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今月の一押し投稿は、12月13日 「やる気と脳の仕組みの話」です。依存症に陥っている人は、やめたくてもやめられない。他人が制止しても、どうしても手が出てしまう。それは、ドパミン、アドレナリン、βエンドルフィンが出て、めくるめく快感が忘れられないからです。依存症に陥ると快楽が暴走して、他人に迷惑をかけ、自分と家族の生活を破壊します。しかし、私たちがやる気を出して建設的、積極的な行動をするためには、適度に報酬系神経回路を活性化していくことが欠かせません。どうすれば、依存症に陥ることなく、意欲を高めることができるのか。最近の脳科学は、その仕組みを明確に説明しています。生の欲望の発揮を目指している私たちには、とても参考になります。どうぞご参照ください。
2021.12.31
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リッツ・カールトンの創業者のホルスト・シュルツ氏の話は、大変参考になります。彼はリピーターが絶えない最高級のホテルを作りあげました。そのために彼はどんなことを考えて実行したのか。1、まず、経営の指揮を執る人は、世界一お客様に愛されるホテルを作るという高い目標を掲げることが大切だと言います。行き先も決めずにクルマを走らせたらとんでもないところに行く。目的地を決め、道筋を見通してクルマを走らせれば、納得のいく結果が得られる。かけた時間と燃費に見合う場所に到達する。経営者があいまいなビジョンで出発した事業はほぼ失敗する。リーダーがフラフラしていては、全従業員が路頭に迷うことになる。2、目標を実現するために具体的に取り組むべき課題を24項目にまとめた。たとえば、その最初の項目に次のように書いてある。私たちの事業は、お客様の期待に応えるプロダクトを生み出すことによって、わが社の所有者にとっての価値と成果を生み出すことである。私たちは信頼でき、思いやりがあり、タイムリーなサービスを、競合他社より高いレベルで提供する。それを行う従業員は、会社への帰属意識を持ち、目的を持ち、尊敬され、権限を与えられている。私たちは、高い価値観と名誉と高潔さを重んじ、社会に対する協力と貢献を忘れない。12項目目には次のように書いてある。従業員は、お客様に場所や道順をたずねられたら、お客様が安心できる地点まで、あるいは目的地が見えるところまでエスコートする。言葉だけで説明したり、指で方向を示すだけの案内をしてはならない。3、つぎにこの具体的な課題をすべての従業員に周知徹底することが大切になる。仕事を始める前に、約10分間24の項目のうちの一つだけを取り上げて、立ったままでミーティングを行う。マネージャーは、その日意識してもらいたい課題を1つだけ声に出して読み、その意味を説明する。それに関連のあるストーリーを話したり、お客様から寄せられたコメントを読み上げたりして、その課題が実際の仕事の中で何を意味するかを教える。それに関して、従業員にも意見を述べてもらう。そのミーティングが終わったら、全員が自分の持ち場へと散っていく。今日課題の1を取り上げたら、明日は2番、その翌日は3番を取り上げる。こうして課題を頭と体に染み込ませる。そして全員で共有化していく。24日過ぎたらまた1番に戻って、同じことを毎日くり返すのである。1年間でいうと一つの課題を15回は繰り返すことになる。どの部署にいても、これをしないで仕事を開始することは許されない。リーダーは口が酸っぱくなるほど、従業員に伝えることが大切である。そういう仕組みを作り、全部所で日々実行しているということだ。4、つぎに自分の仕事の出来栄えを10点満点で自己評価させる。10点か9点の出来栄えはOKだが、8点以下の場合は、9点以上にするための方策を、各従業員に考えさせて実行させる。9点以上に自己評価した場合は、過大評価している可能性があるので、第3者の視点で再評価する。マネージャーの場合は、ホルスト・シュルツ氏が立ち会う。問題が出てきて、6点から7点くらいに評価替えになることがある。その時、言い訳や弁解は許さない。決して妥協はしない。また叱責や指示命令で強制的に改善命令を出すことはしない。自らが6点を9点以上にする方策を見つけ出すように促す。従業員自らが問題点や課題を発見して、自然に行動することを目指している。全従業員がワクワクドキドキするような仕事ぶりになると、自然に理想に近いホテルが出来上がっていくという。この目標管理のやり方は、森田理論学習している人にも大変役立つ。一人の人間に置き換えた場合、ここでいうリーダーは自分自身である。自分自身が目標や夢を持つことは、生きがいを持つということである。目標や夢を持ったら忘れないように紙に書いて壁に貼り付ける。それを朝晩見て読み上げる。そして自分を鼓舞していく。つぎに、目標に至るために具体的な取り組むべき課題を作る。ホルスト・シュルツ氏はそれを24項目ほど作った。それを部署ごとに毎日スタンドミーティングで共有化して行った。目標は達成可能なものに分解して、たくさん作った方がよいということだ。あとは愚直に行動することだ。実際に行動に移すことが肝心である。そして小さな成功体験を積み上げていく。そして徐々に目標に近づいていく。その途中で新たな問題や大きな壁に行く手を阻まれることが予想される。その壁をどう乗り越えていくのか。軌道修正はどのように行うのか。ここが思案のしどころである。ここで簡単にあきらめてはいけない。やり方を変える、時期をずらす、人の力を借りる、資金の提供者を探すなどいろんな面から打開策を探る。この路線に乗って挑戦し続けていくと、生きることが楽しくなるはずだ。ホルスト・シュルツ氏はホテル事業という面でそれをいかんなく発揮されたわけですが、その内容は個人としての生き方にも通じるものがあると思う。(リッツ・カールトン最高の組織をゼロからつくる方法 ホルスト・シュルツ ダイヤモンド社参照)
2021.12.31
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高良武久先生が取り上げられている特殊用語も見ておきましょう。劣等感的差別観・・・他人と比較して、自分は社会への適応能力に欠けている。性格的に弱い面がある。容姿に問題を抱えている。能力面で見劣りがしている。やる気が湧いてこない。外界からの刺激に対して、特別に抵抗力がない。他人と比べてことさら自分の方が多くの問題を抱えている。そして劣等感的、批判的、否定的な思い込みをどんどん募らせて、自暴自棄になっている。ダメ人間で救いようがないと思っている。マイナス面があれば、プラス面もあって、バランスが取れているという思考ができない人のこと。部分的弱点の絶対視・・・完全な人間はいない。人間はそれぞれ身体的、精神的な欠点や弱点を抱えている。それらが気になるが、とらわれてしまって、絶対に取り除くというところまではいかない。不安や欠点や弱点を抱えたまま、日々の生活をこなしている。神経症に陥る人は、どんな小さな不安や心配事に対しても、それがあたかも自分の一生を左右するような一大事としてしまう。致命的な欠陥とみなして取り除こうとする。逃げ回ることになる。気になることを解決しないと、なすべきことに手をつけることができないと考えている人です。そちらでエネルギーを使い果たして、日常生活、仕事、人間関係がスムーズに回転しなくなる。劣等感的投射・・・自分の欠点や弱みにとらわれて、そこに注意を集中させて葛藤・苦悩していると、その自分を見ている周囲の人も重大な関心を持っていると思い込んでしまう。自分に対して軽蔑、反感、嫌悪感を持っているに違いないと思い込んでしまう。他人は自分の抱えている問題や目の前のことに関心を寄せており、ことさら他人のことを注目しているわけではない。そのことが分からない状態であり、防衛反応にエネルギーを使う。異物化のからくり・・・不安は欲望がある限り、自然発生するものですが、欲望はあってもよいが、不安はあってはならないものとして、異物とみなして排斥しようとする態度のこと。不安は生きていく上で必要なものという認識に欠けている。不安の役割や特徴、不安と欲望の関係、欲望の暴走の弊害の学習が不足している人です。防衛単純化・・・普通の生活をしていると、不安をかきたてる要因は次々に湧き起こってきます。すぐに解決できる不安は積極的に手を出し、どうすることもできない不安はそのままにして次の課題に進むようにするのがセオリーです。神経症に陥る人は、気になる一つの不安・欠点・弱点をことさら問題視して、これを解消すれば、万事解決して人生がうまく回転するように錯覚するようになるということ。脳では防衛系神経回路が作動しており、行動は消極的、回避的になります。
2021.12.30
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物の性を尽くす・・・どんなものにも存在価値があります。その価値を見直して、とことん活用していきましょうということです。ないものねだりをする前に、その物の持っている価値を見出して、相手に居場所や活躍の場を提供するという考え方です。物の性を尽くす以外にも、己の性を尽くす。他人の性を尽くす。時間の性を尽くす。お金の性を尽くす。自然の性を尽くす。などがあります。不安常住・・・人間はさまざまな欲望を持っています。欲望のない人間は、生きがいを持つことができません。延命をはかることもできません。その欲望の発生に伴って、不安が湧き上がってくるようになっています。欲望と不安はコインの裏表の関係にあります。ですから不安だけをなくして、欲望だけを追い求めることはできません。欲望と不安は、車でいえばアクセルとブレーキの関係にあります。アクセルを踏み込まないと前に進むことはできません。しかし一旦動き出した後は、ブレーキをかけて、スピード調整をしないと事故になります。諸行無常・・・すべての物は絶えず変化し流動しているということです。変化を察知して、その変化に合わせて、行動することが理にかなっています。神経症の人は、一つの不安にとりつかれて、不安を固定しようとしますが、このやり方はまずいのです。その不安は一山登り切れば、後は下り坂に向かうようになっています。つまり不安を取り除こうとしないで、自然の動きに任せると、鎮静化するようになっています。治さずに治す・・・神経症は治そうとしているうちはいつまで経っても治らないが、治すのを断念すると、その日から治り始める。不安から逃げていると、不安は勢いづいて、どんどん追いかけてくる。そのまま逃げていると、最後には神経症として固着してきます。不安が気になるままに、なすべきをなすという生活を堅持することで、神経症に陥ることは避けることができます。運命を切り開く・・・最悪の状況に追い込まれると、誰でも惨めな気持ちになります。その環境や境遇を上から下目線で眺めて、非難や否定をしないようにしましょうということです。そこが自分の逆転人生の出発点だと認識する。そして課題や目標を設定して、事態を改善するための行動を開始するということです。事実をあるがままに認めて受け入れないと、そういう心境にはなれません。昔から名を成した人は、逆境に押しつぶされることなく、自ら運命を切り開いていった人です。唯我独尊・・・自分がこの世に生きているということは、偶然とはいえ、とても意味のあることである。自分がこの世に活かされていることを感謝して、よりよく生きてゆきましょう。一人一人の人間は、世界中に一人しかいないかけがいのない存在であります。自分に備わっているものや能力を有効活用して、限りある人生を悔いのないように生きていきましょうということです。無所住心・・・注意や意識を一つの不安に向けるのではなく、気になる様々な不安に次々にとらわれていきましょうということです。次々にとらわれていくということは、一つのことにいつまでもとらわれるということはなくなります。その時々に応じて、様々なものにとらわれるということは、不快な感情を次々と流していくことになり、一つの不安にこだわることがなくなります。不即不離・・・これは字のごとく、引っ付きすぎないように、離れすぎないようにするということです。人間関係は、必要に応じて、必要な時に、必要なだけ付き合えばよいということです。広く浅くが基本になります。子育てでは、放任もいけませんが、過干渉や過保護も問題が生じます。神経質性格者は、行動する前は考え過ぎてなかなか行動しませんが、一旦行動を始めると今度は打って変わってのめりこんでしまうことがあります。これも不即不離を心得ての行動が大切になります。背水の陣・絶体絶命・・・不安神経症の人は忽然として神経症が治ることがあります。それは生きるか死ぬかという背水の陣を敷くことができるからです。絶体絶命になると、森田理論学習に集中して真剣に向き合うことができるようになるのです。強迫神経症の人は、不安や恐怖で相当苦しい思いをしていますが、直接命にかかわるような局面にはならないのです。苦しいときは逃避するという逃げ道が用意されているのです。これは救いという一面があるのですが、それ故に、どうしても真剣さが欠けてしまう。強迫神経症の人は、頓悟という治り方はしないといわれます。どちらかというと、タマネギの薄皮をはぐような漸次の治り方をする。あなたメッセージ・私メッセージ・・・これは森田先生の言葉ではありません。ただし、森田理論学習の中でよく出てくる言葉です。自分の思い、気持、感情、考えを相手に伝える時に、主語をあなたではなく、私にして話しかけるということです。あなたを主語にすると、指示、命令、脅迫、押し付けになることが多い。私を主語にすると、自分はこう思っているが、あなたはどう思っているのですかという展開になりやすい。どう行動するかはあなたに決定権がありますよということになり、人間関係が対立することを回避できます。
2021.12.29
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感じから出発する・・・好きか嫌いか、やりたいことかどうかなどという自分の本音を認めて行動を開始する。自分の感情、気持ち、欲求を優先的に考えていく態度のこと。相手の気持ちを忖度して、自分の気持ちを抑圧する態度は問題になる。観念を優先して、自分の感じを抑圧していると、葛藤や苦悩でのた打ち回るようになる。ただし、欲望が暴走しては困るので、感じから出発して、次に理知で調整していく態度の養成が大切になる。感じを高める・・・我々は、見るものや聞くものに、ちょっと心を止めていれば、必ず何かの感じが起こる。かりそめにも、これにちょっと手を出しさえすれば、そこに感じが高まり、疑問や工夫が湧き起こって、興味が湧いてくる。これを押し進めていけば、そこにいくらでも、進歩がある。「かくあるべし」を優先すると、気づきや発見、興味や関心を無視・軽視してしまう。すると、積極的、創造的、建設的な行動が抑制されて、生産的な生き方ができなくなってしまう。純な心・初一念・・・最初に湧き上がってくる素直な感情のこと。直観ともいう。この感情はしっかり掴まえないと、すぐにかき消されてしまう。そして「かくあるべし」を含んだ、第二破の感情でおおわれてしまう。その結果、隠蔽、言い訳、弁解、ごまかしなどの言動が多くなる。素直な感情をしっかりとチャッチして、そこからの言動を心掛けることが大切になる。あるがまま・・・どんなにイヤで理不尽な感情が湧き上がって来ても、それを排除しようとしない態度のこと。不安、恐怖、不快、悲しみ、怒り、嫉妬、孤独感、無力感などの感情が湧き上がってきたとき、その感情を排除・回避するのではなく、そのまま味わうという態度が大切になる。感情の事実に素直に対応すると、葛藤や苦悩で苦しむことはなくなる。物そのものになりきる・現在になりきる・・・最初のうちは神経症を治すために、強いて実践行動しても構わない。ところがいつまでもそのような気持ちでは心もとない。実践しているうちに、つい熱中して、神経症のことは一時的に忘れていたという体験を積み重ねていくことが大切になる。その積み重ねによって、タマネギの薄皮をはぐように神経症は軽快していく。修養・・・神経症を克服するためには、理論学習を積み重ねるだけでは不十分です。それだけでは神経症はむしろ悪化してくる。神経症を克服するためには、理論を学習するとともに、実行・体験により身体レベルで検証することが欠かせない。理論学習と実践・行動は車の両輪という考え方です。そのバランスを意識して、成長発展していくという態度を持ち続けることが大切になります。努力即幸福・・・目標達成したから満足であるということではありません。途中で挫折する、失敗したからすべてが無駄というわけではありません。目標達成第一主義はそのプロセスには重きを置いていません。この態度は問題です。その課題や目標に向かって努力している過程は、ハラハラドキドキ、精神が緊張して一心不乱な状態です。課題や目標、希望や夢に向かって努力している時が一番幸福感を味わっている時です。問題を解決し、目標を達成してしてしまうと、また新たな課題に取り組むことが肝心です。
