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ガード下と言えば飲み屋の屋台か靴磨きだが、そんな雰囲気のガード下ではないのがJR三ノ宮駅近くに「立ち飲み」と「靴磨き」という異色の組み合わせの店があって、かいわいで話題となっているそうなのだ。最短10分ほどの作業で傷だらけだった革靴の爪先に顔が映るほどつやつやになるそうだが、開業以降リピーターも徐々に増えているという。仕事帰りにちょっと立ち寄りお酒で生気を取り戻したら輝きを取り戻した靴で家路に、そんなサービスがサラリーマンらの心をつかんでいるという。立ち飲み店には1日平均約40人が来店するそうなのだが、靴磨きを始めた初日の売り上げはゼロでも知識を生かした「靴談議」を立ち飲み客と重ねるなどして打ち解けると売り上げを伸ばしていき、今では来店客の3割ほどが靴を磨いて帰るという。 そんなガード下の一杯飲み屋というと東京の新橋駅から有楽町駅までが有名なのだが、JR東日本グループのジェイアール東日本都市開発は今年の9月に有楽町駅と新橋駅の間の高架下に商業施設「日比谷OKUROJI(オクロジ)」を開業したそうなのだ。約300mに及ぶ連続する通路を整備し、日比谷側の道路に接続する5カ所の出入り口を設けている。回遊性がある商業街として再生させ有楽町側の「山下橋架道橋」から新橋側の「内幸橋架道橋」までの間を対象に、耐震補強工事を含む「内山下町橋高架下開発計画」を進めてきたというのだ。合計で約1万m2の空間のうちJR東日本グループが担当する約7200m2のエリアに、物販や食物販の店舗が14店と飲食店が16店、計30店が開業したそうなのだ。 元の高架橋は西側から順に増設され、明治43年に使用を開始した煉瓦アーチの高架橋で、現在は山手線と京浜東北線の4線が走っている。昭和17年に使用開始した鉄筋コンクリート造の東海道線高架橋の上下線に、そして昭和39年に使用開始した東海道新幹線高架橋と続いていくのだ。異なる年代の3種類の構造体が並走し高架下空間に大きな特徴として現れている3種の構造体のうち、かつて「新永間市街線高架橋」と呼ばれた東新橋付近から大手町付近までの煉瓦アーチ部分は日本初の鉄道高架橋となっており、土木学会が選奨土木遺産に選んでいるのだ。都市改造史を遡れば東京を近代化するために東京市区改正設計で計画されたインフラの1つだとされている。 当時ドイツから招かれた鉄道技師のヘルマン・ルムシュッテルがベルリンの高架鉄道をモデルに煉瓦アーチの高架橋を提案し後にその案が受け継がれたが、明治43年完成の煉瓦アーチ式高架橋の上を走っている。建設当時は浜松町付近の「新銭座」と東京駅北側の「永楽町」を結んだことから「新永間市街線」と呼ばれ、新銭座と永楽町を最短距離で結ぶと銀座を横切ることになり用地取得が用意でないため、当時の新橋駅から西に300mほど迂回させたといわれている。明治42年に現在の新橋駅までが完成し翌年には東京駅の北側に設けられた呉服橋仮駅までが全通した。連続アーチ橋は耐震性の点で一か所崩れると連動する恐れがあることから、3~4径間ごとに大橋脚を作り鉄橋を掛けより強固な構造にしたという。 各時代の拡張は旧外堀を埋め立てながら進めたものだが、東側にはさらに元の外堀の上に立つ東京高速道路およびその下部の商業ビル「銀座コリドー街」が並んでいる。商業施設「日比谷OKUROJI(オクロジ)」は当初6月下旬の開業を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の状況を考慮して延期を決め今月に開業したという。ジェイアール東日本都市開発開発事業本部開発調査部の福田美紀氏によると「100年前にできた煉瓦の高架橋を、この先100年に継承する。環境や照明のコンセプトとして、ありのままの美しさを見せるようにした。鉄骨造による建築部分はシンプルなものとし、かつ従来の高架下の建築よりも土木構造と一体化させるイメージでつくった」と語っている。
2020年09月30日
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内閣と自民党による中曽根康弘元首相の合同葬は来月に東京の高輪のグランドプリンスホテル新高輪の国際館パミールで営まれる予定だが、去年11月に101歳で亡くなった中曽根氏は国鉄の民営化などの行政改革や日米関係の強化に力を尽くした昭和を代表する政治家で過去にも首相経験者の合同葬は営まれているという。閣議で決定された費用は1億円近くの税金が使われるため「税金でやる意味がどこにあるのか」とか「こうした税金の使い方こそ、改革が必要では」などと批判的な声が上がっている。加藤官房長官は「葬儀会場の借り上げ経費や設営経費を加えて、葬儀は簡素なものとしつつ、コロナ対策に万全を期する必要があります。そういった観点から積み上げられて必要最小限の経費だと思っています」という。 当初は3月15日を予定していた中曽根康弘元首相の合同葬は新型コロナウイルスの感染拡大を受け今年2月に政府が延期を発表していたのだが、中曽根康弘元首相の「内閣・自民党合同葬」について必要経費が1億9千万円余りに上るとの見通しを示したのだが、約9643万円の政府支出をめぐっては野党からコロナ対策にも充てられた予備費からの支出を疑問視する声が出ている。加藤氏は会見で合同葬の経費について「内閣と自民党で折半すると想定している」と述べた。自民側は政府と同額の支出をする方針で、単純計算すれば1億9千万円を超えることになる。加藤官房長官は「新型コロナ感染症の対応などで、多くのスペースが必要になったりし、費用がふくらんだ。必要最小限の範囲で進めている」と語っている。 わが国には天皇陛下を除いて内閣や衆参両議院が関わる「公葬」をどのように執行するかという明確な決まりは存在しないのだが、故人および親族の遺志や決定時の首相による判断で大きく左右されているという。戦前には「国葬令」という法律があって全額国費でまかなわれていたのだが、この「令」とは勅令で当時は法律と同様の価値があったという。戦後は国民主権に変わって国葬令も廃止され代わりの法も制定されていないので「決まりは存在しない」となるということのようなのだ。私も学校が休みになったので覚えがあるのだが、終戦直後から自民党結成直前まで日本を率いた吉田茂氏の「国葬」がなされており、国葬令は廃止されていたので名は同じでも閣議決定による「内閣葬」となり全額国費で実行されているという。 そこで約9600万円という国庫負担の額の是非について、合同葬へ予備費がどれだけ使用されたかを記す「総調書」などによる過去の金額に比べると中曽根氏の金額が2000万円ほど多いのだが、その理由の1つとして武道館でなく民間のホテルを使用するからというのもあるというのだ。過去の「合同葬」の場所は日本武道館なのだが、武道館は当初予定だった3月は東京五輪に向けた改修中のためグランドプリンスホテル新高輪の国際館パミールで営まれることになったという。ホテルの賃料が約5500万円に対し武道館の1日貸し切りだと500万円で、その差約5000万円を折半して2500万円となりこれだけで中曽根氏の「合同葬」分の増加は仕方がないということだということのようなのだ。 ところが3月挙行予定では内外から約4000人の出席者を見込んでおり、これならグランドプリンスホテル新高輪の国際館パミールの全館貸し切りでもいっぱいになる予定なのだが、10月の「合同葬」では感染対策に万全を期すそうで人数も1500人とか数百人といったあたりまで絞り込む予定だというのだ。通常の葬儀とは異なって案内状を持つ者のみが出席できる仕組みで社会的距離も十分取ることなのでガランとした光景になりそうだという。野党などからは「前例主義を打ち破るというのが菅内閣の旗印だったら、前例主義打ち破ったらどうですか」との批判も出ているが「悪しき前例主義の打破」を掲げる菅総理ならこれまで歴代の総理経験者の合同葬には国費が使われていても今回は税金抜きで行ってもよかったのではないだろうか。
2020年09月29日
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世の中何事も鵜呑みは禁物なのだが、それが道路標識であっても例外ではないようで、道路標識に従って安全運転と思っても肝心の道路標識が間違っていることも多いという。そんな事態が全国各地で起きているそうなのだが、直進できるのに「右折専用」とするなど兵庫県内の交差点344か所の道路標示で誤表示が見つかったという。兵庫県内344か所に及んだ大量の誤表示のうち「道路標示が間違っているなんて思いませんよ」と運転者が憤るのは、神戸市中心部の繁華街にあって多くの車が行き来する大丸前交差点で、2車線の右側には「右折専用」を示す矢印が塗装されている。だが県公安委員会の決定では直進も可能で、周辺の商店主や商品の搬入などで利用する運送業者らが道路標示を疑う余地はなかったという。 見つかったきっかけは兵庫県警加古川署に寄せられた市民の問い合わせで、加古川市の寺家町商店街近くにある小門口南交差点は片側3車線だが、道路標示は右から「右折専用」・「直進」・「直進と左折可能」と表示されており、約50メートル先の交差点に向けて車列で混雑することもあり疑問に感じた市民から進行方法について質問があった。加古川署が県公安委員会の決定書面などで確認してみると、右折専用」は誤りで、実際は直進もできることが分かった。さらに、道交法違反の指定通行区分で2人に反則切符を交付していたという。この交差点は2車線道路の拡幅工事をした際に誤った道路標示を塗装した可能性が高いという。近所に住む50歳代男性は「警察もしっかりしてほしいものだ」と注文をつけたそうなのだ。 原因はチェックの不備で道路標識の表示確認を怠ったためのミスで、道路標識は各県警が県の公安委員会に文書を提出して設置されるが、この時の提出文書の記載を間違えていたことが原因であったそうなのだ。兵庫県警は反則金の返納など迅速な手続きの実施と再発防止に努めるという。同様の道路標識の間違いは他の地域でも発生しているそうで、徳島県警では今年4月に3年前に実施した速度取り締まりが間違っていたことを発表したという。この時は速度規制区間の始まりを表示した交通標識は設置していたものの終了を示す道路標識の設置を忘れていたそうで、その結果速度規制が解除されている場所で14名を誤って摘発していたのだが、優良運転者が違反で青色に「格下げ」されていたことも判明しているという。 大量の誤表示がみつかった背景には県警が確認業務を怠っていたことが大きく、県警の内規などでは信号や標識などの交通安全施設について異常の有無を常時点検するよう定めているという。点検は道路標示も含まれ誤表示のあった交差点では補修工事後など確認する機会は何度もあったが放置され続けてきたという。県警交通規制課は「これだけの誤表示があったことは遺憾。ご迷惑をおかけして申し訳ない」と陳謝したうえで、「内規に沿っていれば絶対に起きるはずがなかった。今後は実効性のある点検方法を構築し、二度と起きないようにしたい」としている。道路標識の指示に従って安全運転することは運転する者の義務であるが一方でいま一度取り締まる側の警察にはケアレスミスの撲滅に励む必要があるようだ。 交通事故を防止し安全かつ円滑な道路交通を確保するために交通安全施設の果たすべ き役割は極めて重要で、道路整備の進展にともなって舗装を含めて舗装の延長は大幅に増大することとなり、自動車のスピードアップによる交通事故の増加傾向が予想されている。これが対策として交通安全施設の整備を合せて大幅に促進する必要で、路面標示も道路構造の補完的施設として舗装整備に合せて効果的な設置をはかるべきものとなっている。道路管理者の設置すべき路面標示と公安委員会の設置すべき道路標示との間に明確な設置区分がないため設置計画上問題が多かったそうなのだが、交通管理者や道路管理者として設置すべきものについては整備を促進するべきだといわれている。
2020年09月28日
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菅義偉首相は中国の習近平国家主席と初めて電話会談したそうなのだが、日中関係発展を見据え首脳間を含むハイレベルで、2国間や国際的な課題に対して緊密に連携することで一致したそうなのだ。中国公船による沖縄県の尖閣諸島周辺への領海侵入を念頭に「東シナ海情勢」への懸念を伝え、菅義偉首相は「日中関係の安定は、両国だけでなく地域や国際社会のために極めて大事で、共に責任を果たしていきたい」と述べたという。また延期されている習近平国家主席の国賓来日に関しては協議しなかったという。来日に関し菅首相は記者会見で「中国国家主席の訪日は約10年に1度のことであり、十分な成果が上がるよう万全の準備をして臨む」と強調し、来日時の具体的な成果が必要との立場を表明しているそうなのだ。 中国の習近平国家主席は首相就任への祝意を伝えた上で「日本との関係を引き続き発展させていきたい」と表明したという。電話会談は約30分間で日本側の申し出で行われたそうで、日中首脳の直接対話は安部前首相と習国家主席が昨年12月に北京で会談して以来で、両政府は習国家主席が4月に来日する方向で調整していたのだ。米中対立が激化する中で菅首相就任の祝電で日本重視の姿勢を強調し新型コロナ対策での協力を確認したが、沖縄県尖閣諸島周辺では中国公船の領海侵入が常態化しており、領空侵犯の恐れがある中国機に対する自衛隊の緊急発進も高水準で推移している。こうした中国側の動きを日本側は「脅威」と捉えて菅首相は習主席に対し東シナ海情勢について懸念を示したという。 日本政府関係者によると菅首相は拉致問題を含む北朝鮮への対応について、両首脳は日中が連携することを確認したという。また中国による香港への統制強化を念頭に「地域、国際社会の関心の高い課題について今後しっかり議論していきたい」とも語ったそうなのだ。中国国営新華社通信によると習主席は「歴史など重大で敏感な問題を適切に処理し、新時代が求める中日関係の構築に努力したい」と表明。来年の東京五輪開催を支持する考えを伝え、さらに「コロナ下でも中日の経済・貿易は伸びており、巨大な潜在力を示した」と経済関係強化に期待を示したという。同時に「安定したサプライチェーンと公平で開放的な貿易・投資環境の維持を希望する」と述べ対中圧力を強める米国に同調しないよう促したそうなのだ。 自民党の赤池誠章参院議員ら「保守団結の会」のメンバーは首相官邸で岡田直樹官房副長官と面会し、対中政策の根本的な見直しを求める決議文を提出したという。文中には「中国共産党とは徹底的に闘うべきだ」とか「国賓招聘など笑止千万」と激しい言葉が並んでいたそうなのだ。自民党外交部会も7月に香港への統制強化を受けて国賓来日の中止を求める決議をまとめているのだが、中国に対する厳しい見方が国民一般の間に広がっていることが背景にあるとみられている。菅首相は新聞記者から自民党内から国賓招聘に反対論が出ていることについても問われたが答えずに立ち去ったが、ある閣僚経験者は習国家主席来日について「招請したのは安倍さんなのだから、先送りがベターな解決策だ」と指摘しているという。 菅首相の後ろ盾となっている二階俊博幹事長は中国要人と太いパイプを持っていることは有名だが、中国の習近平国家主席来日への期待は強く講演で「実現を心から願っている」と明言している。二階氏周辺によると「首相と一緒に対中関係を動かさないといけない」との思いを強くしているというが中国側も菅首相への接近を図っているという。外務省幹部によると中国の国家主席が日本の首相の就任時に電話会談するのは初めてで、今回は習国家主席と李克強首相がともに菅首相に祝電を送る異例の対応もしており、政府関係者は「意図は明らかだ」と語っている。これは安倍前首相とトランプ大統領が築いた日米の蜜月関係にくさびを打ち込み中国の人権問題をめぐる国際的な包囲網を突き崩すのが狙いだという。
