“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2019.04.06
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テーマ: 中国料理(143)
《“痺れる”麻婆豆腐》茶禅華@南麻布
 “飲食店の勉強代行業”の大久保一彦は南麻布の住宅地に出没しております。
本日は、住宅地に佇む食べログアワードGold、ミシュラン二つ星の中国料理店でお勉強です。
実はこちらの店、私の塾生や食べ友の評判はふたつに分かれていまして、良い評価ですと「今までにない中国料理」や「プレゼンテーションが良い」が代表で、悪い評価が「高い」でした。
友人の料理人が訪問した時や、テレビで紹介された時に『食べログ』を何度となく見てきまして、内容はだいたいわかりましたので、そんなに食指が動かなかったわけですが、たまたま空いている日に最近断りがちの友人から誘いを受けましたので、実際に『食べログ』や『ミシュラン』で評判のお店の勉強をしに参った次第です。









 まず、予習から・・・
 川田智也シェフのプロフィールをHP(​ https://sazenka.com/chef ​)で拝見しますと、『麻布長江』で8年、5年ほど日本及び台湾の『龍吟』で5年を経て2017年2月茶禅華オープンし、その年の12月にミシュラン二つ星に格付け。
料理のコンセプトは「和魂漢才」

https://sazenka.com/concept

まず最初のお料理暖かい奈良のそうめん、青山緑水から。


清湯スープに奈良県産の極細の三輪素麺。
とても綺麗なプレゼンテーションのお皿。
真ん中に四川の緑茶が浮かべてあります。
浮いている油は京都の緑茶や中国の苦丁茶”青山緑水”を抽出したもので爽やかな香りです。
説明が早口でかつ言葉がクリアでないため、聞き取れていませんが、緑茶をうかべたというところに女性陣たちは「えー」と言ってました。


ほっこりします。


なお、本日は、ティーペアリングにしています。




まずは”東方美人”のスパークリングからです。


北海道の牡丹海老 軽い紹興酒漬け

おいしく漬けてあります。タレがいい。タレが“滋味”に利いています!
牡丹海老は定点観測している野々市の『すし処めくみ』で感動してから、あれを本当の滋味というのでしょうが、それ以来おいしいことはおいしいけど驚くものではなくなりました。
既知と経験それが問題です。


テーブルに置かれたのは酢橘窯に入った海月と山椒の香りの酢で漬けた独活
両方ともテクスチャよくおいしい。















雉の雲呑スープ
これはおいしいです。
雲呑がとても熱々で食べるのがが難しかったですね。
でも、雉がとても良い雰囲気でした。






活鮑 香味野菜の春雨
春雨の下は二つに割ってあり、肝醤油とXO醤の仕立てになっています。
活の鮑ですが、水槽でねていたか、滋味はなかったです。






四川排骨
おお、『桃ノ木』のスペシャリテの茄子のようなプレゼンテーションですね。


蒸して脂で揚げた骨付きののテクスチャがサクサクです。
後から痺れます。
『桃ノ木』の茄子を食べてなければ感動するのかもしれません。


丸くくり抜いた苺とファメ(話梅)
こちらは口直しで、苺の甘い部分をくり抜いているのでしょうか。


次のペアリングのお茶は台湾烏龍茶の“高山金萱烏龍茶”です。
ココナッツの香りでミルクティーのような味わいのお茶です。


気仙沼の青鮫の尾鰭
蟹を合わせてあります。
太い繊維の青鮫の強い食感と蟹由来なのか甘さが特徴的です。
この甘さと、ペアリングのお茶を飲むことで更に一段上の甘みへと進化し、だんだん料理と調和します。
この組み合わせは良いと思います。


鱶鰭をリゾット風に仕立てて。
私の経営本のようですね。


豆苗瞬間塩炒め。
どこかの農園からだそうです。
数日前、私の塾生のオーナーが店で「安いし持ちがいいから豆苗使え!」と。
なんかジャメヴ。


目の前でサイフォンが置かれます。
こちらは、お肉料理のペアリングで、中国紅茶の”金芽紅茶”をベースにローズ、シナモン、レモングラス、ローリエ、台湾黒胡椒の馬告(マーガオ)です。
このペアリングは、子羊にまわわせたクミンに負けない香りを考慮しているのでしょう。
これまでのペアリングは、甘味・苦味を補完したり、リセットするようにあわせていましたが、ここで、がつんときますね。


