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月ノ章/番外編―――かもしれない置いてけぼりにされたあの娘は、借り狩りぐらしのアリエッ○となり(ry・・・寧ろ、今までよく我慢したと自分を褒めてあげたいです(`・ω・´)キリッ
2010/08/30

今日、新しいエアコンが無事設置されました。最近のエアコンって室外機の音が全然しなくて驚いています(汗)それは(/▽`)/コッチニオイトイテ口の開き方で迷走していた壁紙Dタイプですが、コチラに差し替えておきました。※変更点プルミエールの口の開き方ミュークに吸血牙を付加
2010/08/28

↓★補正★↓細部補正と目立っていた主線を矯正致しました。樹海奥地感が醸し出されていれば幸いです┃原生林┃ω・o)ノ
2010/08/27

首人関連で世界樹の描写が続いたので描いてみました。毎回、テクスチャばかりでは味気ないので、今回は新しい技法も多々取り入れてヌリヌリしてみましたが、イマイチ納得できない仕上がりになってしまいました(汗)もう少し補正するかもしれません。
2010/08/26
唯一無二の心の友であったエアコンさんが逝かれてしまいました(´;ω;`)ウッ…新しいのを近くの電気店で買ったまではいいのですが、取り付けが一週間後って遅すぎorz作業中はPCが常時2台起動しているので、うーたん部屋は蒸し風呂状態と化し、とても人間が住める環境ではなくなります。そんなこんなで、今朝からノートPCを持ち出してすぬーぴーらんど、ではなく、妹の部屋に避難ちゅーです。と、いうわけで暫くの間、真人間verです。丁度、イラストも頼まれていたので、風景画とか動物画に力を注ぎたいと思います。
2010/08/22

なんでも参加(=^・ω・^)ニャ-子分も同じく(=^・ω・^)ニャ-左右から狙われてオチオチ弾いていられません(´;ω;`)ウッ…
2010/08/19

※前章からの移植部分は新規ではないのでカット致しております。『†Princesse du sang†』 光ノ章 3-00【過去】光ノ章 3-00【過去】―シャルロットSIDE― 古びた調度品が立ち並ぶ室内に、奇妙な取り合わせの人影があった。 着床台の上に備え付けられた幼女の生首と対面するのは、白蝋の肌に黒髪の女性と奇抜な衣装に身を包んだ青年である。 ここは断崖都市ジャッジサイド。 教皇庁の座すルブリス島と海峡を挟み隣接するクシュ島に建築された自治都市。 住人の大半は、神都の定住資格から溢れた者たちで構成された低所得者層の拠り所であり、ソウルガイス諸島群において、唯一、宗教的権威から切り離された歓楽街でもあった。 「どうやら一杯喰わされたようだな」 エドゥアルトが一連の騒動を思い起こして溜息を吐く。 地下霊廟から地上へと戻った一行を待ち構えていたのは、大聖堂を取り囲む完全武装の神官兵であった。 首人を伴ったシャルロットたち一行が、元老院の追っ手を逃れて、この断崖都市に辿り着いたのは、ほんの数刻前である。 「命があっただけでも女神に感謝致しましょう」 宗教人の思考構造で物事を解釈するファティマ・イス。 もっともこの女枢機卿の信仰心には、一癖どころか二癖三癖とありそうだ。 「処刑人さまさまと言った方が正確ではあるがね」 エドゥアルトの皮肉通り、あの頑強な包囲網を突破出来たのは、首人の連れた処刑人たちの活躍があったればこそで、ファティマ・イスもそこに反論を挟む余地は無かった。 「まさか、元老院があのような強行手段に打って出るとは計算違いでしたわ」 ファティマ・イスがシャルロットをこの救出作戦に同行させたのも、信心を集める聖女の存在に元老院が手を拱いていると、見越した上での判断であった。 なにより、教会の二大宗派のひとつである聖アルジャベータ公会との軋轢を深めてまで攻勢に転じるとは、到底思えなかったのである。 「首人さま、お話があります」 室内の扉が開き、隣室からシャルロットが姿を現す。 ミルフィーナの容態を慮り今まで付き添っていたのだろう。 「エレシアムのことじゃな?」 首人の言葉に無言で頷くシャルロット。 「其方を助け導くことは、エレシアムの最期の願いでもあった。 じゃが、妾がこれから話すことは其方にとって堪え難き記憶となろう。 ともすれば、教会やアダマストル王家の命運さえ左右しかねぬ内容じゃ。 それでも聞きたいのかや?」 「はい、教えてください。 お母様のことを……」 シャルロットが真剣な眼差しで首肯する。 それを正面から受けて、首人は満足したように微笑んだ。 「其方は誰を母と呼び、己が存在を聖女たらしめるつもりじゃ?」・・・(※中略「首人のエレシアムに対する回想」は2-08からの移植部分です)★フリーページには全文載せています・・・ 「そうか、其方に全てを受け入れる覚悟があるならば、アンネシュティフを探すがよい」 「アンネシュティフ……」 シャルロットが尋ね返す。 神剣アンネシュティフは、アダマストル王家に伝わる霊環アシュタリータと並ぶ、女神が神界より齎した三神器のひとつである。 「そうじゃ。 あれは別名“正義の剣”とも呼ばれ、メナディエルの加護に適う者にしか所持できぬ業物じゃ。 神剣の適合者となれば元老院の世迷言など一笑にふせるじゃろう」 首人の見解は確かに真理の側面のひとつであるのだろう。 少なくとも一般の信徒たちは、元老院の物欲に塗れた言葉よりも、アンネシュティフに纏わる神性を信じる筈である。 シャルロットが聖座に着く足掛かりには十分であろう。 「だが、その神剣とやらは何処にあるんだい?」 エドウアルトが至極真っ当な質問をする。 「妾の記憶に不一致が無ければ、アンネシュティフは初代教皇アグリウスタの遺骸と共に納棺されておる筈じゃ」 首人は茶目っ気たっぷりに、にんまりと微笑んでいた。 ==============================================※推敲はフリーページ内で行います
2010/08/18
※主な変更点2-07【神韻】巨躯の異形がミルフィーナを抱きかかえているといった描写に変更。その他、内容に大きな変更点はありません。2-08【首人】ミルフィーナが意識を取り戻す描写を付け加えております。首人とエレシアムの過去描写を削除。3-00【過去】★次章の概要首人とエレシアムの過去描写の移植。加えて、元老院の追っ手から逃れ断崖都市ジャッジサイドに辿り着き、首人がシャルロット一行と同行する運びになっております。前章から首人が神剣アンネシュティフを手渡すといった描写を削除して、神剣を探索を促す展開への布石。============================================================光ノ章_02-07【神韻】============================================================【改稿/ミルフィーナとの邂逅】 「フィーナ!」 シャルロットが悲鳴にも近い声を張り上げる。 少女の視線は前方の暗がりに横たわる人影に吸い寄せられていた。 砂と泥に塗れた白金色の長髪と薄汚れた囚人服―――それは見紛うことなくミルフィーナ・ド・グラドユニオンであった。 「聖女さま、なりません」 ファティマ・イスがシャルロットの身体を背後から腕を回して押さえ込む。 「離して、離して下さい! あそこにフィーナが……」 「随分と賑やかな連中じゃな」 何処か舌足らずな幼い声と共に、それは現れた。 紅と黒の斑な長衣を纏い額部分に異なる数列を刻む円錐状の黒覆面を被る三つの人影。 中央で紗幕を被せた鳥籠のようなものを大事そうに抱えている人物は、曲線を帯びた体型から女性体と判別できた。 その両脇の二人は恐らく男性体であろう。 右に異様に長い手足を備える長躯の者、左に巨人族と見紛う巨躯の持ち主。 共に人間の範疇を遥かに逸脱した個体変異をその肉体に宿している。 特に大躯の異形は一抱えはある大きな麻袋を軽々と両肩に担ぎ上げていた。 「あまりお近づきにはなりたくない部類の人種だな」↓★推敲★↓ 何処か舌足らずな幼い声と共に、それは現れた。 紅と黒の斑な長衣を纏い額部分に異なる数列を刻む円錐状の黒覆面を被る三つの人影。 中央で紗幕を被せた鳥籠のようなものを大事そうに抱えている人物は、曲線を帯びた体型から女性体と判別できた。 その両脇の二人は恐らく男性体であろう。 右に異様に長い手足を備える長躯の者、左に巨人族と見紛う巨躯の持ち主。 共に人間の範疇を遥かに逸脱した個体変異をその肉体に宿している。 「フィーナ!」 シャルロットが悲鳴にも近い声を張り上げる。 少女の視線は巨躯の異形が両腕で抱きかかえる人影に吸い寄せられていた。 砂と泥に塗れた白金色の長髪と薄汚れた囚人服を纏った人物―――それは見紛うことなくミルフィーナ・ド・グラドユニオンであった。 「どうやら、陰気臭い穴倉で歩き回る手間が省けたようだな」============================================================光ノ章_02-08【首人】============================================================【改稿・加筆/首人との遣り取り】 「こやつ等は妾の所有者が元老院の膝元に潜り込ませておった間者たちじゃ。 怪しい奴等じゃが見た目ほどに怪しくは無い」 首人はしれじれと言ってのける。 そう返されては事実を確認する術のないエドゥアルトには反論の余地が無い。 「それが真実ならば、此方にミルフィーナ卿の身柄を、お引渡し願えるでしょうか?」 ファティマ・イスがエドゥアルトの背後から会話に割ってはいる。 首人の真意を探るにはもっとも適切な切り返しである。 「元よりそのつもりじゃ」 首人が顎をしゃくると、長躯の異形が動く。 地に横たわるミルフィーナを節足動物のように長い腕が絡めとり、前方に向って無造作に投げつける。 「おっと」 宙を舞うミルフィーナの身体をエドゥアルトが咄嗟に捕捉する。 「フィーナ……、フィーナ!!」 シャルロットが弾かれたようにミルフィーナへと駆け寄り、涙ながらに呼び掛ける。 破れた囚人衣の下には何も身に着けていないらしく、艶かしくも引き締まった肢体が所々露出している。 酷い拷問を受けたようで、胸元と太腿に走る深い裂傷と痣痕が痛々しかった。↓★推敲★↓ 「こやつ等は元々、妾の配下にあった者たちじゃ。 国を捨てたときに放免したが、妾の教皇庁来訪を何処で聞きつけたか義理堅く参集しおった。 怪しい奴等じゃが見た目ほどに怪しくは無い」 首人はしれじれと言ってのける。 そう返されては事実を確認する術のないエドゥアルトには反論の余地が無い。 「……この方の、こ言葉は……真実です」 途切れ途切れに振り落ちる言葉。 「フィーナ!?」 その声に誰よりも敏感に反応したのはシャルロットであった。 ミルフィーナは巨躯の異形の腕の中で、苦痛に顔を歪めながら身を起こすと、それだけを伝える。 首人が顎をしゃくると、巨躯の異形の腕が動き、ミルフィーナが地に降ろされる。 「フィーナ……、フィーナ!!」 シャルロットが弾かれたようにミルフィーナへと駆け寄り、涙ながらに呼び掛ける。 破れた囚人衣の下には何も身に着けていないらしく、艶かしくも引き締まった肢体が所々露出している。 酷い拷問を受けたようで、胸元と太腿に走る深い裂傷と痣痕が痛々しかった。============================================================【改稿/※回想部分削除による展開の変更】 ※略↓★推敲★↓ 「そうじゃな、妾の不精娘は間に合いそうも無い。 ここは其方の抱く想いを優先しようぞ」 首人が嘆息混じりに頷く。 どうやら、シャルロットの心裡の葛藤を見透かしていたようである。 「話が纏まったのならば、こんな場所に長居は無用だと思うのだが、如何かな?」 エドゥアルトは役得とばかりにミルフィーナを背中へと担ぎ上げると、片目を瞑ってみせた。============================================================※その他、誤字脱字の訂正、細かい形容などを追加致しました。
2010/08/18

