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マジック・ザ・メイカー12話 ―1週間後 冥珂の家 「アマチャン、ハラヘッタ。メイカ、メシヨコセ」 突然声を出したアマトに冥珂は吹き出し煙草を落としそうになった。 「な、なんやのアマト!オウムになってるからっていきなりどうしたんや」 「……前々から思ってたんですけど、今更ですけど、自分メアートって名前で呼んでもらいたいっす」 翼をバタつかせて叫ぶアマト。 「ほんま今更やな!……言いにくいしアマトでええやん。スフィンクスもスフィンクスちゃうねんし。それより晴凛ちゃんの事しっかり頼むで」 人差し指でアマトの頭を軽く押す冥珂。 「晴凛の事はまかせとけー!しっかり監視しといてやるっすー。自分的には美少年監視してたいんですけども」 「……あんた心の声だだもれやしやっぱりあんまりしゃべらん方がええわ」 「コミュ障ですからなー自分。ここは女子高生になって晴凛の親類として一緒に通った方がコミュ障も治るのでは?ついでに美少年ゲットっす!」 「あかん!オウムで頼むわ!」 「オウムツマンナイ!アマチャンツマンナイ!!」 「はいはい……」 結界の中に人が入ってきたのを感知した冥珂、だがすぐに警戒を解く。 「こんにちはー……あ、アマちゃんこっちに来てたんだ」 学校帰りの晴凛が入って来る。テーブルの横にカバンを置いた。 「まーねー、だって晴凛の家族とは会話できないっすからなー」 「あははははっそうだね~オウムだもんね。しゃべりすぎたら怪しまれるし」 「人間に姿を変えればいいんすけどね……冥珂がやめとけって……しくしく」 羽で目元を覆いウソ泣きをするアマト。 「そうなの?でも一回今度人間になって見せて~」 「ミステリアスクール美少女っすよ自分。クラスで話題になっちゃうっすよ」 「マジで~!?」 「学校ではあかんで……」 冥珂は煙草の煙を吐いて言った。 「じゃあおうちでこっそりとね~」 「おお、秘密の美少女っすか……学校に行かなかったら街で人間になっても問題ないっすよね?」 冥珂を見つめるアマト。 「……はぁ、ええよ。人間の姿でしか行けへん場所もあるやろうしな」 「やったー!冥珂はあんまり自分を外に出さないからストレスたまってたんすよねー」 「だから心の声だだもれやって……だからあんたをあんまり出せへんかってんて。でもまぁ晴凛ちゃんとは楽しくやれそうで安心したわ」 「あははっアマちゃん楽しいです、クーちゃんも凄く家族となじんでますし」 「へぇ~流石晴凛ちゃん、クー・ホリンともう仲良くなったの?」 「そうなんです!クーちゃんすごい勢いで学校の教科書読んだりTV見たりしてますよ。お父さんもお母さんも「こんな賢い犬見たことないって」クーちゃんの事気に入ってくれてもう喧嘩なんて全然しなくなったんですよ」 「クー・ホリンはミルクばっかり飲んでんの?」 「そんなこと無いですよ、お父さんとお母さんが時々お肉買ってきてくれるからそれを。流石に本物の犬じゃないからドッグフードはあげれませんし」 「大英雄様やしな。生身の人間ちゃうし食事はそこまでいらんやろうけど出来るだけ美味しいもの食べさせてあげたいよねぇ。アタシのつくった魔女のお菓子はどう?」 「めちゃくちゃ喜んでましたよ!私もやっと2段階の味作れるようになってきたんで頑張ります!冥珂さんのレシピの材料は揃えられないけどなんとか近いものを!」 晴凛は腕まくりをして力こぶを作るポーズをとった。 「話は変わるけど晴凛ちゃん魔法少女の変身はどう?」 「まだ慣れないですね……」 晴凛はゴシックパンクな魔法少女の衣装に変身した自分の姿を思い出してた。光に包まれるとはいえ一度裸になることがどうしても慣れなかった。 「衣装のデザインはアタシが決めたからまぁ堪忍して。もっとフリフリでお姫様みたいのが良かった?それとも女王様みたいにエレガントなのが好き?今やったらまだ変えてあげれるけど?」 「い、いやデザインはかっこよくて冥珂さんの魔法少女って感じでいいんですけど変身するときがちょっと……」 「ああ……晴凛ちゃんあれは実際の時間にしたら0.02秒しかかかってへんから大丈夫やで」 「10秒くらいの感覚だったんですが……」 「慣れるしかないよ。あと晴凛ちゃんパートナー(使い魔)はどうするか決めた?」 「そうですねぇ……色々な子見せてもらったんですけど迷います。冥珂さんのスフィンクスってやっぱり優秀なんですね……一度一緒に行動したからよく分かります」 「スフィンクスは口は悪いけど頼りになるパートナーや。そういや晴凛ちゃんクー・ホリンがパートナーではあかんの?」 うう~ん……と唸ったあと晴凛は腕を組んで首をかしげる。 