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ボタンクサギ:クラマツヅラ科 クサギ属、落葉低木、原産 中国、花言葉「運命」「治療」難聴の原因は伝音性難聴(外耳から中耳までの障害)、感音性難聴(内耳から中枢までの障害)、両者が混合した混合性難聴の3つに分けられる。高齢になると殆どの人が大なり小なり耳が遠くなる。そして歳だからと諦めている場合が多い。先週入院した86歳の男性は、耳が殆ど聞こえなくて必要な時は筆談で情報交換していた。どういう事情か知らないが入浴は1年間もしていなかったとのことで、入院後風呂に入れてやったら垢が山のようにとれたという。それなら耳の中も汚れているだろうと思って昨日耳鼻科を受診したら、両方とも耳垢で詰まっており、片方はこびりついていて完全にとれなかったので、昨日と今日耳の中に洗浄液を入れて耳垢を溶かして明日再診することになったが、片方は耳垢をかなり取り除いて貰った。その結果信じられないことが起こった。筆談用のメモ用紙がいらなくなったのである。普通に会話できるようになったのだ。奇跡だと思った。93歳の難聴の男性患者も、もしかしたら同じかもし知れないと思って耳鼻科受診依頼したところ、ほぼ同様結果で、受診後は話が通じるようになった。高齢者は難聴は仕方ないと決め付けてはならないと思う。感音性難聴なら補聴器しか打つ手は無いかも知れないが、簡単に治る伝音性難聴の人も多いのではないかと思った。ご家族で耳の遠いお年寄りを抱えておられる方はまず第一に懐中電灯で耳の中を覗いてみてもらいたい。耳垢が詰まっていたら、自分で取ってやるか耳鼻科につれていってもらいたい。今回、昨日耳鼻科受診した難聴患者二人とも耳が聞こえるようになったので、貴家のお年寄りも耳垢による難聴の可能性がおおいにあると思う。耳垢に注意を向けてもらいたい。
2008.07.31
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マザーテレサ13歳の時(向かって左)、右は姉のエイジマザーテレサ(1910-1997)は恐らく世界で最も尊敬されている人物の一人だと思う。カルカッタの貧民街で、宗派を超えて貧乏人や病者の為に自分の全てを捧げつくした人として、世界中の指導者が面会したかった人であり、1979年には全会一致でノーベル平和賞を受賞しており、アメリカの名誉市民にも選ばれている。彼女の言葉に、「この世で最大の不幸は戦争や貧困などではなく、それによってもたらされる自分は誰からも必要とされていないと感ずること」がある。最近無差別殺傷や凶悪犯罪が頻発しているが、それは殆どが自分は誰からも(父、母や友人と限定されている場合もあるが)大事に思われていないという思い込みからの自暴自棄の行動である。そのような人に対する真心の手が差し伸べられていないことが悲惨な社会現象を巻き起こしているのかもしれない。彼女は日本に3回きているが、1981年4月の初来日の時は当時まだ貧困の極みにあったインドに言及し「日本人はインドのことよりも日本の中で貧しい人々への配慮を優先して考えるべきです。愛はまず手近な所から始まります」のメッセージを残してくれた。自分に出来ないことを彼女は勇気をもって実践してくれたと世界中からの尊敬を集めていた彼女に対し、1990年に心臓病で倒れた時、「神の愛の宣教者会」の後継者が決まらず引き続き自分が会長に留まったことを契機に、「彼女は権力にしがみついている。マスコミに上手に取り入り、金と権力と名誉欲の塊の偽善者だ」との批判が湧き上がった。自分の信念を貫くために、言い争いをしたり、出版差し止めなどの権限を振り回したこともあったかも知れない。敵もいたと思う。そういう人達が中心になっての悪口だったと思うが、その人の一面ではなく、その人の本質を見てもらいたい。批判する人は批判しろ、彼女の医学的処置法を批判する人もいるが、表面に現れた一部のことだけでなく、その人全体の人間性をみてもらいたい。どんなに批判の嵐が巻き起ころうが私は彼女を心から尊敬する。
2008.07.30
