「うへへへへへー」・・・不気味な笑いを浮かべたまま、よたよたとK君は自らのジャガーへ。
先頭に飾られている ジャガーちゃんは、うなだれてご主人様の帰りを待っていた。
あ、気のせいですか。
「ねー。タイって 酔払い運転取締りされないの?
」
「だいじょーぶ。 朝の4時以降はいない。
」
「うっそぉーーーーー?」
「ほんとね。」
「あの・・・運転できるの?」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ、ぜーんぜんたいじょーぶ」
でっへへへと笑っているK君を見て、 あたしとT君は背筋に寒いものを感じて無言。
ジャガーはいやいやHIP BARを出て、まずはあたしをアソークに送ってくれるんだそうだ。そのへん、毎回紳士なんだけど、ここまで酔っ払ってよれよれになっているK君を見たことがないので、 今日はあんまり、いや、かなりありがたくない。
「K君、ラインこえてるよ!」
「K!まっすぐ走ってないよ!」
あまりの恐ろしさにあたしとT君は 完全に酔いがふっとび、シラフ
に。
「でへぇえええ。だいじょーぶ、だいじょーぶ。あー、でもリポD飲みたいなぁ。」
リポDってタイに売ってんの? それにリポD飲んで酔いが醒めるの?
いんや、リポDそんなドリンクじゃなかったよ、まじで。
スクラッチを繰り返すように「リポ、リポ。リポD、D~!」と叫ぶK君。そのままコンビニにジャガーを突っ込む。
「あたしもお腹減ったからママー買って帰る。」
「何か食べて帰りますかア」
「いや、もうカンベンして・・・」
「ああ、そーですねぇ。あひゃひゃひゃーーー。」
だめだ。この人。
コンビニの外にめちゃくちゃでかい犬がいたので喜んで写真を撮っていたら「うぇええええええい」と小島よしおみたいな叫び声上げて、カメラのレンズ内に乱入。
「ほうら、あれをごらんよ」ポーズを決めるも、わんこは酒臭いK君の息に「ぷい」とよその方向を見てしまった。
犬にも嫌がられるよっぱらいお坊ちゃま・・・。
その模様をじっと見ていた、人の良さそうなタクシーのおじさん。あたしにこう叫んだ。
「危ないよ!タクシーで帰った方がいいよ!その人、すごく酔ってるよ!」
知ってます(号泣)!!!!!おじさん、たすけてぇええええ!
![]()
「いくよ、よっしー!」
手をひっぱるK君。
ああああ、あの。K君、 おじさんがタクシーじゃないと危ないって・・・あんた、運転できないっていってる
よぉおお。
「だいじょーぶ、だいじょーぶ、うひゃひゃひゃーーー。今リポD飲んでいるからねぇえ」
だから、 リポDは酔い覚ましのドリンク剤じゃないっての!
もう目の前においてある 守り神なんだかなんだかわからん2人のじぃさんに祈りを捧げる
しかない。
「おじいさーん、守って!なんとか死なないで送り届けてぇええ!」
しかし2人のじぃさん、前方を見ているとはいえ背を向けられている感が 「わしゃ、しーらない、しーらない」って雰囲気の神様2人。
ところで・・・なんの神様?
「ちゅーごくの、かみさまぁあああ。あーっはっはっは!」
・・・華僑のK君、身に着けているお守りも中華系。しかし 今日ばかりは中国の神様も冷たそう
だよ。ぶるぶる・・・。
「あれぇ、ソイ16ってどこから入るんだっけぇ」
「そこそこそ、そこだよぉおおお・・・ あーっ、過ぎちゃった!!!
」
「ぎゃはははは。んじゃまたトラーイ。」
・・・Uターン・・・
「ああああ! また過ぎちゃった。」
「ぎゃはははーー。もう帰れないねー」
・・Uターン・・・
「待て!もう、いい。ソイ22から入ろう。あそこ、あそこだから!あああああああ・・・ 過ぎちゃった(号泣)。
」
スクムビット通りをUターンできる所から何度も何度も戻る、このむなしいドライブ。 やっとこさ5回目でソイ22にイン。
ふぅううううう。
ナビというより、もう身を乗り出して道を教えるあたし。なんとか無事にアパート着。
目をむき出して飛び起きてきたガードマン、「じゃ、じゃがーだ、酔っ払いだ」・・・という顔をしながら敬礼。
「ありがとうね。K君。あの、まじで帰れる?」
「ぎゃーはははは。帰れる、かえれるってぇえ・・・ おうぇえええええええ
・・・・・!」
あたし、T君、ガードマンはそのまま固まってしまった。
K君は、 愛車ジャガーにとっても派手にマーライオン。
「ちょ、ちょっと!とりあえず出て!」「水あるよ、水。持ってくる!」「あんたどうしたんだ!?」
とりあえずジャガーから引っ張り出して、ガードマンの椅子に座らせる。部屋に戻り、慌てて水を持って来ると、まるで コーナーに寄りかかり燃え尽きて白くなってるジョーのポーズ
で「うへえええうへええ」と笑っている。
「うちで寝かすか・・・」
「俺、帰りたい」
「しかしK君とはいえ、あたくしのような独身の乙女の家に寝かすのも」
「乙女って誰?」
「うるさい!」
T君と途方に暮れてる。
その瞬間、海老のように跳ね上がるK君。「行くよー。かえるよぉおおお」「だって運転大丈夫?」「だいじょーぶ、ぶだいじょーぅ、ぶ。ひゃひゃひゃ」
・・・T君運転できないの?
「俺、できねえ。」
・・・あ、そうですか。
よろよろと出て行くジャガー。もしかして これがK君の最後の姿かしら。さようなら・
・・。
とりあえず翌日電話したら、通じず・・・死んだ?
そう思ったが、翌週も「あ、よっしー。今どこいる?バンコクっすね。行くか!」と電話が。
「え、ケータイ。店に忘れてねぇええ。取りに行ったんだー。え?HIPパブから、なーんにも覚えてないよー。でも ジャガーのシートがゲロでいっぱい。まだくさーい。
あははは。」
死んでなかったんだ・・・。そして何もかも覚えてなかったんだ・・・(怯)。
その日はそんなに酔わなかったK君に、 ゲロ臭いジャーガーで、アパートまで送ってもらって、あたしがそのゲロ臭で吐きそうになった・・・。
バンコクの警察の皆さん、お願いだから酔払い運転取締り、強化してくださいぃい!あんな人が沢山走っているとしたら、ちょー、恐い!しかし乗ってたら同罪だね・・・。
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