「クーちゃんは今の世の中の事全然知らないから逆にこっちが教えてるんですよ。戦闘に関しては凄いけど超常現象とか意外と全然くわしく無いし……」 「あ~そっか、クー・ホリンは戦士やもんな。逆に彼をサポートしてやるほうが良い感じになるんかもねぇ。せやねぇそれやったらアマトとクー・ホリンのダブルパートナーでどうかな?役割分担させて」 アマトとクー・ホリンのカードを並べる冥珂。 「知識はアマちゃんに、戦いはクーちゃんにサポートしてもらうと?」 「そうそう。それでよければ二人のカードをステッキにリンクさせるで?」 「じゃあそれでお願いします!」 冥珂は手をかざし二枚のカードとステッキのダークパワーを同調させていく。光の波紋が繋がり一つの大きな波紋となる。 「これでよし……と。これで晴凛ちゃんのパートナーはアマトとクー・ホリンや。万が一ステッキが手元に無くても二人を呼べば魔法少女に変身することができるし、声出さんでも会話もできるからね」 「おぉーそれは便利ですね」 「パートナーの使い魔との連携は大事やで。魔女にとっても魔法少女にとっても」 冥珂は深く頷きながら言った。 「晴凛ちゃん、出来そうな範囲でいいからね。怖いなーとかやりたくないなーってのはせんでいいから。後は組織とか機関とかそういうのに所属してる奴とは距離を置くこと」 「肝に銘じておきます!」 「うんうん。おっと……」 冥珂は振動したコンパクトを取り出して開いた。そこにはダ=ガの姿が。 『お、繋がった。全ての修理を終えていよいよ出発することになったから挨拶しとこうとおもってネ』 「良かったなぁ気を付けてな」 『例の物を持って帰って分析したらまた報告に来るよ。この星の安全に関することだったら黙ってるわけにもいかないからね。この星の時間で……一ヵ月後くらいかな』 「わかった、待ってるわ」 『それじゃさよならメイカ』『また会おう』『恩は忘れない』 ダ=ガ、ドイラ・バ、ゥオーは胸に手を当ててそう言った。 「元気でな―」 冥珂は彼らの真似をして胸に手を当てて見せた。鏡の映像が消える。冥珂はコンパクトを静かに閉じしまい込んだ。 「宇宙人さん達帰るんですね」 「いい奴らで良かったわ。アメリカで会った宇宙人はとんでもなかったで」 「そうなんですか」 「めちゃくちゃ狂暴で隙あらば自分の子孫を残そうとする奴でね、真っ黒で頭が長くて尻尾が生えてて酸を吐くんよ。最後は建物ごと爆破して全滅させたんやで」 「うわぁ……」 「話は変わるけど明日に出発するわ。まぁ言うてもそんなに離れてへん街やし会おう思ったらすぐに会えるんやけどね」 「あ、京都でしたっけ?ここから車で一時間くらいですよね」 「晴凛ちゃん行ったことある?」 「遠足とかで何回か」 「そっか、じゃあ色々片付いたら連絡するし遊びに来てよ。魔法少女の事も聞きたいし」 「遊びに行きます!あと一ヵ月もすれば紅葉の季節ですし楽しみです」 「ああ~京都は山に囲まれてるもんねぇ」 冥珂は水晶玉に京都市内の映像を浮かび上がらせる。 「さて……拠点はこの辺の住宅街にしよかな」 冥珂が見ているのは北区の住宅街であった。 「これって……上空から映してるんですか?」 「これは写真を取り込んだ映像やで。実際に離れた場所を映すのは集中しないとね。やって見せよか?」 冥珂は手にダークパワーを集中させて水晶玉に注ぎ込む。水晶玉から放たれた光は天井を通り抜け漢山に向かって飛んでいく。そして水晶玉にはクレーターのできた公園が映し出された。 「おぉ~流石冥珂さん」 「これをあんまり多用せえへんのは痕跡がしばらく残るからやねん。光がぴゅーっと飛んでったやん?飛行機雲みたいにしばらく残ってしまうのよ。ステッキもってる晴凛ちゃんには見えたやろ?」 「見えました!……ああそっか、むやみに使うと自分の場所がバレてしまうんですね」 「そういう事。魔女の中にはわずかな痕跡もたどれるのがおるからね」 「もしかして冥珂さんがほうきばっかりに乗らないのも?」 「痕跡をなるべく残さへんためってのもあるね。もしかして水晶魔術に興味あるのん?」 「えっと……占いとかできたらいいかなーってあはは」 「そう、そしたら簡単な占いくらいできるようにあとで練習方法教えてあげるね。水晶魔術ってのは宝石魔法の一種でね宝石魔法の基礎やねん。宝石はダークパワーの蓄積しやすいし、種類によって使い方がある。宝石だけを使う場合と宝石の力を利用して使う方法があって、例えば……杖や仮面に宝石つけて宝石だけではできない魔術を行使したり、扉や自動人形の動力にしたり使い方は色々。万能に思えるけど良い宝石は手に入れるのが面倒やしカットするのにも専門の知識と技術がいるんよ。