あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

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2007年07月11日
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カテゴリ:
※はじめに



仕事を終えて、家路を急ぐ途中での出来事
少しでも早く帰りたいがために、アクセルを踏み込んで、銀座の地下道を走行していた
いつもは渋滞している道も、時間帯が遅いせいか車の流れはスムーズ
左車線を走行中、自分の前を走っていた車が突然、右へ左へと蛇行運転を繰り返した
何事だろうか?
と、怪訝に思っていると、前の車が走り去った道路上で何かが動いているのが見えた
目を凝らして見ると、それは一匹の猫だった
おそらく轢かれたのだろう
苦痛にもがいているのか、道路の中央で身体を仰け反らせて激しく跳ね返っている


“イーハトーヴォ日高見”より
現場を走り去ったあとも、自分の目には、今さっき見た猫の姿が鮮烈に焼きついていて離れなかった
それどころか、その光景がキッカケで、自分の記憶の引き出しから、忌まわしい残像がフラッシュバックで過去から甦ってきた
その忌まわしい光景とは、今から数えること十数年前…
自宅の玄関先で、目の前で猫が車に轢かれるのを目撃したことである
残酷なことにその猫は頭部の部分だけ轢かれて、最期の声を振り絞るように、空気を切り裂くような悲痛な鳴き声をあげ、まるでゴム毬のように何度も何度も体を大きく跳ね返らせていた
目の前で繰り広げられた光景はあまりにもショッキングなもので、決して忘れることなどなく、自分の脳裏に深く刻み込まれた

今さっき見た光景が、過去の光景と交錯する
悲惨な最期を遂げようとする過去と現在の二匹の猫の姿が、重なり合う
運転しながら他の事を考えようとしても、その光景が頭から決して離れることはなかった
次第に、気持ちは沈みはじめ、なにかどす黒いものが自分の身体の中を支配し始めていた
呼吸のペースも乱れてきた

なんともいいようがない苦い夜…

自分のなかで、二匹の猫はもがき苦しんでいる
それは、不慮の出来事に巻き込まれた無念、悲痛を訴えているよう
永遠に繰り返される光景
これから先もずっと、決して忘れることはできないだろう
記憶の引き出しに、また一つ悲しい出来事が仕舞いこまれた


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最終更新日  2007年07月19日 07時59分21秒
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