全31件 (31件中 1-31件目)
1
今年も値上げは続きそうで「帝国データバンク」は国内の主な食品や飲料メーカー105社に調査を行い値上げの動きをまとめているのだが、それによると今年の1月から4月に値上げが予定される食品や飲料は再値上げなどを含めた累計で7152品目となっているそうで、これは昨年の同じ時期と比べるとおよそ1.5倍に増えており、月別でみると今年の2月は4277品目と多く昨年の10月と同じように「値上げラッシュ」となる可能性があるとしている。しかも今年の値上げ率は平均で18%となっていて、昨年1年間の平均の14%を上回るとの予想がなされているというのだ。原材料の高騰や円安によるコストの増加だけでなく人件費の上昇などで大幅な値上げを行う企業が相次いでいるということのようなのだ。 また「帝国データバンク」によると「値上げが2回目や3回目というケースが増えているほか価格は変えないものの、商品の内容量を減らすことで実質的な値上げをする企業も目立っているそうで、商品への価格転嫁は十分に進んでおらず採算があわないとして価格を見直すケースは今後も相次ぐとみられている。そのうえ値上げが断続的に続く可能性が高い」としているが、静岡県に本社がある食品メーカー「はごろもフーズ」は缶詰や食品などをそれぞれ値上げするそうで、このうちマグロやカツオを使った主力商品のツナ缶など65品目は1月の出荷分から値上げされており、値上げ率は4.8%から25%です。この会社では昨年7月と9月にも商品の値上げを行っているのだが、値上げを続ける背景には原材料価格の高騰があるという。 デフレだった日本においても物価は下がっているのに生活必需品の値段はどんどん上がっているそうで、しかもそれ以外の物価は横ばいなのでその差は年々広がっているという。食料・エネルギーといった生活必需品を価格が国際市況で決まる輸入に頼らざるを得ない日本では、全体の物価は上がらないのに食料・エネルギー関連の物価だけは上昇していくが、これは「悪いインフレ」で、「スクリューフレーション」が直撃している国の一つという。生活必需品以外の値段は上がりにくくなった一方で生活必需品の値段はここ10年ほど世界的に値上がりしており、品目別の上昇率ではエネルギー関連が15.2%と全体を押し上げていて、特に水道光熱費が一番高くなる2月に向けて支出の増加が見込まれるという。 これからも身の回りのさまざまなものが値上げしていくそうで、食卓や弁当で欠かせない冷凍食品や魚肉練り製品など加工食品の値上げが目立つという。値段が高くなるだけでなく内容量の減る実質値上げも目立ってきており、昨年値上げされたものが再度値上げという商品も多くあるという。今年もしばらく値上げの話題を頻繁に耳にしそうなのだが、会社が懸念するのは値上げによる消費者の買い控えだという。4年前に値上げした商品の販売が大きく落ち込んで回復するまでに数か月かかったケースもあったということで、値上げした直後は売り上げが落ち込むと予想しているという。そのため「はごろもフーズ」ではキャンプ用の食料として缶詰をホームセンターに売り込むなど販路拡大に向けた取り組みを強化するという。 日本の企業はこれまで商品やサービスの価格を値上げしたくてもできないという状態が続いてきたとされるが、それが「いまならみんなと一緒に値上げしても目立たない」とばかりに値上げラッシュをこしているそうで、いかに企業が価格転嫁を抑えているかということがよくわかるという。 今回の物価高がなくても世界経済が資本主義中心で経済成長していく以上コストは年々上昇していくことから、価格を上げないということなど不可能だということのようだが、上げられなければ量を減らすなどのステルス値上げか人件費を削減するか結局まわりまわって我々に響いてくるという。デフレがいかに恐ろしいかということをよく考えないといけないのだが、消費者が物価高に苦しむ中今年の春闘で賃上げがどこまで実現するかが焦点となる。という。
2023年01月31日
コメント(0)
700社を超える中小製造業の経営改善を支援してきた中小企業診断士の大場正樹氏は「原油や天然ガスなどの原材料価格の止まらぬ高騰、製造コストを圧迫する現状では、値上げに踏み切らなくては下請け製造業に未来はない」というが、現状ではまだ恒常的なインフレになるかどうかも不透明な状況とはいえインフレの兆候をそこかしこに発見することができるという。そもそも原材料価格が上がっているということは従来の価格ではモノが買えなくなっていることを意味するという。それが1種類の材料だけにとどまっているのであれば戦争や災害などの偶然による一時的なアクシデントかもしれないが、2種類や3種類の材料が値上げされているのであれば全体的な流れになってしまっているという。 日本は先進国で最も物価の安い国となっていて、例えばよく各国の経済力を測るための指数として使われるマクドナルドのビックマックの価格でいえば、日本のビッグマック価格は3.38ドルで57ヵ国中33位と1位スイスの6.98ドルの半額以下であり、中国や韓国よりも安くグアテマラやペルーと同水準だという。日本はビッグマック指数で中国・韓国・タイと多くの国に追い越され急激に貧しくなったというが、このビッグマック指数は半年に1度の調査なので昨年1月は1ドルが115.23円時点の調査で、8月における1ドルが137円で調べ直すと日本は40位以下になってしまうという。ビッグマック指数ではなくスターバックスのトール・ラテ価格の各国比較であるスターバックス指数でもほぼ同じ結果になっているという。 この「ビッグマック指数」は購買力平価と呼ばれる経済理論に基づいており、2通貨間の購買力を比較するために用いられるのだが、計算方法としてはまず「ある国のビッグマックの地通貨ベースをアメリカのビッグマックの価格で割ってレートを算出するそうで、算出されたレートを実際の外国為替レートと比較して当該通貨が「USドル」に対してどれくらい過大もしくは過小評価されているかを数値化する。「ビッグマック指数」のランキングに示される「+20.94」や「-2.82」などの数字はこの過大・過小評価を表しているのだが、「ビッグマック指数」がマイナスとなると円の評価は過小評価と判断され、日本人がアメリカに行ってビッグマックを購入すると「高い」と感じアメリカ人が日本に来てビッグマックを購入すると「安い」と感じるという。 自国通貨の購買力を正確につかむには為替ルートだけでなく物価上昇も加味する必要があるのだが、物価上昇を加味したものが「実質実効為替レート」で、日本の購買力の低下は円安というよりも物価安によるものだったというのだ。最近は一部の専門家が「円の価値を上げるために利上げをしよう」と言い出しているが、実質実効為替レートを見れば利上げなどもっての外だということがわかるという。各国の平均賃金を見ても日本は経済協力開発機構加盟35ヵ国中の22位で韓国やニュージーランドよりも給料が低いとの結果が出ており、これは物価が安いから給料が低くても平気という話ではなく、物価の違いを考慮した購買力平価ベースの平均賃金でアメリカの半分強しかなく韓国の9割強しかないというのだ。 このグローバル経済の時代に日本だけが低価格・低賃金を維持し続けていくことはできず、従業員や下請け企業が「頑張ります」と言っていられるのはまだメーカーが原材料費を吸収して低価格を維持しているおかげで、まだ生活費がそれほど上昇していないからだという。いずれ吸収しきれなくなってなし崩しにインフレが進行すれば、低賃金への不満が一気に爆発することになるそうで低賃金の割に税金は高負担となっている。年金や健康保険や介護保険を含めると北欧に近い税率でその割には老後2000万問題とかリターンが少なく、貧富の格差も徐々に拡大しているとされているが、消費税を物品税に置き換え生活必需品を除いて高税率にして、生活必需品は免除が良いという意見もあるそうなのだ。
2023年01月30日
コメント(0)
毎月もらう月給のほか年収を決める重要な要素となる一時金(賞与・ボーナス)なのだが、企業や産業ごとに大きく異なる傾向があることから、自分以外の人やほかの業界で働く人たちがボーナスをどの程度受け取っているのか気になる人も多いといわれてきた。年末一時金いわゆる冬の賞与やボーナスについて「一般財団法人労務行政研究所」が調査を実施しており、対象は東証プライム上場企業で、労使協定において妥結された水準を調査しまとめた結果を踏まえた上で昨年の冬のボーナスについて公表している。その「東証プライム上場企業の昨年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査」によると、冬のボーナスの妥結額は全産業の平均で78万6945円となっているそうなのだ。 産業を「製造業」と「非製造業」とに分類した場合に製造業は同じく81万3465円だが、非製造業では69万7283円という調査結果で、昨年の冬のボーナスの妥結額は一昨年よりも8.5%増加していて、ちなみに一昨年の冬のボーナスの妥結額は71万5553円だったという。もう少しさかのぼってみてみると2015年から2017年にかけて下落していたものの、2018年には75万3389円と前年と比べて3.9%も上昇しており、しかしその後はコロナ過の影響もあって再び減少へと転じてしまい、2020年は74万3968円で一昨年は大幅な下落となっているが、昨年末にはコロナ禍の終わりがみえてきており、経済も元通りとなりつつあるなか社会情勢や雰囲気の好転によってか、冬のボーナスの妥結額も大幅に増加したとみられている。 ここ10年で昨年は冬のボーナスが最も高くなっている点も注目されており、さらに細分化し産業別の冬のボーナスの妥結額も公表している。1位は輸送用機器(自動車)など上位4位までは製造業であり、これらの産業が冬のボーナスの金額を引き上げていることが分かるそうなのだが、一方で5位には非製造業の「情報・通信」が入り、非製造業の中では最も高い金額となっているという。参考として国家公務員の冬のボーナスにも触れておくと、内閣官房内閣人事局の発表した報道資料では、国家公務員の昨年末の冬のボーナス支給額は平均で約65万2100円だったという。東証プライム上場企業ほどの上げ幅ではないものの前年同期比で0.1%の金額で500円ほど増加しているそうなのだ。 日本企業全体の冬のボーナスの平均支給額は東証プライム上場企業ほど高くはないのだが、これもあくまでも参考程度とはなるが厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、一昨年の冬のボーナスの平均支給額は38万787円だったというデータもあり、昨年末のボーナスは傾向として増加しているとみられているもののそれでも40万円前後とみるのが妥当だという。そうした点も考慮し自らの属する企業や業界だけでなく、業務内容や冬のボーナスの推移などを冷静にみることが求められるそうなのだ。またニュースなどでもしばしば話題になっている「インフレ手当」なのだが、世界では深刻なインフレが巻き起こっていて企業の実施する制度の一つであるインフレ手当は、企業が従業員に現金を支給する形で行われるのが一般的だという。 一時金として支給する企業が多いのはあくまでもインフレ時のみの対応とするためとみられ、月額手当としてしまうと手当をやめる際に月給が下がったという印象を与えてしまいかねないため、ボーナスに追加するなどして一時的に支給しているあるいは支給を予定している企業が多くなっているそうなのだ。平均支給額をみると一時金では5万3700円で月額手当は6500円となっており、この物価高騰を受けて独自に制度を設けインフレ手当を支給する企業も出始めているという。インフレ手当に積極的な企業は全体でみれば半分以下にとどまっていて、この制度は今後の企業の選択や評価にも影響を与える可能性があるのだが、問題はそのような生活に直結する問題を個別の企業に丸投げしている行政だということのようなのだ。
2023年01月29日
コメント(0)
鳥インフルエンザが猛威をふるっているが、過去最多の感染拡大の影響で「物価の優等生」と呼ばれ続けた卵の値段も上昇しており、おでんなど季節の料理に使われる冬場に需要が高まるとはいえ例年以上に価格が高騰しているという。目安となる「全農たまご東京Mサイズ」の先月の卸売価格は月平均で1キロあたり284円と前年同月比74円も値上がりし統計が公表されている1993年以降最高値となったという。アメリカでも卵の価格が高騰し隣接するメキシコから卵を違法に持ち込もうとする人が急増しているという。高病原性鳥インフルエンザは致死性が高い鳥の病気で渡り鳥によって秋ごろから国内に持ち込まれ、新型コロナウイルスは空港などの水際対策でチェックする手があるが鳥が飛来するのは防ぎようがないという。 価格が安定した食品の代表格で「物価の優等生」とも称される鶏卵がここまで高騰したのには特別な理由は養鶏場などでの高病原性鳥インフルエンザの感染拡大だという。昨年秋に始まった今シーズンの国内発生件数は23道県の計54例に上り過去最多を更新しており、鶏などの殺処分数も3日時点で計約775万羽となり過去最多の約987万羽に迫っているという。 スーパーでは「大流行した2年前のシーズンは、殺処分の影響で卵の産地在庫が品薄となり、本来なら需要が落ちて価格も下がる夏場にも値上がりしました」としているが、加えてロシアのウクライナ侵攻で穀物価格が上昇し鶏の餌となる飼料も高騰していて、配合飼料価格は3年前に比べて約1.5倍に急騰し今後の価格減少も見通せないという。 都内のスーパーでは平均でひとパックあたり30円ほど卵の価格を上げたというが、売れ筋だというプライベートブランド商品も8月に10円値上げしたそうなのだが、1日の入荷数はおよそ50パックで今のところ安定的に確保できているという。スーパーの運営会社によると総菜を仕入れている業者からサラダに使うゆで卵用の卵が十分確保できないという。スーパーの職員も 「鳥インフルエンザ等で需要と供給があっていないため、他社ではスーパーの方で品薄が続いていると聞いている」というが、昨年末の卵の価格は飼料価格の上昇に伴う価格転嫁や年末需要もあって高騰しており、例年であれば年明けには需要も収まり価格が下がるのに、今年は一時的に下落するも上昇し1月としては異例の高水準となっているという。 さらなる価格高騰と供給不足が懸念される中で政府は対応を協議する関係閣僚会議を開催し全国的な緊急消毒の実施状況などを確認したほか、養鶏農家に対してニワトリに卵を産ませる期間を延ばすことなどで安定的に生産、家庭向けの供給を優先させるよう求めましたという。かつてない鳥インフルエンザの感染拡大で卵の生産の現場では日ごとに不安が高まっており、 東京都立川にある養鶏場の「危機的状況の一言。今まで出たといっても、宮崎県や千葉県と離れているのがほとんどだったが、最近は埼玉県で事例が出ているので、あすはわが身ではないが、出てもおかしくない」という。そのうえで外から飛んできた野鳥などが感染源になるケースが多いため外部の侵入経路に目を光らせる必要があるという。 都内の養鶏場では現在5千羽のニワトリを飼育しているが、特殊な餌を使っていてブランド卵として百貨店などでも販売しているが、鳥インフルエンザに感染した場合にはニワトリを殺処分しなくてはならず収入源を失うことになるという。対応を協議する政府の関係閣僚会議では全国的な緊急消毒の実施状況などを確認したほか、養鶏農家に対してニワトリに卵を産ませる期間を延ばすことなどで安定的に生産し家庭向けの供給を優先させるよう求めている。衛生に関しての補助金を出ているが、設備投資がかかるので、もう少し補助を強化しどこまでやっても100%の感染防止はないので逆にどこまでやればいいのかが問題だという。養鶏が安定を取り戻し価格が落ち着くまでにどれだけ時間がかかるのかが問われているという。
