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HPにもさんざん書いているが、オペラツアーの企画を数年前からやっている。 これがなかなか難しい。同種のツアーが増えてきたので、なおさらである。 成功、失敗、両方経験して、いろいろこつが分かってきた部分もあるけれど、なかなか思うようにいかない部分もある。 一番重要なのは、顧客のニーズをつかむこと。それがなかなか分からず、試行錯誤を繰り返してきた。 私のように、オペラ公演に接する機会が比較的多い人間だと、どちらかというと珍しいオペラとか、今回チューリヒでみた「ポッペア」のような、公演として画期的(30年ぶりのアーノンクールの「ポッペア」という話題)なものを観たい、と思ってしまう。あるいは劇場なら、いわゆる有名な劇場より、今旬の劇場、今勢いのある劇場へ行ってみたいと思うのだ。 けれど、オペラツアーに参加するひとのかなりの部分は、有名劇場へ行ってみたいとか、スター歌手が見たいとかいう願いを抱いている。演目も、できれば有名な、スタンダードなものが好まれるようだ。まあ海外なので字幕がなく、物語が分かりづらいというのもあるだろう。 なので、有名歌手(や指揮者)、メジャーな演目、有名劇場、などが入っていないと、人気は出ないのである。 考えてみれば当たり前で、外国のオペラハウスの来日公演にしても、メジャーな演目、有名歌手、指揮者、が売りになる場合がほとんどだ。(最近はやや変わってきたようではあるけれど)。 そんなことも考えないで、オペラツアーを企画していたのか、とあきれられてしまえばそれまでである。 ただ、こちらとしては、せっかく行くなら日本で観られないものを、という考えもあるんですよね。 理想的には、メジャーな演目・歌手、という路線が3分の2、あちらならではのもの、あちらでしか見られないものが3分の1、くらいの割合で組めたらいいなあ、と思っているのだけれど。 もうひとつ、これはこちらの力ではどうしようもない部分ではあるのだけれど、劇場によってはチケットの確保が非常に難しい。まともにぶつかっても、相手にしてくれない劇場もたくさんある(世界中からそういうオファーは来ているといわれて、門前払いされたこともあった)。正攻法でいってだめで、偶然劇場の監督を知っているというひとに口ぞえしてもらったら、やすやすとチケットが手に入ったこともあるので、人脈があれば何とかなる世界なのだろう。 というわけで、いくら有名な劇場でも、正攻法がだめで、こちらに人脈がない場合は、ツアーに組み込むのが難しい。ツアーに組める劇場が、限られてしまうのが悩みなのである。 少しでもツアーに組める劇場を増やしたいので、旅行した際にはできるだけ、劇場とコンタクトを取るようにしている。 今回の旅でも、チューリヒとジュネーブの劇場関係者と会うことができた。両方とも、感じよく応対してくれた。そういう人に会えるのも、普通ではできない経験なので、けっこう楽しい。 あと、オペラツアーで重要なのがホテル。ホテルは節約して、その分安くして欲しい、という要望もあるのだが、ホテルもいいほうがいい、という意見の方が多い。深夜にオペラがおわって、その後ゆっくりくつろぎたい、という気持ちだろう。 ところがホテルばかりは、泊まってみなければ分からない。外観だけでは判断できないのがホテルなのである。 今回、5月のオペラツアーでチューリヒに行くので、チューリヒでは2つのホテルに泊まってみた。幸いひとついいホテルに当たり、目下そこと交渉している。ちなみに今回は、このような費用はすべて自腹だ。自腹で泊まって満足できてこそ、お客様を案内できるホテルだと思うから。 他にも、連泊にして欲しいとか、季節のいいときがいいとか、お客様の要望はいろいろある。何とかその最大公約数を反映させ、その上でこちらのカラー(こちらの推薦する劇場や公演など)も少し加えられるようなツアーが創れないかと、試行錯誤をしているのである。
March 25, 2005