2021.12.28
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羽生結弦選手が北京五輪で3連覇に挑む。全日本選手権の話題は、試合で初めて挑んだ前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)だった。何とか転倒はまぬがれたが、両足での着氷になった。回転が足りず、出来栄え点は3.89の減点となった。このクワッドアクセルは、高さも、回転の速さも今までのレベルとは全く違うという。軸の作り方も他のジャンプとは勝手が違うという。それでも挑み続けるというのが凄い。インタビューで次のように語っていた。自分でも焦っていて、早く飛ばないと体が衰えていくのが分かった。しかし北京五輪を目指す覚悟を決めた背景には、クワッドアクセルを決めたいという気持ちが一番強くある。色々考えた結果、せっかくここまで来たなら、皆さんが僕にかけてくれている夢だから、皆様のためにもかなえてあげたいなと思った。羽生選手はオリンピックで2連覇している。決して簡単な道ではなかった。ここで勝負というとき、すべての課題をクリアーして目標を達成している。どうしてそんな芸当ができるのか。これについては2つのことが思い当たる。羽生選手は本番にあたり、「もし失敗したらどうしよう」「転倒だけは避けたい」というようなネガティブな感情が湧き上がってこないのではないか。たくさんの練習に支えられて、「よし、成功間違いなし」「練習通りやれば勝てる」という気持ちが支配的なのではないか。不安や迷いがない。つまり「心・技・体」が目標の達成に向かって一体となっている。ドパミンやアドレナリンやβエンドルフィンが出て、やる気の脳である側坐核、快楽神経系のA10神経系回路が脳全体を駆け巡っている。これは体調管理、技の習得だけではなく、メンタル面のトレーニングのたまものではないか。さらに、自分のために挑戦するというよりも、見ていただいている方に勇気や感動を与えたいという気持ちが強い。誰かのために頑張るのだという気持ちが後押ししているように感じる。
2021.12.27
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森田理論学習の中でよく出てくる特殊用語について辞書のようなものがあると役立ちます。思いつくままに、早速取り上げて調べてみました。これを「よく出てくる森田の特殊用語」として、分からなくなった時に、振り返ってみてください。今日から4日間にわたりご紹介いたします。精神交互作用・・・不安や恐怖は、注意を向けると感覚が強くなり、感覚が強くなると、ますます注意を向ける。このようにして益々不安や恐怖は強くなっていく。神経症は精神交互作用によって泥沼化してくるといわれている。たとえば、寝ている時に壁時計の音が気になりだすと、益々不快感が強くなり、最終的には時計を止めてしまうことになる。精神拮抗作用・・・欲望が発生すると、その欲望を制御するような感情も同時に湧き上がってくる。これは人間に元々備わっている心の働きとなっている。コインの裏腹の関係のようなものである。たとえば、人の称賛を得たいと思っている人は、同時にミスや失敗をして恥をかきたくないという気持ちも同時に湧き上がってくる。手段の自己目的化・・・最初は目の前の課題や目標や生の欲望を目指していたが、途中で不安や恐怖などの障害物が出てきたので、それをなくすることが目的にすり替わり、本来の目的を見失ってしまうこと。恐怖突入・・・恐ろしいと思っていることに対して、破れかぶれになって突進して行くことではありません。そんなことをすれば心身の破滅を招きかねません。人間には誰しも、不安になる、気が進まない、おっくうで面倒だなどと気分本位になって、本来しなければいけないことを放り投げてしまうことがあります。いくら気が進まなくても、本来なすべきことは、イヤイヤ、シブシブでも手を付けていきましょうということです。我慢して、行動する。凡事徹底のことです。生の欲望・・・人間は生活していると、興味や関心、夢や希望、問題点や課題が出てきます。すると、それらを何とか達成したい、或いは解消したいという気持ちが自然に生まれてきます。それに向かって努力していくのが人間本来の生き方ということになります。神経症を克服した人は、最終的には生の欲望に向かって邁進していくことになります。気分本位・・・人間は誰しも楽をしたい。しんどいことは避けたい。面倒なことはパスしたい。などという気持ちになって本来やらなければいけない事であっても、手を付けないで放置してしまうことがあります。不快な気分に振り回されて、なすべきことを回避してしまうと、後で後悔することが多くなります。理知本位・・・人間には大脳が高度に発達しています。それを活用して、文化や文明が発展してきました。そのうち、頭の中で考えたことが、実際の事実よりも優先されるという本末転倒した考え方をするようになってきました。つまり「かくあるべし」を持って、自分や他人や自然をコントロールしたいと考えるようになったのです。森田理論では、事実よりも観念を優先する考え方が、神経症に陥る原因の一つとみています。事実本位・事実唯真(じじつただしん)・事実に服従する・・・気分本位でもない。理知本位でもない。森田理論は事実にしっかりと足場を築いた考え方や行動が一番大切であるといいます。事実に立脚した生き方は、「かくあるべし」を押し付けないので、課題や目標に向かって前進していく出発点となります。葛藤や苦悩でのたうち回ることがなくなります。思想の矛盾・・・頭で考えたことと(観念や思想)、実際に目の前に展開される出来事は一致しないことが多い。その時、事実、現状、現実を否定して、観念や思想でコントロールしようとすると、葛藤や苦悩でのた打ち回ることになります。神経症は思想の矛盾を抱えている人が陥りやすい。思想の矛盾に陥らないためには、事実本位の生き方を身につけることが大切になります。かくあるべし・・・事実に基づかない観念優先の考え方や行動を、自分や相手や自然に押し付ける態度のことです。「・・・しなければならない」「・・・してはならない」といったものです。対立を深めて喧嘩の原因になります。観念ですべてをコントロールしようとすると、葛藤や苦悩が強くなってきます。森田理論では「かくあるべし」を減少させて、事実に立脚した考え方や行動を目指していくことになります。まだまだたくさんありますので、明日の投稿とさせていただきます。
2021.12.27
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集談会で自己否定感、自己肯定感の話がよく出てきます。今日はこの言葉の違いについて考えてみたいと思います。劣等感が強く、自己肯定感が持てない。これは「自己受容」ができないということだと思います。「かくあるべし」が強くなると、あるがままの自分を認めることができない。自分のなかにいる2人の自分が反目して、絶えず言い争っている。精神的に心休まるときがない。葛藤や苦悩でのたうち回る。精神交互作用で悪循環のスパイラルに巻き込まれると始末に負えなくなります。他人と比較して、薄毛やハゲ、メタボ、背が低い、容姿が悪い、歯並びが悪い、家がらが悪い、学歴がない、方言が抜けないなどと劣等感に苦しめられると自己否定するようになる。人生はあっという間に終わってしまうのに、そこにとらわれ続けるというのは実に残念なことです。ほかに楽しいこと、やりたいことはいっぱいあるというのに。樹木希林さんは、自分の身体は神様から預かっているものだといわれました。自分はその身体を借りて利用させてもらっているのだ。レンターカーや市民菜園を借りているようなものです。その身体を利用させてもらっていることで、人生を謳歌できているのではありませんか。それなのに、リースやレンタルしているものに、ケチをつけている。ないがしろにしている。粗末に扱っている。手入れをして、預かったものを、よりよくしようなどとは考えない。預かった時よりも、もっと良い状態にしてお返ししたいとも思わない。その考え方はお互いに不幸なことではないの。預けられた身体の方も、踏んだり蹴ったりで粗末に取り扱われるのだから、あなたに愛想をつかしてしまう。気に入らないかもしれませんが、もう少し大事に取り扱ってもらえませんかと、涙ながらに訴えているのです。もしそんなことが続けば、今度生まれ変わるときには、あなたとは金輪際コンビを組むことはしませんからね。預かった方は、こんなものを押し付けられてはたまったものではない。どうして自分だけがこんなにつまらないものを預からなければならないのか。理不尽だ。もっとかっこいいものに取り換えてちょうだい。もしそれができないのなら、あなたとは縁がなかったことにしてしまいたい。もう永遠にお別れよ。死んだってかまわない。その方が清々するわ。こうしたやり取りを神様はじっと見ておられるのかもしれませんよ。天国であなたに貸してあげた身体をどう取り扱っているのか、査定をされているかもしれません。良い査定の人は、また別の星に生まれ変わるときに、もっと大きな役割や課題を与えられて、今まで以上の活躍の場を提供されるのではないでしょうか。査定のよくない人は、あなたにはこの地球上で、せっかく知的生命体を貸してあげたのに粗末に取り扱いましたね。今後あなたには高度に発達した知的生命体としての身体は、もうお貸しすることはできません。毒蛇やワニのようなみんなに嫌われるような生き物になって生まれ変わってもらうしかありませんね。残念ですが地球上での実績が悪すぎて、知的生命体としての生まれ変わりは保証できませんね。樹木希林さんのような考えになると、常に自分持っているものを最大限に活かすことになるので、そもそも自己肯定感という言葉自体に意味がないということになります。森田ではこのことを「己の性を尽くす」と言います。自分だけではなく、所有物も、他人も、時間も、お金も、元々持っている価値以上に高めていくことを目指しているのです。全ての人がそういう気持ちになれば、世の中から争いごとや貧富の差がなくなり、真の平和が訪れます。森田理論というのは、神経症をなくするというところから始まりましたが、人類の輝かしい将来を視野に入れた人間学としてその真価を問われているものなのです。(この世を生き切る醍醐味 樹木希林 朝日新書参照)
2021.12.26
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森田では、周囲の変化を見極めて素早く対応する能力を身につけることを目指しています。そのためには、周囲にアンテナを張り巡らして、目の前の変化を正確に察知する必要があります。その変化を正確に見極めたうえで、適切な対応策を講じることが大切です。ところが、神経症で苦しんでいる人は、目の前の変化を見落とすことが多い。それは注意や意識が外向きになっていないからです。極端に内向化しています。絶えず考え事をしていて、目の前の事実が見えていないのです。さらに事実を確認しないで、人の話を鵜呑みにする傾向がある。或いは、事実確認しないで先入観、思い込み、決めつけで事実を捏造する。しかも、マイナス思考、ネガティブ思考になっている。結果的に、事実を見誤り、的外れな対応になる。そして事態は益々悪化してしまいます。人間関係の面では、別のことを考えていて、相手の話を上の空で聞いていることがある。「その話はさっきから何度も話しているじゃないの。あなた聞いてなかったの」などと言われて恥をかくことがあります。これでは相手はあなたのことを軽蔑するようになります。ぼんやりして、変化を見極めることを軽視していると、危険な目に合う確率は格段に高くなります。アフリカのサバンナでは、真っ先に肉食獣の餌食になるでしょう。また自分の体調の変化に気づくことが遅くなると、重大な病気に罹ることも多くなります。ガンになった人を見ると、時々年1回の検査を受けていなかったという人がいる。自分の身体であっても体調の変化はよく分からないわけですから、時々専門家に検査してもらうことは必要だと思います。変化に素早く対応するためには、目の前の事実をよく観察することが大切です。車の運転をするときは、自然に意識や注意は外向きになっています。初心者の時はウインカーやバックミラー、シフトレバー、ブレーキ、アクセルなどが気になり、車を操作するだけで精一杯です。これは森田でいうと注意が自分の心や動作に向いている状態です。注意の大半が内向している時は、周囲の状況が見えていませんので、時として交通事故が発生します。その段階を乗り越えると、自分の不安や動作にばかり向いていた注意は外向きに変わってきます。ウインカー、バックミラー、シフトレバー、ブレーキ、アクセルに気をとられることはなくなってきます。そこに向けられていた注意は常に外向きになり、他の車の動き、歩行者の動き、道路の状態、気象状況、交通検問、スピードの監視、交通情報などに向くようになります。また目の動きも適切になり、危険を回避しながらスムーズに車線変更も出来るようになります。いくら不安な問題を抱えていても、注意の大半は安全走行のために外向きになっているのです。「無所住心」という森田の考え方は、不安や症状に注意を向けるのではなく、目の前の出来事や変化に注意を向けていくことをいいます。変化に対応していくためには、普段の生活の中で、「無所住心」を心掛けることです。ポイントは、意識や注意の外向化を推し進めるということです。森田先生は目の前の出来事を実によく観察されていました。事実の裏を取るために、自ら現地に出向く。自ら実験をして自分の目で確かめる。決して人の話をそのまま鵜呑みにすることはない。自分の目で確かめたものを、初めて事実として認めておられました。森田療法もさまざまな療法を試して、効果があるものに絞り込んで森田療法として確立されてきました。要するに、観念優先、先入観、思い込み、決めつけで、事実を見誤ることは、意識して避けておられたのです。森田先生の「事実唯真」という考え方は、森田の核心部分です。私たちも、事実をよく観察して、刻々と変化する状況を正確につかむ。その変化の波をきちんとキャッチして、生活を前進させていきたいものです。大河の流れに逆らって、川上に向かって泳ぐことは、すぐに消耗して自滅してしまいます。それよりは、大河の流れに沿って、泳ぐ方がよほど理にかなっています。
2021.12.25
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西田文郎氏は、行動力という面から、人間を4つのタイプに分けて説明されている。参考文献は、「人生を決める3つの約束」(イーストプレス)です。1、メンタルヴィゴラス・・・感情・イメージ・思考がすべてプラスの状態で、自主的、自発的な行動がとれている人。課題や目標を意識しており、気持ちや行動が前向きで、生産的、建設的、創造的である。やる気の脳と言われる側坐核や快楽神経系が活性化して、報酬系神経回路が作動している。森田でいう「生の欲望の発揮」の旺盛な人である。人生を謳歌している人である。精神的な葛藤や苦悩が少ない人である。2、メンタルサプレスト・・・仕事など苦痛を感じながら、生活の為、家族の為、会社の為に、叱咤激励して義務感で行動している人。ただ生き抜いて見せるというエネルギーは旺盛である。「かくあるべし」が強く、森田でいう思想の矛盾で苦しんでいる人である。本音と建前が一致していないが、自分を奮い立たせて無理やり行動している。潤滑油の切れた歯車を無理やり回そうとしているような感じである。やりすぎになると、ストレスでうつ病や心身症、神経症に陥ることもある。3、メンタルディプレスト・・・マイナスのイメージに支配されて無気力な人。消極的、回避的、消費的、本能的な行動が中心で、絶えずドーパミンが出るような刺激を与えないと、憂うつになり生きた心地がしない。気分本位なところがある。欲求は何かと言われても即答できない。課題や目標が明確でない。楽しみや喜びが瞬間的で長続きしない。脳の中では、防衛系神経回路が支配的で、自己防衛、自己内省に片寄っている。積極的、生産的、建設的、創造的な行動とは無縁の人である。会社では、お荷物扱いされている人が多い。リストラの対象になりやすい。4、バーンアウト・・・燃え尽きたような状態で生きている人。2から3の過程を通過して、投げやりで、無気力、無関心、無感動状態に陥った人。かろうじて動くことはできるが、精神面や身体面の廃用性萎縮現象が顕著である。植物人間状態で、心身ともに苦しい。みなさん、現在のご自分の場合は何番にあたると思われますか。私の場合を振り返ってみると、就職した当時は2番、その後仕事に慣れるにしたがって3番になり、ギリギリのところで4番の状態は回避してきたように思う。それは長らく森田理論学習に取り組んだおかげだと思っています。そして、不十分ながらも、なんとか1番に近くなってきたかなと思っています。私は神経症で苦しんできたが、森田理論に出会ったことは最大の幸運であった。森田を学び始めて35年になるが、森田理論に取り組んで本当によかったです。神経症の克服だけではなく、生きづらさが解消できたことが大きい。分析の結果、2番、3番に該当した人は、森田理論学習によって、1番の生き方に変更することが可能になります。ぜひ一緒に森田理論学習に取り組んでいきましょう。
2021.12.24
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昨日の続きになります。私の症状は対人恐怖症です。ただし1対大勢の時は、症状で苦しむことはあまりありません。不思議なことですが、あまりものおじしないのです。むしろやる気が出てくる場合が多いのです。その背景には、小学生や中学生の時、弁論大会というのがありました。たまにクラスの代表として選ばれることがありました。全生徒の前で発表しました。校長先生を始め多くの先生が聴いています。話の内容をまとめ、みんなの前で発表するのが面白かったのです。そして賞をもらったことがとてもうれしかったことを覚えています。その時の成功体験が頭の中に焼き付いているのだろうと思います。そういう成功体験が長期記憶として残っていると、同様の機会があると、また挑戦してみたいという気持ちが湧いてくるのです。ところがこれは、1対1とか、1対2~5人の場合には通用しません。私の対人恐怖症はここにあります。対人折衝の時ネガティブで悲観的な長期記憶ばかりがよみがえってくるのです。他人はいつも自分を非難、否定、からかう、無視する、軽視する、軽蔑する存在だという気持ちが湧き上がります。これは父親から叱責、非難、否定されて育ったことが影響していると思います。この感情は、扁桃核で不快と選別されて、青斑核に送られ、防衛系神経回路がその情報を脳全体に送り込んでいます。積極的、生産的、建設的、創造的な報酬系神経回路が作動していなので、行動は悲観的、回避的になります。観念的で自己内省的になります。相手と話し合いや交渉を行い、妥協点を探るという方向には行きません。弱い相手には自己中心的になりけんかを売る。自分より強い相手には、一目散に逃げまくる。以後全く寄り付かなくなる。人間関係の悪循環を招いて苦しいばかりです。それでは、今まで対人関係で成功した体験は皆無なのか。そんなことはないはずだ。ネガティビィティ・バイアスかかっているために陰に隠れているのではないか。楽しかった体験、うれしかったと思える成功体験もきっとあるはずだ。それらをあえて思い出して、整理しておく必要があるのではないか。時々読み返すと今後対人関係の悪循環を断ち切ることができるかもしれない。ここからは私の例で振り返ってみました。まず、チヌ釣の経験を思い出した。私はそれまで海釣りの経験は全くなかった。そんな折、仕事の関係で知り合った人の中にチヌ釣の名手がいた。その人は、仕掛け作り、撒き餌の作り方、釣り方、チヌの習性、海底の構造、潮の流れなど詳しかった。服装も釣り場に着くと本格的な服に着替える。私はその人から、次々と釣りの極意を教えてもらった。その人は、私の幼稚で緩慢なしぐさを見て遠慮容赦なく叱りつける人だった。また教えてもらったことを安易に人にしゃべるなとくぎを刺された。でも反抗する気持ちにはならなかった。その人と張り合うという気持ちはなく、素直に話を聞くことができた。この人間関係での成功体験は、とても有意義な思い出となっている。つぎに集談会単独の「心の健康セミナー」を企画した時のこと。この話が最初に私のところに持ち込まれたので私が責任者になった。私は役割分担を決めて、集談会の仲間に協力依頼をお願いしたが、忙しいのかほとんど協力者は現れなかった。いろんな提案はしてくれるが、全く行動してくれない。孤立無援になりかなり焦りました。失敗する確率が高いのが恐ろしい。そんな時に、集談会には参加されていないが、昔からの熱心な会員の方が、たった一人協力者になってくれた。それも私以上に熱の入れようだった。その方は、友達や知り合いに声をかけてくれて7~8名の参加者を集めてくれた。その他、休みを取って、県や市役所の健康福祉センター、市の広報課、公民館、NPO法人、自助組織、新聞社、ミニコミ誌、関連団体への訪問や働きかけに尽力してくれた。そして何かにつけて相談に乗ってくれた。これは涙が出るほどうれしかった。私もその人の影響を受けて、色々なことに取り組むことができた。そして結果的には、100名以上の申込者があり、定員オーバーになった。捨てる神あれば、拾う神ありだなと感じた。他人と付き合うことの楽しさを味わうことができた。これも人と付き合って得た貴重な成功体験である。その他、大学時代に神奈川県の丹沢での沢登りの時も命がけだったが、友達の暖かさに接することができた。今でも友情でつながっている。トライアスロンの練習の時も、常に仲間同士で励まし合った経験がある。仲間の協力なしでは、エントリーも完走も無理だったと思っている。老人ホームの慰問活動では、協力者や同志の人がいるからこそ楽しい時を過ごすことができている。人生の楽しみ方を教えてもらったことに感謝の言葉しかない。資格試験の勉強仲間との交流も貴重な体験だった。独立開業した人とは今でも交流が続いている。これらはほんの一部である。そういう成功経験はたくさん持っているのだ。ネガティブな長期記憶にバイアスがかかっているために思い出せないのである。これからは成功体験を思い出して、「イヤイヤ待てよ、捨てたものではない」というきっかけにしたいと思っているのである。現在、対人恐怖で悩んでいる方も、きっと人とふれあって楽しかった経験は、たくさんお持ちのはずである。それを整理して思い出し、逃避しないで、行動する方向に舵を切りなおしてほしいものである。
2021.12.23
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ネガティビィティ・バイアスという言葉はあまり聞いたことがないと思います。今日はこの言葉と脳の関係について説明してみたいと思います。人間の脳は、ポジティブな成功体験よりも、ネガティブで悲観的な記憶の方をより多くため込んでいるそうです。その比率は2対8くらいになると聞いたことがあります。それは極端としても、ネガティブな長期記憶には、より多くのバイアスがかかっているのです。つまり、長期記憶として蓄積しているものの大半は、過去のミスや失敗、危険な目に遭ったこと、虫けらのように扱われたこと、苦しかったこと、恥をかいたこと、悲しかったこと、後悔したことが圧倒的に多いということです。たとえば、歳を取って、寝ている時に、親不孝をした、離婚した、子育てに失敗した、親しい人が亡くなった、倒産した、リストラされた、大きな不祥事を起こした、災害に巻き込まれたなどの記憶が次々に思い出されてうなされてしまうということがあります。反対に成功したことや楽しい思い出は夢には出てきません。これは太古の昔、他の肉食獣との戦いに明け暮れていた名残が今に至っても残っているということです。絶えず警戒していないと、命があっけなく途絶えていたのですから無理もありません。ですから、人間という生き物は、ネガティブで悲観的な記憶との親和性が高いのです。現代の日本では、安全性はある程度確保されていますので、それが前面に出てきて、行動が抑制されているというのが問題になります。森田理論の中に精神拮抗作用というのがあります。欲望や欲求、夢や希望が湧き上がった時に、不安や恐怖が自然に湧き上がってくるというものです。ネガティビィティ・バイアスの存在は実に厄介ということになります。行動を起こす時には、過去の長期記憶を引っ張り出してきます。それをもとにして頭の中で成功確率をシュミレーションしているのです。そのときに、過去の成功体験が長期記憶として残っていれば、「よし、今度も大丈夫だ」「思い切って挑戦してみよう」という気持ちになりやすいのです。しかし長期記憶の多くが失敗体験に埋め尽くされているとすると、「どうせだめだ」「無理に決まっている」「もう二度と失敗は繰り返したくない」「能力も才能もない」などという気持ちになってしまうのです。本音の世界では、完全に腰が引けているということになります。脳の仕組みでいうと、積極的、生産的、創造的な報酬系神経回路が休眠状態になります。そして内向きで、消極的、消費的、刹那的快楽を追い求める防衛的神経回路が活性化してきます。この状態で自分や他人がいくら叱咤激励して奮い立たせようとしても無理です。本音の部分がお尻をまくって一目散に逃げようとしているのですから効果はありません。ではあきらめるしかないのか。一つだけ明るい提案があります。私たちには誰でも、成功体験は数多く持っています。それを幼少期から時代を区切って調べてみることです。この手法は内観法のやり方とよく似ています。内観法は、対象ごとに、「していただいたこと」「してさし上げたこと」「御迷惑をかけたこと」をできるだけ思い出すようにします。それを1週間くらい続けていると自然と感謝の念が湧き上がってきて、涙が止まらなくなるのです。これを応用してみる手があります。ネガティブな長期記憶にバイアスがかかっていて、行動を抑制しているのならば、あえて成功体験を思い出して整理することが有効なのではないかと考えたのです。明日は私の体験で、成功体験を振り返ってみたいと思います。
2021.12.22
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みなさんフィットネスクラブにはどんなイメージがありますか。立地条件が良いところにある。たとえば駅に近い。中心街にある。歩行マシーンや筋力アップの器具がたくさん並んでいる。歩行マシーンの上には何台もテレビが設置してある。広いプールがある。シャワー室や広い風呂がある。私物を置いておくためのロッカーがある。男女のインストラクターが何人もいる。最初のうちはつきっきりで懇切丁寧に指導してくれる。私が大阪に単身赴任の時、通っていたフィットネスクラブもそうでした。その会社はみんなが知っている大きな会社が経営していました。会社が契約しているので比較的安価に利用できた。多くの人がこのようなイメージ持っている時、もしこの事業に新規に参入したい人はどう考えるでしょうか。相手は、この業界では大手企業なので新規の参入は難しい。初期投資がかかり過ぎだ。家賃や人件費も高くつく。資金も不十分だ。銀行の信用がないので融資も受けられない。ないない尽くしの状況で、新規参入すると、かえって返り討ちに合うはずだ。あきらめるしかないか。そして指をくわえてみるだけになるのではないでしょうか。こんな状況の中で、あえて参入して大成功を収めた会社がある。カーブスという会社だ。2005年に事業を開始して、いまでは全国に2000店舗ある。急拡大している。まだまだ成長途上にある。この会社は今あげた弱みや短所を逆に強みや長所として成功した。この会社のクラブには、マシーンはない。プールもない。シャワーもない。クラブは駅前にはない。住宅街や商店街にある。だから家賃も安い。特徴としては、女性専用のクラブである。スタッフも全員女性だ。時間的には30分だけの健康クラブである。予約は不要です。だから買い物途中でちょっと立ち寄って、指示に従って運動をする。腰、お腹、たるみ、体重、ひざ、体力、血圧の改善を目的としている。月単位の申し込みになる。決して安価ではない。入会金も必要になる。それなのに、大盛況なのである。私の住んでいるところから5分のところにスーパーがある。その2階にそのクラブがある。近所のおばさんたちに口コミで広がったのだという。今や女性のニーズを完全につかんでしまった。どうしてそんな芸当ができたのか。今まで年配の女性が一人で駅前にあるフィットネスクラブに通うには敷居が高かった。通うにしても気合を入れて、アスリートのような気持で取り組む必要があった。交通費もかかる。時間も下手をすると半日潰れてしまう。毎週通っていると家族や近所の人に目をつけられてしまう。満を持して通っても周囲は男性ばかりで、好奇な目で見られることがある。風呂やシャワーやプールがあっても、その後の化粧に時間がかかる。結果的に、運動によって腰、お腹、たるみ、体重、ひざ、体力、血圧の改善を図りたいというニーズに応えてくれるサービスは存在しなかったのである。このフィットネスクラブの成功は、欠点や弱点を抱えて、劣等感で苦しんでいる人たちに勇気を与える。ないない尽くしの欠点や弱点は、時として自分の長所や強みになることがあるのだ。欠点や弱点と長所や強みは、コインの裏腹の関係にあることが分かる。最悪なのは、自分の欠点や弱点にとらわれて、それを忌み嫌い、なんとか人並みに修正しようとする事である。それでは益々みじめな気持ちになります。自己否定するようになります。ここで肝心なことは、欠点や弱点を否定して取り繕うことではありません。その現実を素直に認めて受け入れるようにすることが大切です。そして、この事例に学んで、欠点や弱点の裏には、長所や強みが隠れているのではないかと考えることです。この世に存在する物は、プラス面があれば、必ずマイナス面もあって、バランスを求めて動いています。森田でいう事実本位の立場に立つことができれば、明るい見通しが立つかもしれないということです。駅前の大手のフィットネスクラブは、このやり方を真似て新規事業を立ち上げようとしても、すでにこの会社が全国展開して事業モデルを確立している。さらにこの会社はどんどん成長を続けているので追いつくことは容易ではない。また、撤退してこの分野に新規参入しようとしても、既存の施設やマシーンが無駄になる。従業員の雇用の問題もある。それらが足かせとなって参入を困難にさせている。つまり今までの強みは、容易には解消できない弱みに変化していたのである。反対にこの会社は、ないない尽くしが、身軽でフットワークがよいという長所になって輝いてきたのである。短絡的に欠点や弱点を非難・否定しないほうがよいということがよく分かる。