2020年09月27日
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新型コロナウイルスの感染拡大により企業の「脱はんこ」化が進んでいるそうで、従業員の出社を抑制するテレワークの浸透で決裁や契約書類への押印を見直す動きが広がったという。そこで河野行政改革担当相がデジタル改革閣僚会議の初会合で河野氏は会合で「ちゃんとした本人確認のためではなく、ただはんこを押したという事実だけが必要なケースの場合、すぐにでもなくしてしまいたい」と述べ、決済などにはんこを使う慣行を改めることに意欲を示すと平井デジタル改革相も賛同したという。ところがこのはんこの使用をめぐっては新型コロナウイルス感染拡大による在宅勤務普及などで印鑑業界に影響が出ていることに関し、竹本前IT・科学技術担当相が「はんこ文化と効率化は調和できる」と述べていたそうなのだ。 新型コロナウイルス感染拡大により「はんこ」や「紙」「対面協議」を重視する商慣行・組織文化が見直しを迫られているといえるが、感染を抑えるテレワークが加速する中で押印のために出社を余儀なくされれば本末転倒になるためだという。菅義偉首相はデジタル化を政策目標に掲げており、官民での推進が新政権の重要課題となっているという。今年の4~6月期の国内総生産の改定値は年率換算では28.1%減となっているのだが、全国的な緊急事態宣言発令などを受けた経済活動だけでなく投資意欲の停滞により戦後最悪の下落幅となっている。移動制約を前提とした新常態の長期化は必至で、経済産業省の幹部も「デジタル化による生産性向上が不可欠」との見方が広がっているという。 楽天やIT企業などが加わる新経済連盟は民間が国や都道府県のアナログ手続きに対応するコストを「年間71.2万人分の報酬」に相当すると分析しているが、行政対応要員の一部を他の業務に充てるだけで年に1.3兆円の国民総生産を押し上げる効果があると主張している。 こうした声に押され政府は今夏に定めた「骨太の方針」で「書面・押印・対面」を原則不要にする目標を掲げたわけだが、インターネット上のクラウド経由での契約書の電子署名に法的効力を認める見解を公表し「脱はんこ」を後押しする姿勢を示したそうなのだ。政府主導で進み始めた電子化だが国内就業者の3分の2を占める中小企業が対応できるかは懸念もあるし、電子署名システムは毎月数万~十数万円の維持費がかかることが多いという。 はんこを製造販売する印章業界は大逆風ではんこ生産と印章文化の中心地として栄えた京都は、業界が新たな用途に活路を見いだそうとしているそうなのだ。結婚式や店舗の開店などが延期されはんこの需要も減っているそうで、京都市中京区にあるはんやの3代目社長は「実印は人生の節目で作ることが多い。5月の大型連休以降、注文は少ないままだ」と話している。そのうえ篆刻教室や展示会などイベントも中止になり「はんこに親しんでもらうこともできない」と嘆いている。新型コロナがデジタル化を加速させる中で活路を見いだすのが趣味用のはんこだそうで、書や日本画・絵手紙の落款印だけでなく体験教室で需要を掘り起こし、手紙の封をする際に押す「シーリングスタンプ」の新商品も考案中という。 京都は平安京以来から役所で使う官印などが作られはんこ生産の中心地だが、中国や韓国などは社会的契約のインフラとしての印鑑登録制度を廃止し、京都府印章業協同組合は「今も残るのは日本だけ」と話している。京都は家族経営の小規模店が多く約15年前に130店ほどあった組合加盟店は現在42店に減ったという。京都ははんこの地域ブランド「京印章」があって法律や条約の公布文などに押す天皇の印章「天皇御璽」や「国璽」は、明治時代から京都の篆刻家「安部井櫟堂」が手掛け印章文化を伝えてきたという。「御朱印や落款印・卒業証書の学校印などは日本独特の文化として今後も残るだろう。先人から受け継いだ伝統や技術を次世代に伝えたい」と京都府印章業協同組合は力を込めているという。
2020年09月26日
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ライフプランを作成する時には60歳を定年退職とするケースが多いそうなのだが、30年ほど前は55歳定年だったような気がしている。それがいつ60歳定年になったのかというと1986年「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正で60歳定年が努力義務に、1994年の改正で60歳未満定年制が禁止されたからだという。これが60歳定年の始まりでその後も「高年齢者雇用安定法」が改正され、2012年の改正「原則希望者全員の65歳までの雇用を義務化」により働きたい人は65歳まで働くことができるようになったという。そして今年の3月「高年齢者雇用安定法」が更に改正され70歳まで働く機会の確保を努力義務とする法案が成立し、70歳まで働き続ける事ができる環境が整備されつつあるというのだ。 近年では日本では少子高齢化が進み医療や介護、労働者の確保など社会生活にさまざまな影響が出ているといわれているが、記録が残っている日本最古の定年制度は1887年に制定された東京砲兵工廠の職工規定だといわれている。この東京砲兵工廠の職工規定では55歳を労働者の定年としており、公務員をはじめ多くの企業が55歳定年制を導入したという。この55歳定年制は1994年の改正高年齢者雇用安定法で60歳未満の定年が原則禁止になるまで続いたそうで、厚生労働省は2021年から労働者の希望があれば最長70歳まで定年を延長できるシステムの導入を企業の努力目標としているという。このように定年延長に関する動きはこれからも活発になることが見込まれていることのようなのだ。 厚生労働省の「就労条件総合調査・結果の概況」をもとに現在の定年制と定年年齢を見てみると、定年制を定めていない企業は全企業平均では4.5%だが5年前より0.1%減少しているそうなのだ。定年制を定めていない企業規模別では常用労働者が1000人以上の企業が0.7%に比べて、300~999人の企業は0.3%で100~299人の企業は2.0%となり30~99人の企業は5.8%だという。定年制を定めていない企業は減少傾向にあるが1000人以上の企業は前年の2倍強も増加しているそうなのだ。65歳定年が増えているといっても定年制を導入している常用労働者1000人以上の企業の9割は60歳定年で、現時点の定年年齢の平均は60歳になるが65歳定年を導入する企業が増えているそうなのだ。 65歳定年制の義務化により高年齢労働者の賃金設定や賞与について、また給与の財源など企業を悩ませるさまざまな問題が起こることが予想され、たとえ65歳まで業務を続けられたとしても高年齢者が今までと同額の給与を受け取ったり役職に就いたりできる保証はないという。「給与が下がった」とか「役職に就くことができない」といった理由から、高年齢者の仕事への意欲が薄れてしまうことが考えられ、高年齢者の賃金や待遇に不満を持つ人や高年齢者をどう扱うべきか悩む労働者も多いという。また65歳を過ぎても元気ではつらつとした高年齢者は大勢いるが、しかし若い頃に比べて体調を崩しやすくなったり体力が落ちて集中しにくくなったりするなど年齢を重ねるごとに不調が出てくる高年齢者も多いという。 年金や老後に不安があるという人も増えていてできることなら長く働きたいと考える高年齢者も多くいるが、持病で通院中という人も多くこのような健康状態の不調によるミスや事故のリスクを企業は認識し対応策を考えなくてはいけないといわれている。政府は働く意欲のある高齢者が70歳まで就労できる機会を確保するための法整備を考えており、高年齢者雇用安定法の改正案が可決されたこともあってこれにより定年年齢が65歳になる流れは強まりそうだという。人生100年時代といわれていることもあって将来は70歳定年、あるいは定年制という概念がなくなり生涯現役時代が到来するかもしれないのだが、70歳まで延長される可能性があるいまでは企業に求められるのは変革なのかもしれないといわれているのだ。
2020年09月25日
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私の住む松山市でも何件もの専門店があるというのだが、私は飲んだことのない台湾発祥の「タピオアカティー」を扱う人気店がひしめき聖地とも呼ばれる東京の原宿で閉店ラッシュが起きているそうなのだ。人気店でも人影はまばらで20代の女性従業員は「緊急事態宣言が出た4月から人が急激に減り、売り上げも減った」といい、人出が多少戻りつつある今でも売り上げは新型コロナウイルスの影響が出る前の半分という。5月から閉める店が出始め今夏には東京の原宿周辺だけでも3店舗が続いたという。裏通りに店を構える20代の女性店長は「コロナと同時にタピオカブームも去ったのかも」と嘆いていたが、以前は平日でも行列が日常だったのに今は客が数人という日も。売り上げは9割減という。 TVのワイドショーで高校3年生の女子生徒は「タピオカはもう古い。インスタ映えを狙って写真を撮ることもない」と話していたが、原宿界隈のタピオカ店における人気の凋落は目を覆うばかりだという。今年の1~2月にはどの店の前も黒山の人だかりだったというが、現在は全く顧客が来ないという店はさすがに少ないのだがほぼ並ばずに買える店ばかりになったという。 判明しているだけでも原宿エリアではコロナ禍により10店が閉店しているそうなのだが、これだけ淘汰されても明らかなオーバーストアの状態でタピオカバブルの崩壊を目の当たりにしているというのだ。ざっと、3~4割くらいのタピオカ専門店が無くなりその分を合わせると原宿のタピオカの顧客は全盛期の1~2割程度にまで減ったという。 タピオカティーは主に冷たくしたミルクティーに大粒のタピオカパールとよばれるスターチボールを入れた台湾発祥の飲料なのだが、タピオカパールをストローで吸い込む感覚と弾力のある食感を楽しめるのが特徴だという。タピオカティーの発祥には二つの説があって一つ目は台中市の喫茶店のオーナーが「清涼飲料水に対抗できるような中国茶」として誕生させたという説と、二つ目は台南市の喫茶店のオーナーが由来であるという説だという。この二店はいずれも「タピオカティーの元祖」を名乗っており、のちに両者が10年間にわたり裁判で争う事態にまで発展したが、裁判所が「タピオカティーは特許品ではなく誰でも作れるため、誰が元祖であるかを決める必要はない」という判決を下したことにより終息しているそうなのだ。 台湾でも販売された当初はあまり評判が良くなかったそうなのだが、次第にメニューとして取り入れる所が次々と現れ登場からわずか10年程度で台湾の国民的な飲料の一つとなったそうなのだ。そしてアメリカをはじめとした海外でもアジア系住民の多い地域ではタピオカティーを提供する店が多いそうなのだが、日本では1990年代後半ごろから台湾チェーン店が進出してきた事によりタピオカティーの知名度が一気に高まったという。当時は「台湾で人気のジュンズナイ茶」が日本の街角にも登場したとして中華街の店頭で製造販売していたほか、コンビニの棚にも並ぶようになっていたという。次に騒がれたのは2008年ごろで以前のブームを知らない女子高生の間でブレイクしたそうなのだ。 そしてそのリバイバルブームも知らない若者たちを中心に今回の「第3次ブーム」が起きたそうなのだが、オリンピックよりもちょい長めだが8~9年周期で「タピオカティー」の若者の関心が高まっているというのだ。味や食感は進化しているがそこまで劇的な違いはないのになぜ20年くらい前から日本社会でそれなりに普及してきた「定番ドリンク」が再び大ブレイクを果たし衰退したのかということだが、人気のほうは例の特徴的なビジュアルが若者の「インスタ映え」にビタッとハマったからとか、トレンドに敏感なシャレオツ女子の間に「台湾スイーツ」がキテいるからという分析もあるという。それと「台湾人気」で黒タピオカドリンク発祥の地である台湾は近年、日本人の海外旅行先として不動の人気を誇っているからだというのだ。 新型コロナウイルスによる外出制限前の調査なのだが、一般社団法人日本旅行業協会が旅行会社を対象に調査をした「人気旅行先ランキング」では、台湾は年末年始の旅行先で4年連続1位だし、GWの旅行先では5年連続で1位に輝いているうえに夏休みの旅行先でもハワイとトップを争うのが近年の傾向となっているというのだ。台湾では有名店に限らず街のいたるところで黒タピオカドリンクが売られており、日本人観光客も滞在中に必ず飲む「ド定番グルメ」になっているという。今回の「タピオカティーブーム」は去っても台湾に行った日本人はほぼ間違いなく黒タピオカドリンクを飲んで、帰国した後には家族や友人に「おいしかった」と宣伝すると、また4度目のブームが来るといわれているそうなのだ。
2020年09月24日
