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一冊の本に挟まっていた過去から来た手紙。<YUKI>という差出人には、まるで心当たりがない。忘れこっない。と心から思っていたのに・・・・表題作と『化石の樹』の2編収録。千波が、ふと見つけた『いちばん初めにあった海』という名の本は、“広海という青年が、ヒロミと名乗る奇妙な女と出会う”不思議な話だった。そんな本に挟まっていた未開封の手紙。読んでみると、こんな一文が・・・あなたと同じだから。わたしも人を殺したことがあるから自分の身に起きた異変。曖昧で宙ぶらりんな状況。忘れてしまったもの。記憶の浄化作用。加納さんの作品を読むのは『ななつのこ』に続いて2作目です。予想とは違い、シリアスで緊張感のある展開。“現在の千波”、“本の内容”、“高校時代の話” と場面が変わっていく。<YUKI>が誰なのか?は初めから提示されているようなものだが、【千波に何が起きたのか?】が次第に明らかになる過程にドキドキする。この本を読むかなり前に、あまり評価が良くない感想を何処かでみた。困ったことに、影響されやすい私は、そのことが頭の片隅に残っていたようで、読む前から否定的なスタンスだったように思う。そんな状態で読了した感想は・・・うーん。何だか中途半端。『いちばん~』の本の中身(作中)にしても、<YUKI>をめぐる話にしても。他のキャラクターを含め、それぞれもう少しで凄くいい雰囲気が出そうなのに・・・どちらかというと、次の『化石の樹』のほうがいいなぁ。好みのタイトルだし。というところであった。でも、半年ほど経ってから再読してみると、印象がちょっと違った。千波の過去。そして忘れてしまったものへの思い。ラストも悪くない。『化石の樹』と両方読み終えて、ホォーと部分もある。(これでは、全然わからんて)麻子の視点での物語が読みたくなった。だが、あえてこれをやらなかったのは、挑戦であり技でもあるのだろうか。再読して評価が甘くなるのは、初読が雑なのか、以前は目に付かなかったことまで気がつくようになったのか、ただ単に理解が深まっただけなのか(同じことか)それとも、月日が経ち寛容になったのか。まぁ、なんとなく得した気分である(笑)あと少し統一感があって、深度をとれば、読み応えのある凄い話になりそう。ちょっともったいないなぁとも思ってしまう。何様でしょうか。『いちばん初めにあった海』 加納朋子 角川文庫 (平成12年5月初版発行)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・最後の一文に関連して。ウルフルズ『暴れだす』のあぁ 神さまオレは 何様ですかが、たまに頭の中で回ります。
2004年12月31日
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「何か特別な日に」という垂れ幕がかかる展望台。【エッシャー展】のポスター。埃まみれの犬。「あなたの好きな日本語を教えて下さい」スケッチブックを持つ白人女性。仙台にて、さまざまなラッシュが交錯する!!もうちょい、まともに紹介出来ないものでしょうか(苦笑)あらすじが書き難い話です。【lash】【lush】【rash】【rush】カバー折り返しに書かれている4つのラッシュ。「激しく動く」「豊富な」「無分別な」「殺到する」他多数の意味が。『ラッシュライフ』という本のタイトル。表紙はエッシャーの『上りと下り』。恩田陸の『ドミノ』の登場人物を幾らか少なくして、絡みを複雑によりゴチャゴチャ感を増したような作品ともいえようか。いえまいか。以下、主な登場人物を並べます。多少、ネタバレ気味かもしれませんのでご注意を。・「金で買えないものはない」が口癖の挫折や失敗とは無縁の戸田。・恩人を裏切り、戸田と契約を結んだ志奈子。・美学があり分別のある(?)泥棒、黒澤。・殺人事件の犯人を指摘し、教祖的存在となった高橋。・高橋を崇拝する河原崎。(自殺する家系)・幹部の一人で「神を解体するんだ」と切り出す塚本。・精神科医の京子とサッカー選手の青山(不倫中)・再就職40社連続不採用の40代、豊田。まず、パズル的な楽しみがある。そう、騙し絵のように。はじめは何が何だかわからない部分もあるが、次第にピタリとは填って行く。一度読み終えた後に、もう一度最初から読みたくなる。少し離れた場所から、全体をみつめてみたくなる。ぱっ~と表面を滑るように読むだけでなく、じっくりとかみ締めたい。伊坂作品は、一つ一つのエピソードや会話がいいのだ。裏切、泥棒、拳銃、強盗、殺人、バラバラ なんてものも出てくるけど、この話も読後感は悪くない。屋上を眺めているのが、○○だとすると、階段にいるのは・・・読めば読むほど、違う旨みを味わうことが出来そうな本です。『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎 新潮ミステリー倶楽部(ハードカバー) 発行2002年7月
2004年12月30日
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IWGP 第二弾。カチカチと計数機でやたらに何かを数えているヒロキ。身長140センチ以下で10歳の変なガキは、超然と笑っている。マコトとヒロキの付き合いが始まった・・・表題作『少年計数機』含む4話収録池袋ウエストゲートパーク。ドラマや漫画になったりで人気のあるシリーズ。私は、運動しているか、本を読んでいるか(&買っているか)が多くて、あまり街に出る生活をしておらず、【池袋】に対するイメージもそれほどない。過去、泥棒に入られ、放火されたことのある友人が住んでいるのが確か池袋。(部屋にあるプレステを盗まれ、外に干した洗濯物が燃やされた。別事件)でも彼はそこから出て行こうという気は全くないらしいし、魅力のあるところなのでしょう。そんなことはともかく。主人公のマコトは、近くの果物屋で実家を手伝うかたわら、ファッション誌にコラムを執筆している。少年課の刑事から“ヤー公のファーム”といわる地元の高校を卒業。それなりに切れて池袋の裏を知っていて、ガキどものあいだを目立たずに泳げるやつ(GKタカシのマコト評(第一弾『エキサイタブルボーイ』)なんでも相談屋。何だかんだいっても最後に一番頼りになる。「なあ、なんでヒロキはいつも数かぞえてんの」「それはね、数がほんとうで、残りのものはみんな見せかけだから」(P76)マコトは、ヒロキの母・シャロン吉村(芸能人)から、「ときどきでいいからヒロキの様子を気にかけてほしい」と頼まれる。ヒロキの父親は・・・表題作に出てくるヒロキの印象が一番残っている。ティーンが描かれることが多いシリーズだが、さらにその下の世代。ちょっと前なら、現実味のない近未来SFにしか出てこないような設定の子。だが、その存在に強い違和感が無くなってしまったどころか、もしかしたら、ぐっと近い距離に居るのではないか?と思ってしまう。他の収録作『妖精の庭』 ・・・・インターネットの覗き部屋。依頼主・男ではない男。『銀十字』 ・・・・連続引ったくり事件。依頼主・喜代治と鉄太郎(計140歳超)。『水の中の目』 ・・・・大人のパーティ。パーティ潰し。サルから連絡を受けて行った先には・・・全体を通してみると、やはりどうもギラギラしている。(やはり、『レヴォリューションNo.3』金城一紀とは少し違う)ドロドロした感じがしない分、余計に鋭さを増しているように思える。研ぎ澄まされたナイフのように(ありきたりの表現だが)。そして抉る。もっとオヤジたちよりのフィールドで、同じような(男・女・生・性・薬・暴力などなど)題材を扱った作品と比べると、スマート。あるいは、このあたりが多くの読者を惹きつけているのかもしれないが、表面的なカッコ良さだけではない、何かがある。マコトの視線の先には、何かがある。(って、無責任な終わり方♪笑)『少年計数機 池袋ウエストゲートパーク2』 石田衣良 文春文庫 (2002年5月第1刷)
2004年12月29日
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―紙を発明した宦官―東観(北宮殿に隣接した図書館)で書物整理をしていた筆耕係の蔡倫は、曹大家と親しくなり、紙の試作を始めた・・・塚本(正確には名前の“青”の下部分は“円”)さんは、古代中国を題材にした話が多く、気になっていたひとり。(『白起』『項羽』『霍去病』『王莽』など)例にって「初読は薄い本でお試し」の為、祥伝社の400円文庫を選択。この話も舞台は中国。後漢、AD73年から始まる。(ちなみに三国志はAD200年前後)一番上の文は、この本の副題。【蔡倫】ということで、わかりやすいように付けたのだろうが・・・・無いほうが良かったかも。というのもこの本を読んだ限りは、“紙を発明”って感じが全然しないので。“宮廷では包装緩衝材が【紙】と呼ばれ、以前から使われていた”とある。まずここで、「え、そうなの?」とちょっと興醒め。ただ紙とは、植物繊維や屑繭を叩いて引き延ばして晒した物の『滓(かす)』の意(P19)であり、脆くてボロボロになってしまい、文字を書いても滲んでしまう。そこで蔡倫は「木簡竹簡に対抗する筆記素材を」と、試作にとりかかるようになる。“発明”というよりは、むしろ“改良”。やがて試行錯誤を繰り返し製法を完成させていく。歴史的に果たした役割としては、とてつもなく大きい。(辞書で【蔡倫】をひくと【紙を発明した】と必ずあるし。)でもこの本では、全然ワクワク感、達成感がない。蔡倫自身にもあまり魅力を感じない。資料の少なさ、この本の分量の少なさ(大きい字で170P)では仕方ないか。【班昭】(蔡倫にきっかけを与えた曹大家のこと)が出てきたのが嬉しかった。受験勉強の時に出てきて、妙に覚えている。“『漢書』を著した班固(兄)を助けた”という1行くらいの情報だけど。「おぅ、お前が班昭かい?久しぶり!」ってなもんである(笑)他にも、班超、竇固など懐かしい名前が。(漢字覚えたなぁ。これから先、書くことはなさそうだけど)それぞれの一族が絡む、宮廷内外の政争、世継ぎ争いのほうがまだ面白い。でもこちらも中途半端。最後の一文が「後日稿を改めることにしたい」だもんなぁ。次回は、もう少し長くてどっしりとした作品を読んでみようと思う。『蔡倫 ―紙を発明した宦官―』 塚本青史 祥伝社文庫(平成12年11月初版第1刷発行)
