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私のサイトの、今月の取扱高が久しぶりに「予算」を達成した。今週末の積み上げがもう少しあるので、今のところ着地見込みは予算達成率102%と見ている。前年比で言うと、このところプラス40%前後が続いていたが、本当に久しぶり(調べてみたら昨年の10月以来、半年振り)に前年比プラス45%を超えることができそうだ。私が今の会社に転職して、所定の研修を終えてバスの実務に入ったのが、ちょうど3年前の5月だった。当時の取扱高と比較すると、5倍近くになっている。大きくなったもんだなあ、とあらためて感じた。ここまで一緒にがんばってきた高速ツアーバス各社や、ウェブマーケティングを協力してやってきた業者さん達に感謝。それからもちろん、黙っていても勝手に動いて数字を作り上げるスタッフ達にもあらためて感謝。スタッフはそれぞれ、現在の取引先である高速ツアーバス各社に対し積極的なコンサルティングを行ない、足元の数字を積み上げてくれた。一方、そうやって考えると、事業の責任者としての私は今月予算を達成したが、一営業マンとしての私は何も結果を出していない。この会社での今の私のミッションは、事業全体を管理し取扱高を増やしていく責任者としての役割のほかに、路線バス事業者に対し、高速路線バスを私のサイトで取り扱いさせていただけるようご提案する「営業マン」としての役割もあるのだ。もちろん、一朝一夕に成し遂げられるミッションではないから、スタッフに任せず自分自身で担当しているのだ。すぐに結果が出せない仕事であることはよく承知している。だが、2年間同じようなことを続けていて、契約までこぎつけて明確に「数字」として会社に貢献できたのは1社だけ。小田急箱根高速バスだけである(それも募集型企画旅行商品だけ)。「タダメシ食い」と言われても仕方ない気もする。今のところ会社の経営陣も、私のサイトを永続的に数字の上でも成長させ、かつ、「あらゆる高速バス」を取扱う「高速バスの、真のマーケットプレイス」にするためには、たとえ時間がかかっても既存路線バス事業者にご提案を続け、彼らの高速バスを取扱うことが必要であることは理解してくれている。しかし、いつまでも私が自由に路線バス事業者に訪問し続けられるかどうかは保証がない。そこは会社である。利潤を生み出すことが目的である以上、足元の事業(すなわち高速ツアーバス)の成長性が悪ければ「責任者であるお前が、事業をほったらかしにして自分の信念のために、いつ結果が出るかわからない路線バス事業者への営業を続けているから悪い」と言われてしまうだろう。将来のことは後回しにして、まずは足元の事業の成長性を確保しろ、と言われたら、私もサラリーマンである。私自身は、当然、一生この会社のこのポジションにいるとは限らない。おこがましい言い方で恐縮だが、「私がどの会社のどのポジションでバス産業にかかわることが、バス産業にとって最もプラスになるか」という基準で自分の居場所を決めていきたいと思う(文字にするとすごく偉そうな言い方だが、単に「バス産業が成長するのをお手伝いするのが好き」ということだ)。今現在は、私のサイトで路線バス事業者の高速バスを取扱い、彼らの高速バスを成長させることこそ、具体的な数字の面でも、そして何より「象徴的な意味合い」でも最も効果的だと考えて今の会社にいる。失礼ながら多くの路線バス事業者には「マーケティング意識」が欠けていて、それを補うために最も必要なパートナー(それでありながら、路線バス事業者からは「敵」だと思われている存在)が私のサイトであるからだ。短期的な足元の成長と、長期的な事業展開への布石をバランスよく組み合わせていくのが「経営」である。今の数字が出ている限り、会社も「路線バス事業者への営業には行くな」とは言わないだろう。さあ、会社から任せてもらえている間に、大手既存事業者のどこか1社でも口説き落とせるか。正直、不安はあるけれど、今日は予算達成の日。あまり深く考えずおいしくビールを飲もう。
2009.05.29
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昨日付けの『日経MJ』のフロント面(1面)「消費者をくすぐる数字」記事のなかで、私のサイトの数字をご紹介いただいた。記事のリード部分を引用すると以下の通りだ。<消費が冷え込む中、単に「2割引き」といった表示だけでは消費者は躍らない。しかし、時間や量、ターゲットの年齢など様々な「数字」のツボを押さえれば、活路は開けるはずだ。消費意欲をくすぐり、売り上げを確保するための「今どきの数字事情」を探った。>その一例として「高速バス=5.5時間」ということで、所要8時間程度の東京~大阪線は前年比2割程度の伸びに留まるのに対し、所要5時間半程度の東京~名古屋線、東京~仙台線が約5割の伸びと好調という当社の実績を元に「高速バスでは5時間半が一つの壁」と紹介していただいている。実は先週、出張で九州を一周していたときに記者さんからご相談を受けた案件だ。ちょうど県境付近の山中を移動中だったが、つながりづらい携帯をムチ打って執念で会社のスタッフや広報担当につなぎ、データをお示しすることができ無事に掲載につながった。『MJ』には、個人名入り、写真入りも含め何度か紹介いただいているが、フロント面というのはやっぱりちょっと嬉しさが違う。ということで、記事の趣旨は、5時間半というのが境目にそれ以下の路線の伸びが好調、というものである。その理由として「朝一番に出発して午後から買物などを十分楽しめるかどうか」という当社の分析が紹介されている。何度も同じようなことを書いている気がするが、この記事はもちろん誤った内容では決してなく、事実を伝えていただいている。しかし、そういった消費者側のニーズだけが好調の要因かというと、決してそれだけではない。地域を絞った積極的なマーケティングによる需要喚起と、適切な商品の充実という両輪をうまく回していかなければこの数字は実現しない。つまり、各企画実施会社が漫然とバスを走らせ、私達が漫然とインターネットで販売してもこれだけの成長は望めない。