だからお手軽な使い捨ての魔術結晶とかもあるんやで」 「そういえば冥珂さん首と両手の指輪に宝石つけてますね」 「うん、これらはめったに使わんけどもしもの時の為にね。アタシの得意分野じゃないし。晴凛ちゃんにはこの水晶玉は大きすぎて扱いにくいやろうからアタシが昔使ってた手のひらサイズのやつあげるわ」 「ありがとうございます!」 ―翌日 冥珂は仮住まいの家を全て片付け、大型バイクに変形したスフィンクスにまたがっていた。煙草に火をつけ一服していると晴凛が姿を見せた。 「冥珂さ~ん」 制服姿の晴凛が手を振って走ってくる。 「晴凛ちゃん、こんな朝早くから来てくれたん」 「冥珂さんを見送りたくて学校行く前に来ちゃいました……今なら誰も周りにいませんよね?」 「ん?まぁ人払いの結界はまだ解除してないしうちらの姿は見えてても認識できひんやろね、どうしたん?」 「えっと……魔法少女の姿を冥珂さんに一回見てもらいたくて」 「おお!うれしいねぇ~やってやって!」 「では……」 30cmほどのルーンが刻まれたステッキを取り出す晴凛。それを上に抱え上げる。 「レッツ!マジックメイク!!」 ステッキが輝き晴凛の体を光が包み込む。ブーツ、手袋、ジャケット、スカートが0.02秒で装着される。ゴシックパンク姿の魔法少女に変身した。 「おおおおっ!」 拍手する冥珂。 「いいねいいねぇ!!昔のアタシよりも似合ってるわ!!かわいいねぇ~」 「て、照れますね……」 『この姿にはアマチャンも思わずにっこりっす』 上空で見張りをしていた緑色のオウム姿のアマトが晴凛の肩に止まる。 『アマトも気に入ったようやね』 「出発前に晴凛ちゃんの晴れ姿も見れたし気持ちよく行けるわ」 冥珂は煙草を消し携帯灰皿へとねじ込んだ。そしてギアをローにいれる。 「じゃあね晴凛ちゃん!」 「はい!冥珂さんお元気で!!」 走り去る冥珂、晴凛は姿が見えなくなるまで手を振って見送った。 『さまになってたな晴凛の奴』 スフィンクスが言った。 「なんか泣けてきたわ……」 『年寄りは涙もろくていけねえな』 「今回の仕事は楽しかったわ……晴凛ちゃんがいたおかげで」 『無償だけどな……本当にお前、収入が他にあるからってこんな活動馬鹿だと思うぜ』 「ええねん、アタシは今が全盛期。その時にできることは目一杯やっときたいねん。一々お金の交渉とか何やらで余計な労力使いたくないんよ」 『組織化したりして楽してる魔女が多いのによ~……そういやリアダンの泥棒集団どうなるんだろうな?東京のアジトも潰したしリアダンも死んだしよ』 「残党はまだ東京に潜伏しとるみたいやで、あの弟子から今朝連絡あったわ『いいかげん携帯電話もってくださいよ』と言われたね」 今朝、冥珂の元に伝書鳩ならぬ伝書機械イーグルが到着していた。到着するなりそれは円盤状に変形、立体映像で冥珂にメッセージを伝えたのだった。 『あのミルク大好きなちびっ子、生意気な口叩きやがるが優秀なんだよな』 「優秀なんやけど口が悪いんよね~……しゃあない電話持てってうるさいから携帯ショップに寄って適当なの買っていこかな。いや、それよりか科学と魔術のハイブリット携帯作らせて送ってもらおか?」 『がめつい奴だからふっかけられるぞ?』 「あいつの研究は金が滅茶苦茶かかるしなぁ……」 冥珂は笑いながらアクセルをひねり加速した。 続く
Jul 29, 2018
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マジック・ザ・メイカー11話「魔女と魔女2」 「それは……どうかな!今やスフィンクス!!」 地上からスフィンクスが突撃、チャリオットは下からの衝撃を受けてきりもみ回転、冥珂は間髪入れず軽機関砲でチャリオットに攻撃。 「もいっちょオマケや!」 剣の6の光線でさらに追撃。 「ぬうおおおおおおおおおおっ!」 リアダンのチャリオットは青白い炎に包まれながら墜落した。地面に激突しバラバラになったチャリオットは大型犬に姿を変える。リアダンは激突寸前に飛び降り着地に成功したものの両脚のサイバネ義足から火花を散らせその場で膝をついた。 「まだまだ!このクソサイバネ足が!!動けよおおおおおおおおお!!」 「あほなことしたなぁ、生身の足やったら魔女なら回復できるのに」 「だまれだまれだまれえ!クー・ホリンと同化しつつあるオレにはもうこんな足は必要ねえんだよおお!」 「なにがしたのんあんた?人間を捨てて魔女になって足を捨ててサイバネ取り付けて、今度はよう分からんもんに手を出して自分を捨てて」 「だまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれえええ!!」 リアダンは大型犬に跨がろうとする。