2023年01月28日
コメント(0)
来年度の年金額は物価上昇を反映して3年ぶりに増額されるが実質的には目減りすることになったようで、年金額は前年度と比べて67歳以下は2.2%の68歳以上は1.9%の増額と決まったという。現在の年金額の毎年度の見直しは2つの要素から構成されていて、1つは物価や賃金の変化に応じて年金額の価値を維持するというように年金額改定の本来的な意義の部分となっている。しかし本来の改定率である物価や賃金の伸び率からいわゆるマクロ経済スライドの調整率を差し引いたものが最終的な改定率になるとされていて、来年度の改定では本来の改定率は昨年の物価上昇を反映して67歳以下が+2.8%に68歳以上が+2.5%となったがここから調整率の-0.6%が差し引かれて前述した改定率となるというのだ。 年金額の目減りは本来の改定率である物価や賃金の伸び率から少子化や長寿化の影響を吸収するためのマクロ経済スライドの調整率を差し引くことで生じるが、調整率の分だけ年金額の価値が下がりすなわち目減りすることになるというわけだ。年金制度は現役時代に保険料を負担し高齢期になると亡くなるまで年金を受け取り続けるという長期間にわたる仕組みで、このため長期の人口予想をもとに制度が設計されている。日本の出生率は長期にわたって低下傾向で近年は人口を維持するために必要な水準を下回り続ける見通しになっている。高齢者の余命は長期にわたって延びていて今後も緩やかに延びていく見通しになっており、年金制度はこのような人口の見通しの変化に合わせて見直しが続けられているという。 値上げラッシュが続く中で年金生活者には過酷な一年になりそうで、年金支給額が物価や賃金の上昇率より大幅に引き下げられるからなのだが、岸田首相は年頭会見で「インフレ率を超える賃上げの実現」を訴えていたが、齢者の賃金とも言える「年金」は別のようだという。厚生労働省は「マクロ経済スライドの発動は、時の政権が判断するのではなく、法律にのっとって行われている」としたが、年金の目減りに対して岸田首相は何か手を打っておらず、「昨年の春、年金減額の穴埋めとして年金生活者に5000円支給が検討されました。最終的には見送られましたが、夏の参院選を意識してのことでした。今回は当面国政選挙がないこともあり、岸田首相は年金の実質目減りに対する救済策は何も考えていません」という。 マクロ経済スライドは年金財政を支える現役世代の被保険者数の変化などを数値化し物価や賃金の上昇分から「一定の調整率」を差し引いた分しか年金額を引き上げない仕組みとされているが、受給者からすれば額面は少し増えているから減っている実感がない騙し討”のようなやり方だといわれている。現行ルールではマクロ経済スライドは国民年金で2046年まで厚生年金で2025年まで続くことになっているが、それでは国民年金の目減りが大きすぎるので国民年金も厚生年金もマクロ経済スライドの適用を2033年までとする期間統一が検討されているそうなのだ。つまり厚生年金のほうは8年も減額が延長されるわけなのだが、年金は約20年間受け取ると考えれば400万円以上の給付カットになるそうなのだ。 高齢者にとって年金は命綱だといわれており、厚生労働省が行った3年前の所得についての調査によると、65歳以上のみで構成かこれに18歳未満の未婚者が加わった世帯である「高齢者世帯」の収入のうち年金や恩給のみが占める世帯は25%、となっており、その8割以上は収入の約6割に上るという。今年予定されている食品値上げはすでに1万品を超えていて、こんな状況での年金目減りは痛すぎるとよいう。専門家も「賃上げを強調しながら、年金の目減りは平気でやる。高齢者に冷淡な岸田首相の姿勢がよく表れています。年金の問題は高齢者だけでなく、現役世代にとっても、将来自分に降りかかる問題です。マクロ経済スライドはインフレでは国民をいっそう苦しめることがわかりました。国民的議論が必要です」という。
2023年01月27日
コメント(0)
原材料費の高騰が続く中で企業がコスト増加分を価格に転嫁した割合は、4割にとどまることがわかったそうで、帝国データバンクによるとコストの上昇分を「多少なりとも転嫁できている」企業はおよそ7割にのぼったが、価格転嫁率は39.9%にとどまりコストが100円上がっても40円分しか価格に転嫁できていないことがわかったという。業種別で見ると「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」や「化学品卸売」など卸売業界が上位を占め価格転嫁が進んでいることがわかったそうなのだが、反対に医療関係や旅館・ホテル業の転嫁率が特に低くなっているという。価格転嫁が難しい理由は「取引企業から理解が得られ難い」がおよそ4割と最も多く、このため賃上げに向けて企業の厳しい状況が浮き彫りとなったという。 原材料価格の高騰によって調達コストが増加している企業は84.8%にのぼっており、世界的な原材料不足やサプライチェーンの混乱で生産や販売など事業活動に必要な原材料や部品調達に遅れが生じている企業は70.9%だったという。コロナ禍や円安の影響が企業活動に大きな影響を及ぼしていることが改めて浮き彫りとなったわけだが、調達コスト増加の影響を受けていますかという問いに最多は「影響を受けている」の84.8%で、「現時点で受けていないが、今後影響が見込まれる」が7.3%で合計92.1%の企業が調達コストの増加に言及したという。前回調査では91.5%で「影響を受けている」80.6%の「今後影響が見込まれる」10.9%だったのだが、「その他の卸売業」や「金属製品製造業」など19業種で100%だったという。 帝国データバンクは「価格転嫁率は4割を下回り今後も商品・サービスの価格上昇は懸念されるなか、企業がコスト上昇分を負担している状況も限界に近づいている」と分析しており、春闘が事実上スタートしたが中小企業の7割が「賃上げの予定なし」とも言われている。岸田首相が掲げる「インフレ率を超える賃上げ目標」なんて夢のまた夢だとの意見も多いというが、賃上げの実現に向けて企業の厳しい状況が浮き彫りとなったという。賃上げが困難な理由について大手新聞社の調査によるとコスト上昇分の価格転嫁ができない業者の声を伝えていて、神奈川県にある運輸業者は「価格転嫁で取引先の3割から発注がなくなった同業者もいる。賃上げは慎重にならざるを得ない」と答えたという。 調査全体でもコスト増加分の価格転嫁について「まったくできていない」とか「ほとんどできていない」の合計は32.8%に達しているが、「価格転嫁が不十分なことに加えて、中小企業は大企業のように円安の恩恵もあまり受けてない。賃上げどころではないのです」という。この調査結果について松野官房長官は個別の調査結果へのコメントは避けつつも、「中小企業が賃上げを実現できる環境整備に向けて価格転嫁対策と生産性向上にしっかり取り組む」と語ったそうなのだ。価格転嫁や生産性向上は大事だが環境整備には時間がかかり足元の賃上げには結びつかず、そもそも消費者への価格転嫁が進まないのは国内総生産の6割を占める消費が低迷しているからで、消費税の重税感が増しているのが大きいという。 商品本体の値上げに加え消費税が8~10%課せられていて消費マインドに重しを置かれているようなものだというが、消費者物価指数は上昇率4.0%で試算によるとそれに伴う国民の消費税負担額は年間8000億円程度増えているという。事実上の物価高増税で岸田首相が本気で賃上げを実現したいなら消費税減税をすると、国内消費は上向き価格転嫁や賃上げに道が開けるはずだという。コロナ禍やインフレ対策として約100カ国が日本の消費税に相当する付加価値税の減税に踏み切っているが、企業数で99.7%従業員数で7割を占める中小企業の元気が出なければ賃上げは絶望的で、政府には価格転嫁支援の強化に加え物価の高騰による影響を受けているすべての企業に支援が行き渡る対策の実施が求められるという。
2023年01月26日
コメント(0)
昨年の年末からは、都内を中心にタクシーがつかまりにくい状況が続いているというが、タクシーの実車動向は街角で景気を見定める有力指標とも言われており、一部の人はこうした状況から景気は上向きつつあると判断しているという。諸外国がコロナ後に向けて動き始めたこともあって日本においても消費者心理が改善しているのは間違いないだろうが、タクシーがつかまりにくいことや混雑の背後には、なかなか人材が獲得できないという供給制限要因があることを忘れてはならないというのだ。このところ顕著となっているタクシーのつかまりにくさというのは実は景気が拡大していることが最大の要因ではなく、タクシーの供給台数が大幅に減少していて供給が制限されている要因が大きいのだという。 一般的にタクシーの台数減少と聞くと過当競争を防ぐためあえて車両を減らすことが思い浮かぶとされるが、今回はそうではなくベテランを中心に多くの運転手が職場から離れており、人員が足りないため車両があっても実働できない状況となっていて、これが供給制限を引き起こしているという。近年はかなり改善されてきたとはいえタクシーの職場環境は厳しく待遇も決して良いとは言えないが、こうした業界では何らかの出来事をきっかけに従業員が職場を去ってしまうと人員を確保することが極めて難しくなるという。飲食店や宿泊・介護などの業界も似たような問題を抱えていると言って良く、コロナ過をきっかけに多くの人が仕事をやめその後職場に労働者が戻ってこないという現象があちこちで観察されているという。 コロナ危機のような非常事態が発生すると多くの人が職を失うが、景気回復がはっきりしてくると企業は先を争って人材を採用するため、一気に労働市場に人が戻ってくるというのがこれまでの常であったが今回は、以前とはまったく異なっているという。一度職場から離れた労働者が戻ってこないだけでなく若いビジネスマンが労働意欲を著しく低下させており、米国では年間の労働時間がかなり減ったという統計データもあるという。頑張らずに最低限の仕事しかしない働き方を指す「静かな退職」というキーワードにも注目が集まっている状況で、仕事というのは人生において最も大事な要素であり、がむしゃらに働いて高い賃金を得ることを是としてきた国民性を考えると、仕事に消極的になるというのは驚くべきことであるといわれている。 コロナ危機によって労働者が戻ってこないという問題は昨年から顕著となっており、一部の専門家は労働者が価値観を変えた可能性について指摘してきたという。こうした見解に対しては「雇用保険が出ているので働かないだけ」とか、「お金がなくなれば労働者はすぐに仕事に戻ってくる」という反論が多かったという。経済の専門家や政策立案を担当する人たちは総じてエリートで厳しい職場環境にある労働者の肌感覚についてなかなか理解できないといわれるが、もしこの仮説が事実だった場合今後の経済政策や産業政策には大きな影響が及ぶことになるそうで、飲食業界や宿泊業界はコロナ危機をきっかけに多くの従業員が一度職場を去ったが、業界は深刻な人手不足が続いていて労働者を引き戻すことができない状況にあるという。 タクシー業界も同様で高齢のドライバーが退職して職場に戻ってこない分業界では若手ドライバーの育成を図っているが、待遇が悪い企業の場合にはせっかくドライバーとして雇ってもやめてしまう人も多いと言われている。。結局のところ賃金や職場環境という問題が大きく影を落としており、こうした部分において抜本的な改善がなければ人手不足を解消するのは難しいという。こうした傾向は程度の差こそあれ多くの業界で共通の課題となりつつあり、日本の産業界は大きな方向転換を迫られている。経済界の一部からは外国人労働者をもっと呼び込み労働力を確保しようという声も出ているがこれは現実を見ていない机上の空論で、コロナ危機が終われば元の状態に戻るという淡い期待は捨てるべきだという。
2023年01月25日
コメント(0)
食料品をはじめとした生活必需品や光熱費など物価の上昇が相次ぐなか労使双方が賃金や一時金などについて交渉することしの「春闘」がまもなくスタートしたが、その春闘をめぐって経営側の指針となる経団連の基本方針が発表されている。ここ最近の物価上昇を踏まえ去年よりも幅広い企業に対し「ベースアップ」を前向きに検討するよう求めていて、労働組合側も高い水準の賃上げを求める動きが広がっているといわれおり、経団連の基本方針では「『物価動向』を特に重視しながら企業の社会的な責務として賃金引き上げのモメンタムの維持や強化に向けた積極的な対応を呼びかけていく」としているという。そして食料品やエネルギーなどの物価上昇を踏まえた賃上げの必要性を打ち出しているそうなのだ。そのうえで「近年に経験のない物価上昇を考慮した基本給の引き上げにあたっては定期昇給などに加え、ベースアップの目的や役割を再確認しながら前向きに検討することが望まれる」としている。ベースアップが難しい企業に対しては物価動向に対応した手当を新たに設けることなど対応を呼びかけており、日本全体で賃金引き上げの機運を醸成するには働く人のおよそ7割を占める中小企業の賃上げが欠かせないとして、大手企業などとの取り引きで製品やサービスの価格を適正に転嫁するための環境整備を進めていく姿勢を打ち出している。昨年12月の消費者物価指数は前年同月比4・0%増と41年ぶりの上昇率となっており、物価の影響を考慮した「実質賃金」は8カ月連続で前年割れが続いているという。 経団連の十倉雅和会長と連合の芳野友子会長の労使トップが東京都内で会談し今年の春闘が事実上スタートしたが、十倉会長は「デフレからの脱却と、人への投資の促進による構造的な賃金引き上げを目指した企業行動への転換を実現する正念場かつ絶好の機会」と発言すると、芳野会長も「労使が力を合わせて日本の未来を作りかえるターニングポイントとすべきだ」と応じ、物価高を踏まえた賃上げに労使協調で取り組むことが重要との認識で一致したという。十倉会長は持続的な賃上げと経済成長に向けて「問題意識やその解決に向けた方向性などは、連合の皆さまとほとんど一致している。連合とは闘争関係ではなく、日本が抱える社会的な課題の解決に向けて、未来を創造する『未来協創』の労使関係だ」と話したという。 ことしの春闘に向けては物価の上昇などを踏まえて労働組合側からも高い水準の賃上げを求める動きが広がっているが、芳野会長は今年の春闘の位置づけについて「賃上げを基本とした経済の好循環の再構築にほかならない」と指摘しただけでなく、「大企業だけでなく、中小企業やパート、契約社員なども含めて日本全体で継続した賃上げを実現できるようにしよう」と求めたという。労使双方が参加する「労使フォーラム」が都内で開かれたのだが経団連は、賃上げを「企業の社会的責務」と強調している。それでも賃上げ水準については業種や企業ごとに状況が大きく異なるとして、連合が5%程度と掲げる賃上げ目標については慎重な姿勢をしめしており、このほか性別による格差解消や働き方の多様化なども焦点だという。 連合と経団連との会談では「数字的な議論はあまりなかった」としており、賃金と物価の好循環に向けてデフレマインド払拭の起点にする意思を確認したという。今年は春闘を前にサントリーホールディングスなど各社が大幅な賃上げを表明していて、6%程度の賃上げを実施する考えを示したほか食品宅配大手のオイシックスも5%程度の賃上げをする方針だという。ただし春闘の相場をエコノミスト33人の予測では平均で2.85%にとどまり物価高に追いつかないとの見方なんだが、このうちベースアップ分の平均は1.08%で定期昇給分の平均は1.78%となっているという。それでも三菱自動車工業が物価上昇に対応する支援金として最大10万円を支給するなど一時金の形で待遇の改善を進める動きも出ているという。
