者を締め出している、とマスコミに報道されたら、彼らは「公益性を隠れ蓑に公道を我が物顔で使用する既得権益者」として非難を受けるリスクは十分にあるのである。※かつて富士交通/桜交通の高速路線バス新規参入時には、停留所の使用を新規組みに認めなかったとして既存組みが公正取引委員会の注意を受けている。私は何も、これまで「停留所こそ我が社の資産」として大切にしてきた路線バス事業者のプロ意識を非難しているのではない。ただ、高速ツアーバスの路上扱いについて路線バス事業者が「不平等」と非難することに違和感を覚えて仕方ないのだ。高速ツアーバスの側は、逆になんとか停留所的なものが欲しいと願っているのだから、やはりどこかに誤解がある。問題の本質は、この件に限らずそういった誤解が多いことだろう。とにかく、関係者(路線バス事業者、高速ツアーバス関係者、行政等)が一度ラウンドテーブルに着いて顔を突き合わせて話することが一番望まれることなのだ。
2009.03.14
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『運輸と経済』3月号の特集「新時代の高速バス」では、やはり(名古屋大学の方の)加藤博和先生の論稿が目立っている。私も、いつかは誰かに(誰とは言わないが)後ろから刺されるかも、と思いながら仕事をしているが、加藤先生も道連れにできそうだ。もっとも、高速バスに関しての先生の発言をお聞きすることは余り多くないので新鮮ではあるが、コミュニティバスに代表される地域公共交通に関しては既存の路線バス事業者に辛らつなコメントを多くなさっているので、スタンスは何も変わっていないと言われればそのとおりかも知れない。特に、「高速バスは本来的に、バス事業者のチャレンジ意欲をかきたてるフィールド」というご意見は全くそのとおりである。路線バス事業者が、時の行政の規制と戦ってまでも事業領域を開拓し育ててきたのが今日の高速バス事業である。だからこそ別のルールで高速ツアーバスが運行するのは鳶が油揚げをさらうようなもの、と毛嫌いする気持ちもわかる。私自身は、ここまで高速バスを育ててきた大先輩たちに対し、本心から敬服している。ただ、彼ら自身が規制と戦いビジネスを育ててきたのだからこそ余計に、さらに若い挑戦者たちが規制と戦い新しいビジネスモデルを構築するのを、規制を楯に阻止しようとするのが理解できない。彼らが規制と戦いつつここまで事業を育ててきたエネルギーを、規制と戦う必要がなくなった分、どうぞマーケティングに振り向けていただきたいところである。それはさておき、他の論者では、米子高専の方の加藤博和先生の論稿も目を通すのが楽しみだった。高速ツアーバスは現在のところ、大都市間の夜行路線での展開にほぼ終始し、地方都市同士を結ぶ昼行路線にはほとんど進出できていない。「高速バス地方路線のスペシャリスト」加藤先生が高速ツアーバスをどう書くのか、または書かないのか、楽しみだった。結果は、具体的な記述はほとんどなかった。今回の(今回も?)先生のテーマは「陰陽連絡バス」で、高速ツアーバスと何も競合しないのだから当然だが、一般論としては「ツアーバスの事業者は、マーケティングや顧客管理の徹底で、既存の都市間バス市場で競合優位を獲得している面もある」と記述されており、さすが本質を見抜いていらっしゃると感心した。高速路線バス事業者の側に、(米子の)加藤先生のように本質を見抜く力があったらどうなっていただろう? 2001年に高速ツアーバスを最初に始めたオリオンツアー、西日本ツアーズ(現・ウィラートラベル)らは、もともとスキーバスを主催する旅行会社であり、都市間の高速バス事業もその延長線上にたまたま生まれたに過ぎない。「路線バス事業者の既得権益と戦ってその牙城をくずせ」などというような意図はもともとなかったようだ。それが、インターネットという格好の武器をマーケティングに用いたことで現在の状況が生まれた。あのとき、高速路線バス事業者が、あんなものは乗合類似行為で違法だから追い出せ、と叫ぶ前に、中小の旅行会社ごときの商品がなぜ急成長するのか本気で研究していたなら、今と違う状況になっただろう。具体的には、2005年の時点で私のサイトが高速バス予約事業に進出した際、扱う商品が高速ツアーバスではなく高速路線バスであったなら。今回、『運輸と経済』という権威ある媒体が、高速バス、それも高速ツアーバスを含めて取り上げていただいたのは画期的であるので、明日以降ももう少しこの特集について取り上げたい。