それを見たスフィンクスは弾丸めいて飛び出し、大型犬にタックルした。大型犬とスフィンクスはそのまま転げてもみ合う。 「ちっ!まだまだぁ!足がぶっ壊れたくらいでオレは止まらねぇ!!」 首から下げた笛を咥えるリアダン。足元の土が盛り上がり熊の形に成っていく。下半身を包み込みリアダンの壊れた義足の代わりとなる。 「魔女の無尽蔵のダークパワー!クー・ホリンの武器の力!オレは誰にも負けねぇ!!」 リアダンは更に地面から召喚した数十匹の蛇を螺旋状の棒状に変化させてガエ・ボルガ銃を咥えさせた。 「右手にガエ・ボルガのガンランス!そして左手にはクルージーン!」 「ええとこ取りに思えるけど、どっちも中途半端やでリアダン!魔女の力はその銃に合ってないし、その銃のから出てるクー・ホリンの力はあんたでは扱えきれてへんように見えるな!」 冥珂は14番アート(技術)のカードを取り出す。 「だまれと言ってるだろう!オレは全てを手に入れる!誰にも邪魔はさせない!」 武器を構えて飛び掛かるリアダン。 「14のアート!」 突如地面から出現した壁に激突する。 「ちっ!こんなものっ」 クルージーンで壁を破壊し、ガエ・ボルガを構え突進するも、そこに冥珂の姿は無い。 「剣の10」 リアダンの背後から声がした。振り向く前に10本の剣が上空から降り注ぎリアダンを囲んだ。 「そこか!」 ほうきに乗った冥珂に向けて衝撃波を放つリアダン。軽い動作で回避する冥珂。 「なんや動きが鈍って来とるで?最初の勢いは無いな!はっ!!」 冥珂が手をかざすと10本の突き刺さった剣から稲妻が発生しリアダンに直撃する。 「あばばばばばばばばばばば…………舐めるなぁああ」 電撃を受け全身に走る痛みに耐えながらガエ・ボルガを構えるリアダン。皮膚が裂け全身から出血する。 「あばばばばばばばばばばば…………」 目鼻口耳から血を垂れ流し、苦悶の表情を浮かべながらリアダンはガエ・ボルガを冥珂に向ける。 「それやったら!追加でこうや!」 杖の9のカードが発動する。電撃は増大され巨大な電撃の柱が出現しリアダンは指一本動かせない。 「あばばば…………もっと力を……そうすれば全て……」 黒焦げになったリアダンはその場に倒れこむ。全身に亀裂が入り崩壊が始まる。 「ここまでやな、じゃあ回収させてもらうで。テクニクス・マジック・コンパクト!」 コンパクトから蔦の腕が伸びリアダンの体に突き刺さる。心臓から一枚の本のページを取り出した。 「よし……ついでにガエ・ボルガも回収しとくか」 再び蔦の腕が伸びガエ・ボルガに触れようとした時、突如として黒焦げのリアダンが飛びあがる。 「おっと……そいつは……勘弁願いてえな……」 「まさか!?」 「この女はもう死んでる、んでもってお前が魔女の力を奪ったんでオレが完全にこの体を使ってる。だがこんな今にも崩れそうな体とはな……お前に頼みがある、ガエ・ボルガの所有者になってくんねえか?そのバケモノのいる所にしまうはやめてくれ」 「あかんて言うたら?」 「最後の力を振り絞ってお前を殺してでも止めさせる……あんな所にしまわれるくらいなら消滅を選ぶ」 「そう言うてもいい場所って他に思いつかんしなぁ……あ、でも……無い事も無いか」 冥珂は晴凛の為に用意していた新しいカードの事を思い出した。 「所有者はアタシじゃなくてもいい?可愛くてめっちゃええ子なんやけども」 「バケモノの所じゃなければいい。気にくわねぇ奴なら自滅を選ぶまでだ」 「絶対気に入るって、じゃあとりあえずアタシが持っておくわ」 コンパクトをしまい黒焦げのクー・ホリンに近づく冥珂。クー・ホリンはゆっくりと直立し静かに冥珂の手の上にガエ・ボルガを置いた。次の瞬間黒焦げの肉体は崩れ落ちる。 「このガエ・ボルガ……」 リアダンが消滅したことで大型犬も消え後に残ったのはトランペットだけであった。銀の鎧騎士に姿を変えたスフィンクスが持って戻ってくる。 『冥珂こっちはどうするよ?』 「アタシは楽器できひんしな、それはアレの所行きや」 『じゃあ俺様が持っててもいいか?』 「ええけど……あんた楽器なんてできたっけ?」 『今はできねえ、けどいいんだよ!』 「ふーん……ま、ええわ」 戦闘モードを解除し肩をもむ冥珂。UFOの方に視線を向けるとドイラ・バが出てきた。 『見事だったメイカ。感謝する、君を見ていると記録にあった地球人ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキーを思い出す』 「え!?……そうなん??あ~……は~……うん、うん」 『彼女の事は知っているのか?』 「せやね……それなりに。友達の友達というかまぁ知り合いやね」 『そうであったか』 「あ、そうそう。