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昨年の出生数は86万5千人となり1人の女性が生涯に産む子どもの数である合計特殊出生率は1・36と低迷しているが、結婚後の夫婦には2人程度子どもが生まれており、晩婚化や未婚率上昇が少子化の一因として指摘されている。内閣府は少子化対策の一環として新婚世帯の家賃や敷金・礼金だけでなく引っ越し代など新生活にかかる費用について、来年度から60万円を上限に補助する方針を固めたという。対象は「結婚新生活支援事業」を実施する市区町村に住み新たに婚姻届を出した夫婦で、現行は1婚姻日の年齢が夫婦とも34歳以下2世帯年収が約480万円未満―などの条件に当てはまれば30万円を上限に費用補助を受けることができることになっているが、現行額から倍増し対象年齢や年収条件を緩和するという。 経済的理由で結婚を諦めることがないよう後押しする狙いなのだが、初婚年齢が上がっている現状を踏まえ年齢の条件を39歳以下に緩和するだけでなく、世帯年収も約540万円未満に拡大するそうなのだ。内閣府はこの事業を含め少子化対策に使える自治体向け交付金の増額を来年度予算の概算要求に盛り込む予定なのだが、内閣府の集計ではこの事業を実施しているのは281市町村しかなく全市区町村の15%程度にとどまっており、補助額の半分を自治体が負担する必要があることが実施自治体の増えない要因となっているという。私の住む松山市も支給対象者に年齢や所得の制限があることに加え補助対象が新居の引越し費用等に限られるため効果は限定的であるとして参加していないのだ。 それでも少子化対策を進める取り組みは重要であると認識しているようで、私の住む松山市では結婚支援の取り組みとして出会いの場を創出する婚活事業を実施するほか、特定不妊治療費の助成や子育て相談の拠点である「子育て世代包括支援センター」で、妊娠・出産・子育ての時期に重点を置いた切れ目のない支援に取り組んでいるそうなのだ。この「結婚新生活支援事業」は現行なら婚姻日の年齢が夫婦とも34歳以下で世帯年収が約480万円未満などの条件に当てはまれば30万円を上限に補助を受けることができるが、年齢の条件を39歳以下に緩和し世帯年収も約540万円未満に拡大するだけでなく、国の補助率は1/2なのだがこれまでは段階的に引き下げられていたのを3分の2に引き上げる方針だという。 内閣府が発表した「結婚新生活支援事業」に関する支援拡充策への反応としては、「60万円補助」とか「世帯年収540万」などがトレンド化するなど話題を集めているそうだが、注意していただきたいのは、この制度にはもともと極めて限定された対象設定がされているということだ。結論から先に言えば、ほとんどの世帯は支給対象外である。それにもかかわらず、新聞報道などで「内閣府、新婚生活60万円補助へ、少子化対策で倍増、条件も緩和」とタイトルを付けてしまっているので、結婚したら補助金がもらえるのではないかと期待を煽ってしまっているが、そもそも「結婚新生活支援事業」を実施する市区町村に住んでいなければ支給対象外で、その市区町村は極めて少ないというのが現実だというのだ。 全国でも260市区町村しか選定されておらず東京都内で選定された自治体はひとつもないというし、首都圏だけでなく主要都市部はほとんど対象外でとなっている。私の住む愛媛県でも20市町のうち対象は2市3町しかないのだ。このように「内閣府、新婚生活60万円補助へ」ではなく「内閣府、特定地域に住む新婚の限定された世帯に60万円補助へ」が正確な表現だといわれているように、「内閣府、新婚生活60万円補助へ」はフェイクやデマとは言い切れないが誤解を招く表現で、正しい情報提供とは言えないのだ。新型コロナ禍で補助金や支援金に関する情報には多くの方が過敏になっている時期なので、内閣府や各報道機関には無用な期待感を想起させることなく適切な情報発信をするべきだとされている。
2020年09月23日
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ある厚生労働省の官僚は「株式会社が保育を壊して、壊して、壊しきった」と本音を明かしているそうなのだが、この保育に関しての「壊した」には大きく3段階あるといわれている。その第1弾はまさに認可保育園の設置について営利企業の参入が認められるとともに委託費の使途制限が大幅規制緩和された20年前にさかのぼるのだが、 次が15年前に国の通知によって委託費の3ヵ月分も流用していいとさらなる規制緩和が行われたことで人件費の流出割合が増していったというのだ。そして3度目の大事件となったのが5年前の緩い使途制限の縛りすらかかっていない企業主導型保育園が急増したことだという。保育に経済界の影が忍び寄り規制緩和が次々と行われていったことで保育の質が担保されない環境が整備されたという。 「企業主導型保育」の出現で質の低下は敢えて無視されたとされ、この制度は問題点が国会で審議されない状態でできてしまい、早く待機児童を解消したいという安倍政権の人気取りのために作られたようなものだという。開設工事費補助が4分の3も入り場合によっては1億円ほど得られることから、そこを狙ってコンサルタント会社が入って保育が素人の事業者まで参入してしまったというのだ。「企業主導型保育」は事業主拠出金が年金特別会計に入りそこから運営費が助成される仕組みとなっているというが、配置基準を満たす保育の有資格者が50%でも良いとなれば質の高い保育を提供しようという事業者でなくても参入でき、現場では資格のある保育士に負担ばかりかかっていくという矛盾の象徴のような施策といわれている。 保育業界にとって激震となったのが先にも触れた20年前の営利企業の参入の解禁とセットで行われた「委託費の弾力運用」の大幅規制緩和だとされている。これによって儲け主義のブラック経営を行う事業者の参入が促されてしまったとされるのだが、さらに規制緩和が行われ5年前には株主への配当にまで流用が可能になったという。社会福祉法人の平均値では国の想定に近い7割の人件費をかけているが株式会社は5割程度という開きが出ており、企業にとって人件費を削減して事業拡大に委託費を使うことができるようになり大きなメリットとなったといわれているのだ。株式会社の保育園は増えているそうで、株式会社を中心に若い保育士が多く余った人件費が新しい保育園の整備費につぎ込まれていっているそうなのだ。 「企業主導型保育」に関してある大手株式会社の社長は「自治体から独自に補助がない限りは会社の持ち出しになってしまうため、基準以上に保育士を配置しない」という方針をとっているという。官僚も「株式企業が利益確保を重視する以上、人員体制はギリギリになってしまう。人手がなければ休みも取りにくくなり保育士が疲弊する。幼保無償化によって自治体が計画していた保育士の配置上乗せの予算が奪われたところもある」と懸念している。そればかりか保育士の思う通りに園児が振る舞えないことで暴言を浴びるなどの保育士による園児への心理的な虐待行為も目立って増えているそうで、そうした事態を受け厚生労働省は今年度「不適切保育に関する対応について」の調査研究を始める予定だという。 厚生労働省は保育士の配置基準の引き上げを計画しているというが、現行の1歳児の配置基準は子ども6人に対して保育士1人(「6対1」)だがそれを「5対1」へ改善させ、4~5歳児については「30対1」を「25対1」とする方針だ。この実現にかかる額は約1261億円とされていたが消費税以外の財源確保が前提とされいまもなおメドがついていないという。専門家も人件費比率は国が想定している通り本来は8割かけるべきで、そうでなかったとしても弾力運用する際には流用を避けるため人件費比率の最低基準を設けるべきだという。保育をコストと見ていては質を維持することは困難であるなら、営利企業が保育で儲けることを許す安倍路線を踏襲しては「親子は守れない」といわれているのだ。
2020年09月22日
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リーマンショックの時もそうだが景気悪化と自殺者とは明確な相関関係があるというが、今回のコロナ渦ではこれまでの景気悪化とは次元の異なる状況で今後も増加する懸念が拭いきれないそうなのだ。特に職を失った人や住む家を失った人は将来を悲観し自殺するケースは多々あって、明日や来月からの支払いなど生活が気になり夜も眠れない人も少なくないという。経済不況が自殺者数を増加させるのは1920年代の世界恐慌の頃から観察されている事象だといわれており、1929年頃から発生した世界恐慌の死因を調べた研究では、死因のうち自殺だけが増加し自殺率は失業率のピークと一致したという。新型コロナショックで今年の自殺者数は昨年から1万人以上急増し3万人以上となる結果が得られているそうなのだ。 不況業種では特に観光・飲食業は厳しく壊滅に近いという報道もあるが、気になるのは仕事やアルバイトが休みになる勤め人や学生だけでなく客が減って収入が激減している自営の人が多いことだという。私の住んでいる松山市でも内科開業医や調剤薬局からも患者数や処方箋数減少による経営不振を嘆く声を聞いている。実は8月の自殺者数が去年に比べて増えているそうで、8月の自殺者数は1849人となり前年同月比で246人増加しているというので。新型コロナウイルスによって今後の生活に不安を抱えたことが原因かと考えられるが、なんと1日に約60人が自殺している計算になるという。愛知県では自殺者の急増に伴い緊急の会見を行なって不安を抱え込まないでほしいと呼びかけているそうなのだ。 「こころの健康相談統一ダイアル」というものが設置されており、気軽に相談することができるが電話してみたところ電話が混み合っていて相談窓口までたどり着くことができないという。他にも区別のものや施設などが実施している相談窓口があるのでそちらのほうが通じやすいのかもしれないが、そのような窓口に相談することは重要だが同時に周りの人が「自殺のサインに気づけるか」というのも重要だという。1番身近な人が自殺のサインに気づき相談に乗ってあげて悩みを1人で抱え込む孤独感から解放してあげることが、自殺を思いとどまらせるのに効果的な方法のひとつだとされるが、多くの人は自殺のサインについて無知であり、自殺のサインに気づいていたとしても「誰にでも、そういうときはあるよね」と鈍感になってしまうというのだ。 自殺を図って命を救われたとしても適切なケアがなかった場合10人に1人は自分を傷つけて自殺にいたってしまうというが、自殺の危険を予測するうえで最も重要な因子だという。死にいたらない軽度な自傷行為を行う人でも「本気じゃないからだ」と軽視していると、将来的に自殺をしてしまう可能性が高いということがわかっているというのだ。自殺をする多くの人は心の病を抱えていて適切な治療をしていない場合が多く、心の病を抱えている場合は必ず専門の病院へ行くことが自殺予防に大きな効果があるという。精神的に追い詰められている人が多くなっていて今後も増加する可能性は十分にあるが、自粛によって人と繋がる機会が減って孤独感を感じ誰かに気づいてほしいとサインを出すことが難しくなってきているというのだ。 こうした最悪の事態を避けるには経済の実質的なロックダウンを要請した政府が責任をもって景気を回復させ失業者の急増を回避するか、失業しても安心して暮らしていける社会を実現するかのどちらかだろうと専門家は指摘している。政府や自治体としては新型コロナウイルスが来る度に緊急事態宣言こそ発動はしないが経済のストップアンドゴーを繰り返すつもりみたいなのだが、これでは一時的に解除されても安心して経済活動を元の水準に戻す訳にはいかないといわれている。そうなれば景気の回復は一層遠のくだけで失業も増加の一途を辿ることになり、安心して経済活動を行える環境を整えるため政府は新しい生活様式を国民に押し付けるより何よりワクチンの開発を急ぐべきだというのだ。
2020年09月21日
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「暑くなってくると、ビールががぜん美味しく感じる」という人も多いのだが、私は猛暑が過ぎて今くらいの少し涼しくなってきた時こそビールが一番おいし季節だと思っていて、毎晩のように缶ビールを1本飲んでから、ウィスキーのビール飲料割りを飲んで晩酌を楽しんでいる。そのビールを含め発泡酒に新ジャンルなどの「ビール系飲料」にかかる酒税が、今年の10月から段階的に変化していくのだ。簡単に言うとビールにかかる税金が安くなり安さが大きな魅力だった発泡酒や新ジャンルにかかる税金が高くなるという。酒税とはアルコール度数1%以上にかかる税金のことで、酒税を定めているのが酒税法によってビールや日本酒・ウィスキーなどお酒が17種類に分類されその分類に応じて税率が定められているのだ。 日本の酒税の歴史は長く初めて酒類に課税されたのは室町時代と言われており、江戸時代から明治にかけては「酒株(さけかぶ)」と呼ばれる酒造りの免許税のようなものも存在していたそうなのだ。明治時代に入ると酒税はより重要な地位を占めるようになり、明治25年の酒税による歳入は国全体の歳入のなんと24%で、これはもっとも歳入が多かった土地にかかる税金に次ぐ数字だったという。酒税は軍備拡張の財源としても活用され日清戦争後の明治29年に日露戦争に向けた増税が行われ酒税もその対象になり、このとき「造石税」という仕組みが導入され酒造りが終わった時点で酒造業者に課される酒税制度となり、お酒の売れ行きに関わらず納める酒税が年額で決定していたそうなのだ。 そんなビールが誕生した時期や発祥国については諸説あるのだが、今から5000年前の紀元前3000年ごろには誕生していたといわれている。これは日本では縄文時代の中期から後期にあたるそうなのだが、ビールについての最古の記録としては紀元前3000年ごろのメソポタミアの地でシュメール人が残した粘土板に楔形文字と絵でビール造りの様子が刻まれていることが確認されているそうなのだ。なおビールはエジプトでも古くから飲まれていたと考えられ、紀元前2700〜2100年ごろに描かれたとされるピラミッドの壁画にも、ール造りをする人の姿を見ることができるという。同時代である縄文時代の日本にもちろんビールはなくヤマブドウなどの果実酒が造られていたそうなのだ。 ビールの原料はそれぞれの国によって異なった使い方があるとされているが、日本では酒税法により麦芽・ホップ・水のほかに副原料として米・とうもろこし・でんぷんとしてスターチ・糖類等を使用することができるという。それぞれのビールに使用された水を除く原料はラベルなどに表示されている。麦芽は主としてビール大麦と呼ばれる二条大麦からつくられるが、この麦がビール醸造用に使用されるのは穀粒の大きさや形状が均一で大粒で穀皮が薄いといった必要条件を備えているからだとされている。ビール大麦は日本各地で栽培されているのだが現在使われている麦芽の大部分は品質や価格面で優れている外国産が多く、カナダ・オーストラリア・ヨーロッパ各国などからの輸入麦芽だそうなのだ。 ビールの原料の中で最も特色のあるのはホップで、ホップは多年生で雌雄異株のつる性の植物なのだが、ビールの醸造には雌株につく受精していない毬花を8~9月に収穫して使うそうなのだ。ホップがビールに果たす重要な役割はビールに独特な芳香と爽快な苦味を与えることや、麦汁の過剰なたんぱく質を沈殿・分離させビールを清く澄んだものにすることのほかにビールの泡もちをよりよくすることなどだが、このような作用はホップの有効成分であるルプリンの働きによるものだという。世界的にホップの生産地は緯度で35~55度の間に位置して日本では東北地方など気候の冷涼な所で栽培されているが、現在ビール醸造に使用するホップの多くはドイツやチェコなど海外からの輸入ホップだという。
2020年09月20日