2004年12月28日
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清く正しい生きてきたのに、次第に清さも正しさも薄れていった。自分の全てであったバレーボールを止め、鄙びた高校の講師に。そしてどうしたわけか文芸部の顧問となる・・・主人公は清(きよ)。部を止め、バレー自体からも遠ざかるが、またやりたくなる。恋人の薦めもありコーチもいいなぁと思い、部活の顧問になろうとするが・・・決して、やる気にあふれる先生ではない。国語を受け持つ授業も、部活も。清の弟・拓実。 文芸部部長・垣内君。恋人(不倫)の浅見さん。それぞれ存在感がある。清にとって大切な存在。なかでも拓実が気になる。「だけどさ、正しいことが全てじゃないし、姉ちゃんが正しいって思うことが、いつも世の中の正しさと一致するわけでもないからね」(P43)人との付き合いでプラスマイナスをゼロにしておくのが癖。拓実自身の話を読みたいな、と思った。親しい人が書く言葉はどんなものでも面白い。川端康成と親しくなれば、『雪国』だってちょっとは愉快になるかもしれない。(P75)文芸部の活動。図書室。そして、青春。(笑)少し再読してみて、改めて良さを実感。これは昨年度お好みリスト『04の40』に充分入るというか、入れなければ。全部の感想を書き終えた時、リストが大幅にかわっているかもしれません(笑)数日前の『図書館の死体』に続き、【図書館】の文字にひかれた。ただ、現在の私の状況からすると、【図書館~】よりも、【古本屋~】を読んだほうがピッタリかもしれない(笑)そうだ、思い出した!この本を読んだ時、「『さぶ』と『夢十夜』を読んでみよう!」と思っていたのだ。そんなに凄い決意ではないので多分また忘れる。そしたら、何かの拍子にこのページを読んで、もう一度思い出すだろう。でも多分また忘れる。そしたら、何かの拍子にこのページを読んで、もう一度思い出すだろう。でも多分また忘れる。そしたら、何かの拍子にこのページを読んで、もう一度思い出すだろう。でも多分また忘れる。そしたら・・・ここまで来て忘れたら、ただのアホだよ。でもこうなってしまいそうな自分が怖い今日この頃。『図書館の神様』 瀬尾まいこ マガジンハウス (2003年12月第1刷発行)・・・・・・・・・・・・・小学生の時は、学研まんがの「○○のひみつ」とか「源義経」などが好きだったから、図書室も比較的利用していたほうだと思う。だが、中学、高校は・・・【図書室】の様子、場所すら覚えていない!(記憶力に問題があるのは確かだが、関わりが薄かったのも間違いない)図書室とは縁が無かった。ほとんど本も読んでいなかった。3年時受験直前の時でさえ、昼休みはバレーをやっていた私らであったし。この時に、もう少し本を読んでいたら・・・多少は思慮深いシブイ大人になっていただろうか?元が元だから、かわらんか(笑)そういえば、国語の教師に嫌いな人はいなかったなー。皆がとやかく言う不人気先生でも、個人的には結構好きだったりした。算数、数学は全くの反対なのだが(苦笑)
2004年12月27日
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犀川創平と西之園萌絵のシリーズ第8作。諸事情により内容紹介省略。書き難いので、書かないことにする。あまり感想っぽくならないかもしれません。「S&Mの中でこれが一番好き」という方が多いらしい。(裏表紙にも!)私はこういうトリックは大好きなんだけど、そこまでは良くなかったかな、という印象。目次を見ると、意味のないプロローグ、必要のない幕間、重要でない幕間、なくてもいい幕間、まったく余分なエピローグこんな章題が並ぶ。挟まるように、第一幕~最終幕とある。どっちがメインだよ、と突っ込みたくなる(笑)でもこれらがないと成り立たない。いつもとは違う語り手の存在からして変化球気味で、身構える。私は決して勘・推理力の鋭い読書ではないが、この仕掛けの意図は想像がついた。(普段、明確な理由で犯人を当てられることなど、ほとんど無い!威張るな!)最後に実は・・・という叙述トリックの仕組みを、もしかしたら私は、土屋賢二(お茶女哲科教授)に学んだかもしれない。おおげさかな?おおげさだろう。(ツッチーは解説に登場。相変わらずだ。)ちょっと耐性が出てきたか?いや、今回だけたまたまだな、きっと。読了直後は、こちらのトリックにどうしても気持ちがいってしまう。他には、「山奥に敷かれていたレール」「森林鉄道の廃線跡」のイメージくらい。だから、それが思ったほどの威力が無い(と自分に思い込ませてしまった)時、作品評価は「まぁまぁかな」くらいで落ち着いてしまう。勝手に思うに、次で(『数奇~』『有限~』)勝負をかける為の小休止、準備運動的な意味合いでこの話をここに置いたのではないだろうか?とまで思う始末。と、まぁこんな感じでいたのだけれど・・・今回半年振りにペラペラとめくってみると、ようやく思い出してきた。密室もなかなかではないかい。こういうの結構好きだ。犀川もいつもの犀川だし(笑)。萌絵はちょっと苦手だけど。謎解きに至る仮説の出し入れ、凝った構成、込山刑事、犀川のジョークなどなど面白いじゃないか。はじめから素直にそう書けばいいのに。そんなわけで、↑で書いた「そこまでは良くなかった」は上方修正。それでも一番!と言いきれるほどではない。(どっちだよ、はっきりしろよ。笑)森さんは刊行ペースだけを見ても、只者でないことは明らか(笑)計画性、実行力、柔軟性、などなど・・・自分からは一番ほど遠い人かもしれない。だからこそ、少しでもあやかりたいというか、覘いてみたくなります。シリーズですら続けて読むことが無くなった最近の私にとって、8作目というのはかなり進んでいる。でもまだまだまだまだまだ読んでいない森作品がたくさんあるんだよなぁー。嬉しい悲鳴。『今はもうない SWITCH BACK』 森博嗣 講談社文庫 (2001年3月第1刷発行)・・・・・・・・・・・・・・・・・・今日(2/16)未明、関東で地震があった。震度は4くらいかな?結構揺れたので、一発で眼が覚めた。【翻訳物ミステリ他その5】の棚より、『怪盗ニック登場』、『豚は太るか死ぬしかない』、『髑髏島の惨劇』他29冊落下。幸い、下から3段目の低い位置にある棚だった為、大きな音がして父が覗きにきたものの、特に被害は無かった。でも、やはり地震は怖い。と改めて実感。
2004年12月26日
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海外学力検定試験委員のニコラス・クインが、死体で発見された。自宅にて。死後数日経過。毒殺とみられる。被害者は補聴器をつけていた・・・オックスフォードが舞台の、テムズ・バレイ警察、モース警部のシリーズ第三弾。イギリスではドラマ化もされ、大人気なのだとか。このシリーズは、よくわからないといえばよくわからない。なんだかモヤモヤしている。キチッ、キチッと道標が無く、スピード感も期待出来ない。(よって、後から内容をまとめるのも大変。なので無理をするのはやめておく)でも不思議なもので、そこが魅力であったりする。モースは、いろいろな可能性をあたり、ひとつずつ潰していく。振り回されて、モースとともに私はどこへ行ってしまうのか?なんて自問したくなる。妄想?試行錯誤。その過程が面白い。他にはあまりないタイプのミステリ。局長のバートレット、局長代理のオグルビー。特にこの二人がいい味を出している。ミステリアスな曲者。極度の難聴であるクイン。この事はもちろん大きな意味を持つ。もっとクインのことが知りたかった。そうすれば、さらに話に入り込めたのにとも思う。翻訳物ということで、言葉の問題もあり、すっきりしない部分も多少ある。が、モースの右往左往ぶり(?)は相変わらず面白く、仮説も魅力的。1作目の『ウッドストック行最終バス』に比べると、インパクトは弱いか。私はここまで順番に読んできたが(『ウッド~』→『キドリントンから消えた娘』→本作)解説で評論家の瀬戸川さんという人が、最初の3作は興奮と驚きを提供したが、4作目『死者たちの礼拝』ではその度合いが少し落ち、5作目『ジェリコ街の女』では半分落ち・・・・と、作品の質が落ちていると指摘している。一方、ミステリ作家の森博嗣はこの2作を非常に評価しているので(『森博嗣のミステリィ工作室』)自分はどう思うのか、試しに読んでみたい。両方読み終えるのは、当分先の話だろうが。『THE SILENT WORLD OF NICHOLAS QUINN』 Colin Dexter 1977『ニコラス・クインの静かな世界』 コリン・デクスター ハヤカワ文庫 (1990年12月発行)・・・・・・・・・・・・・・・・現在、浦賀和宏『松浦純菜の静かな世界』を読んでいる。内容的に、この作品を意識しているとも思えないので関係はなさそう。半年前に読んで今頃感想を書いている本と、まさしく今読んでいる本のタイトルがそっくり。たいしたことではないが、本を読んでいるとこういう偶然が結構あって微妙に嬉しい。
2004年12月25日