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最近は鼻から入れる内視鏡を希望する人が増えて、右か左かどちらの鼻腔が広いか懐中電灯で調べて広そうな側を選んで内視鏡を挿入している。鼻中隔は真っすぐな人は少なく、大なり小なり曲がっているので、最初に確認する訳だが、広いと思って選んだのに中々狭くて入らないこともある。懐中電灯で確認すると鼻毛の多い人と少ない人がいる。一般に女性は殆ど鼻毛が無くて大変見易い。男性でも鼻毛が多くて困る人は少なく、判定が難しい人は少ない。これは私の鼻毛だが、もう完全に白髪である。今朝鋏で切った後なのでこのように見えるが、何時もすごく沢山で奥が見えない。殆ど毎週切らないと伸びてしまう。みんなそうなのかと思ったら女性では殆ど切ったことがないという人が多い。男性でもたまに切る人はいるが、殆ど毎週切る人はあまりいない。高校の頃、同級生から「鼻毛など切ったことはないよ」と言われて驚いたことがある。私は頭の毛は薄いのに鼻毛だけ濃いわけだが、反対だったらよかったのにと思う。頭髪も鼻毛も個人差があり、濃い人もあれば薄い人もいる。鼻から入れる内視鏡を希望する人は当日鼻毛を切ってきてもらいたいと思う。しかし実際には私みたいに濃い人は殆どいないので、そのことはあまり気にしなくてよいかもしれない。私みたいに毎週切るような人は鼻から入れる内視鏡を選択する予定の朝は必ず切ってきてもらいたい。
2008.07.29
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キキョウ:キキョウ科 キキョウ属、多年草、原産、日本、朝鮮半島、中国、花言葉「優しい愛情」「誠実」「変わらぬ愛」今日アピオで行われた歌謡祭に出演してきた。出番を待って舞台のソデにいる時は緊張して咽喉がからからになった。私の前で順番を待っていた女性も同じだったと見えて、舞台脇の台に乗っていた誰の飲みかけか分からないお茶のペットボトルを指差して、「あれ飲んでいいかしら」と私に聞いてきた。無責任にも私は「いいと思いますよ」と答えたら彼女、それを口に含んでうがいしてそれを飲み込んだ。そしてそれを元の所においた。きっとその後も何人もの人が同じように飲むのではないかと思った。いよいよ私の順番がきた。最初は緊張して硬かったが、2番になったら少し落ち着いてきたので、家内にもいいところをみせようと思って思い切り大声で歌ってきた。まあまあだったかなと思ったら、家内から「2番になったら力みすぎて歌詞がはっきりしなかったし、曲にも遅れていた」と言われてがっかりしてしまった。緊張し過ぎてもいけないが、いい気になって調子に乗りすぎても失敗するものだなと思った。
2008.07.27
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キンケイギク:キク科 ハルシャギク属、北アメリカ原産、花言葉「燃える思い」口臭がある人はほぼ4人に一人いるとのことだが、他人に指摘されなければ自分では気がついていない。メディカル・トリビューン紙7月24日号でスイス チューリッヒ大学歯科・口腔顎治療センターのトーマス・イムフェルド教授の「口臭の原因の90%は口腔内にある」との論文を紹介している。口臭は口腔或いは扁桃に起因するものと口腔外つまり鼻、肺、気管支、消化器に起因するものに分けられる。教授らの研究によると、90%は口腔に起因するものだという。主な発生源は食物残渣や舌苔が堆積する舌背と歯周炎とのことだ。口臭がある人は歯科を受診して物理的、薬物的に悪臭の原因である微生物を取り除いてもらう必要があると述べている。患者自身も徹底的な歯磨きだけでなく、毎日舌用のへらを使って舌苔を取り除く必要があるとのことである。歯磨き粉、口内洗浄液、トローチ、チュウインガムに含まれる消毒剤も洗浄に役立ち、口臭予防に効果あると述べている。他人に不快な感じを与えているのに肝腎の自分には自覚できないのがつらいところで、実際に口臭対策をしている人は少ないように思う。90%は口腔内が原因で自分で防げる口臭とのことなので、対策を立て易くなったと言えよう。今回の研究では10%位で少ないと言われた口腔以外の原因として胃のなかのピロリ菌感染もあると思う。ピロリ菌を退治したら口臭がなくなったという人がいた。気管支拡張症や肝硬変などでも悪臭がすることがある。これらについてはそれぞれの専門科を受診してもらいたい。いずれにしても自分に分からないだけに口臭に無関心な人が多い。エチケットとして自分に口臭があるなしに関わらず、絶えず口腔内を清潔にしておく習慣をつけてもらいたい。
2008.07.26
