あゝ平凡なる我が人生に幸あれ

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2007年12月09日
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カテゴリ:
横浜で一度訪れてみたかったところ
三渓園 である
三渓園は、正糸貿易で財をなした横浜の実業家・原三渓の元邸宅
原氏は、京都や鎌倉などから歴史的に価値のある建築物を移築し、明治39年に“三渓園”として一般に公開したもので、 約53000坪という広大な園内 には、10棟の重要文化財を含む17棟の古建築物が、四季折々の自然の景観の中にたくみに配置されている日本庭園で、 2006年11月には、国の名勝に指定 された
(三渓園パンフレットより)

閑静な住宅街を抜けると、三渓園はあった

そんなに景観が素晴らしいのだろうか?
ちょっと期待が膨らむ
そろそろ開園時間という頃になると、駐車場に車を滑り込ませた
時間に関わらず駐車料金が500円というのはありがたい
これなら駐車料金を気にせずに、ゆっくりと園内を散策することができる
入園料は通常、大人ひとり500円だそうなのだが、12月3日(月)~16日(日)までの期間中は、紅葉が身頃を迎える時期だからこそと、1年間のご愛顧をこめて入園料が300円になっているのだという
ちょっぴり得した気分です

三渓園~三重塔と大池
園内を入るとすぐに、左手に大池と呼ばれる大きな池が見えた
木々は緑や赤、黄色、茶色といった秋色に染まっていて、その後方には、 関東地方では最古の塔 である、旧燈明寺三重塔が聳え立っている姿が見える
自分の眼の前には、まるで日本画のような、時代劇に出てくるワンシーンのような光景が広がっていた


園内の案内板に目を向けると、そのあまりにも広大な敷地ゆえにどこからどう回っていいのか分からなかったので、なんとなしに人の流れに沿って歩いていく
自然と足は、昭和33年の公開まで、原家の私庭であった内苑へと向いていた
いやはや、それにしても見事な庭園ですなぁ
ついつい、紅葉や歴史ある建物に目を奪われがちだが、ムラサキシキブや山茶花、寒椿といった花たちもひっそりと秋の景色に華を添えている
ちょっと視線を下に向けてみれば、水仙も葉を伸ばしていた

銀杏の絨毯燃える秋

肝心の紅葉はというと、大部分のモミジやカエデといった赤い葉はすでに見頃は過ぎてしまったのか、誰からも見向きされることなく、赤黒くなった葉は今か今かと落葉する瞬間を待っているかのよう
またそれも、哀愁を漂わせていて味があるが、どうせなら、燃えるような赤々としたモミジを見たかったというのは、無いものねだりというものだろうか
その替わりといってはなんだが、今は銀杏がちょうど見頃を迎えていた
黄金色に見紛うほどのイチョウの葉は、銀杏の木々のみならず、舞い散った葉は地面一面をも覆いつくし、眩いばかりの黄金色の世界をつくりだしていた
もう、言葉なんていらない
ただただ息を呑むだけの美しい景色 である
イチョウは輝き モミジは燃える
秋といえば、どことなく儚さを感じるのだが、こうも極彩色な紅葉が織り成す秋の景色は、まさに豪華絢爛な絵巻模様
自然が紡ぎだす秋色の魔術にすっかり魅せられてしまった

三渓園~月華殿内苑の園内には、いたるところに古建築物がある
その多くが 重要文化財 というだけあって、建物に歴史の重みを感じる
それらは、晩秋に染まる木々たちの景観と相まって、なんともいえない雰囲気を醸し出していた
そんな景色を眼の前にしていると、移りゆく日本の四季に生きることの悦びを感じ、築き上げられてきた歴史にちょっぴり厳かな気分になったりするのであった
古建築物には興味はないのだが、数ある建物のなかでもちょっと気になったのが、 月華殿 という建物
月華殿は、 徳川家康が慶長8年(1603)に京都伏見城内に建て、諸大名の伺候の際の控え所に当てたもの とされているそう
いくら歴史に疎い自分でも、徳川家康という名は存じ上げているので、その時代の建物を今こうして自分が目にしているという事実に、なんともいえない不思議な感覚を抱くのだった

それにしても、これだけの見事な景観だから、その景色をカメラに収めようと、カメラ片手に散策している人がとても多い
それも、自分のようなデジカメではなく、本格的なカメラを持った方たちばかり
なかでも、 元和9年(1623)に徳川家光が将軍職受任のため上洛した折、二条城内に建てられ、のちに乳母の春日局が所持したという建物 である 聴秋閣 のあたりは、よほど撮影スポットなのか大勢の人が美しい被写体の構図を収めようと、こぞって場所取りをしていた
三渓園~聴秋閣
さすがは 三渓園内でも随一の紅葉スポット というだけあって、赤や黄色といった紅葉たちは実に見事で、それはそれは絵になる風景だった
細く急な斜面に設けられた遊歩道には、大勢の人たちが三脚を広げ撮影している
折角秋色に染められて良い気分で散策しているのに、ちょっとここで一言毒を吐かせてもらうと、三脚を広げられると、歩くのに邪魔で邪魔でしかたない
どれだけ良い写真を撮りたいのか知らないが、ちょっと我が物顔すぎやしない?
なんだか散策している人たち、カメラで撮影している人を邪魔しちゃいけないと思って、気兼ねしながら回っているじゃん!
己だけの景色じゃないんだから、もうちょっと気ィ使えや!
って思った
そんな不快な気持ちも、美しい景色の前では、ほんのひと時のことだけであった

紅葉暖簾入口に置いてあった三渓園のチラシには、 “横浜・古都色の秋” と題されていたが、起伏に富んだ地形を生かし、紅葉と歴史ある建物の風景が織り成す景色は実に見事で、ほんと 古都に迷い込んだような気分 にさせてくれた
もうちょっとした、古都一人旅状態
いつまでも、その古都の情景に身を置いていたかったのだが、まだまだ園内には見所が沢山ありそうなので、後ろ髪をひかれる思いで、内苑をあとにした







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最終更新日  2007年12月14日 17時15分27秒
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