奥州伊達藩のお家騒動に乗り込んだ早乙女主水之介。映画生活三十年の市川右太衛門の出演映画三百本記念の東映オールスターによる退屈男シリーズ決定版です。
橋蔵さまは、映画界に入り、 2
作品目の「謎の決闘状」で、特別に役を作っていただき、右衛門御大と初共演しました。あの作品では途中で死んでしまう役だったですが、今回は伊達藩の家臣、美濃部新兵衛に扮し、退屈男とともに正義を守っての大活躍です。
「オールスターの作品に出演することは、僕にとって勉強のひとつになります」諸先輩方や普段共演出来ない方の演技を傍で体験できることは橋蔵さまにとって刺激にもなったでしょう。
作品の冒頭で色とりどりのカラーのライトを浴びた退屈男が敵を斬り倒すところから始まります。記念作品ということで思いもかけない始まりかたにしたのでしょうか。
◆第 39
作品目 1958
年 8
月封切 「旗本退屈男」
早乙女主水之介 市川右太衛門
揚羽の蝶次 中村錦之助
美濃部新兵衛 大川橋蔵
百々地三之丞 東千代之介
秋篠平八 里見浩太朗
桜内数馬 北大路欣也
江藤小次郎 南郷京之助
楓 丘さとみ
菊路 桜町弘子
八島 浦里はるみ
鶴千代 植木千恵
百合江 花園ひろみ
お妙 大川恵子
伊達兵庫 進藤英太郎
原口刑部 山形勲
奥山大学 原健策
剣持新七郎 加賀邦男
大場道白 柳永二郎
榊原監物 薄田研二
横這いの円太 横山エンタッ
のっそり弥八 杉狂児
浜島玄蕃 徳大寺伸
おたき 長谷川裕見子
浅岡 花柳小菊
浪乃 千原しのぶ
甲賀三郎兵衛 大友柳太朗
角倉十太夫 月形龍之介
伊達忠宗 片岡千恵蔵
達騒動に早乙女主水之介らが巻き込まれる『旗本退屈男』の人気作です。暴君・伊達忠宗の女狩りの場に居合わせて調べていくうちに、伊達家にお家乗っ取りの企みがあり、幕府の国目付・榊原監物も一役買っていることに気づきます。そんな折、伊達の世継・鶴千代が原因不明の病で倒れ一命をとりとめたものの、ご典医・道白までお家乗っ取りの一味だとわかり、事態は急を告げます。事件の裏側に潜む大老・酒井の大藩取り潰しの政略に気づいた主水之介と仲間たちは、なんとか伊達藩を守ろうと奮闘します。
オープニングは、 8
色のバックライトを浴び「人呼んで退屈男、天下御免の向う傷」鮮やかな着流しで、取り囲む黒覆面一味との立回り、そして出ました諸刃流正眼崩し、右太衛門御大の 300
本記念映画の出だしです。そして、物語に入っていきます。
そろそろ出るころだが
早がけの馬が伊達領に入って、伊達城内と原口刑部への連絡と二手に分かれます。 美濃部新兵衛は、伊達城内に入って来た早馬を見て足を止めます。
美濃部は、江藤小次郎を呼び止め、
美濃部「 何ゆえの急使だ
」
と聞くと、江藤は「明日江戸へ帰るまでにお主を訪ねる、それまで待て」と言って門内に入っていきます。その様子から、 美濃部は何か気にかかります
。
城内の一室、門倉十太夫のところに急使がやって来ます。一門の伊達兵庫が数か月前に殿 (
忠宗 )
の御引退を幕府に願い出ているというのです。
そのころ、幕府国目付詰所の榊原監物のところにも早馬で書状が届いていました。
十太夫は仔細を聞き、将軍家の手元に届いているようであるが、まだ何の御沙汰もないと聞き、「まだ望みがないではないが・・殿があのご様子ではのう」・・・というのは、帰国してからも、輪をかけての乱行で、藩政など見向きもしない様子、だというのです。
一方江藤達と別れ、原口刑部のところへ走った早馬で届いた書状は、伊達兵庫からで、近日秘かに国入りをする、それまでに、鶴千代君が発病するかどうかを案じている、とのことが書いてありました。