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今夜は病院の当直である。私はたまにしか当直にあたらないが、当直となるとやはり緊張する。前回当直の時は平安だったので、今回もそうかなと思っていたら、今回は色々なことが起こりつつある。まず日中、炎天下で建築の土台作りに穴の中に入って仕事してきた人がだるいと言ってやってきた。熱中症で脱水症状だったので点滴してやった。元気になり、歩いてすたすた帰っていった。ほぼ同じ時間に自殺者が運び込まれ、検死した。家族の悲しむ姿に接するのは耐え難かった。やはり同じ時間に86歳の男性が家族に連れられてきた。やせ細り衰弱が著明で、死の一歩手前の状況だった。子供達と一緒に暮らしているが、別棟で、80歳の奥さんと暮らしており、今日ごはんを食べさせてもらったかどうかは分からないという。ベッドは空いてる所はHCUの部屋に一つしかないとのことだったが、無理を言って入院させてもらった。医者の仕事は、当直していても何もないこともあり、こんなことでいいのか?と思うこともあるが、忙しい時は忙しさが重なってくる。そんな時はやりがいがあるが、それが過ぎると疲労困憊する。何の仕事でもそうだが、忙しい時は重なり、忙しくない時は暇が続く。平均して平等に仕事があればいいと思うが、なかなか思うようにいかないものである。
2008.07.25
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果実を持つ女(ポール・ゴーギャン)やっと「月と六ペンス」を読み終えた。「月と六ペンス」はサマーセット・モーム(1874-1965)が1919年に出版した小説で、発売後直ちにアメリカ、イギリスでベストセラーになり、モームの名を世界に知らせるきっかけになった本である。画家ポール・ゴーギャン(1848-1903)をモデルにした作品と言われているが、主人公ストリックランドは小説上の人物で、ゴーギャンその人ではない。しかし読む人誰でも「これはゴーギャンのことを書いているな」と思う。ストリックランドは特異な性格で平気で奥さん子供を捨てたり、友人を裏切ったりする男である。自分勝手で何を考えているのか分からない人間として描かれており、よくゴーギャンの家族や関係者から名誉毀損で訴えられなかったなと思った。プライバシーがうるさい現今では到底許されなかったと考えられるが、当時はまだそれほどプライバシーが言われておらず、このような作品も許されたのだなと思った。芸術至上主義の男ストリックランドの後半生を克明に描いており、晩年タヒチで多くの傑作を残し、自分の家の壁一面にこの世のものともあの世のものとも思われないすごい作品を残して死んでいくが、死後それは遺言によって、現地妻アタによて家ごと燃やされてしまう。モームは何を言いたかったのであろうか?およそ67年前に本書を翻訳した中野好夫氏は、「モームの作品は、一切の通俗性という皮を剥ぎ取った最後に人間の不可解性という核にぶっつかる。いわば永遠の謎として人間の魂を描くこと、それが彼の唯一の主題であると言ってよい」と述べている。本書では、ストリックランドおよびそれを取り巻く人達の様々な人生がドラマチックに描かれている。「人間というものは不可解だが、その不可解の中に本当の魂というものはきっとあるはずだ」と必死でそれを探しているモームの姿を見たような気がした。通俗小説だが大変面白く、人生を色々考えさせてくれた良い本だったと思う。
2008.07.24
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タヒチの女前回、画家ストリックランドを病気の時に自分の家に泊めて看病してやったことにより、友人であり、ストリックランドの絵を高く評価していたストリーブの幸せな家庭はメチャメチャになり、ストリーブの奥さんはストリックランドの許に走り、結局3ヶ月後には彼女は自殺して病院に運びこまれて今でも愛している元の夫のストリーブが悲嘆にくれている所まで書いたが、結局彼女は死んでしまった。二人の共通の友人である「私」はストリックランドを到底許すことは出来ないと思っていたが、ある時街で出合って彼女が自殺したことを話した。すると彼は「あの女が死んだのは私に捨てられたからではない、物事が分からずバランス感覚もないバカな人間だから自殺したのだ。つまらない女だったよ」と友人から奥さんを奪ったことも、奪っておきながら、彼女をモデルにした裸婦像が完成したらもう用済みとして相手にもしなくて、彼女を自殺に追いやったことにも自責の気持ちはサラサラないと言い放った。後にストリックランドはタヒチに渡り、多くの名作を残して、死後は絵の値段が何千万、何億円にもなるが当時は全くの貧乏暮らしで、タヒチでは現地の若い女性と結婚して、生活の面倒を見てもらいながら絵を描く生活をして、最後は病気で亡くなっていくが、遂に生前はその絵の価値は認められなかった。死後は大天才として世界中でもてはやされているが、彼女を自殺に追いやってもなんの反省もない人とその作品は別物とは考えられない。芸術家とはそういうものなのだろうか?そういう芸術家もいるということなのだと思う。そのような男に引かれた彼女がバカだったのかもしれない。芸術家の犠牲になった大変気の毒な夫婦の物語だと思った。
2008.07.23