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退陣した安倍晋三前総理の「桜を見る会」で疑惑が取り沙汰された「ジャパンライフ」に捜査のメスが入ったのだが、磁石を使用した健康商品の「販売会社・ジャパンライフ」について警視庁は顧客にウソの説明をして現金をだまし取った詐欺容疑で、元会長の山口隆祥容疑者ら14人を逮捕したそうなのだ。この「ジャパンライフ」は全国7000人の顧客から約2400億円を集めていたとされ、捜査によっては被害がさらに拡大するとみられているそうなのだ。安部前総理主催の「桜を見る会」の招待状を販売促進に使っていたことが国会で判明しており、招待状などをコピーしたジャパンライフの資料には <安倍総理から山口会長に『桜を見る会』のご招待状が届きました> と記され国会で大問題になっていたのだ。 磁気健康器具の預託商法を展開した「ジャパンライフ」の巨額詐欺事件で「カウンセラー制度」と称して一部の顧客に報酬を支払い、知人らを勧誘させるマルチ商法の連鎖取引販売を駆使していたことが捜査関係者などへの取材で分かったという。捜査関係者によると実際には磁気ネックレスなどの商品の数が契約数よりも大幅に少なかったそうで、「ジャパンライフ」が3年前に約338億円の債務超過に陥っていたことも判明したという。その後も制度を継続し集金活動を加速させていたそうで、警視庁など合同捜査本部は元会長山口隆祥容疑者ら幹部が事実上破綻する直前までマルチ商法のスキームを駆使して顧客の獲得を続けて資金をだまし取っていたとみて全容の解明を進めるという。 今回の「ジャパンライフ」のように会社側が顧客に購入させた商品を預かり配当を約束する販売預託商法を巡っては消費者被害が繰り返されてきたが、販売預託商法の問題は1985年に経営破綻した「豊田商事」の詐欺事件をきっかけに広く知られるようになったという。客が購入した地金を預かって運用し配当を支払うという触れ込みだったが、実際には「豊田商事」は地金をほとんど保有していなかったので、預託法で事業者が故意に事実と異なる説明をすることを禁じ契約内容を明記した書面の交付を義務づけたのだ。ところが消費者庁は現在の預託法に基づく規制では手口を変えて引き起こされる被害への対応が後手に回り限界があるとして、来年の通常国会に同法改正案を提出し販売預託商法を原則禁止する方針だという。 現在の預託法に基づく規制では規制対象は政令で指定された貴金属などの商品やゴルフ場利用権などの権利を扱う事業者のみで、新たな商品や権利による問題が生じる度に追加指定して規制対象に加える必要があるという。業者は新規の顧客が支払った代金を別の客の配当に回す自転車操業で運営しているケースが多く、配当が続く間は問題が表面化しづらい側面があり、近年でも「和牛オーナー制度」が行き詰まり9年前に経営破綻した「安愚楽牧場」や、加工食品のオーナーを募り2年前に経営破綻した「ケフィア事業振興会」など、大規模な被害が続いており、消費者庁によると現在も約40社が販売預託商法を行っていることから、「現行法での対応では限界」と話しているそうなのだ。 ジャパンライフが問題になったのは今回がはじめてではなく、1983年には法人税法違反で告発されているし、消費者庁からは2014年に行政指導を受け2016年には行政処分を受けて業務停止に追い込まれている。しかもそのたびに国会でも自民党の大物議員と関係が問題になっていたというのだ。国会質問でも「お中元リストというのがありまして、安倍総理を始めとして国会議員などに広くお中元をまいているとか、非常に政治的な対応をしていたのがジャパンライフ」と指摘され、そのお中元リストには菅義偉総理だけでなく麻生副総理兼財務相の名前もあったという。また菅内閣の重責閣僚の加藤官房長官もジャパンライフの山口会長と会食して、ジャパンライフの取組を非常に高く評価していたというのだ。
2020年09月19日
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老後のお金の相談で特に多い「みじめな老後」に関して、会社員の場合は多くが50歳で昇給はストップし55歳で役職を離れ、役職分だけ給料が減り、60歳で定年退職して再雇用制度を活用して65歳まで働くとしても、60歳からの給料は半分以下にと右下がりの収入構造になるという。50代になって給料が上がり少し贅沢を覚えてしまった家計は、この段階的に右下がりになる収入構造に追いつけず、高収入だったときの消費生活にマヒしているのか収入が減っても何となく、これまでと同じような食生活やショッピングなどを続けるご家庭は多いという。収入が減っているのだからそれに見合った生活をしなければ家計は破綻してしまうのに、退職金があるというだけでセーフティネットがあるような幻想を抱いてしまうというのだ。 人生100年時代に入り老後が長くなっているといわれているが、そのため老後に何らかの不安を感じている人は多いと思われている。そんなことを裏付ける調査結果が発表されたのだが、メットライフ生命の「『老後を変える』全国47都道府県大調査」によると、この調査結果のなかから専門家が興味深いと感じた結果をピックアップして紹介されているのだが、「不安がある・ややある」と答えた性別・年代をみてみると性別では男性79.7%女性83.3%でした。老後に関しては女性の方が長生きの傾向が強いのでこれは納得できる結果といえるそうなのだ。年代別では20代から多くの人がすでに老後に不安を感じ年代を重ねるごとに不安が増し、40代の87.1%がピークとなり不安度は徐々に下がっていくという。 少なくとも65歳からあと30年生きることは決して非現実的ではないといえるのだが、それでも20代からすでに老後に不安を感じ年代を重ねるごとに不安が増し40代がピークになるには大きな問題があると指摘されている。専門家も「20代から老後に不安を感じることはないだろうにと、思わないでもない」というが、20~30代は「自分たちはもらえないから」と公的年金の先行きを不安視している年代なので高い数字になったと分析している。40代も公的年金への不安だけでなく老後資金を貯める時間があまり残されていないことへのあせりからでしょうか、最も不安度が高くなっているという。50代からは数字が下がってくるのだが、それでも50代は86.9%だし60~70代は72.1%と不安度は高い水準となっているそうなのだ。 人生100年時代はしばしばそれだけ老後が長く、それを支える資金が必要という「リスク」や「危機意識」を持って語られるが、老後に対する不安要因は何かという問いに、ワースト1は20~50代が「お金」で60~70代は「健康」をあげているそうなのだ。若いうちは「人生100年時代」に入って老後が長くなっていることを考えると不安なのは「お金」の準備ができるのかということのようなのだが、60~70代は「お金」より「健康」が不安というのは私も60代なので分かるような気がする。意外だと思ったのは「認知症」がどの年代でも順位が高いことで、若い世代は身内か親類や知り合いが認知症を発症したのを見たり聞いたりして不安だし、60~70代はそろそろ「自分事」として不安なのだと分析されている。 また「あなたは何歳から<老後>だと思いますか」の問いに、20代は63.8歳で30代は64.2歳となり、40代は65.4歳で50代は66.7歳60~70代は70.9歳だったという。年代が上がるほどその年齢も上がっているのだが、とくに60~70代は50代と4歳以上の差があり唯一70歳超となっているのが大きな特徴だという。各年代の意識の違いの理由は「老後と感じるきっかけは何だと思いますか」という質問で見えてくるそうで、20代は「退職したら」が一番多く30代と40代は「年金を受給し始めたら」となり、そして50代と60~70代は「身体が思うように動かないと感じたら」が回答のトップだったという。本人たちは身体が動くうちは「まだまだ現役」という思いが強い。そんな姿が浮き彫りになります。
2020年09月18日
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厚生労働省は安倍政権の目玉政策だった「待機児童ゼロ」の先送りを発表したが、待機児童解消というかけ声のもと保育は市場化するために数々の規制緩和が行われてきている。小泉純一郎元首相が厚生労働大臣だったときに児童福祉法が改正され、保育は行政が入る保育園を決める「措置制度」ではなくなって保護者が選択できるようになり、それからも調理業務の外部委託が認められ「官から民へ」と転換していく布石が打たれ始めていた。認可保育園の設置に営利企業の参入が認められてきたという。20年前には園庭がなくても認可保育園が設置できるようになったことから、今ではもとはドーナツ店のあった店舗やマンションの一室が保育施設として利用されるようになっているといわれている。 翌年には保育士配置の要件が緩和され短時間勤務の保育士を配置しやすくなり、パートや派遣でも配置基準がクリアできるため保育士の担任の非正規化が促されたという。また公立保育所の運営費が一般財源化され財政が苦しい地方自治体では、保育園の整備が後回しになり人件費削減をするための非正規雇用化や民間移譲が本格化したといわれている。保育士の処遇改善が国の重要課題とされるなかで都市部であっても年収が300万円にも満たないケースはなくならないとされるが、この大きな原因となるのが保育士の人件費を流用することを国が認める「委託の弾力運用」ではないかという。そして第二次安倍政権の7年8か月においても保育行政の規制緩和が加速され続けてきたというのだ。 認可保育所には子どもの年齢ごとに保育にかかる費用が「公定価格」として決められ、それが積算されて「委託費」という呼び名で運営費が、市区町村を通して各認可保育所に支払われているという。その中でも税金と保護者の支払う保育料が原資となる委託費の8割が原則的には人件費だとされているのだが、流用することが認められているため人件費が人件費に使われない現実があるというのだ。運営費を指す委託費の「基本分単価」では8割かかるはずの人件費が抑え込まれて、4~5割でも驚く数字でないのが現状だというのだ。こうなると保育士等の質の劣化が起こり「いったい、どこに、ブラックでない保育園があるのか」と勤めていた保育園を数ヵ月前に辞めた保育士が深いため息をつく事態になってしまったというのだ。 そしてわが子を保育園に預ける親からも「子どもが保育園に行きたがらない。先生を見ていても、質が心配。せっかく保育園に入ることができたけれど、転園するか、仕事を辞めるか」という悩みの声が聞こえるというのだ。そればかりか安倍前首相を議長とする国家戦略特別区諮問会議では保育士配置や面積基準の地方条例化や、3歳児以上の給食の外部搬入の容認だけでなく、小規模保育や企業主導型保育で実質的な保育士配置基準の緩和が実施され、配置基準を保育士で満たすのは6割で良いという緩和策まで打ち出されたというのだ。そしてなんとしてでも待機児童ゼロにしなければならないと保育園の多様化が進められ、ついには市町村の審査も監査の権限もない「企業主導型保育」が登場してきたというのだ。 企業主導型保育は税金を財源とせず企業から拠出される「事業主拠出金」で運営費が賄われているが、企業が社員への福利厚生の一環として作られ一般にも保育の定員を設けることができることになっている。政府肝いりの待機児童対策として始まり内装工事費が認可保育園と同水準の4分の3相当を保育園設立時に助成されることが大きな呼び水となって急増したそうなのだが、施設整備費ほしさで儲けを期待した素人業者の参入を招き幼児用のトレイが設置されていないといった劣悪な環境で、監査で7割もの保育園に違反が見つかる事態になっただけでなく補助金詐欺まで起こり社会的な問題となったこともあって、ある官僚は「株式会社が保育を壊して、壊して、壊しきった」と本音を明かしているというのだ。
2020年09月17日
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郵便局で働く契約社員らが正社員と同じ業務をしているのに待遇に格差があるのは不当だと日本郵便を訴えた裁判について、最高裁判所は来月に判決を言い渡すことになったという。正社員と非正規の格差について争われている裁判で最高裁は合わせて5件の弁論を予定していて相次いで判断を示す見通しだとされているが、日本郵便をめぐる訴訟は三つあって退職金やボーナスだけでなく夏休み等、非正社員と正社員の手当や休暇の待遇差はどこまで解消されるのかが争点になっている。最高裁でこの点が争われた訴訟の弁論を5件続けて開くわけだが、早ければ10月にも判決が出そろう見通しだという。政府が進める「同一労働同一賃金」の指針があいまいな中司法の判断は労働現場に大きな影響を与えそうだという。 契約社員として郵便物の集配に携わった男性らが日本郵便を訴えた2件の訴訟で今月に弁論があったのだが、「労苦に報いるための手当に雇用形態は関係ない。非正規労働者の希望となる判決を」と原告側がそう訴えると、日本郵便側は「定年まで貢献を期待された正社員にインセンティブを与えるのは合理的な経営判断だ」と反論したそうなのだ。年末年始の勤務手当や夏期冬期休暇などを正社員と同様に認めるかについて各高裁で判断が異なったため整理するわけだが、新たに扶養手当も認めるかが焦点となっている。残る2件は東京メトロの売店で働いた女性と大阪医科薬科大学で秘書をした女性の訴訟で、それぞれ退職金とボーナスを少額とはいえ初めて高裁が認めており是非が問われている。 正社員と非正社員の待遇をめぐっては労働契約法20条が不合理な格差を禁じており、各地で提訴が広がり「20条裁判」と呼ばれるようになっている。この「不合理な待遇格差」について最高裁が初めて判断を示したのが2年前の判決で、病気休暇や年末年始の手当など手当や休暇の種類によって裁判所の判断が分かれていて、契約社員側と日本郵便の双方が上告しているのだ。賃金総額を比べるのではなく「手当や休暇など項目ごとに趣旨を考慮する」とし判断の枠組みを明らかにしている。最高裁は今回の五つの訴訟で2年前の判決を元に個別の項目に踏み込んで判断するが、原告は異なる同種訴訟の弁論を一定期間に集中させたことについて「最高裁が同じタイミングで、一定の方向性を打ち出す狙いがある」という。 この「不合理な待遇格差」について最高裁が初めて判断を示したのが2年前の判決だが、各地の郵便局で配達や集荷を行う契約社員らが正社員と同じ業務をしているのに手当や休暇などの待遇に格差があるのは不当だと日本郵便を訴えた裁判では、東京高裁と大阪高裁それに福岡高裁の3件の判決でいずれも不合理な格差があり違法だと判断されている。今回の裁判は最高裁判所第1小法廷で2件の裁判の弁論が開かれ、日本郵便の弁護士が「有能な正社員を長期的に確保するには労働条件を優遇する必要がある」などと主張した一方で、契約社員側の弁護士は「正社員か契約社員かの違いだけで格差を設けるのは不合理以外の何物でもない」と反論しており、来月には結審するそうなのだ。 アベノミクスや人手不足を背景に退陣する第2次安部政権下で雇用統計は改善したといわれるが、求職者1人あたりの求人数を示す有効求人倍率はコロナ前までは全都道府県で1倍を超え完全失業率は4%台から2%台前半に低下していると政府は自慢している。働き手の数も安部前首相が胸を張ったように増えてはいるが、社員の暮らしが上向いたわけではないといわれている。これは社会保険料の負担増や消費税の増税などに給料の増加分が追いついていないということで、実質的な賃金上昇には至っていないからだという。旧来型の日本型長期雇用システムを維持して守るのか、それとも非正規を長期的戦力として使かって格差があってもよいのか、持続可能な経済社会が望めるのかと問いかける裁判に注目がなされている。
2020年09月16日