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長崎屋の若だんな・一太郎(17)は、月の無い夜中にこっそりと出かけた。その帰り道に出くわした、血の臭い、人の声、怪しい人影、不気味な光・・・・そして、松の木の根元には、首筋を切られた男の死体が!第13回日本ファンタジーノベル大賞、優秀賞作品。(2001年)(大賞は、粕谷知世『太陽と死者の記録』→『クロニカ 太陽と死者の記録』)この賞とは相性がいいのか好きな作品が多い。今回も期待通りでした。廻船問屋・長崎屋は、江戸有数の大店。薬種問屋を一軒まかされている若だんなは、身体が弱い。夜に出歩くなんて、もってのほか。大甘の両親が許すはずがない。一太郎の傍に常にいるのが、手代(番頭と丁稚の中間位)の【佐助】と【仁吉】。それぞれ、“犬神”、“白沢”とも呼ばれる。何と、【妖(あやし)】なのである。私はどうもこの3人が、三国志の劉備と関羽&張飛に思えて仕方がなかった(笑)一太郎がとにかく第一で、二からが無いのだ。という姿勢と、偉丈夫で力が強い、という点から。劉備が病弱というわけじゃないけど。(話には全く関係ないが私は少し前まで「偉丈夫」をずっと「いじょうぶ」と読んでいた)一太郎には不思議な能力がある。付喪神や、家鳴(やなり)たち妖の姿が見え、声が聞こえる。冒頭の事件に、首を突っ込まざるを得ない一太郎。岡っ引きの清七親分や、三春屋の幼馴染み・栄吉らも絡んでくる。佐助と仁吉は、人として長崎屋で暮らしているので、力を好きなように使えない。それでも妖たちを使って、情報を集めていく。思ったよりも、佐助と仁吉の活躍度が低いかなぁーと思うが、シリーズものとして続く作品が幾つかあるようなので、そちらに期待。作者の畠中(はたけなか)さんは、カバーの折り返しの紹介文を読むと、漫画家アシスタント→書店員→漫画家→小説講座通い→作家という道をたどっているようで、なかなか面白い。小説講座の先生は、【都筑道夫】。以前たまたま観たミステリチャンネルで、畠中さんのインタビューがあり、この当たりのことを話をしていて、興味深かった。(都筑さん好きなもので)えー、私はずっとこの本のタイトルを『しゃばたけ』と勘違いしていました(笑)恐らく、畠中さんの名前から勝手に連想してしまったのでしょう。なので、「しゃばけ」が、「娑婆気」という字をあてるのだとわかった時(1Pめに書いてある)は、なるほどね、と一人で妙に納得していました。こんな勘違いが非常に多い今日この頃。『しゃばけ』 畠中恵 新潮文庫 (平成16年4月発行)
2004年12月24日
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小さな田舎町の図書館。出勤した館長のポティートは倉庫で死体を発見した!被害者は、前日に激しい言い争いをしたベータ。傍らには、見覚えのあるバットが・・・常々気になっていたタイトル。ようやく読むことが出来ました。ハヤカワ文庫のミステリアス・プレスでのシリーズ。(オレンジ色の背表紙)図書館の棚を空にしようとしているのでは?と思われるベータは、猥褻、堕落、人の魂を蝕む!と言い放ち、なんでもかんでも閲覧禁止を要求する。狂信者。挙句の果てには、ボティートの母親のことまでも・・・常に一悶着をおこすベータが図書館で殺されていた。だれが?どうして?そもそも、ベータはどうやって図書館に入り込めたのか?更なる謎は、ベータが隠し持っていた【リスト】の存在。数名の住民らの名前と、それぞれに聖書の引用箇所がふってある。そこには故人とは関係ないはずの、アルツハイマーを患っている母の名前も・・・【図書館】という文字がタイトルにあるだけで、本好きなら期待してしまう。私も最近でこそ全く利用していないが、本、読書の専用空間はやはり心ひかれるものがある。そんななかでのこの話。だが本の名前は多少出てくるものの、個別の作品についてのワクワクするような議論や薀蓄等があるわけではなく、【本】よりも、町の住民たちの人間関係にスポットがあたる。必ずしも図書館が舞台である必要があるとも思えないが、シリーズものなのでそのあたりは次作以降に期待したい。(もっとも、海外の作品(日本もかわらないか)に疎いので、話題になっているとしてもどこまで理解し楽しめるのかは非常に微妙なところであるのだが、雰囲気だけでも味わいのだ)話の内容としては、疑われた主人公が、何とかして真犯人を探し出そうとする。というお決まりのパターンではありますが、なかなか楽しめます。それぞれ過去や表に出ない顔があったり、絡み合っていたり。家族、その他深刻な内容にも関係していき・・・この作品も、登場人物たちを忘れないうちに次の『図書館の美女』を読まないと。『DO UNTO OTHERS』 by Jeff Abbott 1994『図書館の死体』 ジェフ・アボット 佐藤耕士 訳 ハヤカワ ミステリアス・プレス文庫 (1997年3月初版発行)
2004年12月23日
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母の立会いのもと(?)整骨院で知り合った、ふみと周。ふみは、周のキックボクシングの試合を観に行くことになった・・・初めて読む作家さんです。島本さんは、1983年生まれで、この作品は2003年の芥川賞候補。等身大というか、気負っていない感じがする。劇的ではなく、素朴なんだけれど、退屈はしない。(する人もいるだろうけど)主人公のふみは、高校を卒業したばかり。母と年の離れた妹・ユウちゃんと3人で暮らす。父と母が別れた後も、毎年誕生日が近づくと会っていたが、6年前、父は約束の時間に来なかった。それっきり会っていない。ふみは習字教室に通う。高校2年からというのがちょっと不自然にも思うが、先生である柳さん、教室という空間の雰囲気が良い。澄んでいて気持ちがよさそうだ。電車で席をゆずるのが嫌なら、眠ったふりをせず堂々とすればいいのに。とか、少々ギクっとしたりしながらも、使われいてる言葉は落ち着いていて、肩がこらず、なんだか気持ちがいい。学校は野球部が校庭で大きな声を出しながら練習をしていて、おだやかな騒々しさに包まれていた。(P92)別に重要でもなんでもない普通のシーンなのだが、印象的な文。目線、温度(卒業した学校に対する)がわかるというか、思い浮かべることが出来る。キックボクサーの周と、その姉、友人らの関係なども、微妙な距離感が穏やかでいいです。家族の事など、もう少し深く掘り下げてもいいかなとも思うが、あえて踏み込まないという選択肢も充分有りだし、別の狙いもあるのだろう。淡々と流れていく日々を照らす光を書きたかった。とあとがきにある。タイトルからも、焦らずに一歩ずつ進もうとするそのスタンスが伝わる。島本さんが強調している【明るさ】も、“とくに楽しいことがなくても、いつも楽しそうな母”や、周の真っ直ぐ前を見る純朴な姿、ふみの素直さから伝わってくる。ふみが周に語る、“日本が核戦争に巻き込まれる”話。あとがきで、那須正幹さんの作品(『The End of the World』)と知って驚いた。興味有り。刺激が強い本が多いなかで、こういう力を抜いてホッと出来る日常の話を(能天気というわけでもなく、もちろん苦労も苦悩もあるのだが)たまに読んでみるのもいいなぁと思う。他の作品もそのうちに。『リトル・バイ・リトル』 島本理生 講談社 (2003年1月第1刷発行)
2004年12月22日
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新宿区にある典型的なオチコボレ男子高。「君たち、世界を変えてみたくはないか?」ドクター・モロー(生物教師・米倉。勤続30年)の一言から、ザ・ゾンビーズの戦いは始まった・・・『レヴォリューションNo.3』を含む、連作3編収録。“ゾンビ”あだ名の由来。・学歴社会における“生ける屍”・殺しても死にそうにない。モローは遺伝に関する授業しかやらない。彼の言葉から導き出した使命は【勉強の得意な女の遺伝子を獲得すること】目指すは、人気女子高の学園祭!!さて、私にとっては『対話篇』に続く2冊目の金城一紀。一癖も二癖もある高校生たちが集まって、ワイワイガヤガヤ。こりゃー、面白くないわけがない!将来首相になることを決めている、板屋敷ヒロシ。「マニーとピーニス」を武器とする、アギー(佐藤健)。『自省録』、『善の研究』、『エックハルト説教集』等を読む、舜臣。史上最弱のヒキを持つ男・山下。などなど。そして、周りの信頼を集めている主人公の僕。少年。個性。グループ、仲間。事件。死。どことなく、石田衣良の【池袋ウエストゲートパーク】シリーズを思い浮かべた。(「全然違うだろ」と思う人も多いかもしれないが)IWGPが“ギラギラ”している感じがするのに対し、こちらは“キラキラ”。笑いだけでなく、深刻だったり、重さもあるけど、“無邪気”でもある。邪気が無いってわけではないんだけど(どっちだよ)まぁ、雰囲気で。ちなみに両方とも好きです。もう一度じっくり読んで、しっかり感想を書きたいが・・・あまり過去を振り返ってばかりもいられないので先へ進む。と、言い訳しとく。表題作の他は、『ラン、ボーイズ、ラン』と『異教徒たちの踊り』。『レヴォリューションNo.3』 金城一紀 講談社(ソフトカバー?) 2001年10月第1刷発行・・・・・・・・・・・・・脱線しまして。レヴォ~の中で、襲撃前に主人公が集合&号令をかけるのが印象に残っている。私自身、ちょっと真似をしたことがある。いきなり、「ギョウザ」とかいうわけではなく、本番前にちょっとかわった事を言って、皆をリラックスさせ、自分は悦に入るという程度だが。フットサルの試合前。主将が皆を集め円陣(といっても合計5人)軽くポジションの確認などを行う。指示を聞いた後、横からそっと口を出す。「ポジションは・・・【自由自在】で行きましょう!」 いやまぁ先輩のチームだから、遠慮がちに。その次の試合は、【縦横無尽】。さらにその次は、【神出鬼没】で。つまらん?他の人は知らんが、私は一人で楽しんでました。といいつつ、試合の結果がどうだったかも忘れちまってるけどさ。以上、ひとりレヴォ遊びでした。
2004年12月21日