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アメリカフヨウ(アメリカ芙蓉):アオイ科 ハイビスカス属、原産 アメリカアラバマ州花言葉「日ごとの美しさ」毎日みているが花言葉通り、毎日、日ごとに美しく咲いている。人間も日ごとに美しくなれればいいなあと思う。7月19日に内閣府から生涯学習に関する世論調査結果が発表された。内閣府調査は、全国から統計的に選ばれた数千人について、調査員が訪問して面接して調査した結果である。その結果は学問やスポーツなど生涯にわたって行う生涯学習について「今後してみたい」と答えた人は70.5%と初めて70%を超えたとのことである。3年前の前回調査に比べ6.5%上昇しており、生涯学習に対する意欲が高まっていることが明らかになったと報じている。そしてこの1年間にしたことがあると答えた人は47.2%で、実行に至るのは半数に届かなかった。調査対象の年齢層が書いてないが各年齢から平等に抽出した母集団が考えられ、国民の平均的傾向といえると思う。スポーツジムに通っている人、英会話や舞踊などを習っている人、サイクリングや山登りをしている人、ボランテア活動をしている人、ピアノやバイオリン、歌唱を習っている人など様々だと思うが、学習と言っても学校でいう勉強を連想する必要はないと思う。それが自分にとって楽しく、それを積み重ねていくことにより、自分の成長と社会貢献ができるものであれば何でも「実行している」と答えていいと思う。今、約半数の人が実行していると答えているが、中々の数字だと思った。さらに多くの人が何らかのことに挑戦してもらいたいと思った。
2008.07.21
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ランタナ(和名 七変化)クラマツズラ科 シチヘンゲ属 常緑小低木、中南米原産、花言葉「合意」「協力」「確かな計画性」綺麗な花が次から次に花の色を変えていくので七変化とも呼ばれる。家内が丹精こめて植えているのだが花の咲いていない時期には雑草のようなので、たまに子供たちが草取りとか花壇の模様替えなどを手伝ってくれると、雑草だと思って必ず抜かれてしまうとこぼしていたが、私が草取りをした時は意識してでなく、たまたまそれを取り残したら、家内から大変褒められた。「いつも抜かれてしまうのだが、よくぞ残してくれたわね」と言われた。「おれは知ってて残したたんだ」と自慢げに言ったが、実際にはカンナが届かなくて残しただけである。家内には内緒だ。その残した草木からこのように美しい花が咲いた。今日は山梨県農村医学会の役員会があった。ランタナの花言葉、合意、協力、確かな計画性にぴったりの話題だと思う。新会長に依田芳起氏が就任した。農村医学会総会は来年1月に開催することになった。特別講演は、90キロ以上の体重の方がメタボに挑戦して、それを克服した体験談を話してもらうのがいいとの合意が得られた。今後講師候補と交渉する。その講演と関連づけて、県下で最も多く健診業務を行っている健康管理センターの医師または保健師、その他の方に今年から始まった特定健診について、実際にどのように行われているか講演してもらい、今混乱している特定健診を分かり易く整理してもらうことになった。役員の一人から、薬の飲み方や、薬そのものの知識が足りない人が多い。管理薬剤師に薬の作用とか、薬の飲み方、飲んだり飲まなかったりしていいのかどうかなど、分かり易く講演してもらいたいとの要望が出され、その講師を選任することも決まった。農村医学会は医師だけでなく、医師以外の医療職、事務職、女性部など、どなたでも健康の維持、増進に関心のある方は入会できる開かれた学会である。学会が近くなったらまた詳しく紹介させて戴く予定なので、ふるってご参加頂きたいと思う。
2008.07.18
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クリサンセマム ホスマリエンゼ: キク科 耐寒常緑多年草、原産 モロッコ、花言葉「僅かな愛」最初の子供の笑顔は母親に麻酔効果をもたらし、至福感を与えるというアメリカベイラー医科大グループの研究が話題になっている。証拠に基づいたきちんとした論文らしいが、このことは遙か昔から分かっていて、育児書などにも書かれている。今回は統計学的に有意な証拠を示したということに過ぎない。実際には最初の子だけでなく全ての子供の笑顔に麻酔力がある。対象は母親だけでなく全ての人間といってよいと思う。子供の笑顔には不思議な力があり、全ての人間をとろかしてしまうのである。新生児はなんの武器も持っていない。身を守るすべとして笑顔が与えられれているのである。その笑顔によって、親や周りの人達に保護され、可愛がってもらえるようになっているのである。それがなければ、生れたばかりの無力な新生児は死んでしまうだろう。児童虐待は子供が、泣いたり、すねたりばかりしていて笑顔を示すチャンスがなく、親に麻酔がかからず、いらいらが高まり子供を虐めることになると考えられる。笑顔さえ向けておけば大人は麻酔にかかり、子供が可愛くてたまらず、大事大事に育ててくれる。反対の場合、つまり子供が泣いてばかりいて、笑顔を示さないとすれば、親たちは子供を憎たらしいと思い虐待する。育児の基本は子供が自由に感情表現が出来るように環境を整えることと考える。