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私の住む松山市は一人当たりのごみの量が日本一少ないことが売りなのだが、全国主要8都市で4~6月の家庭ごみの量が前年同期から平均7.7%増えたことが大手新聞社の調査で分かったそうなのだ。新型コロナウイルス緊急事態宣言や外出自粛により巣ごもり消費や不要品を思い切って捨てる「断捨離」が広がったのが要因とみられる。感染が再び拡大する中外での食事や飲酒代の減少が続く一方で巣ごもり需要を受けて即席麺やチーズなどへの支出が増えているそうなのだ。営業自粛や在宅勤務の拡大もあり飲食店や職場などの事業ごみは25.5%減ったそうなのだが、生活様式や経済活動の変化がごみの量からも浮き彫りになり3カ月の合計は8都市全体で家庭ごみが7万5千トン増の104万2千トンだったという。 総務省が発表した7月の家計調査によると1人暮らしを除く世帯が消費に使った金額は、26万6,897円で、物価変動を除く実質で前の年の同じ月を7.6%下回り減少幅は6月の1.2%から大幅に広がっている。母子家庭の18.2%が食事回数を減らし14.8%が1回の食事量を減らしていることがNPO法人の調査で分かったという。勤務先の休廃業や労働時間の短縮で元から少ない収入がさらに減少し、学校給食の停止による食費増などで支出を切り詰めても困窮状態にあることが浮き彫りとなっている。 7月にネットを通じて調査を実施しシングルマザー約1800人から回答を得たというが、NPO法人の代表は「ぎりぎりの生活だったところに新型コロナが追い打ちをかけた。日頃からの政府支援が必要だ」と訴えている。 総務省が発表した7月の家計調査によると1世帯当たりの消費支出は26万6897円となり物価変動の影響を除いた実質で前年同月比7.6%減少しているが、新型コロナウイルスの新規感染者が増加に転じたことで外出自粛が広がり消費が抑制されたという。品目別に見ると教養娯楽は21.0%減と引き続き大きく落ち込んでおり、出入国規制でパック旅行費は9割近く減少しているという。また背広服は66.6%で外食での飲酒代は54.0%それぞれ減っているそうなのだ。交通は61.7%減なのだが例年7月は定期券の継続購入が集中するが、5月下旬の緊急事態宣言解除後に通勤再開のため買い求める人が増えその反動で減ったという。7月全体の減少幅拡大は解除後に前倒しされた夏のセールの影響もあるという。 そのような中で新型コロナウイルス感染拡大の「第1波」が起きた3~5月には外出自粛などが続き、私の住む愛媛県民の体重が増えるなど健康面の影響が出ていたことが、労働衛生医学協会が行った人間ドックや定期健診の結果分析でわかったそうなのだ。昨年と今年の3~5月に人間ドックや定期健診を2年連続で受けた5万8640人について、健診などでの質問事項のうち、生活習慣に関する回答を抜き出して分析したそうなのだ。「20歳の時の体重から10キロ以上増加した」という質問項目では男性が前年同期比4・6%増で女性が5・7%増となり「コロナ太り」の傾向がみられたという。労働衛生医学協会は「緊急事態宣言によるステイホームが、多くの検査項目に影響を与えていることが確認された」としている。 また4~7月に人間ドックや定期健診を受けた13万4820人と昨年の同期間の14万8572人について、検査項目の基準値を外れた割合である「検査異常率」を比較したところ、4・5月には異常率の増加が顕著だったそうなのだ。検査異常率の増加は外出自粛による運動不足だけでなく飲酒量増加や自粛生活のストレスが重なったことが原因とみられるという。それが緊急事態宣言解除後の6・7月には大半の項目で数値に改善傾向がみられたそうなのだ。現在も新しい生活様式の下で新型コロナウイスに関しては徹底した感染予防が求められている。私も昨日健康診断を受けたのだが、労働衛生医学協会は「感染予防だけでなく、確実に定期健診などを受けて健康状態を把握してほしい」としているそうなのだ。
2020年09月15日
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夫婦が老後30年暮らすためには年金収入の他に2000万円必要だと昨年に金融庁が発表すると世論が反発し、麻生財務相が報告書を無理矢理取り下げたことは記憶に新しいが、取り下げても現実が変わるわけではなく年金だけに頼れなければ高齢者はお金を貯めて備えるしかないという。しかも2000万円は厚生年金受給世帯の平均でより豊かな生活を望めばより多くの資金が必要になる。一方sw自営業者など国民年金だけの人は月の受給額が5万円台しかなく、世帯としては4000万円または5000万円が必要になるという。日本人の資産は高齢者に偏り国民の金融資産と個人所有の不動産の総額2700兆円のうち6割を60歳以上が保有しているが、高齢化と将来不安で高齢者の資産はさらに増えると見られているそうなのだ。 新型コロナウイルス感染症対策として全国民に一律10万円が支給された「特別定額給付金」なのだが、1人につき10万円なら4人家族だと総額40万円ももらえたこの「特別定額給付金」は、経済活動の低迷で収入が減少した家庭にとってまさに干天の慈雨だったという。「特別定額給付金」の目的は収入減少に直面した事業者や生活者を支援することにあるが、同時に消費を喚起することで経済活動の落ち込みを最小限に留めたいという狙いもあるという。ニッセイ基礎研究所が実施したアンケート調査によると給付金の使い道は「生活費の補填」が53.7%で、「国内旅行」が10.1%に「外食」が9%など8割以上の人が何らかの消費を行うと回答しており、その一方で「貯蓄」と答えた人は26.1%と3割にも満たなかったという。 新型コロナウイルス感染拡大に対応し家計を支え新たな需要を喚起するとの名目で政府から支給された1人一律10万円の「特別定額給付金」なのだが、その使い道を聞くと40代の男性の場合「家族4人分全額を預金に回した」と語っている。「夏休みもどこにも行けないのだから、せめて家電の買い替えぐらいしない」との、家計を管理する立場である妻の要望は説き伏せたという。勤務先のメーカーでは毎月の基本給こそ維持されているものの、宅勤務の長期化に伴って残業代をますます請求しにくくなり、住宅ローン返済の柱であるボーナスはこの夏には3割も減ったという。小学5年と3年の子供たち向けの費用ではコロナ禍が続こうと時折オンライン授業に切り替わったが中学受験のための塾代がますますかさんできたという。 コロナ禍はしばらく続くようだしこうなると会社はもっと傾くかもしれない、冬のボーナスはもっと悲惨かもしれない、ジョブ型雇用が浸透して給与水準ももっとシビアになるかもしれない、そんな思いばかりが先立ちひとまず蓄えておくという選択肢しか残っていなかったという。「10万円一律給付」を柱とし一般会計25兆円に及ぶ緊急経済対策と今年度の第1次補正予算を安倍晋三政権が決めたのは今年4月で、減収世帯への30万円支給を撤回しすったもんだの揚げ句すでに決まっていた予算を組み替えてまで1人一律10万円の「特別定額給付金」を実現したことは、まだまだ記憶に新しいが、貯蓄に回せるケースはまだマシで生活費や給与が減った分の補填に充てる人や10万円をもらっても生活がままならない人も多いという。 やはりここで確かめておかねばならないことがあって、対策の財源のすべてを国債発行という形でいわばツケ払いに頼っているだけに、今回の大盤振る舞いのコスパはいかほどかそして政権がはじいた「1次補正予算で国内総生産を3.3%押し上げる」という試算に真実味がどれだけあるかついて目を向けねばならないといわれているのだ。少なくとも私たちの周囲を見回すだけで政治家や官僚が当初描いていた絵とはやや異なる方向に動いているものがゴロゴロあるといわれているが、今回の自民党総裁選で菅官房長官が首相に就けば努力して成功した分周りも頑張って当然と考えがちで、努力しない人にはドライな対応を行うとされ厳しい「自己責任」を求める可能性が高いという。
2020年09月14日
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私もさっそく自分の持っている口座をチェックしたのだが、NTTドコモは電子決済サービス「ドコモ口座」を使用した不正出金事件を受け、ドコモ口座と提携している35銀行全てでサービスの新規利用登録を停止したが利用については制限しないという。ドコモ口座は銀行口座を登録してチャージを行うとスマートフォンなどの端末で送金やショッピングが可能になるサービスなのだが、今回の犯人はサービスを悪用し他者になりすましその銀行口座をドコモ口座に紐付けることで不正出金を行っているという。犯人の手口は調査中で未だ明らかになっていないがドコモ側だけでなく銀行側ともに、銀行口座の連携や出金に必要な本人確認のシステムが十分でなかったことが大きな問題だといわれている。 ドコモ口座関連の不正出金があったと発表されている12銀行だというが、35行ある提携銀行の中でもネットバンキングでの出金時に口座番号や暗証番号のほか、パスワードカードを使った二要素認証を導入している銀行では現状不正出金を防げているそうなのだ。今回の不正出金は被害者本人がドコモ口座を使用していなくても被害にあったというケースをTVのニュースが報じるなど提携銀行に口座を持っていれば被害にあう可能性があるのが特徴だという。サービス名が「ドコモ口座」のため勘違いをしやすいとされるのは、サービスの利用にはドコモのユーザーである必要はないそうで、そのため出金時の認証が十分でない銀行に口座を持っていれば誰でも被害にあう可能性があると言えるそうなのだ。 仙台市にある七十七銀行の預金口座から無断で開設されたドコモ口座に30万円を不正送金された宮城県の30歳代の女性は、落胆した様子で「私はNTTドコモの携帯電話を使っておらず、ドコモ口座の存在すら知らなかった」と語っている。被害に気づいたのは今月2日夜だったというが銀行のスマートフォンアプリで残高を照会したところ、前日に身に覚えのない送金が4件あったそうなのだ。金額は10万円と9万円に9万円・2万円で計30万円だったが、送金先は「ドコモコウザ」と記載されていたそうなのだ。翌日にこの女性が銀行に相談すると午後のわずか1分間に立て続けに送金されていたことが判明したそうで、対応した行員は「責任を持って調査します」と言って口座凍結の手続きを取ったという。 女性はその後警察に相談しドコモの店舗にも足を運んで被害を訴えたが、担当者からは「ドコモ口座の開設者があなた本人ではないならば、情報の開示はできない」と説明されたという。女性は銀行口座が悪用された経緯に心当たりはないといい「スマホなどでお金のやりとりができるのは便利だが、十分な本人確認なしに預金が移せるのはおかしい。銀行やドコモはセキュリティを見直してほしい」と話していた。NTTドコモは本人確認が不十分だったことも認め電話番号による認証を導入するとともに、銀行口座ヒモづけの際に免許証写真の添付によるオンライン上の本人確認を行う方向でセキュリティ対策をとるとしているが、新規登録の停止ばかりでなくすでにあるドコモ口座のチャージも停止するべきではないかとの声が相次いでいるという。 この問題はドコモと連携している地方銀行などに口座を持っていれば誰でも不正による被害に遭う恐れがあることが浮き彫りになってきたわけなのだが、その人の預金名義や口座番号のほか暗証番号を知ればその人になりすまして勝手にドコモ口座を開設し、銀行口座から預金をスマートフォンにチャージすることができるシステムに問題が多いからだという。ドコモ口座はメールアドレスさえあればフリーメールでも開設できるほど本人確認が徹底されていなかったとされていて、スマホによるキャシュレス決済のd払いなどに手軽に利用できるよう、ドコモ口座のセキュリティが緩かった形だからだという。その結果連携地銀などに口座を持っているだけで狙われるためさらに高齢者などに被害が拡大する可能性も指摘されているそうなのだ。
2020年09月13日
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世の中が物騒になり強盗や犯罪が増えることを予想し自己防衛のために必須と考えているそうだが、ハーバード傷害管理研究センターがまとめた研究報告では銃は自身や財産を自衛するために有益であるという証拠はほとんど提供されていないとしている。また「自衛使用」の事例が年間数百万件という統計に正当性はなく、他人を怖がらせたり脅したりするために使われている件数のほうがはるかに多いことも明らかになったとしているという。それでも銃信者が多いと知られるミシガン州では銃を携帯する理由としてある男性は「いつ必要になるか分からない、常に持ち歩くのは最良の慣習だ、財布を持ち歩くように」と述べ、他の男性も「銃を持ち歩かないのは全裸でいるような感じだ」と話しているそうなのだ。 新型コロナウイルスtの流行という世界的な非常時にアメリカの銃信者は一体銃に何を期待しているかというと、銃に頼る彼らの背景は複雑なようで都市封鎖に対する抗議デモが相次ぎ乱射事件が始まるのではないかという懸念の声も高まり始めたという。生活・生存に必須ではないサービスや販売の営業休止を強いられるアメリカの多くの州では銃器店も営業休止を求められたが、銃信者達は慌てて銃を買い求めるため長蛇の列をなしその様子が一時話題となったという。それを受け国立射撃スポーツ財団代表は早速ロビー活動で「人々は自らの家族や財産、ビジネスについて懸念しており、これはまさに個人の銃保有の権利を保障した合衆国憲法修正第2条が最も重要なときだ」と主張したそうなのだ。 銃を購入する理由として最も多いのは、「自己防衛」だということは様々な調査結果で明らかになっています。「食料品、水、シェルター、適切な医療は生存に最も重要だ。しかし、個人が自身や家族、自宅、ビジネス、財産を防衛できる能力もそうだ」トランプ大統領は銃器店を食料品店や病院、薬局などと同様に「生存に必須なビジネス」とみなし、外出禁止令が出ている中でも銃販売営業の継続を認めました。「銃の記録的な売り上げは、デモに伴う暴動に対する国民投票と理解すべきであり、多くのアメリカ人が、警察が自分たちを守るという確信を失っている。初めて銃を購入する人の40%が女性で、全米射撃協会の調査によると、今年上半期の黒人に対する銃の販売は58.2%増加している」という現実がある。 米国人が銃を購入する理由として最も多いのは「自己防衛」だということは様々な調査結果で明らかになっているが、コロナ蔓延による社会不安だけでなく何百万人もの失業者を生んでいる景気低迷や、6月に始まった全米のデモがいまだ止んでいないことだけでなく、そして最後にジョー・バイデン氏が大統領になった場合に銃規制が進んで銃の購入が難しくなると予想されていることだという。バイデン氏が合法的に購入した銃を没収しようとする計画は銃所有者にとっては当然恐ろしいものだが、しかし銃を所持していない人のほとんどは、それほど関心のある問題ではなく候補者たちの政策をあまり気にしていないという。圧倒的な勢いだった反銃キャンペーンは頓挫しすでに自らの財布で投票行動を示しているというのだ。 銃を買おうとする人はどんどん増えているがおそらく彼らは自衛のための武装を認めた憲法修正第2条を支持しトランプ再選を望んでいる人たちだといわれている。銃が自己防衛よりも犯罪や自殺などに使われていることの方が顕著であっても、彼らのような背景の銃信者にとってアメリカン・ドリームに頼れなくなった今、銃に男の「威厳」を見出してそのことを制限されることは「男性に対する個人的な侮辱」と感じているのだという。正義の味方という名目で銃を支持するという理想は銃を簡単に入手できる社会をつくり、乱射事件の絶えないアメリカにしてしまったのは残念なことだが、新規で銃を購入しようとする人が急増している現実はトランプ氏の再選に向けた有権者のシフトだと捉えるべきだというのだ。
