“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2022.06.20
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芒種の連続講座 永続的に繁栄する店のつくり方 その26


4 これからの外食産業
 最後に、これからの時代のパラダイムシフトという話をして、今回の講義は終わりにしましょう。
 1900年代には大きな戦争が二つありまして、化石燃料を争奪する戦争と言ってもいいと思うのですが、1800年代に産業革命が起こりまして、その後、ドンドンドンドン拡大経済に入って行ったわけです。最初はヨーロッパから始まって、ドンドン新世界に移って行って、第2次大戦後の最近になりますと、新興国のアジアに移って行って、ドンドンドンドン経済を発展させることで人口を増やして、人口増加が経済的な恩恵をもたらすというステージをずっと辿ってきました。

 21世紀、2000年代というのはどういう時代かというと、人口増加に支えられた経済が立ち行かなくなる時代だと言えるでしょう。
逆に言うと、人口は減少していくし、世界的には、人口を増やすことで経済を増やしていくということはなかなか難しくなっていく。
新興国も、ドンドンドンドン経済発展していくと、賃金が上がって行きまして、今までの構造では解決出来なくなるでしょう。
そして、地球にある資源というのは有限です。最近、サンマなども問題になりまして、中国と韓国と日本で協議を始めたりしておりますが、資源は有限で、魚なんていっぱいあるよ、捕り放題だよというのは過去の話で、魚も有限です。当然、何かを原料にして野菜を作ったり、育てる場所を作って牛とかを育てたりしているわけです。
これからの時代は、どんなビジネスモデルであっても、いかに資源を無駄にしないかというのが非常に重要になって来ると思うのです。資源を無駄にしないものとは何だろう。まず、たとえば漁業だったら、持続可能性が高い漁業をやるべきだと思うのです。
野菜なら牛の糞とか、豚とかの家畜の糞便で肥料を蒔きますと、ドンドンドンドン窒素やリンが蓄積して、硝酸用窒素がホウレンソウなどの野菜に蓄積するようになって来ています。


この間も、庭にニラっぽいのが生えていたのですが、私はまさかと思い、水仙だろうと抜いたら、ものすごいニラっぽいのです。フランソワに会った時に、「これは、ニラなのか?」と訊いたら、ニラっぽい葉っぱで、手の中でニラみたいな匂いがしたら、ニラ以外にないとのことで、最後に花が咲けばわかるということなので花を見ると、やはりニラなのです。
私の住んでいるごく近い山でも、何十束と言ったら大袈裟ですが、結構な量のニラが生えております。
つまり、意外と私たちは農家さんから流通に乗って、初めて野菜だと思って食べているのですが、実は山野や野原には、ものすごい量の資源として有効な野草が自生しております。
野草を誰が食べられるかを見分けて、自然に生えるものですから、計画生産は出来ません。
しかし、暦にしたがい、刻々と自然に恵まれます。
計画生産が出来ませんが、「こういうのが採れました。これはこれに使います」と勉強して、出荷するなどというのはこれから大いにトレンドしてあり得ると思います。というのは、最も資源を消費しませんから、一番資源を消費しないのは自分たちの身近にあるのを採るのがいいわけですから、そういうこともあり得るなと思います。つまり、持続性というものを、どう外食、飲食店というビジネスモデルにあてはめられるかということです。

 逆に言うと、持続性がないものはなくなっていくのではないか。そう捉えられますよね。
 たとえば、非常に便利で、生産も楽にしてくれる、畜産品の抗生物質なんかもそうかもしれません。
抗生物質が効かないぐらいに牛の肥育には抗生物質が使われているわけなのですが、上田畜産さんの話を前回したかと思うのですが、上田畜産さんに限らず、先日訪問しました熊本の『玉名牧場』矢野さんに至っては、完全に抗生物質なしで育てておりました。しかも糞便も農業には使わない。正確に言えば、糞便は使っているのですが、循環型の、草を食べた牛の糞しか使わない。
草を食べた牛の糞は、見ると牧草そのものなのです。臭くない。そういう時代に今来ているなと思います。

 高度成長期というは、安定に供給するというのがテーマでしたが、もうそうする必要がなくなっています。また、来る東京オリンピックのオフィシャルレストランというのは、持続可能な漁業や農業をしていないものは、材料として一切取り扱うことはできません。

フランソワ・クープランがこのあたりを考えていたかは別としても、彼がやってきたことがヨーロッパで評価されてきたのは、その流れがあるからだと思うのです。
そして、2番目として、経済成長の時代はわかりやすいものを追求してきました。マスコミなんかも、わかりやすいものしかある意味で取り上げませんよね。
永続的な繁栄を考えるなら、お茶というビジネスモデル、私などがお茶をビジネスなどと言うと怒られるかもしれませんが、即席でマスター出来ない、何年か修行しないとマスターできないものというのは重要だなと思います。
このお茶の教えに従い、顧客教育、従業員教育が出来る店が残るという結論になるという、例によって私お得意の三段論法でまとめましたが、面白い時代になりました。
人口減少の時代というのは、逆に言うと、“へそ曲がり”が上手く行く時代なのかもしれません。人手不足でお困りの方もいらっしゃるかと思うのですが、意外と、なぜ人手不足なのかなという根を考えて行くと、ビジネスモデルというものは、今やっているものを上手く活用しながら、ブラッシュアップできるのではないかなとそんな風に思っております。





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Last updated  2022.06.28 10:46:17


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