うーたんぐらいのステキ人格者になると、男女差別無く、ヌギヌギさせ…(*゚□゚)ノ☆)`ν゚)・;'.、クハッ!!敢えて双子のルムファムと同じシチュで攻めてみたのですが、男の子のレムリア君の方がHぃく見えるのは気のせいでしょうか?(汗)※微修正
2010/08/14

どうしても、違和感が拭えなかったのでのっぺり気味(横長)だった顔を若干ですが補正致しました。被せ補正ではなく個別のレイヤごとに修正してあります。レイヤ数は乱雑化しないように、出来るだけ数量を抑えていますが、修正するときは、細かくレイヤ分けしてあった方が楽ですね。そこら辺は一長一短なのかもしれません。ちなみにアニメ塗り(ギャルゲ塗り)の場合ですが、主線_瞳主線_顔主線ベース・・・―髪レイヤ(グループフォルダ) |―etc |―髪_ハイライト |―髪_濃淡 |―髪ベース影 |―★髪ベース―肌レイヤ(グループフォルダ) |―etc |―肌_ハイライト |―肌_濃淡 |―肌ベース影 |―★肌ベース・・・こんな感じにレイヤ分けすることが多いです。
2010/08/11

もうすぐ夏の祭典ですねー┃有明┃ω・o)y-~~~少しでも涼しくなるように、残暑お見舞い絵を投下しておきまする。かっとばんの正しい使い方を…(*゚□゚)ノ☆)`ν゚)・;'.、クハッ!!
2010/08/09

