若さまというあだ名の侍がいる
月美香の心くばりで、部屋を貸してもらった若さまはおちかと話を始めます。見ず知らずの異国の芸人までが、おちかのことを心配してくれている心を無にしてはいけない、とおちかに言いきかせて、確信に触れます。
若さま「こんなことをたずねるのは罪なことかも知れんが、 鈴木采女はお前が目当
てだったのか
」
聞かれたおちかは、若さまにこういい出します・・・役人なら何をしても良いのでしょうか、町人は何でもいうことを聞き騙され踏みにじられ消えてゆくものなのでしょうか。ただ鈴木様に父が私のことをお断りしただけで、いいがかりで父を殺しお店を潰した。御用商人は、 女のことまでその取引の中に書かなければ
、 鈴木様の御用がいただけない
のでしょうか、・・・と若さまに話したのです。若さまはおちかのいったあることが引っかかります。
若さま「 取引の中に
」
おちかはその話を聞いたことを話し始めます・・・鈴木様を刺そうと、鈴木様と唐金屋の話を聞いていた、唐金屋は琉球一座の太夫をおちかの代わりに鈴木様に差し出すのだ、とそして、母や店の者の島流しを許すからといい私を・・・、と。
若さまが「鈴木は唐金屋と その取引を済ませたのか
」と聞くと、明日取引をするようだといいます。
おちかの話すことを聞いていた若さまは、
若さま「 お前のその気持ちはよく分かる
。頼む役人も取り上げてくれないとき、 人
間誰でもそんな気持ちになるもんだ
」
しかし・・・と、若さまはおちかにこういいます。
若さま「だがいま、お前が 鈴木を狙っても無駄だ
」
若さまは、万一鈴木を倒すことが出来たとしても、誰も救われないというのです。
若さま「お前はいま、鈴木を刺そうとした。・・・その覚悟があるならば、 何故
、 鈴木の不正をつきとめない
。父の恨みをはらそうと考えない。・・ 身を捨てて
、 その取引の証拠を奪うのだ
」
「私、 そのようなことが
・・・」というおちかに、すぐさま若さまは「 出来るとも
」と言います。
若さま「やろうとさえ思えば、 お前ひとりではないぞ
」
おちかが若さまの顔を見ますと、
若さま「 味方がいるではないか
」
おちか「 あなた様が
」
若さま「誰もいなかったなら、 私がなろう
」
おちかはうれしいという表情をしたあと、「でも」といいなぜか悲しい顔を見せます。その様子を見た若さまは、おちかにあのときのことを話すのです。
若さま「お前の父親が死んだとき、通りすがりの侍が、 番頭に言づけたはず
だ。
『 けっして力を落すな
』と」
おちかは、あのとき、番頭から聞いたことを忘れてはいませんでした。おちかは若さまを信用して頼る気持ちになったようです。
「島流しまで、二日や三日の暇がある。それまで 気を静めて
、 父の位牌の前へ
座ってやれ、力を落してる 母を抱いて座ってやれ
。うーん ⤴
あはは
」
立ち上がった若さまに
「その覚悟がついたら、 深川に来るがいい
」と言われたおちかは「深川 ?
」と明るい顔で聞くのです。
若さま「喜仙という船宿に、 若さまというあだ名の侍がいる
。 お前と同じように、
いつでも身を捨ててやる男だ
。わかったな」
そういって若さまは部屋を出て行きます。
廊下で、鈴木に太夫をという話を聞いてしまった月美香の心境も複雑のようです。
唐金屋に御公儀御用問屋の看板が掲げられました。
続きます
。
🎬
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若さま侍捕物帖・・・(9) 2024年10月19日
若さま侍捕物帖・・・(8) 2024年10月13日
若さま侍捕物帖・・・(7) 2024年10月05日
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