昨日言ってた物持ってきたで」 冥珂は10番フォーチュンのカードを取り出しワゴン車を出現させ後部ドアを開けた。そこにはコンテナがいくつも積みこまれてあった。 「さ、UFOに運びこも」 『ああ、感謝する』 ―翌日 学校終わりに冥珂の家に寄っている晴凛。目の前に出された戦車のカードをじっと眺めている。 「これを私に?」 「そ、スフィンクスじゃなくてごめんな」 「いやいやとんでもないですよ!というかこのカードも貰っていいものか……」 「晴凛ちゃんクー・ホリンて知ってる?」 「くーほりん?なんですそれ??魔女のなにかですか?」 「知らんでも全然いいねん、これから知っていくことになるからね。その新しい戦車のカードにはクー・ホリンってアイルランドの大英雄の……一部が入ってるんよ」 「え?え??アイルランドの大英雄ですか??なんでそんなすごい人を??」 「色々あって……アタシが持ってるより、魔法少女になる晴凛ちゃんの方がいいと思ってね。クー・ホリンがそばに居てくれたらアタシも安心して任せられるし」 「いやいやいやいや!魔法少女確定なんですか!?やるしかないって流れなんですか!」 慌てて立ち上がる晴凛、その拍子に椅子が倒れ後ろの本棚に激突、本棚に置いてあった小瓶が落ちてくる。晴凛の頭に直撃かと思われたが筋骨隆々の手が受け止めていた。 『なんだそそっかしい小娘だな』 その手は戦車のカードから現れた朱色の外套をつけた金髪長髪の男。背は晴凛とあまり変わらない。 「あ……あ……だ、誰です!?」 『クー・ホリンって呼ばれている者だ』 「え!あの……本郷晴凛です!えっとその……ありがとうございます」 きれいに90度の礼をする晴凛。 「な?いい子やろクー・ホリン」 冥珂は煙草に火をつけて言った。 『顔の相は悪くないな。エメルほどじゃあないがオレ好みだ』 「……あんたも男やもんな。ところでその姿で晴凛ちゃんとは一緒に居られへんで?何か動物になるとかせんとカードから出たら面倒なことになるし」 『お前の銀色使い魔のようにか?……ならオレは……』 クー・ホリンは金色の毛並みの70cmほどの大きさのアイリッシュ・セッター似の犬の姿になった。 『これでどうよ?』 「か、かわいいい!きれい!」 晴凛はしゃがんで犬の姿のクー・ホリンを抱きしめる。 『なんだ犬が好きなのか!?』 「動物は基本的には好きだよ!」 『そうかそいつは良かった』 晴凛は戦車のカードを手に取る。 「冥珂さん、クーちゃんと一緒なら魔法少女やれそうな気がする!」 『クーちゃんだと!?』 「ぶふっ………そ、そう!そら良かった。じゃあ戦車のカードはステッキに吸い込ませてしまっときな」 「はーい。あ、冥珂さん昨日つけてくれたアマちゃんお返するね」 晴凛はカバンに止まっていたオウムを手に乗せて差し出した。 「アマちゃん……ああ、アマトの事ね。でもまぁアマトはこの街に置いとくわ。晴凛ちゃんの様子見たりするのに必要やしね」 冥珂はそう言うと声を出さずにクー・ホリンに話しかける。 『クー・ホリン、あんたカードに入ってるときは良いけど外に出たら消耗激しいのとちゃうの?あのガエ・ボルガの性質からして……』 『ルーンを学んだオレにとってお前のルーンで作ったこのカードとは相性がいい、ガエ・ボルガも少しずつ安定してきている。外には長時間出れないのは感じているな、表現しがたい飢えを感じる。このガエ・ボルガを作った野郎がそういうもんにしたんだろうな』 『クー・ホリンほどの者やし飢えに支配されることは無いやろうけど、リアダンの時みたいなあんな狂暴な状態にはならん?どうすれば解決できるか分かってる?』 『あの魔女の時のオレは極限に飢えてたんだ……その飢えが血に対してのものというのは分かってきた。ならばそれに近いものを摂るか……例えば乳とか』 『せやな、この時代のこの国ではミルクは簡単に手に入るし不自由はせん思うわ。誰かに見られても動物がミルク飲んでても何にもおかしないしな』 『基本的にカードの中に居ればいいんだよな?それにしてもあの娘はただの人間だぞ?どうしてオレを?』 『魔女のアタシよりも晴凛ちゃんの所の方があんた的にも良い。そのガエ・ボルガを復活させた魔法が魔女の力とは合わへんし』 『ほう?』 『復活させた魔法は詳しく調べてみないと何とも言えへんけど、ガエ・ボルガから血の眷属の力を感じるんよ』 『その辺はオレには良くわからないが、今のオレがあるのはその眷属の力のおかげて事か』 『そういう事』 「冥珂さんどうしました?」 「え?いやなんでもないよ、今日の夕飯なににしようかなーって……」 晴凛の呼びかけにあわてて答える冥珂。 『それにしてもリアダンがエイリアンの持ってる粉になったアレを狙った理由は全然分からんな……』 今度はスフィンクスにだけ聞こえるようにつぶやいた。 