Welcome to My Novel Jewel Box

Welcome to My Novel Jewel Box

PR

Profile

jewel55pixiv

jewel55pixiv

Calendar

Archives

November , 2024
October , 2024
September , 2024
August , 2024
July , 2024

Comments

通りすがり@ Re:ブラック・ジャックの優しさ 2005.11.9(11/09) ホットドックを少女におごる場面は最高^_^
王島将春@ Re:ロマノフ王朝の最後 2005.12.2(12/02) はじめまして。福井市在住の王島将春(お…
与太話@ Re:過去と未来で接触し合った飛行機 2009.10.23(10/23) チェロキー(PA-28)は1960年初飛行ですの…
matt@ mzcIVVxHQHOgPzB C2Oocf http://www.FyLitCl7Pf7kjQdDUOLQO…
matt@ LWXUkqTOhhIFxyqleuS t48pUe http://www.FyLitCl7Pf7kjQdDUOLQO…

Keyword Search

▼キーワード検索

Shopping List

お買いものレビューがまだ書かれていません。
November 9, 2005
XML
カテゴリ: 少女漫画倶楽部
少女漫画ではないが、手塚治虫さんの作品は、ストーリー漫画を確立したという点から、少女漫画の発展に大きく寄与している。私が手塚さんの作品で、今年の3月からはまってるのは、『ブラック・ジャック』だ。

 『週刊少年チャンピオン』で、毎週、医学をテーマに20ページほどに、きちんとテーマを決めて書き続けるなんて、医学の専門家かつ漫画の天才ではなくてはできないことだ。超人的な人であったとつくづく思う。

 文庫版で、全16巻を買ったが、まだ第9巻の途中までしか読んでいない。

 いろいろ、心に残るエピソードはいっぱいあるけれど、中でも、よく思い出すのは、 『替え玉』(substitude) というタイトルの作品だ。

 アメリカらしき冬の風景の中、ちょうどピノコのように、頭に4つリボンをつけた、4歳くらいの可愛らしい少女スージーが、病院の前を行ったりきたりしている。ピノコを思い出したのか、ブラック・ジャックは少女に声をかける。

 「いったい誰を待っているんだい?」

  すると、彼の黒いコートに恐れをなした少女は、
「あっちに行って!悪魔!」 と叫んで、缶くずを彼に投げつける。それで、ブラック・ジャックの右手の人差し指に、切り傷ができてしまう。

 スージーは、ちょっぴり悪いことをしたと思い、彼に近寄る。

 「ひどいことをするない!なんで私が悪魔なんだ?」
 「だって、教会の神父様が言ってたもん。神様は白い服で、悪魔は黒い服を着ているって...」
 「ああなるほどね」とブラック・ジャックは悟って、少女を責めない。

 「なんで私になれなれしいの?」と問うスージー。
 「国にお前さんと似た女の子がいるんでね」
 「...じゃ、パパなの?」
 「んむ...まあそんなもんだ」
 ブラック・ジャックはピノコのことを考えている。するとスージーは、

 「スージーは、パパきらいよ。パパ、おとついのきのう、よその女の人と家を出てったきり、帰らないもん」

 「ふーん...ママはどうした」
 「ママ、入院なの。あのお窓...もうずーっとなの」

 ブラック・ジャックの父も、事故で重傷の母を捨てて、香港女性と浮気して、二度と妻のもとには戻らなかった。そこで、スージーの姿に自分の少年時代を重ね合わせたのだろう。少女にホットドッグとコーヒーをおごってやるのだった。

 ところで、ブラック・ジャックがアメリカに来た理由は、大手総合病院の クロイツェル院長の「身代わり」 を務める為だった。病院の理事長は、交通事故で植物状態になった院長のことを世間に隠している。院長がダメになったことが分かれば、この病院は副院長に牛耳られてしまう。そのために、クロイツェル院長にそっくりな、ブラック・ジャックを日本から呼び寄せたのだった。

 ブラック・ジャックは、「クロイツェル院長」に化けて、大勢の観衆の前で、ある女性患者の公開手術をするのだ、と理事長に聞かされる。報酬は、5000ドルほどだったが、ブラック・ジャックは、

