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マジックザメイカ―14話「魔女と魔法少女3」 『晴凛!お前の中で一番強い印象は何だ!』 クー・ホリンはガエ・ボルガの次弾発射までの時間を考えながら言った。 「冥珂さんとスフィンクスだよおおお!!」 『じゃあそれを思いっきりステッキとカードに込めろ!ガエ・ボルガが撃てるようになればあんな奴ぶっ殺せる、それまでの時間稼ぎだ踏ん張れ!』 「うあああああああああああああああああっ!!」 銀のアサルトライフルが光る。アサルトライフルは粗大ゴミで作った盾と融合、銀の猫科肉食獣を思わせるデザインの大砲に変化し晴凛の左腕と合体、髪は冥珂を思わせる紫のメッシュが入っていた。 「うあああああ!な、7番の戦車ああああああ!!」 銀色の拳大の弾丸が放たれる。弾丸は巨大半魚人の胸に突き刺さり爆発。上半身を跡形も無く吹き飛ばした。 『良くやった晴凛、じゃあ次は残った半魚人野郎だ!』 「はぁはぁ……もうダメ意識途切れそうクーちゃんお願い、後はよろしく……」 『仕方がねぇ後は任せろ』 クー・ホリンに体を預ける晴凛。クー・ホリンはステッキを右手に、そして左手をかざしてダークパワーの刀剣を形作っていく。大砲は盾へと変化する。 『今の晴凛じゃあこんなものか……オリジナルには遠く及ばないが鋼鉄の門一つぐらいはぶった切れそうだ!』 形作ったのはクー・ホリン愛用の剣。 「DAAAAAAAAAA!GYAAAAAAAAAAAAA!!」 『いくぞ!クルージーン・カサド・ヒャン!』 銀色に輝く剣を振り下ろすと閃光が走り半魚人の体を通り抜けた。半魚人はその場で硬直、ゆっくりと左右に分かれ両断され倒れた。 「や、やった!クーちゃんすごい!」 『やりましたね!アマチャンもにっこりっす!』 『ま、こんなもんだ』 「結局クーちゃんに頼っちゃった……冥珂さんなら剣の6!とかのビームであっさりなんだろうなぁ」 『冥珂と比べるのはやめるっすよ晴凛。あの人は魔女でも最高レベルなんすから』 『オレも若い頃は師匠と自分を良く比べたもんだ……結局は自分次第だぞ晴凛』 「そだね……私、初めてにしては良くやったよ!」 『おう、今は勝利したことを喜べ』 体を返すクー・ホリン。髪は元に戻りクルージーンはただの鉄ゴミになっていた。 「……ねぇアマちゃん、クーちゃん、半魚人の気配はもうない?」 『ないっすね』 『最初のガエ・ボルガでほとんど殺してやったからな』 「よくわかんない半魚人をよくわかんないままに殺してしまったけどいいのかな……」 『う~ん……これは冥珂に報告っすな』 「そうだね……池を戻す方法は?」 『……繋がったきっかけを取り除けばいんすけど晴凛にはちょっと無理かも?水中にあるっぽい』 『下手に手出しするよりか冥珂に相談した方がいいぞ。今日はここまでにして退散だ』 ―翌日の学校 「晴凛?おーい晴凛ってば?聞いてる?」 クラスメイトの一文字 和美は晴凛の前で手を振る。 「え?ごめんちょっとボーっとしちゃって」 「大丈夫?」 「う、うん。和美もう一回お願い」 「駅前に最近めちゃくちゃ美味しいラーメン屋台が来てるって話だよ、今日の放課後行ってみる?」 「そうなの!?どんなラーメン?」 「豚骨味噌なんだけどスープは低カロリーですっきり、麺はのどごし良くて硬さも丁度いい中麺」 「うわぁめっちゃ行きたい!けど~……今日は用事あるの。来週じゃだめ?」 「じゃあ来週にしよっか」 「うん、ごめんね」 ―放課後 自宅に戻った晴凛。水晶玉を見つめている。 「(アマちゃんからの報告ないなぁ……鵜蔵池どうなったんだろう)」 半魚人と戦った日、晴凛は家に帰ってすぐにステッキを使って水晶玉から冥珂にメッセージを送っておいた。鵜蔵池は朝からアマトが見張る事になっていた。 「ん?携帯が鳴ってる……あれ?知らない番号だ……もしもし?」 『晴凛ちゃんアタシ、冥珂よ』 「冥珂さん!良かったぁ!電話買ったんですね!