先程、日記を書いた序に描いてみました。スキャナ君が逝かれたので、ペンタブでラフを描いて、細部に主線補正を施しています。残暑お見舞い絵の予定です。キャラは敢えて二年前と同じルムファム・グリンハルトです。あの時は下を攻めすぎて反省したので、今回は上の方を攻め……(*゚□゚)ノ☆)`ν゚)・;'.、クハッ!!時間がある時に彩色します(`・ω・´)
2010/08/05
目を閉じると、トーンの削りカスを額(?)に貼り付けてはしゃいでいた君の姿が思い浮かびます(´;ω;`)ウッ…近年は寝起きの悪い君にエールを贈るつもりで鉄拳制裁に及んだこともあったよね。「もう寿命だし、壊れて元々だから♪」などとは微塵も思ってはいませんでした。勿論、「アレが致命傷だったら嫌だな(笑)」なんて一瞬すら過ぎったこともありません。今までゴメンね。 そしてありがとう。ところで、前々から気になっていたことがあります。君って「不燃ごみ」と「粗大ごみ」のどちら…(*゚□゚)ノ☆)`ν゚)・;'.、クハッ!!P.S.描いた雪女さんがPCに保存できないorz新しいの買うまでペンタブ使おうかな……
2010/08/05
「ぬらりひょんの孫」の雪女さん可愛いですよね。物語抜きでキャラ単体を描きたくなるとは……一生の不覚(笑)しかし、よくよく考えてみると、「雪」+「人外」+「家事全般担当」うむ、うさぎ風船的に自然の成行きであった(`・ω・´)マヨッテナイまぁ、何にでも言える事ですが、好きでいることを、恥ずかしくない自分で在りたいですよね。・・・無理だけど……(*゚□゚)ノ☆)`ν゚)・;'.、クハッ!!
2010/08/03

『†Princesse du sang†』 光ノ章 2-08【首人】光ノ章 2-08【首人】―シャルロットSIDE― 「察しの通り赤子は取り替えられた。 それが其方じゃよシャルロット・リュズレイ」 「では、わたしの本当の両親は……」 この瞬間、シャルロットはソフィアから注がれた無償の愛の意味を理解した。 それは、我が子を籠姫として差しだした悔恨の念、名乗ることも会うことさえも儘ならぬ日々を享受しつづけた母親の償いでもあったのだろう。 だが、シャルロットにソフィアを責める感情は生まれなかった。 それはソフィア自身が王家の血脈、聖アルジャベータ公会の教義、なにより姉であるエレシアムを守る為の犠牲者であった。 いや、それはエレシアムさえも同様である。 「わたしという存在が母と呼んだふたりを苦しめていたのですね」 シャルロットは己を呪縛する運命を理由に、他者を慮ることが出来なかった過去の自身を恥じた。 「そして、籠姫となった其方の父親役に選ばれたのが、リュズレイ家の遠縁にあたり、聖アルジャベータ公会の司教位にあったアルル=モアの第二王子ルクサー・ガイルフォードじゃ。 真実を闇に屠るには、まさに最適の人選じゃな」 「確かにあの当時のアダマストルはきな臭かったと子供心にもよく覚えている。 第二公女の初産は死産であったと聞いていたが、裏にはそんな奇禍があったのか。 とすれば、同年、宮殿火災によって不慮の死を遂げたラムレイ・ルーンフォルテの件も疑わしいな」 エドゥアルトがしたり顔で参戦する。 どうやら、蚊帳の外から虎視眈々と首を突っ込む隙を窺っていたようである。 もっとも、この天邪鬼な青年の意見は、常に真理の的を射ている。 首人の話す事柄は、一宗派どころか、メナディエル正教の存亡にすら直結する問題である。 教会の信義を守る為に、後々紛糾の種となりかねない異分子を間引いていてもなんら不思議はない。 「あ、あの……、 エレシアム……お母様の実の御子はどうなったのですか?」 シャルロットが怖ず怖ずと口を開く。 真実を知り得た少女にとって、エレシアムの敬称は“叔母”が正しいのだろうが、従来の呼び名を違えることには抵抗があったようだ。 「出産後、赤子の身柄は聖アルジャベータ公会の掌中に落ちたそうじゃが。 その辺の事情が知りたくば、そこにいる者の方が詳しいじゃろう」 首人はひとり押し黙ったままの女枢機卿に鋭い視線を向ける。 「ファティマさまが?」 シャルロットの戸惑いの声にも、ファティマ・イスは押し黙ったままだった。 「いずれにしても、妾が伝えるべきことはこれで全てじゃ。 物語の続きは其方たち自身が統べればよい」 首人は何処か疲れたようにそう締めくくった。 「俺たちはアンタの尻拭いをさせられる羽目になるのかい?」 エドァウルトの言様は首人と件の女屍族を同一視するものである。 「否定はせぬよ。 じゃが今の妾が備える肉体は頭部のみで、拭うべき尻など持ち合わせてはおらぬ」 「おいおい……」 口巧者なエドゥアルトが二の句を継げない。 想定外の返しに半ば呆れているようだった。 「尻拭いも過去の清算も必要ないと思います」 明快に断言してのけたのはシャルロットであった。 驚きの視線が少女に集中する。 「それはどういう意味じゃな」 首人が感興の色彩を両眼に滲ませる。 「他者に押し付けられた望まぬ一生を送るよりも、喩え一時でも、己の思うが侭に生きたエレシアムお母様は幸せだった筈です」 シャルロットは心中に抱く感情を吐露する。 他の誰でもないエレシアムと境遇を同じくする少女だからこそ、その言葉には他者を納得させるだけの力が籠められていた。 「其方はまだエレシアムを母と呼ぶつもりなのかや?」 「わたしはシャルロット・アルジャベータ・リュズレイです。 今のこの名は、わたし自身の意志で選び取ったものです」 シャルロットの心を苛む過去の幻影は完全に払拭されていた。 エレシアムの過去に触れて、母と呼んだ存在が命懸けで生きた証を少女は胸裡に深く刻み込んでいた。 「ならば、これを持っていくがよい。 其方に全てを受け入れる覚悟があるならば渡そうと決めておった」 首人の言葉に巨躯を誇る処刑人が不器用にその身体を折り曲げる。 差し出された巨大な掌には大きな布を巻いた棒状の物体が乗せられていた。 「これは?」 「神剣アンネシュティフ。 女神メナディエルが神界より齎したとされる三神器のひとつ。 地底湖に沈んだ初代教皇アグリウスタの遺骸と共に納棺されておった業物じゃ。 死人には過ぎた代物であるし、アグリウスタも教会の未来を担うべき其方が持つことに異は唱えまい」 首人は死者の忌避に触れることも厭わずにいけしゃあしゃあと述べる。 まるで初代教皇アグリウスタと旧知の間柄であったかのような口振りである。 もっとも、彼女が屍族であり首人であるのなら、数千年の時を生き永らえたとして、なんら不思議は無い。 「アンネシュティフ……」 「この神剣の真の持ち主は、虹彩異色症を両眼に宿すと云われておるが、アルジャベータの血を引く其方なら扱うことも可能じゃろうて」 一瞬、シャルロットの脳裏に左右非対称の輝きを両眼に湛えた妹の姿が思い浮ぶ。 ミルフィーナが聞いていたら「馬鹿に刃物を持たせるなど以ての外です」などと苦言を呈されること請け合いである。 「さて、あまり長居して古老たちに勘付かれても厄介じゃ。 そろそろ帰るとするかの」 首人の言葉を解した異形たちが大聖堂側の出口へと歩きだす。 「若い内は多少の苦労は進んで背負うのもよかろう。 じゃが努々油断することなかれ。 其方たちの崇めるメナディエルは法の最高神などではない。 アレはもっと別の―――」 首人の発した言葉を最後まで聞き取ることは適わなかった。 その姿は現れた時と同じように闇に解けて消えていた。 「聖女さま……」 背中越しに掛かった声にシャルロットが振り返る。 向き合ったファティマ・イスの表情には苦渋が色濃く滲んでいた。 「お気になさらないでください。 わたしはファティマさまのお心の準備が整うまで待つことに致します。 なにより、わたしにそれを催促する資格はありませんもの」 シャルロット自身、水晶の搭で知り得た己の過去を周囲に隠匿していた負い目がある。 ファティマ・イスの抱える過去に興味はあったが詮索する気にはなれなかったのだ。 「それでも宜しいのですか?」 ファティマ・イスの口調には幾許かの安堵が窺えた。 「はい、それよりもファティマさまはお人が悪いです。 端からわたしの身の上をご存知だったのですね?」 シャルロットは僅かに頬を膨らませると上目遣いに訊ねる。 首人がエレシアムの実子とファティマ・イスの関係を示唆したことからも、この女枢機卿がシャルロットの生立ちを存知していたことは確かである。 「……申し訳ございません」 ファティマ・イスは困ったようにシャルロットから視線を逸らす。 このファティマ・イスという人物、一見して酷薄無情な人柄だと思われがちだが、長く共に居ると実は人間味に溢れていることがわかる。 その外見と異端審問官という役職柄、警戒心が先んじてあらぬ誤解を招いているのだろう。 「ゴホン……。 俺は天地神明に誓い知らなかった。 そもそもシャルロット姫が聖女であろうとなかろうと俺には関係の無い話だからな。 俺にとって重要なのは姫が見目麗しき美貌と淑やか女体を兼ね備えているという点だけだ」 わざとらしく空咳をしたエドゥアルトが、どうでもいい自己主張をした。
2010/08/02