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頭の上に猿がいる。69歳になる作治の頭の上に。幻覚か気のせいに違いない。見えるのは自分だけなのだから。いったいなぜこんなことに・・・鋳物職人だった作治。 分厚い手には取瓶の握りタコ。体力的に限界で1年ほど前に仕事を辞めた。息子の真治と、息子の嫁・京子さんと三人で暮らしている。同居して三月ほどたった頃、京子さんに言われた。「申し訳ありませんが、私は年寄りが嫌いです。だからお父さんのお世話も充分なことは多分できないと思います・・・・~」この話は、作治が語っているということもあってか、静かに穏やかに進みます。↑の京子さんのセリフは衝撃的ですが、何も嫌ぁーな意地悪嫁というわけではありません。きちんとした背景があります。池永陽作品を読むのは初めてです。『コンビニ・ララバイ』がいい!という話をよく聞くので、手初めてとして文庫から。さすがに、この話もうまいです。ほぉーと頷く場面も多い。「昔の年寄りはもっと威張っていつも怒っていたような気がしますな。」つい最近、三十路に突入したピチピチの私でもそう思います。もっと強く実感している人も多いのでは。「あれは一種のふれあいみたいなもんじゃねぇかな。子供と年寄りの」そうだよなぁ。私は、一人のお爺さんを思い出した。小学生の頃住んでいたアパートの前にあった、小さな工場の人。近所の悪ガキども(私含む)は、アパートと工場の間の狭い道路で、よく野球をしていた。時折、ボールが工場のガラスを割ってしまうことがあって、そんな時はいつもカンカンに怒っていた【白髪鬼】。(当時そんなあだ名はつけていなかったけど、今思うとそんなイメージ)顔を真っ赤にして怒鳴るので、めちゃくちゃ怖かった。だけどある日。一人で壁当てをしていた私が誤ってガラスを割ってしまった。恐る恐る一人でボールを取りにいくと・・・白髪鬼は、「ガラス割らないくらい巧くなれよ」と微笑んでボールを渡してくれた。「爺さんて、本当はいい人じゃん」と子供心に思ったものだ。と、関係ない話が長くなったので戻ります。作治の仲間、同じ町内の建造と正光。それぞれに、それぞれの生き方、悩みがある。建造は、66歳で定年退職した2ヶ月後、突然奥さんから「私と別れてもらえませんか」と一方的に言われていた。正光は大阪から1年前に引越してきて、仲のいい奥さんと古いアパートに一緒に住んでいる。そんな三人が集まる喫茶店『茶々』。マスターの長女・明ちゃんは、イラストレーター志望の19歳。レジ脇には、描いたイラストを飾っている。基調色は“赤”。50年以上溶けた鉄と付き合ってきた作治は、“赤”にはうるさい。作治はイラストの“赤”を見て、明ちゃんの心中を思う。この交流、触れ合いがまた良い。もちろん、メインである息子の嫁・京子さんとの関係も変化していく。細かいところにも配慮が行き届いていて、むむむ、と頷いてしまったり。少し地味に感じるかもしれないけれど、元気になれるいい話です。おっと、忘れてた!猿、猿。猿はどうなったのかも一つのポイント。猿は・・・これからも池永作品を読んでいきたい。『走るジイサン』 池永陽 集英社文庫 (2003年1月第1刷)
2004年12月20日
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新龍鳴湖には、ネッシー型のUMAがいる!“おんびき祭文”の継承者・蘇我屋馬子は、村興しの祭に出演する為にやってきたが・・・『湖の秘密』含む三篇収録。【祭文】とは、語り物歌謡の一種である伝統芸。【おんびき】は、ヒキガエル。木の枝を一本手にし、語りだす。馬子の腕は超一級!だが・・・馬子の弟子・イルカが語る師匠の姿は以下のとおり。(この名前が出た時点で作品のスタンスがわかるというものである)がめつく、ずうずうしく、我が儘勝手で、見栄っ張りで、だらしくなく、言葉が汚く、食い意地が張っていて、大酒飲みで、ファッションセンスは最低で、しかもどすけべえキャラがキャラなら、ネタもネタ。なにせ【UMA】だ!もちろんウマではない(イルカと同じボケをかましてみる)。出てくるのは、ネッシー(リュッシー)、ツチノコ、キツネ。キツネは違うだろ!と突っ込みを入れたくなるが、これは“人を化かす”やつなのでOK(そうか?)話自体は、トンデモがあったり、不老不死の伝説が出てきたりと何だか落ち着かないのだが(UMAを扱って落ち着いているのも嫌だが)いろいろと細部にこだわりが見え、UMAへの思いも伝わってきて面白い。リュッシーの描写はリアルだし(本物をみたことはないが)2話目『魔の山へ飛べ』の落とし方もお見事!なるほどーと納得。それぞれの話の前に『UMA豆知識』で、登場するUMAの一般的な紹介をし、話の後には『ベストヒットUMA』と題し、作者の個人的な思いのたけをぶつける。これがなかなか良い!エッセーも読んでみたいと思わせる。私はこの人のダジャレが好きだ。『蹴りたい田中』なんてものを書くくらいだから、相当な使い手だ(笑)日本国内におけるネッシー的怪物の名付け方に「芸が無い」と嘆く田中啓文(ひろふみ)。ネス湖→ネッシーであるから、池田湖→イッシー、屈斜路湖→クッシー・・・そこから必然的に、龍鳴湖→リュッシー となる。話の中で出してきたネタは、【出茂倉湖】。 まぁまぁだ。(えらそう)しかし私は昔、マンガ『ハイスクール奇面組』のネタが忘れられない。【平沢湖】→ ヘイ、タクシー 。 わざわざ反転するまでもないよ(笑)話が逸れたついでに。ネッシーの写真が、いたずらだったと知った時、寂しくはあったがそれほどショックではなかった。それというのも、ドラえもん、いやスネ夫のおかげである。長編映画第一作だったと思うが、『のび太の恐竜』の中でスネ夫が有名なあの写真に対し「写っている対象のものは驚くほど小さい」というようなことを言っていたからだ。手元にコミックがないので確かめられないが、“リスの尻尾のようなもの”では?とあったような。もちろんそういう研究結果が既にあったのだろうが、マンガの影響は強い。まだ覚えている。しかし、一発変換出来るドラえもんに対して、のび太やスネ夫はまだまだだ(何のこっちゃ)それにしても馬子の存在感は並じゃない。将来、仲村渠フジに成長するのは間違いない。(『風車祭』池上永一に登場する強烈オバァ。身勝手な感想だ)めちゃくちゃな感想ついでに、この本が数々の強敵を抑え、04の40入りしたのにはわけがある。実は“私がUMA好きだった”ということもちょっとはある。が、真相は“手に入れるのに苦労したから”である。先にウルフ・ノベルス『UMAハンター馬子 闇にひかる目』を入手したのだが、なんと第4話から始まっているではないか!ということは当然その前があるわけで・・・しかし、幾ら探しも見つからない。何で?と思ったら、1巻は【学研M文庫】で発売されていた・・・どうして1巻が文庫で、2巻がノベルスなのよ?ノーマークでした(涙)と、まぁ読み終えた今となってはどうでもいいことなのだが、先日、七生子さんのページで衝撃の事実発覚!(おおげさ、笑)ハヤカワ文庫で全2巻新装発売! やられた~。 本の内容に関係のない話がほとんどになってしまった・・・『UMAハンター馬子(1)湖の秘密』 田中啓文 学研M文庫 (2002年1月初版発行)
2004年12月19日
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釣具屋に突然舞い込んだ一枚の奇妙なファックス。“30センチ超の多摩川の山女魚”が欲しいという。一匹につき二万円、数の制限はなし。だが今は禁猟期間。依頼主のこともよくわからない。さて、【東堂】と【苅部】はどうする?“東京創元社創立50周年、文庫特別書き下ろし作品”との帯。『ラストホープ』といういい感じ(?)の題名。作者は、未読だが最近名前をよく聞く浅暮三文(あさぐれみつふみ)これは期待してしまいます!『ラストホープ』とは?泥棒から足を洗った、東堂と苅部が始めた【釣具屋】の名前。そこに、かつて二人をパクッた刑事がやってくる。拾ったファックスには怪しい依頼(冒頭)が届く。新聞には【7年前の夜間銀行事件、時効成立か?】の記事が・・・。一方、かつての仲間の李は、中華料理屋で三人目のアルバイトを雇うことに決める。これはこれはとても面白そう。なんだけど・・・・・・・・イマイチ!ごちゃごちゃしていて良くわからなかった。状況を説明しない(誰だか明示しない)場面転換に馴染めず。東堂、苅部、李の三人は味があっていいのだが、他がつかみにくい。読む集中力&読解力の問題なのかもしれない。もったいないなぁ(自分への言)、好きなタイプの話なんだけどなぁ。クライム・コメディと紹介されているように、雰囲気はあるんだけど。そもそも私は【釣り】が、習字やボーリングと同じくらい苦手だ。(程度がわからん!)よって、きっと好きな人には堪らないであろう仕掛けもしっくりこない。章題とか、フライの説明、用語解説などなど。最近書いている感想は、ほぼ半年前に読んだものなので、結局は再読をしている場合が多いのであるが、この本はそんな気になれず。決してツマラナイということではなくて、なんとなく面倒くさい。もう一度しっかり読めば嵌る可能性もあるから、こういう本こそ再読してみればいいのだろうけど。うーん、『ダブ(エ)ストン街道』か『嘘猫』を先に読めば良かったなー。残念。でも、また次の機会にこれらの本を読むとしよう。『ラストホープ』 浅暮三文 創元推理文庫 (2004年6月初版)
2004年12月18日