門倉十太夫と鶴千代側近の浅岡が話をしています。「それでは、お跡目は」の問に、十太夫は「申すまでもなく、鶴千代君じゃ」と答えます。「鶴千代君に万一のことがありました時は」の問いに「ご一門の兵庫様が六十二万石を相続される」と言います。
殿様は何故あのように変わられたのか・・江戸に三年いて、国入りした時はすでに今のような人柄に変わっていた。「噂によれば、お傍役の奥山様が・・」と言う浅岡を十太夫が「やめい」と制止します。
その奥山大学のところへ秋篠平八が十太夫からの伝言を伝えに来ています。
その頃、忠宗は、大広間で吉原趣向の遊びも飽き、奥山を呼びつけ、背筋の続々とする趣向はないかと・・。忠宗は奥山に女狩りを命じ、そして今夜、名取権現の人身御供として村の娘お妙をさし出させるという狂言をすることになりました。
夜になり、村人達が村を救うためお妙が連れて行かれる様子を見守るその現場に来あわせた主水之介は、お妙を連れ去った後に落ちていた竹に雀の伊達家の紋所の印籠を拾ってしまったので、黒装束の曲者たちが、印籠を返せと立ち向かってきますが、太刀打ちできなく引いていきます。その後に撒菱があり忍者が動いているという事が分かり、主水之介は伊達領に入ったことは悪くなかったようだ、と呟きます。
菊路と揚羽の蝶次は主水之介より先におたきの江戸屋の別宅に着いています。横這いの円太とのっそり弥八を連れ、お妙の件で庄屋の家を訪ねていました。庄屋の家から出て来た主水之介は門の所で待っていた二人に、怪しいものを見なかったかと聞きます。見なかったといいますと、「そろそろ出るころだが」と意味深なことを言うのです。
街道を歩いていると馬を止め、主水之介に声をかけてきたのは、幕府の御書院番士という浜島玄蕃です。江戸で数度よそながらお目にかかっているので主水之介を知っているというのです。公儀の使者として榊原監物のところに来て滞在しているのだといいます。
浜島は、どうしてここに来ているのか聞いてきましたので、江戸にいても退屈なので松島見物をと洒落込んだのだが、道草をして、ここにいる始末だととぼける主水之介です。
走り去った後、「江戸であったとは偽り、おそらく昨夜の一味から耳に入れたに相違ないが、 国目付榊原監物はただの鼠ではないようだ
」と主水之介は睨みます。
その榊原は甲賀三郎兵衛に、伊賀上野が名取権現で、直参旗本早乙女主水之介にふかくを取り、娘は手に入れたが、そこに落としておかなければならない伊達公の印籠を奪われたことを伝え、いつまた用があるかもわからないので、隠家で待つよう指示します。
伊達城内では、十太夫の下代替わりの件で集まっています。十太夫は、鶴千代君は幼少のため藩の安泰を考え連署の上、成人するまで代替わりないようにという考えに、奥山と刑部が 兵庫様は重ねて幕府へ訴え出るだろう、事は大きくなり場合によっては藩の命取りになるから、 ここはむしろ進んで代替わりを・・・と言っている時、
「鶴千代君ご発病」の知らせがきて、十太夫は、皆を制して立っていきます。
伊達一族の伊達兵庫と重役原口刑部がお家乗っとりを企て、幕府の国目付役榊原監物と伊達忠宗に仕える奥山が加わっての伊達藩一大事です。伊達家の世継・鶴千代君が突然発病したことで、ますます窮地に追い込まれた伊達藩を十太夫はどうするのでしょう。主水之介は伊達藩の内情をどのようにしていくのでしょう。
続きます。
水戸黄門・・・(6) 2023年11月28日
水戸黄門・・・(5) 2023年11月23日
水戸黄門・・・(4) 2023年11月17日
PR
カテゴリ
カレンダー
フリーページ
サイド自由欄
コメント新着