『リアダンの背後にいる奴が注文したんだろうな。このままその黒幕野郎は諦めると思うか?』 『もう一回くらい誰か寄こしてくる可能性はある……宇宙人らが無事帰るまではこの街にいるつもりやけど。リアダンにガエ・ボルガを渡した奴とあの粉を欲しがってる奴は一緒なんかもなぁ。』 『それにしても血の眷属ねぇ……相性といえば魔女と血の眷属と獣人族はの力は合わねぇからな。晴凛に持たせたほうがクー・ホリンも存分にやれるだろうよ。そういや冥珂、次は未来予知で見たここから東の大きな街に行くんだったよな?確かそこにはこの国古来の血の眷属がいるんじゃなかったか』 『え?……あ!ほんまや!!何ちゅう偶然や!!いや……これは色々と繋がってるのかもしれんで。うわぁそうかあの街、京都……嫌やなぁ魑魅魍魎だらけというか。東京も大概やったけど』 『知ってるくせに何を今更……』 『虹色のほうき星のこと無かったらあの街にはできれば行きたくないねんなぁ。面倒事多いし昔行って懲りたし』 『ま、大概お前から巻き込まれにいってるんだけどな』 『そうやったかなあはは……』 「冥珂さんってば~そんなに夕飯何しようか迷ってるなら私が決めます、カレーです!」 晴凛が冥珂の目の前で手を振ってそう言った。冥珂は灰の落ちそうな煙草を慌てて消して「お、カレーええな!」と言い新しい煙草に火をつけた。 続く
Jul 14, 2018
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マジック・ザ・メイカ―10話 「そいつの名前はペルデュラボ。アイツの作ったのはアタシのカードの模造品やね。今世の中に出回ってるのはそれをただ印刷しただけなんやけど。アイツが自分でつくったのはそれなりのもんやったで。それもほとんどは回収したけど」 「ぺるでゅ……?」 晴凛は首をかしげた。 「知らんかったらええよ、別にあんなのの名前覚える必要はない。晴凛ちゃんは変にオタク知識もついて無いしそのままでいてね」 『そうなんだよな、オカルトマニアで一般に売ってる本とか映画とかアニメとかで頭でっかちになってる奴はダメだね。そういう知識はこっちの世界では邪魔になるんだ』 スフィンクスは頷いて言った。 「ええええ~っ!そうなんですか?これからネットとかでガッツリ魔法の知識蓄えようとか思ってたんですけど……」 「そ、そうなんや……じゃあアタシの持ってる本貸してあげるわ。分からんところはスフィンクスに聞いてね」 冥珂はハードカバーの古めかしい本を取り出して置いた。晴凛はさっそくページをめくる。すると……中身はコマで割っておりセリフがついていた。漫画だった。 「え!?漫画なんですけど!!?」 「漫画なん?晴凛ちゃんにとって読みやすくて頭に入るのは漫画って事やね。その本魔法で作ったもんやし、晴凛ちゃんの他の人が見てもただのルーン文字並んでる本しか見えへんのよ」 「え?え!?どういう事です??」 「本が晴凛ちゃんの脳に直接働きかけてるねん。アタシが子供の時に森の魔女から貰った本を再現したものや」 「おぉ~……ありがとうございます!」 「それ読んで魔女の事少しは知っといて。さてと……一息ついたら買い物済ませて宇宙人らに物資渡してリアダンのアホを迎えんとな晴凛ちゃんには……」 冥珂は8番調整のカードを取り出した。 「アマト出ておいで!」 「ふあ~い……」 カードから煙が吹きだし現れたのは、側頭部にダチョウの羽飾りを装飾した仮面を着けた薄緑ドレスの女性であった。 「晴凛ちゃんのこと頼むで」 「ええ~……まぁやるっすけど」 アマトは蛇の紋章が入った剣を頭上にかざして言った後、オウムの姿に変わり晴凛の肩にとまった。 「冥珂さんこの子は?」 「こんなんやけどやることはきっちりやるで。晴凛ちゃんを守ってくれる、スフィンクスとはまた違うタイプやけどね……それにいざとなったら魔法少女に変身してくれたら」 「そ、それはまだ早いというか心の準備が……」 「気軽にポンと一回なっとき。あ、そうそうステッキは絶対に忘れんと持っとくんやでアマトにも気を付けるように言っとくけど。お風呂入る時も一応手の届くところにね」 「は、はぁ」 冥珂は宇宙人たちの買い物リストを眺めたあとコンパクトで姿を変える。眼鏡とスーツ姿のビジネスウーマンに。 「これで一般人に認識はされるやろうけど記憶には残らへんはずや。買い物するのに問題は無し」 「いつものライダースジャケット姿とそんなに印象変わりませんね」 晴凛は素直に感想を述べた。ライダースジャケットからビジネススーツに姿を変えた冥珂を見ても晴凛には『魔女の冥珂』にしか見えない。 「晴凛ちゃんにはね~。