よくしたもので、外国人学習者向きの英英だの独独だのがありますね。
ちなみにわたしが愛用している独独辞典がこちら。
下の青いのは、厚さ6センチ。
Walter de Gruyter 社の Woerterbuch Deutsch als Fremdsprache
(外国語としてのドイツ語辞典)
。
電話帳みたいにデカくて、1,329頁あるのに、収録見出し語は約2万語。
大きく見やすい字で、用例豊富。語釈が詳しすぎて、買った当初は もてあました。
本棚から出すのがちょっとした労働だけど、今ではいちばんよく使う。
緑のが PONS 社の Kompaktwoerterbuch Deutsch als Fremdsprache
だ。
「コンパクト」 と名乗っているが、厚さ6.5センチ。
枕みたいに分厚いのに、小説本のような普通の紙を使っているから 1,034頁しかない。4万2千語収録。
たしかに語釈・用例は 「コンパクト」 に まとめてある。センスのモダンさが気にいっていて、気分転換にときどき使う。
黄色は Langenscheidt (ランゲンシャイト)
社の Taschenwoerterbuch Deutsch als Fremdsprache
です。
名前は 「ポケット (Tasche)
」 辞典でもポケットには入りませんが、ところどころにイラスト入りで、かわいいヤツ。
2万7,500語収録。語釈は簡潔。
疲れているときは、これを使う。
*
いっぽう、韓国語 (朝鮮語)
の学習には小学生用の辞書を使っております。
下の、ハングルで表題が書いてある辞書が、それ。
延世大学校言語情報開発研究院が編纂、斗山東亜社が出版した 『初等国語辞典 (チョドゥン クゴ サジョン)
』
。
試みに、“ソ” (=牛)
という単語を引きますと、韓国語でこんなことが書いてある。
≪ ソ
飼って乳を絞って飲み、捕らえて肉を食べ、その革を利用し、農家で田畑を耕し荷車を引くのに使った、草を食べる大きな家畜。
牛の耳へお経読み
<成句>
いくら教えてやっても理解できないのか、従おうとしないこと。
牛が鶏を見るように、鶏が牛を見るように
<成句>
なんの関心もなく見ているようでもあり、そうでないようでもあること。
牛を失って牛小屋を直す
<成句>
事をしくじってしまった後で悔やんだところで何の役にも立たないこと。≫
「乳を絞る」 だの 「荷車を引く」 だの 「悔やむ」 だの、日頃あまりお目にかからない関連語にこうやって接しながら、語彙のネットワークを広げ、穴をうめていけるのが、A語学習時のAA辞典の強みだ。
この 『初等国語辞典』 は、字も見やすく、本文 1,312ページ。
そこに3万5千語収録、基礎漢字8~4級の1000字の音訓・熟語例リスト付きという充実ぶりで、満足しているのでありますが、残念ながら日本の普通の書店では手に入りません。
(わたしはソウル出張時に買いました。)
ところが、感涙にむせびそうなことが起きた。
大韓民国国立国語院と韓国語世界化財団・編の
『学習者のために易しく書いた韓国語辞典! (ハクスプチャルル ウィヘ スィップケ スン ハングゴ サジョン!)
』
という韓韓辞典を、外国語学習書につよい 「アルク社」 が日本の読者向けに昨年12月10日に出版してくれたのですね。
日本での商品名は 『韓国語学習者のためのやさしい韓韓辞典』
。
きょう、足立区の一般書店で見つけて、即買。
本文 792頁で、見出し語5千語余り。だから説明が懇切丁寧。
「不規則活用動詞・形容詞の活用表」 と、「基本語彙 3,959語の重要度ランク表」 が付録で付いている。
こういう良い教材がふつうの書店で買えるようになるなんて!
悶絶しそうになる。
中級以上の学習者には、ぜひお奨めしたい。
この辞書で “ソ” (=牛)
を引くと、韓国語でこう書いてある。
≪ ソ
おもに肉を食べたり牛乳を生産したり、農作業を助けさせるために農家で飼う動物。| おじいさんの家には牛が10頭ほどいます。 <数え方>
牛1頭。 → 挿絵
動物
牛の耳へお経読み -だ
どんなに説明をしてもよく理解できず従うようにならないこと。| (A): ミンジはきょう習ったことをぼくが何度言っても分からないみたいだ。(B): ミンジがなにかとヨソ事を考えるからだろ。まったく牛の耳へお経読みだな。
牛が鶏を見るように
なんの関心もないようにも見え、そうでないようにも見えること。| ひとが何かを聞いたら答えるものだ。牛が鶏を見るように、ぽけーっとしていてどうする。
牛を失って牛小屋を直す
ことがダメになった後で後悔しても何の役にも立たないこと。| 火事がおきてから消火器を工面してどうする? 牛を失って牛小屋を直すようなものだぞ。/泥棒にあってから鍵を直すのは、牛を失って牛小屋を直すのと おんなじじゃないか。≫
成句の用例が口語体の文になっているので、じっさいに使われるときの雰囲気が伝わって、いい。
……こうやって、優れた辞書をいろいろ揃えても、こつこつ読んで使って宝物を生かす時間が十分でなく、名著の数々に申し訳ない気持ちです。
トルコ語学習、三度目の正直。Facebook 表… Nov 24, 2013
一 目 之 羅 (いちもくのあみ) Aug 31, 2010
『ダ・ヴィンチ』誌の取材をうけました Feb 7, 2008 コメント(1)
PR
フリーページ
コメント新着
カテゴリ