飲む人向けには2013年のラスカーズ。
ずいぶん早出しですね。


クミンをまとわせて藁焼きにしたニュージーランド産の子羊
麻辣醤








麻婆豆腐と土鍋ご飯。
昔、単価をとるなら土鍋ご飯と著書に書いたな・・
注意書きが増えたという感じ。


清湯麺




毛蟹の白いXO醬をのせて
XO醤をのせると蟹の味わいが広がります。
こちらはメニューに書いてないですね。
麻婆豆腐のサジェストが裏目に出て、不満足度をあげたように思います。


丸くくり抜いた林檎、金木犀のジュレ




杏仁豆腐二種同時対比
温冷




天目茶碗にて、桜の団子と桜の葉茶

たいへん、おいしかったですね。
さて、お会計は・・
私の予想は35,000円ちょっとですが・・




麻婆豆腐の値段がしびれました!
サ別で3,780円。
つまり6名なので、22,680円です。
これは麻布価格なのか、痺れました。
まさに、“痺れる”麻婆豆腐。
驚き桃ノ木、山椒の木という感じです。
これは、私の『食べログ』の評価のマイナスプロトコルにひっかかりました。
コストパフォーマンス。
味は悪くはないですが、人生いろいろ、ということでしょう。


今回はその後がありまして・・
22時30分過ぎに会計をお願いして会計終了し店を出たのが23時30分でした。
6名の個別会計ということで、手間取ったし、クレジットカードの入れ替わりのミスをして手間取ったたのはわかります。
その時間に会計が混み合ったのはわかります。
しかし、私は車ですから余裕でしたが、駅から距離がある店故、電車の終電を気にしている女性陣への気遣いがなかく、個室にはサービスマンがもぬけのからになる時間が続きました。
非常に残念です。

13%のサービス料がえらく高く感じたのでした。
空間いいから、個室だから、13%は当たり前。確かにそうでしょう。
しかし、客単価が2万円の店ならともかく、今宵は4万円を越えておりましたのでね。

なお、『食べログ』や『ミシュラン』で格付けされるとスタンピング目的のお客様が増えるので対応は必須だと思慮いたします。
ちなみに、個別会計が多い私の塾生の店にはRakuten-Payのようなバーコードをおすすめしています。


最後にお料理の感想を、・・

お料理はセンス良くたいへんおいしかったとは思います。
ただ、正直、驚きはなかったです。
ティペアリングもよかったです。
ティペアリングがあってより料理が良く感じると思います。
苺の甘い部分を出すためか丸く抜いたりしておりましたが、最近の和食店もそうですが、薬味で感動する『​ 桃ノ木 ​』のような繊細な包丁は本日のお料理では感じませんした。
また、『​ 老四川 飄香 麻布十番本店 ​』井桁さんの持ちこんだ松雲派の料理ほうが繊細で滋味もあると感じました。

価格をふまえた料理の感想として、・・
「真味只是淡」~真の味は淡に宿る~

例えば、三輪素麺、大和豚、北海道の牡丹海老、ニュージーランドの羊。
お茶のペアリングをしたとしても3万円なら評価は高かったと思います。
麻婆豆腐が4千円くらいだったので、それ抜きで3万5千円なら満足でした。
しかし、税込4万円越えてで、私にはかなりコスパ感が悪く感じ、私としては評価が下がりました。
おいしかったことはおいしかったですが、この支払額ですと、このコンセプトはそのコスパ感に対するエクスキューズのようにも感じました。

いやぁ、いい勉強になりました。
そして思い出したのはリーマンショックの後、若い子の面倒みてくれといらっしゃった人たちの店です。
ただ、今は人手不足の時代ですからね。余裕なのかもしれません。
人生いろいろお店もいろいろ。
がんばっていただきたいですね。

茶禅華 (サゼンカ)

東京都港区南麻布4-7-5
050-3188-8819

本日のおすすめ


現代に生きる老四川 伝統四川料理を現代の技で継承する [ 井桁良樹 ]





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Last updated  2019.04.08 08:23:37


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