“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2010.07.25
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 店は店が増えることで商圏という概念が出てきます。

この繰り返しがお客様の来店範囲を規定します。

 店あまりの時代ですから、
よほどのことがない限りわざわざ遠くになってしまった店に行きません。
お客様が遠くの店に行かなくなり、商圏が狭まることを小商圏化といいます。

 東京のように店がひしめくようになると、
よほどの店でない限りお客様は5~10分以上移動しなくなってしまいました。
東京にはそれくらいありふれた店はいっぱいあるわけです。

地方も2005年までの大量出店で店が溢れる状況になりました。
 小商圏化によってお客様によほどの店でない限り移動しないという習慣が
身に付いてしまいました。
そのためにお客様が遠くにわざわざ移動するのは、
山間部などや原子力発電所があるような辺鄙な場所でそのエリアか、
特別で店がないためのような特別な事情がある場合だけに限られるようになりました。

 消費者は特別な場面でない限り、10分くらいの移動距離の中で消費を行っています。
トイレットペーパーなどの最寄品の場合は
さらに行動範囲が狭まり5分圏になっていると言われます。
通信販売が一般化すると消費者はこのような便利さの中で
さらに移動しなくなっています。


5分という移動時間を距離で表すと徒歩なら350m、自動車でも1km。
とても狭いです。

 例えば、数年前、飲酒運転の取り締まりで郊外型の居酒屋が
売上不振に陥りましたが、あれはまさに移動手段の変更による
小商圏化という現象なのです。


小商圏化の時代を生き抜くにはまずお客様の再来店率が重要になり、
加えて次の三つの条件のいずれか必要です。

1 需要が十分あり競争が少ない場所を選ぶ
2 競合がある狭い商圏でも店が成り立つための十分見込み客のいる場所を選ぶ
3 わざわざ来るに足る店の独自性を高め魅力をアップする

この三つのどれにもあてはまらない、どこにでもある無難な店が集客に困り、
値引きに走りデフレが進行しています。
そのような店は値引き以外、手段がないからです。

 小商圏化すると広めに商圏がとれた時代と大きく変わる点が
もうひとつ出てきます。
出店場所による客層の違いです。

 チェーン店も外食拡大期には、
まだある程度の範囲から見込客がやってきましたから、
どの店も似たような客層や利用シーンのお客様を相手にすることができました。

 ところが、市場が成熟すると、
商圏は小さくなり店を出した場所によって客層や利用シーンが変わってしまいました。
そうなると、お客様に支持されるには出店した店の商圏に合わせて
個別的な対応が必要になってきました。
つまり、最大公約数的な統一フォーマットによる従来型のチェーン店が
適合しなくなってしまったのです。
それは、マニュアルをもとに決められたことをしっかり教育訓練し
サービスでの差別化をしてきた人口増加の時代とかけはなれたことであり、
「わかっているけど、できない」という状況に多くのチェーン店は陥っています。
小商圏化という現象はチェーン店を支えたシステム自体を無意味にしてしまったのです。
いち早く市場が成熟したアメリカでは
流通チェーンのホールフーズマーケットはみごとにやってのけて
急成長しています。
しかし、老舗的な既存チェーンは大きすぎて変ることができず、
苦戦しています。

 そんな中、地方の現場主義を唱える若手経営者が伸びています※3。
 お客様は日々新しいものに接し、知識を付け変化しています。
その変化を感じ取り、自分の店の目的に適合させ、
やりたいことを実現に向かうよう現場を微調整できることが重要となっているのです。
ひとつの店に手間をかけて
商圏にあわせて進化させていくことが重要になった今、
「開店したら、はい次の店」とフォーマットのコピーを繰り返し、
維持だけを行なっていた旧来のチェーンのやりかたは通用しません。
退場あるのみなのです。


今日のおすすめの本


デフレの正体


大久保一彦の本もよろしゅう


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