2023年01月24日
コメント(0)
岸田総理は日銀の総裁人事について黒田総裁を交代させると明言したそうで、「日銀総裁の任期は4月8日なので、4月の時点の経済状況をしっかり考えた上で、誰がふさわしいかこれから判断しなければならない」と語ったという。日銀総裁人事は国会の同意が必要となるが、複数の政府・与党関係者によると政府は後任の人事案を来月中旬にも国会に提示する方針だという。に立憲民主党の岡田克也幹事長は岸田文雄首相が4月に任期満了を迎える日銀の黒田東彦総裁の交代を明言したことに関し「アベノミクスの検証が先決で、それなくして漫然と新総裁を選ぶわけにはいかない」と述べ、同時に「新総裁には、国会や国民に対して自身の考え方や方針を説明する責任が当然ある」と指摘したそうなのだ。 日銀の黒田総裁の任期が4月に迫るなか岸田総理が日銀の総裁人事を行うとしたことで、全国銀行協会の半沢会長は次期総裁に求めることを聞かれ「次期総裁におかれましては、政策の予見性を高めるフォワードガイダンスを含めた市場との対話を行いながら、金融市場が健全に機能するよう適切な政策運営をしていただくことを期待しています」と答えてという。そのうえで 半沢会長はいずれ日銀が口戦略をすすめることになると指摘したそうで、その際には金融市場へのリスクを低減させるためにも市場との対話に期待したいと述べたそうなのだ。またの黒田総裁が金融政策の修正を決めのだが、市場に混乱が生じ対話が不十分だったとの指摘が相次いでいることに不満があるとしたそうなのだ。 政府は経済財政諮問会議で米プリンストン大の清滝信宏教授ら8人の有識者を招き中長期的なマクロ経済運営のあり方を議論する特別セッションの初会合を開いたそうで、新型コロナウイルス禍やウクライナ危機といった社会・経済構造の変化を踏まえ必要な政策の方向性や課題を洗い出すのが目的だという。特別セッションでは故安倍晋三元首相の「アベノミクス」以降は大きな変化がなかった政府の経済政策について、デフレからインフレへといった内外環境の劇的な変化を踏まえて「変なくていいのか、変えるならどうすべきか」を意見交換するといわれており、主題となるマクロ経済運営では物価上昇に負けない持続的な賃金上昇を可能にする環境の構築や深刻な世界経済の減速といったリスクへの対処法を協議するという。 岸田政権が掲げる「成長と分配の好循環」実現に向けた分厚い中間層の構築や目指すべき経済社会構造の在り方として人口減少に伴う国力の縮小傾向などを反転させる方策も検討されたというが、会合で政策実現に向けた手段として少子高齢化対策なら移民促進や社会保障や財政の持続なら定年延長や増税などが有効と指摘したという。米連邦準備制度理事会でエコノミストとして勤務経験があり金融政策に詳しい仲田泰祐准教授は、金融危機時の経験を踏まえ金融・財政両面で有効な対応策を説明したのだが、岸田文雄首相は「中長期を見据え、内外の大きな経済環境の変化にも強靭な日本経済を構築していく必要がある」と指摘し、ノーベル経済学賞候補として知られる清滝教授などの有識者の知見に期待感を示したという。 消費者物価が4%の上昇と日銀の物価目標の2倍にもなっているのにかかわらず非常時の異次元緩和を続けている現在の黒田日銀の政策に無理があるのは毎格だが、日銀総裁と副総裁の人事を巡って政権や財務省そして日銀の間でどのような意見が交わされているのかは知る由もなく、昨年12月の日銀による政策修正に影響を与えていた可能性もあるといわれている。新総裁の候補には有力視されている雨宮正佳副総裁と中曽宏前副総裁の他複数の名前が浮上しており、国会提示を経て3月中には衆参両院で同意される見通しで、黒田総裁が任期途中で辞任しなければ新総裁は4月に就任するという。岸田総理は後任の国会提示は2月中の見通しかと問われ「国会日程などを考えると、そういうことだと思う」と述べたという。
2023年01月23日
コメント(0)
これから日本が必ず直面する「人口減少」は、各業界にどんな影響を招くのか。ここでは「製造業界」に絞ってみると、ベストセラー「未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること」が製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し人口減少を克服するための方策をアドバイスしているという。天然資源に乏しい日本は「ものづくりの国」といわれてきたが海外に拠点を移した企業も多く、日本の国内総生産における製造業の比重は下がってはいるという。2年前の統計だが国内総生産における製造業の比重は約2割を占めており、依然としてわが国の中心的な産業で、新たなイノベーションや技術を生み出す製造業は「日本の砦」ともいえる存在で日本経済にとっては「2割」以上の意味を持っているという。 日本の製造業には人口減少の影響が大きくのしかかってくる。とされていて、まずは製造の現場の人手不足だが経済産業省などの「ものづくり白書」によれば、日本の就業者数は2002年には6330万人だったが2021年には6713万人に増えている。この間製造業の就業者数は1202万人から1045万人へと157万人減っている。就業者の総数が減ったことがただちに問題というわけではなく、機械の高度化に伴ってオートメーション化が進み昭和時代のように生産ラインに多くの女性就業者が並んで作業をするという光景はほとんど見かけなくなった。さらには製造拠点の海外展開によって「職場」そのものが大きく減ったという要因もあって、就業者の総数が長期下落傾向をたどったのは自然の流れだといわれてきた。 何が問題かといえば年齢構成の変化で製造の現場が急速に高年齢化しているとされ、「ものづくり白書」によれば34歳以下の就業者を20年前には384万人だったものが、一昨年では263万人とこの20年ほどで121万人も減少しているというのだ。製造業全体で見ると一昨年時点の34歳以下の就業者は25.2%でしかなく、オートメーション化や工場の海外移転などによって就業者数を減らしコストカットをしてきた企業が多いが、結果として若い就業者を減らすことになったということのようなのだ。いくらオートメーション化を進めていってもすべての工場が人をまったく必要としなくなるわけではなく、日本の製造業全体として最低限必要な人数というのがあるのに、それすれ確保できなくなってきているというのだ。 長期にわたって若者が製造業から離れていったことの弊害は大きいのだが、新規学卒者に不人気になったのかといえばそうでもなく「ものづくり白書」によれば、製造業における新規学卒者は増加傾向にあり、全新規学卒者における製造業への入職割合もこの数年は12%前後を維持しているという。しかし国内工場が相次いで閉鎖されたこともあって次の世代の若者たちは先輩などから工場における仕事の内容を聞いたり、工場そのものに接したりする機会が少なくなったため、工場に勤務した場合の自分の将来像がつかみづらくなったという。しかも 「きつい仕事の割に給料が安い」といった必ずしも事実ではない勝手なイメージの広がりを、このまま許すことになれば製造業を身近に感じない人がますます増えることとなるという。 新規学卒者の就業が増えているにもかかわらず34歳以下の就業者の割合が減っているのはこの年代で退職する人が多く、新規学卒者の就業が多少増えたぐらいでは穴埋めできていないということなのだが、日本の製造現場の1割近くは高齢社員によって支えられていて、製造業の65歳以上の就業はここ5年間で上昇カーブを描いているという。高齢者の就業が進んだことで34歳以下の割合がより下がって見えている面もあるという。専門家も日本のものづくりは危機にさらされていると実感してようで、「ものを実際に作っていない中間会社が儲かってたりします。実際にものづくりをしている技術の人たちがちゃんとそれに見合った収入になるように、国が規制をかけるべきだと思います」と警告している。
2023年01月22日
コメント(0)
第8波が落ち着き始めたことを踏まえ世論の理解を得られると判断した岸田文雄首相は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを現状の「2類相当」から、季節性インフルエンザと同等の「5類」へ引き下げる方針を固めた。今春の移行を視野に関係閣僚協議で具体的な検討を指示おこなうという。「新型インフルエンザ等感染症」の位置付けを変更することで医療や社会活動に関する制限措置が緩和されるわけだが、4年目に入った感染防止対策はコロナ禍からの社会経済活動の正常化に向け大きな転換点を迎えるという。このように5類への移行を急ぐ背景には防衛費や子ども予算の増額を控える中、100兆円超をつぎ込んだコロナ対策費に歯止めをかけ財政負担を軽減したい狙いがあるといわれている。 コロナのリスク評価をしてきた厚労省専門家会議も「段階的に移行すべきだ」との見解を表明し事実上のお墨付きを与えており、官邸幹部は「移行の舞台は整った」と受け止め5類移行はウィズコロナを掲げる岸田首相の悲願だとされ、記者会見などでも「今年こそ平時を取り戻す」と繰り返し強調してきたという。コロナ対策の局面転換を図ることで政権浮揚の足がかりにしたい思惑も官邸内に見え隠れするが、莫大なコロナ対策費は過剰な補助金などに関する必要性や費用対効果についてたびたび指摘されてきたこともあって、政府は移行に伴い医療費やワクチンの公費負担など国が負担してきた各種対策も段階的に縮小していく考えで、昨年末に増額方針が決まった防衛費への転用というスリム化策がうまくはまったという。 マスク着用をめぐっては政府が昨年5月に「基本的対処方針」を改定しており、屋外は会話をしなければ原則不要とした一方で、屋内については距離が確保でき会話をほとんどしない場合を除き着用を推奨してきたという。厚生労働省は現在マスク着用に関して屋外では原則不要だが屋内では距離が確保でき会話をほとんど行わない場合をのぞき着用を推奨している。しかし感染法上の分類を2類相当から5類に見直す今春にあわせてマスク着用も見直す方向だという。政府は症状がある場合や高齢者ら重症化リスクの高い人以外は原則不要とする方向で検討しているそうなのだがコロナは80%以上がエアロゾル感染だと欧米の先進医療機関が発表し検証もされたとだいぶ前に発表されているそうなのだ。 マスク不要を歓迎する声も多い一方で感染後の後遺症について、睡眠障害を訴える人の割合がオミクロン株ではデルタ株などに比べて2倍超になったという岡山大病院の研究もあるといわれており、東北大災害科学国際研究所の児玉栄一教授は「政府が『原則不要』とすると、これまでとは逆に着用を続ける人が批判されたり肩身が狭くなったりするなど、分断を生む懸念もある。コロナ前と同様に、個人やその場の判断に任せる空気にするためには、政府はマスクに関する議論より、『コロナはインフルと同等』というメッセージを強調した方が有益ではないか」と指摘しているが、この事態に倉持呼吸器内科院長の倉持仁医師がツイッターを更新しマスクの着用緩和について「誰得なのですか」とつぶやいたそうなのだ。 5類に移行すれば医療費などの公費負担の法的根拠がなくなることから「2類から5類移行は医療機関の儲けにならないから反対なんだろという指摘は論外です。補助金だけの所も論外」とも語ったいる。そのうえで倉持呼吸器内科院長の倉持仁医師は「2類相当の現状でも基幹病院になると重症以外は中々入院できない。2類・5類は保健所がどう管理するかの話だけで医療供給体制とは関係ありません。5類反対が医療機関に対して金儲けは的外れです」としていて、コロナ治療の最前線にたつ医師の立場から現状をふまえていわれなき中傷に怒りを示したという。政府の方針でもいきなり公費負担なしにするのではなくて段階的に公費負担なしに向けて縮小していくことを検討しているという。
2023年01月21日
コメント(0)
愛媛国体開催に向けて事業が始まったJR松山駅付近連続立体交差事業で、JR四国は架道橋2カ所で設計に誤りが見つかったため、高架への切り替え時期を当初の来年度中から2024年秋ごろに見直すと発表した。愛媛県も完成予定の事業に影響が出るとの見通しを示しているというが、JR四国によると誤りは昨年8月に判明していたそうなのだが、工事の設計に誤りが見つかったのは駅の南側で工事が進められている2つの架道橋だという。松山市南江戸1丁目の三番町架道橋は設計図で橋脚の基礎となるくいの座標値を誤ってしまい、橋脚2本を西側に50センチと東側に80センチずれた位置に構築してしまったという。お粗末なことに橋桁架設前に橋脚の位置を確認していた業者が測量中に気付いたという。 橋脚の梁を取り壊し再設計した位置で再構築に着手したのだが、他に同様の問題はなかったとしている。また近くの千舟町架道橋は設計時に橋桁の自重によるたわみの計算を誤り本来と異なる寸法で橋桁を製作。架設方法を検討していた業者が気付いたそうで、工場で橋桁の矯正を完了していて架設に向けた準備に着手しているという。私も長年建設業界で土木工事を従事してきたのだが、日本の土木技術や発注者の技術レベルの低下は止まらないということみたいだ。設計ミスや施工ミスは私が現役だった昔でもあったのだがそんなに数は多くはなく、今回のような高架橋の工事では橋脚位置と高さを間違わなければ簡単な工事なので、技術者のレベルが低いために確認作業を行っていれば防げるミスだという。 こうことを言うと「照査は行っている」と言うだろうが、彼らが行っているのは同じ方法で確認を行うために同じミスをするのでミスを見つけることが出来ないのだかれ、違う方法で確認すればすぐにミスが見つかるのにマニュアルにそのようなことは書いていないため誰も知らないのが原因だといわれてきた。当然日本中の工事現場も同レベルなので同じミスをするだけでなく死亡事故も多発するとの指摘も納得するしかないのが現状のようなのだ。資格は簡単に取れ実務経験もないのに人手不足なのですぐに監督になる異常な状態が続いているのが実態だという。ミスの影響による追加工事の費用は愛媛県などの事業費から出されることはないというが、JR四国では「今回の事態を重く受け止め、鋭意工事を進めてまいります」としている。 およそ2.4キロの区間の高架化を目指し進められている工事は7つの工区のうち3つの工区で高架橋本体が完成しているが、今回のミスによって高架への切り替えが遅れることで新しい駅舎の開業時期にも影響が出るという。このJR松山駅の高架事業は、当初は「えひめ国体」までの完成が目標とされていましたが愛媛県の財政難を受け断念していたもので、この時も亡くなった加戸前知事とその時松山市長だった今の中村知事が、費用按分の件でもめたとのことが言われている。その後14年前から工事に着工したそうなのだが、用地の取得が難航しただけでなく、移転地の埋蔵文化財調査に不測の日数を要したなどから、3年前の完成予定から大幅に遅れてしまい、今回のミスで再度遅延するいわくつきに事業となっている。 松山駅周辺の高架化および土地区画整理事業に伴い松山駅に併設されていた現車両基地・貨物駅を移転し令和2年3月のダイヤ改正に合わせ供用している新車両基地・貨物駅は、伊予市上野から伊予市上三谷・松前町鶴吉までの区間に延長約1.3kmの面積約6.3haの規模で整備され、北伊予駅では列車の行き違いや追い越しに備えるための待避線1線約0.5kmを増線している。この新車両基地・貨物駅は上三谷篠田・鶴吉遺跡の埋蔵文化財があってその発掘調査を実施しなければならなかったという。上三谷篠田・鶴吉遺跡は縄文時代から室町時代にかけての複合遺跡で何年にもわたっての調査となり、車両基地・貨物駅と交差する伊予市道や松前町道だけでなく鉄道工事にも大幅な遅れが出たそうなのだ。
