ぼくにとっての鹿賀丈史さんは、何といっても 「ジキル&ハイド」 そして 「シラノ」 で感動をくれたひと。
そして 「翔ぶが如く」 で魅力的な大久保利通像を心に刻んでくれたひと。
むかし横浜で行われたエスペラントの催しの司会をしたとき、ぼくはすっかり 「料理の鉄人」 の主宰・鹿賀丈史さんの気分で演じました。
その鹿賀丈史さんが昭和48年以来の藝歴をふりかえるコンサート。
市村正親さん、笹本玲奈さん、田代万里生さんがゲストで、加えて指揮は塩田明弘さんという贅沢な顔ぶれです。
ぼくの目当ては、もちろん笹本玲奈さんだったわけですが。
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昭和48年の劇団四季公演は 「イエス・キリスト=スーパースター」 という題名。
「ジーザス・クライスト=スーパースター」 に変わるのは、その3年後の昭和51年。
時代を感じますね。
で、昭和48年公演のイエス・キリスト役に鹿賀丈史さんはいきなり抜擢されたのだそうで。
「キリストの扮装のまま、劇場ホールの駐車場でなごんでいたら、しこたま叱られました」
「初日を迎えたら、お客のあまりの少なさに驚き…… 1ヶ月公演だったんですけどね、2週間くらいしたら満席になったんです。
千穐楽には、立ち見が出ましたねぇ」
「レ・ミゼラブル」 でジャン・ヴァルジャンとジャヴェールの役だった鹿賀丈史さんが、「ほんとはマリウス役もやってみたかった」。
だから 「レ・ミゼラブル」 からまず歌ったのは、マリウスの 「カフェ・ソング」。
「いちど皆さんの前で歌ってみたかったんですよ」。
ミュージカルナンバーから久保田早紀さんの 「異邦人」 まで歌い継いでくれたなか、背筋に電気が走ったのはやはり 「ジキル&ハイド」 の 「時が来た」。
ジキルがハイドに変化 (へんげ)
するまでの劇中の4曲を鹿賀丈史さんが歌う舞台にはジキル博士の実験室のセットも設けられ、ミュージカルのさわりを楽しめました。
「ジキル&ハイド」 は是非また観たいのですが、鹿賀丈史さんの次は誰がやるか。
ぼくは、藝達者な実力俳優の石川 禅さんが適任だと思っていますが。
*
笹本玲奈さんは、中盤に田代万里生さんとともに、ようやく登場。
あそび心のある華麗な黒いドレス姿で、最高のうつくしさでした。
「もうすぐ自分の出る番だというところで、 (鹿賀さんと市村さんの)
トークがずいぶん続いたので、すっかり緊張しちゃいました」
「でも、玲奈は本番に強いんだよね」
市村さんが
「玲奈はほんとにきれいな声なんだ。
ずいぶん大きくなったよねぇ。
ロンドンでピーターパンの銅像が参考になるかなと思って、写真に撮ったのをあげたの、覚えてる?
あれから13年経ったんだよね」
という言葉は、いつくしみに満ちていました。
田代万里生さんは
「ぼくが自分のおカネで観たはじめてのミュージカルが鹿賀さんの 『ジキル&ハイド』 だったんです。
きょうはここに来させていただいて、ほんとに光栄です」
苦労人の市村さんいわく
「やっぱり、優等生なんだよねぇ、彼は」
笹本さんが黒いドレスのまま 「ピーターパン」 から 「アイム・フライング」 と 「ネバーランド」 を清らに歌いました。
ことし7月に笹本さんは久々のピーターパン役を演じることになっていて、だから選んだナンバーなのでしょう。
そのことを言わなかったのがまた、よかったですね。
鹿賀さん・市村さんが 「ラ・カージュ・オ・フォール」 「ジーザス・クライスト=スーパースター」 からメドレーで歌ったあと、
笹本さんは今度は清楚な白いドレスで登場し、「ウェストサイド物語」 のマリア役として鹿賀さんと 「トゥナイト」 を歌い、セリフの掛け合いも披露してくれました。
市村さんが
「玲奈のマリア役を聴いてると、とってもいいんだよね。
ホリプロで 『ウェストサイド物語』 やれるといいのにね。
版権の問題があるんだけど、何とかならないかな。
今度、ぼくからも言っておくよ」
*
鹿賀丈史さんが劇団四季をやめたのは29歳のとき。
劇団の公演の都合で、あるオーディションをトライできなかったのが直接の理由だったそうですが、辞めたあと2年間近く、ほとんど仕事がなくて映画やテレビの関係者に挨拶で頭を下げて回っていたのだそうで。
そして 「野獣死すべし」 で声がかかり、
「頭は下げるものだと思いましたよ」。
それからは次々と仕事が舞い込むようになります。
映画の仕事では、仕事で決して手を抜かない桃井かおりさんとのラブシーンが印象深そうでした。
市村さん
「ぼくは劇団四季に41歳までいたんだよね。
丈史がいたときは、ソロで歌う役は丈史がだいたい取っていっちゃったから、ぼくは踊りながら歌う曲しか回ってこなかったのよ。
丈史がいなくなってから、ようやくソロの歌が回ってくるようになったけど」
そういう市村さんは鹿賀さんの2歳上。
鹿賀さんは 「市ちゃん (いっちゃん)
」 と呼んでますね。
今回の 「それぞれのコンサート」。
鹿賀丈史さんヴァージョンとは別に、市村正親さんヴァージョンがあって、プログラムを見るとフィナーレでは 「オペラ座の怪人」 をメドレーで歌ってくれるようです。
きっと楽しいコンサートでしょう。
(3月14日まで東京国際フォーラム・ホールCで。そのあと3月22~24日に大阪の梅田藝術劇場のシアター・ドラマシティで。)
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