2021.12.21
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藤由達蔵氏のお話です。シンクロナイズドスイミングのソウルオリンピック銅メダリストの田中ウルヴェ京さんが次のような話をしてくれました。シンクロの選手が胸を張って笑顔で入場行進するのを見て「試合前によくあれだけの笑顔ができますね」と驚かれることがありますが、逆なのです。一生懸命笑顔をつくって胸を張って歩かないと、プレッシャーに押しつぶされてしまうのです。シンクロの選手は、試合にふさわしい気分を作るために、あのような表情と動作をしていたのです。トップアスリートは動作や姿勢が気分をキープしたり、高揚させることを知って実践しています。私たちも、動作や姿勢次第で、味わいたい気分を生み出せるのです。私の場合は、二の腕の力こぶが出るように肘を直角に曲げて、握った拳を上方に突き上げる動作をします。ガッツ石松さんのガッツポーズです。これをすると、勇気がみなぎります。他人によって違いますので、あなたの気分が高揚するポーズをとってみてください。そして言葉です。その言葉を口にするだけで、勇気が湧いてくる言葉を声に出してみてください。私の場合は「やったー!」と叫ぶだけで、何が「やった」のかわからなくても、「やった」気分になってしまいます。他人によっては、「良かったね」「すごいね」「うれしい」など様々でしょう。自分の高揚する言葉を探してみてください。このように、「感情表現の3要素(表情・動作・言葉)のすべてを変化させると、それだけであなたの気分は一変します。ダメ押しに、大笑いしたら、いやな気分は一気に吹き飛びます。笑った瞬間、ふっと心が空っぽになるのを体験するでしょう。これが白紙になれた瞬間です。この時間をとることで、気分は簡単にリセットできます。(結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる 藤由達蔵 青春出版社 106ページ)これは森田理論の「外相ととのえば内相自ずから熟す」ということですね。生活の発見会発行の森田理論学習の要点に次のようにあります。心の中がどんなに苦しくても、まず形だけ整えてみる。「やる気」を待つのではなく、外側(行動や態度)をひとまずととのえれば、不快な感情も、その外側につられて後退してゆくものです。私は集談会で素敵な言葉を教えてもらいました。靴がそろえば心がそろうこの言葉を肝に銘じて生活しているところです。
2021.12.20
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西田文郎さんのお話です。よく「石の上にも3年」と言いますが、どんなことでも10年やり続けていれば、ぜったいに一人前になります。もし、20年やり続けていれば、その世界の専門家といわれるようになります。さらに、30年やり続けていたら、その世界の第一人者とか、スペシャリストなどと呼ばれるようになります。世の中は不思議なもので、素質などなくても、一つのことにずっとのめりこんで30年も続けていると、絶対に評価されるのです。これは、どの分野(仕事、趣味、習い事など)にも共通していると思います。そういう人は、最初から素質があって、優秀だったかというと、全くそうではない場合がほとんどです。最初は凡人レベルでも、それでものめりこんでずっとやっていると、その経験自体が、いつか認められるようになるのです。(ウラ目の法則 西田文郎 徳間書店 104ページより要旨引用)誰でもよいことややりたいことを思いつくことがあると思います。日常生活、仕事、家事、育児、勉強、学習、趣味、習い事、ボランティアなど。それを忘れないようにメモしておくことが肝心です。つぎにこれはと思ったことは実践・行動に移すことが大切になります。手を出してみると、思っていたほど面白くはなかったというものが出てきます。あるいは簡単に達成できて、飽きてくるものもあります。当然3日坊主になることもたくさん出てきます。でも、好奇心に基づいて、興味や関心のあるものに積極的に手を出していくと生活に張りが出てきます。それだけでも意味があります。そういうものの中から、大きな目標が生まれてくるように思います。もし見つかったら宝物として扱うことが肝心です。そして宝物が見つかったら、しばらく続けることです。毎日少しずつでも、大切に育てていきたいものです。1年も続けることができたら、すかさず長期の数値目標を設定することです。そしてそれに至る小目標を立てて実行あるのみです。私の場合では、20年後にこのブログのアクセス数を1200万アクセスにするという大目標です。その次に1年ごとの中目標を立てます。さらに1か月ごとの小目標を立てます。目標と実績を比較して、未達ならば原因を追究して、改善点を掲げて実行に移します。これに関わる時間は1時間40分足らずですが、これを毎日続けることのメリットは大きいのです。生きがいが生まれます。生活が規則正しくなります。学習が深まります。生きることが楽しい。充実感が生まれます。注意や意識が外向きになります。人の役に立ちます。交流が広がります。評価されるとますますやる気が出てきます。人生の終焉を迎えた時、「我が人生に悔いはなし」と言えると思います。感謝の気持ちが持てると思います。誰でも長期目標を持って、毎日コツコツとやり続ければ達成できると思います。これが「生の欲望の発揮」に基づいた森田的な生き方と言えるのではないでしょうか。みんな一緒になって、大いに人生を謳歌しようではありませんか。
2021.12.19
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難い話が続きました。ブレイクタイムです。面白い川柳が見つかりました。ご笑納ください。あちこちで 骨が鳴るなり 古希(コキ)古希(コキ)と病院で サミットしている 爺7(セブン)デザートは 昔ケーキで いま薬無病では 話題に困る 老人会驚いた 惚(ほ)れると 惚(ぼ)けるは 同じ文字薬より 笑って治す 気の病続いて、学会に参加して作ったユーモア小話です。エビデンスという言葉がやたら出てくる。エビフライやチリソースは好物だが、エビデンスという料理は食べたことがない。中華か洋食か、はたまた天ぷらか。ひょっとするとアンデス地方の郷土料理かも知れない。馬鹿だねあんたは! 食い気しかないんだから。医学的証拠のことですよ。一つ勉強になったと喜んでいるのは、ただのめでたい人か。発表している人が、自分のことを「演者は」と言っている。学会での発表者は、副業で歌舞伎役者もしているのか。太郎冠者 「おぬしの悩みは何でござる」次郎冠者 「わしの悩みは対人でござる」太郎冠者 「さて、さて、さて、さては南京玉すだれ」事例紹介で発病した年を「2000プラス✕年」などと紹介している。うかつにも、宇宙戦艦ヤマトの遥かなる宇宙の旅を思い出した。確かイスカンダルという星を目ざして旅立ったはずだが・・・。そういえばまもなくペテルギュースが超新星爆発をするらしい。生きている間に見てみたいものだ。昼間でも確認できるというではないか。何を考えているのだ、話の中身に集中しなさいよ。もしかすると、あなたには参加資格がないのかもしれないね。喉のあたりがこそばゆくなる言葉があります。言い得て妙でございます。「その通りぴったりでございます」ということらしい。本人はこの言葉の使いどころを見つけて喜んでいるのだろう。いつか日常会話で使ってみようと思うのは私だけでしょうか。閑話休題本論から外れて、面白い楽しい話をした後、本論へ戻すことらしい。結語です。恥ずかしながら思わずお尻をまくって逃げ惑う姿を連想してしまった。
2021.12.18
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昨日の続きです。5、行動する前に気分本位になることは、誰にもあります。「おっくうだ」「面倒だ」「しんどそうだ」「楽をしたい」「やる気がしない」など。そういう気分に振り回されて行動を回避すると、その一瞬は「快」の気持になりますが、それが過ぎ去った後は、暇を持て余し、自責の念に駆られます。「不快」の気持が脳全体を覆ってきます。「快」が「不快」に変化して、防衛系神経回路が支配的になります。改善点とすれば、最初の小さな「快」は無視することです。注射針を打たれるような一瞬の痛みを我慢して、イヤイヤ仕方なく行動すれば、その次に大きな「快」の感情が待っていることを思い出すことです。最初気が進まなかったことに、取り組んだ結果、思いもかけない喜びを味わうことができたという経験は誰でも持っていると思います。6、一日の3分の1を占めている仕事に対して、苦しくて仕方がない状態は、防衛系神経回路に支配されている状態です。逆に言うと、仕事が楽しい、面白くて仕方がないという人は、報酬系神経回路が作動して、人生が謳歌できています。誰でもそうなりたいと思っているのに、仕事が楽しいとは思えない。解決のヒントは就職したときにあります。誰でも仕事を始めた頃は、必死になって仕事を覚えようとしていたはずです。つまり早く仕事ができるようになりたい。早くみんなに追いつきたいという目標を持っていたということです。その目標に目途がついたころから、仕事が辛いものに変わってしまった。仕事をする中に課題や目標を見失って、あてどなくさ迷っているのです。一心不乱に取り組むことによって、仕事の中に問題点や課題を見つけ出すことが大切になります。誰でも、早急に解決しなければならない問題を見つけた時、苦悩は一時的に棚上げ状態になります。まず仕事の中に課題や目標を見つけ出すことが重要になります。7、つぎに人間関係が対立的になると、「不快」な感情で防衛系神経回路が活性化します。人間関係でいかに多くの「快」の感情を作りだして、報酬系神経回路を作動させていくか。森田では、人間関係の基本は不即不離ということを教えてくれています。必要な時に、必要に応じて、必要なだけの人間関係を築くことです。コップに一杯の人間関係を少しだけというより、コップに少しだけの人間関係を数多く作るという態度をお勧めしています。引っ付きすぎ、離れすぎというのは、「不快」な感情を招きやすいのです。そのバランスをうまく取り、維持していくことが人間関係のコツになります。それから、人間関係で一言付け加えるとすれば、運のある人、ツキのある人を見つけて仲良くすることです。愚痴、不平不満、自己否定、言い訳、責任転嫁、環境、状況のせいにしている人には近づかないことです。百害あって一利なしです。集談会では症状を克服した人、森田理論を深めている人、森田理論を生活に応用している人、森田的な生活を維持している人に近づいていくことです。そのように心掛けていると、自分も感化されて自然に治っていくのです。一人で学習を深めて、自力で治すということは、尊いことですが、時間もかかりますし、実際には難しいと思います。以上7項目にわたって説明してきました。これ以外にも「快」の感情を作りだす方法はたくさんあると思います。要は一つでも自分の生活に取り入れて、「不快」の感情を減らしていくことです。この2日間の投稿で、一つでもそのヒントが見つかりますように。そして積極的に報酬系神経回路を回していこうではありませんか。
2021.12.18
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昨日まで数日間にわたって、脳の仕組みについて説明してきました。扁桃核で「快」「好き」に選別された感情は、ドパミンにより、やる気の脳と言われる側坐核、快楽神経の腹側被蓋野(A10神経)などに送られます。その後、報酬系神経回路のネットワークを通して脳全体に波及します。その結果、やる気が高まり、意欲的に行動するようになります。他から行動を強制されなくても、自主的、積極的な行動に繋がっていきます。さらに行動にはずみがついてどんどん好循環が生まれてきます。自分の課題や目標に対して脳が全面的にバックアップ態勢を敷きます。建前と本音が一致してくるのです。一方扁桃核が「不快」「嫌い」に選別した場合は、青斑核が司令塔となって、防衛系神経回路のネットワークが作動し脳全体に拡散してしまうということでした。脳が防衛態勢を敷いてきて、積極的な行動はできなくなります。観念で、「もっとやる気を出せ」と言っても、報酬系神経回路がお休みしています。建前と本音が乖離しており、笛吹けど踊らず状態になります。その結果、「できない」「むずかしい」「ダメ」「苦しい」「イヤ」「グチ」が多くなります。「言い訳」「ごまかし」「責任転嫁」「自信喪失」「非難や否定」「叱責」が多くなります。この脳の仕組みを理解できたことは今後の生き方に関わってきます。なんとかして報酬系神経回路を活性化する方法を見つけ出して、今後の生の欲望の活性化につなげていきたいと考えるようになりました。ここでのポイントは、いかにして「快」「好き」の感情を作りだして扁桃核に送り込んでいくかになります。この方法を考えていきたいと思います。1、感謝の言葉を書いて寝る前にそれを読む習慣を作る。あるいは「今日の感謝」と題して、日記に書いていく。感謝の気持ちは、「快」「好き」の感情を作りだします。感謝する内容は12月11日の投稿原稿を参考にしてください。2、否定語は使わないで、肯定語を使うようにする。自分の会話を録音して聞いてみると、「ダメだ」「無理だ」「できない」「イヤだ」「苦しい」「イライラする」「不安だ」「恐ろしい」「恥だ」「みじめだ」「ヘトヘトだ」などの否定語が口癖になっている場合があります。これを意識して封印しましょう。最初のうちは難しいと思います。否定語を言ったあとは、肯定語に置き換えましょう。そしてできだけ意識してたくさんの肯定語を使うようにしましょう。「好き」「うれしい」「楽しい」「愉快だ」「ウキウキする」「ワクワクする」「気持ちがいい」「幸せだ」「満足だ」「できた」「成功した」「達成した」などです。これは意識的に取り組むとかなり改善できます。3、普段の生活の中で小さな成功体験を積み重ねていく。そういう快の体験は、報酬系神経回路を刺激します。脳は、何か新しいことを始める時、過去の成功体験や失敗体験を引っ張り出してきて、成功確率を審査しているのです。人間の長期記憶は失敗やミス、後悔や恥をかいた記憶の方が圧倒的に多いそうです。成功したこと、目標を達成したこと、称賛されたこと、運がよかったこと、ツキがあったことは命に支障がないために軽視されています。その結果、扁桃核は「不快」「嫌い」と判断して、その情報を青斑核に送り込んでいるのです。自分の過去の成功体験をまとめてみるというのも有効です。4、自分の弱点や欠点、ミスや失敗は、おもしろいユーモア小話に仕立て上げて公開していく。普通は、隠す、ごまかすことが多いと思います。これらは脳が「不快」「嫌い」と判断して、その情報を青斑核に送ります。そして、防衛系神経回路が悪循環するようになるのです。公開していくという姿勢は、弱点や欠点、ミスや失敗を自分の強みとして活かしていくことになります。そういう人の周りに人は近づきます。その他取り組むべきことは明日投稿していきます。