『†Princesse du sang†』 光ノ章 2-08【首人】光ノ章 2-08【首人】―シャルロットSIDE― 「それは重畳じゃな。 ところで、其方は誰を母と呼び、己が存在を聖女たらしめるつもりじゃ?」 まるで謎掛けのように問い返されて、言葉を失うシャルロット。 「貴女は知っているのですか……、わたしの本当の母親が誰であるのかを?」 随分と間をあけて、シャルロットは胸裏を占める感情を振り払うように口を開いた。 目の前の首人が己が求めて止まなかった真実を知る者であると理解したようだ。 「おいおい、全く話が見えてこないのだが―――いててっ」 「少し黙っていなさい」 シャルロットが振り返ると、ファティマ・イスが無粋な詮索者の耳朶を捻りあげていた。 半強制的ではあるが、エドゥアルトも傍観者へと宗旨替えさせられたようである。 「其方には知る権利がある。 じゃが、妾がこれから話すことは其方にとって堪え難き記憶となろう。 ともすれば、教会やアダマストル王家の命運さえ左右しかねぬ内容じゃ。 それでも聞きたいのかや?」 「はい」 シャルロットが真剣な眼差しで首肯する。 それを正面から受けて、首人は満足したように微笑んだ。 「ならばよかろう。 これはある愚かな屍族の女が、身の丈に合わぬ願望を抱いたが為に引き起こされた悲劇じゃ」 薄闇に漂う深く重い言葉は、霊廟の冷たい空気に寂寞と溶けあって失われた時を紡ぎだした。 「過ちの淵源を辿るには、十七年前のヤガ=カルプフェルト王国まで遡ることになる。 当時、王国の相談役であった女屍族は、人族と屍族の共存する世界の実現を胸に描いておった。 そんなある日、女屍族は王国で催された解放記念祭の席で、ある風変わりな人族の娘と相見えることになる。 娘は特異な家系の生まれで、俗世間に触れる機会が少なかったらしく、目に映る全てを物珍しげに王宮内を駆けずり回っておった。 純粋培養故に屍族に対する警戒や恐怖も欠落しており、祝宴に同席した女屍族にも執拗に纏わりつき、周囲の人間の気の揉みようは想像に余りあるものじゃった」 シャルロットが仄かな動揺をみせる。 メナディエル正教の教義に於いて屍族とは異端の対象であり、人間に仇なす邪悪な存在だと定義されている。 だが、話の中の女屍族は邪悪さとはかけ離れた純粋な存在に思えたからである。 「その女屍族は娘の純真無垢な心にひとつの希望を見いだした。 娘が王国に滞在する一月の間に、ある男と引き合わせる算段を練ったのじゃ。 人族と屍族の共存を図る為には、その人物の協力がどうしても必要だった。 男の名はルドルフ・オルカザード。 二十二家に名を連ねる大屍族の嫡男であった。 オルカザード家に関しては聖剣戦争後も異聞風聞、様々な噂が囁かれておったが、ルドルフに限っては虫も殺さぬ優男じゃった。 だが、ひとつの悲劇がルドルフの心を人族から遠ざけておった。 女屍族は彼の娘ならルドルフの心の氷塊を溶かし、オルカザード家と人族、両者の間に生じた確執を取り除き、その架け橋となってくれると考えたのじゃ」 シャルロットの胸の中で、既視感と共に、得体の知れない困惑が大きく翼を広げる。 それは、この首人がまるで己の過去を語っているかのように聞こえたからである。 「娘が挙げた成果は女屍族の見立てどおり、いや、それ以上じゃった。 当初、その目論みは成就するかに思えた。 しかし、女屍族の計算違いは、共に世俗に疎い男女が互いの心を触れ合わせた末に訪れる事態までは想定しておらなんだことじゃ。 まるで、そうなることを定められていたかのように、ルドルフと娘は互いを慕いあう間柄になっておった」 首人は自嘲するように口唇の端を歪める。 「無論、幸せな結末など訪れようもない。 ひとときの逢瀬は周辺の者達の知るところとなり、ふたりは引き離された。 しかし、その時既に娘はルドルフの赤子を身篭っておった」 首人が悔恨の念に堪えかねたように幼き容貌を歪ませる。 ゆっくりと開いた琥珀色の両眼には落日の残照が宿っていた。 「これが其方を取り巻く悲劇の起因となるものじゃ」 「そんな……」 それは俄かには信じがたい内容であった。 「そしてここから先は、それから数年後、その娘―――エレシアム・リュズレイが死の淵で語った話じゃ」 首人は記憶を掘り起こすように瞑目する。 「当時の聖アルジャベータ公会は、エレシアムが屍族の子を身篭った事実を隠蔽しようとしたようじゃ」 聖公会上層部は箝口令を敷いて事態の封殺に努めた。 だが、綻びは呆気なく生じることになる。 真相を知らぬ後宮勤めの侍女のひとりがエレシアム懐妊を外部に洩らしたのだ。 結局、その噂は事実として公国内外に広まる事態となった。 「数ヵ月後、エレシアムは周囲の反対を押し切って赤子を出産した。 無論、その赤子は人間と屍族の間の子。 屍族を異端視する聖アルジャベータ公会が容認するわけもない」 無意識のうちにシャルロットの両拳はきつく握られていた。 「切迫したアダマストル王室は王家の名誉と尊厳を守る為に苦肉の策を講じた。 幸か不幸か時を同じくして、エレシアムの双子の妹ソフィア・リュズレイが出産した女の赤子に目をつけたのじゃ」 ソフィア・リュズレイの婚約は、既に彼女が幼少の砌に公示されていた。 相手は国内有力貴族であったルーンフォルテ家の嫡男ラムレイ。 両家の思惑に翻弄された政略結婚は両者が十五歳の時に成立していた。 「まさか……」 シャルロットが言葉を詰らせる。
2010/08/02