2020年09月12日
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税金をきちんと納め法律を守って営業していても国が性風俗業を差別するのはなぜなのかといった問いを正面から訴える裁判が東京地裁で始まるそうなのだが、国を相手に提訴するのは関西地方でデリバリーヘルスを運営する企業で、新型コロナウイルスで経営に打撃を受けた事業者を救済するため政府が中小企業に最大200万円を支給する「持続化給付金」を、性風俗事業者は一括して対象から除外されたことが始まりだという。原告の企業はこの対応が法の下の平等を定めた憲法に反すると主張しているわけだが、原告側の弁護団によるとこの企業は確定申告し風営法や売春防止法を順守して営業しており、コロナ感染拡大に伴う自治体の休業要請に従い4月半ばから休業していたというのだ。 TVでタレントが「水商売のホステスさんが仕事休んだからといって、普段のホステスさんがもらっている給料を我々の税金では。俺はごめん。払いたくないわ」と発言すると、加藤勝信厚労相は「雇用関係の助成金全般で、風俗業関連は支給しないことになっており、休業対応の支援金も同様の扱いとなっている。現在、その取り扱いを変える考えはない」と述べてしまった。顧客の上から目線や「女性の仕事なんかたいしたことない」という偏見が実態の理解を阻んでいるといったそのような「差別・選別」を容認・助長しないことが政府の務めという意識の欠如しており、ここできちんと謝罪し感染を防ぐために差別・選別がマイナスになることを国民に説明していれば感染対策への理解を人々に浸透させる好機となったはずなのだ。 欧州の都市で下水道が整備されたのは19世紀とされているが、産業革命で都市に集中した人々の不衛生や貧困を放置した結果感染症が広がり貴族や富裕層にも及んだからだという。感染症は階級・階層を問わず人を襲うことから感染対策から外される層ができてしまうと、病気はそこから広がり皆が助からなくなる。感染対策は職業や立場を選ばずに対象にすることが重要ということなのだ。差別は感染をダダ漏れにするという基本が政権の中枢に理解されていなかったということがわかったわけだが、こうした言説が横行すれば支援を必要としているホームレスや低所得層に障害を持つ人々などの社会的弱者を感染対策の外に置いても構わないという空気も作られかねず、それでは感染拡大は防げないというのだ。 中小企業庁の担当者の回答は「災害時など、これまでも公的支援の対象外だった。過去の対応を踏襲した」というものだったが、過去も除外してきた理由はなんなのかということで面談に同席した国会議員が「もともと対象外にしていた理由は何なのか」とか、「誰がどんな理由で性風俗を支援することに反対しているのか明確に説明すべきだ」などと追及したが、中小企業庁の担当者は同じ回答を繰り返すのみで具体的な理由は最後まで明かさなかったという。ある新聞社が中小企業庁に取材し改めて理由を尋ねたところ担当者は、従来の見解を繰り返したのに加えて「政治家の中にもいろいろな考えがある。行政だけでは決められない」と答えたが、性風俗業を対象に含めるかどうかを巡って政府内や国会議員らに賛否両論があるという。 性風俗の除外問題が報道されるたびにインターネット上では「納税してから言え」など、「性風俗業イコール税をきちんと納めていない」というイメージや決めつけによって国の対応を正しいとするコメントが相次いでいるというが、多くの弁護士が今回の持続化給付金の支給除外に関して「社会が性風俗に抱く差別意識に国が便乗し、偏見を助長している。今回のケースを許せば、『アリの一穴』となり、憲法上の権利を軽視した施策が実行されてしまう」と警鐘を鳴らしているそうなのだ。新型コロナウイルスが男女平等の流れを逆転させかねないとする報告書が発表されているが、コロナ禍で困難を抱えたのはどんな職種の事業者も同じなので、国による職業差別との批判に司法の場で国は何を主張するのかが注目されている。
2020年09月11日
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新型コロナウイルス対策で浸透しつつある「ニューノーマル(新しい生活様式)」なのだが、その中でも「新コロナウイルス感染症蔓延防止のためにコイントレーを使用します」というような張り紙がなされているレジをよく見かけるが、金銭のやり取りを直接手から手ではなくトレーを介して行うよという意味なのはわかるのだが、専門家によるとそれと疫病蔓延防止が全く結びつかないというのだ。結局手でお金のやり取りをしているので、トレーにおいてもおかなくても同じことなので、私は疫病蔓延防止のために・・の下りが全く理解できないという。直接手が触れないように手袋をしている店員さんもよく見かけるが手袋の表面にはいくらでも汚れがつくし、手の皮膚からコロナウイルスが侵入して感染するということはないというのだ。 それでは手袋自体が何か意味をなすかというとそんなこともなく、医療関係者が手袋をしているのは主に自分の手についている病原体を弱っている相手に与えないためと、痰や鼻水・血液などの強力な感染源として機能する体液を手で触ることがあるからなのだという。端的な例として「つり革や手すりを絶対に触らない」というが、これも触ったからと言ってそれで皮膚から感染することはないことからその手でやたらに顔や口を触らないということだけ注意していればよいそうなのだ。電車やバス内で掴まるところなしで立っていることの方が何らかの事故などの際に危険度が増すという。なにかを触ったら顔は触らすにこまめに洗うのが基本でハンドソープや石鹸がなかったとしても流水でこまめに洗ってやることだという。 そんな科学的根拠の乏しい新型コロナウイルス対策で浸透しつつある新しい生活様式なのだが、コンビニ等でつり銭やレシートをトレーで渡されて激怒した高齢男性がいたという。男性は一体何に怒っているのかということなのだが、多くの人は素直に受け入れているのに中には新しい様式に馴染めず不満を募らせ企業に対して苦情としてぶつける生活者も存在するそうなのだ。コンビニエンスストアのレジ前で会計をしていた高齢の男性が突然店員に対して怒り出し、「つり銭をトレーに入れて返すなんて失礼だ」などと店員に詰め寄ったという。店員はなぜ急に怒られたのか分からないという顔で、レジ横のポスターを指しながら「ここに貼ってるように、トレーに返すことになってるんで」と掲示内容を繰り返すばかりだという。 その高齢者は「だからそんなことを言ってるんじゃない。こんな教育をしているなんておかしい、店長を出せ、責任者を出せ」と、店内にいる全員が振り向くほどの大声を上げはじめ、結局はスタッフルームで店長が長時間の対応をおこなうこととなったというのだ。このような理不尽なクレームは新型コロナ禍以前から決して珍しいものではなく、暴力的や反社会的という意味での「ブラック」とまでは言えないが、常識的で善良な「ホワイト」でもないといったこのような「グレー」なクレームが近年増加しているというのだ。専門家によると「釣り銭をトレーに入れるという店側の対応に不満を感じそれを爆発させた」というのこの高齢者の男性は、攻撃性が高くその場の感情や勢いによるところが大きい非戦略的なストレス発散型と見ることができるという。 このタイプは自分の個人的な問題によるストレスを解消するため応対者をターゲットとして相手が萎縮するような言葉遣いや行動を行いやすい。そういう意味ではこの例の高齢者の男性はまさに典型的だと専門家は分析しているが、怒りを爆発させるトリガーがあればいとも簡単に攻撃モードに入ってしまうことが多いタイプでもあるという。コロナ禍での長引く自粛生活によって日本全体にストレスが溜まっているといわれているが、必然的にストレス発散型傾向のある顧客からのクレームも発生しやすくなっているそうなのだ。この手のクレーマーへの対応としては感情的に攻撃しているだけで便宜を図らせようといった裏側の意図は少ないので、気持ちに寄り添った応対をすることで怒りを鎮め信頼を得ることができるはずだという。
2020年09月10日
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医療機関で妊娠の診断を受けた女性は市区町村で母子手帳を受け取る際に妊娠届を提出するわけなのだが、新型コロナウイルスの流行で中の感染リスクや収入減などによる産み控えが広がっているとの指摘を受け厚生労働省が緊急調査を始めたそうなのだ。全市区町村の妊娠数の推移を確認する予定だというが、少子化が加速する恐れもあるため実態把握が必要と判断したという。妊娠中にインフルエンザのような呼吸器感染症に罹患すると重症化しやすいとされているが、妊娠中に新型コロナウイルスに罹患した場合も重症化した事例はほとんどなかったため、妊娠は重症化のリスクファクターではないのではないかと考えられていたが、その後の感染者の増加に伴いより大規模な報告が出てきたという。 新型コロナウイルスの感染が拡大する中でベビーブームの到来に関する議論が見されるが、感染症と出生行動については身体的要素だけでなく心理的要素や経済的要素といった様々な要素を介し複雑に関係しあっているものと考えられている。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はテレビ番組のインタビューで新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するための外出自粛により配偶者やパートナー と共に過ごす時間が長くなるこの機会に、子どもをもうけることを検討してはどうかと国民に促したが、一国のリーダーが個人の重要なライフイベントについて言及するのは衝撃的だといわれていた。このよう な後押しがなくとも危機に直面した際に出生数が増加するという考え方はウクライナのみならず世界中で話題となっているという。 そもそも危機において出生数が上昇するというベビーブームの仮説が生まれたのは、1965 年のアメリカにおけるニューヨーク大停電にまでさかのぼり、10 時間以上にも及んだこの停電事故の 9 か月後に複 数の病院において例年の傾向を上回る件数の出産が見られたと報道されたのだ。この出来事以来危機における長期間に及ぶ在宅が、出生数の増加につながっているのではないかという認識が広まったと考えられている。その後の分析でこの大停電に関連した有意な出産の増加は観察されなかったとの結果が示されており、社会・人口学者も停電後の出生増は「都市伝説」であると述べているが、危機と出産は相関しているのではないかというイメージは現在に至るまで根強く残っているそうなのだ。 妊娠中に新型コロナに感染した場合母子への影響はまだ分かっていないといわれているが、そのような中で日本では新型コロナウイルスの流行で妊娠中の感染リスクや収入減などによる産み控えが広がっているとのことで厚生労働省が緊急調査を始めたわけなのだ。今回の調査では都道府県を通じて全市区町村が今年1~7月に受理した妊娠届の件数を尋ね前年同期と比べ影響をみるという。実は民間企業が6月にまとめた同様の調査では次の妊娠を希望していた母親の3割が感染拡大により妊娠の断念や延期を決めていたそうなのだ。次子の妊娠の断念や延期の理由には経済的な不安や胎児への影響などが挙がっていたそうで、東京都港区では5~7月の妊娠届の受理件数が前年同月比で2~3割減だったという。 米国では新型コロナウイルスに感染した女性90,000人に対して調査を行っており、そのうち8,200人の妊娠している女性と88,000人の新進していない女性との比較検討がなされているそうなのだが、これによると妊娠している女性は妊娠していない女性と比べて5.4倍入院しやすいが死亡率には大差がないという結果が出ているそうなのだ。5倍入院しやすいというのは「妊婦さんは大事を取って入院しておきましょう」という判断が関与しているそうなのだが、妊娠中に新型コロナに感染することで重症化しやすくなる可能性があり、妊婦さんはより感染に注意した方が良いと言えそうだという。しかも感染拡大による経済状況の悪化やそれに伴う不確実性によってトータルで見た出生数の水準は低下する可能性が懸念されているというのだ。
2020年09月09日
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来夏に1年延期された東京オリンピック・パラリンピックに向け政府の新型コロナウイルス感染症対策調整会議が発足し、首相官邸で初会合が開かれた。東京都や大会組織委員会と連携し検査体制や治療体制など大会運営の具体策の確立を急ぐという。会の冒頭では議長を務める杉田和博官房副長官が持ち出したフレーズは「アンダーコントロール」だった。「新型コロナをアンダーコントロールに置くのが目標。観客が安心安全に楽しめるよう会議を新たに発足させる。ウィズコロナで立派な大会にできるよう努力したい」と挨拶したそうだが、これは最終招致演説で安倍晋三首相が東京電力福島第1原発の汚染水への国際的懸念を封じるために使った「制御下」との言葉を使い開催に向けた意欲を込めたという。 新型コロナウイルス感染防止対策に不安を持つ人が東京都民の66.8%に上っているが、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行で国際オリンピック委員会に中止論がくすぶっており、安全・安心のシナリオを示すことが開催の絶対条件となるとされているが、延期された東京五輪の準備状況を監督する国際オリンピック委員会の調整委員長を務めるジョン・コーツ副会長が新型コロナウイルスのパンデミックにかかわらず来夏に開催されるだろうと電話でのインタビューで語ったそうなのだ。東京五輪は新型コロナの影響で今年3月に1年の延期が決まっているが、世界的に収束が見通せず日本は現在も多くの外国人の入国を制限している。コーツ氏は「コロナがあろうとなかろうと開催される。来年7月23日に始まる」と述べたという。 コーツ氏は一方で「コロナを制御している国もしていない国もあるだろう。206の国・地域からチームが来る。日本側には大きな任務が課せられている」として選手団の入国を課題に挙げているが、会議では選手や観客の検査方法や選手村や競技会場での感染防止策だけでなく、感染者が出た場合の治療の体制整備などを議論していくことを確認したという。五輪には206カ国・地域から約1万1000人の選手が出場予定だが現在159カ国・地域が原則入国拒否の対象となっており、出入国管理の対応も検討する。組織委の武藤敏郎事務総長は「会議の報告はした。その動きには非常に勇気づけられ、国際オリンピック委員会としても協力したいと言っていた。それを踏まえて開催できると思ったのではないか」と述べたそうなのだ。 選手側の声として元陸上選手の有森裕子さんと為末大さんがオンラインで会見し、新型コロナウイルスの影響で延期された東京五輪の来夏開催について、有森さんは現在のコロナ禍に触れ「早くどうにかなってほしい。そこから五輪を考えられる。健全に世の中が回ってこないと、その姿は思い浮かばない」と述べたそうなのだ。為末さんは五輪開催に前向きな意見で「人の移動が安全にできるとか、五輪ができる前提条件をクリアするのは、地球環境にとって大事なこと」と話したという。この席には元テニス選手の杉山愛さんも同席し東京五輪について発言しているが「命ファースト。どういった形でできるのか、というところが正直ある。良いイメージができあがってゴーサインとなる」と話したそうなのだ。 また国際オリンピック委員会の古参委員であるカナダのディック・パウンド氏は新型コロナウイルス感染拡大のため来年夏の東京オリンピックが仮に中止となった場合、約半年後に予定される北京冬季五輪も開催が困難になるとの見解を示している。現在のところ新型コロナウイルスの感染症は世界的に収束が見通せず日本は現在も多くの外国人の入国を制限しており、しかも入国の際は14日間の待機を求めている。仮に東京オリンピックが開催されるとしたら選手には緩和を求める意見も出ており、これら政府主導の取り組みが開催への生命線となるといわれている。政府の新型コロナウイルス感染症対策調整会議では移動制限のルール整備と共に議論される見通しで年内の中間とりまとめを目指すそうなのだ。