2021.12.17
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西田文郎さんのお話です。女子のプロゴルファーは全国に620名ほどいる。そのうちトーナメントに出られるのは100名ほどの選手である。女子プロがトーナメントに出場するには、シード選手以外は、まず地区予選を勝ち抜き、統一予選会に出場する権利を得なければならない。統一予選会に出場できた120名の選手中、上位30名がトーナメントに出場できる。1995年のことだがプロ7年目の川波由利プロがいた。前年も統一予選会に出場することはできたが、どうしても上位30名に入れなかった。プロゴルファーとはいえ年間獲得賞金は150万円にも達しなかった。そんな川波プロがメンタルトレーニングを受けるために西田氏の研究所に来たそうだ。そこでスポーツ選手専用の「メンタルチェック」「モチベーションチェック」を受けた。結果は、「願望を描けず、夢を持てない状態」という結果が出ていた。プロゴルファーとは名ばかりで、6年間も鳴かず飛ばずでは、自信を喪失して、落ち込んでしまうのも当然だろう。西田氏は思考回路を変えることを指導した。ネガティブで悲観的な防衛系神経回路を封印して、ポジティブな前向きな報酬系神経回路が作動するようにした。脳の中をドパミン、アドレナリン、βエンドルフィンであふれさせる指導をした。西田氏はやる気の脳、運やツキを呼び込むための脳の仕組みを説明して指導したのだ。その結果、川波プロは半年後、念願の予選会突破を果たした。それも1位通過だった。新聞にも「プロ7年目の川波由利がトップで統一予選会クリア」と紹介されたという。そしてその年、年間獲得賞金がなんと2500万円に達した。さらにシード権も獲得してしまうほどの活躍を見せた。すごいとしか言いようがない。たった半年で、なぜ彼女は急速に変わったのか。プロ7年目にしてゴルフの技術が急に向上したのか。むろん、そんなことはありえない。気の持ちようが変わったのだ。それまでの運やツキのない脳が、運やツキのある脳に変わった。西田氏のメンタルトレーニングで、「できない脳」が「できる脳」に変わったのである。「今年も惜しいところで涙を呑むのではないか」という悪い予感が、「優秀で統一予選会を突破できる」というよい予感に置き換えられ、トッププロの仲間入りを果たすところまで、彼女はしっかり予知してしまったのだ。その予感は、脳に蓄えられた過去の記憶データからくる。「できなかった」という不快な記憶データを多く持っていれば、当然、「できない」を予感する。自己防衛的な心配や不安が入り込んでいるから、緊張・萎縮して、できることもできなくなる。「できる」という快の記憶データに書き換えれば、やる前からウキウキワクワクしてくる。そのウキウキワクワクする予感が、報酬系神経回路をさらに活性化し、能力をぐんぐん引き出し、実際にできてしまうのだ。西田氏は過去のネガティブで悲観的な記憶データの変換は決して難しくないという。記憶データがポジティブで前向きに変われば、「失敗するかも」という脳を、「成功するかも」という脳に変えることができる。にわかには信じがたいが、数多くの実績が有効性を証明しています。その点については明日以降の投稿をご覧ください。(ツキの大原則 西田文郎 現代書林 66から77ページ要旨引用)
2021.12.16
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集談会で「私の症状は抑うつです」という自己紹介を聞くことがあります。抑うつというのは、治療対象の大うつ病とは違います。気分変調性障害に近いと思います。ざっと上げると次のような気持ちが頭の中を支配しているようです。・気分がどんより重く感じる。天気でいえばジメジメとした雨が降っている状態です。絶望感が頭の中を覆い、悲壮感におそわれる。・普通なら喜びが湧き上がってくることに、喜びや関心が湧き上がらない。・元気な時には、何の苦労もなくできていたことが、すごくしんどいと感じる。行動しても疲労困憊で、やる気が起きない。・過去のミスや失敗を思い出しては、罪悪感で苦しむ。自分が生きていても意味がないように感じる。こうなる原因を考えてみました。・過大なストレスを抱え込んでいる。仕事、家庭、勉強、人間関係、経済問題、健康面などで慢性的な問題を抱えている。これらが長期に渡ると、精も根も尽き果ててうつ状態になります。・観念中心で現実を否定している。理想主義、完全主義、完璧主義、観念優先で現実を非難、否定してしまう人である。現実を観念に引き上げてコントロールしたいと考えていると、葛藤や苦悩が生まれてくる。その溝は簡単には解消できない。戦いの火ぶたぎ切って落とされ、消耗戦を余儀なくされる。勢いのあるうちはよいが、弱気な気持ちになると、うつ状態になる。・物事を悲観的、ネガティブにみる傾向が強い。物事を森田でいう両面観で見ることができない。すぐにできない、無理だ、失敗するに決まっている。お先真っ暗でどうすることもできない。神経質性格についても、心配症だ。とらわれやすい。根に持ってしつこい。他人の思惑が気になって苦しい。劣等感で苦しい。などとネガティブな面をことさら取り上げて悲観する。これらにどう対応していけばよいのか。過大なストレスは小さなストレスに改善していく必要があります。これは自分一人で解決するよりも、他人の力を借りて改善に取り組む方がよいと思います。上司、同僚、同級生、先生、カウンセラー、集談会の仲間、精神科医など適切な人を見つけて相談する。集談会では先輩会員の中に適切な助言をしてくださる人が多数います。ちなみに小さなストレスはたくさんあった方がよいと思います。ストレスが全くないという状態は、逆にそれが大きなストレスとなることを忘れないようにしたいものです。観念中心で事実を無視して苦しむということですが、これは森田理論で「かくあるべし」の弊害と苦悩の始まりをしっかりと学習することが大切です。そして観念中心から事実本位の態度を身につけることが肝心です。事実本位の態度は、生の欲望の発揮に向かう出発点となります。このことが理解できれば、後は実践や行動で検証して行けばよいと思います。物事を悲観的、ネガティブにみる傾向が強いということですが、脳の報酬系神経系回路がお休みして、防衛系神経回路に大きく振れている状態です。苦しみを軽減するために、「認知療法」に取り組んでみては如何でしょうか。物事にはマイナス面があれば必ずプラス面があります。両方を過不足なく見ないと、正しく見たことにはなりません。バランスを失った場合は、その存在すら許されないというのが自然の摂理となっています。この部分は森田理論では「認識の誤り」と言われています。「認識の誤り」は、一つの独立した学習単元に格上げする必要があると思っています。うつ状態を解消するうえでは、次の点も大切になります。・体内時計に合わせて、規則正しい生活を送る。・脳細胞膜は脂肪酸でできているそうです。特にオメガ3脂肪酸が重要です。植物の葉、海の藻などに含まれています。それらを食べる草食獣や魚などにも豊富に含まれています。ファーストフードなどの食生活の片寄りは避ける必要があります。・また週に3日、30分歩くだけで抗うつ剤に匹敵する効果があるそうです。これらは、「うつと気分障害」 岡田尊司 幻冬舎新書が参考になります。興味と関心のある方は参考になさってください。
2021.12.15
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昨日やる気と脳の関係について投稿しました。行動したくてうずうずしているときは、ドーパミンが出て報酬系神経回路が活性化していることを見てきました。これが依存症の発症まで活性化することは行き過ぎとなります。ただ、これは程度問題であって、人間が積極的に行動するためには、報酬系神経回路の活性化は欠かせないものです。今日はそれを踏まえた上で、人間が生き生きと生きていくために重要な3つの視点をご紹介していきます。1、妄想や願望ではなく実現可能な夢や大きな目標を持つ。2、1の実現に向かって挑戦するための出発点に立つ。3、人間だけに備わっている前頭前野を活用して夢や大目標に達する道筋をつけていく。順に説明していきます。1についてですが、充実した人生を送りたいという人は、実現可能な夢や目標を持つことが必要不可欠だと思います。夢や目標は今までの小さな成功体験の延長線上にあると思っています。それなしでは空想、妄想、願望に終わってしまう。つまり実現可能なイメージが湧いてこないように思います。私の例で説明しますと、現在の大目標は、今後20年をかけてこのブログのアクセス数を1200万件にしたいということです。これは現在の状況から見て不可能ではない目標です。現在のアクセス数は230万件です。年間では40万件に達しています。これを20年続けると、800万件になります。それが実現した暁には1030万件になります。このままですと、改善や努力・精進しなくても、今のやり方を踏襲すれば実現可能なことがイメージできます。これはまずいと思いました。そこで、目標数値に再設定して、改善や努力を要する目標値に変えました。そういう実現可能なイメージを持つことが大切だと思っています。みなさんも、生き生きとした人生を実現するために、例えば5年先、10年先、15年先、20年先の実現可能な夢や目標を立てることをお勧めいたします。2についてですが、オリンピックのマラソンで金メダルを獲ろうという大目標を立てた時、まず国内の選考レースを勝ち抜いて、3位以内にはいり、出場権を得ないことには話になりません。オリンピックでのマラソンのスタート地点に立つことが肝心です。私たちも大きな夢や目標をイメージできたとしても、出発点に立って、「よし、実現してみせるぞ」という出発点に立たないと、その夢や目標は、空想や妄想、単なる願望で終わってしまいます。そして夢や目標のないその日暮らしの生活に甘んじてしまうようになります。この出発点に立つということは、すごく難しい難題だと感じていらっしゃる方が多いのではないかと推察しています。この点に関しては、ネガティブな長期記憶を持たない動物や先入観を持っていない赤ちゃんの方が、出発点に立ちやすい存在だと思います。私たちは成長とともに、失敗や後悔の体験を積み重ねて、マイナスの長期記憶として蓄積しています。いざ挑戦しようと思ったとしても、「そんな大それたことができる訳がない」「難しい」「才能や能力がない」「ダメだ」「失敗して自己破産する」「みんなの笑いものになるだけだ」などと考えてしり込みしてしまいます。つまり成功体験が圧倒的に少ないのです。また事実を素直に受け入れるよりも、観念優先で事実を軽視・否定する習慣が身についています。「かくあるべし」という観念優先の態度が、出発点に立つことを阻止しているのです。これは森田理論学習で学習したことです。森田では、「かくあるべし」を減少させて、事実本位の態度を目指しています。つぎに親、学校教育、社会教育で興味や関心、好奇心を大事に育てられる教育を受けていません。どちらかというと指示命令、脅迫や強制、過保護、過干渉、無関心を前面に押し出した指導や教育を受けてきました。その結果、ひ弱ですぐに挫折してしまう人間になってしまいました。無気力、無関心、無感動、無作法の人間を大量に作り出して、人間が人間を支配する道具として取り扱うような関係になっています。これらが、夢や大きな目標に向かう出発点に立つことを難しくしています。3ですが、大脳の前頭前野は人間にだけ大きく発達しました。これを使わないと宝の持ち腐れになります。生産的、建設的、創造的な生活を目指すためには、前頭前野を活用する必要があります。2の出発点に立ち、1の大きな夢や目標を目指すときには必ず大きな壁やハードルが待ち構えています。これはエベレスト登山を考えてみるとすぐに理解できます。登山では、攻略可能なコースを選定し、いくつものベースキャンプを築き、低酸素に体を慣らす、寒さや雪崩やがけ崩れなどを回避しながら頂上を目指します。私たちも、夢や大きな目標を達成するためには、待ち構えるハードルを次々に乗り越えることが不可欠です。そのためには小さな目標をたくさん設けることが必要になります。1000段の階段も小さな1段目の階段を登るところから始まります。挑戦したからと言っても、夢や大きな目標が達成できるとは限りません。しかし努力した経験は貴重なものですし、そこに人生を賭けることで、生きがいが生まれてきます。そういう生き方は、「我が人生に悔いはなし」という気持ちを味わうことができます。
2021.12.14
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最近のMRI(核磁気共鳴画像診断)は電磁波を使って1ミリ単位で脳の働きをとらえることができるそうです。プラス思考の時は脳のどの部分が活性化し、マイナス思考の時はどの部分が変化しているかを突き止めることが可能になっています。これを利用して脳の報酬系回路と防衛系回路の流れを見てみましょう。まず報酬系神経回路の流れです。イケイケどんどんの積極的、快楽系神経回路の流れです。神経伝達物質としてはドーパミンが絡んでいます。主にドーパミンが情報伝達を担っているのです。その他アドレナリンやβエンドルフィンも絡んできます。報酬系神経回路は、別名A10神経系(快感をもたらす神経)と言われています。依存症というのはこの回路が活性化し過ぎているのです。ドーパミンはA10神経で生み出されています。A10神経系は脳幹から出発しています。脳幹は呼吸、体温調整、血液循環、消化など最も基本的な生命活動を調整しています。無意識的に調整しますが、その時の心の状態に影響を受けています。心身が穏やかな時は正常に問題なく働いています。つぎに視床下部に入ります。ここは性欲、食欲、睡眠、排泄など人間の基本的欲求をコントロールしています。ここから先は枝分かれします。1番目は、記憶の脳である海馬に進みます。記憶の脳は短期記憶と長期記憶に分けています。短期記憶はすぐに消去されますが、安全や生存に関わるような重大な記憶、反復された記憶は長期記憶として別の場所に格納されます。成功体験が数多く収納されていると、新たな挑戦をするときに、その記憶を呼び出してきます。挑戦意欲が高まり今度もまた成功確率が高くなるのです。2番目に、感情の脳(扁桃核)を通り、学習・記憶・言語の脳と言われる側頭葉に達しています。扁桃核は好き、快、できるという感情をこのA10神経系に送り込みます。つまり、やる気を起こさせる脳である側坐核や腹側被蓋野などに向かいます。この部分は私たちの意欲や行動力に大きな影響力を及ぼしています。そこが司令塔となり、報酬系神経組織に属する脳全体を駆け巡ります。最終的には、人間だけに大きく発達している前頭前野に達します。この部分が活性化することで、生産的、建設的、創造的な活動に繋がっています。この流れに乗ると前途の視界が明るくなります。一方人間には防衛系神経回路も標準装備されています。攻撃だけでは思わぬ落とし穴にはまってしまいます。攻守あいまってバランスをとっているのです。防衛系神経回路はノルアドレナリンが絡んでいます。その後コルチゾールなども絡んできます。こちらはA6神経系回路と言われています。不安や恐怖、不快感などにさらされると、脳幹が動きます。呼吸、体温調整、血液循環、消化などに微妙な影響が出てきます。心の危機に体の方が即座に対応してくるのです。つぎに視床下部に入ります。防衛系神経回路に支配されると性欲や食欲がなくなり、不眠、胃腸などが不調になります。つぎに、記憶の脳である海馬に進みます。記憶の脳は短期記憶と長期記憶に分けています。安全や生存に関わるような記憶は長期記憶として別の場所に格納されます。ミスや失敗、恥ずかしい思い、悲しい感情、後悔した体験などは、今後の危険回避のために、どんどん蓄積されていきます。普通は成功体験よりも失敗体験の方が数多く蓄積されています。今度また同じようなことに取り組む時、その記憶を引っ張り出してきて、「ダメだ、また失敗するだろう」などと決めつけてしまうのです。行動の足かせとなります。扁桃体で嫌い、不快、できないと判定された感情は、青斑核(A6神経)に運ばれます。この部分は防衛系神経回路の司令塔的役割を担っています。小さな神経組織ですが、数十億という防衛系神経組織に影響を与えています。生産的、建設的、創造的な行動を抑制して、心身の安全確保に専念するように指示しています。基本的には危険回避の方向に向かいます。黄色信号や赤信号を点灯させて、総力を挙げて防衛態勢を取らせているのです。そのために精神活動は内向きになります。無気力で覇気がなくなります。この2つの神経系の関係は、普段は報酬系神経回路が前面に出て大いに作動し、その行き過ぎを防衛系回路が制御するというのが望ましいと思われます。しかし分別がついてくると、危険回避の考え方が主導権を取り、報酬系回路が抑制的になる人が多いようです。努力することを回避して逃避的になり、生きがいを無くしていきます。現代人は、報酬系回路の賦活が緊急課題となっていると思います。人間は対象に働きかけて、課題や問題点の解消のために精進するという宿命を持った生き物です。それに沿った生き方をするためには報酬系神経回路を活性化することが大切になります。そのためには、達成可能な大きな目標を持つ。目標をしっかりイメージする。先入観を排除して正しく現状分析を行う。かくあるべしを排除して、今現在の事実に素直に従う。現実を踏まえて、大きな目標に向かう道筋をつける。つまり、短期で達成可能な小目標をいくつも設けて成功体験を積み重ねる。その途中で失敗をしても、軌道修正を繰り返しながら目標に向かう。立ちはだかる壁や失敗は成功のための糧にしていく。目標達成できるまで粘り続ける。この路線にのって生活している人は、生きがいを持った人生を送ることができるのではないでしょうか。この点については明日詳しく見ていきます。