ステッキの力使って水晶玉からメッセージ送ったんですけ届いてるか心配で……」 『ちゃんとメッセージ届いてたよ。せやけど晴凛ちゃんの他にも連絡とらないとあかんようになってくると思ったしやっぱり買っといた方がええなって思ってね。鵜蔵池の事は大体アマトから聞いたわ、そんでどうしたらええかなんやけど、中にある石柱を破壊するんや』 「石柱ですか」 『水晶玉を通じて鵜蔵池の中調べたら呪文が刻まれてる石柱を見つけてね、原因はこれやと思うねん。昔、アメリカでそんな感じの石柱があるところで悪い半魚人をいっぱい見かけたんよ』 「分かりました……それにしてもその石柱っていつ設置されたのですかね?前からあったのならもっと昔から半魚人の噂とかあったはずでしょうし」 『うーん……何とも言えんけどアタシがこの前始末した白衣のグールが怪しいかもねぇ。あれが生前放り込んだのかもしれん』 「あ、例の虹色の物体の近くにいた……」 『そうそれ……しもたなぁ一回そっちに戻ろかな?ん?ちょっと……晴凛ちゃんまた後でね』 冥珂は通話をそこで切った。 「あ、切れちゃった……」 すぐに掛けなおそうと考えたが晴凛は少し考えてみることにした。 「セリンアケテ!セリンアケテ!」 戻ってきた緑色オウム姿のアマトが嘴で窓を叩く。晴凛は慌てて窓を開けた。 『今夜、鵜蔵池に行くっすか?』 「うん……アマちゃん鵜蔵池の様子はどうだった?」 『黒くて濁ったままっすね。半魚人は居なかったっすけど底の方で何かダークパワーの塊を感じたね。そいつが異変の原因じゃないかと冥珂もそう言ってたっすな。電話買ってたから晴凛にもう連絡してたんじゃないっすか?』 「うん、石柱が池の中にあるからそれを壊せばいいって。アマちゃん京都行ってきたんでしょ?どうだった?」 『人もそれ以外もすごく多いっすねー疲れたわー……アマチャン都会は向いてないっす』 「この辺は大阪市内とか京都市内に比べたら全然静かだしね」 『今夜行くなら準備しなきゃダメっすね。ワイヤーとか』 「そうだった!買って帰ろ」 ホームセンターに寄りワイヤーを買い、家族と食事を済ませ自室に戻った晴凛は21時までくつろぎ、冥珂に電話をかけた。 『もしもし晴凛ちゃん。さっきはごめんね、客が来たんよ』 「あ、どーも冥珂さん。お客さんなら仕方ないですよ」 『これから鵜蔵池に行くの?』 「はい」 『じゃあアマトの通じてアタシも見とくわ。向こうに着いたら魔法少女に変身するやろ?携帯は触ってられへんやろうしアマト越しに通話しよっか、ほなまた後でな』 「あ、待ってください冥珂さん。ほうきに乗れないんですけど何かコツはあります?」 『う~ん……せやなぁあんまり緊張しすぎんと最初は自転車乗る感覚でやってみ?初めて自転車乗った時の事思い出して。アタシは馬に乗る感覚やったけど』 「ありがとうございますやってみます!」 『がんばってな~』 晴凛は魔法少女に変身し屋根に上がってほうきに跨る。 「自転車……自転車……馬……むむむむ……とぅ!」 そのまま飛び上がる晴凛。10メートルほど上昇しそこからゆっくりと降下していく。 「あれ!落ちてる落ちてる!!」 ゆっくりと降下し地面から2メートルのところで停止した。 「と、とまった!?とりあえず浮いてるから進もう!」 ほうきは上下前後に生き物のように揺れながら進みだす。 「うわわわわわっ……何この動き……」 『アマチャン思うに……馬と自転車のイメージ強すぎたんじゃないっすか?飛行のイメージとのバランスが悪いというか』 「そ、そっか!じゃあ飛べほうき!お前は空飛ぶ自転車馬ほうきだ!!」 ほうきは馬の柄をしならせ進みだす、徐々に上昇し住宅街の屋根の上に達する。 『ぎこちないけどまぁまぁ良いんじゃないっすかね』 「飛べたぁ!このまま鵜蔵池に行くよー!」 鵜蔵池に到着する晴凛。前回よりも霧は薄くなっていた。ほうきを降りたところで晴凛は緊張から心拍数が上がった。 『大丈夫よ晴凛ちゃん、アマトを通じて会話できるし』 「冥珂さん!」 アマトから冥珂の声が聞こえる。 