2023年01月20日
コメント(0)
60歳代というのは現役生活から年金生活への大切な移行時期にあたるのだが、「60代の生き方が、その後の老後生活を決定づける」なんていわれており、人生が大きく変わっていくターニングポイントといっていい時期をどのように過ごすか、そしてどうやって過ごしたかがその後の生活を決めるという大事な時期なのだという。この時期が会社員などの人は退職を迎える年となっているのだが、現在は定年退職といっても完全に仕事を辞めるわけではなく、再雇用ということで一度会社を辞めることになっても再度同じ会社に勤める人も多いという。雇用形態としては嘱託社員とか契約社員というのが多いのだが、これだと役職もなくなり給与も大きく下がることになるが、もっとも大きな変化は「働くという意義」だという。 高齢化の進む日本では年金だけでは生活が苦しいという人も多い中で、シニアが働くのは珍しくない時代となってしまっているが、総務省「国税調査」より計算すると70歳就業率は男性で45.7%の女性で29.4%となっているそうなのだ。自宅で仕事をしているという77歳の女性は持ち家のマンション暮らしなのだが、管理費なども必要で月に約6万円の年金だけでは足りないと語り、「 ほんのちょっぴりの年金では、毎月のそういう管理費な)を払うのに、やっぱり何か仕事をしていたいと思うよね。毎日どうしよう、どうしようと思いながら暮らしてます。こんなに長生きするつもりじゃなかった」という。そのうえで「何歳まで働きたい」という問いには「一応、80歳ぐらいまで頑張ろうかなと思っていつ」と回答しているという。 ここで重要なのは表面的な変化ではなく変化の本質に気付くことなのだが、それまでは「家族のため」とか「子どもたちのため」・「そして会社のため」などということが働くことの意味だったかも知れないのだが、ところが60歳以降はおそらく子どもたちも独立しているし、また会社でも嘱託・契約社員という立場に変わり会社のためという意識も薄れてきてしまうという。60歳以降はまさに「自分のために働くこと」がその意味になるそうで、つまり「働く」という意味を自分の中でもう一度問い直すときなのだという。ひいては「自分がやりたいことって何か」などということを考える時期であり、、年金の受給が開始されることもあって働く意味の中でもっとも大きいのが「お金のため」というものからはある程度開放されるようになってくるという。 年金だけで老後の生活を送るのは難しく平均としては月に6~7万円ほど稼ぐと支出と収入のバランスがとれるといわれるが、現役生活と年金生活の間の時期がこの60歳代だとされ、この間に年金だけでも困らないような生活レベルに持っていくようにする必要があるという。ずっと現役生活と同じような生活レベルを続けてしまい年金だけの生活になったときに収支のバランスが取れずにあっという間に老後資金が無くなったという「貧乏老後」の話はよく聞くのだが、この時期に生活のダウンサイジングをして生活レベルの見直しをしなくてはならにという。年金生活になって一気に生活レベルを落とすのは難しいのなのだが、60歳代というこの期間が年金生活への助走期間と考えて行動するべきだという。 どのくらいの収入を得る必要があるのかについては年金の受給金額によっても異なるが、年金生活になったときに多くの人は時間を持て余してしまうといわれている。そこで60代では自分の「やりたかったことそして「これからやりたいこと」などにチャレンジする時間だという。仕事を完全に辞めてからではなくこの時期に行動をすることが重要だそうで、「リカレント教育」とか「ボランティア」に「地域活動」なんでもいいそうで、もちろん起業するのもありだという。とにかくチャレンジでよく失敗しても自分のためなのでまずはチャレンジだという。このチャレンジがその後の老後生活を楽しく過ごせるかどうか決定づけることに繋がっていくそうで、長寿の時代だからこそこの60歳代の生き方が重要になってくるということのようなのだ。
2023年01月19日
コメント(0)
原発をめぐる政府の方針が大きく変わろうとしていて、原発の運転期間を原則40年とする「40年ルール」を緩和する動きが出ており、この「40年ルール」は福島第一原発の事故後に老朽化した原発を運転させない目的で定められてる。経済産業省は「40年という運転期間は一つの目安で、明確な科学的根拠はない」としており、原子力規制委員会も「40年は規制基準の唯一の選択肢ではない。どのくらいの期間の利用を認めるかは原子力利用の政策判断であり、原子力規制委が意見を述べるべきでない」とするして見直しを容認している。原発を長期間運転して老朽化すれば原子炉や配管が劣化し事故のリスクが懸念されていて、原子炉施設の劣化による運転開始から40年が過ぎた「老朽原発」に安全性の懸念は高いという。 原発の「40年ルール」は民主党政権下に野党だった自民党も賛成し原子炉等規制法を改正して定めたのだが、原発の運転期間は原則40年とし電力会社の延長申請を原子力規制委員会が認めれば1回だけ20年延長できるというものとなっている。原発の運転期間の見直しに動いたのは岸田文雄首相が「次世代革新炉の開発」などと並び「安全性の確保を大前提に運転期間の延長など、既設原発の最大限の活用」を検討するよう指示したからだといわれている。これを受け経済産業は原子力規制委の会合で「利用政策の観点から運転期間の法的整備を進めたい」と見直す考えを表明し、。西村康稔経産相も「運転期間のあり方と、必要となる制度整備については、資源エネルギー庁の審議会で議論している」と述べたという。 若狭湾に面した福井県美浜町にある関西電力美浜原子力発電所なのだが、その美浜原発3号機が本格的な営業運転を再開しており、美浜原発1号機は1970年に2号機は1972年に運転が始まり7年前には廃炉が決まっているという。美浜原発3号機は1976年に運転が始まり、まもなく46年を迎えるが、「40年ルール」ができてから40年を超えて稼働する原発は国内で初めてだったそうなのだ。発電所に近い竹波地区ですし屋を営む澤田忠義さんは竹波地区の区長も務めていて原発に対しては複雑な感情をもっており、「原発には不安はありますよ。だって、そこにあるんだから。何が起きるかわからないという思いはあります」としたうえで、「原発の恩恵を受けた面もある。でも、怖さもある」と語っている。 美浜原発3号機は運転開始から40年が経っても「例外的に」20年の運転期間延長認可が出たのだが、関西電力美浜原子力発電所で始まった老朽原発の再稼働だが各地で同じ動きが出始めているという。きっかけは政府の「グリーントランスフォーメーション実行会議の場で岸田文雄首相は「原発の運転期間のルールの見直し」と「次世代革新炉の開発・建設を進めること」の検討を加速するよう指示し、これまで抑制的だった原発政策を大きく転換させたという。経済産業省が行った論点整理では「多くの国では運転期間の上限はない」をはじめ、「米国では80年延長認可を取得した原子炉は6基」や「40年は一つの目安であり、明確な科学的な根拠はない」などと従来とは打って変わって運転長期化を支持したという。 さらに原子力規制委員会では運転30年超の原発について「10年ごとに審査・認可し、60年超も可能という」新制度案が示されたのだが、この案では年限自体に縛りがなくなってといわれている。確かに「40年」という期間は一つの目安に過ぎないが、当時もその点を議論した末に法改正がなされていて、圧力容器の中性子の照射による脆化などを挙げ「原則として 40 年以上の原子炉の運転はしない。経年劣化の状況を踏まえて、延長する期間において安全性が確保されれば例外的に運転を継続するが、極めて限定的なケースになる」と述べている。老朽原発を60年の運転期間を超えても動かし続けるという判断をするならば、「なぜ10年前に『40年ルール』を作ったのか」という検証も含めて国会での議論が必要だという。
2023年01月18日
コメント(0)
昨年の12月に日銀が長期金利の変動幅を0.25%から0.5%に修正し、これは事実上の利上げであるというが、すかさず市場は「株安」・「円高」へと反応している。金利が上昇すると不動産価格は下落する傾向にあって、金利や不動産価格の変化は購入希望者に売却希望者の双方に大きな影響を与えるという。インフレは売るものが足りなくなって価格が上昇したり労働者が足りなくて賃金が上がったりするなどの理由で起こるのだが、インフレを抑えるために金利を上げるとお金を借りる人が少なくなるので大きな買い物を控えるようになる。大きな買い物が控えられるとものと労働者の不足が緩和されるため物価の上昇が抑えられる傾向になり、そのためインフレになると金利を上昇させるのが一般的な政策だといわれている。 日本も例外ではなく原油価格の上昇であらゆるものの価格が上昇しており、このような状況のため今まで続けてきた日銀の「異次元の金融緩和」が終了し、今後は金利が上昇する可能性が高いといわれている。金利が上昇すると金利と不動産は株式や外為ほどではないにしろ連動関係にあるため、当然住宅ローンの金利も上昇するという。月々の返済額が増えるため住宅を買い控えるようになり不動産が売れなくなるだけでなく、不動産の購入予算を月々の返済額で決めたとすると住宅ローンの金利が上昇することで借入可能額が減少し、そのため不動産価格が金利上昇前より低くないと売れない状況になるとされ、このように住宅ローン金利の上昇が原因で不動産の価格が下落すると考えられているという。 日本銀行の総裁はこの4月に交代するのだが、長らく続いた黒田東彦総裁による異次元金融緩和もそれによって終了するのが確実になっているそうで、日本も4月以降に金利が上がり始める可能性が高いという。日銀が決める政策金利が上がると住宅ローンの金利も引き上げられるのだが、アメリカでは30年返済の住宅ローン金利が7%になっており、すっかり住宅が売れなくなっているという。お隣の韓国でもアメリカの金利上昇に合わせて金融引き締めを行った結果、マンション価格が下落してちょっとした混乱が生じているという。日本も同じような軌跡をたどるのかが心配されるが、日本はアメリカほど急激には金利を引き上げられないだろうが、「史上最低水準」ではなくなり、過去6年間に比べると明確に高くなるだろうという。 またマンション市場をバックアップしてきた住宅ローン控除が縮小されており、人件費の高騰から管理費や修繕積立金はインフレ状態となっている。さらにタワマンの高層階購入による相続税の軽減効果も徐々に怪しくなってきており、世界的な不動産市場の低迷でこれまでのような外国人の購入も今後は細りそうだという。今年のマンション市場はアゲンストの風が強く吹きそうなのだが、なかでももっとも強力なのが、この金利の上昇で住宅ローンやアパートローンの金利が上がれば市場に対しては明確な下落圧力となるという。まずは不動産の取引数が減少していきそれが何カ月か続いた後多くの人に下落が認知できる状況となるというが、マンションの価格が「下がった」という状況がみえてくるのは早くても今年の後半だろうという。 長く続いた「史上最低金利」によって今のマンション市場には投資や投機や相続税対策が目的の買い手がウヨウヨしていて、彼らは基本的に「住むため」に購入するわけではないことから都心や湾岸のタワマンなどは誰も住んでいない空室がかなり目立っているという。賃貸用不動産のほとんどは不動産投資用のローンの変動金利を使って購入するが、金利が上昇すると月々の返済額が増え家賃が今までと同じであれば月々の返済が増える分利益が減ってしまうという。利益が減ってしまうとオーナーは売却を検討するようになり、市場が下落期に入るとそれらの住戸が順次売却に回され、それがまた市場への下落圧力になるという。「山高ければ谷深し」と言うが、今年の後半から始まるマンション市場の下落期はちょっと深刻になるという。
2023年01月17日
コメント(0)
人間が生きるために必要な最低限の塩の量は1日にわずか1g~3gだというが、日本人は平均で1日10.1gの塩を食べていて、減塩みそに減塩バターと塩はとかく悪者扱いされ塩を減らすのが健康的だと信じられている。厚生労働省も長年にわたって「塩分を減らせ」といいつづけてきていたのだが、これは世界共通の事情で世界保健機関からも減塩をすすめるガイドラインが出ているそうなのだ。イギリスでは減塩食品の普及によって1日の食塩摂取量を平均で1.4g減らすことに成功し脳卒中や心臓病による死亡率を大きく減少させたというが、医学的には人間は本来1日1~3gの塩分さえあれば十分に生きていけるばかりか、高血圧をはじめとする病気のリスクに悩まされることもないという事のようなのだ。 塩で血圧が上がり血圧が上がると心筋梗塞や脳卒中になり早死にしてしまういうが、逆に塩を減らしすぎることで問題は起きないのかというと、まだ医学的な結論が出ていませんという。ある研究では塩分摂取量が少なければ少ないほど死亡率が下がるという結果が出ているものもあれば、別の研究では1日4g未満になると死亡率が上昇するという報告もあり、研究者の間でいまも議論が続いているというのだ。慎重な立場をとるならば1日4g未満の減塩には注意が必要ということになるようなのだが、何にでもしょうゆや味噌を使う日本人の食生活を考えればそこまでの厳格な減塩を達成できる人のほうが少ないという。つまち減塩のしすぎについてはそれほど心配する必要はなさそうだということのようなのだ。 ところがこのお話よく見るといろんなところがおかしいとされていて、たとえば減塩の目標値があまりに厳しいうえに人によってぜんぜん違っているという。厚生労働省は成人男性で1日7.5gに女性では6.5gとしているが世界保健機関の目標は5gだという。そこで不思議なのがこれほど全世界で塩を減らせ減らせといっているが、日本人は塩をたくさん食べているのになぜか日本人が長生きだという事実だという。日本人の健康は塩で押し下げられていて塩を世界標準にまで減らせばさらに突出して長生きになるのかというが疑問だという。血圧は測りやすいので研究データも豊富にあることから減塩の目的は血圧を下げることだとしても、本当に血圧を下げることで心臓や脳の病気を防ぐことになるのか疑問だという。 高血圧の研究のなかでは人種によってつまり白人と黒人とアジア人は体が違うので高血圧治療の効果も違うのではないかと考えられていた歴史があって、そうした背景から一部の研究では人種を区別して結果が報告されているという。そしてこの調査でも人種を区別して減塩の効果が解析されており、白人では1日11.8gの塩を4gに減らすことで上の血圧が1mmHgほど下がっていたそうで、黒人では4mmHgほど下がっていたという。アジア人では1.5mmHgほどだったのだが、ただし誤差を考えるとじつは上がるのかもしれないとされていて、減塩で血圧が上がるのか下がるのかはわからないという結果だったという。アジア人が減塩をしても血圧が下がるとはいえないそうで、医師も「減塩で血圧は下がらないんですよ」という。 減塩では血圧は下がらないことがわかったのだが、そもそもなぜ血圧を下げたかったのかというと心筋梗塞や脳卒中を防ぎたいからで、たしかに血圧を下げる薬の試験で血圧を下げれば心筋梗塞や脳卒中を先送りにできることが証明されている。減塩をしても血圧は下がらず血圧が下がらないので病気を防ぐこともないという。ただし少し例外があって、減塩の効果は血圧が高くない人についてのデータなのだが、同じ調査ですでに高血圧と診断された人は減塩をすると7mmHgくらい下がるという結果が出ているという。もともと血圧が高くない人では減塩をしても血圧は下がないのだが、それに対してもともと高血圧の人では、減塩で血圧が少し下がるという結果はあるが、大した効果はないというのが研究結果のようなのだ。