その意味では、「狙っていった」結果、実現した数字である。しかし、ではそれが特別なことかというと決してそうではない。既存の路線バス事業者がよく使う言葉に「路線を育てる」というものがあるが、まさしく同じことである。たしかに、既存事業者が、車内吊りポスターや折り込みチラシなど「地上戦」を得意とするならば、我々は「空中戦」である。しかし、やっていることの本質は違わない。高速バスの存在を知らなかった潜在的な利用者に高速バスの便利さ、快適さを認知させるとともに、その利用者が「乗りたい」と思ったときに簡単に予約できる環境を準備する、という、それだけである。これまでのところ、既存事業者はみな「地上戦だけで十分」と思っていたわけだが、高速ツアーバス各社は(それと、JR系事業者は)「空中戦」の持つ力に注目し、私のサイトを活用するなり自社のサイトのマーケティングに注力するなりして利用者数を伸ばしてきた。ただ、これも何度も書いたことだが、「地上戦」「空中戦」のどっちが上、という話ではなく、あるマーケットは折り込みチラシなどで丹念に耕すことが求められ、別のマーケットにはインターネットをうまく活用することが求められる。大雑把に言うと地方都市ほど「地上戦」、大都市ほど「空中戦」であるが、大切なことはそれをバランスよく組み合わせていくことだ。高速ツアーバスでも宮崎~福岡線の各社など、インターネットでの集客とともに、地元飲食店にポスターを掲出してもらったりレジ付近にポケットティッシュを置かせてもらったりといった「地上戦」で伸びている。大都市間夜行路線は、インターネットでの集客が中心ではあるが、各社とも大学生協などもうまく活用している。やはり「チャネル・ミックス」は、マーケティングの基本である。これまで地道に「地域」という畑を耕してきた路線バス事業者にとって、私のサイトをはじめとしたインターネットをうまく活用する高速ツアーバス各社が、得体の知れない侵入者のように見えるその気持ちはよくわかる。一般乗合と募集型企画旅行という形態などの相違点もあいまって、高速ツアーバスという存在自体を受け入れたくない感覚は理解できる。しかし、だからといって、新規参入側の高速ツアーバスが柔軟に取り入れ成功させた新しいマーケティング手法まで頭から否定していては、成長するチャンスを自らフイにしているようなものである。
2009.05.28
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出張で2泊(ついでに個人的に延長1泊)したうちのひと晩は、地元の交通関係の研究者の先生や、路線バス事業者の若手たちとの、勉強会も兼ねた食事会だった。ご一緒した先生のブログにもそのときの様子が紹介されている。私にとっては、2月の松山出張の際の、地元ホテルの若手総支配人との食事を再現したような楽しい夜だった。研究者の先生方はともかく、ご一緒した路線バス事業者の若手社員は、高速ツアーバスの予約サイトを運営する私と付き合いがある旨は会社には内緒ということでここには詳しく書けないが、勤務の傍ら大学院に通うなど大変意欲があり聡明な方である。全国を見ても、そこまでしている事業者の若手はなかなかいないのではないか。彼とは、業界では有名なある方の紹介でお目にかかりそれ以来情報交換を続けているが、そのような人のつながりに心から感謝しつつ、そのように極めて属人的、偶然の出会いに頼らなければ話が合う仲間に出会えない状況を早く打破しないと、とあらためて感じた。上記、研究者の先生のブログにあるとおり、「意欲のある若手」をどうネットワーク化していくか、あるいは各事業者や行政の交通担当者がタコツボに陥ることがないようどう情報を共有していくか、というような話題が中心だったが、ロンドンやソウル等、海外視察の収穫話なども聞かせていただき、卓上に並んだお刺身が旨かったこともあってお酒が進んだ。私などつい「公益性の高い『平バス』と、収益事業である高速バスは分けて考えるべき」と机上の理論を言ってしまうが、地方部の事業者においては、高速バスの利益だろうがなんだろうが使えるものは使わないと路線を維持できない現状も感覚的には伝わってきた(それでも、繰り返すが、目の前の高速バスの黒字で「平バス」を維持しようとするのはモルヒネであり、それに頼りすぎるのは近い将来に事業者の首を絞めるだけ、という持論を変える事はないが)。MM(モビリティ・マネジメント)の一環として、複数事業者が競合する市内のバス路線に法則性を持たせた系統番号を付与するなどの例についても、「酒の肴」になった。たしかにアルファベットや数字を組み合わせたり動物のアイコンを方向幕に表示したりすることで、路線バスの系統番号を日常会話やお店のチラシなどに使用してもらう「きっかけ」にはなるかも知れないが、一般利用者が「解読」しないと理解できないようでは「法則化」の意味がないのではないか、ということを半分酔った頭で申し上げた気がする。むしろ、「誰のための案内か」ということを考えた、シーンに合わせた案内表示、案内放送の方が重要だと思う。空港や駅のバス乗り場で路頭に迷うのは、観光客や出張客など外来客であり、そのほとんどは中心市街地に向かうと思われる。それなら「○○デパート、△△通り方面バス乗り場」と大書きした看板が到着動線上にあって適切な停留所に乗客を誘導しつつ、停留所では「整理券・運賃後払い方式。○○デパートまでなら運賃○円。車内に両替機あり」というような具体的な乗り方・降り方が書いてあればそれで十分だ。もちろん「ふだんは自宅と駅との往復にバスを使っているが、駅の向こう側の病院に行くにはどのバスに乗ればいいんだろう?」という乗客もいるだろうが、その場合には紙やウェブで乗客が事前に調べやすい環境を用意すればいいわけで、MMなどと小難しい話とはレベルが違う気がする。好きなことをしゃべった上に、遠方からだからというだけの理由で食事も全てご馳走になってご機嫌でホテルに帰ると、ずいぶんと深夜遅くになっていて驚いた。それだけ楽しい食事だったということだろう。私以外の皆さんは、翌朝はたしか隣町の市役所で公共交通関係の会議にご出席とおっしゃっていたが、ちゃんと起きられただろうか?