今回のヨーロッパ旅行、オペラもよかったけれど、一番驚いた、というか新鮮だったのは、14日にジュネーヴで聴いた、ウィリアム・クリスティという指揮者が率いる「レザール・フロリサン」のコンサートだった。 クリスティはアメリカ生まれで、今はフランスで活躍している古楽界の大御所。古楽、とくにバロック・オペラの復興に貢献した名指揮者だ。 彼が創設した「レザール・フロリサン」は、古楽器アンサンブルと、当時の歌唱法を専攻した若い歌手たちの集まり。今回も若い歌手が6人、フレッシュな演奏を聴かせてくれた。 驚いたのは、コンサートでありながら、「演出」が施されていることだった。 バロック・オペラの抜粋(アリア、重唱、合唱など)がプログラムの中心だったのだが、その1曲1曲が、劇中のように演じられていた。 オーケストラの間をぬって舞台の前面に登場したり、オーケストラのメンバーの座席を占領したり、舞台の上をところせましと駆け回る。 指揮台の上のクリスティは、といえば、時によってオーケストラの方を向いたり、歌手を見つめていたりといろいろさまざま。 ロッシというイタリア人作曲家のマドリガーレをやった時など、オーケストラに背を向けて、互いに肩に手を置きあって客席の方を向いている歌手たちの後ろ中央に立ち、自分の左右にいる歌手の肩に手を置いて、じっと聴きいっていたのである。指揮の「し」の字もしないで!まるで「気」を送っているみたい!だと、私はすっかり呆気にとられてしまったのだった。 何だか、魔法にかかったみたいだった。 客席もそんな気分だったようで、曲が終わった瞬間、夢から醒めたように万雷の拍手が轟いていた。 残念だったのは、斜め後ろからいびきの音がひんぱんに聞こえていたこと。 トン・コープマン似の白髪ひげのおじさん、よほど疲れていたんでしょうか。 私の隣のマダムが眉を吊り上げていわく、「こんな美しい音楽なのに、眠るなんて信じられないわ!」
March 23, 2005
「オペラ歌手」というと、体格がよく、ずどんと突っ立ったまま歌を歌う・・・・ そんなイメージが、長年続いてきた。 けれど最近、その固定観念は大きくくつがえりつつある。 今回の旅行でもつよく感じたのだが、今のオペラ歌手に求められているのは「演技」なのだ。 オペラは「演出」の時代なのだという。なるほど、気のきいた演出で見ると、オペラがいっそう楽しめるのは事実だ。指揮者や歌手といった音楽面の違いより、視覚に訴える分、演出の効果は大きい。 演出が重要になると、歌手は俳優並みの演技を求められる。演じながら歌うのだからほんとに大変だと思うけれど、舞台を動きまわって芝居をするのは、体格がよくてはなかなか難しい。訓練次第によってはかなり動作をコントロールすることができるとは思うけれど、やはり体は軽い方がよく動く。太った歌手の出番がなくなるわけである。 「太ったオペラ歌手」に抵抗のあるひとは多かった。今の状況に、手を叩いているひとは多いだろう。でも私は、太ったオペラ歌手がいやではなかった。舞台に登場した時は?と思っても、歌の力で聴衆を屈服させてしまう、その瞬間に立ち会うのもオペラならではの楽しみだと思ってきた。歌舞伎の女形が、はじめ不自然に思えてもその演技で観客を圧倒してしまうように。 だから、太ったオペラ歌手が絶滅してしまうのは、ちょっと寂しいのである。 あんまり声量のない歌手には、PA(マイク)使ってるっている噂もあるしね。いくらビジュアル重視だからって、オペラ歌手がマイクなんて、悲しくないです?
March 22, 2005
昨日は今回の旅の一番のお目当て、ニコラウス・アーノンクール指揮のモンテヴェルディのオペラ「ポッペアの戴冠」(チューリヒ歌劇場)だった。 期待通りの充実した公演。音楽も演出(ユルゲン・フリム)もすばらしかった(詳しくはHP「コンサート日記」を見てくださいね)。 そもそもアーノンクールは、1980年代に、このチューリヒ歌劇場で、それまではほとんど埋もれていた(演奏法も分からなかったため)17世紀のオペラの大家、モンテヴェルディの現存するオペラを上演し、モンテヴェルディ・オペラの復活に大いに貢献したひと。その彼が、ほぼ30年ぶりに「ポッペアの戴冠」を取り上げるということで、一部の人間の間ではかなり話題になっていた。会場で、日本人の批評家の知人に会ったりもした(世界は狭いものです)。 今回、チューリヒでは、旅のはじめに「マクベス」、そして終わりに「ポッペア」を見た。「マクベス」は大好きなヴェルディのオペラで、もちろんとてもよかったのだが、もしどちらかひとつだけしか見られないとしたら「ポッペア」を選ぶ。アーノンクールの30年ぶりの「ポッペア」というのは、すごく話題性があると感じるので。 