2020年09月08日
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マンションの管理組合を取り巻く環境は近年変化しているそうなのだが、例えば調査結果によるとマンションの理事会の役員報酬を支給しているマンションは全体としては2割で、役員報酬が支払われての平均額は年額で12,130円だという。マンションの規模が大きくなるに連れてその割合も増えているそうで、やはり戸数規模が増えるほど審議する議案も多くまた扱う金額も増えることから負担も大きいことが推測されている。また理事長のみに支払っているというケースも、調査対象の中では最も大きい501戸のマンションの割合が高くなっています。理事の職を全うするための理事会メンバーに対して「役員報酬を支払う」という考え方があってこの考えについては国土交通省の定める標準規約でも記載されている。 私もそうなのだが分譲マンションを購入すると必ず管理組合員なることが決められており、そして管理組合を運営するために理事が選ばれることになるのだ。この理事選出には立候補・推薦・輪番制があるのだが最も多いのは輪番制になっているという。輪番制とはいえ順番が回ってきた場合理事としての職を全うしなければならないが、しかし多くのマンション住民は自分の仕事を持っている傍らで理事の仕事も行うことになり、理事会の仕事は日中の仕事が終わった後の夜もしくは土日などを利用して行うことになってしまうという。管理会社に管理業務を委託しているとはいえ理事長は管理人の方からの報告や書類の印鑑だけでなく、住民のトラブルの対応なども行わなければならないためその仕事は思った以上多いのが現実となっている。 理事メンバーに役員報酬を支払うメリットは何かということなのだがまず考えられるのはモチベーションアップだという。理事会の仕事は休日に行われること多いため休日を潰してまで理事会の仕事をしたくないと考える方は多といわれているが、インセンティブとして役員報酬を支払うという考えかただというのだ。また報酬が発生することで責任がうまれ管理の質がアップすることもかんがえられ、マンション管理に無関心ではなく積極的に関わっていくことで管理の質のアップにつながっていくことになるというのだ。「マンションは管理を買え」といわれるように管理が行き届いているとされるマンションは資産価値の面からも評価が高くなるが、そもそも役員になると報酬がもらえるのか、逆に役員を拒否すると罰金があるのかという問題もあるという。 マンションの区分所有者になると必然的に管理組合の組合員になるが、マンションの土地や建物だけでなく設備機器などは組合員全員の共有の財産なので全員で維持管理をしていく必要があるからだ。管理組合の実質的な活動は理事会によって運営され、理事会は理事長・副理事長・理事・監事などの役員で構成される。理事会の役員の選出方法はそれぞれのマンションの「管理規約」に定められており、立候補した組合員が継続して理事長を務めるといった場合もあるが一般的には1年また2年ごとに輪番制で役員が選出されることが多いという。役員報酬制度を導入している管理組合の傾向として築年数が経過したマンションほど導入事例が多く、これは組合員の高齢化や賃貸化などが影響していることのようなのだ。 マンションの管理組合は理事長をはじめ理事たちが会議室に集まって議論し、議事録などをプリントして配布して管理事務室にこうした資料の原本を保管するといった旧来型の運用が長いことなされてきた。そこへ今回の新型コロナウイルス感染対策の問題が浮上し、理事会の開催はもちろん年に1回は開催が義務づけられている管理組合の総会の開催もままならず、活動がフリーズした管理組合も多かったといわれている。議事録をデータで保管したりWeb上で承認したりといったITを使った運用も増えつつあったが、ここへきてオンライン会議を理事会や総会で活用するといった動きが加速しているそうなのだ。そして「ITを活用した理事会」を導入済または検討中の管理会社は31%に達しているという。
2020年09月07日
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職人を束ねる立場にあるゼネコンですら自社の技術系社員の確保に頭を悩ましている現状だといわれているが、特にこの10年近く起きている変化があってゼネコンから地方公務員への転職が後を絶たないことだという。私の住む愛媛県でもそうだが地方自治体は技術職員の中途採用に力を入れており、道路や橋梁、トンネルなどのインフラは更新時期を迎え地震などの災害対策も待ったなしだという。都道府県や市町村では土木・建築部門の技術職員が不足した状態が続き、最近では東京都など多くの自治体が50代の職務経験者にも採用の門戸を広げているという。こうした中で技術系社員の育成と定着は業界全体で大きな課題になっており、ゼネコンからの離職は入社数年の若手社員と30代の中堅社員に目立つという。 私もそうだったのだが30代半ばともなれば複数の工事現場で経験を積んで専門資格も取得し、ようやく現場で責任ある重要業務を任せられるようになる。多くのゼネコン社員が離職を決断するのもまさにこの時期で、業界誌のインタビューでも「資格を取らせた途端、自治体に出て行ってしまうこともある。優秀な社員がどんどん自治体に取られていなくなる」とあるゼネコンの幹部はこぼしている。ゼネコンから公務員へ移る決め手は転勤と勤務地の問題にあるといわれるが、ゼネコンのマンション等の建築部門は工事現場を中心に1~2年程度のサイクルで勤務地が変わるし、トンネルやダムなどの土木部門は工期が長い半面公共交通機関すら通っていないような不便な場所がほとんどで必然的に単身赴任の期間も長くなってくるという。 私も30歳代には離島のダム建設現場にいたのだが、大手ゼネコンの幹部は「特に土木職の女性の離職が切実。事務所は山奥など辺鄙な場所ばかりで、子どもの学校や保育所を考えたときに、勤務地もほぼ変わらず1カ所で続けられる自治体を選んで辞めてしまうケースが多い」と嘆いているそうなのだ。工事の発注やインフラの維持管理が中心の自治体に対してゼネコンは実際にダムなどの「ものづくり」を行う立場で、同じ技術職でどちらも必要不可欠な仕事とはいえその役割と業務の内容は大きく異なるが、自治体への人材流出がさらに続けば施工を担うゼネコンの技術力の低下も避けられないという。新型コロナウイルス禍による景気悪化は避けられず不景気になると転職先候補として注目度が上がるのが公務員だとされている。 私も都市計画や地域の活性化などのビジネス経験を生かし困っている自治体の役に立ちたいと転職したコンサルからの愛媛県に転職した技術職を知っているが、少子高齢化による人口減少だかでなく税収減など財政難に直面する地方自治体も多く、民間で鍛えられたビジネス感覚や知恵を生かしてほしいとの期待を受けて転職しても思うようにいかないケースが少なくないみたいなのだ。最近では専門スキルを生かした採用も実施されているが仕事は一人でするものではないし、役所の場合は特定の仕事さえしていればそれでよいということにはなかなかならないという。特に顧客を選べない立場でどう仕事を進めるかそのイメージが持てるかは転職前に考えておいたほうがよいと専門家もアドバイスしている。 しかも地方自治体などの行政の良くない側面として語られがちなポイントとして、「行政機関は前例主義。前例がないことはなかなか認められない」という言葉について、実際に自治体などに就職した転職したゼネコン職員から聞くことがあるそうなのだ。高い志を持って就職した若者が挫折感を抱いたり場合によっては再度地方の民間建設業者に転職してしまったりしてしまうというのだ。上司から「前例がないから承認できない」と言われてしまうのはひょっとしたら企画書の内容が上司を説得するには不十分なのかもしれないが、公務員は税金を使って業務に取り組む立場なので利害関係者も多くそんなに単純に話が進まないのはある意味当然で、現実に新規の取り組みが認められにくい側面はあるというのだ。
2020年09月06日
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テニスの大坂なおみ選手が米国の黒人男性が警官に背後から銃撃された事件に抗議し、後に翻意され出場したが全米オープン前哨戦の準決勝を棄権したことが大きな話題になったのだが、大坂選手はハイチ系米国人の父と日本人の母の間に生まれ、日米二つだけでなく正確にはハイチを含め三つの国籍を持っているといわれていた。大坂選手は日本で生まれたが、3歳のときに家族とともに米国に移住しており日本語をほとんど話せないという。日米どちらの代表として延期となった東京オリンピックに出場するかが注目されたが、日本代表としてオリンピックに出場することを表明し、自らが持つ日米二つの国籍のうち日本国籍を選択することを明らかにしている。国籍選択をしたのは日本政府が二重国籍を認めていないためだ。 昭和59年に国籍法改正され国籍選択制度が導入されてことから、日本の国籍選択届の用紙には「国籍選択宣言」という項目があって、そこには「日本の国籍を選択し、外国の国籍を放棄します」と記されている。つまり日本国籍の選択は外国の国籍を放棄する意思表示でもあるというわけなのだ。外国籍取得により日本政府が日本国籍を剥奪する根拠になっているのは「国籍法11条1項」なのだが明治時代に作られた法律なのだ。世界では米国や欧州各国のように二重国籍を認める国が主流で132カ国が二重国籍を容認している。オランダのマースリヒト大の調査によると外国籍取得時に自動的に自国籍を奪わない制度の国が、国連加盟国の75パーセントに上っており日本は世界の少数派となっている。 ノーベル賞を受賞した私の住む愛媛県出身の中村修二博士と南部陽一郎博士や作家のカズオ・イシグロ氏はこの規定のせいで日本国籍を失っている。中村博士の受賞時に安倍晋三首相は「赤﨑勇氏・天野浩氏・中村修二氏に本年のノーベル物理学賞の受賞が決定しました。日本人として20人目・21人目・22人目の受賞を、心からお慶び申し上げます」というコメントを出しており、安倍首相は中村博士を日本人だとの判断をしている。ところが在アメリカ合衆国日本国大使館サイトに「自己の志望により、米国市民権を取得した方は、米国市民権を取得した時点で、日本国籍を喪失したことになります」との説明があって、中村博士は明らかにこのケースに該当し、日本大使館の説明では中村博士は日本国籍を保持していないという。 ところが中村博士は「研究の予算を得る必要などから米国籍を取得したが日本国籍を捨てたわけではない」として自身はまだ日本国籍を持っている認識だという。このように国際化が急速に進む中で日本人が就職などの理由で必要に迫られて外国籍を取得するケースは増えているそうなのだ。在外邦人の中には国籍法11条1項の規定を知らず日本国籍を捨てる意思がなかったにもかかわらず日本政府からの意思確認もなしに強制的に日本国籍を取り上げられた人たちも少なくないという。欧州在住の8人が国籍法11条1項は「国籍離脱の自由」などを保障した憲法に違反するとして、同規定の無効確認などを求めて国を提訴した。中村博士や大坂選手もこの裁判の行方に大きな関心を持っているといわれている。 中村博士は国籍喪失届けを提出していないとなると外国籍取得と国籍喪失届提出の間の段階に留まっていて戸籍は残存している状態だという。つまり二重国籍のグレーゾーンにいると考えられており、いくら大使館が「外国籍取得で日本国籍を喪失」と主張しても、愛媛県に戸籍は残存しているというのだ。国籍喪失届の制度を知っていてかつマメな人でなければ戸籍が残りグレーゾーンにとどまり続けることになるという。戸籍法では国籍喪失から3ヶ月以内に提出が義務付けられているが、これも外国籍取得を日本政府は知りようがないので実際には機能していないという。私の一度仕事で相続を追ったことがあるのだが、ニューヨーク在住の米国人と結婚している女性の戸籍を久万高原町役場で取得することができたのだ。 大坂選手のように生まれながらの二重国籍者の場合は国籍法では、22歳の誕生日までに日本国籍か外国籍かを選択し外国籍を放棄しなければならないことになっているが、大坂選手が二重国籍であることは広く知られていたため22歳の誕生日の直前に大坂は日本国籍を選択している。ところが外国籍の放棄は努力目標であって罰則がなく日本国籍の選択届を日本政府に出しただけでは米国籍を失わないのだ。国籍はそれぞれの国の主権にかかわるので米国籍離脱には別途米政府に離脱手続きを行う必要があるという。 米国は二重国籍を認めている上、資産家の海外脱出を防ぐために国籍離脱税という制度を設けており、米国籍離脱者に対し罰金として大坂選手の場合には国籍離脱税が10億円程度に上るという。
2020年09月05日