2009.05.26
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先週の木曜、金曜と西日本の路線バス事業者をまわった(さらに土日は、当然、会社には内緒だが東京から家内が合流し、夫婦で唯一の共通の趣味?である小規模でお洒落なリゾートでの宿泊と食事を楽しむこともでき)極めて充実した出張だった。大雑把に言うと、西に行けば行くほど、高速バスのレベルが上がる。接客レベルも車両のレベルも上がる。そして各地域での高速バスの存在感も大きくなる。所要時間2~3時間の路線が高頻度で運行され、JRの特急と対等かそれ以上の立場で競合する姿は本当に気持ちいい。ひとえに、各事業者の努力のたまものである。特に、その中でリーダーシップを発揮した大手事業者の熱意と、それに裏づけされた営業面、運行面、車両面での工夫には頭が下がる。話は変わるが、私が路線バス事業者に持参するパワポ資料には、高速バスの成長の歴史を簡単に振り返ったページがある。そこでは、高速バスの歴史を3つのフェーズに分けて説明している。1960年ごろから80年ごろまでを「第1フェーズ」とすれば、正直、あまりいい成果を出せなかった時代である。事業者は、主に国鉄バスか、または沿線事業者の合弁で作られた高速バス専業者に限られていた。一定の結果を出した路線もなくはないが、東名急行のように会社ごと消滅したか、そこまで行かなくても起終点の大手事業者に面倒を見てもらう形になった合弁事業者の姿などを見ても、高速バスが苦戦した時代である。1980年ごろからの約20年間が「第2フェーズ」で、日本の高速バスの成長期に当たる。この時期最大のエポックは、「共同運行」のシステムが定着したことだろう。共同運行のメリットは多岐に渡るが、最大のポイントは、地方の老舗事業者が自ら高速バスの運行にたずさわることで、地元において徹底した需要の掘り起こしを行なったことである。3列シートやトイレ付きといった快適な専用車両の投入がそれをさらに後押しした。そして2000年ごろ以降が「第3フェーズ」である。主にJRバス系の進出で「マルチトラック化」が進展し、その後は高速ツアーバスの登場もあって「高速バス同士が競争する」時代になった。乗客が高速バス同士を比較しながら予約する習慣が生まれ、価格(運賃、料金)の低下を招く一方、特注のシートや女性受けするアメニティグッズなど商品力が充実した。バス同士の競争は「磁場」を生んで新しい乗客を集め、高速バスマーケットのさらなる拡大を導いている。路線ごとに見ると、沿線合弁事業者の生き残りである東北急行が主に運行していた東京~仙台線は、つい数年前まで、『ジュラシック・パーク』の、恐竜達が生き残っている孤島のように「第1フェーズ」の面影を引きずっていた。潜在需要は十分に見込めながら1日2~3往復にとどまり続け、そのうちの1往復はなんと「夜行の各停便」で残っていたのだ。ところが、国鉄からJRになった辺りに参入した彼らが数年前から突然積極的になるとともに、その後はウェブマーケティングを活用した高速ツアーバスの草刈り場となった結果、既存事業者側(東北急行、JR系双方)も、最近では車両タイプ別、期間別などの柔軟な運賃設定を導入し、本質的には高速ツアーバスに近いビジネスモデルを展開している。「第2フェーズ」の成功体験を持たない路線、事業者だったからこそ、後発の高速ツアーバスも容易に規模を拡大できたし、既存の路線バス事業者側も「第3フェーズ」に柔軟に対応することができた。逆に、規制緩和後に同路線に参入した京王/宮城交通は「第2フェーズ」モデルを忘れきれないようで、あくまで傍目に見ての想像ではあるが、集客に苦戦しているように見える。本日あえてこの点を書いたのは、「第2フェーズの成功例」の最たる地域を訪問し、その力強さをあらためて感じたからだ。そして私自身、趣味的?には、「第2フェーズ」が大好きなのだとあらためて感じたからだ。鉄道という大きな敵を相手に、路線バス事業者がコツコツ努力と工夫を重ねて地元の役に立つ高速バスを作り上げるというモデルは、西口でのアルバイトで高速バスと出会った私の原点でもある。一方、これはビジネスの世界では常識なのだが、前時代の遺産(レガシー)にこだわり続け変化に対応できなかった会社は、いつかは限界が来る。普通の業界であれば、それは企業の淘汰という形で現われる。街の商店街から百貨店へ、そしてGMS(大型スーパー)へ、それもやがてコンビニやカテゴリーキラー(ヨドバシカメラなど)へと時代の主役は移り変わり、対応できなかった商店や企業は順に消滅していっている(もちろん、時代の変化に対応でき今でも元気な街の商店もある)。しかし、安全性や公益性を担保するために規制があるバスの場合、簡単には淘汰されない。そのことは、一定程度、企業を守る。だがそれは、特に高速バスのように他の輸送モードと競合するビジネスの場合、気がついたら利用者から選ばれなくなっていた、という事態を引き起こす。少しキツい例えを許していただければ、アクション漫画の決まり文句のように消費者から「お前はもう、死んでいる」と宣言されるのである。大切なことは、市内の「平バス」は公益性が高い事業だが、高速バスは(事業者の自己認識はともかく、乗客にとっては)「鉄道よりも安い」「鉄道よりも快適」を武器に鉄道から乗客を奪っていく「商品」だという点である。繰り返すが、今回お邪魔した各事業者の高速バスは極めて元気で、今すぐに上記事態が発生するとは到底思えない。そして一愛好家?としては、その姿を眺めているのは極めて心地よい。自ら高速バスで移動し快適さに満足し、バスターミナルで高速バスを待つ長蛇の列を眺めつつ、変な言い方で恐縮だが自分でも安心感を覚えながら「変化の必要性」をあらためて思ったのである。
2009.05.25