けれど、多くのオペラファンは、そうでもないんですよね、きっと。 私はオペラツアーのオーガナイズもやっているのだが、よくツアーに来てくれる方々に、今回の「ポッペア」を打診してみたのだが、ほとんど無反応だったのだ。 どうせ海外で見るなら、スター歌手で、それなりにメジャーな演目を見たい、ということらしい。 それも分かるのだけれど、私などは、このような、ここでしか見られないもの、そしてその劇場が力を入れているもの(今回は明らかに力を入れていた)を見たい、と思うのだけれど。 オペラといえば「椿姫」「カルメン」・・・それも分かる。たしかに名作だし、音楽も美しい。でも人気が高いがゆえに、「椿姫」「カルメン」などの公演には、はっきり言ってつまらないものも多い。個人的には「椿姫」など、よほど演出が面白いか指揮者がいいか歌手がいいか、でなければ見る気がしない。 それはオペラマニアの言い分でしょ、と思われるかもしれない。でも今回のチューリヒの「ポッペア」など、オペラ初心者でもたぶん楽しめると思う。話も分かりやすいし、演出が気がきいていて、人物の感情をよく補ってくれていたから、字幕がちんぷんかんぷんでもなんとなく分かるはずだ。音楽も、17世紀(バロック時代)とは思えないほど迫力があり、美しい。 以前「有名」ということについて書いたが、これも結局、同じようなことだと思う。有名な「椿姫」を聴くのか、そのとき評価されているプロダクション(演目、演奏者、演出を含め)を聴くのか。。。私に言わせれば、前者はお手軽なユニクロの服を買うようなもの、後者は思い切ってデザイナーズブランドの服を買うようなものだ。値段も5倍くらい違ったりするし。 値段のことを考えるとあまりいえないのだが、本音を言えば、ナビゲーターとしては、初心者の方にこそ「いいもの」を聴いて欲しい。(あまりに暗い内容の演目は、オペラが嫌いになりそうだから避けたほうがいいかも知れないが)「オペラって、すごいものですね」という公演に触れて欲しい。「ホンモノ」のよさは、やっぱりある。
March 19, 2005
旅もはや10日あまり。出発地点のチューリヒに戻ってきた。ここでもう一度、今回のハイライトのオペラを聴いて、日本に帰る。 ところでスイスといえば、多言語の国。ドイツ語、フランス語、イタリア語の各地域があるほか、ロマンシュ語という言葉を話す地域もある。 なかではドイツ語人口が一番多いのだが(チューリヒはドイツ語圏の中心都市)、これが曲者。スイスのドイツ語は、ドイツ語とはいえドイツ語じゃない。スイス語といってもいいくらい。 たとえば「ありがとう」はドイツ語で「ダンケ」ですよね。でもスイスじゃ、「ダンケ」も使うけど、「メルシー」(フランス語の「ありがとう」)を使う方が多いんですよ。フランス語圏じゃなくても。 「こんにちは」にあたる「グーテンターク」だって、「グリューツィ」とかなんとか言っている。ドイツの南の方では、「グリュースゴット」というけれど、それに近いかな。 電車のなかなどで、スイス人の会話を聞いていると、語尾がもにゃもにゃしていてはっきり発音していない。「まったくない」という意味の「ガーニヒト」だったら、「ガーニッシュ」という感じ。これじゃわかんないですよね。 というわけで、下手にドイツ語を使うより、スイスでは英語が便利かも。なんだか国内共通言語は英語のような印象もある。フランス語圏のスイス人は、ドイツ語があまりできないみたいだしね。
March 18, 2005
ヨーロッパを旅したひとならご存知だと思うけれど、ヨーロッパの鉄道は日本のような改札がないところが多い。買った切符を、自分でがちゃんとやる。だからただ乗りもしようと思えばできるというわけ。 ただ、覆面の検札が時々来て、ちゃんと切符を買っていないのが分かると罰金を取る。だいたい5000円くらいだろうか。 初めてヨーロッパに短期留学して、ミュンヘンにいた時は、ニューヨーカーの要領のいい友人(彼いわく、「信じられない。ニューヨークでこんなことしたら誰も切符を買わないよ!」)の影響で、時々買わないで乗ったのだが、そういうときに限って検札が来た。泣く泣く罰金を払った覚えがある。 ちなみに当の友人といえば、たまに買わないときに限って検札が来るのだった。 まあその後は懲りて(どきどきするのが面倒なので)、ちゃんと買っている。 