松崎文之進の帰りを、美濃部新兵衛が待っています。
新兵衛「 ご出仕ご苦労様に存じます
」
文之進「だいぶ待ったか」
新兵衛「はっ・・早速ながら、 若君のご容態は
」
希代の妙薬を服用され、だんだん快方に向かっているということを文之進が言います。
新兵衛「それは何よりでございますが、 その希代の妙薬とは
?
」
文之進「当家に伝わる秘伝の処方じゃよ。お主には隠していたが、あの日すぐに角
倉殿を通じて、浪乃の手元まで届けたのじゃ」
新兵衛「では、 道白殿のお薬は
」
文之進「まあ、恐らくは、用いてはいまい。御殿医とて油断のならぬ今日この頃
じゃ」
新兵衛「 なんと仰せられます
」
文之進「いや、何、・・道白も近頃はすっかり見立てが落ちたという事じゃ」
と慌てて言い繕いますが、 新兵衛は腑に落ちないようです
。
原口刑部に、忠宗公が今宵みずから手をくだして女狩りをする、ということが伝えられます。
早乙女が滞在している江戸屋別宅に、伊達兵庫が密かに江戸を出たことを知らせる火急の書状が届きます。刑部の館に入って行ったのは、御浜御殿にいる浪人の一人ということを蝶次が確かめたことを確認し、奥山と刑部に踊らされての忠宗の乱行とも考えられると推察します。
鶴千代の病状を探っておたきが戻ってきます。発病の原因は毒か、というと、おたきは、もし心当たりの人があったら、中に何が含まれているか調べてほしいということで、預かってきた御殿医道白処方の薬の包みを早乙女に渡します。 その薬を水に入れると色が変わり毒ということが分かります
。早乙女は重ねて言うのです、「伊達忠宗は、この世に類なき大阿呆だのう。幸い周りに忠義一徹の者がいたからよいものを、我が子をこれほどの危険にさらしながら、尚且つお目が覚めぬとは・・」その夜、忠宗は女狩りに出かけます。その下見をして来たという百々地三之丞は、伊達藩のお代替わりを速めるために、馬鹿殿の言葉どおりに罪もない女をかすめ取る、これが武士のすることであろうか」と甲賀三郎兵衛にやりきれない気持ちを打ち明けに来ています。「将軍家のご命令であれば」と甲賀に言われるが、「果たしてそれが上様の」と疑問をもつ百々地ですが、指笛が鳴り、甲賀に「分かった、行ってくる」と気を取り直して出かけて行きます。その指笛は近くに来ていた早乙女の耳にも聞こえていました。
百々地が忠宗のところにやって来ます。忠宗に面をつけさせ、松崎の屋敷の近くまで行きます。百々地の配下が塀を越え、文之進と百合江のいる部屋に押し入り、百合江をさらっていきます。
松崎の中間が新兵衛のところへ走り、「新兵衛さま・・ 新兵衛様おられませんか
」という慌て戸をたたく様子から、急いで出てみると「曲者です」とのこと、新兵衛は急ぎます。
百合江が連れて行かれるところを目にした新兵衛が追って行きますと、 面をつけた武士が立ちはだかります
。
暗闇の中、 何者かとその武士をじっと見ていた新兵衛
はびっくりしたように
新兵衛「 おっ、殿では・
・」
と声をかけると、
忠宗 「 だまれ、よるな
」
と激しく言われます
。やっぱり殿か・・と思い 言葉も出ずに立ちすくんでいますと
、
忠宗 「愚かなる主君を持ったのは、 汝の不運よ、恨め、憎め
、ふっふっふっふ、
そして、背け」
新兵衛「 殿・・
」
忠宗 「 うるさい
」
と言い忠宗は去って行きます。
新兵衛が、忠宗公はどうしたことか、百合江を連れ去ったのもどうしてか・・どうしたらよいのかと 呆然としているところへ
、文之進がやって来て、百合江はどうしたと問われますが、 新兵衛は何とも言えない状態でいます
。
そこへ、 早乙女が笑いながら
近づいてきます。
文之進「名乗れ」
早乙女「直参旗本早乙女主水之介」
文之進が、旗本が何ゆえあってこのようなところにいるのだと
聞くと、別にいわくあってのことではないが、「図らずも伊達公の御乱行を目にいたし・・」と早乙女が言うと
新兵衛「申すな、 あれは殿ではない
。根も葉もないことを口にいたすと、そのまま
には捨て置かんぞ」
早乙女「なるほどの、主君のために弁ずる心根のほどはししょうだが、ただし、
人の口には戸は立てられまい」
新兵衛「 なれば、どうあっても
」
早乙女「残念ながら、お言葉には副いかねる。これこそは、掛け替えのない江戸へ
のみやげ」
その言葉を聞いて、新兵衛が早乙女に斬りかかっていきます。
(
)
早乙女「それほどに、 そなた、殿がだいじか
」
新兵衛「 言うまでもない
」
早乙女「そうか・・・なればこの早乙女、 今夜のことだけはきっ
ぱりと忘れ
すてよう」
と言い、 新兵衛を払いのけ
、そして「 浪乃殿によろしく
」と言って去って行きます。
新兵衛も文之進も唖然とします。
続きます。
水戸黄門・・・(6) 2023年11月28日
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