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昨日の『トラベルジャーナル・オンライン』に加え、『トラベルビジョン』でも、私のサイトのGWの結果を報じていただいた。内容はともかくとして、あらためて感じたのは、旅行業界にはこのようなメディアが存在する一方(もちろん、雑誌『トラベルジャーナル』など印刷媒体も含め)、バスの業界にはこれにあたる媒体はないなあ、ということ。もちろん業界誌・紙にあたるものがないとは言えないが、『バスラマ』は事業者向けであるとともに愛好者向けでもあり、『交通新聞』は鉄道メイン、『東京交通新聞』はタクシーメイン、『交通毎日新聞』はメーカーやレンタカーがメインで、バス事業に直接たずさわる人の間で広く読まれ、特にマネジメントに必要な情報がリアルタイムに伝わってくる媒体はないと言ってよいのではないか。せいぜい、私のブログをよく読んでくださっているbasukeieiさんの個人ブログ『バス経営情報』くらいだが、なにぶん個人ブログでは限界があるし。私の前職であるホテル業界では、『週刊ホテレス』『月刊ホテル旅館』『観光経済新聞』などの業界誌・紙に加え、『ホテレス』の出版元である株式会社オータパブリケーションズが運営するホテリエ(ホテルのスタッフ)向けサイト『ホテル屋ドットコム』もある。特にこの『ホテル屋』を見ていただくとわかると思うが、ホテリエ向けのセミナーや勉強会が数多く開催されている。そしてそのようなセミナーの参加者同士がまた横につながっていって、個人的なネットワークを作り定期的に飲み会を開いたり、お互いのホテルに試泊しあったりという次の流れを生む。セミナーで勉強する内容そのものよりも、意欲と向上心とホテルへの熱い思いを持った若手同士が出会い、相互に刺激しあいながら成長していくきっかけとして、私もこのような会に何度も参加させていただいた。それに比べると、と、つい感じてしまう。例えば、このブログにも何度も繰り返し書いた「北海道中央バスの路線廃止問題」など、これまで「地域のため」と信じて路線を維持してきた路線バス事業者が、ある日突然「税金泥棒呼ばわり」されるリスクがある、ということを示した点で業界には極めて大きなニュース(実際には、北海道中央バスが「無責任」、JR北海道バスが「税金泥棒」という地元メディアの論調だったようだ。私もバスにたずさわる者としてこの2社のお立場はよくよく理解できるのだが、一般市民にはそうではなかった…)だと思うのだが、北海道以外の路線バス事業者の方はこのニュース自体を意外とご存じない。その他、老舗事業者の経営破綻のニュースや、「空気を運ぶ」コミュニティバスへの「税金の無駄遣い」といった批判など(なぜかネガティブな例ばかり挙げてしまったが)、バスを巡る話題には実は事欠かない。今はウェブでニュースを検索できる時代だから業界のニュースを集めること自体は簡単だが、それを共有し、自分達の成長につなげようという意欲は残念ながら伝わってこない。結局、前にも書いたが、営業で往訪した事業者の担当の方などの中から意欲のありそうな方に声をおかけし、個人的な勉強会などを繰り返し開催することで徐々にネットワークを広げていくしかないのかも知れない。例えば「高速バスのあり方」(≒高速ツアーバスに対する感じ方)など個別の問題について意見に差があるとしても、バスという産業のあり方に強い関心を持つとともにその現状や将来を憂う顔ぶれが一同に集まれるような「つながり」を、模索していこう。
2009.05.20
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旅行の業界誌『トラベルジャーナル』のオンライン版で私のサイトが、このGWに非常に好調だったと報じていただいた。全体的には前年度比で40%以上の成長、中でも首都圏-新潟、青森、広島など、特に地方向け路線が好調という記事になった。まあ私も商売だから、記事にあるとおり「地方路線の伸び率が大きい」という情報を記者さんにお伝えするし、もちろんそれは間違いではない。この「首都圏-新潟は前年の約3倍(+195%)、首都圏-青森は約2倍(+90%)」という数字は、私の会社のスタッフと取引先高速ツアーバス各社の努力の結果である。上記路線を「重点路線」と社内で規定し、該当地域在住の会員に限定して地元密着のメールマガジンを配信するなどして高速バスの需要を喚起すると同時に、該当地域の貸切専業者にお邪魔して「御社の旅行業免許を使って、御社主催という形で東京線の高速ツアーバスをやりましょう」とご提案し商品数座席数を増やすと言う両面戦略が生んだ数字である。需要喚起サイドと増便提案サイドが車の両輪のようにうまく回らないとこの数字は実現せず、その戦略の確かさと、困難を越えて実現させたスタッフの努力能力には自信がある。ただ、ここで少しだけ懺悔すれば、高速バス事情に詳しい方ならこれが「大本営発表」であり、決して誤りではないものの鵜呑みにするには危険であることはご理解いただけるだろう。つまり、本当に「地方路線が充実」と胸を張って言い切るには、次の2点で不足がある。まず、上記成長率は数字で見ると非常に大きいが、裏を返せば絶対量がまだ小さいからこそ大きくなるのが成長率である。実際、私のサイトの取扱量の約4割を占める首都圏-京阪神路線は2割程度の成長率にとどまっている。何度も繰り返してきたように、私達は、これまで路線バス事業者が苦手としてきた大都市での需要喚起に成功したため、高速バスが極めて低いシェアしか取れていなかった首都圏-京阪神・名古屋などでは、急速な成長することができた。その成長が一巡したので、これからようやく、既に高速路線バスが一定の存在感を持つ上記「地方路線」に注力しているのである。もう一つ、私が「本当に欲しい地方路線」とは、比較的距離が短く、その分高頻度で運行する昼行路線である。東京-山梨・長野や大阪-四国など膨大な座席供給量があり、その一部を代売させてもらうだけで私達には大きなボリュームとなる。一方、観光地への路線や出張で利用される路線など、私のサイトで宿泊予約をしている利用者にアピールすることで、確実に乗車率の上昇につなげることができる路線たちである。そういった路線は、各種の背景から、福岡-宮崎線などごく一部を除くと高速ツアーバスの参入はほとんど見られず、参入しても成功につながっていない。つまり、これはあちこちでご説明したことの繰り返しになるが、私のサイトにとっても、さらに成長を続けるためには高速路線バス業態の取扱が欠かせないし、同時に、高速路線バスのさらなる成長のためには、私のサイトが貢献できる。特に、これまで路線バス事業者が苦手としてきた大都市側の利用者を高速バスに導くという点で大きな貢献ができるはずである。このことは、何社から門前払いを食らおうと、全国の路線バス事業者に対し愚直に愚直にご説明を続けていくつもりである。おかげさまで、最近は「とりあえず話だけは聞きたい」という路線バス事業者が増えてきた。明後日からは、また西日本の路線バス事業者行脚である。