パリのメトロは、無人だがちゃんと改札があり、切符を通さないと通れない仕組みになっている。 ところが猛者がいて、改札を飛び越えて(バーの上に乗ってまたいで)しまうのだ。ほとんど瞬間芸?のようで、ほれぼれすることもしばしば。 一方で、かなりパリに来てメトロにも乗っているのに、検札に会わなかったので、パリのメトロには検札はいないのかな、なんて思っていた。 いましたね。今回初めて会いました。それも一人じゃなくて、何人も組になって。優男ばかり!どうして?かな? つかまっているひともいました。メトロのなかで芸を披露するのだろう、たぶん移民のヴァイオリン弾き。それは、メトロの切符には時間制限もあるだろうから、いちいち買っていられないよね。 悲しそうな目をしたおじさんは、パスポートを取られ、係官に連れられて降りていったが、降りる前に大事なヴァイオリンを、粗末な布の袋にそっとしまったのでした。 またあのヴァイオリンが弾けるといいね。
March 17, 2005
パリに来る旅行者にはずいぶん知られていると思うが、オペラ座通りとほぼ平行に走るある通りは、日本料理店や食料品店が多く並んでいて、「日本通り」と呼ばれているらしい。 私もパリに来ると必ず立ち寄って、日本食で胃を休める。 今回は、おしゃれな店構えで新しい感じの「B」という店にはいった。 思った通りいいお店。お寿司やお刺身、ひじきの煮物(感動!)、おいしいお味噌汁など、品のいい、ほっとする味でした。 板さん(オーナーでもあるのかな?)はもちろん日本人。パリには、日本人以外のアジア人の経営する日本料理屋が多い。看板の日本語が不自然だったりしたら、まず日本人じゃないみたい。 「400軒くらい日本料理店はありますけど、日本人のやっているのは30軒くらいですね」 板さんが教えてくれた。そうか、そんなに日本人経営は少ないんですね。 もっと面白かったのは、「魚」の話。 パリで、日本人の良心的なオーナーが経営しているお寿司やさんはたいていおいしい。日本よりおいしいくらいだ。魚がいいんです、ここは。日本から空輸する必要なんてぜんぜんない。地中海とか大西洋とかで取れる魚が市場に出ていて、たいていのネタはそれで間に合うらしい。 「手に入らないのは、ふぐとか、特殊なものだけですね」 これも板さんの話。なるほど。パリでふぐを食べたいとも思わないしね。 「日本より鮮度がよかったりしますよね」 そんな風に話しかけたからだっただろうか、思いがけない話をきいた。 「こっちの方が、日本より基準がうるさいんですよ」 意外。だって、日本って、アメリカ牛の輸入もだけれど、けっこう基準はうるさかったんじゃ? 「スーパーなんか、売れ残ると色塗っちゃうから」 えー。 以前、スーパーでパートをしていたおばさんから似たような話を聞いたが、ちょっと信じられなかった。ほんとだったんだ。 やっている、って言うことは、法律で禁じられていないということ。 こちらでは考えられないらしい。 「そういう魚を食べていると、かなり身体に害があるみたいですね」 そりゃ、そうですよね。 興味が出てきた、というか、そんなものを食べたくないと思った。 日本の消費者は知らされていないだけなのでは?知ったら、みんな食べたくないよね! 誰か、詳しい情報を知っていたら教えてくださいな。興味が出てきました。
March 16, 2005
おとといの夜からジュネーヴにいる。フランス語圏のスイスだ。 今朝は劇場の関係者に会うため、少し早めに起きて、通訳のひととホテルのロビーで落ち合った。 先週の雪が嘘のような晴天。ホテルの正面に横たわっているレマン湖の向こうに、モンブランが霞んで見える。やっぱりスイスはきれい。風景プラス、町の清潔さが魅力だ(町並みは必ずしも面白いとは思わないけれど)。 そんなスイスに来ていつも思うのは、「国旗」が多いこと。公共の建物はもちろん、ホテルの屋根や橋の欄干などにも、国旗がはためいている。「ガーデンハウス」などと呼ばれる市民農園の一角にも、国旗が掲げてあったりする。その率は、ドイツやフランスよりずっと高い。 国旗と並んで、各州の旗、そして各国の国旗が掲げてあるケースが目立つことも特徴だ。州の旗は、直接制の民主主義が根付いていて、国民投票がさかんな国の、州ごとの独立性の証だろうか。そして各国の国旗は、世界に名だたる観光立国の、歓迎の証のような。 日本は国旗を掲げてある場所が少ない、というひとがいる。