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Jul 27, 2011

「アートアワードトーキョー丸の内2011」の審査に大いに疑問あり　　わたしに言わせれば審査員の目は節穴だ

テーマ：美術館・展覧会・ギャラリー(8459)

カテゴリ：美術館・画廊メモ

（参照：平成22年5月29日ブログ
「アートアワードトーキョー丸の内2010」の審査結果に異議あり）

一次審査を通過して行幸（みゆき）地下ギャラリーに展示された30作に15の賞が与えられているが、受賞作のほとんどに疑問符がつく。

単に「奇をてらっている」ことを評価の尺度にしていないか。
自分勝手で退屈なビデオ作品や、たらっとして緊張感のない油画に賞を与えていては、アートアワードには権威のかけらも残るまい。

唯一納得できたのは、審査員以外の一般観客投票によるオーディエンス賞。
桑田朋以 （ともい）さん（東京藝術大）の少女の陶磁彫像。
からだのおもてにこころの孔。
仕事も丁寧だ。

＊

上位賞をとった作品には、美というものがない。カネをもらっても自室に飾りたいとは思わないね。

グランプリをとったのは、12枚の油画と多数の土産モノふうの自作小物を展示したもの。量からいって、1作というより１つの個展の分量がある。
準グランプリ＋フランス大使館賞の作も、油画7点＋ヒビ割れさせた鏡面で、これまた1個展の分量だ。

その一方で、絵1枚で勝負させられている作家も多数あるわけでね。
いったい、ショバのルールはどうなってるんだ！？

＊

わたしなら誰に賞を与えるか。

泉幸男が決めたグランプリは、 大久保如彌 （なおみ）さんだ。武蔵野美大の院・油絵修了の作家。

淡いステンドグラスのように美しい画面。シャイな少女の存在が、それをとりまくモノたちのつぶやきを引き出す。
現代米国の油画のいいところを吸収している。

わたしは平成23年3月10日に Gallery MoMo Roppongi で別の作品を見て、どんどん伸びる作家だという印象をもっていたが、今回の丸の内の展示であらためてそれを実感した。

準グランプリを差し上げたいのが3名。

清原亮 （りょう）さん（東京造形大）は、カンバスに指跡のような樹脂の輪を規則的に並べた。その色の変化（へんげ）。
≪絵画はメディアである一方で、工藝品としても存在しており…≫ と作家の辯（べん）にあるが、工藝の美しさに片足をかけることで、絵の存在自体がおもしろくなった。

桐月沙樹 （きりづき・さき）さん（京都市立藝術大）は、木版画の新境地を開拓している。
うごめき踊るキャラたち、黄とグレーと黒の配合もうつくしい。

町田沙弥香 さん（東京藝大）は、冥界の波をモチーフにしている。
油画は近頃ありがちな作品だが、オブジェにはひたひたと寄る波のうごきがこめられていて、今後の展開が楽しみだ。

あと、この方はすでに広く認められている実力派だが、 菅亮平 （かん・りょうへい）さんのミニチュアジオラマに取材したモノクロリアリズム作品も、展示30作品のなかにあって別格の趣きがある。

大久保如彌、清原亮、桐月沙樹、町田沙弥香、菅亮平の5氏は皆、受賞していない。
つくづく、アートアワードトーキョー丸の内の審査員の目は、揃いもそろって節穴だ。

（展示は7月31日まで、東京駅中央口から皇居へ抜ける行幸（ぎょうこう）通りの地下の「行幸地下ギャラリー」で）

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