2021.12.13
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あなたの周りいる人で、異性に好かれる珍しい人はいませんか。私の周りにはいます。とびたたてイケメンという人ではありません。それなのに次々と、女性の心をつかみ親しくなっていくのです。他人の思惑ばかり気にしている人にとっては、どうしてそんな芸当ができるのか不思議です。今日は異性に限らず周囲の人を引き付ける方法を、考えてみたいと思います。その方法は、相手の心に快の感情を湧き起こすということです。相手の頭の中に快感情を発生させて、報酬系神経回路が動き出すようにする。人間は好きなことや快感をもたらすものには目がないと思うのです。・笑顔での挨拶を欠かさない。暖かい言葉をかける。・相手の話をよく聞いてあげる。共感してあげる。・落ち込んでいる時、大丈夫だよ、心配しなくてもよいと励ましてあげる。・ダジャレ、川柳、ユーモア小話などで相手を楽しませる。・自分のミスや失敗談は大袈裟に加工して公開する。・相手の名前を連呼する。できれば愛称で呼ぶ。・ちょっとしたものをプレゼントする。・本などを貸してあげる。・役に立つ情報の収集に努め相手に教えてあげる。・困っている時にはすぐに助けてあげる。私の元同僚で異性の心を掴むことが上手な人のやり方を紹介します。ひと言でいえば、相手の気を引くことを次々に実行しているのです。仕事ぶりは今一つでしたが、その方面ではとにかくマメな人でした。いつも人の輪の中にいるような人でした。そういえば釣りバカ日誌のハマちゃんに似ている。相手の名前は男女に限らず愛称で呼んでいる。出社すると仕事を始める前に挨拶をして回っている。外回りの時は電話やメールをこまめにしている。会社での歓迎会、忘年会などはいつも幹事を引き受けている。店の選定、進行などが完璧で、みんなから信頼感を得ている。用事がなくても絶えず人と接触することを心がけている。外回りの営業から帰ってくるときには、アイスなどを買ってきて配る。出張や旅行に行ったときは、必ずお土産を買ってくる。それも行列をして買ったとか、いかに評判の良いお菓子であるか説明している。いつのまにか女性社員にお土産を催促されるようになっている。せっせと試供品や招待券をもらってきては周りの人にプレゼントしている。いつもやさしい言葉をかけている。愚痴や他人の悪口を聞いたことがない。ミスや失敗をしたときは慰めている。心配いらないと励ましている。自分がミスや失敗をしたときは、面白おかしく脚色して披露している。ダジャレのオンパレードといった印象がある。相手のよいところを見つけるとすぐに誉めてあげている。また第3者に吹聴して間接的に誉めることが多い。「かわいい」「好き」「素敵」「きれい」「すごい」「素晴らしい」「かっこいい」という言葉が口癖になっている。何回も繰り返すので相手もその気になってしまうのかもしれない。カラオケ、飲み会、ボーリング、小旅行、観劇などを企画している。雰囲気がよく、安くて美味しい店を何軒も知っている。近くの穴場スポットをよく調べ上げて、行かないかと誘っている。断られたら、「じゃ、またね」とすぐに引き下がる。ダメでもともと、うまくいけば儲けものという感じなのだろう。この中であなたが心がけていることはいくつありましたか。人の思惑が気になっている人は、これらのなから実践課題をつくって実行してみるというのは如何でしょうか。相手の脳が報酬系回路で回転し始めた時、きっとあなたにツキと運が向いてくると思います。人間関係が好循環すると、人間として生まれてきて本当によかったと思えるようになります。
2021.12.12
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みなさんの中には、朝晩仏壇に手を合わせておられる方もいらっしゃるでしょう。私は寝る前に先祖様の名前をつぶやきながら焼香しています。今日も見守っていただいてありがとうございますと感謝します。これをしないと寝床に入る気になれません。その時感謝の言葉を書いたものを読み上げるようにしました。「素晴らしい1日を送れたことに感謝します」「いつも見守ってくれている両親、ご先祖様に感謝します」「いつも支えてくれる妻に感謝します」「自分のもとに生まれてくれた子供(○○)に感謝します」「今日1日ご縁のあった人に感謝します」「今日も無事に仕事が終わったことに感謝します」「今日もおいしい食事にありついたことを感謝します」「心身ともに健康で過ごせたことに感謝します」「私を助けてくれたすべてのものに感謝します」感謝しながら、グチを言うことはできません。不平不満、非難や否定することもできません。つまり不快や嫌いという感情を吹き飛ばして、快や好きな感情にさせてくれます。快の感情はドパミン、アドレナリン、βエンドルフィンを分泌させます。それらがやる気の脳の司令塔である側坐核、快楽の中枢司令塔の腹側被蓋野(A10神経)を刺激します。それらは報酬系神経回路を刺激して脳全体を駆け巡ります。特に理性の脳である前頭前野がその意向を後押ししてくれます。生産的、建設的、創造的に働いてくれます。一度快感を知った人は、弾みがついてまた体験したいと思うようになります。プラスのスパイラルにはいり、しだいに幸せな人生になります。感謝をしない人と比べると、最後には雲泥の差となって顕在化します。
2021.12.11
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2021.12.10
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今日は「できるかも」「やれるかも」「うまくいくかも」「成功するかも」などとポジティブに考えることができる人のエピソードを紹介します。・北京オリンピックに出場した日本代表の女子代表の女子ソフトボールチームは、いつも強豪アメリカチームに負けてばかりでした。アメリカはそれまで世界選手権6連覇中で、通算116試合戦って106勝10敗。オリンピックでも3大会連続金メダルと「世界一」の座を譲ったことがありませんでした。オリンピック前の予想でも、「日本はアメリカに勝てっこない」という評価でした。日本チーム内部でもそんな気持ちが支配していたのです。日本チームは、猛練習をしながら相手チームの戦力分析を徹底しました。その上で「勝てるかも」というメンタルトレーニングを取り入れました。まず勝てるというイメージトレーニング。そしてネガティブな気持ちをポジティブな言葉で上書きする。「今度は絶対に勝てるはず」「日本にはツキがある」「守りが鉄壁だ」「チームワークは最高だ」「今までのリベンジのチャンスがやってきた」「日本中に感動を届けたい」選手全員が「イケイケどんどん」の報酬系神経回路を作動させたのです。そしてまさかの世界一。日本中が歓喜に包まれたのです。・伊丹仁朗先生の生きがい療法では、ガンになっても積極的な生き方が時としてガンを克服するといわれる。ガンを受けいれて、自分が主治医のつもりでガンとたかっていく。その日その日を大切に生きる。人の為に役に立つことをする。大きな目標を持って生きる。その一つとしてガン患者とともにヨーロッパ最高峰モンブランに登頂された。会合では、ユーモア療法、絵画療法、イメージトレーニングを取り入れている。これらの取り組みが、脳の中でドパミンを出して、側坐核、腹側被蓋野(A10神経)の活性化による報酬系神経回路の活性化を促進する。私が知っている方は、スキルス胃がんになられて内臓の摘出手術をされ、5年生存率は大変厳しいものだった。にもかかわらず、手術後フルマラソンに挑戦された。何度も完走された。そして5年を乗り越え、主治医からはもう診察に来なくても大丈夫と太鼓判を押されたという。現在は闘病体験を伝える活動に熱心に取り組まれている。・トイレ掃除神話を生み出したイエローハットの創業者の鍵山秀三郎が、毎朝率先してトイレ掃除を始めた当初、自分の会社の社長が掃除することを従業員たちは快く思っていなかったそうです。しかし、鍵山氏は自らトイレ掃除をすることにこだわりました。トイレ掃除は、臭い、汚い、誰もが嫌がる仕事です。汚いと脳の中では不快な気持ちでいっぱいになります。しかしその気持ちを持ちながら、ゴシゴシトイレを磨き、ピカピカになったころには脳の中に変化が起きます。不快な気分がどこかに飛び去り、すがすがしい快の感情が生まれてくるのです。快の感情は報酬系神経回路を作動させて好循環を作り出します。快の感情は、仕事面でも次々に快の感情を生み出して、好影響を与えるようになるのです。・良寛さんは三条地方を巨大地震が襲った時、友人に出した手紙の中に「災難に逢う時節には災難に逢うがよきに候」と書いたそうです。普通は家を失って、身内の人がなくなったりしている時に何という不謹慎なことを言うのかと怒りを覚えるのではないでしょうか。良寛さんは、神様を恨み、運の悪さを嘆くことはされていない。災害を粛々と淡々と受けいれて、後片付けや家の建て替え、これからの生活の建て直しのことに心を砕いておられる。事実を素直に受け入れることができる人は、不快の感情にとらわれることがない。防衛系神経回路が悪循環することを避けることができるのではないでしょか。それだけでも運命を呪い、意気消沈することを避けて、立ち直ることができるのではないでしょうか。いったん不快の感情が湧き上がっても、それを快の感情に置き換えることができる人は、報酬系神経回路が活性化して、前向きに気持ちになることができます。
2021.12.10
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あなたは、「やってはいけないと分かってはいるが、つい手がでてしまう」ことはありませんか。強迫神経症も、誰でもこんなことをしてはいけないという気持ちは持っているのですが、つい手が出てしまうという側面があります。一般社会でも、「やってはいけないことは重々承知しているがやめられない」という人は多い。営業マンで誰も見ていないことをいいことにして絶えず仕事をさぼってしまう。自分と家族の破滅に繋がるのが分かっているのに、アルコール、ギャンブル、薬物、深夜のネットゲーム、風俗、ネットでの衝動買、過食などにどっぷりとはまってしまう。これらも、やってはいけないことは本人が一番よく知っています。一般的に依存症と言われるものですが、これらにはまってしまうと、会社は解雇される。離婚問題に発展する。借金がかさむ。病院に収容されることもある。裁判沙汰になることもある。その人の人間性に問題があるわけではないのに、社会復帰は極めて難しくなります。何とも悩ましいことになります。自分の人生が破壊されます。この問題は私には関係のないことだと思っている人が多いと思います。はたしてそうでしょうか。ちょっとしたきっかけで陥ってしまう可能性があるのではないかと思います。依存症に陥る人は、ストレスや生きづらさを抱えているのかもしれません。生活苦、借金、人間関係、仕事、勉強面などで大きな問題を抱えて、押しつぶされそうな重圧にさらされているのかもしれません。あるいは何をしても生きているという実感が持てない。生きがいというものがないのでイライラしている。そうした生きづらさが脳全体を覆っている。そういう意味では、神経症に陥っている人は依存症と親和性があります。私がパチンコ依存症になりかけた時、仕事に対する意欲をなくして、投げやりな生活になっていたことを思い出します。依存症に陥る人の脳の仕組みはどうなっているのでしょうか。今日はこの問題を取り上げてみたいと思います。扁桃体で不快と判断された情報が青斑核(A6神経)に送られる。青斑核は防衛系神経組織の司令塔的な役割を担っていることが分かっています。12000個程度の神経組織が、数十億という防衛系神経組織を動かしています。脳全体が専守防衛に入ります。その時報酬系神経組織の司令塔である側坐核やA10神経はお休みしています。つまり脳全体が憂うつで、否定的、悲観的、投げやり状態になっている。そういう状況は精神的に苦しいので、そのまま放置することはできません。なんとかしないと、重大な精神疾患で取り返しがつかなくなくなる。そこで少しでもエネルギーの残っている人は、急いで快楽感情を作りだして、その苦しみから抜け出すことを考えるようになります。その立役者はドパミン、アドレナリン、βエンドルフィンなどです。それらの助けを借りて危機を回避したいというのは自然の流れです。その手段として、アルコール、ギャンブル、薬物、深夜のネットゲーム、風俗、ネットでの衝動買い、過食などに依存することになるのです。つまり不快感のほうに振り子が大きく振れているために、大きな揺り戻しで調和を取ろうとしているのです。依存症はその大きな揺り戻しのために、さまざまな問題を引き起こしているととらえるべきです。防衛的神経組織の行き過ぎを中和するために、急いで報酬系神経回路を大きく作動させないと、自分の精神状態が維持できないという切羽詰まった状況に追い込まれているのです。生き延びるための対策が、様々な問題を引き起こしているわけですから、依存症に陥っている人は踏んだり蹴ったりでやりきれないのです。あらゆる依存症は人間性に問題があって発生しているのではありません。依存症で苦しんでいる人は同情すべき対象であり、決して非難・軽蔑してはいけません。脳の過大な防衛系神経組織が我が物顔で脳の中を駆け回っているので、苦し紛れの対策を取った結果として引き起こされているのです。依存症には条件反射制御法が有名ですが、これは対症療法になると思います。一時的には効果があるでしょうが、再発は免れないと思います。依存症の根本的解決策は、報酬系神経組織の活性化にかかっていると思います。報酬系精神回路と防衛系神経回路のバランスを取り戻すことが欠かせないと考えます。