2008.07.14
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エキナセア パープレア:キク科 宿根草、北アメリカ原産、花言葉「積極的」「月と六ペンス」のクライマックスだと思うが、病気の時家に迎い入れてやったストリックランドの許に走ったストリーブの奥さんが遂に毒を飲んで自殺した。そこにはストリックランドはいなかった。恐らく彼は女が自殺しようがしまいが俺には関係ないと思っているのだろう。病院に運ばれた彼女に対し、寝取られた夫であるストリーブはそれは心配しておろおろし、「お前を責めてはいない、帰ってきてくれとも言わない、望むことがあったら何でも言ってくれ」と伝えようとするが、彼女は会ってくれない。病院の医者は、「(自殺は)要するに相手の同情とか恐怖とかを刺激しようというジェスチャーなんですよ」と冷たい侮蔑のこもった言葉で言った。と書いてあるが、自殺者が期待するほど社会では同情してくれないのは事実だと思う。私の病院にも時々自殺者や自殺未遂者が運び込まれるが、医療関係者はもとより救急隊員、ついてきた関係者、いずれも迷惑顔だ。本書の中では男女関係のもつれからの自殺と思われるが、それ以外にも様々な原因による自殺がある。本人は思いつめ、悩みに悩んだ末に自殺を決意し、この世の中に強烈な爆弾を投下したように思うのだと思うが、社会はそれほどに思わず、むしろ迷惑に感ずるのが実状だと思う。ストリーブの奥さんも思いつめて自殺をはかったのだと思うが、必死で心配してくれているのは、寝取られ亭主のストリーブだけで、かんじんのストリックランドは病院にすら姿を現さない。何かを期待して自殺したとすれば完全な的はずれだ。自殺者は絶望して死を選ぶ場合と何かを期待して死を選ぶ場合があると言われている。死んで期待するものが得られることは全くないことを知ってもらいたいと思う。
2008.07.13
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サルスベリ(百日紅)中国原産落葉樹、ミソハギ科、花言葉「雄弁」「潔白」前回「月と六ペンス」のストリックランドとストリーブの友人関係について書いたが、ストリックランドの病気が重く、ストリーブは自分の家につれてこようとする。奥さんは自分の旦那をないがしろにするようなストリックランドを恐れ、嫌っていたので大反対したが、旦那の熱情に押され、自分の家につれてきて看病することになった。病気がよくなってからもしばらく留まっていたストリックランドに対し、あろうことか奥さんが愛情を感じてしまい、ストルーブがストリックランドに対してぼつぼつ自分のアパートに帰ったらどうかと言ったら彼女も一緒に行くと言い出した。ストリーブは奥さんをこの上なく愛していたので、その衝撃は想像を絶するものだった。頭が真っ白になったが、彼女を愛している気持には変わりなかったので、彼女をストリックランドのあの貧乏な部屋に返すのは忍びないと、二人のために自分の家を提供して自分が家を出て、友人の「私」の家を訪ねてその一部始終を話した。ストリックランドは暴力団員みたいな男で、他人の家や妻をとっても平気な男である。そもそも病気とは言えストリックランドを家に迎えたのが間違いのもとだが、男女が惹かれあう力は理性を超えたものがあるようだ。それにしてもストリーブのお人よしにはあきれる。家まで提供し、まだ彼女を愛しているというのだ。何ケ月かして彼女が捨てられたら引き受けてやらなければならないので遠くにいかないで、彼女の近くに住んでいたいという。ストリックランドは絵を描くために妻子を捨てた男である。彼女は勿論そのことも知っていたが惹かれてしまうと自分でもどうすることもできなくなってしまったらしい。事実は小説より奇という。実社会でストリーブと同じような苦しみを味わっている人もいると思う。お人よしだけではだめだと思う。二人があやしいと感ずいたなら、きちんとした手を打つべきだったと思うが、どんな手もこの場合無効だったのだろうか?