そうだろうか。公共の建物や大ホテルには、掲げてあるのが一般的になっている。 加えて日本が異様?なのは、日曜祝日に国旗を掲げるという習慣。戦前は「旗日」っていったんですよね(私の母などもよく「旗日」という言葉を使っていた)。私の知る限り、ヨーロッパでは日曜祝日にことさらに国旗を掲げる習慣はない(アメリカのことは知らないが)。 今では、日曜祝日に、国旗なんか掲げないという方が大半だろう。でも街中には、この「旗日」が再び浸透しつつある。祝日に渋谷あたりに出ると、東急本店通りなど、すべての街灯に日の丸が掲げてあって、ほとんど日の丸の洪水。街を行き交うバスも、日の丸のバッテンで飾られている。 私が小学生くらいの頃は、日曜祝日にバスに日の丸、はかなり当たり前の光景だった。それが一時ほとんど影をひそめたな、と思ったら、またぞろ復活してきた。 何だか不気味な気がするのは私だけだろうか。 別に日の丸が嫌だとか、認めたくないというのではない。なぜか理由が分からないまま、日曜祝日が日の丸だらけになるのが不思議なのである。条例や法律ができたという話も聞かないし。まったく報道されないのも不思議でしかたない。 誰か、この件について報道記事を目にした方があったら教えて下さいな。ぜひ理由が知りたいものです。
March 14, 2005
「オペラに行きたくても、チケットが高い」 よく聞く不満である。 ではヨーロッパをはじめ、外国は安いのだろうか。 一概にそうともいえない。今回の旅で、改めて思った。 今回出発前にインターネットで購入したオペラ・チケットは3枚。チューリヒ歌劇場、ミュンヘンのバイエルン州立歌劇場、パリ尾、オペラ座の3箇所だ。ランクはいずれも最高ランク。これは、オペラツアーの下見もかねているためで、ツアーの場合は必ず最高ランクを求められるので、最高ランクはどんな感じか、お客様に質問された時答えられるようにしておくため。もちろん自腹である。つまりツアーを企画する際には、自腹でこれだけ払っても満足のいく劇場だ、という目線も持ちたいのだ。 今回の劇場は、国や州の援助を得ているところばかりだから、日本でいえば新国立劇場に相当する。新国のS席は2万円ちょっとだ。 演目にもよるのだが、いずれもそれと前後していた。とくにチューリヒは、出演者によって値段が違うのだが、一番高い公演の場合、最高ランクの席は3万円近い。今回自分で購入した「マクベス」は、24000円弱(270スイスフラン)だった。 パリのオペラ座は、出し物が「戦争と平和」という大掛かりなもののせいか特別プライスで、やはり22000円くらい(150ユーロ)。バイエルン州立歌劇場はちょっと安くて、14000円くらい(98ユーロ)だった。その代わり、出演者はたいしたことがなかったけれど。 というわけで、新国と比べて安いわけでは決してないのだ。もちろん水準は、とくにチューリヒなどは、段違いなのだけれど。この歌劇場がもし来日公演をしたら、ウィーン国立歌劇場の来日公演なみ(60000円以上)にはなるだろう。 日本の場合、何しろ外国の劇場の来日公演が多い。スカラにウィーンにメト・・・こんなに来ている国は他にない。それらの公演が派手に宣伝され、やれ5万だ6万だという数字がおどっているので、「高い」イメージが焼きついてしまう。来日公演は呼び屋さんが呼ぶわけだから、公的な補助もないし、高くなるのは当然といえば当然なのだ。 けれど日本には、安くて良心的なオペラ公演が実はたくさんある。派手に広告費はかけられないから、あまり広告を見かけることはないけれど、「ぶらあぼ」などの無料情報誌には、この手の公演の広告がよく出ている。何しろこの1年で、日本全国で70演目!のオペラが上演されるのだ。日本はオペラ大国なのである。 大国ということは、安い公演も高い公演もあるということ。安くていい公演は、探せばある。安くてつまらない公演もあるけれど。 二期会などのオペラ団体も、とてもいい公演をすることもある。そんな時は、バイエルン国立歌劇場のつまらない公演などより、はるかにレベルは高いように感じる。 「オペラ・チケットの値段」を考える時は、だからいろんなケースを検討してみなければならないだろう。 一番の問題は、外国から来すぎる!こと!1年に有名歌劇場がいくつも来るから、財布に莫大な負担がかかってしまうのだ。少しばらけてよーーー!