『この同調会話魔術は……憑依召喚魔法の一種なんや。通信してる者同士お互いの意識が入るからな、多用するのは個人というのがあいまいになって危ないねんけど、アタシとアマトならそこそこの時間大丈夫よ』 「そ、そうなんですか」 『晴凛ちゃん、ステッキ使って自分の周りに円を描いて。そしたらステッキを池に向けて水の矢を発射して』 「は、はい」 冥珂の指示に従う晴凛。水の矢が池に飛び込むと波紋が広がり晴凛の周りに描いた円が輝く。黒い池の水面に輝く水が漂う。 『この円はアタシと晴凛ちゃんの繋がりを強化してるんよ。で、あの水面で光ってる水はアタシと晴凛ちゃんのダークパワーの入った水。繰り返して水の矢を池に撃ち込むとどうなるかな?』 「えっと……光る水が広がっていく?」 『じゃあどうなるかな?その水の魔術はどんなことができるか分かる?』 「えっと……操れる……?」 『そう、今からやるのはアタシがその場にいたらするであろう魔術や。14のアート!ってパッと一瞬でやるのを晴凛ちゃんにもできるように順番に一つずつ進めていこうね」 晴凛は水の矢を繰り返して撃ち込み徐々に池を光る水へと変えていく。 「はぁはぁ……」 『ダークパワー切れは心配せんでいいけど集中するし疲れるよね。流石に池の水全部晴凛ちゃんには無理やし次に進もか。ステッキを光る水に向けて人が入れる大きいストローの形をイメージして。できるだけ長くて池の底まで届くような』 「はい!」 光る水はゆっくりと集まり徐々に棒状へと変化する。そして中心に穴を開け広げていく。 『気つけな晴凛ちゃん、広げすぎたら池の水と混ざるし広げなさ過ぎたら中見にくいよ。失敗してもいいからやってみて』 「は、はい!……はぁはぁ」 徐々に穴を広げ一度は池の水と混ぜてしまったが、気を取り直して再度挑戦、次はバレーボール大の穴を開けて安定させた。 「ちょっと穴小さいですかね?これじゃあストローじゃなくてチクワ……」 『あははっ!ええよええよ、上出来やで晴凛ちゃん。そしたらそのチクワを動かして池の底を探ろっか、アタシが上から見るし晴凛ちゃんは動かして』 晴凛は直径1メートルほどの光る水を崩さないようにゆっくりと動かす。額には汗がにじんでいる。 『もうちょっと左、そんで少し前。OKOK、石柱見えたで晴凛ちゃん。そしたらそのまま斜めに傾けて自分で見える角度にしてみ』 「は……い……」 光る水の中央に開けた穴、その底にびっしりと呪文が刻まれた石柱が見えた。 『アタシならここで剣の6!とかでドカーンとやって壊すけど晴凛ちゃんはガエ・ボルガ使って壊し』 「クーちゃん、お願い!」 『了解……』 右手でリボルバーを構える晴凛、クー・ホリンのダークパワーが流れてくる。トリガーを引くと、赤黒い螺旋の光帯を描いて放たれ石柱に命中。その瞬間爆発的に30の棘が伸び石柱を粉々に砕いた。 「ギャギャギャギャギャギャギャギャッ!」 近くで叫び声がした。クー・ホリンは晴凛の体を操りワイヤーを伸ばした。 「ギャワワワワーッ!!」 茂みの奥で声がした。ワイヤーを引くと右腕にワイヤーを食い込ませた上半身裸の男が現れた。その顔は目が異常に離れ耳は小さく鼻は低く、尖っていた。 「は、半魚人!?」 『いや、ちゃうなコイツは……どっちかというと人やな』 「何故だ!なぜ邪魔をする!!ワシは帰らなけばならないというのに!!あの男が用意してくれた門をなぜ壊した!!なぜ仲間を家族を殺した!!」 「え?え??あれが人間?」 『……晴凛ちゃんアレと話をしたらアカンで!(しもたな………ああいう存在は晴凛ちゃんにやらせたくないなぁ)』 『(魔法少女とやらを続けるならこういうのは避けて通れないんだと思うがな。)まぁ今回はオレが始末してやるよ。晴凛、意識代われお前は寝てろ。冥珂それでいいよな?』 『せやな』 「え?冥珂さんクーちゃんちょっと待って何するの?」 異形の顔の男がゆっくりと近づいてくる。 「よくもみんなを殺したな!よくもみんなを殺したな!よくもみんなを殺したな!