出来るよ、あの海に心を惹かれている限りは
村から海辺へと歩いてきたとき、ブランコで遊ぶ子供達を見て 半次郎の足が止まります
。そしてゆっくりと 子供達が遊ぶブランコに近づく
のです。
見知らぬ人が近寄って来たため帰ってゆく 子供達のうしろ姿を半次郎はあたたかい笑顔で
見ています。
そして、ポツンとあるブランコに目をやると、 子供に返って懐かしいようにぶらんこにかけ揺らすうれしそうな顔の半次郎
がそこにありました。
その夜、平田屋の分家に世話になることになった中富が、おこよと村に男が少ないのは三年前の大しけで海にとられたという話をしているところに、入口の戸が開く音が聞こえます。おこよの「どなた ?
」に、
半次郎「 ごめんなすって
、・・・ 手前でござんす
」
その声を聞いた中富が「権兵衛だな」といい、半次郎を呼びます。
境田の安五郎が子分達を連れて分家平田屋に乗り込んでくるという知らせが入ります。奥で呑んでいた 二人にも聞こえ
、半次郎が立ち上がろうとしたとき、 半次郎が顔をだすと面倒なことになる
といい、中富は「ここは俺の出番だ」と・・・。
・・・安五郎が平田屋本家に乗込みます。半次郎を引き渡すようおとくを脅しますが、ここにはいない、浪人と一緒に何処かへ行った、村中探したっていいと、おとくにいわれます。これを機に網元の権利と養女のおけいをとねらっている安五郎だが、おとくの強気の応対に退散します。
その様子を偵察していた中富を
、 つけてきた半次郎
です。
中富 「なーんだ、やっぱり来ていたのか」
半次郎「 おめえさんの手の内を分かってりゃ
、来るにはおよばなかったぜ・・」
中富 「 こいつ
・・・はっはっは」
歩きながら、中富がこんなことを言い始めます。
中富 「しかしなんだなあ、どう考えても、この村には一ついるものがあるな」
半次郎「ええっ ?
」
中富「男だよ」
半次郎「 男
?
」
本家平田屋のおとくはしっかり者だが、何といっても女だ、安五郎達には勝てない。いずれは、この村の女達が、とんだ災難をこうむることになる、・・・と中富は言います。
中富 「権兵衛、・・・どうだ、・・・おぬし、ひとつ・・・」
と言ったところで、半次郎が遮ります。
半次郎「 よしておくんなせい
。あっしは、 そんな
・・・」
中富 「 なーに
、 出来るよ
。・・・うっふっふっふ、おぬしが、 あの海に心を惹か
れている限りはな
」
ズバリと半次郎の心の奥を見抜いていいきる中富の言葉に、半次郎はドキッとして立止まります。
続きます
。
PR
カテゴリ
カレンダー
フリーページ
サイド自由欄
コメント新着