心で把握(観心)されるべき宇宙の根本原理である本尊(久遠実成の釈迦如来)は、「妙法蓮華経」の題目として表現され、全宇宙(三千世界)は個人の観念(一念)と融合し、そのことによって森羅万象は支えられ、三千世界と一念は全く一体である。
『法華経』には末法の第五の五百歳(末法の世に入ってから二千五百年後)に久遠実成の釈迦如来が出現し、仏国土(仏が治める理想の世界)を建設するために邁進する無数の菩薩が出現すると説かれている。
だから、根本原理(本尊。久遠実成の釈迦如来)の表れである「妙法蓮華経」を口にとなえる(南無妙法蓮華経)ことによって、全宇宙と個人のありのままの姿を感得し、仏の世界に帰入することができると説く。
仏の深遠な悟りの智慧(仏知見)は衆生(すべての人々)の心の中に具わっているのであり、それを開かせて(認識させて)くれるのが本尊(久遠実成の釈迦如来)なのである。
そして日蓮は、本尊が仏知見を開かせてくれる際に最も重要なのが、「南無妙法蓮華経」の題目をとなえることだという。
題目によって「観心」と「本尊」が一つになり(合一し)、悟りが達成される。
観心と本尊の合一は南無妙法蓮華経の題目をとなえることによってのみ実現されるというのである。
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