2009.03.13
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財団法人 運輸調査局が発行する研究誌『運輸と経済』3月号の特集が「新時代の高速バス」ということで、「高速ツアーバス事業の現状と課題」と題した論稿を担当させていただいた。このような権威ある出版物に、高速ツアーバスについての論稿が掲載されるということ自体、実務にたずさわる者として感無量である。関係の皆様に深く感謝申し上げる。そして、高速ツアーバスについてこのような公式な場で事業サイドから初めて論ずるのが、私のようにマーケティング側の人間であることも象徴的である。そして、もちろん高速ツアーバス事業の単なる解説にとどまらず、高速バス業界の今後について、私の(厳密に言うと私の会社の)ビジョンを述べさせていただくいい機会でもあった。もっとも、会社としての立場もあり、さらに誌面の制約もあるので、ふだん考えていること全てを表現できたわけではない。仕方ない部分もあるが、多少の不完全燃焼もありこの場で振り返りたい。完璧に表現できたのは、高速ツアーバスという業態が、インターネットを中心とした「マーケティング」に注力したからこそ、大都市路線では高速路線バスを逆転する販売力を持てたという事実と、だからこそ高速路線バスもインターネットをうまく活用すれば成長できるという私の信念である。逆に表現し切れなかったのは、高速ツアーバス各社は、マーケティングだけでなく、車両(シート)の新規開発などハード面でも消費者目線を貫いており、最近では2列シートや自動チェックイン機も登場するなど「安かろう悪かろう」イメージを払拭した点。一方、いくつかの点で高速ツアーバスは事業として百点満点とは言いきれないが(まあ、多かれ少なかれどの業態でもそうだと言えるので、その程度が問題ではあるのだが)、その足りない点を具体的に論文には書けなかった点、言い訳するわけではないが立場上やむをえなかったとご理解いただきたい。そしてもう一つ、立場上書けなかったのが、高速ツアーバスと高速路線バスの法令のダブルスタンダードを今後どう考えるか、という点だ。幸いにも、名古屋大学の加藤博和先生が、特集の総括的な論稿をご担当になり、高速バスの制度のあり方について私が述べたかった点を書いてくださっている。細かい点では私のビジョンと異なる点もあるが、おおむね、大きくうなずきながら読むことができた。何かにおもねることをせず、極めて客観的に論じていらっしゃる。大きな図書館には必ず入っている媒体なので、皆様もぜひご一読いただきたい。それにしても、加藤先生ご自身がおっしゃっていたが、名古屋大学の加藤博和先生と米子高専の加藤博和先生。バスについての見識では定評ある「ダブル加藤博和」が目次に並んでいる光景は面白かった。まるで、同じカラーリングのエアロとセレガが並んでいるようだった。もちろん、2台ともスーパーハイデッカーである。<追記>今回の論稿については、特に論文としての体裁など、老舗路線バス事業者に勤務する知人、さらにそのお知り合いの大学の先生にも甘えてアドバイスをいただいた。路線バス事業者に勤務する立場柄、私の論文に協力したと名前を出せないが、この場でお礼を。
2009.03.12
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旅行業界の専門誌『トラベルジャーナル』で、「コンビニ販売で高速バス券好調」と報じていただき、私のコメントも掲載いただいた。記事のテーマそのものは、まさに見出しどおりであり、それ以上付け加えることはない。ただ、記事をよく読むと面白い記載がある。コンビニで高速バスの予約・決済(この場合の「予約」とはコンビニ端末の操作によってその場で予約成立→支払いまで済ませられること。また「決済」とは、ウェブサイトや電話で予約を受け付け、その支払いだけコンビニ端末で行なうこと)を行なっている旅行会社としてJTBと私のサイトが紹介されている。