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国中が飢えていた頃のことでした
山の向こうに陽が落ちて
暗くなるまで一緒にあそんだ
同い年の太郎ちゃんは
魚屋さんの息子でした
いつもお腹を空かせて
痩せこけていた私に
太郎ちゃんは言いました
うちに嫁に来い
まいにち白いご飯に
魚を添えて食べさせてやる
その頃の米は貴重品でしたので
どこの家でも麦飯を食べていました
その雄々しかった太郎ちゃんも
きっとお嫁にいくと請け合った私も
敗戦から復興する国とともに
おとなになり別々の家庭を持ちました
こどもや孫も出来ました
お墓参りのときに魚屋さんに寄り
店主になって働く太郎ちゃんを見ますと
なにかしら胸の温まる気がしました
それが この前お墓参りのときに
お店に寄りましたら
お父さん似の息子さんが居て
お父さんは亡くなりましたと言いました
そのとき私は
人生の階段を
一段降りたように思いました
今も世界には戦争が絶えることなく
貧しく飢えに苦しむひとがあります
少し前には我が身にあったことですし
忘れてはならないことと思います
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