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火渡抄子は常にメインをはる。あくまで自分のスタイルを貫く。今回は他団体主催の男女変則タッグマッチに出場するが・・・火渡が所属するのは、弱小新興団体PWP。【パシフィック・ウィメンズ・プロレスリング】そう、女子プロレスである。桐野夏生と女子プロがなかなか結びつかない。しかし、流石は桐野夏生。この世界を描ききっている(と思う。)ほとんど女子プロレスを見ない私でも、主人公の火渡が、ダンプ松本でもダイナマイト関西でもジャガー横田でもなく、【神取忍】をモデルにしていることがわかる。あとがきで桐野さんも以下のように明言している。“「火渡抄子」は神取忍選手がヒントになっている”(内面は全て作者の想像である、とも)やはりどうしても、【男らしい】という言葉が浮かんで来てしまうが(笑)自分を貫き通す姿勢は、男も女も関係なくカッコいい。もっとも“女にも荒ぶる魂がある”という強い思いがあるから(あとがきより)あえて火渡という闘う女性を創り出したのだろう。自己を表現する術が、たまたま男が支配的なプロレスだった。ということであると同時に、だからこそより意識・誇りは高くなり、周りを魅了する。そんな火渡に一番近くて遠い【近田】が狂言回しのような役割を演じる。練習態度も技も悪くないのに、何故か勝てない。とてつもなくでかい目標が目の前にいるのに、自分の思うように出来ない。苦悩の日々。だが、それでも闘わなければならない。これは近田の物語でもある。もちろんミステリでもありますが、そんなに重きは置いていなように感じます。桐野作品を読んだのは久しぶり。楽天内でも非常に評価が高い「ミロシリーズ」がイマイチ合わなかったのです。(『顔に降りかかる雨』、『天使に見捨てられた夜』の2作のみ読了)何度か言っていますが、先に読んだ柴田よしきの「RIKOシリーズ」のほうが印象が強くて。(もっとも、先に書かれたのはミロで93年。リコは95年)この二つのシリーズを比べるのはちょっと乱暴かもしれないですが。今回のこの作品は、isemariさん『ファイア』、かま玉うどんさん(お元気でしょうか?)『ボール』、ばあチャルさん『ブルース』の御三方が紹介されていたので、これは読まないわけにはいかん!ということで。(リンク付けタイトルの切り方に意味はありません)自分の感想を書いた後で、改めて皆さんの日記を読み返しましたが、やはり、【女にもある荒ぶる魂】は外せないようです。『ファイアボール・ブルース』 桐野夏生 文春文庫 (1998年5月第1刷)
2004年12月17日
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築何十年かになる倒壊しそうなアパート。勉強部屋として使うという名目(?)で引っ越してきた信也。真上の部屋には、気になる[妖精]のような女性が居る・・・表題作 『十八の夏』 含む4編収録光原さんの作品を読むのは初めてです。次に感想を書く予定の『ファイアボール・ブルース』とともに、最後まで【04の40】に入れるかどうか悩みました。『ささやかな奇跡』妻に続いて母も世を去り、故郷を離れ義父母を頼って大阪へ。小さな書店で出会った明日香と再婚を決意し、息子の太郎と一緒に野球を観に行く事になるが・・・『兄貴の純情』決断力は豊かだが、判断力に欠ける兄。判断力は豊かだが、決断力に欠ける弟。劇団員の兄が最近気にかけているのは・・・弟のよく知っている人だった。『イノセント・デイズ』ひさしぶりに見かけた、かつての教え子・史香から崇の死を知らされた。過去の悲劇から、また更なる悲劇が?あいかわらず、まとめベタだなぁ。こういうのを連作というのかわからないが、いづれの話も【花】をアクセントにつかっている。(裏表紙には“連作”とあるが、登場人物に関連性はない)朝顔、金木犀、ヘリオトロープ(キダチルリソウ)、夾竹桃。ミステリとしてどうこうというのはあまり感じなかったのだが、面白かった。トリックとかよりも、何気ない言葉の使い方が良いなぁ~と。早く花が咲くのは、それだけ枯れる日も近いってことなのに (P28)とか、“幸せな疎外感” など。人気があるのは、表題作でしょうか?ピタッと嵌ってるし緊張感もある。私は、『ささやかな奇跡』が一番好きです。もう、書店が絡んでいるだけでポイントが高かったりしますが(笑)それは置いても、お見事。巧い。これもトリック(というほどではないか)よりも太郎の描写がいい。難問にぶち当たったときの対応の仕方など、そうだよなと納得してしまう。さすがは、絵本、童話の執筆をなさっているだけあるといったところ。『時計を忘れて森へ行こう』 のほうが先に刊行されていたと初めて知った!まだ文庫化してないよね?単行本は手元にあるから文庫化前に読まないと(笑)『十八の夏』 光原百合 双葉文庫 (2004年6月第1刷発行)
2004年12月16日
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1947年2月3日、物語は始まった。ブルーはホワイトから仕事を引き受け、ブラックを見張る。日付は何となく。これは何だろう?120ページほどの薄い本。でも、一筋縄ではいかない。もともと考えながら読むのは苦手なのだが(それなのにミステリ好き)、これはそのまま、すぅーっと通り過ぎてしまうにはもったいないのでゆっくりと読んだ。まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、そもそものはじまりの前にはブラウンがいる。という奇妙でやけに気になる書き出しは、ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』のように有名なのでしょうか?ストーリーは、基本的に【ブルーがブラックを見張る】というだけ。挿入される逸話は興味深いが、ブルーとブラックには表向きこれといった動きがない。ボーっとするのが性に合わないブルーは、ブラックの中に入り込もうとする。想いにふける→考え込む→自分自身を見つめる→物語をつくる→足元を掘り下げる調和したような“親近感”と、切り離されたような“疎外感”を味わいながら。ブルーがブラックを見張り始めたばかりの頃に、こんな描写がある。ブルーは退屈している、といのとはちょっと違う。ただ何だか、はぐらかされたような気持ちなのだ。(略)まだ、何もわかっていないじゃないか。(略)即断は控えた方が身のためだ。まさしく物語自体に、こんなふうに感じながら読み進めていく。巻末で伊井直之さんがおっしゃっているように、【色】を名前に配した登場人物たちは、【色のない世界】を進行している。作者は小説の中で彼らが実在化するのを拒否している。また、会話に「」が全く使われておらず(訳者の狙いかもしれないが)そこにいるのが誰なのか?これは誰の物語なのか?ブルーとは何なのか?幽霊って皆?なんて疑問も浮かんでくる。挙句には、「今確かにここに居ると思っている私は、誰かの夢の中でもがいているに過ぎないのではないか?」と、どこかできいたようなことを自分自身に置き換えて想像してみたり。なかなか消化しきれません。ちょっと考えねばならないような本になると、途端に感想を書くペースが遅くなる。いつもがいつもだから、たまにはいいのかもしれませんが。『GHOSTS』Paul Auster 1986『幽霊たち』 ポール・オースター 柴田元幸 訳 新潮文庫 (平成7年3月発行)
2004年12月15日
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ホームズに嵌った“ハカセ”は、名探偵の特訓中。“ハチベエ”と“モーちゃん”を巻き込んで探偵きどりの三人。すると、クラスの女子から「ペットが行方不明になった」という情報が!! 私の読書の原点とも言える『ズッコケ三人組シリーズ』♪小学6年生の三人組を主人公とした児童書です。久しぶりに読みたいとずっと思っていて、古本屋で見つけたのがこの『推理教室』。最近のミステリ嗜好の読書傾向にピッタリだ!と思って迷わず購入。【ハチベエ】 (本名 八谷良平)ちびで色黒、口は悪いが、正義感が強い。おっちょこちょい。【ハカセ】 (本名 山中正太郎)ニックネームそのまんま。やせていて眼鏡をかけている。読書はトイレにて。【モーちゃん】 (本名 奥田三吉)ニックネームそのまんま。の~んびりしている。穏やかな性格で人望あり。おなじみの三人が、いつものように動き出す!それぞれの性格から展開が何となく読めてしまうのが、むしろうれしい。ハチベエは前に突き進んで、ハカセは理屈っぽくて、最後にはモーちゃんが頼りになる。なつかしい~。うーん、なつかしい(噛締める)ベタな言い方だけど、タイムスリップしたような感覚になる。かと思うと、ある有名な作家もいっているではないか。“家は借りて住め、本は買って読め”と・・・。なんて一文があって思わず笑ったり。(有名な作家とは、灰谷健次郎さんのようです)こういったユーモアも結構あったんだなぁと、魅力を再発見。今となっては、あっという間に読み終えてしまうのが、嬉しくもあり、悲しくもあり。小学生の頃、それまでは漫画しかみなかったのに、夢中で読んだっけ。一番好きだったのは、『ズッコケ時間漂流記』。このホームページとは、切っても切れない関係(笑)理由は、フリーページ一番上に)“探偵団”、“探検隊”、“事件記者” 面白かったなぁ。“児童会長”の時のハチベエ、カッコ良かったなぁ。この本を読んでいた半年前は、そんなことになるとは全然思いもしなかったが、少し前に、“【ズッコケ三人組シリーズ】が50巻で終了”というニュースがありました。寂しい気持ちもありますが、やはり「ありがとう」といいたい。長い間本当にお疲れ様でした。昔読んだ本も探せば、家にあると思う。たまーに引っ張り出して、また読みたいな。『ズッコケ三人組の推理教室』 作・那須正幹 絵・前川かずお ポプラ社文庫 (1992年12月初版発行)
2004年12月14日
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秘境と呼ぶほど人里離れた山奥ではなく、ほんのちょっと街道筋からそれた所に、今でも「かくれ里」の名にふさわしいような、ひっそりとした真空地帯があり、そういう所を歩くのが、私は好きなのである。(P9)現代の「かくれ里」を訪ねる紀行エッセイ。油日、櫟野、宇陀、吉野、阿騎野、金勝山、伊賀、越前、葛城・・・非常に贅沢な本である。装丁が絢爛豪華である、値段が高い、というようなことではない。読んでいると、何だか心が豊かになったような気がするのだ。仏像や古美術も、強いものではない。それは不断の尊敬と愛情によって磨かれ、育ち、輝きを増す。(P11)神社仏閣、能や古典芸能などに殊更強い関心があるというわけではなく、民俗学的なアプローチ、専門知識などにもまごつく感がある私であるが、白洲さんについて歩く行程は、心地が良くて、ほっとする。ふらっと行ってしまう寄り道がまた楽しい。恐らく、出てくる固有名詞などは数日で忘れてしまうだろうが(覚える気がない?)幼い時分に、“近所の何でも知っているおばあちゃんに昔話を聞いた”かのような、温かさ。ページ数が少なくなっていくのがもったいなく、読み終えたくないなと思ってしまう。こういう本こそ、もっとじっくりと内容や感想を書いていくべきなのだろうが・・・私の力では、まとめ終わるのがいつになるかわからない。よって簡単にここまでで終了。今回読んだのは、講談社文芸文庫。割高だなぁといつもは思うが、この本はそんなことない。(といいつつ、私はもちろん古本で買っている)単行本が刊行されたのは、昭和46年12月、新潮社から。もう30年以上が経つが、白洲さんの言う『かくれ里』は、まだ健在だろうか?残念なことだが、そのままの状態で残っている場所は少ないだろう。いつの日か、ゆっくりと旅してみたい。『かくれ里』 白洲正子 講談社文芸文庫 (1991年4月第1刷発行)・・・・・・・・・・・・・・・・・・少し前、家の近所で、通称【ポンポコ山】が崩された。(正式な名はわからない)宅地にするのだと思う。こじんまりとした社もあったが、移されらしい。(詳細不明)あれだけ草が茂っていたのに、今は平らになっていてやけに広く見える。小学生低学年の頃からこの地で過ごしてきた弟はショックを受けたようだ。「俺の秘密基地があったのになぁー」と。こういう場所が減ってしまうのはやはり寂しい。 ちょっと話がずれたかな。
2004年12月13日
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相模湾に面する温泉地。すぐ近くには【幽霊館】と謂われる廃屋がある。夜道を行き、ライトアップされる間欠泉を見ていたら・・・幽霊館のそばの空中に、青白い人影が!前日分、『奇憶』に続く、祥伝社400円文庫。出版社に対するイメージが悪くなるのを防ぎたかったのか、ただ単に、厚い本を読むのが辛い時期だったのか、今となっては定かではない。以前読んだ『3000年の密室』に比べて、やわらかくてとっつきやすい。副題に『天才・龍之介がゆく!』と、そのまま直球で【天才】と使っていることからも、わかりやすい話にしよう、という狙いが伝わってくる。表紙のイメージが強いのか、主人公の天才・天地龍之介、とても28歳だとは思えん(笑)初っ端の天才ぶり発揮のシーンには、「そんなのあり?」という感じで不安だったけれど、いろいろ弱点もあったりして、憎めないキャラクターです。空中に浮かぶ人影、幽霊館の3階の窓から消えた女の姿・・・ボリュームの割りには、謎、トリックとも楽しめました。つらい部分も少しありますが、続きも読みたいシリーズです。『殺意は幽霊館から 天才・龍之介がゆく!』 柄刀一 祥伝社文庫 (平成14年6月初版発行)
2004年12月12日
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銭湯に行った帰りのこと。月と追いかけっこをした。 月は同じ速度でついてきた。父も母も、一緒に月から逃げてくれた。 丸い二つの月から・・・初めて読む作家です。角川ホラー文庫の『玩具修理者』とか面白そうだな、と思っていたが、機会がなく。久しぶりにホラーが読みたい、でもドップリ浸かるのは嫌だなぁという理由で、薄くて読みやすそうな、祥伝社の400円文庫を選んだ。(特別書き下ろし作品)読了後、半年近く経ってこの感想を書いているのですが・・・恐ろしいことに、この本の内容を全く覚えていませんでした。どうなっているんだ!私の記憶力。でも、読了本リストに載っているのだから、読んだのは間違いない。これは再読するしかない → 再読スタート。が・・・100ページほど、読んでも思い出せない。出だしは冒頭に書いたような感じで、面白そうなのに。(私も月と“追いかけっこ”してた。しかも銭湯へ行った帰りに)主人公の幼少の頃の記憶。そこから、現在の生活についての描写が始まって・・・ダメだ。もう、あきらめよう。完全にゼロから読み始めるつもりで。読了。うーーん。久しぶりのイマイチな読後感。怖くないよー。ヨモツシコメも何だかなぁ。「何でこの話のタイトルが【記憶】なの?もっとゴチャゴチャするかと思ったのに」と思って本を良く見たら、タイトルは【奇憶】だった・・・・(涙)集中力なさすぎ。想像力も欠けていたに違いない。ひどい感想だ。次は、角川ホラー文庫のほうを読んで、小林泰三(“たいぞう”ではなく“やすみ”)さんの作品が自分に合うかどうか判断することにしよう。『奇憶』 小林泰三 祥伝社文庫 (平成12年11月初版第1刷発行)
2004年12月11日
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ドォン、バリバリ、ガチャーン。相撲部屋に、落ちてきた。何が?・・・・大砲だ。えー、戦時中の話ではありません。落ちてきたのは、大砲公園にある由緒ある大砲の玉。(彰義隊をやっつけるのに官軍が使ったという年代物)それが何故、両国にある弱小相撲部屋に?意外性のある、何かがおこりそうなワクワクするような出だし。続けて幾つかの事件が、街中でおこる。それらしい謎、絡んでくる怪しい人、もの。創元推理文庫。帯には【下町少年探偵団】の文字。表紙のイラストは松尾かおるさん。(泡坂妻夫の亜愛一郎シリーズ、天藤真さんの本もそう。個人的にとても当り作なイメージ)これは間違いなく期待大!だったのに・・・・・私にはイマイチ合わず(涙)一番メイン(だと思われる)の場面がどうも馴染めなかった。(他の方法、幾らでもあるんじゃないの?と思ってしまった)あとは、主人公?三人の存在感の薄さも気になった。・九重一雄・・・語り手である平凡な高校生・枝川順平・・・チビで色黒、家は花火屋・筒井友彦・・・色白でヤセ、最近引っ越してきたどうも那須正幹さんの『ズッコケ三人組』を思い出してしまう。(他に相撲部屋に花田勝治という中学の同級生がいる。まさに、モーちゃん)まぁ、イメージするのはこちらの勝手だからおいておくとして、全然目立たってない!【下町少年探偵団】は、看板倒れではないか。(戸松さんがつけたわけではないかもしれないが)でも、次の作品に期待したい。この『千秋楽~』はデビュー作で、79年に発表。しかもシリーズもので、『名探偵は九回裏に謎を解く』『名探偵は最終局に謎を解く』と続く。面白そうなタイトルではないですか!(三人の活躍に期待していきたい。ん)昨年、『剣と薔薇の夏』で復活を遂げたそうなので、こちらも機会があれば。著者紹介を見てびっくりしたのだが、戸松さん、私が生まれた年に、私の出身大学(学部も一緒)を卒業されているもよう。あまりいないからなぁ。これは縁がありますな。全部読もうか(笑)『名探偵は千秋楽に謎を解く』 戸松淳矩(とまつあつのり) 創元推理文庫 (2004年6月初版)
2004年12月10日
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三流結婚詐欺師、いずみ(29)。外務省官僚の一人息子と婚前旅行でハワイへ!行くはずが・・・アロハ・麦わら帽子のじいさんに声を掛けられて、事態がかわる・・・以前に読んだ『天国の本屋』の第二弾。【ヘブンズ・ブックサービス】、アロハのヤマキ、バイトのアヅマとナカタも健在です。この本にも、絵本が出てきますが、その中の一つ、『スーホの白い馬』。これは、小学校のときに授業で読みましたが、よく覚えています。つい最近も、NHKで「村山由佳さんがモンゴルを旅する」というような番組で、出ていました【馬頭琴】!おぉー、スーホだ!と思いましたもん。『うつしいろのゆめ』 自体も絵本のような淡いイラスト付(5ページに一つくらいだけど)で、話自体もそんなに長くないし、読みやすい。1時間もあれば充分でしょう。最初、主人公の設定に「あれ?」と思いましたが(笑)朗読、挿入される話、絵本。 何だか落ち着きます。気難しいオヤジのいる家でヘルパーとして働くことになった、いずみ。さて、どうする?露草、消えてしまう青、うつしいろ。さて、『天国の本屋』は映画化されましたよね。『天国の本屋 恋火』というのは第三弾のこと?イマイチ関連性がわかりません。映画の宣伝はよく眼にした気がするのですが、例によって観ていません(涙)公開後の評判をあまり聞かないような・・・どうだったのでしょ?『うつしいろのゆめ 天国の本屋2』 松久淳+田中渉 木楽舎(単行本) (2002年3月第1刷)文庫化しているようです。
2004年12月09日
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「大崩壊」後のドーム都市、【エディプス】。ユウは、母親と二人で暮らしている。同世代の少女と知り合う機会さえない。しかしそれはユウだけではなく、イースト・エリアに住む少年全員にもいえることであった・・・表題作『エディプスの市』含む、18編収録。ミステリ作家として認識していた笠井潔。最近は本屋で講談社文庫の『ヴァンパイヤー戦争』を本屋でよくみかけるし、手元には『サイキック戦争』なんてものもあるけど、古本屋の100円コーナーでこの本を見つけ、思わず手に取った。何故か?それは、【ハヤカワ文庫】だったから(笑)(個人的に古本屋で一番気になるのが、ハヤカワ文庫と創元推理文庫なのです。)そんなことはともかく。第一部 未来から第二部 地上にて第三部 超越へという目次になっています。(最近、こればかりだな)【コンピューター学習装置】、【サイコ・コンサルタント】、というとても分かり易い名称のシステム。タイトルもとても親切な感じです。3つの儀礼(黄金、白銀、青銅)、4つのエリア。【大崩壊】に至った経緯が、あまりにもあっさりし過ぎる気がします。ここまでコントロールされてしまったら・・・この話だけではなく全体的に、土台の崩壊、喪失というイメージが残りました。実はあまり内容を覚えていないので、後でもう少し書くかもしれません。(読んだ直後に残した思われるメモがあったが、題名と【土台の崩壊】しか書いていなかった・・・)今回ちらっと眺めて吃驚したのが、著者紹介。『バイバイ・エンジェル』って1979年作だったのか!もう25年経つのかい!(リアルタイムで読んだわけではない。実は矢吹駆シリーズはこれしか読んでいない)なお、この本に収められている話は、全て80年代に書かれたものです。『エディプスの市』 笠井潔 ハヤカワ文庫 (1994年4月発行)
2004年12月08日
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食料汚染問題の大スクープをものした竹脇(ジャーナリスト)が、車ごと海に落ち、意識不明で病院へ運ばれた。友人の羽川は病院に駆けつけた。そしてそのまま職場へ。ポストで見つけた封書には、「冷凍倉庫に毒物を混入した」という文字が・・・小役人シリーズ第一弾。江戸川乱歩賞受賞作。主人公の羽川は、東京検疫所の元食品衛生監視員(食品Gメン)。竹脇の妻・枝里子は、羽川の元恋人。羽川とは2週間前、6年ぶりにベッドを共にした。竹脇は、7日前にそれを知り、家を出た。酒が飲めないはずが、海に落ちた時は泥酔状態だった。冒頭から絡みまくり。いかにも、連鎖していきそう。 もちろん、する。いろいろあって、毒物混入、放射能汚染の密輸など調査に乗り出して・・・社会問題を扱ったあまりにも現実的な話は、読んでいて疲れてしまう性質なのだが、この本はそのようなこともなくて、思ったよりも肩の力を抜いて面白く読めた。主人公の職業の物珍しさも一員かも。展開のはやさ、複雑さもOK!(適当なのは、途中まで書いたものが停電で一度消えたからだ!)『ホワイトアウト』とは、かなり印象が違いますが、こちらも嫌いではないです。『連鎖』 真保裕一 講談社文庫 (1994年7月第1刷) 単行本・1991年、講談社。ここからは、どんどんずれていきます。読み終えて数ヶ月。印象に残っている人物がいる。総務課長で、羽川と同じく元食品衛生監視員の高木。なぜかといえば、私が勝手にある人物をイメージしていたから。それは、海南大付属の高頭監督。(笑)そう、『スラムダンク』(バスケ漫画)に出てくる人だ。顔だけですけど。何の根拠も関連性もない。唐突に浮かんでしまっただけだ。兄弟や友人など良く知っている人物ではなくて、普段はあまり気にしないような人(高頭監督のことなんて考えたことない)が、登場人物のイメージにピタリとはまってしまうことがたまにある。CMに出てた、名前も知らない小さな男の子と女の子のときもあるし、家に2、3度だけ来た(でも話をしたことはない)弟の友達であったり、昔、どこかで読んだ漫画の得たいの知れないキャラクターなんてことも。(もちろん、もっとメジャーな存在を思い浮かべることもありますが)一度結びつくと、なかなか離れず。少々存在感を増してしまう場合も多い。もちろん全部が全部ではないし、自分でもよくわからないのだが。勝手にイメージを創りあげ(その自覚すらないが)、映画などでそのイメージと会わないキャラクターになってしまうと気に食わなかったり。やはり小説を読む時に、自分の中でふくらませていくのが面白い。人物だけに限らず、背景、場面、なども。
2004年12月07日
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【伊良部総合病院】地下一階。そのドアを開けてしまったら・・・神経科の医師・伊良部は言う。「ストレスの原因を探るとか、それを排除する工夫を練るとか、そういうの、ぼくはやんないから」(P11)そして、愛想のまったくない看護婦・マユミ。調子が悪いのに、検査をしても異常がみつからない出版社勤務の男。盥回しにされたような感じで、神経科へ。伊良部の勧めというわけでもないが、運動不足解消に泳ぐことにした。いざ、プールへ!体調はよくなっていくが・・・『イン・ザ・プール』含む5作収録ようやくここまで来た。読み終えたのは『空中ブランコ』が直木賞の候補に挙がった時で、タイムリーだったのに。(ご存知のように、受賞した『空中ブランコ』も本作と同じ【伊良部もの】。 なお、この『イン・ザ・プール』も直木賞候補作。受賞は、乙川優三郎の『生きる』)伊良部のもとへ来る人々はそれぞれ深刻である(本人にとってはもう間違いなく)。笑い事ではなかったりもしますが、笑えます。でも他人事でもなかったり。(『いてもたっても』の強迫神経症とか。そうなる可能性はゼロではない!) 本能のおもむくままの、伊良部。とりあえず、何もしない。いや、注射はうつか(笑)するとどんどんどんどん深みに嵌っていき・・・ それでも本能のおもむくままの伊良部。「あれ?この人が言うことも一理あるかも」 そして最終的にはどう転ぶ?本当は名医なのか?どっちだかわからないところがいい。ここまで【伊良部】って何回使っただろう?まぁ、それだけ濃いヤツだということで・・・以前読んだ『野球の国』(エッセイ)で、創作の苦しみについて書かれていたが、伊良部話を生み出すのも相当な苦労があったのだろうか?「かなり楽しんで書いているんじゃない?」と思うけど・・・そういえば、まだ『邪魔』と『最悪』読んでいなかった。『空中ブランコ』とどちらを先にしようかな、と。 どちらにしても楽しみだ。『イン・ザ・プール』 奥田英朗 文藝春秋 (平成14年5月第1刷)
2004年12月06日
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子供が生まれると真っ先に書見台を拵える春田家。長男・光紀は、小学4年で日本の古典はほぼ暗記した。でもそれを内緒にしなくてはならないのが、納得いかない。でも、ここは常野じゃないから・・・ 『大きな引き出し』含む、10篇収録。「人より長く生きられたり、遠くのものが見えたり、未来のことがわかったり」といった不思議な力を持つ【常野一族】について書かれた短編集。『大きな引き出し』最初からグッとひきよせられる。「しまう」「響く」「虫干し」・・・切れのある言葉。場面が浮かび、心地よさすら感じる。『二つの茶碗』、『達磨山への道』未来を見る娘の話と、一族の聖地「神隠しの山」で起こった出来事。『オセロ』雰囲気が一変。息のつまる攻防「裏返し」「裏返される」。運命、恐怖。『手紙』タイトルそのまま手紙のやりとりから、【ツル先生】の謎に迫る!そして表題作、『光の帝国』。戦時下、疎開のような意味あいで常野を離れてやってきた地。能力を狙われたのか、軍部に連れ去られる一族のものたち。厳しい環境の中、自分たちの力、一族の力と戦ってきた子供たち襲撃を受け立てこもる。緊張感が漂う。(筒井康隆の【七瀬シリーズ】を思い出した)ツル先生の苦悩と、希望。『歴史の時間』【亜希子】が見た、何か恐ろしく、悲しく、幸福な・・・暗示的な夢?『草取り』街中に蔓延る毒々しい色の草。そんな草を取る、ある男。『黒い塔』【亜希子】の物語。収束。終わったわけではないけれど。『国道を降りて・・・』一族のパーティーに里帰りした、チェロ奏者。(お帰り、みさき。ツル先生、良かったね。)挿入的な話であったり、互いに関連して登場人物が行き交ったり、一族以外のものに語らせたり、形式はさまざま。これもまた、『遠野物語』を感じさせる。【常野】を、恩田さんの出身である「宮城」のどこか、としている。強引かもしれないが、(断定しているわけではないが、登場人物が語っている)やはり、故郷としての、もといた場所としての、帰る場所としての【常野】であり、その歴史を切り取り、断片を組み合わせ、光をあて、語られる。他の人から見れば“異質”なのかもしれないけれど、本人にとってみれば“当たり前”なのだ。まさしく【恩田版遠野物語】だな、と思わせる。あとがきで、「春田一家の連作にしてもよかったなぁ」とおっしゃっているが、【常野】の着想を得た恩田さんは、アイディアを幾つも幾つも抱えているに違いない!と、気楽な読者は思ってしまう。スタンドを得た、荒木飛呂彦のように。(漫画ネタです)やはり、書き続けてほしいなぁ。寄せ集めでいいんだから。村人の話をポツリ、ポツリと収集していくように、物語が重なっていってくれると嬉しいのだが。常野の人々の話は、もう書かれているのか?今、書いているのか?これからなのか?全然知らないけれど、またどこかで読みたいです。未読作品は多数ありますが、私が今まで読んだ恩田作品の中では、No.1です。『光の帝国 常野物語』 恩田陸 集英社文庫 (2000年9月第1刷)作品自体は、1997年10月刊行
2004年12月05日