2008.07.11
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モンテブレチア:アヤメ科 南アフリカ原産、花言葉「素敵な思い出」「秘められた情熱」生命力が強く、どんどん増えるので、家内が増えたところを根からどんどん抜いている。「抜かないで」という私の気持ちは届かない。「月と六ペンス」の中で、自分勝手なストリックランドと小説家の私と画家のストルーブはパリで生活している時、時々、場末のカフェで会って親しく付き合っていた。ストルーブはストリックランドの絵を高く評価しているが、ストリックランドはストリーブの絵などには全く関心がなく、会えばストルーブをけなし、攻撃的な皮肉を言い、ストルーブを困らせることしばしばだが、お人好しのストルーブは言われた時はしょぼんとするのだが、それでもストリックランドのために色々便宜をはかってやり、友情関係が続いていた。ある時、あまりにひどいことを言うので、「もう会うものか」と決めて、2週間位そのカフェに行かないでいたが、やはり気になって行ってみたら、ストリックランドのチェス相手から彼は病気だと知らされる。ストルーブはストリックランドからひどい仕打ちを受けた後なのに、「パリに身寄りのない彼は誰にも知られないでのたれ死んでしまう」と心配して、必死で彼の家を探し出し、貧乏アパートで、高熱を出し、2日間何も食べないで寝ていた彼を見つけ出し、必要なものを買ってきて親身に尽くしてやる。友情関係は不思議なものである。会えば嫌なことしか言わない男に引かれることもあるのだと思う。見返りは何もない。もしストルーブが病気になってもストリックランドは「ざまあみろ」と言って恐らくなんの手も差し出してくれないだろう。売れない絵描きなので、金銭的な援助は無理でも心情的な介助をしてくれればいいのだが、恐らく無視するだろう。ギブアンドテイクではなく、一方的な友情もあるものだなと思った。もっともストルーブは誰に対しても親切で、自分が損しても相手の人が得するならそれでいいと考えるタイプの人間なので、ストリックランドでなくても貧乏画家には親切にしてやったかもしれないが、自分に対して悪口ばかり言う男にこんなにまで尽くす男はあまりいないと思った。
2008.07.09
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監督はフランク・キャプラである。6歳の時イタリア移民としてアメリカに渡り、極度の貧困生活の中でろくな教育も受けさせて貰えず、子供の時から様々な職業をわたリ歩き、放浪者、小作人、ギャンブラー、賞金稼ぎのボクサー、密造酒造り等を経験している。その中でのあまたの人々との出会いの中から人間をより深く愛するようになったのだと言う。第2次世界大戦に従軍し、戦争の残酷さをいやと言うほど感じ、戦後、戦地で知り合ったジェームス・スチュアートを主役にこの人間愛の物語を作ったのだという。物語は、住宅金融会社の息子が父の急死によって自分の夢を諦めてその会社を引き継ぐが、ある時銀行に納めなければならない8000ドルを社員である叔父が紛失してしまう。会社倒産ばかりか横領の罪で逮捕される危機にまで追い込まれ、妻(ドナ・リード)や4人の子供にあたりちらし、酒を飲んで運転して車を木にぶっつけて事故をおこす。車を乗り捨てて海岸絶壁にたどり着き、絶望と生命保険金欲しさに飛び込んで死のうとする。それを助けたのが二級天使である。天使は彼が存在しなかった、生れてこなかった場合の世の中を現出させてそれを彼に体験させる。そのあまりのひどさに、金を無くして絶望している現実生活の方がどんなに素晴らしいかに気づく。我に帰り、八つ当たりしてあれまくって家族を困らせて飛び出してきた家に今の世に生れた喜びに溢れて帰っていく。そこには子供や妻が待っていてくれただけでなく、事情を聞いた町の人たちがお金をカンパしてくれに集まっており、会社は倒産しないで済み、幸せな結末を迎えている。人々の助け合いの尊さを謳い、どんなに不幸が続いても、結局人生はかけがえのない素晴らしいものだと訴えている。
2008.07.08
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イソトマ:キキョウ科 イソトマ属、半耐寒性多年草、オーストラリア原産、花言葉「優しい知らせ」「強烈な誘惑」先進8国のサミットが洞爺湖で開幕した。開催前NGOのメンバーが開催反対のデモをしたと新聞で読んで、世の中には物事が理解できない人達もいるものだなと憤りの気持ちが湧いてきた。今回は地球温暖化問題、原油・食料の高騰への対応、アフリカ問題、北朝鮮問題なども取り上げられる大変重要な会議である。その討議内容に対する要望なら話は分かるが、会議そのものに反対する理由が分からない。サミットは先進国のエゴを話し合う会議である。先進国と後進国の格差を広げる会議である。