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1950年代の話だろう。操縦免許証取り立ての少年操縦士が、「パイパー・チェロキー」という飛行機に乗り、米中西部の空を飛んでいた。
その少年の飛行機は、赤と白に塗り分けられたものだった。そびえ立つ雲をぐるりと回り、再び広大な空間に出た途端、正面から複葉機が飛んで来た。
互いのパイロットは慌てて右に旋回し、危うく衝突を免れた。すれ違う瞬間、両機は各々の翼端が接触したという。
少年の機体は(初めての接触事故のためか?)きりもみ状態になったものの、何とか着地に成功。そして、さっきの複葉機がこの付近に墜落していないかと辺りを見回した。だが、何の痕跡も無かったらしい。
その複葉機は、「第一次世界大戦で活躍したニューポート28型機」にそっくりだったという。飛行場に戻ると、確かに、少年の「パイパー・チェロキー」の翼端は、一部の塗装が剥げ落ち、衝突の事実を物語っていた。
彼は、飛行クラブの仲間に、「第一次大戦中の複葉機と衝突した」と話したが、皆笑って、「電柱にでもぶつかったんだろう」と信じなかった。
しばらくして、その飛行クラブでは、「過去に活躍した古い飛行機を復元して、飛ばしてみようという催しが開催されることになった。
たまたま、ある農家の納屋に、第一次大戦中に使用されていたニューポート28型機が1機、放置されているのが発見された。その複葉機は、数十年間放って置かれたらしく、タイヤもつぶれ、機体はぼろぼろの状態だった。
だが、その複葉機の主翼左側を見た時、飛行クラブの人々は全身が凍りついた、という。
そこには、つい最近、何かと激しく接触したらしい生々しい擦り傷があり、ごく新しい赤と白のペイントの一部がはっきりとこびりついていたというのである。
少年の「パイパー・チェロキー」と複葉機が衝突しそうになった時、両機のパイロットは右に旋回して難を逃れたが、主翼の一部が擦れ合った。すると、両機の主翼の左側に、衝突しかかった痕跡が残るわけである。
さらに、農家で発見された複葉機のコックピットの中から、飛行クラブメンバーの一人が、黄色く変色した古い「飛行日誌」を発見した。
彼らは、複葉機の主翼のペイントがついた部分と、少年のチェロキーの主翼を削り取り、飛行関係の鑑定専門機関に調査を依頼した。そして、両者はぴったりと合致したという。
また、飛行クラブのメンバーたちが、複葉機の「飛行日誌」を別の研究所に依頼して鑑定してもらったところ、その日誌は明らかに40年ほど昔の紙とペンとインクで書かれていることが判明した。
さらに、驚くべきことにー
その複葉機の「飛行日誌」には、少年のチェロキー機と接触した事故のことが記されてあった、というのである。
「今までに見たこともない、赤と白に塗装された機体と、空中で危うく接触事故を起こすところだった」
その記述は、日誌の末尾に残されてあった。
こんなタイムスリップがあるのだろうか?信じ難いが、少年のチェロキーの主翼の傷痕と、複葉機の衝突痕部分とが合致した、ということは、紛れもなく、両者が事故にあった物的証拠である。
1950年代に飛行していた機体が、1910年代の複葉機と衝突寸前で擦れ違うー
しかも、その複葉機は、事故の後、数カ月して、数十年も放置されていたことが明らかな状態で発見されたというのに、少年のチェロキーの、つい最近塗装された、赤と白のペイント痕がくっきり残っていた。
だから、少年が衝突しそうになった複葉機は、「復元された機体」ではなく、「1914~1918年頃、実際に戦闘中だった機体」であることが立証できる。
これだけでも驚きなのに、1950年代に発見されたそのボロボロの複葉機には、「赤と白にペイントされた見たこともない機体と衝突しそうになった」との「飛行日誌」が残されていたー
要するに、これは過去から未来へ、また現在から過去への二重のタイムスリップである。
第一次大戦中の兵士が、複葉機で飛行中、40年後の未来にスリップしてしまった。同時に、1950年代中頃の少年が、チェロキーで飛行中、40年前の過去にスリップしてしまった。
そして、両者は空上で衝突しそうになった、というわけである。
この記事は、『空の上の超常現象ーパイロットたちを襲った真実の体験 PHP business library』 という書物を参考にした、ということである。
(著者: マーティン・ケイディン /野田昌宏
出版社:PHP研究所)
よくマンガ、アニメではドラえもんが22世紀と21世紀を行き来する。最近では、ポケモンの映画は、よく「時空の歪み」をテーマにしている。
両者とも、「時間」というものが持つ「不思議」をエンターティメントに描いている。確かに、「時間」というのは、何らかの作品や物語を創る時、興味をそそるテーマとなり得る。
よく考えると、現在のこの「今」という瞬間は、すぐに過去になってしまい、二度と戻らない。
「1時間後」や「明日の朝8時」という「未来」も、通り過ぎれば、たちまち「過去」となる。人間は、時間の流れと共に生きている。
しかし、その「未来へと向かう時間の流れ」が、どこかで調節が狂い、瞬時に過去に滑り込んだり、何十年も先の未来に入り込んだりするー
これがタイムスリップなのだ。
記憶喪失などは、現在または過去の記憶の中にのみ生きる、という状態であるが、これは、脳の情報伝達神経の一種の障害である。
だがタイムスリップは、記憶の障害ではなく、「現実に起きた、時の流れの障害」に、何らかの事柄をきっかけに飲み込まれる、一種の現象と言えるだろう。
それがなぜ起こるのだろうか?
人は未来に向けて、様々な技術を開発していくが、それを一時、「ちょっと待て。時を急ぐな」との人知の及ばぬ自然の神秘が、人間にそうした不思議な体験をさせようとしているのだろうか。