贅六と同じ湯に入っちゃ
1957
年のオールスター作品「水戸黄門」から 3
年ぶり、月形龍之介さんの黄門様の登場です。今回は助さんに東千代之介さん、格さんに里見浩太朗さんという配役を持ってきて、前作で格さん役だった大川橋蔵さんは、ちゃきちゃきの江戸っ子板前で実は隠密の伊之吉という役に扮しております。
また、松平頼常役の 中村錦之助さんと 鞆江役の
美空ひばりさんの共演がじっくりと見られるオールスター作品です。
今回は、将軍家跡継ぎの話をしているところから始まり、高松藩のお家騒動へと話が流れていきます。脚本とスター役者の演技とが相まって非常に面白くなっています。
光圀と将軍綱吉が世継ぎのことで話しているところから、湯屋に舞台が変わり高松城騒動へと話を持っていきます。ユーモラスな側用人も黄門様と同行するという面白さ、助さん格さんといえば隙もないくらいのお供なのに、今回の設定は酒で失敗したり女に付きまとわれたりと大騒動になります。出て来るすべてのスター役者がそれぞれに活躍しているという素晴らしい脚本になっています。
初めて時代劇を見る人でも面白く、オールスター映画の良さを感じられるのではないでしょうか。
◆第
51
作品目 1959
年 7
月12日封切 水戸黄門 天下の副将軍
松平頼常 中村錦之助
佐々木助三郎 東千代之介
渥美格之進 里見浩太朗
おはる 丘さとみ
将軍綱吉 若山富三郎
かぶと屋番頭 杉狂児
猪鼻の権六 阿部九州男
加藤玄蕃 加賀邦男
やなぎ湯番頭 星十郎
大田原伝兵衛 大河内伝次郎
佐伯将監 山形勲
中川与惣右衛門 進藤英太郎
小料理屋主人 水野浩
伊之吉 大川橋蔵
鞆江 美空ひばり
時は 元禄10
年
、将軍綱吉の後継者争いに水戸黄門光圀は登城し、幕閣らの妨げもものともせずに綱吉に綱豊を跡継ぎとするよう直言します。水戸家では、光圀の亡き兄が支藩の高松藩主となったが、光圀は兄の子綱條を本家の跡継ぎに貰いうけ、実子・頼常に高松藩の二代藩主を継がせていました。 世情視察ということで神田の遊屋にお忍びで行った光圀は、大坂の商人・与惣右衛門と名乗る男から、頼常の狂気により高松藩が混乱して周囲が困っていると聞かされます。光圀本人と知ってか知らでか、光圀を罵倒する与惣右衛門に憤る謎の板前・伊之吉。 高松藩の難事に、黄門様 (
光圀 )
・助さん・格さんと側用人伝兵衛は「水戸屋」一行として旅立ち、与惣右衛門、伊之吉も黄門様と同様高松藩へ・・・。
黄門様は将軍綱吉に世継ぎのことで江戸城に登城します。光圀は綱豊を跡継ぎにと直言し、綱吉は光圀の言うことを受け入れます。
場面は変わり、数日後、光圀の屋敷に、綱吉からの品々を持って使者が来たという知らせを聞き、側用人大田原伝兵衛がまだ休んでいるという光圀のところに急ぎます。いくら声をかけても返事がないので伝兵衛が襖を開け入ると、布団に入った光圀のいびきが聞こえます。いくら呼びかけても起きないので、伝兵衛が布団を剥ぎますと、そこで寝ていたのは助三郎でした。
格之進をお供に下々の様子を探りに、神田橋際の丹前風呂に出かけたというのです。
またまた場面は神田橋際に移ります。
橋を渡りやなぎ屋という風呂屋に入って来た男がいます。湯銭を無造作に置くと、番頭が「伊之さん、どうしたんだい」「えっ、えっ、 ご機嫌がよくねえようだが
」と声をかけても 振り向きもせず、脱衣かごをとり脱ぎ始め
、
伊之吉「いいわけあるかい、 俺は店をおん出たんだい
」
今度は少しは続くと思ったという番頭の言葉に、
伊之吉「へっ、 鬼の霍乱っていうやつで
、ちっとばかり患って店休んだら、かぼ
ちゃ野郎ひきんずらしてけんなみくらしやがってよ、何だってんだい、
くそ面白くねえ」
そう言いい風呂場に行くと、気持ちよく浄瑠璃の一節を歌っている男に向かって、「何を言ってぬかしやがるんでいべらぼうめ、 ちっとやそっとのわずれいで 、そう小安くくたばってたまるかってんでい」
と言うと、 湯の中に勢いよく入ります
。
すると、その男が「あんたはん、ものを知らんと因縁つけたらあきまへんで、これはなあ今上方でえろう流行っている浄瑠璃っていうもんですっせ」と関西弁で話してきたから大変、
伊之吉「 何を・ ・・ちえっ、 贅六か ・贅六と同じ湯に入っちゃ、こっちまで 金あかくさくならあな 」
同じ湯には入っていられないとあがり、二階に上がっていきます。
(風呂の中で顔を合わせた、板前をやめさせられて機嫌がよくない江戸っ子の伊之吉と関西弁の男は、初っ端から気が合わないようです。お互いに全く素性を知らない二人がこの後、黄門様を高松藩へと旅立たせるきっかけを作ります。)
続きます。
水戸黄門・・・(6) 2023年11月28日
水戸黄門・・・(5) 2023年11月23日
水戸黄門・・・(4) 2023年11月17日
PR
カテゴリ
カレンダー
フリーページ
サイド自由欄
コメント新着