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今回の自民党総裁選をめぐっては対抗馬として立候補した岸田派と石破派を除く主要派閥の多くが菅官房長官を支援する情勢になっていると大手新聞社などが報じているが、このことについて菅官房長官は記者団との質疑応答の中で「私自身は派閥に現在、所属をしておりません。自民党の派閥はいいところもあれば、悪いところもあると思います。しかし、私は派閥の連合に押されて今、ここにいるわけではありません。私自身、自らの判断によって出馬を決意し、私を支えてくれる当選4回以下の国会議員の人達、皆さん誰一人、派閥に所属していない。そういう人達のエネルギーが私を押し上げてくれると思います。」と主要派閥の支援があるから立候補したわけではないという立場を強調したという。 TVのワイドショーのなかでも自民党の総裁選に菅義偉官房長官が出馬を表明したことを報じていたのだが、番組では「菅政権」の樹立を見据え派閥間の権力争いが激しさを増していることも報道していたのだ。菅義偉官房長官の出馬会見の直後には麻生派の麻生太郎会長と細田派の細田博之会長に竹下派の竹下亘会長が会見し、菅義偉官房長官菅氏への支持を表明したことを伝えていたのだが、この会見は二階俊博幹事長が出席しなかったこともあって番組のアナウンサーも3派閥の合同会見に「すごいですね。これ派閥の主導権争いが私たちにも目に見えてわかるという。二階さんにも連絡しないでこの3人で会見をやったみたいです。すごいですね」とコメントしていたそうなのだ。 派閥に属さない菅義偉官房長官を自民党の5派閥がこぞって担ぎ「派閥政治の復権」がささやかれる今回の総裁選だが、菅義偉官房長官支持をアピールした細田・麻生・竹下の3派会長の共同会見に「菅氏優勢」の流れをつくった二階俊博幹事長率いる二階派は呼ばれなかったというのだ。国会内で開かれた3派会見の席上で麻生派会長の麻生太郎副総理兼財務相は他の2派が同席していない点を問われ、「二階派と石原派は、既に菅氏支持を表明されている。だから今日支持を決定した3派。主導権を争っているのではない」と木で鼻をくくったように答えたという。菅氏陣営が走りだす上で「うちらが党内主流派で、反主流派じゃない。一発、けん制しておかないと」との思惑から露骨な二階派外しを仕掛けたというのだ。 「聞いてない、うちだけ外すなんておかしい」と憤慨していた二階派幹部は情報収集に追われたそうなのだが、二階派もこの日に所属議員45人の署名を添えて菅義偉官房長官に出馬を直接要請する場面をしつらえ「主流派」を演出したという。二階派の河村建夫会長代行は記者団の取材で3派会見について「菅さんを支援する気持ちは同じなのだから、一緒にやるべきではないか」と不満を示したそうなのだ。各派閥がけん制し合い菅義偉官房長官により多くの恩を売ろうとする駆け引きの先に見据えるのが次期政権下での人事の厚遇だといわれているわkwなのだが、総理・総裁を頂点とする官邸主導の「安倍1強」が幕を下ろすのと同時に鳴りを潜めていた派閥の権力闘争が息を吹き返しつつあるという。 党内からは「5派も絡めば選対組織もまとまらない。勝っても『派閥の意向に強く配慮せざるを得ない総裁』になるのは間違いない」との声が出ているが、ある政治評論家によると二階俊博幹事長が主導する形で菅義偉官房長官を擁立する構図であることに「二階さんは、誰の目にも明らかなように見せることに成功したってことです」と解説したうえで、「本当は別の人がいる感じがしますけどね。菅政権を作るって意味では」と述べたそうなのだ。司会者から「自分だけが知っててずるい。誰なんですか」と問われると、「二階さんも重要な役割を果たしてますけども、もうちょっと裏で、しかし表に出るわけにはいかない人がやられてるんじゃないかなと思いますけどね」と意味深長に語ったそうなのだ。
2020年09月04日
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厚生労働省では高年齢者を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計しているが、昨年の「高年齢者の雇用状況」を取りまとめたものが公表されている。高年齢者が年齢にかかわりなく働き続けることができる生涯現役社会の実現に向け「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では65歳までの安定した雇用を確保するため、企業に「定年制の廃止」や「定年の引上げ」だけでなく、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置として高年齢者雇用確保措置を講じるよう義務付け、毎年6月に高年齢者の雇用状況の報告を求めているそうなのだ。この集計では従業員31人~300人規模は「中小企業」で301人以上規模を「大企業」とし、従業員31人以上の企業161,378社の状況をまとめたものとなっている。 今年度に60歳になる人の特別支給の厚生年金の支給開始は64歳だが、60歳定年の場合には「改正高年齢者雇用安定法」により年金受給開始年齢の64歳までは継続雇用等で働き続けることができるようになっている。現在の60歳以上の常用労働者数は約387万人に上り、60歳定年に到達した人の84.7%が継続雇用され希望したが継続雇用されなかったのはわずか0.2%だという。高齢者の就労支援を行う「(株)マイスター60」が昨年の11月に再雇用制度で働く60~65歳の男性に対して行ったアンケート調査の「人生100年時代、定年後の第二の働き方を調査」によると、雇再雇用制度を使って働いている人に定年後の賃金の変化について聞いたところ最も多かった回答が「5割以上減った」だったという。 この「人生100年時代、定年後の第二の働き方を調査」では雇用形態や賃金・仕事への満足度などを紹介しているが、定年後の雇用形態では多くの企業は継続雇用制度を設けており、継続雇用制度には再雇用制度と勤務延長制度の2つがあるという。再雇用制度は一旦定年退職をしてその後再雇用契約を結ぶもので退職金が支払われ、雇用形態は嘱託・契約社員などだという。一方で勤務延長制度は定年退職せずそのまま正社員として雇用され、退職金は勤務延長制度が終了し退職する時に支払われるという。定年前に想定していた仕事内容と再雇用後の実際の仕事に開きがあったかどうか聞いたところ「勤務日数・時間」や「仕事内容」に9割以上が「想定通りだった」もしくは「どちらかというと想定通りだった」という回答だという。 アンケート調査では労働時間・雇用形態・仕事内容・仕事への評価などについては7割超えがどちらかと言えば満足し、給与には5割超えがどちらかと言えば不満と答えている。70歳まで働く機会の確保を企業の努力義務とする「改正 高年齢者雇用安定法」ほか関連法案が今年の3月に成立し来年の4月施行となっているが、いよいよ70歳まで働くための制度が整い始めてきているが、アンケート調査から企業側の雇用するシニアに対して「業務に関する豊富な知識や経験がある」とか「生産性が高い」など企業はシニアの雇用にメリットを感じており、高齢者の雇用拡大に前向きとなっている。それでも70歳まで働き続けるためにはこれまで以上に健康維持とスキルアップへの努力が必要だといわれている。 厚生労働省でも今後は生涯現役で働くことのできる社会の実現に向けたさらなる取組を行うとともに、雇用確保措置を実施していない企業に対して都道府県労働局やハローワークによる計画的かつ重点的な個別指導を実施していくという。ところで高齢者になってくると「そもそも家事は、労働なのだろうか」ということも夫婦間で出てくるが、家事が労働になるのは一方的にその恩恵を受ける人がいる場合ではないかといわれている。家事には労働が入っていることを忘れている場合が多くだから感謝の気持ちが生まれないというのだ。1人だけほかの人のために奉仕しているこのとき家事は確かに労働になっていて報酬を求めたくなってしまうというのだが、これからは家事を「見える化」して夫婦二人で行うことが必要かもしれないという。
2020年09月03日
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自民党の岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長は安倍晋三首相の後継を選ぶ自民党の総裁選への立候補を正式に表明したが、本命の菅義偉官房長官は今日にも出馬表明する予定で3氏による選挙戦となる構図が固まったという。98人という最大派閥の細田派や47人の二階派など主要派閥が菅氏の支援を決めていて国会議員票で本命の菅義偉官房長官が大きく優位に立っているといわれている。また自民党の総務会は党則の「緊急を要するとき」に適用し党員投票をせず両院議員総会方式で新総裁を選出することを決定している。今の予定では総裁選は9月8日の告示で9月14日投開票の日程で実施する方針だといわれているが、今日の総裁選管理委員会で正式決定するそうなのだ。 そこで決まった新総裁は公明党との協議を行って召集される臨時国会で新首相に指名される見通しとなっている。本命の菅義偉官房長官は国会議員会館で参院の無派閥議員有志から出馬要請を受けると「さまざまな方から『あなたしかいない』という要請を受けるなかで出馬を決断した。2日夕に出馬表明する」と応じ立候補することを明言したそうだが、これに先立ち東京都内で麻生派会長の麻生太郎副総理兼財務相と会談し立候補の意向を伝えたという。また東京オリンピック・パラリンピック組織委員会を訪問し組織委会長で細田派に影響力を持つ森喜朗元首相とも面会したそうなのだ。既に支援方針を決めている細田派や二階派だけでなく石原グループなど各派のほか竹下派も支持の方向で調整しているという。 電撃的だった安倍首相の辞任から始まった今回の総裁選びは、自民党の総務会で党員投票を行わない両院議員総会方式で総裁選が行われることが決定し、「ポスト安倍」は事実上各派閥の有力者たちが密室で決めるスタイルとなりそうだが、「ポスト安倍」候補として菅義偉官房長官の存在感が一気に増したのは7月に安倍首相の体調不良説が流れるようになってからだという。菅義偉官房長官が新型コロナ対策の司令塔として前面に出て問題の多い「Go To トラベル」キャンペーンなどを主導してメディアの取材にも積極的に応じてからで、官邸関係者は「安倍さんは岸田さんに政権を禅譲する構想だったが、岸田さんはコロナ対策で『給付金30万円』のプランを実現できなかったことなどで力不足が露呈し失速したからだ」という。 非常時ということもあって安定感がある菅義偉官房長官を推す声が強まり、菅義偉官房長官が最有力候補に躍り出る現在の流れはしごく自然に思えてくるが、はそう単純ではなかったというのだ。政府関係者によると「待望論の高まりは、周辺がマスコミに情報を流してムードをつくろうとしている面もある。派閥がない菅さんが総裁選に勝つのはそう簡単ではない」というように菅義偉官房長官の動きは機敏だったという。安部首相の辞任表明の翌日には二階幹事長と会談して総裁選への出馬要請をいち早く伝えると、二階幹事長も「頑張ってほしい」と応じている。こうして二階派が菅義偉官房長官を支持する流れをつくると、麻生派を率いる麻生太郎財務相兼副総理や最大派閥・細田派の細田博之会長と次々と会談している。 そこで麻生派や細田派の両派も菅義偉官房長官への支持を決断したとされるが、無派閥ながらあっという間に自民党の三大派閥を味方につけた菅義偉官房長官のここまでの展開を見る限りでは、岸田氏や石破氏よりも「一枚上手」だったということになりそうだという。菅義偉官房長官の名刺の裏には「好きな食べ物:甘いもの・めん類」といったプロフィールが書かれているそうなのだが、大の「甘党」で特にパンケーキが好物だという。ホテルニューオータニ内にあるレストラン「SATSUKI」がTVで取り上げられたときに、常連客の1人として菅義偉官房長官が紹介され3000円以上する「ニューオータニ特製パンケーキ」をよく頼むということだった。おやつに毎度3000円とは庶民派とはいえ政府の閣僚の経済感覚は違うと思ってしまうのだ。
2020年09月02日
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私の住む松山市でも締め切られたのだが、新型コロナウイルスの緊急経済対策で配られた特別定額給付金の申請が先月の末で大半の自治体で締め切られたという。1人10万円の「臨時収入」はどう使われたのかということでは、消費や寄付の受け皿となることをもくろんだ事業者らからは悲喜こもごもの声が聞かれているそうなのだ。「給付金は辞退せず、寄付して必要な人に届けよう」と呼び掛けた「コロナ給付金寄付プロジェクト」には、これまで約4万8000人から総額2億6000万円以上が寄せられたという。検索大手「ヤフー」のネット募金やふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」から受け付け既に計約1億9000万円の助成金が集められ、打撃を受けた医療機関や中小企業、劇場などに配ったそうなのだ。 「コロナ給付金寄付プロジェクトのサイトには医療従事者らに向けた応援メッセージが並ぶそうで、関連して行ったネット調査では回答者の27.9%が「給付金の一部を寄付したい」とし特に20代の意識が高かったという。支援先選定などを行う公益財団法人「パブリックリソース財団」の岸本幸子専務理事は「大変大きな額で、日本に寄付文化が広がるきっかけになった」と感謝しているそうなのだ。一方で「残念ながらもくろみは外れました」と話すのは小田原箱根商工会議所の井上経・経営企画グループ課長なのだが、売り上げが減少した地元事業者の支援のためオンライン百貨店を立ち上げ給付金を意識して10万円の商品を多数用意したが、「生活消費を超える盛り上がりは感じなかった」と落胆しているそうなのだ。 全国約1億2550万人分の給付金として計上された予算12兆7344億円のうち既に99%以上が支給済みとなっており、ほとんどの国民が給付金を受け取ったことになっているが、1人につき10万円の4人家族だと総額40万円がもらえる特別定額給付金は、経済活動の低迷で収入が減少した家庭にとってはまさに干天の慈雨だったと政府筋は自慢しているが、給付金の目的は収入減少に直面した事業者や生活者を支援することにあると同時に、消費を喚起することで経済活動の落ち込みを最小限に留めたいという狙いもあってという。ある研究所が6月末に実施したアンケート調査によると給付金の使い道は「生活費の補填」が53.7%で、「国内旅行」が10.1%に「外食」が9%など8割以上の人が何らかの消費を行うと回答している。 5月の家計調査を見ると興味深い数字が並ぶのだが、収入から見ると経済活動が停滞したのだから当然収入減になるかと思いきや5月の実収入は対前年同月比で9.8%のプラスになっているという。実収入の内訳を見ると勤め先収入は同2.7%増に世帯主収入も同0.9%増とそれほど大きく伸びていないが「他の特別収入」が同803.2%増になっている。5月に入って給付金の支給が始まったからだ。消費支出全体は3月から急ブレーキがかかっており、対前年同月比の数字は3月が7.6%減に4月が9.9%減で、5月が15.5%減と毎月減り続けているというのだ。外食を控える一方で自炊が増えたことが顕著に現れているし、リモートワークの拡大もあって交通費も大幅に減少しているそうなのだ。 その一方で特別定額給付金の使い道として「貯蓄」と答えた人は26.1%と3割にも満たなかったといわれているが、5月の預貯金の引き出しは前年同月比13.6%減で反対に預貯金への預け入れは前年同月比10.9%増だったという。預貯金から現金を引き出して消費などに充てるという行動が抑えられた一方で、手持ちの現金を預貯金に預けたことを意味するものだし給付金は投資にも回ったとみられるともいう。楽天証券の取引口座の新規開設数は昨年を大きく上回り65万件と半期で過去最多となったという。ただし「内容は積み立て投資が大半。もうけようというより、将来の不安に備えた人が多かった」と分析しているし、銀行預金残高も最多を更新したとして「使う気になれず、手を付けていない人が大半では」と指摘されている。
2020年09月01日
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