一応暗示の魔術で他の一般の者にはだれでもないスーツのおばちゃんに見えるで」 「いや、冥珂さんきれいですしおばちゃんって感じじゃないですよ。おねえさんです」 「ありがとうれしいなぁ!こんな年になってもうれしんもんなんやね。魔女の飴全部持ってき!」 冥珂は飴の瓶を晴凛に持たせる。 「わぁこんなに……!?」 「じゃあそろそろ出るわ。じゃあ晴凛ちゃんまた明日ね」 「あ、はい!また明日~」 ―交方市街の空き家 「クソックソックソガアアア!!あのババア!!レヴィイイイイイイ!!」 ダイニングテーブルを蹴り飛ばし食器棚をひっくり返し声を荒らげるのはリアダン。台所に置いた小型モバイルPCの画面にはシルクハットの中性的な人物が映っている。 「おやおや……わたくしの作品を使っておいてしくじるとは」 静かな声を発する人物。その声は二人の人物が同時に発したかのように重なって聞こえる。 「黙れマーリン!私はしくじってなどいない!予定が狂っただけだ!!」 「だといいのですが。あなたにお渡しした作品は例の物と交換で取引完了となりますので。果たせない場合は返してもらいます」 「分かってる!大体そんなに欲しければお前が自分で取りにくればいいだろう!!」 「ええ、ええ。おっしゃる通りですとも、ですから手に入ったのならそちらにお伺いします。何しろわたくしは忙しい身ですから、エイリアンとかレヴィとドンパチやってる場合では無いのですよ。ようやくこちらは片付いてきた所です、邪魔が多くてね。あれもこれも一々全部自分で処理はできないのです」 マーリンと呼ばれた人物はそう言うと指を左から右にスライドさせてウィンドウを開いた。そこには細かい文字とルーン、魔法陣が記されている。 「でもまぁあのレヴィが相手ならお渡しした作品の追加開放を致しましょう。本来なら貴女に追加料金を支払ってもらってからやるつもりでしたが」 「ふん、すぐに仕事で稼いで返してやるよ!追加開放、さっさとやれ!!」 画面のOKボタンを押して契約書にサインをするリアダン。それを見たマーリンは取引成立と言い手を前に突き出す。モバイル画面から飛び出した手はリアダンの腰に下げた赤黒いリボルバーをつかんだ。 「さて……追加開放の影響に関してはわたくしは責任持ちませんがよろしいですね?」 「なんでもいい!負けたくないんだよ!!」 「おやおや……すっかり性格も変わってしまって。もうすでにかなり影響を受けていますねぇ?あなたにこの作品は向いてなかったのでは?追加開放すれば作品に飲まれてしまうかも?」 「いいんだよ!!私がこれを選んだのは、この銃の……この作品由来の男が好きだからだ!影響を受けて飲み込まれる?全然問題ないね!!」 リアダンの髪が三層に染まっていく。生え際は黒髪、中ほどは赤黒く、先は金髪に。画面から伸びたマーリンの手によってリボルバーの銃身は長くなり、赤黒い茨を巻き付けたかのような表面に変わった。 「その姿、伝えられしかの猛犬の英雄そのもの」 マーリンは手を戻し笑みを浮かべながら言った。 「ぐああああああああああああああああああっ」 頭を押さえるリアダン。白目を剥いて崩れ落ちる。 「があああああああああああああああああっ……」 体を震わせうずくまるリアダン。数十秒間痙攣してやがてゆっくりと立ち上がった。 「…………おい!!この『オレ』の剣はあるのか?」 マーリンに向かって叫ぶリアダンの表情は別人と化していた。 「もちろんですとも、『あなた』と言えばこの剣でしょう?」 「おうよ!」 マーリンは青く輝く刀身、金色の装飾が施された片手剣を取り出し画面の中からリアダンに差し出した。 「オリジナルはすでに失われていますのでわたくしが再現したものですが」 「へっ!十分だ、特に違和感も感じねぇ、大したもんだ。それで剣の代金は?」 「例の物を回収した後、そこから東にある大きな街でやってもらいたいことがあります。詳細はまた後程」 「ああ」 消えたモニターには振り返るそぶりも見せず、光輝く片手剣を見つめるリアダン。水平に振り、風切り音を鳴らす。衝撃刃が発生し部屋を仕切っている引き戸を切断した。 「もはやオレはパッとしない地味な魔女じゃねえ!」 『お前はオレでオレはお前だ。お前に勝利をもたらしてやる』 ―漢山 修理中の宇宙船の前には既に戦闘態勢の冥珂。ライダースーツに4番皇帝のカードで作った金色のアーマーを装着、ほうきは軽機関砲、スフィンクスは肉食獣の姿になり最大の警戒態勢をとっている。 「リアダンの持っとったあの銃。考えられる可能性として高いのは……」 『ああ、考えたくはないが……ガエ・ボルガだな』 スフィンクスは牙をむいて言った。 「水晶での録画映像を何回も見たけどやっぱり30に分かれとるし30といえばガエ・ボルガて考えてまうな。