2023年01月16日
コメント(0)
私も節約のために賞味期間切れ近くの食品を買うことにしているのだが、ブックオフコーポレーションは賞味期限の3分の1を超えてしまい商習慣により行き場を失ってしまった加工食品などをお手頃価格で販売するショップを楽天市場内にオープンし、近い将来廃棄されてしまう加工食品を通常価格より安い価格で提供しているという。箱買いでまとめて購入することもできるそうで、賞味期限が間近になってしまっている食品だけでなく、お中元やお歳暮などのギフトセットに季節外れなどの理由によりまだ食べられるのに行き場を失い、やむを得ず廃棄されてしまう食品を手ごろな価格で提供するとともに、過剰在庫や処分に困る業者を支援しフードロス削減を通じてサステナブルな社会の実現を推進するとしている。 農林水産省発表の資料によると廃棄物処理法における全体の食品ロスは522万トンと言われており、522万トンというとあまりイメージできない重さだが、キログラムに直すと52億2千万キログラムで10kgのお米が5億7千2百万袋分の計算だという。これは世界全体が援助している食料の量の約2倍に相当するらしく、一般廃棄物処理費用は年間2兆円にも及ぶそうで環境負荷がかかりながらも経済的にも非合理的な現状となっているという。日本の消費者はこと食品において世界的に見てもかなり厳しく品質を求める傾向があるとされ、それは生食を好んで食べてきた歴史が影響していると言われており、美しい文化であるとともに自分たちに厳しいルールを課して食品廃棄物を増やしてしまった側面もあるという。 ただし日本は対人口比で見たとき食品廃棄量は世界各国と比較してそれほど多いわけではないというのだが、食品流通の世界には3分の1ルールというものがあって、3分の1ルールとは製造日から賞味期限までの合計日数の3分の1を経過した日程までを納品可能な日とし、3分の2を経過した日程までを販売可能な販売期限とする商慣習的なルールだという。近年はこのルールが「期限に合理的根拠はなく、食品や資源のムダにつながる」という理由から見直しが検討され少しずつ改善に向けて動きがあるのだが、こういったルールの見直しは「こんなに賞味期限が近い商品を販売している」といった印象を持たれるのでないかとイメージダウンが懸念されるものとなっていて容易なことではないという。 この懸念の根幹は消費者の期限に対する意識から来るものなのだ、やはり消費者が正しい知識を持って「もったいない」とか「まだ捨てるべきではない」と自ら商品を評価・判断していき、意識改革をしていくことが食品ロスを減らす一番大きな力となるという。本来は食べられるのに捨てられてしまう食品であるフードロスを減らそうと、自治体だけでなく市場やレストランなどさまざまな場所で取り組みが行われており、世帯や個人単位でもフードロスに対して意識的になる人が多いなか有名ファストフードチェーンのある店舗でドーナツを大量廃棄していることが発覚したそうなのだ。ただし売れ残りに関しては単純に「誰かが食べれば無駄にならない」とも言えず難しい面もあるが、「フードロス問題を助長している」と批判が集まっているという。 アメリカのドーナツファストフードチェーンで働く18歳の男性店員が、自身の動画サイトに一本の動画を投稿したのだが、閉店後に売れ残った100ドル分のドーナツを大量廃棄する様子が捉えられていて、「売れ残りを食べるとクビになる」や「アメリカは魔法の国」と皮肉なキャプションを添えているというのだ。すると「こんなことを指示するマネージャーがいるなんて信じられない」など、売れ残った商品に関するオペレーションを改めるべきという意見が数多く寄せられたという。そのドーナツ店の公式サイトによると「食品寄付の規制がある店舗を除き、終業時に食品を寄付するかどうかは、各店舗のオーナーの裁量に任されている」というが、捨てられたドーナツはもう戻ってこないが、これをきっかけに会社全体としての変革が求められそうだという。
2023年01月15日
コメント(0)
外国為替市場で円相場は一時1ドル127円60銭台まで円高が進んだそうなのだが、これは日銀が来週に行われる金融政策を再び修正するとの思惑が広がっていることなどが要因だというのだが、外国為替市場では日本時間の昨日午後に一時1ドル127円60銭台をつけたそうなのだ。このことは去年5月以来およそ8か月ぶりの円高水準で、日銀が来週開く金融政策決定会合で追加の政策修正に踏み切るのではないかとの思惑が広がり、金利が上昇し日米の金利差が縮小するとの見方が強まったことでドル売り・円買いが進んだという。円相場は去年10月に一時1ドルが151円台まで円安が進んでいたのだが、そこからおよそ3か月間で24円近く円高ドル安になっているが円高というよりドル安だという。 米国の消費者物価指数の伸び率が6か月連続で鈍化したことを受けて外国為替市場で円相場は一時1ドルが128円台まで円高となったが、アメリカの去年12月の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べて上昇率が6.5%となり、上昇率は6か月連続で前の月を下回っておよそ1年ぶりに6%台にまで下がっている。この発表を受けて外国為替市場ではアメリカの連邦準備制度理事会が利上げのペースを緩めるとの観測が強まり、去年6月以来およそ7か月ぶりの円高水準となったそうなのだ。依然高止まりしているとはいえ米国のインフレ率は明確に減速しており、アメリカの連邦準備制度理事会が目標とする2%には相当な距離があるが、それでもパニック的な状況ではなくなりつつあるという。 この円高・ドル安に関して元日銀政策委員会審議委員で野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は「年の半ばにかけて、円高のペースが上がる。一時的には111円台に入る可能性もある。年末にかけては若干戻して120円程度になると予想している。一方で、ドル円レートの均衡水準は112円ぐらいで、年内にはそこまではいかないと思っている。例えば来年に日本銀行が本格的な金融政策の正常化に動くことになると、それを織り込んで来年には均衡水準が112円にまで達する可能性がある」としてうえで、日軍の黒田総裁は4月に任期満了となるが「総裁の交代で日銀の政策は変わるのか」という問いに、「政策が変わる可能性は高い。明らかに政策が修正または正常化の方向に向かう」としている。 円相場は米連邦準備制度理事会と日銀の金融政策の行方がカギを握るとされるが、日銀が来週に行われる金融政策決定会合で再び政策を修正するのではないかとの思惑から金利上昇圧力が高まり、日銀が1日で5兆円を超える大量の国債を買い入れたことがわかったという。大量の国債を買い入れは2日連続で過去最高を更新していて、日銀は先月に大規模な金融緩和策を修正して長期金利の上限を引き上げている。市場では日銀が来週に開く金融政策決定会合でさらなる修正に踏み切るのではないかとの思惑が広がっているそうで、特に債券市場では国債を売る動きが広がり長期金利の指標となる10年物国債の利回りが上昇していて、日銀が上限とする0.5%を超え一時0.545%まで利回りが上昇している。 日銀は金利の上昇を抑えようと幅広い年限の長期国債を大量に購入していて、買い入れ額が5兆円以上と2日連続で過去最高を更新したという。日銀は来週に金融政策決定会合を行うのだが金利上昇圧力が強まる中でどのような対応をとるのか市場の関心が集まっている。現行の異次元緩和の基本的な枠組みは黒田総裁の任期満了まで維持されるというが、しかしながら次期総裁のもと政府と日銀が定めた共同声明について早々に見直しが行われ、2%の物価上昇目標を柔軟化すると予想されている。長期金利の上昇は住宅ローンなど借り入れ金利の上昇に波及するが預金金利は変わらないとされていて、政府は「貯蓄から投資へ」の錦の御旗を掲げていて元本保証の預金金利の上昇は好ましくないと考えるからだという。
2023年01月14日
コメント(0)
血液はA型・B型・O型・AB型の4タイプに分けられるのだが、以前は血液型と性格は関係しているという説を会話のきっかけにする人がたくさんいたという。たとえば「A型は神経質で真面目な性格だ」とか「O型には大雑把な人が多い」に「B型の人の性格はマイペース」・「AB型は変わり者ばかり」などといった感じで、こうした主張が日本で信じられていたのには1970年台に『血液型人間学』と称する一般書がベストセラーになったという背景があるという。たいていの人は誰でも大雑把な部分を持っていますから「O型のあなたは大雑把な性格ですね」などと言われると血液型に関係なく当たったように感じるもので、血液型と性格の関連を正確に知りたいのであればこうした思い込みを排した科学的な研究が必要だという。 今ではとても考えられないことなのだが、血液型人間学ブームのころには血液型を教育や人事に活用する事例すらあったそうで、血液型人間学や血液型診断などは「科学」ではなく「占い」の類いなので日常生活では血液型を話題にするのも避けたほうがいいという。仮に「O型には大雑把な人が多い」のが事実だとしても、目の前にいるO型の人が大雑把かどうかはわからないのだが、それなのにO型だからと大雑把な人に向く仕事を割り振るのは偏見に他ならないという。血液型人間学が科学であろうとなかろうと血液型によって扱いを変えるのは差別だということにほかならず、血液型人間学や血液型性格診断も同じことで今では「ブラッドタイプ・ハラスメント(ブラハラ)」という言葉もあるくらいだという。 血液型と性格の関連は存在しないか存在したとしてもきわめて弱いもので、人間関係に役立つほどの強い関連が存在するならばとっくに実証されているという。「自己成就予言」といって生物学的に血液型と性格の関連がなくても、「O型は大雑把な性格だ」という情報に触れ続けそう信じる人が多い社会においては、血液型と性格に関連が観察される現象が存在するという報告もあれば観察できなかったとする報告もあるという。存在するという報告でも何千人とか何万人を対象としてやっと差が出るかどうかの小さい関連で、人間関係に役立つほどの強い関連ではないそうなのだが、ただし血液型が特定の感染症と関連しているという話もあり、血液型と感染症の関係は血液型と性格との関係よりもずっと興味深いものだという。 とくに胃腸管においての関連は以前より知られていてたとえばO型の人はノロウイルスに感染しやすいという研究があるのだが、ただしその関連は強いものではなくおおむね1.3倍程度だという。O型でなくても感染するときはするしO型でも感染しないときはしないのだが、新型コロナウイルス感染症と血液型の関連も調べられているという。A型は新型コロナの感染や重症化のリスクが高くO型は保護的に働くとする研究が多いそうで、関連は観察できないとする研究もあるという。研究の結果が割れるのは関連があったとしてもそれほど強くないことを示しているそうで、A型が新型コロナに感染しやすいとしても2倍も3倍も感染しやすいということはないことから、これくらいの小さな差は実地臨床には影響しないという。 私たちの血液の約90%は水分でほかに赤血球・白血球・血小板といった血球成分や、アルブミン・グロブリンといったタンパク質が含まれていて、それぞれの血液型の赤血球を調べるとA型には「A抗原」にB型には「B抗原がAB型には「AとBの両方の抗原」があり、O型にはどちらの抗原もないという。血液を凝固させて血小板や凝固因子を除いた血清を調べると、A型にはB抗原に反応する「抗B」、B型にはA抗原に反応する「抗A」O型には「抗Aと抗Bの両方」の抗体があり、AB型にはどちらの抗体もなく、A型の人にB型の血液を輸血すると、A型の人が持つ「抗B」抗体が、B型の赤血球の「B抗原」と反応して赤血球が壊れるといった重大な副作用が起こるため、輸血は血液型を合わせて行うそうなのだ。 A型の人が新型コロナに感染しやすいのが事実だとすると、A型の人が持たない抗A抗体が関係しているのかもしれないのだが、新型コロナウイルスにはA抗原に似た部分があって抗A抗体がウイルスにくっついてA型以外の人の感染を妨げているといった仮説が考えられているそうなのだ。ただしそれほど単純なことではなく、抗体だけに注目すると抗Aも抗Bも作るO型が一番感染症に強いはずですがノロウイルスに対してはそうではないという。実際の血液型と感染症の関係は複雑だからこそ多少の関連はあったとしてもその影響は小さく、もっとも医学的には自分の血液型を知っておく必要はないという。あえて言えば「O型の血液が不足しているので献血を」といった呼びかけに対応する時くらいだということのようなのだ。
2023年01月13日
コメント(0)
老人専門の総合病院に勤務している医師によると、コンピュータ断層診断装置でX線を利用して体内の状態を断面像として描写する検査や磁気共鳴画像診断装置で強い磁石と電波を利用して体内の状態を断面像として描写する検査などを使って撮影した脳の写真を見ると、高齢者の脳は多かれ少なかれ縮んでいて歳を取って縮んでいくのは自然なことだという。脳全体の縮み方には医学的なデータがあって一律に同じ割合で縮むのではないことがわかっているそうなのだ。脳の中で記憶を司るのは海馬という部分なのだが物忘れがひどくなった人の海馬を注意して見ても必ずしも萎縮しているわけではないというが、ただ早くから縮む部位があってそれが脳の前方の部分である前頭葉だという。 前頭葉の機能には未知の部分が多いが意欲や創造性を担っていると考えられおり、前頭葉に脳腫瘍や脳梗塞が発生したり事故などで損傷したり場合意欲が失われたり、感情や思考の切り替えができなくなってしまうという。つまりものごとの段取りを考えるとか創造性も欠如するようになるという。前頭葉が老化すると意欲を持ってものごとに取り組んだり自分で考えをまとめたりすることが苦手になってくるといった変化が現れ、側頭葉なら左側は言語の記憶や理解に関係していてこの部分が脳梗塞になると人の話がまったく理解できなくなる感覚性失語と言われる症状が現れるという。前頭葉の場合知能はとくに変化せず驚き・怒り・悲しみ・喜びといった感情に変化が目立ち、すなわち前頭葉が衰えると老け込んだ人間になりやすいという。 「脳トレ」で一躍有名になった東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授は、前頭葉の血流を増やすために単純な計算や音読を勧めているが、読み・書き・計算を毎日反復練習する「学習療法」を提唱しており、前頭葉が刺激され記憶力を鍛える練習はしなくても物忘れが改善されたりするという。一般論から言うと老化の予防とは前述のようにその部位を使うことなのだが、前頭葉はどうやって使えばいいのだろうかというと、実は人は前頭葉の機能を欠いても生きられるがこの部分がないと人間らしくなくなってしまう。動物の脳と比較すると人間は異様なほど前頭葉が発達しているそうで、前頭葉は決まりきったルーティンの状況ではあまり使わないが、仕事でも家庭でも毎日同じ作業を繰り返している限り活動は低調だとされている。 ところがある日突然に奥さんや恋人とは別に好きな女性ができて、「この女性とどこでデートしようか」とか「どう喜ばせるか」とかいろんなことを考えると、つまりルーティンではないことをするときに前頭葉は俄然働き始めるという。日常生活を安穏に暮らしていると前頭葉を使うシチュエーションがあまりないそうで、エリートコースをずっとたどり毎日のルーティンワークをこなしていればすむような仕事を続けてくると、前頭葉への刺激がほとんどないまま40代・50代を迎えることも起こり、こうした人は脳の老化が速いという。その反対に波瀾万丈でハラハラドキドキするような状況では前頭葉が活発に働くという。前頭葉を使うというと端的な例は起業することだろうが勤めを持っている人には非現実的で、そうなるとネットで株式投資でもいいという。またいちばん感情を沸き立たせて、しかも結果が不確定という意味では恋愛も勧められるそうなのだが、中高年が本気になって暴走して家庭を壊してしまうのは本意ではないというが、もちろん風俗にも性ホルモンを若返らせるような効能はあるのだが、風俗などに行くよりは前頭葉の刺激には恋愛のほうがいいという。恋愛といっても浮気までするのではなくプラトニックでも何でもいいそうで、男女交えてワイン会を企画するとか異性と心をときめかせる機会を持つことも含めてということのようなのだ。前頭葉機能が衰えてくるにしたがってルーティンはルーティンとしてしか受け止められなくなってくるというが、代わり映えのしない日常はますます退屈なものになるものなのだが、そうなったときには強い刺激をあえて求める必要もあるという。