『†Princesse du sang†』 光ノ章 2-08【首人】光ノ章 2-08【首人】―シャルロットSIDE― 「なんじゃ、首人を見るのは初めてなのかや?」 幼女の相貌を呈した首人は心外そうに眉を顰める。 「俺のように真っ当に生きている人間は、喋る生首に出会う機会なんてないものさ。 それよりどうだい、元老院など捨て置き、俺と永久の愛を語らう気にはならないかな?」 軽薄に返すエドゥアルト。 相対するのが老若問わず外見朱唇皓歯の女性とあらば、途端に弁が立つようである。 加えて、元老院の名を持ちだして相手の反応を窺う辺りが抜け目ない。 「小僧、首人に興味があるのかや?」 「まぁ……、そういうことになるのかな?」 もっとも、本来の意図をあらぬ方向に解されては、元の木阿弥である。 「気兼ねするなや。 知的探求心を抱くことは人族が古来種に近づいた証じゃ。 誇りこそすれ、恥じ入ることではない。 ふむ、よかろう。 ここは妾が直々に“首人”の精製方法を教授して進ぜようぞ」 首人は見事なまでの曲解振りで話を進めていく。 元々、知識の喪失を惜しまれる聖人賢者の類が、知恵の源泉・集積体足る首人になる事例からして、備えた薀蓄の披露はその本分でもあったようだ。 「先だって必要なものは、寄生植物アタナシア一株と千年樹の樹液300ml、それとザルガフトの霊薬を三錠……。 ああ、そうじゃ邪妖精の鱗粉も入り様じゃな。 そして、なにより忘れてはならぬのが血も滴るような新鮮な生首じゃ。 被体の生態活動が停止する前に切り落とさねばならぬ故、事前の了承は怠らぬようにな」 首人は琥珀色の両眼に嬉々とした色を浮かべながら物騒なことを捲くしたて続ける。 「次は精製法に入るが―――ん、なんじゃその顔は?」 「いや、俺が聞きたいのはそういうことではなくて、元老院と首人であるアンタの関係性についてなのだが……」 エドゥアルトは困ったように、ぼりぼりと後頭部を掻いている。 首人があまりに嬉しそうに話すので口を挟み辛かったようだ。 「なんじゃ、そのようなつまらぬことを臆断しておったのか。 確かに元老院とは因縁浅からぬ間柄じゃが、あのような石頭どもと同類扱いされるとは心外じゃな」 首人の眉間に不愉快そうな溝が刻まれていた。 「では、処刑人が同行している理由は?」 「こやつ等は妾の所有者が元老院の膝元に潜り込ませておった間者たちじゃ。 怪しい奴等じゃが見た目ほどに怪しくは無い」 首人はしれじれと言ってのける。 そう返されては事実を確認する術のないエドゥアルトには反論の余地が無い。 「それが真実ならば、此方にミルフィーナ卿の身柄を、お引渡し願えるでしょうか?」 ファティマ・イスがエドゥアルトの背後から会話に割ってはいる。 首人の真意を探るにはもっとも適切な切り返しである。 「元よりそのつもりじゃ」 首人が顎をしゃくると、長躯の異形が動く。 地に横たわるミルフィーナを節足動物のように長い腕が絡めとり、前方に向って無造作に投げつける。 「おっと」 宙を舞うミルフィーナの身体をエドゥアルトが咄嗟に捕捉する。 「フィーナ……、フィーナ!!」 シャルロットが弾かれたようにミルフィーナへと駆け寄り、涙ながらに呼び掛ける。 破れた囚人衣の下には何も身に着けていないらしく、艶かしくも引き締まった肢体が所々露出している。 酷い拷問を受けたようで、胸元と太腿に走る深い裂傷と痣痕が痛々しかった。 「心配ない。 息はあるようだ」 エドゥアルトがミルフィーナの口元に手を翳し呼吸の有無を確かめる。 「首人様に敵意が無いことはわかりました。 ならば、尚更にわからないことがあります。 恐らく、その麻袋のなかに入っているのはミルフィーナ卿を連行していた聖堂神官たちの亡骸でしょう。 宜しければ、そのような危険を犯してまで、わたくしたちにご助力を頂ける理由もお聞かせ願えませんでしょうか?」 ファティマ・イスが巨躯の異形が担ぐ麻袋を見上げる。 その言葉を裏付けるように、麻布の至る所に赤黒い染みが滲んでいた。 「妾も無益な殺生は好まぬ性質なのじゃが。 聖職に就きながら、身動きの出来ぬ者に下卑た色欲を強要しておったのでな。 ちと、お仕置きを命じたのじゃが。 こやつ等、手加減を知らぬ故、結果として殺めることと相成った。 そなた等の同胞には些か悪いことをしたかの」 首人は事実を如実に述べて、素直に謝罪する。 「そういった理由なら問題はありません」 「うむ、死んで当然の輩ではあるな」 ファティマ・イスとエドゥアルトが口々に勝手なことを宣う。 「そうか、ならば安心して本題に入れるのじゃ。 シャルロット・アルジャベータ・リュズレイよ。 妾は其方に逢うためにここで待っておった」 首人の双眼がシャルロットを諦視する。 「わ、わたしのことをご存知なのですか?」 唐突に話題の渦中に引き摺り込まれたシャルロットが驚いたように目を丸くする。 「うむ、もっとも妾が知るのは、エレシアム・リュズレイの記憶の裡で視た幼き日の其方の姿じゃ」 「お母様……の? で、でも今は……」 傍目にもシャルロットの身体が強張るのが見てとれた。 これは閉ざされたエレシアムの過去を知るまたとない機会である。 だが、ミルフィーナの容態を憂慮する感情が自制を促していた。 「心配は要らぬ。 その娘の命運が未だ尽きぬことは妾が保障しよう」 首人はシャルロットの心裡の葛藤を見透かしていたようである。 その声は、穏やかさに満ち溢れていた。 「本当にフィーナは大丈夫なのですか?」 だが、少女の抱く一抹の不安までは拭いきれない。 「妾のことが信じられぬのか?」 「……わかりました。 教えてくださいお母様のことを」 シャルロットも首人の真意が邪なものではないと悟ったようである。
2010/08/02