せやけど本物って訳でもなさそうやねんな」 『複製魔法か?いや……複製魔法は一時的なものだ。それに大層な儀式が必要だ、冥珂お前のカードなら同じような事はできるだろうが……いやあの銃は確かにこの次元に実在してる物質だ。ダークパワーで作った物じゃねぇ」 「ガエ・ボルガとしても防ぐ方法はいくつか思いついてるで」 『実際恐ろしい武器だが防ぐ方法は無いわけじゃねえしな』 『敵!接近です!!危険危険!!』 冥珂の2番女教皇のカードから声がした。 「ナイス、イッシー!リアダン来よったか」 宙に浮かべた軽機関砲ほうきに飛び乗りサーフボードのように操り上空へと飛び上がる。スフィンクスは羽を生やして付いてくる。 『おーおー……リアダンの奴すっかり変わっちまってるぜ。ありゃあまるでクー・ホリンそのものだ』 スフィンクスは豆粒ほど遠くに見えるリアダンを見て言った。 「あの銃……いや、銃に形を変えたガエ・ボルガがリアダンを変えたんやろな。どんな魔法を使ってあの銃を作ったのか分からへんけどガエ・ボルガを再現したとしてもあんな風にはならんはずや」 『あの銃は回収して調べた方が良さそうだな』 チャリオットに乗ったリアダンは冥珂を発見、スピードを上げ急接近してくる。 『んん?アイツ普通じゃねえ剣を持ってやがるな……クー・ホリンだとするとあれは……』 「クルージーン・カサド・ヒャンやなヤバイで」 剣を振り上げるリアダン、水平に剣を振ると衝撃波が放たれる。 「テメェはぶっ殺す!!」 「おおっと」 急速旋回する冥珂、衝撃波を回避する。後ろの山の木々がなぎ倒されていくのが見えた。 「剣の6!」 カードから出現した6本の剣、青白い光線が連続で放たれる。回避していくリアダン、6本目の光線は避けきれずチャリオットの車輪に命中、大きく体勢を崩す。 「スフィンクス!」 『おうよ!』 スフィンクスが大砲の形に変形する。 「そううまくいくもんかよ!!」 リアダンは赤黒いリボルバーを取り出した。 「いきなりか!イッシー、アーテナーの盾!!」 『はいな!』 冥珂は巨人の紋様の入った円形の盾を構える。対するリアダンは取り出したリボルバーのトリガーに指をかけ、冥珂ではなく下のUFOに銃口を向ける。 「ん!?……あ、しまった!!」 「最初からオレの狙いは宇宙船にある物だ!」 『クー・ホリン流石に戦慣れしてやがる!』 大砲の姿のままリアダンに特攻をかけるスフィンクス。リアダンはチャリオットから飛び上がりスフィンクスを回避、空中で体勢を整えクルージーンを振るう。衝撃波の直撃を受けたスフィンクスは墜落する。 『ちっ……』 「よっと」 チャリオットに着地するリアダン。アーテナーの盾を構えたまま冥珂はほうきを操りリアダンの射線上に身を滑り込ませる。 「させへんで」 「当然そう来るよな?だからこうする!」 リボルバーを構えたままチャリオットで迫るリアダン。冥珂は剣の6のカードから出現させてた6本の剣の切っ先を合わせ大きな光線を放って対抗する。 「それも来ると思ってた!ハァッ!!」 クルージーンを構えて光線を受け止めるリアダン。速度を徐々に落としながらもチャリオットを進めて冥珂を押しながら降下させる。 「ここだ!くらえ、ガエ・ボルガ!!」 「あかん!21番The Universe(宇宙)!!」 冥珂の21番The Universeのカードから光が広がりあたりを包み込んだ。 赤黒いリボルバー、ガエ・ボルガを構えたリアダンの動きはスローモーションをかけたかのようにゆっくりとしている。トリガーにかけた指がまだ引ききれていない。冥珂はほうきから乗り出しガエ・ボルガを持つリアダンの右手をアーテナーの盾で払いのけた。 「…………ハァハァ、ここまでか」 あたりを包み込んだ光は消え、リアダンは通常の動きに戻る。払い上げられた事に気が付かずそのままトリガーを引きガエ・ボルガを放つリアダン。 「なんだと!?」 槍の穂先のような弾丸が発射される。30に分かれた弾丸は山に降り注ぐ。 「何だ今のは?完全に決まったと思ったんだがな。まあいい、今日はあと4発まだ撃てる」 クルージーンを振るリアダン、アーテナーの盾で受け止める冥珂。間合いを取りたい冥珂に対しリアダンはクルージーンで剣戟を加えながらチャリオットを密着させ離させようとしない。 「(連続でガエ・ボルガは撃てへんみたいやけど……この状況ヤバい、接近戦はあっちのが上やし離れたいところやけど離れたらUFOに向かってガエ・ボルガを撃たれてしまう)」 「どうしたどうした!打つ手なしか?」 続く
Jul 9, 2018
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