双方とも成長しているとされているが、面白いのはその成長理由である。JTB側は、「これまでバス会社の窓口などで予約・発券をしていた利用者を囲い込んだ」。私のサイトは「これまでバスを利用する機会が少なかった大都市の利用者を取り込んだ」。面白い、と述べたが、記事としては決して間違いない、正しい記述だと思う。JTBや、さらに言えば広くインターネット予約・インターネット発券というものに対して高速路線バス事業者が求めるのは次の二点であろう。ひとつは全国どこでも利用者が予約・発券できることで利便性が向上する点。もうひとつは、予約センターや窓口のコスト削減である。その二点は、決して悪いことではない。しかし、バス以外の他の業界や、高速ツアーバスの企画実施会社がインターネット、特に私のサイトに求めるのはその二点だけではないのだ。その二点は当たり前であって、それに加えて、インターネットを活用することで新しい利用者(需要)を喚起することが求めているのだ。つまり、マーケティングツールとしてのインターネットである。さらに、私達がリアルタイムな販売データを細かく分析し情報として提供することで、価格設定や増発設定の参考にすることも求められている。路線バス事業者様にお邪魔すると、すぐに「ウチもインターネットやってるよ。コンビニでも売ってるし」とおっしゃる。しかし、私からすると、それはインターネット活用が半分しかできていないのである。残り半分、インターネットを使って新しい利用者を掘り起こしていなければ「インターネットやってる」などと言っていただきたくない。少なくとも、後発、かつ中小規模で販売力に劣る高速ツアーバスの各企画実施会社が、それをうまく活用しここまで成長した点だけは、よく認識しておいていただきたい。
2009.03.10
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たまには現在の本業である高速ツアーバスの話を。最近、高速ツアーバスに新規参入したいというご相談がどんどん飛び込んでくるようになった。代表電話や代表アドレスに直接届く、いわゆる「飛び込み」の案件もあれば、人を通してご相談を受けるケースもある。不況で仕事が減った貸切専業者が、自社で形だけ持っている旅行業免許で企画して自社バスを運行したいというケースか、貸切専業者から逆に提案を受けた中小の旅行会社からのケースもある。そのこと自体は、取扱商品が多ければ多いほど取扱高が増える私のサイトとしては喜ばしいことである。ただ、お話しを伺っていると、どう見ても高速ツアーバス事業をなめているとしか思えない案件が多く含まれている(もちろん、先に述べたように真剣な案件も多いが)。ウィラートラベルやオリオンツアーなどの高速ツアーバス企画実施会社は、彼らの自社サイトや電話予約センターで予約を受けるために莫大なマーケティング費用を使っている。合わせて、私のサイトをはじめリテーラーに販売を委託している。1席でも売り余らせないよう、各販路の在庫を常時ウォッチしてコントロールする上に、私のサイトが提供するデータやアドバイスに基づき価格を細かく変動させる。そこにかける直接的な費用や人的リソースはかなりのものだ。規模を拡大することでマーケティングコストをギリギリまで効率化してなんとか利益を出している企業たちだ。または、私のサイトで在庫不足が決定的な連休や年末年始等だけ、私達から相談を受け自社バスに余裕があればスポット運行する中堅事業者(自社で旅行業免許を持つ貸切事業者)か、どちらかだ。参入にあたっての法的な規制が低いということと、事業として後発参入が簡単だということとは意味が違う。さらに、利用者からの各種苦情への対応や、最悪の場合は事故の後始末もしないといけない。その覚悟がないまま私のサイトにコンタクトしてくる会社があるのは間違いない。私のサイトでは、受託販売契約締結の基準を作ってきた。独立行政法人・自動車事故対策機構(NASVA)の金澤理事長や、自動車事故研究の権威である、日本大学の長江名誉教授らにお願いしている「安全検討委員会」(現在は休会中)によって決められた基準だ。上記のような会社の場合、その基準によって契約(結果として、事実上は高速ツアーバス事業への参入)をお断りすることになっている。