“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2018.11.15
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カテゴリ: すし協同研究所
小鰭

 鮨は保存食から始まりおいしさを追求するようになりました。
そう考えると小鰭は、小鰭の仕事でもお話ししますように〆方で大きく味わいが変わりますので、江戸前鮨ではとても大切な材料と言えます。



 私は、以前、『第三春美鮨』の大将長山一夫氏と​ 有明海は大浦の小鰭の漁師の田崎さんを訪れたこと ​があります。その崎さんのお宅で朝獲った小鰭やフッコを食べました。
味わいに思わず田崎さんに「泥臭い」ですね、と言うと、「(有明の人は)皆さんの食べている魚を磯臭いと言うんですよ」と間髪入れずにかえってきて、なるほどなと思ったことがあります。



 小鰭は出世魚で、『すしの技術教科書』(旭屋書店)によれば、の小鰭の呼び名は4~5センチの大きさをシンコ(新子)、7~10センチの大きさを小鰭、12~13センチの大きさをナカズミ、15センチ以上の大きさをコノシロと言う、と書いてあります。

 これはもともとは関東の呼び名であり、コノシロは基本的に鮨ネタには使いません。
小暑のころに3枚付けくらいでちょうど良いサイズで登場するのが新子です。

初物信仰が強かったお江戸において、新子はある意味、尊称で、猛暑を代表する季節感ある材料だと言えるでしょう。
そして、今のように流通が優れなかった時はとても貴重だったと言えるでしょう。

 ただし、最近は、市場における初物の相場が過熱しすぎで、キロあたり10万以上にもあります。
その投機的な相場があり、粋を勘違いした職人が何枚も小さな新子をつけています。
これは、それを評価する「ビジュアル的なわかりやすさ」を求める西洋思考が強く、”審美眼”を磨いていない成金的なお客にも問題あります。
はっきり言って“野暮”です。

 “野暮”というくらいで済めば良いですが、背景にあることが問題で、この小さな新子を獲るために極めて微細のな網で漁をするため、本来は枯渇することのない小鰭の資源が激減しています。
産地の佐賀では10分の1にもなっていることを、私は憂慮しています。

小鰭の仕事の説明はこちら ​をご覧ください。

本日のおすすめはこちら!


◆◆すし技術教科書 江戸前ずし編 / 全国すし商環境衛生同 / 旭屋出版


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Last updated  2018.12.30 23:59:31
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