2009.05.19
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所用があって羽田から広島空港まで飛んだ。飛行機に乗るときは、窮屈なのを覚悟で窓側の席を取るようにしている。まず、空港では地上職員のキビキビした動きが見えて気持ちがいい(私が西口バイト時代にやっていた出発するバスに頭を下げる挨拶は、空港の地上職員が出発する飛行機に手を振って見送る姿から実は思いついたものだ)。それとともに、上空から見下ろす景色もまた楽しみだ。地上をバスで走るのとは違った風景が見えてくる。今回のフライトでは、岐阜県の上空で雲が晴れ、まず養老山系の緑が目に入った。その向こうに、肥沃そうな盆地が広がった。湖東(近江盆地)である。それが思ったより面積も広く、なぜと理由はわからないがずいぶんと肥沃そうに見えた。名神を走っていると琵琶湖と山に挟まれた細長い土地という印象があるが、上空から見るとその広さにあらためて驚く。都に近く、交通の要衝でもある。この地が生んだ歴史上のドラマを思い起こさせた。古くは、吉野から東国を回り関ヶ原(その地名は後世のものだが)から都へと攻め上った大海人皇子。時代は下って南北朝の騒乱に際し坂東から京へ上った足利や新田、それを追って遥か陸奥から駆け続けた北畠顕家。そして岐阜からここ湖東に拠点を移し天下を握ろうとした織田信長らの姿が見えたような気がした。彼らは、どんな思いを抱いて天下を目指したのだろう。ただの権力欲か? それとも、平和で豊かな国を作りたいという責任感か? そして、その将たちに命を預け、将の背中を追ってひたすら駆け続けた兵は、何を考え苦しい行軍に耐えたのだろう。兵庫県に入り、私の地元である明石、加古川あたりを過ぎると、海岸線に並ぶ工場群と遠く瀬戸内の島影に目が行きがちだが、足元に目を移すと「ため池」の多さが印象的だ。瀬戸内は温暖で風水害が少ないのが特徴で住みやすい土地柄だが、雨は少なく、農民は水不足に悩まされてきた。そのため「ため池」が盛んに作られた。古く空海や行基の手によると伝わるものもあるが、多くは江戸時代中期以降に作られたものだろう。泰平の世の中で庶民の間に蓄積されたエネルギーが、さらなる生産性向上に向いたのだと想像される。黙々と土砂を運んで少しずつ堤を築き上げた勤勉な農民達の姿が浮かぶ。そして「ため池」は池を作って終わりではない。少しでも広い面積の田畑に水を供給するためには、海抜を気にしながら台地の縁に用水路を這わせ、そこから計算どおりの分量を分水することが要求される。近代技術がない中で測量や掘削など苦労しただろうが、この国の民は(すなわち私たちのご先祖様たちは)持ち前の勤勉さと探究心で乗り越えていったのだろう。そんな風に歴史に思いを馳せていると、私は「人が一生懸命生きる姿」が好きなのだなとあらためて思う。もっとも、そんなことを書くと「お前の会社は金儲けに一生懸命だろう」と言われそうだ。もちろん私も数値目標は追っているし給料は安いより高いほうがいい。今度お給料を上げてもらえば家族で旅行に行こうとか、お金に対して人並みの思いはある。しかし、自分が「何に対して一生懸命」なのかをあらためて問えば、答えは一つ。「消費者のニーズ」である。バスターミナル、あるいはホテルのフロントやレストランで働くときには、目の前にいる「一人ひとりのお客様」を快くお迎えしご満足いただくことに無上の喜びを感じてきた(そう書くとまるでよほど変人のように思われるかも知れない。でも本当に目の前のお客様に満足してもらうことが心から嬉しいタチだ)。そしてホテルでもマーケティング部門に異動になり、今の会社に転職して高速バスのウェブマーケティングを担当するようになってからは、「消費者」という、「顔の見えない数多くのお客様の集合体」の希望願望を読み取り、それを商品として実現したり自らの商品を彼らに伝えたりすることに喜びを感じてきた。その意味で私が自信を持っていえるのは「消費者ニーズに対して真剣」であることだ。バスにたずさわる人たちの中には「安全運転にこそ真剣」な人もいれば、「乗り心地のいいバスを作ることに真剣」な人もいて、その他みんなバスに一生懸命であるのだから、あとはそんなみんなでそれぞれの力を結集できる業界にしていかないとな、というのが、広島までのフライトでなんとなく感じたことだった。
2009.05.18
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国内のバス工場が一つ閉鎖されるというニュースが流れている。既に大型バスの製造は他の工場に移管していたとはいえ、日本のバス業界では名門の工場であり残念である。が、そんな感傷にふけっている場合ではない。とにかく、それだけ日本のバスの台数が減っているということであり(パラダイス鎖国のおかげで、国内のバスメーカーの好不調は、ほぼ国内のバス事業の好不調とリンクする)、乗務員を中心に、私のような販売側まで含め、バスで生きていこうと考えている者の食い扶持が減っているということだからだ。いまバスの乗務員をやっている人が「クルマの運転で生きていければ車種は何でもいい」というならば、トラックでもタクシーでも、ゴミの収集でも自衛隊の戦車でも、社長の社用車の運転でもF1ドライバー(?)でも、何かしら仕事はあるかも知れない。私のようなマーケティング担当者も、何もバスでなくてもいいのであれば、マーケティングの対象はいくらでもある。ただし私は、バスに関わり続けたい。バイトでバスと出会って興味を持ち、いったんホテル業界で働いてそれはそれで楽しかったけれど、やっぱりバスに戻ってきて……「なんでバスなの?」とみんなに聞かれその理由を自分でもよく説明できないけれど、これからもバスでご飯を食べていきたい。でもこのままだとまずいよね、という状況の一つの現われが冒頭のニュースである。