今までにきちんとしたことが決まったためしがない、等の批判はあるが、現在地球規模で起こっている環境破壊や食料危機にどう取り組むかを話し合う会議にケチをつけるのではなく、いい果実が実るように祈っていくのが心ある人間のとるべき態度だと思う。特に今回は中国、インド、ブラジル、アフリカ諸国も招待された先進国だけの会議ではない。これからの地球をどうしていったらよいか話し合う重要な会議である。サミットは最初は先進7カ国だったが、途中からロシアを入れて8カ国になった。将来は中国、インドを含めて10カ国会議にしてもいいと思う。今回のメインテーマは2050年までに、温室効果ガス排出量を半分にするという世界全体の長期目標に対してG8が合意できるかが焦点だ。中国、インドは急激な経済の発展途上にあり、自分たちは枠外に置かれるべきだと強く主張している。アメリカはG8だけでなく、中国やインドを含む主要排出国で合意すべきだと主張している。それはその通りで、どこそこだけはいいとしては目標は達せられない。だからこそアメリカが率先して目標を掲げ、自分の所ではこれだけ減らすから皆も減らしてもらいたいと音頭をとってもらいたいと思う。ゴアさんとブッシュさんが大統領選を戦い、ゴアさんが敗れてブッシュさんが大統領になった。ゴアさんは温暖化対策に私財を投じて戦っている。ブッシュさんは未だに京都議定書に調印していない。歴史の中で「だったら」は通用しないが、あえて許していただけるならゴアさんが大統領になっていたら、イラク戦争も起きなかったかもしれないし、温暖化対策では日本の先を越してリーダーシップを発揮していたと思う。中国、インドは現在の温暖化をもたらしたのは先進8カ国だ。自分たちではない。それなのに自分たちまで減らせというのは納得できない。それでは経済成長を遅らせろと迫られているみたいだと反対している。その事情を汲んで一律に減らすのでなく、中国、インドにも独自の目標を立ててもらい2050年までには、世界全体で50%削減の世界目標を今回のサミットで宣言してもらいたいと思う。
2008.07.07
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バーベナ・テネラ(美女桜)クラマツズラ科バーベナ属、宿根草、ブラジル南部原産、花言葉「家族の和合」「私の為に祈って下さい」。とてもとても丈夫で、繁殖力旺盛で、あっという間に庭中にひろがる逞しさを持っている。「月と六ペンス」における家出夫(ストリックランド)と会ってきてくれるように奥さんから頼まれてパリに行ってきた「私」がその奥さんと奥さんの姉夫婦にその様子を報告する場面でのことである。女が原因でなく、絵を描きたくて家族を捨ててパリに行ったと聞いて奥さんは「もうおしまいだ」とつぶやいた。女が原因なら3ヶ月もしないうちに、どちらかが飽きるか喧嘩するかして、帰ってくるだろうと思っていたが、女でないとすれば帰ってこないだろうし、許せないと思った。姉夫婦から、「不自由な生活をしていると思うので、子供は自分達が預かるので1年間パリに行って身の回りの世話をしてやったらどうか」との提案があったが、彼女は「絶対いくものですか」「生活に困り、いまわしい病気になって、惨めに死んでしまえばいい」と激しく非難した。一緒に生活していた時はご主人を愛し、細かいところまで、面倒をよくみており、この奥さんなら、パリで金もなく惨めな生活をしていると聞いたら、「行って面倒見てやる」と言い出すかと思ったら、反対だった。「忌まわしい病気にかかって苦しんで死ねばいい」と憎しみが溢れている。あんなに優しい奥さんだったのに状況が変わるとこんなにも冷たい女に変るものかと思った。あんなことをしでかしたストリックランドには当然の報いといえば、それまでだが、それまでの優しさががらりと変るのだから、女心は分からないものだなと思った。
2008.07.05
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チェリーセージ(サルビア・ミクロフィラ):シソ科サルビア属、半耐寒性宿根草、4月頃から咲いており、もう枯れるのかなと思ったらまだまだ秋まで咲いてくれるらしい。原産:アメリカ~メキシコ、花言葉「燃ゆる思い」93歳の男性、奥さんが胃ろうを作ることに反対とのことで胃ろうを作らないで退院することになったと前回のブログに書いたが、今朝の回診時、本人が胃ろうを作ることに、指で丸を作ったのだ。なんにでも丸を作るのかも知れないと、今度は「胃ろうを作らないのか」と聞いてみたらはっきり指で×を作った。「それなら作るのか?」と聞いたら○を作った。信じられないことが起ったので娘さんに電話してみた。そしたら娘さんもこちらに電話しようとしていたとのことだった。昨日奥さんが自分一人でお見舞いにきて、ご主人と話したとのことである。そこで「胃ろうを作ってもらおうか」ということになったらしい。「それで行ったり来たりで申し訳ないが胃ろうを作ってもらいたいと連絡しようとしていた」とのことである。奥さんが考えを変えてくれたわけだが、患者さんに直接会って少しでも長生きして貰いたい気持ちが強くなったのだと思う。胃ろう技術が進歩して、どの段階がその人の本当の寿命なのか分からない時代になったが、その時代、その時代に寿命は設定されていくものだと思う。今の時代では、もし胃ろうが可能なら、それをしてもらった状況でいつまで生きられるかが寿命と考えていいのではないかと思う。
