“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2006.03.24
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今、急速な外食や中食の普及などで、成人の4人に1人が成人病予備軍と言われています。糖尿病予防はもはや国家的な課題と言えます。しかし、ゴルフ場を含め、これらを前面に出すことは「暗い」とか「営業上向かない」という先入観がある。しかし、この先入観は単なる思い込みだ。今回は、固定客を身につけるための健康メニューの取り組みについてお話しよう。

 まず、最初に申し上げたい。今は流行している健康メニューの売り方は、目先のまやかしが多く、耐震偽装、ホリエモン問題でゆれる昨今、この手のやり方では、JAS表示規定が大きく変わる今年の秋すぎに、BSEで衰退した焼肉屋や牛丼屋のようになるでしょう。
しかしながら、2007年問題といわれるように、これから急速な高齢化を迎える日本。高齢化にむけて顧客に合わせたプログラム考えておくことも非常に重要です。
実際この取り組み自体あなたのレストランに多くの固定客をもたらし、お客様が激増している店が増え始めました。今回は、健康メニューの取り組み方を講義しましょう。
 健康メニューの取り組む場合、ふたつポイントがあります。ひとつは、健康に対応する食事の知識です。今、どんな問題があり、どのようなメニューを提供すべきなのか?
もう一点が売り方です。
日本では5年に1度、糖尿病の実態調査が行われています。静かに、そして確実に糖尿病はまん延しています。アメリカ疾病予防センターの発表によれば、アメリカでは1990年から1999年の10年間に40%も糖尿病者が増加し、人口比でみると、1990年では4.9%の糖尿病患者が、1999年には6.9%に上昇しました。
平成14年の糖尿病実態調査(厚生労働省)によれば、実に60歳以上の男子で3人に1人、女性で4人に1人が糖尿病と呼ばれています。
肉体労働が減って食生活が豊かになると、どこの国でも糖尿病予備軍が増えつづけます。外食、中食が発達した今日、栄養のバランスを欠いた食事を重ねた結果、実に成人の4人に1人が糖尿病予備軍といわれているのです。

 なぜなら、2001年アメリカで発表された『糖尿病予防プログラム』によれば、生活習慣改善と血糖降下剤と、どちらがより有効に糖尿病を予防できるかを調査した結果、体重を5%~7%減らして1日30分の速歩ウォーキングを実行すると、糖尿病の発症を58%も減らせることが分ったというのです。
ゴルフ場はプレイをして適度なカロリーの消費があるわけですから、レストランで予備軍においしくて、お客様の健康に寄与するメニューを提供し、浸透させればそれなりに固定客を作れるのです。
生活習慣病としての糖尿病の原因のひとつに、食事から摂取するエネルギーと消費するエネルギーの出納のバランスが取れていないことがあげられます。
わかりやすくいえば、糖尿病を予防するには、エネルギーの収支のバランスをとればいいのです。
まず、おききします。身長が165センチの日本人の標準的な男性の一日の必要エネルギー量をご存知ですか?
一日の必要エネルギー量は身長に比例し、身長が165センチの男性の場合、実は約1800キロカロリーくらいなのです。これがどれくらいかぴんとこないかもしれないので、具体的に見ると例えば、デニーズのホームページで発表のメニューをみてみましょう。    
「デニーズ・ブレックファースト(フレッシュジュース付)」で902キロカロリー、「じっくり煮込んだ贅沢ビーフカレー」で907キロカロリー、「コンビネーションランチ」で1117キロカロリー、「ご飯セット」で391キロカロリーです。
わたしは、身長が結構ありますが、それでも、2200キロカロリーなので、私ですら外食を一日に三回すると、エネルギーがオーバーになってしまうのです。これが永年つもり積もって、糖尿病となっていくのです。
では、これらをふまえて、これからの健康メニューのポイントをみましょう。
まず、量感を減らさず、エネルギー量を少なくおさえることが重要です。
だいたいの目安を500キロカロリー前後にすることが理想です。

以前もお話しましたように、人間が満腹感を感じるのはいろいろな要素が組み合わさりますが、主に、胃袋の充足度(満たん度)、塩分、糖分、食事時間でしたね。この中で利用するべきなのが、胃袋の充足度です。
胃の充足感を高めるメニュー作りのポイントは野菜を多く使うことです。野菜を多く取り入れると、食事そのものの総カロリーを減らすことができます。
野菜は、食門繊維やビタミンやミネラルという体に必要な微量元素を多く取れるというだけでなく、食事そのものの総エネルギー摂取量を押さえてくれるのです。
 さて、野菜をメニューに取り入れる時に気をつけてほしいことがあります。
野菜と言うと生の野菜、すなわちサラダを考えますが、生のままですと、食材そのものにかさが出てしまうので、量を取れません。必ず、お浸し、温野菜など加熱をして提供してください。加熱することで、かさを減らし食物繊維を多く取れます。最近、グリル野菜のサラダが人気ですが、野菜のかさを減らしている理想的なメニューと言えます。

ちなみに、茹でた野菜なら、一食あたり片手いっぱいくらいが目安となります。
この量を提供すれば、商品の見栄えを損なわす500キロカロリーに押さえられます。
 油をなるべく使わない。これが二番目のポイントです。栄養学にはアット・ウォーター係数というのがあって、糖質、たんぱく質、脂肪を1グラムずつ取るとエネルギー摂取量はおおまかに、それぞれ、4キロカロリー、4キロカロリー、9キロカロリーとなるといった係数です。脂肪は、少ない量で倍のカロリーを摂取してしまい、せっかく野菜をとっても、エネルギーが多くなりすぎてしまって逆効果になってしまうのです。
健康ブームでオリーブオイルがいいと言われますが、油は取りすぎには注意しないといけません。アメリカの外食では、ここ10年で油を使ったメニューが激減しています。
 そして、魚、肉、玉子、豆腐は、一品、またはすこしずつにしなくてはいけません。
そのためにおいしくお客様に食事していただくには、だしをしっかりとらないといけません。化学調味料はナトリウムの摂取をしすぎるリスクがあるので、なるべく天然のものを使い、塩化ナトリウム純度の低い海塩を使うようにしてください。
 最後に、ご飯の盛りを150グラムくらいにした盛りをセットすることです。
ライスを少なくした、野菜の多いメニューは、固定客をつけ、次第に売上増に結びつきます。
 ただし、注意したいことがあります。それが二番目のポイントの売り方です。
これらのメニューは自然に売れるようになりますので、基本的には糖尿病対応などとかかず、カロリー表示をして自然な売り方に注意してください。これが、売れる売り方の基本です。実は500キロカロリー前後の食事は女性にとってはジャストサイズで、自然に売れるようになります。また、500キロカロリー前後の表示で、野菜が多く彩りよいメニューはお客様に誇大な表現をしなくても、それなりに販売に結びつき、確実にお客様を固定客にするのです。
 高齢化の波はすぐそばです。そして、糖尿病時代もすぐそばです。かくれた鉱脈を取り込めば、あなたの店は、行列のできる店にできるのです。






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Last updated  2006.03.24 05:37:32
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