『†Princesse du sang†』 光ノ章 2-07【神韻】光ノ章 2-07【神韻】―シャルロットSIDE― 「わたしも自分の身ぐらい自分で守ります!」 シャルロットが決然とした面持ちで反論するが、気持ちだけでどうにかなる問題ではない。 「困ったものだ」 如何に気高き思想でも、それを成し得る実力を伴っていなければ傍迷惑な虚言妄想の類となんら違わない。 かといって最初から何もしようとしない人間は生きている価値さえない。 それがエドゥアルトの持論でもあった。 「困る暇があったら、少しは聖女さまの清らかな心根を見習うべきですわね」 ファティマ・イスが聖職者らしく、精神論を持ち出してきた。 「なるほど、少々お手を拝借しても宜しいかな?」 エドゥアルトは鷹揚に頷くと、流れるような動作でシャルロットの左手を掴み寄せる。 そして、何を思ったか徐に少女の五指の一本を口に含んだ。 「な、なななな……」 シャルロットが目を白黒させて狼狽する。 状況を理解すると、少女の頬が見る見る紅潮していく。 「ぶ、無礼者! なんのつもりですか!?」 「いやいや、俺はファティマ・イス猊下の勧めに従ったまでなのだが」 エドゥアルトは激昂するシャルロットを軽くいなしつつ、涼しい顔で責任転嫁をする。 転んでもただでは起きない男である。 「わたくし、そのような破廉恥な行為を勧めた覚えはありませんわ」 「心根を見習うとは、シャルロット姫の爪の垢を煎じて飲むと同義語だろうに」 「違います」 勿論、否定された。 「それに子供の頃、姉上から教わったのさ。 左手薬指の血管は直接心臓へと繋がっているから、こうすれば相手の緊張を解せるとね。 効かなかったかな?」 「効きません!!」 こちらも否定。 もっとも後者に関しては、確かにシャルロットの顔から恐怖や不安といった類の翳りは消失していた。 ただし、別の意味で緊張感が増したらしく、隠れるように女枢機卿の背後に回り込んでしまった。 「こうも信用がないものかね」 「自業自得でございましょう。 しかし、幸か不幸か無駄口を叩く暇はもうないようです」 ファティマ・イスの言葉に、エドゥアルトが携えた角灯を高く掲げる。 光の領域が前方へと薄く広がり、鍾乳石の陰に蟠った薄闇を照らしだす。 「フィーナ!」 シャルロットが悲鳴にも近い声を張り上げる。 少女の視線は前方の暗がりに横たわる人影に吸い寄せられていた。 砂と泥に塗れた白金色の長髪と薄汚れた囚人服―――それは見紛うことなくミルフィーナ・ド・グラドユニオンであった。 「聖女さま、なりません」 ファティマ・イスがシャルロットの身体を背後から腕を回して押さえ込む。 「離して、離して下さい! あそこにフィーナが……」 「随分と賑やかな連中じゃな」 何処か舌足らずな幼い声と共に、それは現れた。 紅と黒の斑な長衣を纏い額部分に異なる数列を刻む円錐状の黒覆面を被る三つの人影。 中央で紗幕を被せた鳥籠のようなものを大事そうに抱えている人物は、曲線を帯びた体型から女性体と判別できた。 その両脇の二人は恐らく男性体であろう。 右に異様に長い手足を備える長躯の者、左に巨人族と見紛う巨躯の持ち主。 共に人間の範疇を遥かに逸脱した個体変異をその肉体に宿している。 特に大躯の異形は一抱えはある大きな麻袋を軽々と両肩に担ぎ上げていた。 「あまりお近づきにはなりたくない部類の人種だな」 エドゥアルトが衣装の内側から細剣を抜き放ち、正眼に構える。 「お気をつけくださいまし。 この者たちは元老院直属の暗殺部隊“処刑人”です。 構成員は三十人程度と聞きますが、特に注意するのは額に刻まれた数字ですわ」 エドゥアルトの背後からファティマ・イスが博学多才振りを披露する。 「ほう、両脇のノッポとデカイのが其々二十三、十六……、そして中央の女が七か……。 それであの数字にはどんな意味があるんだい?」 「一桁の数字を与えられた処刑人は正規兵一個師団にも相当する殺人兵器だと聞き及びます」 この教皇庁で元老院の権力がここまで肥大した理由はふたつある。 巧妙に既得権を掌握した古老たちの遣り口もあるが、彼ら処刑人が背後に控えていた部分が大きい。 元老院に反発した要人・高官の類が謎の死を遂げる理由は推して知るべきだろう。 「人の皮を被った化け物であるファティマ・イス猊下が仰ると、妙な説得力があるな。 俺としては、その噂が尾ひれのついた誇大妄想の類であることを願うばかりだが」 エドゥアルトが苦々しげに吐き捨てる。 知らなければ多少は気楽でいられた事実を吹き込まれて、あからさまに迷惑顔である。 「冗談が言える余裕があるなら助太刀は無用ですわね」 ファティマ・イスはシャルロットを引き摺るように数歩後退する。 どうやら、処刑人のことはエドゥアルトに任せて、聖女を守ることに徹するようだ。 彼女の目的を考えれば当然の選択である。 もっとも、エドゥアルトにもその表情ほどの余裕はない。 青年は不明瞭な違和感に捉われていた。 視認できる処刑人の数は三人。 しかし、前方から感じる気配は確かに四つあったのだ。 「試してみるか」 意を決したエドゥアルトが細剣の柄を逆手に持ち直した瞬間―――前方から凄まじい鬼気が放たれる。 蛇に睨まれた蛙の如く、エドゥアルトは身動きがとれない。 「血気盛んは結構じゃが、浅慮が過ぎれば寿命を縮めることになるぞよ」 そして、またあの声。 エドゥアルトの背筋を冷たい汗が慄然と滑り落ちる。 幸か不幸か、金縛りにあったように前方を凝視していたことが、青年に姿なき声の出所を見極めさせていた。 それは聞き違うことなく、女処刑人が恭しく上掲する紗布の内側から発せられている。 「これ、いい加減にこの布切れを退けぬか」 謎の声の叱咤に、女処刑人の左手が漣のように揺らめき紗布が消失する。 「……なっ」 それに対面した全ての人間が絶句する。 そこにあったのは、鳥籠のような着床台と、内台座に固定された幼い少女の生首であった。
2010/08/01