いま、いわゆる「新免事業者」(あるいは規制緩和直前に貸切バスに参入した「成り上がり事業者」)の皆さんとお話しをしていると、会社を始めた頃、冒頭のニュースのメーカー(厳密にはそのディーラー)がバスを売ってくれなかったから今でもぜったいそのメーカーのバスを買わない、などという話を聞く。あるいはわざわざ隣の県のディーラーから購入する、とか。それはメーカー(あるいはディーラー)の問題であることは間違いないが、誰のおかげでご飯を食べていけるのか、という当たり前のことと、その相手に対する感謝の気持ちを忘れさせる雰囲気がこの業界全体に流れていることは否定できないだろう。路線バス事業者で運行管理をやっている友人が「乗務員は、シルバーパスで乗るお年寄りのことを指して『タダで乗せてやってる』とすぐに言うが、タダではないんだと何回説明しても分かってくれない」と愚痴を言っていたが、それもこの業界の象徴的なシーンだろう。シルバーパスにせよコミュニティバスにせよ欠損補助にせよ、仮にお金の出所が乗客本人でなく税金であったとしても、その税金は無尽蔵でないことを早く認識しなければいけない。とかく納税者意識に欠け税金の使い道に無頓着(その分、我田引水的に税金を使うことを望む)と言われる日本人だが、定額給付金の是非を問われ「他にもっと有効な使い道があるはず」という意見が目立ったあたり、これまで同様にバスに税金を入れ続けることを社会が認めてくれるかどうかは心もとない。過疎地のバスを維持するために税金を払うくらいなら、過疎地のお年寄りの外出にはタクシー代を補助した方が安上がりではないか、というような意見を普通の市民が言い出したとき、私達はまだバス事業で生計を立て続けられるだろうか。上記『パラダイス鎖国』の中で著者の海部美知氏は、「市場が低成長に移行しても、始めるとなかなか撤退できない日本企業の体質」を挙げておられる。これを読むと、韓国人の知人が言っていた言葉を思い出す。「韓国では徴兵制が取られ若者はみな軍隊に入る。その中で『敵、あるいは周囲の状況を冷静に把握し、それを誤りなく上官に伝える』という訓練を何度も繰り返し受ける」というのである。まずい状況ならまずいなりに、そのことを把握する訓練が、この国では少し不足しているのかも知れない。
2009.05.14
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高速ツアーバス業態の成長の過程で、ウェブマーケティングが果たした役割の大きさは誰もが認めることだろう。ただ、オリオンツアーと西日本ツアーズ(現ウィラー・トラベル)が高速ツアーバスの領域に新たに進出したのが2001年だからまもなく8年が経つわけだが、私のサイトがそれらの予約(受託販売)事業を始めてからまだ3年半であり、高速ツアーバスの歴史の半分にも届いていない。私の会社が参入するまで、彼らが自社のサイトのマーケティングに務めていた結果、一定の規模感に到達していたとはいえ、私のサイトが参入して、日付と区間を指定することで各社の空席を横断的に検索して予約まで行なえる「空席検索モデル」を導入したことは、業態を大きく成長させたと言えるだろう(もちろん、従来より効率的にウェブマーケティングが可能になったという側面も大きいが)。高速バスを予約しようと私のサイトを訪れる利用者は、まず「空席検索」を行なう。その結果、乗りたい日の乗りたい区間に運行している便(もちろん空席がある便のみ)がズラッと並んだ画面から、価格やシート設備、アメニティグッズや「お客さまの声」(クチコミ情報)などから比較して予約する。この「空席検索」という概念は、実は高速バスビジネスに大きな変革をもたらしている。これまでの高速バスビジネスは、高速路線バスであれば運行区間もダイヤも運賃も事前に決める必要が法的に求められていたことは当然として、高速ツアーバスであっても、パンフレットを印刷し予約センターのオペレーションを整えたりする必要から先の数ヶ月まで区間、スケジュール、料金を事前に決定する必要があった。路線バス事業者からすれば「勝手に決めて勝手に走れるのは不公平」と映ることは承知しているが、それでも一定程度、先の商品を決定しておく必要はあったのである。しかし「空席検索」モデルを活用すれば、「その日だけ」運行しても予約は入るし、料金をリアルタイムで変動させることもできる。予約ペースが早ければどんどん料金を上げればいいわけである。法律の縛りもさることながら、ウェブによる新しい予約フローが、従来なら考えられなかったビジネスモデルを生み出している。あるいは、同じ「商品棚」に並んだ多数のバスの中から自社の商品を選んでもらうために、快適性を謳うオリジナルシートやアメニティグッズなど、商品性でも様々な工夫が生まれてきている。興味深いのは、高速ツアーバス業態の中でも、その流れに乗っている会社と置いていかれつつある会社が出てきていることだ。皮肉なことに、総じて、古くから高速ツアーバスをやっている会社ほどこの流れに取り残されているケースが多い。その中では、最古参のウィラー・トラベルが流れの最先端にいることなど、さすがと言うべきか。合わせて、つい最近参入した新しい会社たちは私のサイトの流れに乗ることが参入時点からの大前提だから、思ったより新しいアイデアをポンポンと出してくれる。ちなみに、もっと興味深いことがある。最近は高速ツアーバス事業も市民権を得てきたのか、これまでなら「あんな闇バスなんか」と言っていたクラスの中堅以上のバス事業者から「高速ツアーバスに参入したい」とご相談を頂戴するようになった。ただ、そういった方々とお話していると、失礼ながら柔軟性に乏しいというか、少しカタい感じがする。これまでは、高速ツアーバス古参の会社たちを、流れに置いていかれない様に柔軟に変えていくことに注力していたが、最近では新規参入(だけど会社としての「格」は上)の会社たちに、これまでの経緯をご説明し柔軟になっていただくよう説得することが多くなった。もちろん、そんな会社が高速ツアーバスをやってくれるようになったことは、素直に感謝しないといけないと考えている。
2009.05.13