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すべて遠野の人から聞いた話である。山の神、山男、山女、まぼろし、魂の行方・・・・遠野郷にこの類の物語は、なお数百件。国内の山村で、遠野よりさらに物深い所には、無数の山神山人の伝説がある今までの読書傾向とはかなり異なる選択。それは、「恩田陸の『光の帝国 常野物語』をより楽しみたい」と思うがゆえ。以前に『南総里見八犬伝』と『忍法八犬伝』でやったような“セット読み”。なので、【民俗学】とは何ぞや?柳田文学の果たした役割は?というような、教養、研究の材料としての読書という意味合いはない。私の場合、読書の目的は基本的に娯楽なので。そんな暢気なこと言っている場合ではないだろ、と思うけど止められない。遠野郷とは、岩手県中南部遠野市のこと。明治42年の8月に、柳田は初めて遠野を訪れた。(その前年、佐々木喜善と知り合い、遠野の話をきいている)聞いた話を加減せず、感じたるままを。それは、目撃談のようであり、「ちょっとこんなエピソードがあるぞ」といった形のもの。「去年、誰誰が山男を見た」「あの家にはこんな歴史、いわれがある」どこどこに、こんな習慣がある、こんな唄がある、こんな神を祭っている・・・などなど、素朴に、丁寧に書かれている。個人を決して蔑ろにしない。忠実にありのままに再現しようとする。そういった話が、短いもので2、3行、長くても15行ほど。先に↑で挙げた、山の神、山男などは、取り上げられた回数が多い題目。他には、昔の人、小正月の行事、家の盛衰などについても多く触れられている。なんで【遠野】なのか?どんな意図があるのか?良くはわからないが、決して「山の神やら、天狗やら不思議な話を集めただけ」ではないのだろう。きっと、遠野の人にとっては不思議でもオカシクもなく、日常なのではないか。それは、延々と語り継がれた話であったり、守ってきた行いであったり、身体に染み込んでいるものなのであろう。ただ、そこにあるだけ、日々の営みなのだ。自分を見つめなおせ、とかそういったことに繋げるのは単純にすぎるかな?なんにしろ、暮らし方、生き方を垣間見ることが出来るというのは悪くない。適当じゃー。柳田国男という名前に反応して来られた方はガッカリなさることでしょう。すみません、メインはあくまで恩田さんの本だったので、流し読み流し書きとなりました。他の収録作は、『女の咲顔』 『涕泣史談』 『雪国の春』 『清光館哀史』 『木綿以前の事』 『酒の飲みようの変遷』最後に、ちょっと前まで柳田国男さんと柳田邦夫さんをゴッチャにしていたことを告白します。年代とかまるで頭になく、なんてフィールドが広い人なんだと思っていました。(いや、もちろんひとりひとりでそれぞれ広いですけど)私は、こんなものです(涙)『遠野物語』 柳田国男 集英社文庫 (1991年12月第1刷)巻末年表より『遠野物語』は、明治43(1910)年、自費出版。
2004年12月04日
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中学入学の直前、【原田巧】は母が生まれ育った街へ引っ越して来た。「勝って当たりまえのチームで全国大会に出るより、原田がいたから行けたっていわれるほうが、おもしろいじゃないか」天才投手の前に待つものは・・・さて、ようやくこの本の感想が書けます(笑)今日、本屋にて文庫で三巻目が出ているのを見ました。こちらも当然楽しみ。一番印象に残ったのは、巧の心情の抉り方。(じいちゃんに対して、「ちきしょう」と思うシーンなんてあーた)大人が期待する“きれいごと”ではなく、型どおりの“ツッパリ”方でもない。「若さ」と一言で片付けてはいけないような、一途さと冷酷さと強さ。自分に絶対の自信を持ち、周りを気にするのがわずらわしく、ただ打ち込みたい。ごちゃごちゃした感情はいらない。ただ、自分の野球がしたい。うーん、よくぞここまで。「なんだよ、コイツは」と思ってしまう場面もあるほどの個性。でも、とても魅力的。こういう捉え方は短絡的かもしれないが、【天才投手】ってこんな感じになるだろうなぁと。(年齢を考えると、もっと無邪気な“お山の大将”ぽいのかもしれませんが)一番高いところにたって、自分が投げて試合は始まり、ゲームは動く。その場を支配できる存在。小学生の頃に、絶対的な【力】を得てしまった。やはり、“主役”なんだよな。投手って。野球漫画見ても、主役はほとんど投手だし。(山田太郎を除く。最近のも、よくわからないけど)高校時代美術部だった父。高校野球の監督をしていた祖父。(母方)たくさんの野球選手をみてきた母。生まれつき病弱で身体が弱いが、野球をやりたい弟・青波(せいは)。そして、地元チームの、捕手・永倉豪。引っ越してきて、環境が変わって、豪と出会う。父、母、祖父、青波、その他の人々の関わり。小さな事件もあり、「さぁ、これから」というところで終了。次巻では、いよいよ【バッテリー】となっていくのでしょうか?とても読みやすいし、野球に対しても真摯に描けていると思う。続きが待ち遠しいシリーズに出会うことができて、うれしいです。野間児童文芸賞を受賞。『バッテリー』 あさのあつこ 角川文庫(平成15年12月初版発行)
2004年12月03日
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休みをとって南の島へ行く予定だった僕は、風さんからあることを頼まれた。それは、【ある島へ行き、海岸に穴を掘って封筒を砂に埋める】ということ。封筒の中身は、伊勢湾台風のときの天気図だった。全てはここから始まった ― 薄井さんの作品を読むのは初めてです。ずっと読みたいと思っていた作家の一人で、他にも、『星の感触』、『雨の扉』、『満月物語』、『天使猫のいる部屋』 などなどそそられる(笑)タイトルがあったのですが、丁度何を読もうか?と思っていたこの日は、台風だったのでこの本を選択しました。(そう、6月に読んだ本の感想を半年遅れて書いている暢気な私)内容に戻りますと。【僕】が勤めているのは、民間の気象情報会社。フロア全体コンピュータの塊のような職場のなかにあって、PCを使わない唯一の人が【風さん】こと風祭譲吉。小柄な白獅子のような老人は、予報室にいる。そして何とも不思議な話が・・・ネタバレっぽいですが(ミステリではないけど)裏表紙にあっさり書いてあるのでそのまま書いてしまいます。念のため、反転させます。【僕】は恋をする。相手は・・・風子。台風21号。要するに台風一家なんですよ。漢字の間違いではなく。パパ、ママも登場。かなりいい味だしています。一部を紹介。(もっと他に突っ込むべきかもしれませんが)パパ「馬の骨に大事な娘を貸すなんて、できると思うか。台風を甘くみるな」しぶしぶ引き下がる僕。 パパ「ちょっと反対されただけで簡単に引き下がるな。・・・・中略・・・・・ きみは私に、父親として交際を反対する楽しみまで奪うつもりじゃないだろうね」僕 「では、よろしいんですね」パパ「駄目だ。絶対にいかん」 最後のほうに、【雪迎え】の描写と説明があります。(東北の米沢盆地での話)青空を背景に、銀色の細い糸が、つう、と横に一本なびいている。それが思わぬ速さで上空に舞い上がって見えなくなった。小さなクモが糸を引いて空を飛ぶらしいのです。気温が高くなり上昇気流に乗ると、木を離れ、ハングライダーみたいにどこまでもいく。ジェット気流に乗り、太平洋を横断してアメリカ大陸まで飛行するのが観測されているのだとか。【雪迎え】というのは、「クモが飛んだあと、決まって雪が降る。」と言われているから。(P257)へぇー。全く知りませんでした。凄いな。神秘的で素敵ですね。以前、柊♪さんが日記で雪虫について書かれた時にも感じましたが、(私は、雪虫についても聞いたことがありませんでした。)名づけ方、言葉の使い方がとても綺麗でいいな、と。真っ白な【雪】がもつ魅力というか、魔力というか、関心を誘うのですね。ちょっと神話的で、不思議な面白みのある話でした。解説で、田口ランディさんが薄井さんのことを、自分が本当に確固とした人間である、というような絶対的な揺るぎない自信がない人なのだ。(P267)と書いていたのがとても印象的。こんなふうに言われる人はめったにいないと思う(笑)『台風娘』 薄井ゆうじ 光文社文庫 (2002年10月初版1刷発行)
2004年12月02日
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典型的な田舎町【那木良】へ東京のヤクザがやって来た。消えた二人の舎弟と1000万を探し、失った面子を取り戻すために。久々の戸梶作品。かつての戸梶祭り→『増え捨て威張るフェスティバル』で入手したものです。はちゃめちゃぶりはかわらず。またまたヤクザ絡みの話。もう少し詳しく内容をみていくと。爆発事故を起こした大企業が工場用地を探し、那木良町に目をつける。反対運動を潰すために地元ヤクザとの交渉が必要になり、親交のあった東京の暴力団(井波興業)を間に立てた。井波の若手二人が取引条件の現金1000万を運ぶため、那木良へ向かったが…二人と1000万が行方不明に!とんずらか?室田組が関係しているのか?そのうちの一人の兄貴分【桜井】が、滋野とともに那木町へ向かった。この桜井を中心に話が進む。一橋大法学部出身の一見クールなヤツ。あと記憶に残っているのは、勘違いヤローの、室田一家の組長の息子【迅】と、コーちゃん、マー坊、太一のリストラ親父三人衆(50~51)。彼等はこの田舎に場違いな巨大ショッピングモールで今日も時間をつぶす。働かないバカ息子たちへの愚痴はつきない。↑にも少し書いたように、やはりいろいろな人物が入り乱れてめちゃくちゃになっていく。とことん。無茶をするヤツ、徹底的にやられるヤツ。どうしようもないヤツ。同じ激しい暴力でも、花村萬月らが書くものとは少し違う気がする。理由も、生き方もない。というか唐突に感じる。あくまで勝手なイメージだが、萬月の場合、全部わかったうえであえてやるというか、登場人物に妙な信頼感みたいなものがあるのだが、戸梶は違う。とてもじゃないが、信用できない。主人公でさえも。「若さ」というのは違う気がするが、このパワーがひきつけるのだろう。ジメッとしたものがない代わりに、妖しさのようなものもないけど。えげつないけど、ちょっと爽やか?(自分でもよくわからず適当に言ってます)まだしばらくは読んでいくでしょう。『なぎら☆ツイスター』 戸梶圭太 角川書店(2001年6月初版発行)
2004年12月01日
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