March 14, 2005
一昨日の日記で、ヨーロッパの物価は高くなった、と愚痴ってしまったが(ユーロに対して円が安くなったことも大きい)、いつ来ても安いなと思うのは、グラスワインの値段である。ヨーロッパが安いというより、日本が高すぎるのだろう。 とくに腹立たしいのは、日本の上品なフレンチレストラン。小ぶりのグラスに3分の1くらいの分量で、600円とか800円とか1000円とか!取られるのだからほんとうにたまげる。 その点、ここドイツは明朗会計だ。メニューに分量がちゃんと書いてあるのだから。グラスワインは「offene weine」(これは複数形)という箇所にリストアップされているが、0・1L、0.33Lなど、量ごとに値段が決まっている。庶民的な店だと、ごていねいなことにグラスに目盛りがついたりしている。いずれにせよ量が規定されているから、グラスに注がれた液体の量に一喜一憂することはない。 目盛りつきのグラスはさすがにちょっと興ざめ?かもしれないけれど、日本でもまねしてみたらどうだろう。二口三口の量を「グラスワイン」と称して、お客の目を点にするよりはいいと思うんだけれど。
March 12, 2005
ホテルの最大の楽しみのひとつ、それは朝食だ。 とくにドイツ語圏は、昼食や夕食がラテン系の国ほど充実していないせいか?朝食がふんだんでゴージャス。いいホテルに泊まると、ブランチになってしまうくらい。 とくにいいホテルに、今回のように一人で泊まる場合、まずホテルのレストランで食事することなどないから(値段もあるが、何より一人でいいレストランで食べてもつまらないでしょ?)、朝食が唯一、ホテルの「食」に接することのできる場所なのだ。内容はもちろん、サービス、雰囲気まで味わえる、貴重な機会である。 今回ミュンヘンでは奮発して、州立歌劇場のすぐ近くにある高級ホテルに泊まったので、ぜいたくな朝食を味わうことができた。もちろんその分、昼ごはんは倹約である。 ゆっくり朝食をとりながら、周りの風景に浸る。これもとっても面白い。 朝食の風景は、やはり高級ホテルのほうが面白いのだ。どんな人?と想像力をめぐらせるようなお客が多いから。 携帯を忙しく使う女性ビジネスウーマン、豪華なビュッフェには見向きもせず、目玉焼きをオーダーするアメリカ人?客。フルムーン旅行か、落ち着いた老夫婦。派手派手なお金持ち若者カップル。エトセトラ。 これがビジネスホテルのような安ホテルだと、こうはいかない。味気ないのだ。 今回のミュンヘンのホテルで面白かったのは、70くらいのご老人と若い女性のカップル。親子かな、と思ったのだが、それにしてはあまりにも似ていない。じゃ愛人?それにしては、老人はむっつり黙って新聞を読んでいる。肉付きのいい体を、へそ出しジーンズに押し込んだ女の子は、パンケーキを食べてはお代りするのに一生懸命。席を立つ段になって、ようやく2人は口を開いたのだった。 別に、しなだれかかってもいなかったな。 もっと想像力があれば、もっと面白いんだろうな。高い宿泊費を払っている分、何か「お土産」をもって帰れるようになりたいものだ。
March 11, 2005
昨日チューリヒからミュンヘンに来た。昨夜はここのバイエルン州立歌劇場で「魔弾の射手」。チューリヒの「マクベス」を見たあとでは退屈してしまった。歌手のレベルも一段下。 ところで、ミュンヘンは懐かしい町だ。大学生時代、語学留学という名目ではじめて海外に長期滞在した町だったので。今日は昼間町を歩いたが、数ヶ月の滞在だったけれど、やはり土地勘はあったのが何となく嬉しかった。もう20年以上前の話なのに・・・ 地下鉄の駅の匂いとか、いざその場所に立つとよみがえってきて・・・「匂い」の記憶って不思議だ。 州立歌劇場も、当時は立ち見やバルコニーのはじっこの席で見ていた。バレンボイムのピアノリサイタルとか。彼の頭の寂しさだけがよく見えた。 またミュヘン・フィルに伝説の指揮者チェリビダッケがいる頃で、ヘラクレスザールという古いホールに何度か出かけていった。白熱した演奏だったのを覚えている。日本人のチェリビダッケ信者が客席にいっぱいいましたっけ。 晩年のルドルフ・ゼルキンの演奏に感動したのも、ヘラクレスザールだった。 あの頃お世話になったドイツ人のおばさんはどうしているかな・・・いろいろ思い出して、ちょっと感傷的。 変わったのはやはりお店のたぐい。「サンフランシスコ・コーヒーハウス」なんてなかったよな。なくていいんだけど。 