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旅行関係の専門紙・誌の記者さんから、よく「高速ツアーバスは、高速バス業界における『LCC』ですね」と声をかけられる。「LCC」とは「ロー・コスト・キャリア」のことで、日本語に直せば「格安航空会社」のことである。ドラスティックにサービス内容を見直したり需要が見込める路線に集中参入することで運賃をぎりぎりまで下げて集客するスタイルの新規参入航空会社の総称である。高速ツアーバスがLCCか、という問いに対しては、半分イエスで半分はノーだというのがいつもの私の答えである。たしかに、既存の航空会社(「レガシー・キャリア」と呼ばれる)に対して、全く新しい、自由な発想に基づいて価格面とサービス面、そしてマーケティングで対抗し、規模と伝統がある分よけいに動きが遅いレガシー・キャリアを危機に追い込んでいく姿はLCCと重なって見える。徹底した需要予測(フォーキャスティング)とそれに基づくビビッドな価格変動(ダイナミック・プライシング)によって成立するレベニュー・マネジメントの導入など、私自身、高速ツアーバス業態を育てるにあたって参考にさせていただいたのも確かだし、積極的なウェブマーケティングの活用という側面でも共通する。だが、半分はノーだというのは、日本においては、そもそも高速バスという輸送モード自体がLCC的であると考えているからである。広大な北米大陸、あるいは海峡や国境を越えて移動する英欧や欧州域内の移動では、飛行機による移動が「デフォルト」(標準)である。規制緩和前は当然、レガシー・キャリアがそれだった。そのデフォルトに対して、あえて安い「もう一つの選択肢」を用意したのがLCCである。では日本ではどうか。デフォルトである鉄道による移動に対し、高速バスという存在は、あえて選ぶ「もう一つの選択肢」に他ならず、それこそLCCそのものではないか。つまり高速ツアーバスばかりでなく、既存の高速路線バスも含めてLCCという側面が大きい。今となっては「既存」「守旧」に見えてくる高速路線バスという業態だが、事業者は時の運輸行政と戦ってまで「路線権」を勝ち取ってきた。「高速ツアーバスは儲かる路線だけ参入しておりクリームスキミングだ」という声もあるが、そもそも鉄道事業者からは高速バスという存在そのものがクリームスキミング的だと見えるだろう。既存の路線バス事業者も、もう一度、高速バス事業に進出したときの「初心」を思い出し、すなわち自らも日本におけるLCCの一員であることを思い出すべきである。そして、自らの事業をさらに拡大させるには何が必要か、再考してみるべきである。ちなみに、少し前の記事だが、旅行業界関係者向けのサイトに英国航空の担当者のインタビューが掲載されている。言うまでもなく「レガシー・キャリア(既存航空会社)」の筆頭格である。が、そのレガシー・キャリアの側が、LCCの台頭により「毎日が競争」であるとし、その競争が価格やサービスを見直すきっかけとなり「競争はビジネスモデルを強固にする」と語っているのは注目に値する。今日の高速ツアーバス事業に課題がないわけではない。法的にも、安全面でも、またサービス面でも乗り越えなければいけない課題は多い。少なくとも、既存の路線バス事業者に対し「高速ツアーバスの方が上であり、その真似をしろ」などと口が裂けても言えないのは確かである。だが、既存事業者が高速ツアーバスの存在そのものを認めず、その足りない点ばかりを非難し、見習うべき点にはあえて気付かないフリをしている限り、彼らの成長は絶対に無い。いま私は、「本格的なウェブマーケティングを導入すれば高速路線バスはまだまだ成長できる」という私自身の信念に基づき、全国の既存事業者にお邪魔して提携のご提案を続けている。それが彼らにも私達にもメリットがあると考えるからである。訪問した先では、これまで高速ツアーバス業態を育ててきたことに皮肉を言われながらも老舗の立場を立て、ただただ頭を下げる。しかし、本当に彼ら自身に成長しようという意欲が無いのであれば(安い頭とはいえ。そして、自分自身の信念のためだとはいえ)頭を下げてまで、彼らの成長を本気で手伝わないといけないのかどうか、ときどき考え込んでしまうこともまた事実である。
2009.05.12
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先週、三越池袋店閉店の話題を書いた。そういえば、国際興業系の夜行高速バスの一部に「池袋駅東口 三越裏」という停留所があったような…。正式な停留所名ではなく、旅客案内上「三越裏」と付けていただけだとしても、パンフレットの修正等の手間と費用が発生するような気がして少しお気の毒な感じ。ちなみに、停留所のポールがないためビル名称等を「集合場所」とせざるを得ない高速ツアーバスの場合は、特に「新宿西口 三菱東京UFJ銀行新宿中央支店前」がわかりづらいと不評である。銀行の合併が進み、新宿西口に三菱東京UFJ銀行の支店が多すぎるからだ。あの場所は私が西口でバイトしていた頃から募集モノの集合場所として多用されていて、当時は「東京銀行前」だった。まあ、時代が変わったということだろう。蛇足ながら「時代が変わった」と言えば、西口バイト時代の仲間は「時代が大きく変わった」ことを表現するのに「成定がツアーバスの仕事をやってるくらい時代が変わった」と言う(使用例:「こないだ、新南口のJRバス乗り場に朝、西武と京王が並んで止まってたよ。金沢の到着便と高遠の出発便なんだろうけど、時代は変わったね」「そりゃあ、成定が高速ツアーバスの仕事やってるくらいだからね」)。それくらい、かつて私は「アンチ・高速ツアーバス」だったのだ。それはともかく、前の記事では三越閉店のニュースから国内系老舗ホテル企業の「経営力不足」を指摘したわけだが、既存路線バス事業者と比べた場合はどうなるだろうか?まず、言うまでもなくビヘイビアは老舗百貨店、老舗ホテル企業と共通し「同じ病巣」を持つであろうことは容易にうかがえる一方、異なるのは「競争環境」である。日本の百貨店や老舗ホテルは、右肩上がりの経済成長のもとマーケットが年々拡大を続けるなかで切迫感に欠けていたことは間違いないものの、それでも最後には激化する競争(百貨店の場合はGMSやカテゴリーキラーとの業態間競争。ホテルの場合は主に外資系ブランドホテルの上陸)に追われ、いまや青息吐息である。