2021.12.09
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森田理論は、生の欲望を活性化させて生きていくことが最終目標となります。そのためには、次の3つを視点は無視することはできません。逆に言えば、次の3つがきちんと実行できていれば、積極的、生産的、建設的、創造的な人生を送ることが可能になると思います。1、観念優先の態度を事実優先の態度に切り替えること。観念優先の態度は事実を否定します。さらに否定した事実を観念の世界に引き上げようとします。これが「思想の矛盾」を引き起こし、葛藤や苦悩で苦しむようになります。エネルギーや時間やお金の無駄遣いになります。森田は「かくあるべし」という態度を、事実本位に切り替えることがとても大事だと教えてくれています。事実本位は生の欲望の発揮への出発点だと考えています。2、森田先生は、目の前の出来事を見つめていると、感情が動き出すといわれます。気づき、発見、好奇心、興味や関心が見つかると感情が動き出します。つぎにその感情が流れ出す。問題点の解決に向けて改善点が見つかる。工夫やアイデアを思いつくようになる。感情が流れ、意欲が高まり、自然に実践・行動に向かって走り出すようになる。課題や目標を持って絶えず果敢に挑んでいくのが人間の本来性です。森田先生は日常生活に真剣に取り組むことが最も大切であるといわれています。3、しかし、行動に向かって走り出しても、目の前には乗り越えることが困難な壁が立ちはだかります。生の欲望への道は簡単ではないということです。行く手を阻む障害物に対して、すぐにあきらめてしまう態度では、初期の目的達成は絵に描いた餅になってしまいます。目的達成のためには、障害物がつきものと考えて、それを乗り越えていく知恵が必要になります。1と2は森田理論学習に取り組んでいる人は、理解されていると思います。問題は3です。この部分は森田理論ではくわしく言及されていません。今日はこの部分を取り上げてみたいと思います。困難にくじけないで、初期の目標に邁進するためには、脳の仕組みを学習することが欠かせないと考えます。11月26日投稿の、「かもの法則」が人生を変える、という投稿がそのヒントを与えてくれています。簡単に振り返ってみますと、さまざまな感情はまず大脳の扁桃核に入る。扁桃核は「快」か「不快」、「好き」か「嫌い」に自動的に振り分けてしまう。どちらに選別されるかによって、神経細胞の活性化する部位が違ってきます。一方は意欲的で行動的になり、もう一方は消極的で抑制的になるのです。「快」や「好き」という感情は、ドパミン、アドレナリン、βエンドルフィンなどによってやる気の脳と言われる側坐核、快楽神経の腹側被蓋野(A10神経)に送られる。そこから報酬系神経回路を通して脳全体に送られる。特に理性の脳と言われる前頭前野に送られる。報酬系神経系が総力を挙げて活性化することが大きいのです。行動は積極的、生産的、建設的、創造的となる。「不快」や「嫌い」は、ノルアドレナリンによって青斑核(A6神経)に送られる。これは危険や不安を感じたときに、即座に防衛機能を敷いてくる。青斑核は防衛系神経組織に、積極的な行動を抑制して、防衛と安全を優先するように指示する。専守防衛で不安、恐怖、危険を回避する方向に向かう。これにより脳全体が安全とリスク回避を優先するようになるのです。逆に言うと積極的、生産的、建設的、創造的な行動に待ったをかけているのです。そうなりますと行動は抑制的になります。考え方も否定的に働きます。このようにして防衛系神経組織が総力を挙げて活性化するのです。その時報酬系神経組織は、休眠状態に入ります。その結果、建前でしり込みしている自分をいくら叱咤激励しても、笛吹けど踊らずという現象が起きてくるのです。建前は本音の前ではなすすべがなくなるのです。私は最初の報酬系神経回路は「イケイケどんどん回路」となづけています。防衛系神経回路は、「イヤイヤダメダメ回路」となづけています。本来この2つの回路は、どちらも大切な役割を果たしています。しかし、神経質者の現状を見たときに、「イケイケどんどん」の報酬系神経回路を活性化することがより重要であると考えます。なぜなら神経質者は、悲観的、否定的に考えることが習慣化しているからです。神経質者の場合は「イヤイヤダメダメ回路」が作動することが多く、行動はネガティブで抑制的になっています。「ダメかも」「失敗するかも」「成功するわけがない」という自動思考が主流になっています。これでは1と2でせっかく生の欲望の出発点に立てたにもかかわらず、すぐに頓挫してしまうということになります。そして気分本位になり、回避的な行動をとります。ですから私たちは、なんとしても、「イケイケどんどん回路」という報酬系回路を活性化していく必要があると考えています。その点を明確に説明されているのが、西田文郎氏の書籍です。10冊以上はあるようです。そのヒントをこれから随時ご紹介していきます。どうぞ今後の投稿にご期待ください。
2021.12.08
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2021年12月の生活の発見誌の「中高年のひろば」に元気が出てくる記事があった。80歳の手習いという男性の記事である。4日に一度料理に取り組んでいるという。80歳になると、老人ホームという人もいる中で素晴らしい人である。レシピは、料理本、テレビの今日の料理、パソコン検索、新聞や雑誌など。画像の場合は、何回も見てから秘蔵のレシピ帳にタイトルと講師名を書く。具材、調味料などの内容と、その調理の仕方を説明順に書く。食材の野菜は家庭菜園で無農薬で作っている。ナス、キュウリ、トマト、ウド、タラの芽、フキ、ラッキョウなど15種類作っているそうだ。ちなみに、高原野菜として立派な白菜がテレビに映されるが、これは多量の農薬が散布されています。そうしないと、大半は虫に食べられて売り物にはならない。これは実際に作ってみるとよく分かります。自家用野菜は虫よけの不織布をかけて無農薬で作っているのです。この方は料理挑戦の意味について次のように説明されている。1、また一つ趣味が加わった。2、菜園作業に新たな励みが出てきた。3、家人それぞれの料理にまつわる会話が増えた。4、食の幅が広がった。5、具材買い出しで、スーパー行きが増えた。6、退職後に、家人が作ったものをただ食べるという居候的立場から、多少なりとも作る側にも入ったという安堵感は大きなポイントである。日々の食生活を楽しまれている様子が目に浮かぶようです。このような気持ちを持っている人がボケないで長生きされるのだと思います。私は集談会の「生活森田・応用森田・活用森田」でこのような話を聞けることが何よりも楽しみです。励みになります。特に食生活は生活の要だと思います。私の理想はお米は田舎でたくさん収穫できますので、さまざまな釜めしと自家用野菜をふんだんに使った具だくさんのけんちん汁をメインにした食事です。それに酒のあてがあれば申し分ないと思っています。私も公民館活動の「男の料理教室」に参加することがあります。その時に作ったものです。なお私は集談会に参加できなくても、生活の発見誌をとって隅から隅まで読むことを実践することは、とても大きな刺激を与えると考えています。これをジャンル別に分けて、書き出したり、切り抜きをして、オリジナルテキストを作成することで、大きなやりがいができます。発見誌はとことんまで活用したいものです。これこそが森田実践だと思っています。興味のある方は下記のURLをクリックしてみてください。生活の発見誌を読むには
2021.12.07
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12月号の生活の発見誌には対人関係の持ち方についてとても参考になる記事が多かった。その中でも私の目を引き付けた記事があった。携帯に500人ほどの登録があるという人の話である。この500人はその方を中心に同心円をいくつか書けますといわれている。同心円は私との関係が濃い人からどんどん薄い色になって広がっていきます。一番薄い人は、年賀状を交換するだけの人だそうだ。またこの同心円は固定的ではないそうです。その時々で、必要な時に、必要に応じて、必要なだけの臨機応変な対応を心掛けていると、同心円の色は濃くなったり薄くなったりするといわれる。友人について考える時に、心底悩みを打ち明けたりできる人は、悩みの分野にもよるが意外と少ないように思います。しかしいるかいないかは大きな違いです。これは悩みの種類に応じて、500人の人脈の中から適材適所で選択できるということではないでしょうか。うらやましい限りです。これは森田理論の「不即不離」のことを言われているように思います。必要な時に、必要に応じて、必要なだけの人間関係を心掛ける。その時の状況に応じて臨機応変、広く浅くが基本になります。親密すぎるかなと思ったら少し離れてみる。離れすぎかなと思ったらまた近づいてみる。その匙加減ができることが凄い事なのです。神経質者は引っ付く時は引っ付きすぎるし、離れる時は離れすぎるのです。これはまさに人間関係の極意だと思います。決してコップ一杯の人間関係が幸せを運んでくれるわけではないと思います。その事にあこがれている人は、妄想が強いか願望が強いかのどちらかです。この方は、人間関係の在り方を見事に解説されていると思います。そういえばこの方は普段からとても人望がある方ですね。老婆心ながら一言付け加えれば、人と対応する時には、他人中心ではなく自分中心を忘れないようにしたいものです。自分の感情、気持ち、意思、関心や興味、欲求や欲望を大事に取り扱うことです。これをないがしろにして、相手と関わり合うと、相手に交渉の主導権を握られてしまいます。そうなりますとすぐに支配、被支配の人間関係に陥ります。身近なところでは夫婦の人間関係がそうですね。そういう関係にある夫婦はいつもいがみ合っていますね。同じ屋根の下に住んでいても、没交渉ではやり切れませんね。自分の立場が明確になっていると、対等な人間関係を築くことができます。あとは交渉事ですから妥協点を求めて話し合うという態度で接することです。お互いにwin winの関係を目指して努力すればよいのです。時には言い合いもするでしょう。けんかになることもあるでしょう。私の場合はほぼ毎日口げんかするのが日課のようなものです。それは自分とは考え方の違う人間がいる限り避けて通ることはできません。そこが人間関係作りの醍醐味と言ってもよいかも知れません。もし乗り越えていくことができれば、子供にとても良い影響を与えます。これ以外にも人間関係のコツはいくつかありますが、最低限この2点を肝に銘じて生活するだけで、人間関係はかなり好転します。人とかかわることは楽しいし、自分の人生を豊かに彩っていることが実感できるようになります。対人恐怖症の人はぜひ自分の生活に取り入れてみてください。
2021.12.06
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2021.12.05
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「そのままのあなたですべてよし」(生活の発見会 山中和己)という本に次のように書いてある。「実践はしているが、いつまで経っても治らない」相談中にそう発言されるかたが、あとを絶たない。そこでわたしは、こんなふうにいってみる。「実践」と「なおる」ということとはべつもの・・・。そう、とらえたほうが妥当ではないでしょうか。ただし、これからも、毎日の「仕方なしの生活」は続けてくださいね。(同書 218ページ)まったく同感です。神経症を治すために、ハツカネズミが一晩中糸車を回し続けているような行動は、神経症を治す方向には向かない。むしろ意識や注意を神経症に引き付けてしまう。これは実践するとよく分かります。神経症の苦しみが増えてくる。治すための必死な行動がバカらしくなってきます。最初はイヤイヤ、仕方なしの行動・実践で構いません。むしろ行動に弾みがつくまでは、そうすることが大事です。気分本位になって、しんどい、つらい、おっくう、めんどう、できない、動きたくないといって行動や実践を回避してしまうというのは駄々っ子のすることです。その道を選ぶと、暇を持て余し、考えることが内向きになり、ネガティブで悲観的なことばかり考えるようになります。この段階では、行動する習慣をつけることに専念した方がよいのです。つまり神経症を治すための行動であっても何ら構わないということです。しかし、曲りなりに規則正しい生活になった時、その意識を持ち続けると、神経症は以前よりも悪化するということになります。症状を治すという目的を持った行動は、そこに注意や意識を強力に引き付けます。そして以前持っていた症状よりもさらに悪化するということになります。ここでは発想の転換が必要になります。行動は神経症を治すという目的のために行っているのではない。行動や実践は、自分の生活を維持して生きていくために、必要な時に、必要に応じて、必要なだけを心掛けるようにするとよいのです。そのためには、行動・実践にあたっては、物そのものになりきるという心がけが大切になります。一心不乱になって、目の前のことに集中する。気が付いたら、症状を治すということをすっかり忘れていた。つまり一時的には症状がなくなっていたということです。こういう体験を積み重ねていけばよいのです。行動の中から、興味や関心、気づきや発見が見つかったら、しめたものです。ここでは感情が谷あいを流れる小川のように動き出したということが肝心です。問題点、改善点、アイデア、工夫が泉のごとく湧き出てくるようになれば、神経症的な悩みは一時的に棚上げ状態になります。頭の中が神経症の悩みで一杯の状態から、仕事や日常生活、趣味や付き合いなどのことで少しずつ置き換えられるようになります。この方向に切り替わっていくことが、神経症が治るということになります。100%症状のことで頭がいっぱいだった状態が、いつの間にかその比重を下げてきたという実績が大事なのです。不安神経症の人は頓悟で治る人が出てきます。強迫神経症の場合は、急に神経症が治るということはありません。徐々に時間をかけて、振り返ってみたら、神経症に振り回されなくなっていた。そういえば、神経症で振り回されてつらいときがあったと思うようになります。強迫神経症の人は、普通は漸次という治り方をします。老婆心ながら、神経症は完全に治るということはありません。神経症は特定の不安にとりつかれて、深みにはまり観念と生活が悪循環することです。不安にとらわれやすいという性格自体は治すことはできません。またこの鋭い感受性は無くしてはなりません。それは自分の個性のようなものです。自分の長所としてとらえるべきです。大事に育てていく姿勢を持って、頭の中で過度にとらわれなくなって、生活がまがりなみにも前進するようになった時点で、神経症の克服宣言をすることです。周りの人に「治った、克服した」と言っているうちに本当に治ってしまう。ですから「ほどほどに治す」のがベターなのです。森田の理論学習の中で「ほどほど道」を目指そうと聞いたことがありますが同感です。そのエネルギーを、生の欲望の発揮に投入していくようにすれば、神経症に振り回されなくなり、さらに味わい深い人生に転換してくるはずです。ここに焦点を当てて日々の生活を大切にして気を抜かないで取り組んでいきましょう。
2021.12.05