ちょっと覗いたけどそれこそBGMがうるさくて、コーヒー飲まないで退散しました。 あとは物価が高くなった。前から高い町だったけど、いまや東京以上かも(チューリヒももちろん物価は高いが)。だって地下鉄の初乗りが2.1ユーロ(270円くらい?)なんてすごく高いじゃないですか? イタリアでも現地のひとにきいたが、やはりユーロ登場以後、物価がはねあがったらしい。今日の昼間、キュヴィリエ劇場を案内してくれたおじさんもぼやいていた。 そして新しくできた(といってももう10年以上前だけれど)のフィルハーモニーホールで、ミュンヘンフィルを聴いた。フィルハーモニーホールができてから、ミュンヘンフィルはここを本拠にして、ヘラクレスザールは使わなくなったらしい。 いいホールだった。シートもゆったりして(昨日行った州立歌劇場の狭くて古い椅子とは大違い)、音響もやわらかい。 驚いたのは聴衆がドレッシーだったこと。ネクタイ姿の多いことはオペラ以上かも。(コンサートについてはコンサート日記を見てくださいね) 州立歌劇場やガスタイクのほかにも、オペレッタ用のゲルトナープラッツ劇場とか、ワーグナーの上演のためバイロイトの劇場を模して建てたプリンツレゲンテン劇場とか、いろいろ劇場のバラエティがあるのがミュンヘンの強み。さすが百万都市というところだろうか。
March 10, 2005
ヨーロッパに来て3日目。感じることはいろいろあるけれど、快適だと思うことのひとつが「静けさ」。とくに建物のなかのそれだ。 たとえばホテルやレストラン。日本だったらまずBGMがかかっている。けれどこちらはないところがほとんど。それがすごく快適なのだ。 かといってまったく静かなわけではない。むしろ色んな「音」が聴こえる。囁き。話し声。そのざわめきが快いBGMになる。だからBGMはいらないのだ。このような空間では、人はおのずからその場所にあった声を出す。それが大人の文化というものではないだろうか。
March 9, 2005
チューリヒ歌劇場で、「マクベス」を観た。 いやあすごかった(詳しくはコンサート日記を見てください)。指揮者、演出家、そして歌手、みな世界のトップクラス。どうしてこんな豪華メンバーを揃えることができるのだろうか。いくらチューリヒが銀行家の金持ちの町とはいえ・・・・ スイス第一の都市といっても、たかだか人口は34万人。それで、毎晩のようにハンプソンやらライモンディやらヌッチやらメイやらカサロヴァやらサルミネンやら出てくるのだ。歌手の豪華さはウィーン並み!しかも劇場が小さいので、歌手が身近に感じられ、表情もよく見える。たぶん1000席くらいの劇場だが、「マクベス」は空席がちらほらあり、もったいないと思った。 小さい劇場のいいところは、歌手の表情がよく見えること、そして今回気づいたのだが、「ブラボー!」が口を手で囲まなくても言える(叫べる?)ことだ。ブラボーいうのがラク。 ヨーロッパの劇場に詳しいある音楽評論家が言っていたが、この劇場がヨーロッパ一、ヨーロッパの中心、というのはうそではないと思う。 ミュンヘンのバイエルン州立劇場など、これに比べれば少なくとも歌手は一ランク下だ。音楽監督はメータだから、彼が出てきて指揮をするときは違うのだろうけれど。 ウィーンのように観光目的でもないのに、なぜこんなにオペラに力を入れているのだろうか。その理由が知りたいものだ。劇場関係者にきいてみようかな。
March 8, 2005
今日から2週間、ヨーロッパで劇場めぐりをする。 今回はツアーではなく、ツアーの下見と、取材をかねた旅。 もう何度、こんな旅をしてきただろうか。いやそもそもヨーロッパに何回行ったか、それは数え切れないのだけれど。 新鮮さが失われるのは当然なのだろう。でも、初めてヨーロッパに行き始めた、たとえば1980年代から比べると、ヨーロッパはすごく近くなった。 距離的な《時間的な)ことももちろんある。何しろあの頃は南回りで行った。直行便はまだなく、速くてアンカレッジ経由、18時間くらいはかかった。それが今は直行便で11-12時間だ。長いといえば長いけれど、以前に比べればぐんと短くなった。そのせいもあるのだろうか、飛行機のなかで隣同士で話すこともほとんどなくなった。もちろんこちらが人見知り?しているのが一番の原因なのだろうけれど、以前はなんと言うかもっと緊張感、長旅をしている高揚感が旅客のなかにあったような気がする。 「あまりヨーロッパに来ても、違う、という感じがしないですよね」 ツアーに来てくれたある女性が言っていたが、最近私もそんな感じがする。 