2023年01月12日
コメント(0)
物価高により賃金の目減りが一段と進んでいて厚生労働省の発表で昨年11月の1人あたりの実質賃金は前年同月比で3.8%減っており、11月としては過去最大の減少幅で実質賃金の水準も最低に沈んだという。消費者心理を冷やし個人消費には逆風となるが、政府は「物価高を超える賃上げ」を経済界に要請するが実現は容易でないという。岸田文雄首相は「連合は今年の春闘で5%程度の賃上げを求めている。ぜひインフレ率を超える賃上げを」と連合の新年交歓会でこう述べたが、5%の賃上げが実現しても物価上昇率の4%を超えないという。賃上げ率は年齢に応じ賃金が上がる定昇分が含まれるためで、定昇は賃金が上がる人がいても定年で激減する人もおり、それだけでは世の中全体の賃金は実質変わらないという。 厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査」や報道をまとめるとポイントは次のとおりだが、基本給や残業代などを合わせた11月の現金給与額の平均は28万3895円と前年比0.5%増で昨年の1月以来11か月連続の増加となっている。ただし一昨年の11月は2020年比1.8%増だったからマイナス1.3%も減少したことが痛かったという。最大の要因はボーナスなど「特別に支払われた給与」が1万4779円と前年比19.2%も減少したことなのだが、定昇分は一般に1.8%程度とされ「ベースアップ」の4%と足せば6%近い賃上げが必要となる計算になるという。昨年の春闘の賃上げ実績は2.2%で大幅な伸びが求められていて定昇を除く賃金の底上げ分「ベースアップ」だけで4%が必要になるという。 現金給与額(名目賃金)を正社員などの一般労働者とパートタイム労働者に分けると、一般労働者の平均は36万8358円だがパート労働者の平均は10万1888円で、前年比の伸び率は一般労働者が1.9%増から0.2%増に縮小したのに対し、パート労働者が1.5%増から2.2%増に拡大したことが目につくという。産業別では飲食サービス業の5.6%増を筆頭に鉱業・採石業等などが伸び全体を押し上げたのに対し、教育・学習支援業の3.5%減や製造業の2.0%減などが全体を押し下げたという。このように名目賃金の支給額は前年より伸びているのだが、物価変動を反映した実質賃金は消費者物価指数が前年同月に比べ4.5%も上昇したため前年同月比で3.8%の減少となっているというのだ。 物価高を超える賃上げができず実質賃金の前年割れが長引けば景気の低迷は避けられないのだが、実質賃金指数でみると3年前の平均を100とすると85.3となっていて14.7%ポイント減ったわけで、財布の中身が2年前より約15%軽くなったことになっているという。こうした事態をエコノミストはどう見ているのかというと、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏が春闘の賃上げについて、「インフレ率の政府見通しはプラス1.7%となっていてこれを春闘賃上げ率に換算すれば、ベースアップがプラス1.7%以上必要で、そこに定期昇給分が1.8%程度上乗せされますから、トータルで3%台後半以上の賃上げ率が求められることになるでしょうから、かなり高いハードルと言えるでしょう」と厳しい見通しを示している。 そのうえで第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏は「今年の家計負担は、昨年からさらに1人当たり1.9万円の増加になる可能性がある」という厳しい見通しを示している。今後も消費者物価が推移すると仮定すれば昨年のインフレ率はプラス2.3%に対して、今年のインフレ率はプラス1.9%に鈍化することになっているが、家計の1人あたり負担増加額は、昨年は一昨年と比べてプラス2.3万円となり4人家族で9.1万円増加しているのだが、今年はプラス1.9万円となり4人家族で7.9万円増加すると試算されている。インフレ率が鈍化するとはいえ今年の春闘の結果次第では家計の実質負担はさらに増えることになっていて、賃金はそれなりに増えているのに生活がどんどん苦しくなっていく事態になるという。
2023年01月11日
コメント(0)
厚生労働省が発表した昨年11月の毎月勤労統計調査によると従業員5人以上の事業所の1人あたり賃金は物価変動の影響を考慮した実質で前年同月比3.8%減だったそうで、減少は8カ月連続となり下落幅は消費増税後の9年前の4.1%減以来8年半ぶりの大きさになったそうなのだ。物価上昇の加速に賃金の伸びが追いつかない状況が続いていて、厚生労働省によると1人当たりの「現金給与総額」は前年同月比0.5%増となる28万3895円で11ヶ月連続の増加だったのだが、1~2%台の伸び率だった10月までを下回る結果となっている。産業別ではコロナ過の影響で落ち込みが激しかった飲食サービス業は現金給与総額が前年比で産業別トップの5.6%増となっているが金額は産業別で最低だったという。 「現金給与総額指数」と総務省が公表している「消費者物価指数」で算出した「実質賃金」は全体がマイナス3.8%で、一般労働者はマイナス4.1%にパートはマイナス2.2%となっているそうで、ボーナスの落ち込みや消費者物価指数が前年比4.5%上昇したことが響いている。物価の変動を反映させた実質賃金は前年同月比2.6%だし、減消費者物価指数は前月より0.1ポイント上昇し4.5%となり、労働者に賃上げの実感を鈍らせる結果となっているという。そこで物価高騰をきっかけとして従業員に対してインフレ手当の支給を実施または検討しているか尋ねたところ「支給した」企業は全体の6.6%だったという。それでも物価の上昇分は特別手当でなくベースアップとして賃金に反映するのが望ましいといわれている。 またインフレ手当を「支給を予定している」は5.7%「支給していないが、検討中」は14.1%となり合わせると全体の4社に1社がインフレ手当に取り組んでいるが、「支給する予定はない」は63.7%だという。既に支給した企業からは「物価の高騰が続き、社員やパート社員の生活が困窮しないように一時金を全従業員に支給」と、記録的な円安水準や原材料価格の高騰を背景に食料品などの値上げラッシュが続くなか、実質賃金の減少を補うために支給するとの声が聞かれている。また「物価高騰のなかで少しでも社員のモチベーションアップにつながればよい」とか、「食費・光熱費などの負担増は現実問題であり、人材流出の防止策としても実施する予定」というように、従業員のモチベーションアップや人材定着といった狙いもうかがえるという。 労働者の賃上げでは年の初めに経済3団体の新年祝賀会に出席した岸田首相は「想定されたトリクルダウンは起きなかった。賃上げが追いつかなければスタグフレーションに陥ってしまうと警鐘を鳴らす専門家がいる」と語ったのだが、「トリクルダウン」とは富裕層や大企業が豊かになればその恩恵が低所得層や中小企業に滴り落ちることを指し、岸田首相は名指しこそしなかったが安倍元首相の「アベノミクス」が目指し実現しなかったものは達成できなかったと示したのだという。帝国データバンクが実施した調査では物価動向などを理由に5割を超える企業で賃金改善を見込んでいるが、コスト上昇分をすべて販売価格に転嫁できず収益が低迷していることがベースアップや手当支給に踏み切れない1つの要因となっているという。 実質賃金の落ち込みは景気の下押し要因になることから政府は今年の春闘で企業に大幅な賃上げを呼び掛けており、このため政府は企業が価格転嫁しやすい環境の整備や賃上げを促す支援策の実行などが求められるのだが、岸田首相は「まず実現を目指すのは成長と分配の好循環の中核である賃上げ。能力に見合った賃上げこそが企業の競争力に直結する時代。日本労働組合総連合会は今年の春闘で5%程度の賃上げを求めており、ぜひインフレ率を超える賃上げの実現をお願いしたい」と強調したという。日本経済に関しては「コロナ禍からのリバウンド需要や、円安環境を活かしたインバウンドや輸出増加」など「日本経済の体質転換を図るうえで数十年に一度のチャンスを迎えているとの専門家もいる」と紹介したという。
2023年01月10日
コメント(0)
日銀は昨年12月の国債購入額が16兆1809億円だったと発表しているが、月間の購入額として過去最高だった6月の16兆2038億円に次ぐ規模で、日銀が金利を極めて低く抑える現行の大規模金融緩和策を修正するとの思惑から国債の利回りに上昇圧力がかかり、抑制のための国債買い入れが増え年間購入額は111兆607億円で平成28年の119兆2416億円以来の水準だったという。日銀は10年物国債の利回りの上限を0・5%程度に設定しており、従来は0・25%程度で市場の需給で決まる本来の金利水準とかけ離れ企業の社債発行などに支障が生じると判断し改善を図ったという。日銀の戦時中の国債保有は70%だが現在は50%を超えていて、これの処理は当時のインフレで紙くず化したのと金融封鎖だったという。 普通国債の発行残高は1千兆円規模に上っていて国債を投資家に安定的に買ってもらうには表面利率を市場金利に合わせて上げる必要があるが、日銀が公表した資金循環統計によると日銀が保有する国債の割合は9月末時点で50・26%となり初めて5割を超えたというのに、金利抑制のために無制限に国債を買い入れる政策を続けている。米欧に連動して上昇する金利を抑え込むため6月の買い入れが月間最高となる16兆2038億円に上るなど買い入れが膨らんでおり、国債の買い手が日銀に集中する分市場機能は低下することになってしまうという。日銀は昨年12月の金融政策決定会合でこうした副作用を和らげるために長期金利の変動幅の上限を0・25%から0・5%に拡大する政策修正を実施している。 財務省が来年1月に発行する10年物国債の入札で国債の買い手に支払う利子の割合を示す「表面利率」を現在の2倍に引き上げる方針を固めているが、金利を低く抑えるため国債を大量に買い入れる大規模な金融緩和が長期化しており、政府の借金である国債の約半分を日銀が保有する異例の状況で政府の財政と日銀の金融政策の一体化も指摘されている。保有割合が膨らむ主因は海外の金利上昇だが、欧米では中央銀行が今春以降は物価高を抑えるため相次いで利上げを進め金利が上昇している。日本でも金利が上昇したが金融緩和策で長期金利の上限を0・25%程度としていた日銀は国債を大量に買い金利を抑え込み、買い入れ額は6月に月間で過去最多の16兆円9月も12兆円近くにのぼっていた。 日銀は黒田総裁の下で2013年4月から大量の国債を買い入れる大規模緩和を続けているが、政府が予算をまかなうため国債の発行残高を増やし市場では日銀が政府の資金調達を事実上支える「財政ファイナンス」との批判が高まっていたという。日銀が保有する国債の時価は9月末時点で544兆6462億円というが、買い入れ時の価格である簿価を8749億円下回っているそうなのだ。米国が物価高を抑えるため急速に利上げを進めたことで日本の金利も上昇し債券価格が下落したためなのだが、国債の評価損が生じるのは日銀が量的緩和を解除して金利が上昇した影響があった15年前以来となる。そして金融緩和を手じまいする出口の段階で金利が上がれば国債の時価が下がり多額の評価損を出す懸念が高まっているという。 政府の国債利払い費が増えることになりその分だけ財政が圧迫されることになる。表面利率は国債の額面価格に対する利子の割合を示していて額面100万円で表面利率が0・4%の場合は、10年物国債の保有者は毎年4千円の利子を満期までの10年間国から受け取れる。10年物の表面利率はバブル期に7・9%まで上昇したが、日銀の大規模な金融緩和が始まってからは大きく下がりマイナス金利政策導入後からは0・1%が続いている。政府が決定した来年度の予算案では国の借金返済や利払いに回す国債費として25兆2503億円を計上しており、このうち利払い費は8兆4723億円を見込んでいる。財務省は仮に来年度から金利が1%上昇した場合には国債費が3兆7千億円程度膨らむと試算しているという。
2023年01月09日
コメント(0)
新型コロナウイルスについて愛媛県は昨日の医療機関などの報告で新たに3775人の感染と8人の死亡を確認したと発表したそうなのだが、中村知事は臨時の記者会見を開き「第8波の渦中にあり感染のピークが見通せない」と危機感を示した上で流行期入りしたインフルエンザとともに感染対策を徹底するよう呼びかけたという。これは1週間前の同じ曜日と比べると1662人増えていて入院中の70代と80代だけでなく施設で療養中の80代と90歳以上の2人に自宅療養中の90歳以上それに亡くなったあとの検査で感染が判明した70代と80代のあわせて8人の死亡が新たに確認されたという。新型コロナウイルスの全国での新たな感染者は23万8654人となり、全国で亡くなった方は463人となっていて過去最多を更新したという。 オミクロン株が日本に上陸して猛威を振るい始めたのは昨年1月の第6波からだが、オミクロン株以降約1年間で3回の新型コロナの波を経験している。当初「重症度が低くただの風邪レベル」と油断していた人が多かった変異ウイルスなのに、現在新型コロナ第8波が到来して過去最多の死亡者数を記録している。日本の新型コロナ死亡者数のほとんどは実はオミクロン株によるもので、「ただの風邪」とか「インフルエンザと同等」と言われながらなぜ死亡者数が最も多くなってしまったという。これまでの国内の新型コロナ感染者数・死亡者数のほとんどがオミクロン株によって占められることになり、新型コロナの重症化率や致死率がインフルエンザレベルまで下がったのにこの1年間で約4万人の命が失われたそうなのだ。 新型コロナがインフルエンザと決定的に違うのが感染性で、新型コロナは基本再生産数でインフルエンザの数倍は高いとされており、季節性インフルエンザの基本再生産数は約1.3だが、新型コロナの初期の株では約3で、デルタ株・オミクロン株などの新たな変異株が登場するたびに上昇し続け現在5以上ではないかと推察されているという。感染性という観点ではインフルエンザに近くなったどころかむしろ強力になっている印象で、過去のインフルエンザシーズンでこれほど多くの高齢者施設クラスターを経験したことはなく、ワンフロアで数人インフルエンザにかかったということはよくあったというが、施設全体で壊滅的な状況に陥る高齢者施設が地域内で複数あるのはそれだけ新型コロナの感染性が高いからだという。 たとえインフルエンザと同等レベルに新型コロナの重症化率や致死率が減少しても、感染者数の増加がそれを上回れば死亡者数は増えてしまうのだが、「重症者数が増えていないのに死亡者が増えているのはおかしい」という見解を目にすることがあるが、主に軽症中等症のコロナ病棟で高齢者が亡くなられているという。高齢者は人工呼吸器や心肺蘇生などを希望されないことが多く重症病床に転院することは少ないそうで、そのため重症としてカウントされずに静かに亡くなってしまうという。ほとんどが高齢者の死亡では重症としてカウントされずに軽症中等症のコロナ病棟で亡くなられているそうなのだが、日本はワクチン接種率が高い国の1つで国際的にみても人口あたりの死亡者数はまだ少ないほうだという。 新型コロナのもっともタチが悪いところは「ただの風邪」や「ワクチンは無効」と思わせることで人類を油断させ最終的に死亡者数を増加させるという社会的なクセの悪さだという。コロナ禍初期は咳や息切れがしんどかったり味覚障害・嗅覚障害などの特徴的な症状があったりした場合には「新型コロナかな」と当たりをつけることが可能だったという。しかもコロナ禍初期はインフルエンザ自体が流行していなかったのでそもそも両者を区別する必要がなかったのも事実だったという。もっとも症状によって新型コロナとインフルエンザの当たりがつくのかと問われるとオミクロン株以降は正直区別が厳しいそうで、医師によると症状のみで新型コロナとインフルエンザの当たりをつけるのは至難の業なので現状検査に頼らざるをえないという。