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今月号の生活の発見誌に「魅力ある集談会」を作ろうという記事がありました。私は35年間毎月のように集談会に参加してきました。時には所属集談会以外の集談会にも参加しました。集談会に参加したおかげで、利害関係のない、アットホームな人間関係を築くことができたように思います。もし集談会がなかったら、利害関係の強い会社の中で右往左往していたように思います。この2つの人間関係が車の両輪となって機能してきたと思っています。それだけに、現在全国に100以上ある集談会が元気になってほしいのです。今日はその提案をしてみたいと思っています。どんな集談会だったら開催日が待ち遠しいと思えるだろうか。1、初心者にとっては丁寧な対応をしてもらえる集談会。2、自分の悩みをよく聞いてくれる。共感と受容の雰囲気がある集談会。3、神経症で悩んでいる仲間がいる集談会。4、治った人がいる集談会。目標になる素敵な先輩がいる。5、アットホームで居心地の良さを感じられる。6、神経症克服のヒントがもらえる。7、生活森田・応用森田の活用例を目の当たりにできる。8、生活を楽しく豊かにするさまざまな情報が手に入る。9、参加者の特技・趣味・これまでの苦労の話が聞ける。10、おいしいお菓子やコーヒー・紅茶・お茶などが出てくる。11、集談会後に居酒屋での懇親会がある。料理や酒が楽しめる。12、系統的な森田理論の学習ができる。森田理論が深まる。13、忘年会、新年会、花見、ハイキング、野外学習会、同好会などがある。14、森田理論に精通した講師の話が聞ける。15、森田理論で神経質者の人生観が確立できる。16、世話活動、幹事活動で貴重な社会体験の場が持てる。17、レクレーションタイムで我を忘れて楽しめた。音楽や健康体操。18、大きなイベントを開催して成功体験を味わうことができた。19、集談会以外にも支部レベルでの人脈が広がり知り合いが増えてきた。20、ZOOMで参加することも可能な集談会。幅広い交流ができた。21、幅広い年代の人が参加している。男女の比率がよい。22、参加者が5名以上はいる。できれば常時10名から15名くらいいる。23、自己紹介や体験交流で話す内容を用意して参加している人が多い。24、否定や非難されることがなく、褒め合い、たたえ合い、励ます態度が強い。25、守秘義務が確実に守られている。これは私が今まで経験してきたことである。これらが血となり肉となって私を作り上げてきた。こういう集談会になっていれば、交通費をかけて、時間をとって、参加費を支払ってもぜひ参加してみたい。今でもそう思う。これらを可能にするためには、継続的な並々ならぬ努力がいる。それを担うのは主に幹事・世話人である。2人以上の熱心で献身的な幹事・世話人がいれば実現可能である。そういう経験を持てた人は、いずれも落ち着いた人生を送っている。軌道に乗せるまでは大変だが、弾みがついてくれば協力者が増えて、集談会は盛況となる。この活動が自分の人生を鮮やかに彩ってくれる。森田理論に出会う前は本当に苦しかったが、生活の発見会と集談会に出会うことができ、私の人生はいつの間にか好転してきた。そして穏やかな生活を送ることができるようになった。そして何よりも、遅ればせながら神経質者として人生観が確立した。年配者になると自然と足が遠のいていく人が多かったが、私は苦楽を共にした人と生涯関わっていきたい。そしてこの素晴らしい森田理論を、世界中に広げていきたいというのが今の夢です。このブログの英語版を世界に発信していきたいと考えているのです。
2021.12.04
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相田みつをさんは、困難に出会って打開策が見つからないで、つまづいてイライラする自分を責めてはいけませんよと言われています。つまづいたっていいじゃないか にんげんだものつまづいたり ころんだり したおかげで物事を深く考えられるようになりましたあやまちや失敗をくり返したおかげで少しずつだが人のやることを 暖かい眼で見られるようになりました何回も追いつめられたおかげで人間としての 自分の弱さと だらしなさをいやというほど知りましただまされたり 裏切られたり したおかげで馬鹿正直で 親切な人間の暖かさも知りましたそして・・・身近な人の死に逢うたびに人のいのちのはかなさといま ここに生きていることの尊さを骨身にしみて味わいました(にんげんだもの 相田みつを 文化出版局)世の中は自分が考えている通りに事が進まないことがほとんどです。思い切って挑戦しても、行く手を大きな壁に阻まれて立ち往生することあります。挑戦していく中で、取り返しのつかないミス、失敗をすることもあります。他人から無視、非難、否定される場面も避けて通ることはできません。他人から攻撃される、騙される、裏切られることもしばしば発生します。これらの「つまづき」に対して、自分に愛想をつかして、自己嫌悪することがあります。自分のなかに住んでいる観念の世界の自分が、現実で苦しんでいる自分を攻撃しているのです。これは戦争の時、最前線で闘っている兵士が、形勢が不利になって後ずさり始めたとき、後ろに控えていた味方が、「撤退しないで、死ぬまで戦え」と銃で脅しをかけているようなものです。目の前の敵とも戦わないといけない。背後から脅しをかけている味方のことも無視できない。注意が分散し、右往左往して混乱しています。精神が錯乱状態に陥っているのです。両方の敵に囲まれて責められていると思うようになると、破れかぶれになり、自滅してしまいます。意欲的に行動しなさいと言われても、エネルギーが枯渇しているのでどうにもなりません。これは神経症と格闘している状況とよく似ていると思います。この場合は、観念の世界の自分が、現実でのたうち回っている自分に寄り添って、「大丈夫だよ。いつも近くにいて見守ってあげる。いざとなったら自分があなたを守り通してあげる。だから、防御することは考えないで、目の前のことに精一杯取り組んでください」と言って励ましてあげることが大切です。人間は欲求、欲望、課題、目的、目標、夢、希望を持って努力精進していくことが宿命づけられた生き物です。でもそれらが自分の思い通りにすんなりと達成されることはほとんどありません。困難な壁が必ず立ちはだかっています。その壁を見極めることが大切です。冬山登山では、天候が回復しないで、8合目まで登ってもう少しで登頂できるときでも、勇気ある撤退を余儀なくされることがあります。万が一にかけて、無理やり強行すると命を失う確率が高くなります。今までの努力や資金が無駄になっても、一旦は撤退することが大切になります。撤退して、態勢を立て直し、再度時期を変えて再チャレンジすることが大切になります。その時、天候を恨み、運のなさを嘆き、自分の能力や勇気を否定することは、百害あって一利なしです。チャンスはまたいつか来る。その時を待とう。そのチャンスが来なければ失意のうちにあきらめるしかない。でも努力精進した今までの生き方は、満足できるものであったし、これからの人生に活きてくるはずだと考えることです。これは森田理論でいう「努力即幸福」、プロセス第一の考え方です。相田さんの「つまづいたっていいじゃない」というのは、どんなにいたらない自分であっても、決して見放し、否定してはいけない。観念の世界から見下すようなことをやめて、現実の世界に降りて行き、付き添い見守る態度がいちばん大切ですよと言われているような気がします。
2021.12.03
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近くの山に癒される時期になりました。
2021.12.02
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先日行われた森田療法学会の一般演題の中に興味深い発表がありました。cotree(コトリー)社が行っている「書くカウンセリング」という発表でした。これはオンラインを使ったカウンセリングのことです。メールによるカウンセリングのことです。森田先生の頃は通信療法と言われていました。森田全集第4巻に収録されています。これにより神経症を克服された方もおられたのです。cotree社には、全国の臨床心理士、公認心理士などが登録している。登録するにあたっては、心理関係の資格や臨床経験や得意分野が重視されている。3年以上の経験と100件以上のカウンセリング実施経験が必要となる。カウンセラーとしての資格審査があり、誰でも登録できるわけではありません。随って能力が高く、臨床経験の豊富な人たちばかりである。相談希望者は、cotree社のホームページにアクセスして質問に答えていく。さらにどんなカウンセラーを希望するかを書き込む。たとえば男性か女性か、年配の人か若手の人か、専門分野は何かなど。この作業により、自分に最適と思われるカウンセラーを紹介してくれる。今回発表された方は、森田療法の世界では有名なカウンセラーの方であった。ですから、森田療法の専門家を指定すれば、そういう人を何人か紹介してくれる。森田療法に限らず、さまざまな精神療法がありますのでそれを指定することもできます。実際には、最初に2週間の「お試しプラン」で計10回のメッセージの往復を行っている。相談者は、相談内容を詳しく伝える。現在抱えている問題点や経緯、既往症、受診歴などを伝える。カウンセラーは支援できること、2週間後のゴールは何かを提示する。ダイヤリー欄に負担にならない範囲で、日記を書くことを依頼する。「お試しプラン」が終わると、希望すれば週1回、週2回、週5回のいずれかの頻度でメッセージの往復ができる1か月ごとのプランへと進むことができる。これは任意である。カウンセリングを受ける意義は、カウンセラーとクライアントが言葉でやり取りする過程で、クライエントが今まで気づいていなかった考え方や問題点をあぶりだして顕在化していくこと。その過程で、クライエントが生きづらさや葛藤や苦悩の原因に気づき、改善策をクライエント自身が意識していく過程にあるといえよう。この方法は全国で登録されたカウンセラーの中から、自分に合うカウンセラーをマッチングしてくれるところにあります。また、敷居が低く、お試し期間で打ち切ることも容易です。関心のある方は、cotree社のホームページを見て詳しい内容を確かめてみることをお勧めいたします。ここでは対面のカウンセリングも行っているようです。カウンセリングを受けたいという人の選択肢の一つとして、情報提供する時に役立つと思います。cotree社のホームページ
2021.12.02
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昨日の続きです。今日は3と4の悪循環の打破を考えてみましょう。3、人間関係における本音と建前の悪循環をどうやって断ち切るか。自分の素直な感情、気持ち、意思、欲求を優先的に扱うことです。これが優先順位の1位にこなければなりません。他人に対する思いやりの気持ちはその次に考えることです。人間関係の悪循環を断ち切るためには、この優先順位を間違えないことです。これは他人を踏み台にした自己中心的な生き方になるのではないかという人もいます。でも考えてみてください。自分を大事にしない人が他人を大事に扱うことができるでしょうか。私は自分を大事にできる人が他者も大事できると思います。森田理論に「己の性を尽くす」「他人の性を尽くす」という言葉があります。これはそれぞれが元々持っている特徴、存在価値、能力、技術を再評価して、とことんまで活かしきるということです。それは、最初に自分が自分を最大限に評価できることが前提になります。自分がかけがいのない存在なのだと認めることができたとき、おのずから他人もかけがいのない存在だと認めることができるのではないでしょうか。石原加受子さんはこのことを「自分中心の生き方」と言われています。それに対して、自分を粗末に扱って、真っ先に他人の思惑に媚びる生き方は、「他人中心の生き方」だといわれています。これが葛藤や苦悩を生み出すのです。自分を粗末に扱って、人の思惑に振り回される生活は、自分の望むところではありません。そんなことをすると、一生涯つらくて苦しい人生になります。それは自分のアイデンティティが失われてくるからです。そんな生活に甘んじていいものでしょうか。早く足を洗わなくてはなりません。その他に人間関係の悪循環を断ち切る方法として、森田理論でいう「不即不離」を応用していくというのがあります。広くて浅い人間関係を幅広く築くことです。必要な時に、必要に応じて、必要なだけの人間関係作りを目指すことです。これを心掛けると、人間関係で一喜一憂することはなくなります。親密で狭くて濃い人間関係作りにあこがれる人が多いようですが、これは大変リスクが高い選択になります。これはできれば避けた方が賢明です。4、つぎに行動上の悪循環について考えてみましょう。人間は目の前の問題や課題、或いは目標や夢や希望に向かって、積極的に行動することを宿命づけられた生き物だと思います。その時は誰でも活き活きしています。行動することを控えて、考え事ばかりしている人は、人間の本来性から逸脱していると言えます。熟慮することはよいことですが、行動することを前提にしていないとまずいいと思います。考えるばかりだと、目標を見失ってさ迷うようになる。ハツカネズミが飽きもせずに糸車を回し続けるようなことになる。あるいは、壊れたGPSを使って航空機を操縦しているようなものです。また手足が動かないで、考えてばかりだと、プラス思考にはなりにくい。ネガティブで悲観的な先入観や決めつけ、レッテル張りをするようになる。自己嫌悪、自己否定的なことばかり考えるようになる。納得してから重い腰を上げるという人もいます。でも考えている間に状況はどんどん変化していきます。やっと納得したので、重い腰を上げようとしても、すでに状況が変わってしまっていることになりかねません。チャンスは前髪はあるが後ろ髪はないといわれます。チャンスを見逃して歯ぎしりしても後の祭りになります。行動しながら随時修正を加えるほうが理にかなっていると思います。他人の思惑にとらわれて、自己防衛に忙殺されて、やらなければならない事ややりたいことに手が回らないという人もいます。これは将棋でいえば専守防衛ばかり考えているようなものです。最後には必ず自滅します。攻撃と防衛のバランスをとることが大切になります。3で述べたように、自分の素直な感情、気持ち、意思、欲求を最優先にしないと、この悪循環にはまってしまうということになります。おっくう、めんどくさい、煩わしい、難しそうという感情は、人間である限り誰でも湧き上がってきます。ここで注意したいことは、気分本位に流されて、本来なすべき行動を回避してしまうことです。それは幼児並の対応になります。マイナスの気分に振り回されていると、ホッとするのは一瞬で、その後味気ない気持ちでみじめになるだけだと思います。そういう人は、嫌な気分を振り切って行動してうまくいった過去を思い出すことです。しぶしぶ行動したにもかかわらず、行動してよかったという経験は誰でも持っています。これをプルバックカー手法というそうです。過去の成功体験を思い出して、気分本位の態度を乗り越えることです。実践や行動によって、気づきや問題点の発見、或いは興味や関心が刺激されます。それらは、新たな目標を生み出します。モチベーションが高まりやる気に火が付くと、葛藤や悩みは吹き飛んでいきます。森田理論は、生の欲望の賦活が最終目標になると思います。集談会で不安を活用しなから生の欲望に邁進している人を見ると刺激を受けます。今度は自分もあの人のようになりたいという意欲が湧いてきます。
2021.12.01
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