もう帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れないいいいいいいいいいいいいいい!!」 『アカン!クー・ホリン奴の首をはねて!!』 『おう!』 晴凛の意識を落としクー・ホリンはワイヤーを鞭のように振るう。音速を超えたワイヤーは異形の男の首を容易くはね飛ばした。 『さて次はどうする?』 『晴凛ちゃんの記憶を少し改竄するしかないなぁ……そいつの頭部から得たい情報もあるしアマトにこっちに持ってこさせるわ』 『そうか、ならオレは晴凛をこのまま家に戻してやる』 『おおきに、助かるわ』 続く
Aug 31, 2018
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マジックザメイカー13話「魔女と魔法少女2」 ―冥珂が去ってから数日後。 「ねぇ晴凛知ってる?鵜蔵池の近くで半魚人が出るんだって!?」 晴凛のクラスメイトの一文字 和美は弁当のから揚げをぱくつきながら言った。 「ぎょぎょっ!?」 晴凛はペットボトルのお茶を吹き出しそうになった。 「何それおかしー!」 晴凛は半魚人に覚えがあった。昨夜その半魚人を始末したところだった。 「集団夢遊病だっけ?それと半魚人が関係あるとかないとか?鵜蔵池に飛び込んだ人もいたって話だし」 「へぇ~そう……そうなんだ」 「あれ?こういう話題に食いつくのが晴凛なのに今回のは興味なし!?」 「そういうわけじゃないんだけど……ちょっと頭の中で情報整理してるんだ」 「ふーん」 ―前日の夜 晴凛はアマトからの知らせを受け漢山の裏にある鵜蔵池を調べることにした。 「半魚人?」 『半魚人っす。妙な音波を感知したから気になって』 アマトはオウム姿のまま晴凛の肩に乗りつぶやく。 「それは藤邑って魔女もどきの影響なの?」 『どうかなぁ……ダークパワーが溜まりやすい環境ではあるんすけどねーこの池。宇宙人たちとやりあったモノの影響もあるんじゃないかなぁ』 「半魚人をどうするの?」 『そりゃあ始末しなきゃ。半魚人の音波の影響は出始めてるっすからねぇ。晴凛くらいの年の女子が特に』 「始末!?良い半魚人はいない?」 『いるっすよ。人間だって良いのと悪いのいるっしょ?鵜蔵池のは悪いのっす、女子を呼び寄せて贄にしようってんだからさ』 「え!」 『鵜蔵池をちょっと調べたんだけど海水になってたっす。何かのきっかけで鵜蔵池はどこかの海と繋がってしまったのかな……そこから這い出てきた半魚人は悪い方だった。アマチャンのこれまでの経験と知識からの判断っすね』 「その悪い半魚人は贄って何をするの……?」 『子供を作るんすよ。奴らは繁殖できないから人間を攫って産ませるんす』 「げぇ~……」 『その半魚人は母体を食い破って卵の殻から出るよう生まれてくるから贄になった女子は死ぬね。半魚人に海岸とか海の上で攫われることはちょくちょくあるんだけど、こんな風に陸にくることはまずないっす。半魚人は始末して鵜蔵池を元に戻さないとね晴凛』 「ひぃ~気持ち悪い……怖い」 『まだ被害者は出てないうちに解決するっすよ』 「そ、そうだね……行こう!」 「レッツマジックメイク!」の掛け声でゴシックパンクな魔法少女に変身した晴凛は軽い動きで家々の屋根を飛び鵜蔵池を目指す。 「ほうきに乗れたらなぁ」 『鈍くさいっすねぇ……ほうきとダークパワーを連動させて飛ぶイメージすればいいだけのことなのに』 「冥珂さんみたいにスイスイ飛べないって!ロケットみたいに飛び出して壁に当たりそうになったし!!クーちゃん聞こえてる?アドバイスない?」 『戦車に乗れよ。戦に行く乗り物はそれしかねえだろ』 腰に下げたリボルバーからクー・ホリンはめんどくさそうに答えた。 「聞いた私がバカだった……あ、そだ冥珂さんで思い出したスフィンクスと合体した時みたいにアマちゃんと合体すれば飛べるのでは?」 『無理っすね。アマチャンとダークパワー同調させないとできないっす。二人三脚みたいなものっすよ?