2023年01月08日
コメント(0)
国際通貨基金が発表した「世界経済見通し」によると世界経済の成長率は、一昨年の6.0%から昨年には3.2%となりそして今年は2.7%へ鈍化する見込みだという。日本の今年の成長率は1.6%と予測されていて、これは米国の1.0%や英国の0.3%にユーロ圏の0.5%よりも高くなっている。これは日本と欧米諸国の間でインフレに対する金融政策の違いがあることが大きな理由で、米国の連邦準備銀行や欧州中央銀行は利上げのペースを減速させたもののインフレが問題という姿勢は堅持しており、市場は金融引き締めによる不況への警戒を強めているという。日本の消費者物価指数3.8%と欧米諸国に比較すると低いものの電気代やガス代は20%以上の値上がりしており、国民生活に影を落としている状況だといわれている。 日本政府は物価高対策を柱とする第2次補正予算を成立させているが、物価高に対して電気・ガス料金の負担軽減に6兆円を充てインフレ率を1.2ポイント程度押し下げる考えをしめしているが、もっとも財政で物価を押さえつける対策は一時的な痛み止めにすぎず持続的な賃上げなどインフレ耐性を高める取り組みが欠かせないという。厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査によると一人当たりの実質賃金は連続で減少しマイナス2.6%となっていて、物価の伸びに賃金が追い付かない状況が続いているという。賃金の決定要因はさまざまであって何かひとつで日本の低賃金が説明できるというものではないが、賃上げは経営判断とされその基本は労働生産性と経済見通しで重要になるのが流動的な労働市場だという。 賃金と雇用の関係は経済分析の歴史において最もよく議論されてきた問題であるというが、そのため様々なことがらについて議論があって「雇用を創出するには賃金を下げる必要があり、そのためには最低賃金を定めたり、労働組合が力を持って労使関係に介入してくることを避けたりしなくてはならない」といわれてきた。この説を広めたジョン・ベイツ・クラークは、最低賃金の効果について最初に言及した経済学者の1人で「詳しく調査するまでもなく、賃金が高くなれば雇用する労働者の数が減ることは確かだ」と語り、イギリスの経済学者アーサー・セシル・ピグーも「労働組合が賃金を同産業の賃金よりも高くしようとするあらゆる試みは、失業の原因となる」と同じように断言しているそうなのだ。 近年では政府だけでなく金融当局や銀行や大規模な雇用者団体は「雇用をつくりだすためには賃金を下げなくてはならない」とメディアを通してまるで呪文のように唱えつづけているだけでなく、「7パーセントの賃金カットで10パーセントの雇用増」などと似たような例をいくらでも挙げることができるが、いくら繰り返したところでこれらがウソであることに変わりはないという。最低賃金の設定や引き上げが雇用創出を妨げるという事実がないことも明らかになっている。また賃金が高い国ほど失業率が低いことは調べれば容易にわかるとされており、さまざまな調査が賃金の抑制を擁護する人たちの主張とは反対の現象が起こっていることを示していて、実際に賃金が上がるのと同時期に雇用が増えたという現象は多く見られるという。 人件費の上昇は「雇用を破壊するとか、雇用の創出に影響を及ぼす」とよくいわれるが、実際にそれを示す明確な根拠は存在しないそうで、反対に労働組合が経済活動に与える影響についてすでに他の多くの研究論文が明らかにしてきたことを裏付けているという。それは組合員の数が増え組合自体が力を持つ時期は賃金が総じて上がりさらに生産性・雇用・生産への投資・そして経済活動全体のレベルも高くなるというのだ。反対に労働組合の力が弱く賃金が低い時期にはこれらすべてのレベルが低くなるという。賃金が下がることで生産コストが下がり利益が増える企業もあってそれによって雇用が増えることもあるかもしれないが、一部の人たちにとって有益なことがすべての人たちにとって最善とは限らないという。
2023年01月07日
コメント(0)
食後に血糖値が上がるのは簡単にいえば糖質が体内に入ってくるからなのだが、糖質とは炭水化物のうち体内に吸収されてエネルギー源になるもので、体内に吸収されずエネルギー源にならない炭水化物が食物繊維だという。つまり糖質は食物繊維以外の炭水化物ということなのだが、炭水化物と糖質はほぼイコールと考えていただいてよいという。具体的にはごはんやパンだけでなくめん類・いも類といった主食系や甘いものに多く含まれている。糖質の入った食事を摂ると胃や小腸と通り抜けるなかでブドウ糖にまで分解されて小腸から吸収され血管に入っていき、血液の流れに乗って全身に運ばれながら全身の細胞にスッと入っていくそうで、このときにすんなりと細胞に入れば血糖値はそこまで上がらないという。 問題なのが血管に入った糖がすんなりと細胞に取り込まれない場合で、血中にブドウ糖が増えるとすい臓からインスリンというホルモンが分泌され細胞に働きかけると、「インスリンが来た」と細胞がそのシグナルをキャッチし血中のブドウ糖を取り込むように本来はなっているそうなのだ。ところがその反応が鈍い人がいてそれを「インスリン抵抗性」というのだが、つまり「インスリン抵抗性」とは血中の糖を細胞内に取り込んでというシグナルであるインスリンは出ているのにインスリンに対する感受性が低下して、血中の糖を細胞に取り込む作業が滞ってしまう状態のことだというのだ。糖尿病の初期やその手前である「境界型糖尿病(糖尿病予備軍)」の耐糖能異常の原因にはこのインスリン抵抗性があるといわれている。 インスリン抵抗性というのはすごく身近な問題で食後に血糖値の急上昇を起こす人にはこのインスリン抵抗性があることがほとんどだというが、インスリン抵抗性にしても血中に糖が増えたときに正常に戻す力にしても遺伝的な体質にも依るので炭水化物をたくさん食べても血糖値は大して上がらない人もいるという。そういう人であってもたくさん糖質を摂ってインスリンをたくさん出して血中の糖をどんどん細胞内に取り込んでいくことを繰り返していれば、たとえ血糖値は上がらなくても太ってしまうという。なぜならエネルギーとして使われない余分な糖は最終的には中性脂肪につくりかえられるからなのだが、つまり食事で摂りすぎた過剰な糖質は脂肪に置き換わり蓄えられるということだというのだ。 これまで太る原因は、食事で摂ったカロリーよりも消費するカロリーが少ないことだと考えられていたのだが、カロリーはたくさん摂っているのに運動はしない状態が続くと余ったエネルギーが脂肪として貯蓄されるという「エネルギーバランスモデル」という考え方が主流だったという。ところが近年では肥満はカロリー過多が原因ではなく炭水化物とインスリンによってもたらされるという「炭水化物―インスリンモデル」が注目されているという。「炭水化物―インスリンモデル」では炭水化物の摂りすぎは空腹を招き過食をつくると考えるそうで、過食を肥満の原因ではなく結果として捉えるという。炭水化物を過剰に摂れば摂るほどその後の血糖値の下がり幅が大きくなってその下がり幅が大きいほど空腹を感じてしまうのだという。 そのため過食に走ってしまうと同時に活動量も低下してエネルギー消費も減ってしまい、その結果さらなる肥満を生んでしまうというのだ。「炭水化物―インスリンモデル」ではインスリンの分泌を抑えるために炭水化物をとりすぎないことが肥満の防止になり同時に空腹の時間を減らすことにもなると考えるというが、一方でたんぱく質や脂質はインスリンの分泌には無関係なので糖質を制限する代わりに十分なたんぱく質と脂質を摂ることができるという。「この炭水化物―インスリンモデル」はまだ仮説の段階でこの仮説に否定的な専門家も一部いるのだが、マウスの研究ではカロリーを一定に制限しても炭水化物の摂取量を増やせば増やすほど脂肪がついて太ることがわかっているそうで、これからの研究が待たれるという。
2023年01月06日
コメント(0)
老年医学の専門医の和田秀樹氏によるといつまでも若々しくあるためにはどうすればいいのかというと、「人の老化は感情から始まる。『まあ、いいや』を口癖にしている人は脳の老化が早まってしまう。恋愛や株投資など前頭葉を刺激するような『俗事』に興味を持ったほうがいい」ということのようなのだ。どんな仕事でもベテランと言われる年齢になってくるといつの間にか新しいことに食指が動かなくなって面倒くさいと思うことが増えてくる。こうしたことも人間は身体機能よりも心や感情から老け始めることを示唆しているそうで、現実に30代や40代からうつ病が増加して「何もやる気が起きない」と苦しむ人が目に見えて多くなるが、そこまで悪くはなくてもさまざまなことに対してガツガツしなくなる「まあ、いいや症候群」が現れやすくなるという。 血管の老化である動脈硬化は早い人は40代から始まっていて、高齢女性に多い骨粗鬆症も最近は40代ぐらいからめっきり多くなっていて、これは間違ったダイエットが原因だいう。男女問わず40代ともなると臓器が昔よりも老化しているのではないかと指摘されているが、成人の体として実用機能はあまり衰えてないそうで、運動能力の低下により「40代になったらこの仕事は無理だ」と言われるのはプロスポーツの世界ぐらいだという。もっともコンピュータ・ソフトの開発者のように、動能力が問題になるわけでもないのに35歳定年説がささやかれる職業もあって、これは年齢とともに実務からマネジメントへと異動する人事上の理由もあるが、進歩の速い世界で新しいことを覚えるのがおっくうになってくるからとも言われている。 年齢が上がっていくにしたがって体を使っていないときの衰え方が若いときと比べると急激になることが指摘されるが、一般的に若いころは「出世したい」とか「よりよいパートナーを手に入れたい」ということだけではなく、「思いどおりの仕事をしたい」などの夢や欲望があって頑張る気力もあり、徹夜も辞さない体力もあるものだがある年齢から「もう出世などしなくていい」や「子どもの成績もこんなもんだろう」と執着がなくなってくるという。それはそれで恬淡としていて、欲望から超越できたのでよいではないかという見方もできるが若さはないという。政治家は60代後半や70代になっても権力に執着を示すのだが、「いい歳をして、生々しい」と思う人もいるだろうが概して年齢のわりにエネルギッシュで若々しく見えるという。 体を使ってない、あるいはもう生殖器を使っていない状態が恒常化すると、どんどん衰えていく。「まあ、いいや症候群」で頭を使っていないと、脳も衰弱していくのである。「まあ、いいや」的な消極的生活によって感情が老化すると、追いかけるように体や脳、生殖器などの老化を進めてしまう。感情の老化は、いちばん最初の段階で食い止めなければいけない防波堤なのである。医学が進歩して80代、90代まで生きるのが当たり前になってくると、「60歳で定年を迎えたら後は隠居」というのでは、老年期が長すぎる。ましてや40代で感情が老化してしまうと、とんでもなく老後が長い人生になってしまう。70代くらいまで、現役のつもりで俗事に興味を持ってもらいたいものだ。 感情が比較的早い時点から老化するのは医学的な傍証もあって、老人専門の総合病院に勤務している医師によると、「CTやMRIで撮影した脳の写真を毎日のように見ているのだが、物忘れがひどくなった人の脳だけでなく、徘徊する老人の脳や意欲を失ってしまった人の脳など画像から病変を調べるためだ。こうした写真で見ると高齢者の脳は多かれ少なかれ縮んでいる。」という。歳を取って縮んでいくのは自然なことらしいが、脳の写真を数多く見ているうちに萎縮の度合いから一目見て年齢の想像がつくようになり、「年齢のわりに萎縮が進んでいる」とか「縮んでいなくて脳が若い」などという感覚も持てるようになったという。また脳全体の縮み方には医学的なデータがあって一律に同じ割合で縮むのではないことがわかっているという。 一般論から言うと老化の予防とは前述のようにその部位を使うことだが、50歳の声を聞いて足腰が以前より弱ってきたなと思ったら歩かないといけないとか、パソコンでばかり仕事をしていて漢字を忘れたなと思ったらときには手書きで文字を書いてみることだという。何と言っても「使うこと」がもっともシンプルな老化予防作業で、農業や漁業の従事者に関していえば認知症が発症しても、それまでと変わりなく仕事を続けている人も少なくないという。病気等が発見される周囲が先回りして外出や仕事などいろいろなことをやめさせてしまうことが多いのだが、「オール・オア・ナッシング」で考える必要はなく、「この仕事、もうできなくなったからやめる」や「この家事は、できるからしばらくは続けよう」そういう判断があっていいはずだという。
2023年01月05日
コメント(0)