だがその基準も、「資本金○円以上」というような具体的な線引きは難しく、私たちの主観的判断に頼る部分は大きい。安全検討委員の先生方からは、「御社は、高速バス業界の『東証』になれ」と叱咤激励されている。どのバスに乗るかは利用者が選べばいい。安全面についての取組もサービスの品質も全て利用者に公開して、最終的には利用者がバスを選べばいい。ただ「東証上場」に相当する「最低限の品質基準を担保すること」だけは私たちのサイトが責任を持って行えと言う意味だ。先生方のご期待に100%お答えできているか。なかなか難しいところではある。高速ツアーバス連絡協議会を作ったので、この場で改善方法を議論している途中の課題もいくつかある。ただ、事業を永続させ発展させていくためには、信用(レピュテーション)が必要である。事業の継続・成長のためには、法規制に関係なく守るべき基準が自ずとできてくる。自分の事業を守るためにはお断りする案件も多くなる。それもまた、ビジネスである。
2009.03.09
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今回の出張では、関西地区の老舗路線バス事業者様をいくつかご訪問した。何度もおじゃましている会社もあれば、ご縁ができて初訪問できた会社もある。どの会社でも、お話しする相手のご担当者様(だいたい課長クラス)はみなさん意欲もあるし、私の話にも興味を持って聞いてくださるし、個人的に好感を持てる方々ばかりだ。しかし、会社として私のサイトでの販売を決断するまでには、各社もう少し時間がかかりそうだ。ただ、どの会社でも隣の会社の動きを気になさっている。どこか1社突破口が開けば一気になだれを打つだろうが、そこまでが難しい。私自身、これまで高速ツアーバスを育ててきた私のサイトに、高速路線バス事業者がどのような印象を持っているかよくわかっている。一朝一夕に成し遂げられないことは認識している。これまで門前払いをくらった会社も多いし、たまたまお目にかかった路線バス事業者の役員に名刺を渡そうとして、受け取ってもらえなかったこともある。それでも、私が高速路線バスにこだわるのはなぜなのか? いま取り扱っている高速ツアーバスの成長を徹底的に支援し、高速路線バスを踏み潰してしまう選択肢もあるのに、それを選ばないのはなぜなのか?もちろん、アルバイト時代以来、一愛好家(バスマニア?)として高速路線バスを応援してきた個人的な思い入れは強い。特に私鉄系の高速路線バスに対する思い入れでは人に負けないと思う。だが、そんな個人的な思いだけで路線バス事業者に営業に回っているようならビジネスパーソンとして失格である。私は、純粋にビジネスとして考えた場合にも、高速路線バスと私のサイトとはベストなマッチングだと自信を持って言える。地方では十分な認知がある一方、伝統的なマーケティング手法では大都市で十分な需要喚起ができていない高速路線バスと、インターネットによる低コスト高効率なマーケティングで大都市部で高速バスを需要を一気に掘り起こしてきた私のサイト。相互に、完璧な補完関係が成立するのだ。一方、いま取り扱っている高速ツアーバスは、理由は後述するが、高速路線バスが得意とする地方路線、特に高頻度昼行路線には進出しづらく、そこは高速路線バスの独壇場である。私のサイトで高速路線バスも売ること。前後の事情を考えればかなり難しい挑戦だろう。私が他の会社に移ったり自分で会社を興したりすれば、一見、私の夢は近づいたように見えるかも知れない。それでも、インターネットでの集客力やエンパワーメント精神など、いまの私の会社だからこそ高速路線バスのお手伝いができる理由は多い。一見もっとも遠回りに見える私の挑戦は、高速バス業界の発展のためには、結局はもっとも近道であると信じている。
2009.03.07