一方、参入規制が厳しかった路線バス事業(およびその延長線上にある高速バス事業)においては、ごく一部で高速ツアーバスと競合する以外は、目に見える競争環境に置かれていない。その点、既存バス事業者は「恵まれている」ように見えるだが、それこそが最大の問題点であるかのように思える。少なくとも私がいた老舗ホテル企業は危機を危機として認識はしていた。もちろん明らかにまずい状況でも「ウチは大阪で一番のホテルやで。大阪進出したばっかりのリッツ・カールトンなんかに負けてへん」とベテラン勢が言い続け、私のような若造から「ウチが大阪一ならリッツは世界一じゃないんですか?」とたしなめられていた状況ではあった。しかし、足元の経営がおぼつかなくボーナスもゼロに近くなり定期昇給も昇格もストップしたなかで皆の目の色が変わってきた。早めに危機感を持てた点は、既存バス事業者より恵まれていたのかも知れない。そしてもう一つ、ホテルの方が恵まれていた点がある。敵に追い詰められるなかで、裏を返せば「先輩」「勝者」であるその敵から、いろいろと学ぶことができた点である。私が大学院の「ホスピタリティ・マネジメント」の講義に通い外資系ホテル企業の経営を学ぶことを経営陣が業務として認めてくれた点など、その一つの現われである。ちなみに、厳しいとは言いながらここ10年、その外資系も含めた日本のホテル業をデータで見てみると拡大基調にあるのに対し、学ぶべき「外資系」が存在しない旅館業は明確に縮小している。事業がドメスティックであればあるほど国際的な大きなうねりに巻き込まれず太平の世が続くが、それは延命を施しているだけであり、結局は消費者のニーズに寄り添うことを怠ってしまい産業としての活力を失ってしまうのである。誤解を恐れずに言うと(私の立場でこれを言うとやっぱり誤解されそうで心配だが)、大切なことは「バス事業者を守ること」ではない。「バス事業を守ること」なのだ。バスという産業を守り抜ければさえ、私達はみなバスで食べていけるのだから。そういえば、海外勢の攻勢に耐えつつ、「三和」や「東京」など名門銀行の名前を捨ててでも4大メガバンクに収斂されていった銀行業界もまた、海外勢の強みを自らの肉とし、いまやその海外勢の筆頭格であるモルガンスタンレーさえ三菱東京UFJの傘下に入ろうとしている。我々も、「支店がたくさんあって旅客案内が難しい」などと下らない愚痴を言っている場合ではない。彼らの経験から学ぶことは数多くあるはずである。
2009.05.11
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昨日、三越池袋店の閉店をニュースが伝えていた。私が以前に勤務していたホテルも、いくつかのグループホテルの売却を余儀なくされたが、まだ幸運なことに本当の「閉鎖」に立ち会うことはなかった。三越の従業員、特に閉店のオペレーションに直接たずさわった人たちはとても悔しいことだろう。閉店というのは、ただシャッターを下ろせばそれでいいという問題ではない。人の配転やアフターサービスの体制作りなど大変な作業だっただろうし、それが後ろ向きな仕事だけに辛かっただろう。この「百貨店の不振」という問題は、国内系老舗ホテルに勤務してその変革を目指していた私にとって、とにかく他人事ではない。単純に「安いモノしか売れなくなった」「最近の若い人は老舗の価値を理解してくれない」と社会のせいにするのは簡単ではあるが、そこからは何も生まれない気がする。もちろん、中期的に見ればバブル崩壊以降の、そして短期的に見ればサブプライム問題以降の不況により、消費者の価格志向が進み高いモノが売れなくなっているのは事実であろう。また、高度経済成長期に建設された老舗ホテルは施設の老朽化が進み、バブル以降に建設された外資系ブランドの高級ホテルや、徹底した多店舗展開により低コスト中バリューを追求した宿泊特化型ホテル(ルートインなど)に比べてハード面での陳腐化が進んでいたことも事実である。あるいは、何度も繰り返し書いたように、消費者のニーズを汲み取ってそれを実現するという、ホテルの真髄であるホスピタリティの部分、すなわちソフト面でも、新しく生まれた競合相手に負けていたと言われても仕方がない。ただ、根本的には、そのような表面的な問題だけではないはずだ。たしかに老舗百貨店も老舗ホテルも、消費者の変化を読み間違えた。だが、ではなぜ彼らは揃いも揃って読み間違えたのか?根本的には、既成のビジネスモデルが満点か、常に自分に問い続け、常に成長を図るよう「背中を押し続ける仕組み」を作ることができなかったことが問題なのであり、それはすなわち経営力の不足の問題である。「終身雇用、年功序列を前提とした家族的組織」に象徴される「日本型企業経営」の是非が論じられるが、少なくとも、現状を否定する冷たさを強制されない「身内への甘さ」は、日本型経営の負の部分として明確に認識されるべきである。アメリカ生まれの学問である「ホスピタリティ・マネジメント(ホテルやテーマパークなどの経営について論じる学問)」をかじって、外資系ホテルの経営手法を自らのホテルのそれとを照らし合わせて印象的なことは、アメリカ型の組織と言うのは、トップダウン型の組織から生まれる強いリーダーシップと、それと対をなす「牽制の体制」を見事に仕組み化している点である。日本型ホテル企業の社長や総支配人を日本の総理大臣型だとすれば、外資系ホテル企業の社長や総支配人はアメリカの大統領型であり強いリーダーシップを持つ。しかし同時に、もし力不足であったり独走して失敗したりすれば次の選挙で確実に敗北が待っている「背水の陣」を常に強いられているのである。そして末端まで「背水の陣」に巻き込むのが彼らの組織の特徴である。もちろん、その「常に成長するよう背中を押し続ける仕組み」が暴走した結果がサブプライム問題となったわけで、アメリカ型の経営手法を手放しで賞賛するつもりはない。しかしながら、「昨日までこれでやって来れたんだから明日もこれでやっていけるだろう」という現状肯定から脱却しなければ、各種の日本の老舗企業に未来がないことも事実である。これまでそれを許してきた右肩上がりの経済成長は、とっくに終わっているのだから。
2009.05.07
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