正確な年金計算をする場合には加入期間と年金額の計算の基礎となる平均標準報酬月額の情報が必要なのだが、厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金被保険者数は6,729万人となり前年度比27万人の減少だったという。そのうち厚生年金の被保険者数は4,535万人で前年度から22万人の増加している。また第1号被保険者や任意加入被保険者を含む国民年金の被保険者は1,431万人で前年度から18万人の減少となっている。標準報酬月額の平均は31万8,593円で前年から5,494円の増加しており、男女別にみていくと男性の平均は36万1,563円で前年から6,331円の増加し、女性の平均は25万1,727円で前年から5,209円の増加となっているという。 給付状況をみていくと公的年金受給者数は7,698万人で前年から33万人の増加し、そのうち厚生年金保険受給者数は4,023万人で前年から28万人の増加している。これには女子の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が62歳に引き上げられたことが影響しているが、平均年金受給額は老齢厚生年金で月額14万5,665円と前年からマイナス480円の減少となっているという。国民年金受給者数は3,614万人で前年から18万人の増加だが、平均年金受給額は老齢年金で月額5万6,479円と前年から121円の増加となっている。老齢厚生年金受給権者2,772万2,776人のうち繰り上げ受給を選択しているのは15万5,968人と全体の0.6%で、繰り下げ受給を選択しているのは32万2,237人で全体の1.2%だという。 65歳以下の平均年金額をみていくと男性は60歳では8万8,303円だし、61歳で9万6,213円の62歳では0万8,082円・63歳で9万0,564円・64歳で9万0,843円、そして65歳以上は16万9,006円となっていて、年金の減額がなされて前年から1,385円の減少となっているという。女性は60歳では8万0,556円だが61歳で8万3,785円となり、62歳で5万5,371円の63歳で5万1,206円・64歳で4万9,182円、そして65歳以上では10万9,261円で前年から56円の増加となっているという。老齢基礎年金受給者3,274万人のうち繰り上げ受給を選択しているのは355万人でその平均年金額は月4万3,985円だが、繰り下げ受給を選択しているのは60万人でその平均年金額は7万5,260円だったという。 都道府県別に年金の受取額をみていくと厚生年金の受給額が最も多いのは「神奈川県」で16万5,321円だそうなのだが、続いて「千葉県」が16万0,017円でこの2県のみ平均16万円を超えているそうなのだ。以下「東京都・」「奈良県」・「埼玉県」と続くのだが、反対に受給額が最も少ないのは「青森県」の12万2,111円だというが、続く「秋田県」は12万2,914円で「宮崎県」・「沖縄県」・「山形県」と続くという。一方で国民年金の受給額が最も多いのは「富山県」の6万0,034円で最も少ないのは「沖縄県」で5万2,112円だという。地域によって物価や生活費なども異なるので年金受給額の地域差がそのまま老後の生活水準につながるものではないが、ただ最大でも月16万円程度の年金ではちょっと心許ない金額だという。 政府は企業に対して賃上げを要求していて、それに応えるように多くの企業が賃上げを表明し調査企業の8割を超えているが、あとは物価高を超える賃上げとなるかが焦点にと思った矢先に突如議論が巻き起こった防衛費増額に伴う法人税増税だという。法人税増税が企業の賃上げ抑制につながるとして批判されているが、果たして悲願の給与アップとなるか予断を許さない状況だという。老後の生活資金の源となる公的年金について政府は支給額を引き上げる方針を固めており、これは足元の物価上昇を踏まえた措置で増額となれば3年ぶりとなる。しかし年金制度を維持させるため給付を抑える「マクロ経済スライド」の発動も検討しており、結局年金の伸びは物価上昇に追い付かず実質的に目減りになるという。
2023年01月04日
コメント(0)
私も定年を迎えてから10年近くになってきたのだが、日本ではすべての企業で希望者に対する65歳定年制が義務化されます。現在、定年といえば60代というイメージが強いですが、かつては55歳を定年とする企業が主流であり、その年齢は時代とともに推移してきました。定年制度は、労働者がある一定の年齢に達した際、その年齢に達したことを理由として就業規則や労働協約により雇用契約を終了させることをいいます。日本ではあたり前のように存在する定年制度ですが、世界では定年制度がない国も少なくなく、定年制度廃止や延長の動きは各国でみられます。日本の定年制度の始まりは、今から130年以上前、明治時代までさかのぼります。日本最古の定年制度の記録は、1887年の東京砲兵工廠の職工規定です。 この規定には55歳を定年とする旨が記されており、民間企業では日本郵船が1902年の社員休職規則において定年を55歳としたという記録もあるという。当時の日本人の平均寿命は男性が43歳前後で女性が44歳前後といわれていて、当時の定年年齢は平均寿命よりも長くまさに「終身雇用」という名にふさわしい制度であったという。ただ今でこそ強制退職的な側面ももつ定年制度だが当時は労働者が頻繁に転職していたため、企業があえて雇用期間を定めることで優秀な労働者を一定期間確保するという足止め策的な側面が強いものだったとも言われている。第一次大戦後に労働市場は変化し今度は雇用主側が過剰雇用を整理解雇以外の方法で解消することを目的として定年制度が拡大したそうなのだ。 多くの企業で戦後に定年制度が導入されることとなり、日清紡績美合工場では1946年に労働者が定年制度の確立を要求し、男子は55歳の女子は50歳を定年として定年制度が導入されたという記録があるそうで、1950年代前半には解雇を制約する判例法理も展開されその後に高度成長期まで55歳を定年とする定年制度が続いたという。労働者側も「定年までは解雇させない」という雇用の保障という観点から定年制を求めるようになり、厚生年金保険法改正によって男子の年金支給開始年齢は3年ごとに1歳ずつ引き上げられるようになったという。年金の支給開始年齢が60歳になると年金支給開始の60歳まで収入が断たれることになってしまうので、この動きに合わせるように労働組合も定年延長を要求し始めたという。 つまり30年ほど前の定年年齢は55歳だったのだが、1986年「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正で60歳定年が努力義務に、1994年の改正で60歳未満定年制が禁止され、これが60歳定年の始まりだという。原則希望者全員の65歳までの雇用を義務化により働きたい人は65歳まで働くことができるようになり、さらに70歳まで働き続けることができる環境が整いはじめているという。この法改正を受けて定年年齢を65歳から70歳に引き上げさらには定年制廃止に踏み切る企業が増えつつあるそうなのだが、国家公務員の定年年齢は来年度から2年刻みで段階的に65歳に引き上げられ、もちろん地方公務員もこれに準じるのだが、65歳定年年齢引き上げは公務員が牽引していくといわれている。 定年年齢を65歳以上とする企業や定年制廃止の企業が増加しているといっても全企業の28%に過ぎず、301人以上の企業の85%は60~65歳未満で定年退職を迎えた人の希望に応じて65歳まで雇用する継続雇用制度を導入しているという。ところが産業構造の変化や新型コロナウイルス感染症の影響によるリモートワーク化などを経て、副業や兼業の解禁やリスキリングの強力な推進に、役職定年の廃止・給与体系で年功序列型の廃止・早期希望退職募集対象年齢の低下など企業も雇用の形を模索しているという。日本の雇用は終身雇用・年功序列型からジョブ型雇用へと移行しつつあるが、リスキリングや働き方改革により人材の流動化が加速するにしたがって定年制という概念そのものがなくなっていくのかもしれないという。
2023年01月03日
コメント(0)
岸田首相が防衛予算を確保するための増税を発表して議論を引き起こしているが、この防衛予算のための増税について自民党内からも反対の声が噴出し、結局は防衛費の総額は来年度からの5年間で43兆円規模と過去5年間の約1.5倍と決まり、5年後からは不足する年1兆円の財源補填のため所得税・たばこ税・法人税の「増税」が政府与党の方針として固まったとされている。岸田首相は「防衛増税は将来世代への責任として対応すべきもの」などと国民に理解を求めており、閣議決定され来年度当初予算案で建設国債の使い道に戦後初めて防衛費が含まれることになり、「防衛予算確保のための国債発行は将来世代にツケを回すこと」と否定してきた歴代首相発言との矛盾を指摘する声もあるという。 日本の防衛費は1976年に当時の三木武夫内閣が「GDPの1%」という閣議決定をして以降おおむねその水準で推移してきたそうなのだが、今回岸田文雄首相は一気に「GDP2%」への倍増を指示し「歴史的転換」を形にしたという。ちなみに防衛費が現行の倍の11兆円規模になれば現在世界9位の日本はアメリカ・中国に次ぐトップ3の「軍事大国」になるが、こうした防衛費増額の背景にはロシアのウクライナ侵攻や台湾統合への意欲を強める中国だけでなく、北朝鮮によるたび重なる弾道ミサイル発射をはじめ安全保障をめぐり厳しさを増す周辺環境があるといわれている。また政府は閣議で「国家安全保障戦略」など防衛3文書を改定し敵基地攻撃など「反撃能力」を保有する方針を決定し方針転換を図っているという。 「専守防衛」を掲げる日本はこれまで他国の領土に届く攻撃的な武器の配備などを行ってこなかったのだが、中国の軍事力増強などを踏まえて方針転換を図ったもので新たな防衛力整備計画にもその方針が明確に反映されている。防衛力の強化が必要なことは言うまでもないが当然それにはお金が必要で、約4兆円の増加分をカバーする財源については「他の歳出を見直す歳出改革を行う」、「税収の上振れや余った予算などの決算剰余金を活用する」、「国有財産の売却益や税外収入などを貯めて使う防衛力強化資金を活用する」といった案が県とされていて、これらで3兆円ほどを確保しそれでも不足する1兆円強を増税などによって充当としており、防衛費に建設国債を発行する方針も示されているという。 経済学には「チャータリズム」という貨幣理論があるそうで、この理論はお金の価値はその中に含まれている原材料とされる金等の貴金属にあるのではなく、「国家において価値があるものだと保証しているから」価値があるのだと唱えているという。そして主権国家における政府の借金というのは「自国通貨で負っている限りは債務不履行など起こさない。日本政府の借金が円建てでさえあれば、円は政府と中央銀行である日銀が発行しているのだから問題ない」とも主張しているという。これによって財政赤字やプライマリーバランスの問題はほぼなくなる。つまり日本の場合は「日本円で政府が借金してお金をこしらえても、インフレにならない限り、政府の赤字は気にしないでよい」と主張しているのだという。岸田政権は「新自由主義からの脱却」を宣言し成長を目されている産業への投資に積極的な姿勢を示しているが、防衛というのは公共事業だと考えると実際に米国では防衛産業は巨大な公共事業のひとつとなっている。政府が国債を発行しその金で防衛のための戦闘機やミサイルをはじめとする諸々の武器を作って防衛省に納めるというのは、道路を作って国に納めるのとお金の流れで見ればまったく同じで、国内に有効需要が生まれお金が市場に回り出し景気回復に役立つ、ということになるという。岸田首相は増額した防衛費をなにに使うのかというと「端的に申し上げれば、戦闘機やミサイルを購入するということ」だと言う。では、どこから買うのかというと、まちがいなくアメリカだ。しかし、このお金の流れはかなり問題である。 岸田首相は増額した防衛費をなにに使うのかというと「端的に申し上げれば、戦闘機やミサイルを購入するということ」だと言うが、どこから買うのかというとまちがいなくアメリカで、増税するなら武器は外国から買わずに自国で作ってそれを使えばよいということにすると、必要なだけ国債を発行して「防衛のための戦闘機やミサイルを作れ」と国内企業に発注して金を払う。企業は戦闘機やミサイルを防衛省に納品するとすれば日本国内でお金が回るという経済学的には正しい理屈になるという。どうしても税を取りたいのであれば日本を守るための武器は日本人が自らの責任として作ったものを使ったほうがいいということになってしまい、米国や北朝鮮等のように自国で作った武器を輸出するような国にしてしまう恐れがあるという。
2023年01月02日
コメント(0)
昨年は日本経済が歴史的な円安・物価高に見舞われる年となったのだが、その要因の一つがアベノミクスの柱として続いてきた日銀の超低金利政策で、プラスマイナス0.25%程度に抑え込んできた長期金利の変動幅を0.5%程度に拡大するという突然発表した。これまで金利の上昇を抑え込んできた日銀の大きな政策変更だったというが、日銀の黒田東彦総裁は「利上げではありません。景気には全くマイナスにならないし、引き締めるつもりはありません」と「利上げではない」と強調した。しかしこの発言はこれまでとは全く異なるもので豹変した黒田総裁だが、これまでは自ら始めた異次元的緩和に頑なにこだわってきたという。黒田総裁が頑なにこだわってきたこの政策は果たして正しかったのかが問題だという。 昨年には「ウクライナ危機」・「安倍元首相銃撃事件」・「収束の気配のないコロナ禍」等後世にも語り継がれるだといわれる波乱の年となったが、「悪い円安」が流行語となり物価高騰が急速に進むなど経済への不安が高まった年でもあったという。「新しい資本主義」を掲げて船出した岸田政権の経済政策は果たしてどれだけの成果を残したのかということを経済ジャーナリストの荻原博子氏とともに振り返ってみると、昨年は「悪い円安」や物価高騰など経済の話題が尽きない年だったという。まず今年の岸田政権の経済政策に点数をつけるとしたら人によっては100点をつけるかもしれないが、経済ジャーナリストの荻原博子氏30点で、ごく普通に暮らしている市井の人々の生活が潤うことはこの1年ほとんどなかったからだという。 物価高が始まったのは一昨年からでウクライナ危機の前なのだが、世界中で新型コロナの流行が沈静化してモノの需要が高まり、食料やエネルギーの価格がじわじわと上がっていったのだが、それにも関わらずこれという手を打たず2月にウクライナ危機が起こっても目立った動きが見えないという。その間に物価はどんどん上がっていって結果的に政府が総合経済対策を閣議決定したのは今年4月だったという。昨年は4月と10月と2度の総合経済対策が閣議決定されたのだが、2度目の総合経済対策には29兆円の補正予算を計上し電気代引き下げなどの家計支援も盛り込まれているがまったく足りていないという。そして「物価高克服」と銘打つなら今まさに苦しんでいる家計をいかに楽にするかに集中しないといけないという。 政府は電気・ガス・ガソリンなどの費用に1世帯あたり4万5000円を支援するというが、日本全国に一体どれだけの世帯があるかというと約5500万世帯だとされ、ということは2度目の総合経済対策費の29兆円を5500万世帯で割ると約52万円となり、私たち1世帯あたり52万円払えるはずなのに4万5000円しか恩恵を受けられないというように、あまりにも国民が蔑ろにされているというのだ。その一方で岸田政権は「増税」を前面に打ち出しており、実際に現在では防衛費増額をめぐって増税が検討されているという。そういうときに上げやすいのは法人税でも所得税でもなく消費税で、増税は経営者にとっても家計にとってもダブルパンチとなり来年の家計を一段と冷え込ませることになるという。 長期金利の振れ幅を今までの0.25%から0.5%に広げただけなので金融緩和を目指したわけではないといわれているが、これは対年度の景気にとっては決して良いことではなく、「金利が上がる」というメッセージで実際に住宅ローンの変動金利が上がったり、コロナ禍で借りたゼロゼロ融資の返済で中小零細企業が追い込まれていったりする可能性があるという。儲かっている企業でも春闘を前に「金利が上がるなら賃金引き上げは難しい」と経営者が思えば賃上げが実現しないという状況も続きそうだという。そればかりか財務省が発表している税金と社会保障費の国民負担率は46.8%の見通しなのだが、国民所得の約5割が税金と社会保障費に吸い上げられており、これ「五公五民」ってことで江戸時代なら一揆が起こる水準だという。
2023年01月01日
コメント(0)
全31件 (31件中 1-31件目)
1