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本日発売の『日経トレンディ4月号』(日経BP社)の特集(解剖!「格安」ヒット商品&買いのスゴ技)で4ページにわたってカラーで高速バスが紹介されている。前職のホテル時代から広報を担当しており本誌ともお付き合いが深いが、これまで新幹線や航空機との比較対象として「高速バス」が紹介されることは何度かあったものの、座席のスペック等、高速バスそのもの同士が比較対象としてトレンディに取り上げられるのはおそらく初めてだ。日ごろから新聞やテレビで「これからは、お客様が高速バスを選んで乗る時代」という意見を言い続けてきただけに、このような取り上げられ方は「我が意を得たり」、感謝感謝である。だから今回の取材には、「高速ツアーバス各社の自社(直販)サイトならシートマップから希望の席を選べる会社もある」など自分のサイトに多少ネガティブになるような点も含め、情報提供について最大限ご協力した。高速バス業界は「運命共同体」だから、目先の細かい取り上げられ方の損得よりも「高速バスが便利、快適」という記事が掲載されることそのものが大切だと考えるからだ。今回は主に3列シートなどプレミアム座席が中心だった。貸切車を使うことで単価を下げ価格訴求で成長してきた高速ツアーバスだが、例えば東京-大阪間では予約の4割が3列シートであり(平日の場合)、かつレベニュー・マネジメントの導入により繁忙日は高速路線バスの運賃を軽く上回る料金が設定されており、記事にあるとおり「安かろう悪かろう」の印象は一掃されたと言えるだろう。残念なのは、掲載された高速バス商品が、またしても高速ツアーバスの数社とJRバスだけだったことだ。(今回担当していただいた方ではないが)ある新聞社系の雑誌記者さんが「それにしても、高速ツアーバス各社とJRさん以外の高速バス会社って、一体なにやってるんでしょうね?」と電話でつぶやいていたのが忘れられない。「いやいや、東京-大阪線に限るから高速ツアーバスとJRバスが目立つけど、私鉄系高速バスが得意なのは地方路線ですから」と古巣の肩を持ってみたものの、私も広報にも携わる身、記者さんがどんな「絵」や「コトバ」を求めているかはよくわかる。私自身も、また私の会社も、さらに高速ツアーバス業界も、ここ1年テレビや新聞や雑誌に何度も取り上げていただいているが、何もしないで記者さんがやってくるわけではないのである。そのあたりも含めて、古巣である(主に私鉄系の)高速路線バス各社のマーケティングをお手伝いさせていただきたいと、常々申し上げているのだが。明日からはまた出張。それこそ「老舗」の路線バス事業者様をいくつかご訪問する。本日の記事が私のご提案に説得力を持たせてくれることを期待して。
2009.03.04
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そして結局、思うところあって私は大学を卒業するに当たってバス業界を選ばずホテルに就職した。ホテルでは10年間在職して11セクションを経験させていただいたという、ある意味特殊なホテリエ(ホテル業界ではホテルのスタッフのことをこう呼ぶ)であり、たくさんのことを学ばせていただいた。もちろん、お客様に対する姿勢、お客様のご希望を察する力については、これ以上ないいい勉強をさせてもらったと考えている。ただ、私が他のホテリエより特別だったのは、「ホスピタリティ・マネジメント(ホテルをはじめとしたホスピタリティ産業の経営について横断的に研究する学問)」「ウェブマーケティング」「レベニュー・マネジメント」と出会えたことだろう。その3つがあるから、バス業界に戻ったいま業界に新しい風を吹き込めていると自負している。ホスピタリティ・マネジメントについては、いずれ詳しくご紹介する機会があろうから今回は省略する。ウェブマーケティングについては、「旅の窓口」や「一休.COM」等の総合予約サイトとの出会いが印象的だった。私が初めてインターネットを担当したのはもう8年ほども前になるのでインターネットもいまほどは普及していなかったが、インターネットという「大きな海」の中で、お客様を自分のホテルのサイト(いわゆるホームページ)にどうたどり着かせるのかは非常に困難な仕事だった。一方、旅の窓口などの予約サイトは、まさに「釣堀」状態である。例えは悪いが、餌を食べたくて口をパクパクさせている魚(ホテルを予約しようと探している利用者)が、そこにはウヨウヨいる。ただ、すぐ隣には別の釣り人(ライバルホテル)が糸を垂れている。隣よりちょっといい餌をつける、あるいは同じ餌でもよく見えるように工夫する、そういったほんの少しの努力と工夫で面白いように魚が釣れるのである。