『†Princesse du sang†』 光ノ章 2-07【神韻】光ノ章 2-07【神韻】―シャルロットSIDE― 一行が霊廟へと連なる石階段の中腹に差し掛かった時、帰路を封じるように頭上で祭壇の仕掛けが口を閉ざした。 転瞬、辺りが無明の闇に包まれて、シャルロットが小さな悲鳴をあげる。 「暫し、お待ちを」 闇の中に火花が散り、手提げ角灯を持つエドゥアルトを中心に周囲の闇が切り取られた。 「教会物品の窃盗・強奪は利き腕を切り落とす決まりとなっておりますわ」 ファティマ・イスは角灯側面に刻まれた教会印を目敏く見咎めると、エドゥアルトの耳元でそっと呟く。 女枢機卿の推測通り、青年の持つ角灯は大聖堂内で拝借されたものであった。 「真顔で仰られると冗談に聞こえないな」 エドゥアルトは頬をひくつかせて、ファティマ・イスの横顔を窺う。 「わたくし冗談は嫌いですのよ。 もっとも、今回に限り特例で見逃して差し上げますわ」 「それはありがたい。 では参りますかな、麗しき淑女のお二方」 エドゥアルトは大きく息を吐くと、儀礼的護衛と心得たように危険が伴う先頭を颯爽と歩きだす。 「あ、あの……ここが地下霊廟ですか?」 暫く進むと、シャルロットが不安気に辺りを見回して尋ねる。 角灯の頼りない光源だけでは、左右の石壁に沿って立ち並ぶ石柱群をおぼろに確認するのが限界であった。 「いや、形状から察するに霊廟本殿へと続く殿廊といったところか。 ファティマ・イス猊下はどう思われるかな?」 「不本意ながら貴方と同意見ですわ」 ファティマ・イスは、渋々ながらエドゥアルトの見識に賛同する。 「どちらにしても一本道な点だけは助かるな。 なにしろ道に迷う心配がない」 そんな冗談も馬鹿に出来ぬほど、殿廊は延々と続き果てしがなかった。 それから更に幾重にも歩が重なり、一行が時間の感覚を失いかけた頃、その道程は唐突に終わりを告げた。 「……ほう」 エドゥアルトが感嘆したように軽く口笛を吹く。 不意に開けた視界の先には、広大な地下空間が展開していた。 天と地を繋ぐ鍾乳石群が深々と立ち並び、剥き出しの岩肌が所々で露出して蒼白い輝きを放っている。 「この光は天然光のようだが……」 「鉱石成分に蛍石を含有しているのだと思います。 ルブリス島一帯は西大陸でも最大の蛍輝石の産出地でもあるとヴィルヘルム先生が仰っておられました」 シャルロットがエドゥアルトの抱いた疑問に対して博識振りを披露する。 蛍輝石は石の生命とされる光核が脈動することにより光を放つ。 別名、生命石とも呼ばれており、洞窟全体が生き物のように鼓動していることからも、純度の高さは疑いようがない。 「これだけあれば一生遊んで暮らせるな……。 いや、国のひとつやふたつ容易に買えるかもしれない」 エドゥアルトの口が呆けたように半開きになっていた。 蛍輝石はその特質から様々な分野で利用される希少価値の高い鉱物だけに、青年の考察は当らずも遠からずといったところだろう。 「残念ですが、ここは教会領有地内ですわ。 自然物を含めた全ての物権は教会に属することになります」 ファティマ・イスが別角度から所見を付け加える。 「ファティマ・イス猊下には夢がないな」 「現実主義だとよく言われます」 げんなりと返すエドゥアルトの愚痴を受け流すと、ファティマ・イスの視線は物欲とは別の場所、目近な鍾乳石の一柱へと向けられる。 「そして、恐らくここが霊廟の本殿なのでしょう」 ファティマ・イスの見立てどおり、巨木の様相を呈する鍾乳管には幾つもの大穴が穿たれており、そのひとつひとつに古ぼけた石棺が収められていた。 「だが、ここは霊廟というより何かもっと別の……、 そう、呪術や秘儀を執り行う儀式的な力場のように思えるな」 エドゥアルトが緩やかな勾配を降りながら気味悪そうに周囲を見渡している。 岩肌から滴り落ちる水音と蛍輝石の鼓動との共鳴は、まるで巨大な生物の体内にいるかのような錯覚を抱かせた。 「さてさて、鬼が出るか蛇がでるか」 まるでそれを楽しみに待ち焦がれているようなエドゥアルトの口振りである。 一方、廟内の神韻縹渺たる雰囲気に呑まれたシャルロットの口数は減り、半刻が過ぎた頃には完全に押し黙っていた。 元々多弁とはいい難いが、整然と張り詰めた空気が齎す緊張感にあてられたようである。 それは隣を歩くファティマ・イスも同様だった。 「いや、場所柄を考慮すれば幽鬼の類に期待すべきか?」 よって、信心深さとは無縁なエドゥアルトの軽口だけが残る。 「ん?」 不意に先頭を歩くエドゥアルトが鼻をひくつかせる。 微かに鼻腔を突く錆びた鉄の匂いが感じられた。 さり気無く歩を緩めるが、尾行者の気配はない。 「ようやく貴方の見せ場かしら?」 ファティマ・イスがエドゥアルトをからかうように焚き付ける。 此方も異質な気配に気がついたらしい。 「生憎、俺は頭脳労働が専門でね。 肉体を酷使する奉仕活動は夜毎の秘め事限定と心に決めている。 なにより、俺より強い人間を守る必要なんてあるのかい?」 エドゥアルトは肩越しに朱痕が残る手首をちらつかせる。 それは背後を歩くファティマ・イスへの当て付けであった。 如何に油断があったとはいえ、大の男を容易に手玉にとる人間が、か弱き女性であるわけがないと言いたいのだろう。 「美女とそれに準ずる美少女の頼みを断らないのが貴方の美学なのでしょう?」 余裕の表情で返すファティマ・イス。 両者ともに、この緊張感に欠けた悪態の円環構造を楽しんでいるようだ。 「はぁ……、俺が引き受けたのはシャルロット姫のおもりだけなのだがな」
2010/08/01

※タイトルに誤字があったので修正(汗)『†Princesse du sang†』 光ノ章 2-06【聖堂】光ノ章 2-06【聖堂】―シャルロットSIDE― 「どうして……」 随分と間をあけて少女の口から零れた言葉は、掠れたように続かなかった。 「遺体の損傷が重度であれば、処置重視で納棺を見送ることもあります。 ですが、どのような理由があろうとも、死者の魂を冒涜するような行為は感心致しかねますわ」 ファティマ・イスは僅かに眉を顰めると空の棺から目を逸らす。 「えらく馬鹿でかい音が聞こえたが何事だい?」 呑気な声に遅れて、エドゥアルトの長躯が二階廻廊の手摺を飛び越えて祭壇上に降り立つ。 軽業師のような身軽さだが着地した場所に問題があった。 「おっと、これは失礼つかまつった。 だが、留守中とは幸いしたな」 エドゥアルトはおどけたように聖棺の中から左足を抜取る。 「お二人とも悪行過失が目立ちますわね。 本来ならきつく仕置きが必要ですが……、今はそれどころではないようです」 ファティマ・イスの視線の先、拝廊入口に物々しい気配が集束しつつあった。 今し方の騒音を聞き咎めたのか、それとも先程の虚実が発覚したのか、ふたつにひとつだろう。 衛兵の中に元老院の息のかかった人間が居たと考えるのが妥当だが、役人らしからぬ手際の良さである。 「ああ、アレなら暫くは時間を稼げるはず。 見回りがてら大扉の貫木に細工を施しておいたからな」 エドゥアルトは後頭部で両手を組むとしれじれと言ってのける。 まるでこうなることを予期していたかのような抜け目の無さである。 「あら、気が利きますのね。 それでそちらの首尾は如何でした?」 「正面大扉以外の全ての出入り口は内側から千錠されていた。 埃の積もり具合から推測するに、ここ数日の間、使用された形跡はないな。 とどのつまり、神隠しにでもあったのか、娘子軍の団長殿は忽然と姿を消してしまったことになる」 エドゥアルトは両の掌を上向きに返すと、お手上げといった様子で首を振る。 だが、神の御許たる大聖堂で神の仕業とは冗談にもなっていない。 「それではフィーナは何処に……」 シャルロットのまだ幾分幼さの残る顔が焦燥に歪む。 「そうですわ聖女さま。 先程の問いの答えですが、此方の青年のお陰で確信が持てました」 「えっ? あっ……。 元老院がレムギザロス大聖堂を懺悔の場所として定めた理由ですか?」 不意に話題を振り戻されて当惑するシャルロット。 「そうです。 なぜ“ここ”でなければならなかったのか」 ファティマ・イスが腰を屈めて主祭壇の側面に指先を宛がう。 「メナディエルの紋章ですか? いえ、少し違う……」 シャルロットが覗き込むように女枢機卿の所作を見守る。 主祭壇に刻まれた紋様は、教義の至純である“正義”“秩序”“公正”を司る三宝玉を宿してはいたが、正式なメナディエルの意匠とは別物であるようだった。 「ほう、これはこれは……」 エドゥアルトも興味深げに見入っているが、こちらは突き出された二つの曲線をしげしげと観察しているだけだ。 その繊細な見た目とは裏腹に肉付きのよいファティマ・イスと、固さを残しつつも丸みを帯びた少女特有の身体つきのシャルロット。 どちらも趣の違う妙味がある腰付きだ、などと無駄に感慨深げである。 その間にも、ファティマ・イスの人差し指は謎の紋様をなぞるよう動き、祭壇中央部に埋め込まれた女神の御玉たる翡翠石に到達する。 目の錯覚か、女枢機卿の指先から蒼白い波紋の燐光が広がり、異変は起こった。 「なっ!?」 シャルロットの驚愕に一瞬遅れてエドゥアルトが声をあげる。 青年の反応が鈍いのは別種の妙趣を抱いていた分である。 「レムギザロス大聖堂の地下は歴代教皇の遺体を埋葬した地下霊廟となっております」 それは太古の技法であろうか、主祭壇の円石が音もなく後方へと退き、地下空間へと続く入口が姿を現していた。 「その話なら俺も聞いたことがある。 だが、よくこんな仕掛けがわかったものだな」 エドゥアルトは女枢機卿の補説に頷くと、序に抱いた疑問を口にする。 「ここは水晶の搭と並ぶ聖域のひとつです。 存在の秘匿はされておりませんが、出入りは祀職官以外、原則禁じられています。 ただ、この紋章の仕掛けは、以前別の場所で目にしたことがありました」 ファティマ・イスは地下へと続く石段を背に微笑む。 「それでは参りましょうか。 聖女さま、それと……」 「エドゥアルト・ラガ・ディファルですよ。 ファティマ・イス枢機卿猊下」 落胆より呆れた様子で返すエドゥアルト。 この女枢機卿に名を覚えて貰うまでには、まだまだ時間が掛かりそうであった。 「あ、あの……、このなかに入るのですか?」 「嫌なら無理強いは致しませんわ。 ですが、ミルフィーナ卿はこの先にいる筈です」 ファティマ・イスがシャルロットの当惑気味の問い掛けに答える。 真意が何処にあれ、その言葉は少女の心から余計な感情を消し去るには十分だった。 「ふむ、与えられた選択肢は引き返すか前に進むかだが。 俺としては、ぜひとも後者をお勧めしたいところだが―――」 「勿論、先へ進みます」 シャルロットは僅かに頬を紅潮させると凛として言い放った。 「そう仰ると思ってましたよ。 ま、正義の代理人たる俺としては付き合わざるを得ないがね」 口から洩れる不平不満とは裏腹にエドゥアルトも引き返すつもりなど更々なかったのである。
2010/08/01

2-06【霊廟】→【聖堂】、2-07【首人】→【神韻】、2-08【神韻】→【首人】と其々名称変更して、まとめて全体推敲致しました。かなり変更点が多いので全文載せますが、原文だけでも、全角2万文字を超えるので分けて投稿します。物語上の主な変更点は、大聖堂↓殿廊(首人と遭遇/エレシアムの過去と神剣アンネシュティフを託される)↓霊廟(ミルフィーナの救出)といった流れを、全て霊廟内で片付ける展開に変更致しました。後日、ちょっぴりHぃ【ミルフィーナ】SIDEのお話を追加できるような設定に変えてあります(笑)だって、それが……、ソコこそが、うーたんのシャングリ・ラ(*゚□゚)ノ☆)`ν゚)・;'.、クハッ!!『†Princesse du sang†』 光ノ章 2-06【聖堂】光ノ章 2-06【聖堂】―シャルロットSIDE― 「誰もいない……?」 シャルロットは我が目を疑った。 聖堂内にミルフィーナ姿は無く、そればかりか一片の人影すら確認できなかったからである。 「他の出入り口を調べてきて戴けますか?」 ファティマ・イスはエドゥアルトの両手首の拘束を解くと、にべもなくそう告げる。 「やれやれ、人使いの荒い御方だ」 エドゥアルトは鬱血した皮膚を擦りながら嘆息混じりに肩を竦める。 しかし、女枢機卿にひと睨みされると、逃げるように立ち並ぶ大柱の間をすり抜けて側廊へと消えた。 「些か腑に落ちないことがあります」 ファティマ・イスは自問するように呟く。 そして、視線を内陣方向に据えると、紅の絨毯が伸びる身廊を真っ直ぐに進む。 「腑に落ちないことですか?」 後に続くシャルロットが鸚鵡返しに尋ね返す。 「ミルフィーナ卿が“ここ”に連れて来られた理由です」 それは先刻、エドゥアルトがファティマ・イス当人に質した問いと同様のものである。 「教会法には“全ての罪人は懺悔の機会を宥恕される”と記載されていますが?」 シャルロットは個人を断定せずに罪人と定義して話を進める。 ミルフィーナを咎人扱いすることに抵抗があるのだろう。 「その通りです。 そして、警備上の観点からこの場所が最も相応しいのは理解できます。 ですが聖女様は、今現在何処に聖下のご遺体が安置されているのかをご存知ですか?」 シャルロットは閉口して記憶に沈殿する知識を手繰る。 そして、女枢機卿の示唆する内容に思い至った。 嘗て目を通した教会憲章の一文―――そこには教皇の死後、その遺体の移送場所についての記録があった。 「まさか……聖下のご遺体がここに?」 「御名答でございます。 今この時この場所に、神性の弑逆者を招き入れては、些か裁量が足りぬと陰口を叩かれましょう」 ファティマ・イスの脚が至聖所の入口で止まる。 紗幕の隙間から窺える主祭壇の上には金銀螺細に装飾された棺が鎮座していた。 「あの聖櫃のなかに……」 シャルロットが僅かに遅れて女枢機卿の傍らに立ち並ぶ。 少女の心低から恐怖という名の澱みが浮漂していた。 だが、同時に別の感情も目覚める。 水晶の搭の出来事が現実のものであるなら、この内に眠る存在は“ヒト”ではない。 通常であるならば、気が触れたと忌避される内容でも、真実として在らしめることが可能であれば話は別である。 教皇が人外であった事実が明るみになれば、ミルフィーナの潔白の証明には到らなくとも、酌量の余地を促すには十分である。 シャルロットが大きく唾を飲み込む。 気づけばもう手が届く距離に聖櫃があった。 一旦決意をするとシャルロットは迷わなかった。 ファティマ・イスが止める間もなく棺の上蓋に両手を置き力任せにそれを押し退ける。 遅れて、聖堂内の静謐な空気にけたたましい反響音が木霊した。 「ファティマさま、これを―――」 棺の内部に目を遣ったシャルロットは失望に打ちのめされる。
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