たぶん変わり目は、「Hanako」のような女性雑誌が、パリやロンドンの特集を始めてからではないだろうか。グルメにショッピング・・・日本にいるときと、やることが同じになってきたのだ。ヨーロッパのメジャーな都市だったら、どこにいってもグッチもヴェルサーチもスタバもセガフレッドもある。グローバリズムとやらの結果がこれ。 以前はたとえばイタリアといえば古都、遺跡、美術館めぐりだったのが、ブランドショッピングになったのだ。日本でやっているのと同じことを、少々安くできるというだけになってしまった。それだけ海外旅行が日常化してしまったのだろう。 そんな状況が、悪いことだとおもっているわけではない。ただ何となく、つまらないな、と思ってしまうのである。 劇場めぐりだって似たようなものかもしれない。有名歌劇場の来日公演はひしめいているから。ただ、劇場の建物と、聴衆だけは持ってこられない。それがまだましだと思っている。 それにしても昨今の機内食のまずさは何とかならないのかしら?今回はスイス航空だが、ぱさぱさの味のないパスタ、量も少ない。おやつはひからびたおにぎり。 最近は他にルフトハンザ、日航などに乗っているが、いずれもファミレスの5,600円のランチよりレベルが低い。 もう機内食なんて出さなくていいから、成田の売店でおすしでも買って乗っていきたいものだ。その分1000円でも安くなったほうがまだましかも。 あ、アルコールは無料なんですよね。そこまで買うと高くつく?かな。
March 7, 2005
「新潮45」という雑誌を立ち読みしていたら、マラソンランナーで、今はスポーツジャーナリストとして活躍している増田明美さんの「結婚」の話(本人へのインタビュー)が載っていた。 面白かった。「わが意を得たり」という感じでしたね。 彼女は41歳だっただろうか(雑誌が手元にないので間違っていたらすみません)、自立して仕事を楽しみ、充実した日々を送っていたようだ。また一人でいることが好きで、マイペースなので、結婚には向かないと思ったらしい。 それが、そのような彼女を丸ごとうけいれてくれるひととめぐり合ったようで、とても幸せなようだった。一緒にいてとても楽なようだし、結婚して、「ますますいい仕事ができる」と語っていたのも印象的だった。 そう、印象的なのは、だいたい私の考えと一致していたから。まったく同じパターンでした。無理して結婚するつもりはなかったし、するなら仕事を理解してくれて、願わくばバックボーンを得てもっと仕事が充実すればいいな、と思っていたので。 一方で、一人でいることがほんとに平気になっていたので、まあこのままでも仕方ないかな、という気もしないでもなかった。 それが、一人でいる時よりある意味で楽なのだ。仕事も応援してくれるし、だんなにはほんとに感謝なのです。 これからこんな結婚が増えるんじゃないだろうか。記事を読んでいて、そんな気がした。
March 6, 2005
ブログ日記を始めて半月。写真の入れ込みに挑戦しようと思いつつ、一人ではできないので、助っ人を頼んだ。かなり遠くから来てくれる、とても良心的なパソコンのセンセイ。HPも、彼のおかげでできたのだ。 この楽天のブログは、写真の取り込みがちょっぴりややこしいんですね。写真のサイズを小さくして、「画像倉庫」に取り込む。キカイに弱い私は、ちょっとややこしいだけでもうヘルプ!状態になってしまう。文章の読み書きは全然苦にならないのに・・・ で、久しぶりにデジカメを取り出した。 こちらも、2年以上前に、当時としてはかなりいいものを買い、数回使ったのだがそれっきり。デジカメこそ簡単なのにね。 「もったいない」とセンセイに言われた。 デジカメにある写真を画像倉庫に適当に移し、入れてみた。 わー、出た。きれい!感動でした。 ちなみにこの写真は、2003年の春にバッハのツアー(ドイツ。詳しくはHPを見てくださいね)に行ったとき、ライプツィヒ郊外の寒村にある古ーい教会にオルガンを聴きに行った時に撮った、教会内部の写真。 壁など、時代の趣味の変化とともに何度も塗りなおしていて、それがまた剥がれて古い部分が見えたりしているのが面白い。 それにしても、時とともに趣味が変わると、まったく塗り替えてしまうというドイツ(ヨーロッパ)人の趣味、というのも、ナカナカな徹底ぶりですね。
March 2, 2005
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