“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2022.02.07
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立春の連続講座 飲食店の繁盛のための“おいしさの設計”の原理原則 第11回


5 客層に合わせた“おいしさの落としどころ”の設計の原理 後編
~“味の違いがわかるお客様はほとんどいない”という原則
 例えば、私の鮨の稽古をつけていただいている長山一夫師匠は、小鰭の〆加減を小鰭の脂ののり方で変えます。
 しかし、小鰭がわかるのは頻繁に通っての話です。たまにしか行かない人には「安定しておいしい」としか感じず、違いを認知することがないでしょう。
多くのお客様にとってのおいしさはそれで十分なのです。

 しかし、実際は、魚の状態が日々違いますので、脂が弱ければ軽く〆、脂がのってくると強く〆ています。決して、「脂がのっているから強く〆てあって絶妙ですね」である必要はないのです。
その変化に興味がある人のために、又、その個体差を認識していただけるよう、産地、魚の重量、漁法などをしっかり明記したお品書きを渡しております。

 お客様のおいしさに求める要素は、多種多様で、欲求段階で異なります。
生存の欲求の時は“満腹感”が、安定した生活になると“ご馳走感”が、そして“安全性”、“優越感”と変わり、多様性を増します。
この様な価値観は豊富な経験とともに培われます。


それも食べ歩きが目標になっている昨今、同じ店に行くことはないので、たった一回での印象に過ぎません。同じ店で過去の記憶との対比をするケースはとても珍しいのです。
従って、初回来店のお客様に対して、微妙に“おいしさ”が違うものを提供しても“無意味だと言っても過言でありません。

 “餌需要”に対応している大衆店主体に利用しているおいしさの価値観のバリエーションが少ないお客様に対応する料理人にとっては非常識かつ極端なデフォルメの変更がないと、その店はおいしいと評価されることはありません。
入口での非常識な看板メニューでお客様の評価さえ得れば、その後時間をかけてお客様を教育すれば、やいたいことにつながります。結果、本当に食べていただきたい料理を提供することができます。

 しかし、かような事実があるにも関わらず、多くの料理人は微妙な差をお客様にわかっていただけると信じています・
そして、「何でわかってくれないんだ」と悩んでいます。

 その対処方法は簡単です。「味のわかるお客様はいない」と達観して商売をすることです。
この前提に立って、まずお客様と信頼関係を築いて、長期的な人間関係を構築して、時間をかけて、味の違いがわかっていただけるように地道に教育するのです。
おいしさの違いは微差です。微差という多様な価値観は、対比という手段で少しずつ伝えていくことが大切です。
微差の対比のやり方は後程説明することにしましょう。


大久保一彦の本


非常識に売れる最強メニューがだれでもつくれる成功方程式 [ 大久保一彦 ]





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Last updated  2022.02.25 11:52:29


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