当然、逆もある。私のホテルは国内系ブランドの老舗高級ホテル、言わば「おじさま向けホテル」だったので若いカップル客には不人気だったが、少しの見せ方の工夫で若いカップルや女性客がチェックインの列を作ったときには、インターネットの面白さを実感した。またレベニュー・マネジメントとも運命的な出会いだった。過去何年かの実績データや先の受注状況などを細かくデータ分析し、稼働率が高そうな日には販売単価を上げ、逆に低そうな日には単価を下げることで稼働率を下支えする。それまで日本のホテルでは、極めてどんぶり勘定のルームコントロールがなされてきたし、反面、アメリカの教科書に書いてあるレベニュー・マネジメントは、逆に非常に細かなデータ分析がベースになっていた。中間型の、日本の実情にあったレベニュー・マネジメント手法を試行錯誤するのは、一種の知的ゲームであり楽しかったし、ホテルの実績にも目に見える形で貢献できた。そしてある日、いま私が勤務する予約サイトが高速バス予約を始めるという記事を業界紙で目にしたのである。当面は高速ツアーバスのみを扱う。だが近い将来、高速路線バスも取り扱いたいとあった。ホテルにいた私からすれば最大の取引先が、バスも始めるというのである。問題は、「当面は高速ツアーバスのみ」という点だった。当時は、高速ツアーバスなど違法に近いビジネスであり、品質もおぼつかなく、むしろ高速バスのイメージを蝕む存在だと思っていた。1週間、迷いに迷った末、それでも私はいまの会社にコンタクトし、転職したいと告げた。転職を決めた理由はいくつかある。取引先として見続けたいまの会社の実力(ウェブでの集客力と取引先へのコンサルティング意識)や、古びた業界にこそ注力し変革させたいというエンパワーメント精神。高速バス業界には未だ導入されていなかったレベニュー・マネジメント概念を持ち込みやすい管理システム。だが、最大の理由は以下の通りだ。当時(いまでもそうだが)、高速路線バスに携わる者や、それを応援する者(趣味的にバスが好きな人)はみな、高速ツアーバスの存在を蔑みながらも、黒船襲来の際の攘夷運動のようにただ追い出せと叫ぶばかりであった。そのなかで私は、たまたま実力をよく承知している取引先が、その黒船を支援するという奇遇に恵まれた。一度、黒船に乗って太平洋を渡ってみればいいではないか。その先にある国が本当に豊かであれば、その国を学んで戻ってくればよい。その決断は、たまたまバス業界にいったん背を向けホテルに就職したことで予約サイトの価値を知っている私だからこそ、できるのではないか。私は太平洋の先で色々なことを学ばせていただいた。これからは、祖国に対しての恩返しが始まる。
2009.03.03
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新宿高速バスターミナル(通称:西口)の思い出話の最終回は、私が断念した「夢」の話題から。学生時代、実はコピーライターになりたかった私は、アルバイトの身でありながら勝手にお手製のポスターなどを作り西口の中に掲出していた(もう時効だからいいですよね)。最初は、観光協会等に依頼して送っていただいたポスターを貼っていただけだったのだが、だんだん自分で作らないと気がすまなくなり、自分が撮った写真とカラーコピーを駆使して自家製ポスターを作っていたのだ。中央高速バス全体についてのコピーワーク(「ショルダーコピー」と言う。トヨタで言えば「Drive your dreams」がそれだ)としてよく使っていたのが「この風は、山なみの遥かから」東京の人が信州や富士五湖のリゾート地に抱く爽やかな空気のイメージと、先に述べたように中央道の開通や高速バスの開業によって、長野や山梨の人々の生活に新しい風が吹き込んだようなイメージと、両方を表現したつもりだ。同じように、夜行高速バスには「それぞれの街の、それぞれの明日へ」というショルダーを使っていた。これもまた、夜行運行についてきれいな日本語で表現したのと同時に、松山や高松といった相手側の都市のさらなる発展を願ったものだ。私としては、高速バスとは、大都市から地方都市やリゾートへ、地方都市から大都市へ流動を活発にし(その意味では、「安く行ける」というのは一つの価値なのだ)、それぞれの地方のバリューを上げていく役割が求められると考えていて、上にあげたコピーワークはその象徴としたつもりだ。