スフィンクスは上手い事晴凛と同調したみたいだけどアマチャンそんな器用なことはできないっす、むしろ晴凛が合わせろー』 「えぇ~……」 『まぁ今は飛ぶことよりも半魚人と戦いになった時の事を心配するっすよ』 「……毒とか吐いたりするのかな?」 『どうかな、地域によって違うし何とも言えないけど飛び道具は持ってるはずっすね。それが毒だったり鱗だったり音波砲だったりするけど』 「じゃ、じゃあバリアーとか張れないとダメだね冥珂さんみたいに」 『いや、冥珂のやったバリアーとか結界魔法系の高等魔術っすよ?晴凛にはまだまだ無理』 「ガーン……じゃあどうすれば?」 「盾を用意するっすよ。自分に相性のいい物質はもう何となくわかってるっしょ?」 「金属かな」 『そう、それを使って盾を作るっす。アマチャンがサポートするから晴凛はイメージを固めて。あそこにある粗大ごみから金属を拝借すればいいっす』 「ゴミを使う魔法少女って……なんか嫌だなぁ」 『上達すれば水銀を持ち歩いて自由自在に操ってスタイリッシュに戦うなんてことも可能になるっすよ』 「それかっこいいね!」 『今の晴凛で扱えて持ち運びに邪魔にならないって考えると……ワイヤーとか』 「じゃあホームセンターに寄ってく?あと1時間くらいなら開いてるし」 『それは次でいいっすよ。練習もしないで実戦は無理。まずはゴミで盾を作ってみるっす』 「は~い」 住宅街の横を流れる用水路の脇に放置された粗大ごみの前に降り立つ晴凛。周囲を確認しながら自転車や冷蔵庫、電子レンジなどを物色する。 「色々あるけどこれをどうすれば?」 『盾をイメージしてステッキを向けてみ』 晴凛は円形の盾をイメージして電子レンジにステッキを向ける。アマトはダークパワーの流れをサポートして電子レンジを包み込む。徐々に変形していく電子レンジ。 「お、おおお!?」 『ダメこんな盾じゃ……これじゃあ鍋の蓋っすよ』 「これじゃ使えない?」 『一撃で粉砕されるっす。もっとちゃんとした盾のイメージを強烈に頭に描いて!』 「ちゃんとした盾……よくわかんないけどスフィンクスの鎧みたいなのかなぁ」 横にあった自転車が電子レンジ(鍋の蓋盾)に吸い付けられる。溶けたかのように自転車は融合し、今度は銀色の厚みのある円形の盾に変形した。 『ま、こんなもんっすね。これでなんとか防具はできましたな~。魔法少女の衣装は強力な防具っすけどダメージの限界を超えると解除されるっすからね今の晴凛には盾は必須』 「武器は……クーちゃんがいれば大丈夫だよね?」 『正直晴凛が持っていいレベルの武器じゃないっすね。冥珂くらいの魔女でもなんとか釣り合うくらいっすよクー・ホリンのガエ・ボルガなんて』 『戦闘になったらオレにまかせろ。安心しろ、お前の体が壊れない程度に暴れてやる』 「え?クーちゃんはサポートしてくれるだけでいいんだけど?体貸すの怖いし……」 『……まぁいいさ、マズいと思ったら強制的に体使うからな?』 「うん、その時はお願い」 盾を持ち、建物の屋根、電柱を飛び鵜蔵池に到着する晴凛。 鵜蔵池は直径200メートルほどの大きさで釣りスポットしては地元ではそこそこ人気があり昼間はそれなりの人が訪れる。池の周りは整備されてない為雨降りの後はぬかるみがひどく子供は近寄らないように言われている。普段は発生しない霧があたりを包み込み水は黒く淀んでいた。 晴凛はアマトとクー・ホリンの指示に従って池には近づかずに盾とステッキを構える。 「半魚人……飛び出してくるのかな」 『気配はバリバリ感じるっすね』 『めんどくせぇ、池に一発ぶっ放して開戦の狼煙をあげろ』 「えぇ~……冥珂さんならどうするかな?」 『14のアートとか使って池の水を凍らせたり持ち上げたりするかも』 「私にはどっちも無理そうだぁ……」 『こういう時、水の中に入るのは絶対にダメだからね。だったらできることは』 「池の中から出させる?」 『クー・ホリンの力を借りますか~ダークパワーの調整はアマチャンがするっすよ』 腰のリボルバーを抜く晴凛。