 「5000ドルは手術代ですよ。それ以外に私がその芝居をやりとおして手術するんだから、報酬は5千万ドルが相場だね」と理事長に迫る。

 理事長はあっけにとられるが、この際仕方ないので、しぶしぶ請合う。

 さてかつらをかぶり、髭で顔を覆い、すっかり院長になりすましたブラック・ジャックは公開手術の場に挑む。患者は癌で、あちらこちらに転移し、癒着し、非常に困難な手術であったが、手術の天才の彼は、ほんの30分ほどで、病巣を取り除いてしまう。

 これで、副医院長も、観衆の皆も、「さすがクロイツェル院長だ!この人が替え玉なものか!立派なものだ!」と拍手喝采する。

 理事長は、彼を賞賛しながら、「いやあなたは素晴らしい人だ!お疲れでしょうから、もうお引止めしませんよ。まず私の邸にいらして、扮装をといて、それからお帰り下さい」と言うのだったが、ブラック・ジャックは、それはできない、と言う。

 「私も医者のはしくれですからね。手術後の患者の血圧など、まだ不安定なところが見られる。明日、それを確認してから、帰りますよ」

 理事長は、時間がたてばたつほど、彼が替え玉だ、ということが、徐々に分かってくるのだから、そこを割り切って、言うことを聞いてくれ、と懇願するが、 「いや、医者として、自ら手術した患者の状態が気になります。割り切れと言うが、あなたの方針より、患者の命の方が大事なんだ!」 と譲らなかった。

 果たして、翌日、「院長」として、患者の病室に、ブラック・ジャックは回診に訪れる。そこには、前日、ホットドッグをおごってやった少女、スージーがいた。 彼が手術した患者は、スージーの母親だったのだ

 患者の容態は落ち着いている、ということで、それは良かったのだが、スージーは、「院長」先生を一目見て、おや?と思う。だが、母親に、「スージー、この先生がママを手術して下さったの。ありがとっておっしゃい」とうながされて、「先生、ありがと!」と握手する。

 だが、握手した右手に、切り傷があるのを見つけたスージー。

 副院長や、他の医師・看護婦のいる前で、幼い少女は、ニコニコしながら「スージー、この先生、知ってる!きのう指にけがして血が出たのよね!おいしーいホットドッグおごってもらったの! ブラック・ジャック さんでしょう?」と言ってしまう。

 副院長は驚いて、「何、ブラック・ジャックだと?」と言う。

 「お譲ちゃん、この先生はクロイツェル先生だよ」と言うが、スージーは、「 ブラック・ジャックさんだわよぉ。スージー、ちゃあんと、覚えているのよ! いやあだ、なんでお髭なんてつけてるの?そのお髭、そったほうがずーっと、かっこいいのに」とまで言ってしまう。

 ここまで言われては、ブラック・ジャックも変装をごまかせない。にせの付け髭をもぎとると、「そうだ...もう芝居は終わりだ」と言って、その場を立ち去る羽目になってしまう。

 病院側の騒ぎで、理事長は自分の替え玉作戦が失敗したことを知り、愕然とする。 「ばかめ...!だからすぐに帰れば良かったんだ...!5千万ドルどころか、ビタ一文やるものか!」

 ブラック・ジャックは、スージーの母親の命をとことん救ってやろうと思った。 患者の命を救う...それが彼の信念であり、優しさなのだ 。しかし、そのために、替え玉がばれてしまい、報酬ももらえない。彼が、患者の命をいいかげんに考えていたら、報酬はもらえただろう。でも、彼は患者を見捨てることができなかった。

 幼い、嘘をつくことを知らない、無垢な少女と出会ったために、かえって、病院側との契約が無一文になったブラック・ジャック。 でも、あのいたいけな少女スージーの母親を救ったことで、彼の心も救われたのではないのだろうか 。私は、ブラック・ジャックのこういう優しさが大好きなのだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  November 10, 2005 02:53:50 AM
コメント(1) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


Re:ブラック・ジャックの優しさ 2005.11.9(11/09)  
通りすがり さん
ホットドックを少女におごる場面は最高^_^ (May 13, 2023 11:11:54 AM)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: