「誰も水を持ってきたり、氷を持ってきたり料理が作れないけど・・・いい?」
え?あたしのタイ語能力が足りないだけ?さっきは15時か16時に飲み会は終わるのかと聞いていなかったっけ?
「まだ飲み終わらない。でも、私達はチェックしてお店を出た方がいいの?」
「いや、その必要はないのよ。私が市場に買い物に行くだけなの。」
「へ?」
まてまて、ならば16時までにこのボトルを猛スピードで飲み終えるか、キープしてとっとと出なきゃいけないんだよね?
「いんや、ほんとに、 ここに座っていいんでげすよ。誰もいなくなるからサービスができないだけ。
お酒だけ飲み続けて、ここにいれる?」
あたしのタイ語が聞き間違っていなければ、 さりげなく店番
を頼まれているような気がする。そんなことありなのか?しかも相手は酔っ払い。客に店番を頼むなんて・・・お店が心配じゃないのか?
食い逃げだって可能だ。
あかーん!
「じゃあ、せめてお金だけ今までの分払うよ」
「いえいえいえ、そのままでいいです!」
ノォーン(自分より若そうな女の子に使う)は頑として聞き入れてくれない。
「んじゃ・・・このままここで座って飲んでていいの?」
「はい」
「あたし逃げるかもしれないし」
「うははは(受け合ってくれない)」
店中のボトルに手をつけるとか、勝手に冷蔵庫からイサーンソーセージを取り出し、つまみにする
のではないかとか、自分のしそうなありとあらゆる悪い行動を想像しまくり、まだ何もしていないのに 罪悪感からもぢもぢするよっしー
をものともせず・・・
「お店閉めておくからお客さんは来ない、大丈夫!」とクローズ札をはためかせ、ノォーンは出て行った。
これらのやり取りが全部タイ語だったため、友人は出て行ったノォーンを呆然と見ていた。
「あのね、彼女が買い物に行っている間、ここでずっと飲んでていいらしい」
と説明すると 「え?だってお金は?お酒飲んじゃうかも!いや、逃げるかも!」
類友とはよく言ったものだ。うひょひょひょ。
日本じゃこんなことありえないよね。あ、ここ、日本だけど。
けらけら笑えば、やたら響き渡る広い店内。さびしく流れるタイポップス。
ん?
このへたれな雰囲気、下手くそすぎる歌、この甘いマスク・・・どこかで・・・。
あー!
重役!
焼酎を吹き出しそうになったあたしに、友は「どうした?」とびびる。いやだって、この人、重役なのよ(意味不明)。
タイ人との集団遠足
で重役出勤級の集合時間破りを繰り返し、「重役」と名づけた男ではないか!
そう、重役はグラミーレコード所属のアイドル歌手だった。
「僕はマックス!歌手だよ」
と言われたが「マイルゥー(しらねー)」と笑顔で答えてあげた失礼なオババに対し、遠足の間、親切に接してくれた重役。
今、重役の
へぼへぼへにょへにょのダンスと、こんなもんそのへんの人に唄わせたってもっとうまく唄えるんじゃないか
っていう、全く抑揚のない声、狭い音域、金出してCD買いたくないなあというレベルの作品が、目の前で披露されている。
ごめん、重役。確かこのVCDは2008年のヒットした曲を集めたものであったよ。ってことは遠足行った時には有名だったんだね。
すまんなあ・・・「タイってミュージシャンや歌手が多すぎるから、大して売れない歌をパパやママのお金でCD出したんだよねえ」と心の中で思っていて。
そんな重役の歌にあわせ、重役との思い出を語りながら、
我らの目は壁にやたらと並んでいるボトルキープのボトルをさまよう。
「あのワインうまそうだよね」
「高そうな焼酎もあるべよ。」
「今ならこの JINRO全部捨てて、あの焼酎の中身と入れ替えられる
ね。」
「ワイン、グラスで3杯くらいならばれなくねえ?」
いや、いや、いかん。いかんぞ。あんなに
無邪気に我を信じてくれたノォーンを裏切るなんて、いや、タイ人を裏切るなんてできるわけがない!
天使よっしーと悪魔よっしー…さらには邪悪な微笑みを浮かべる主婦カメS(大ウソ)までもが悪の道へと我を誘いはしたが・・・
「随分信用して出かけちゃったよねえ・・・ タイ人ってすごいなあ。よっしーがインソンさんと知り合いだから、完全に信用
したんだねえ」
はっ!天の声!・・・いや、違う友の声である。
たとえ、ばれないかもしれない酒のネコババでも、
インソンさんを裏切れようか・・・いや、裏切れまい!
きぃいいい(扉の開く音)・・・ あっ!ノォン(涙)!
「おかえりなさーい!」
ノォン「た、ただいまですー(照)。」
よ「いっ、異常ありませんでしたであります!」
ノォン「はいー。」
…彼女は全く疑う様子もなく満面の笑みでキッチンに戻り冷蔵庫に買ってきた食材を詰め込んでいる。
ああ。 あと2時間いたらどうなっていたかわからんかった
だよ。
まあ、それは嘘なんだけどね。
タイ人ってすごくない?
支払い済ませてないお客さんを置いて、買い物に行けちゃう心の大きさには、日ごろの自分の心の小ささを振り返ってしまうほどだよ。
結局この後まだ数時間居座って・・・13時から21時ってか9時間も飲み続けていた我ら。
「明日は仕事だから早く帰らないとねー」なんて言って昼から飲んでいたはずだが、 これじゃあ夕方から飲んだのと変わらなかった
ではないか。
こんなに信用してくれたノォーンに、ますます タイ人の魅力を感じさせていただき、「ルアムジャイ」フリークへの階段を一歩登った
よっしーなのでしたー(今日のわんこ風)。
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激ウマタイ料理!長野県小諸 SOM 2015年10月18日 コメント(14)
バーンキラオ 下北沢店 2014年09月07日 コメント(8)
東京 大塚 メークマイ 2014年03月27日 コメント(16)
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