赤黒い光を放ち強烈な力が晴凛に流れ込む。 『池の上めがけて一発撃て』 「うんわかったクーちゃん」 リボルバーのトリガーに指をかけて引いていく晴凛。リボルバーの銃口から赤黒い槍の穂先が出現する。 「やぁああっ!」 晴凛の気合の声と共に放たれるガエ・ボルガの弾丸。螺旋の光帯を引きながら飛び、池の上で停止。光を増幅させそこから30もの弾丸を池に向かって放った。 放たれた弾丸は一つ一つが池の中に潜む者を狙い突き刺さり更に体内で30の弾丸に分かれて貫きながら次の獲物を狙う。 「GYAAAAAAAAAAAA!!」 ガエ・ボルガから逃れ池から飛び出す半魚人。魚類の顔をした人型の体、深い青の体色、目は瞼がなく開かれたままであった。 「うわあっ!出たぁ!!」 『ち、1匹外したか。晴凛、落ち着いて盾を構えてステッキに持ち替えろ、ガエ・ボルガはお前じゃ連発できねぇ』 「わかったクーちゃん」 「WIIIIIIIINWIIIIIIIN!!」 長い舌を垂らしうめき声をあげる半魚人。晴凛は一瞬めまいがするも持ち直した。 『あの音を聞いちゃ駄目っすよ。アマチャンの力で音波の影響を調整して緩和したんすけどくらい続けるのは危険っす』 『奴の目を見るな、全体を見るように胸のあたりに視線を置け。姿勢を崩さないようにゆっくり下がれ』 「はぁはぁはぁはぁ……(まだ何もしてないのにすごく疲れる……)」 「DAAAAAAAAAAAAAAA!!」 カエルを思わせる跳躍をする半魚人、晴凛は目を瞑り盾を前に突き出す。 『ちっ!』 クー・ホリンは晴凛の体を動かし盾で半魚人を横にはじく。 『怖いだろうが目を離すな、無茶をしろとは言わねぇ。戦え、できないなら逃げろ。その場で固まるのはやめろ、いいな?オレとアマトが手伝ってやる』 「うううう……怖い怖いよう、だけど……頑張る!」 泣きながら晴凛はステッキを前に突き出し意識を集中する。 「ファイヤー!」 「GUAAAAAAAAAAAAA!!」 ソフトボール大の火球が半魚人の胸に命中する。火球はそのまま半魚人の全身に燃え広がっていく。 「GYAAAAGYAAAAAAAAAAAA!!」 転げまわる半魚人、晴凛は大きくジャンプして離れる。 「やった当たった!」 ステッキに搭載された火の魔術と魔法少女のダークパワーを連動させて発動させた晴凛。 『お、うまく発動したっすね。調整して命中させたのはアマチャンの力っすけど』 『まだだ油断するな!止めにもう一発撃ちこんでおけ』 転げまわる半魚人は火を消し立ち上がる。 「GYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYA!」 上を向いて叫ぶ半魚人、すると池の奥の林から大きな影が飛び出した。 「DAAAAAAAAAAAG!」 「ひいいいっ!でかいのが来たー!!」 5メートルはある半魚人は巨体を揺らしながら晴凛に近づく。 『落ち着くっすよ晴凛!』 「うあああああ!ファイヤー!!」 ファイヤーボールを撃つ晴凛、巨大半魚人の肩に命中するも火は燃え広がらずに消える。 『あれが何だろうがナマモノならガエ・ボルガを叩き込めば死ぬ!!』 『やっぱり悪い半魚人は一筋縄ではいかないっすね……』 『御託は良いんだよアマト!今は目の前の敵を殺すことに集中しやがれ!!』 『それもそうっすな!じゃあ行くっすよ晴凛!』 晴凛のポーチから戦車のカードが飛び出す。アマトがそれを口にくわえると銀色のアサルトライフルに変形した。 『アマチャンアサルトスペシャルを使うっす!』 『撃て晴凛!』 「うああああああああああっ!!」 光弾が連続発射され巨大半魚人の胸に命中、動きを止める。 『晴凛、落ち着いてアマチャンとこの晴凛の戦車のカードを頭の中で合体させてすごく強い大砲のイメージをするっす!』 「うああああああ……そんな急に言われても!」続く
Aug 25, 2018
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