「少子高齢化」という決まり文句を待たずとも、これから各地方は、熾烈な生存競争となる。18歳を迎えた若者が地元に住むのか、地元に近い中核都市に住むのか、それとも東京や大阪に「出て行く」のかを自らの意思で選べる自由度や選択肢の多さは、世界でもこの国が一番だろう。「自然が豊か」「人々が素朴」といった桃源郷志向は無価値ではないだろうが、「東京へ行くのも意外と便利」「月に一度は都会へ遊びに行ける」といったバリューも若者には必要だ。ストロー効果という副作用を考慮してなお、中核都市、大都市への直通高速バスの存在は地域の魅力作りに有効だと思う。もちろん、リゾートや温泉を多く抱えた地域では、ホテルや旅館の玄関まで直通できる高速バスは、大都市からの送客に大きな武器となろう。国交省のデータによると、高速バスの年間輸送人員は約8000万人。この数字は、国内線航空の輸送人員(約9000万人)にほぼ匹敵する。それにもかかわらず、特に大都市部で認知度が低いのはなぜなのか? 地元の方の高速バスに対する愛着、親近感を大切にしながら、大都市で遅れている高速バスの認知を向上させ、高速バスが本来的に社会から求められている使命をまっとうできるよう、微力ながらお手伝いしていきたい。
2009.03.02
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話を新宿高速バスターミナルのお客様に戻そう。男性のお客様で一番印象に残っているのは、実は中央高速バス(あるいは京王系の高速バス)のお客様ではなかった。カウンターにいた私は「秋田行きは何番(乗り場)?」と質問を受けた。管理職タイプの白髪まじりの男性だった。秋田行きは小田急バスの運行だから、京王のターミナルではなく、ロータリーの反対側、小田急ハルク前の35番停留所から発車する。私は「秋田行きは小田急さんなんで、たぶん(と言いながら、私は小田急ハルクのビルを指差した)あのハルク前の35番だと思います」と答えた。すると、そのお客様が突然どなり始めた。「たぶん、とはどういうことだ!」私の言い方が、きわめて無責任な言い方に聞こえたようだ。あまりに突然どなられたので私は驚いたが、気を取り直して「ここは京王のバスターミナル。ここで秋田行きの案内をするのは、京王百貨店の店員が小田急百貨店の商品を説明するようなもの」と説明するとご納得いただき「いや、大変失礼した」と頭を下げてハルクに向かわれた。実はこの経験で、接客の面白さに本気で興味を持ち、その後の就職先に高級ホテルを選ぶことになる。当初の私の説明は間違ってはいない。京王のスタッフだから、小田急バスの案内をするときには「たぶん」となる。ただ、お客様には無責任だと伝わった。野球で投手がどんなにいい球を投げても、打者がそれをホームランすれば投手は負けである。お客様を怒らせてしまえば接客業としては負けであり、当初から言葉を補足して説明すべきだったのだ。考えてみれば「小田急さんだから」という1フレーズで「他社だから」という意図が伝わるとは限らない。似たような会社名の「富士急さん」なら、京王の共同運行会社として京王のターミナルに入っているのだから。この日以降、一般のお客様の知識、感覚に一度立ってみて、それで理解できる言葉を一瞬に頭の中で組み立ててからお答えする習慣がついた。このお客様は、逆に怒り出したからこちらに「弁明」の機会が与えられた。だが、心の中で不満を持ちながら言われたとおりハルクに向かうタイプのお客様だったらどうだろう? 京王や小田急といった個別の会社への不満ではないはずだ。「高速バスはわかりづらい」という印象だけが残るに違いない。そもそも、予約時点で既にそうだったかも知れない。各社個別の事業者ブランドの確立を急ぐ一方で、高速バス業界全体を「運命共同体」と認識して、より多くの集客と利用者の満足度向上に一元的に取り組むべきである。少なくとも「一元的なマーケティング」「簡単な予約」という点では、お手伝いする準備は私のサイトにはあるのだが。
2009.03.01
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