2008.07.04
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サフィニア:ナス科ベチュニア属、南アメリカ原産(ブラジルのバンバ)サントリーと京成バラ園芸がベチュニアから協同開発(1989年)した。胚、種子を経ずに葉や茎、根などで繁殖する栄養繁殖形態で、だまっていると庭中に増える。現在駐車場の砂利が敷いてあるところにも咲いている。花言葉は「変化に富む」「貴方がそばにいると心が和む」午前中15人の胃カメラ検査をして帰る時間を見たら12時を過ぎていた。12時から1時までの間に先日の93歳の患者さんの家族から返事があることになっていたが、これから車に乗らなければならないのでこちらから電話した。その家庭は93歳の父と80歳代の母、そして娘さんの3人暮らしである。娘さんは胃ろうを作ってもらうことに心が傾いていたが、母親と相談して連絡してくれることになっていた。返事は「母は胃ろうを作らずに自宅で、見守りたい意向です」とのことだった。一つの選択としてそれはそれでいいと思う。今では栄養剤も進歩して、胃ろうを作れば殆どの人が肉体的健康を取り戻し、太ってくる。この患者さんの場合は意識もしっかりしているので、胃ろうの意義は十分あると思って娘さんには説明したが、奥さんの同意は得られなかった。奥さんに直接会って説明すれば了解してくれたかも知れないが、一つの選択として、これはこれでいいと思う。今私は、胃ろうを作った100歳の女性を受け持っているが、いつお亡くなりになるかは予測できない。胃ろうを作らなければ、間違いなく数週間もしくは数ヶ月以内にはお亡くなりになられたであろう。自宅につれて帰り、訪問看護をしてもらおうと思うので、点滴の処方をしてもらえるかとのことで、「お安い御用です」と答えた。ただ長く生きればいいというものではなく、生活の質や経済の問題もあり、娘さんは勤めており、看病するのは奥さんなので、奥さんの意向を尊重して近く退院の手続きをとってやろうと思う。
2008.07.02
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ムクゲ:アオイ科フヨウ属、落葉樹、インド、中国原産、花言葉「尊敬」「柔和」「月と六ペンス」で、奥さん、子供、仕事を捨ててパリに逃げたストリックランドを追ってパリにきた「私」がストリックランドと合って話を聞き、あまりの無責任さに、あきれ、この男は世間の思惑を全く問題にしていないと驚く。作者モームは、「世間の評判など気にしないと公言している人を私は信じない」と言っている。それは大抵空威張りで、本当の所はばれないとたかをくくっている人が多い。人は世間の評判を気にして生き、それが良心として働き、悪いことをしないで、世間から褒められるようなことをしようとする動機になっていると述べている。「俺は世間を気にしない」と言って悪いことをする人がいるとすれば、それは無知からその悪事がばれないと思うからそのようなことを言うのであって、ばればれだと世間からつまはじきにされてしまうので、悪事は出来ない。ところが、ストリックランドは家を捨て、奥さんを捨て、家族をすてて逃げてきて、それがばれても平気な人間なのだ。世間や奥さん子供がなんと思おうと平気だというのである。これは小説上の人物だが、実社会で世間体を気にしないで生きれる人がいるであろうか。皆気にしているのだが、その、気にし方が問題だと思う。見つからなければ世間体に傷がつかないと思う人は多い。産地偽装や、汚職事件などはそのような人によって起こされた、恥ずべき行為である。ある種の無差別殺人も世間を気にして起こすことがある。良心が麻痺した状態で、世間をあっと言わせて注目されたいという心理が働く場合である。オリンピックでメダルを取ったり、社会でいい仕事をしたりするのは、世間から褒められたい気持が原動力になっている場合が多い。賞賛や犯罪は世間と無関係なことはないと思う。ムクゲの花言葉「尊敬」「柔和」も当に世間を気にした生き様の上に築かれる賞賛の言葉である。自分の信念がなく、ただ「人にどのように思われるか」だけを気にしてこそこそ生きる人生はむなしいし、卑しむべき生き方だが、大きな心で、他人から、社会から、神から褒められるように願って生きるのは、人間として当然の生き方だと思う。
2008.07.01
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